戦国BASARA/エロパロ保管庫

春嵐13

最終更新:

nozomi

- view
メンバー限定 登録/ログイン
「もう…良いぞ、元親」
ぐい、と腕を伸ばして彼の手を解くと、家康は首を横に振った。
「…そう、か」
ぱっと手を離すと、元親は家康の顔を一瞥し、鈍色の髪をがしがしと掻いた。
「あのな…家康……」
「元親、わしは大丈夫だ」
声が震えないようにしながらも、膝に置いた手はきつく着物の裾を握り締めていた。
「…お前の事は……兄のように思っている」

嘘だ。
そんな事は露ほども考えていないのに。

自分の言葉を責め立てる内なる声に耳を塞ぐ。
小さな胸で深呼吸をすると、黒い瞳でまっすぐに彼を見詰める。

「また、会いに行っても良いか、元親?」
「いつでも良いぜ、家康なら」
にっと歯を見せて笑う元親の顔に、家康の心がずきりと痛む。
「良かった、じゃあ、今度はすごいお宝持っていくからな!」
お前が目の玉剥くようなものだぞ、と明るい声で言うが、家康の眼から涙が溢れ出る。

「そいつは楽しみだな」

がしっと彼の胸に抱きしめられているのだと気付くと、彼女はじたばたと暴れて抵抗した。
「だから、わしはもう…」
ちょっとやそっとでは外れないのは承知している。
しかしそこは家康も意地になっているのか、顔を真っ赤にしながら腕を外そうとする。
「…分かっている、俺はお前の事を妹のように思っている」
ぽつりと呟かれた元親の言葉に、抵抗する気も失せ、こくりと小さく頷いた。
「うん…」
涙が止まらず、家康は鼻を啜り上げる。
「お前がいつか誰かの所へ嫁に行くなら、俺よりも良い男を選べよ」
元親の声は優しく胸に響く。
穏やかに寄せては返す漣のように。
「…そうだな、お前が悔しがる程に良い奴を選んでやるぞ」
「何言ってやがる」
苦笑する彼の声を聞きながら、自分の中の淡い恋は終わったのだと、家康は俯いた。


ウィキ募集バナー