怪訝な顔した僕に氏政は事の顛末をかいつまんで教えてくださいました。
何でも忍び殿は松永久秀の書いたこの書物が欲しかったらしく、長谷堂に出向いたそうです。
そこに運悪く奥州のおかんこと片倉小十郎が殴りこみに。
どうやら松永が彼女の主である伊達政宗公に卑猥な書物を送りつけたらしく、大激怒していたそうです。
「彼女を足止めしたら書を卿にやろう」と松永に取引を持ちかけられ、忍び殿はそれを引き受け、そして極殺状態となった片倉小十郎にふるぼっこにされたと。
……葱で。
いやはや母は強しというか恐ろしいというか。
忍び殿はぼろぼろになったもののお目当ての書は手に入れられたので小田原に帰ってきたとのこと。
何でも忍び殿は松永久秀の書いたこの書物が欲しかったらしく、長谷堂に出向いたそうです。
そこに運悪く奥州のおかんこと片倉小十郎が殴りこみに。
どうやら松永が彼女の主である伊達政宗公に卑猥な書物を送りつけたらしく、大激怒していたそうです。
「彼女を足止めしたら書を卿にやろう」と松永に取引を持ちかけられ、忍び殿はそれを引き受け、そして極殺状態となった片倉小十郎にふるぼっこにされたと。
……葱で。
いやはや母は強しというか恐ろしいというか。
忍び殿はぼろぼろになったもののお目当ての書は手に入れられたので小田原に帰ってきたとのこと。
「まったくこのようなもの、言えば取り寄せてやったものを」
氏政様は深々と息をつくと手当てが終わった忍び殿の頬を優しく撫でます。
「こんな傷をこさえてきよって」
「・・・・・・」
「年寄りを心配させるではないわ」
顔半分を覆う鉢金のせいで忍び殿のお顔は見えませんが、叱られた子供のようにしゅんとされています。
「まあ、命にかかわる傷でなければそれでよい。今日はゆっくりと休め。仕置きはその後じゃ」
仕置き……この場合性的な意味でしょうか、それとも普通の……あ、もしや書物の内容を実践するおつもりなのでしょうか。
だとしたら一応明日のため多めに湿布を作っておいた方がいいんでしょうかね。
ちらりと忍び殿を盗み見れば、頬を染めてしっかりと頷いていました。
やはり性的な意味で間違いないようです。
「どれ、わしは皆に風魔が帰ってきたことを伝えんとな」
安心したように氏政様が立ち上がると、忍び殿は一礼をし、来たときのように風と共に消えました。
「しかしどう説明すればよいのかのぉ」
氏政様は深々と息をつくと手当てが終わった忍び殿の頬を優しく撫でます。
「こんな傷をこさえてきよって」
「・・・・・・」
「年寄りを心配させるではないわ」
顔半分を覆う鉢金のせいで忍び殿のお顔は見えませんが、叱られた子供のようにしゅんとされています。
「まあ、命にかかわる傷でなければそれでよい。今日はゆっくりと休め。仕置きはその後じゃ」
仕置き……この場合性的な意味でしょうか、それとも普通の……あ、もしや書物の内容を実践するおつもりなのでしょうか。
だとしたら一応明日のため多めに湿布を作っておいた方がいいんでしょうかね。
ちらりと忍び殿を盗み見れば、頬を染めてしっかりと頷いていました。
やはり性的な意味で間違いないようです。
「どれ、わしは皆に風魔が帰ってきたことを伝えんとな」
安心したように氏政様が立ち上がると、忍び殿は一礼をし、来たときのように風と共に消えました。
「しかしどう説明すればよいのかのぉ」
その後、例の書物がお年を召した家臣の皆様の間で流行したのは言うまでもありません。