戦国BASARA/エロパロ保管庫

炎の微笑21

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夜明け前に、目が覚めた。
寝返りを打ち、隣でぐっすり眠っている幸村を見る。呼吸を確かめ、体温に触れた。
温かい。
(……当たり前か)
冷えた目の奥に情熱を隠している主君とは違う。眼光も血潮も熱く滾らせている。
それでも、二人はどこか似ている。
本質を同じくしているのだろう。どちらも負けず嫌いで誇り高く、
幸村が一武将に徹するように、政宗も一大名に徹している。
政宗は、主君であり友であり妹でもある。では幸村はなんだ。
答えることのできなかった答え。

(……愛しい女か)
苦笑すると、褥から出て着物を改めた。
「…………ん」
幸村が体を震わせる。膝を折って座り、軽く揺する。幸村は薄く目を開け、にこりと笑った。
「起きられるか?」
「ん……いま少し……」
声がすっかり枯れている。昨日喘がせすぎたか、と苦笑した。
ゆっくりと幸村が体を起こす。薄く日に焼けた肌に、情事の跡が艶かしさを際立たせる。
視線に気づいた幸村は、恥ずかしそうに体を捻って着物を手繰り寄せる。
「今日は、ここでおとなしくしていろ。屋敷にあるものは好きに使ってもいいが、
武具には手を出すな。あと、俺の姉がいるから、適当に挨拶をしておけ」
幸村は頷き、小十郎に背を向けて着物を纏った。
幸村の髪を梳き、指に絡めた。すぐにするすると解け、背中に落ちる。

緋色が合うな、と考えた。燃える炎の色が、幸村にはよく似合う。
着物を仕立ててやろう。緋色の小袖がいい。模様は小さいほうがいいだろう。緋色が多い方が映える。
(いい反物屋が、城下の市にあったな)
「緋色は好きか?」
「赤なら、なんでも」
「そうか」
着替え終わった幸村が、不思議そうに首を傾げて体を捻る。何でもない、と
小十郎は唇に軽い口付けを落とした。



政宗と顔を合わせるなり、重そうなものが入った袋が飛んできた。
小十郎は咄嗟に手で払う。じん、と手が痺れ、落ちた袋はがちゃん、と
金属質な音を立てて床に落ちた。
「てめぇが持ってろ」
不機嫌極まりない声。がるるる、という声が聞こえたような気がした。

小十郎は袋を拾い上げた。ずっしりと重い。絹製で、しかも武田の家紋が入っている。
中には、金の板が何枚も入っていた。
「武田からだ。それをどう使うかは、お前に任せるぜ」
「は。……これは……」
「HA! 真田の行く場所なんざ、誰でも分かるんだよ」
持参金ということだろう。普通、嫁が持ってくるものだが。

政宗は小十郎の胸倉をつかんで引き寄せた。整った顔が、毒の強い笑みを浮かべる。
「いいか。真田幸村の武と片倉小十郎の智を継いだbabyを、真田に産ませろ」
「は……?」
「俺が独り身だからって、遠慮する必要はねえ。ガンガン産ませて、あちこちに
養子に出せる準備もしておけ」
胸倉を突き飛ばされ、顔をしかめた。政宗は傍らに置いた箱から櫛を取り出し、放り投げた。
漆を幾重にも塗られた、細かな歯の櫛だ。赤い小花模様が六つ。

真田みたいだな、と笑って話の種に買っていたものだ。かなり高かったような記憶がある。
「急だったから、持ち合わせで勘弁しろ」
「……ありがたく、頂戴いたします。幸村も、喜ぶことでしょう」
政宗は小十郎に背を向け、筆を取った。
小十郎は金と櫛を懐に入れ、政宗の傍に控えた。

「てめぇばっかり、幸せになりやがって」
むすっとした、政宗の独り言。

小十郎は小さく笑って政宗の肩に手を置いた。
「政宗様のお幸せの模範となれるよう、尽力いたしましょう」
「な……!」
「まずは、長曾我部と手を組むところから始めましょうか」
西海の鬼を脳裏に描いた。
気風のいい、快活な男だ。奔放すぎるところとからくりに熱を上げすぎるところと
遠方であることが少々難だが、政宗が気に入っているのは確かだ。


大丈夫だろう、と小十郎は笑った。
首を捻った政宗が惚れ惚れするほど、自信に満ちた笑みだった。
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