暗闇の中、翠は大助を半ば担いで走る。
最期まで城に踏み止どまろうとしていた所を邪魔された大助は激しくもがいた。
「こら翠離せ!破廉恥だぞ!」
「五月蠅い!つべこべ言わずに走れ、馬鹿大助!」
叱咤しつつ、翠は天満門を出てからずっと自分達がつけられているのに気付いていた。
恐らく徳川に与する伊賀者だろう。
(数が多すぎる……!)
尚も暴れもがく大助に苛立ちながら翠は舌打ちした。
大助を守りながら阿梅達の居る山寺まで辿り着けるだろうか。
(ダメだ、弱気になれば負ける)
父が居ない事で自分が激しく動揺しているのが翠には情けない程良く分った。
山寺まで後少しと言う所で遂に囲まれ、翠は大助を庇いながら苦無を構える。
「敵か!?」
徒ならぬ雰囲気を察して大助も獲物を構えた。
父の手ほどきを受けた大助の短槍の腕前は佐助を唸らせた事もある。
「若旦那は筋が良いよ。流石は真田幸村の息子だね。
ひょっとすると父君を越える日はあっという間にやってくるかもよ?」
そう親子二代の傅役になった佐助に褒められると、大助は舞い上がった。
早く父のような立派な武士になりたいと人一倍鍛錬に励んだものだ。
「囲まれた。いいか大助、絶対私の傍を離れるな」
翠が低い声で言った。
姿は見えなくとも圧倒的な数の殺気がジリジリと二人の肌を焼く。
無意識の内に翠は翡翠の簪をしまった懐に手を伸ばした。
「――!!」
突如新しい気配が猛烈な速さで翠達と敵の間に割り込んで来た。
「良く頑張ったな翠!後一息だ、さっさと走れ」
「隼人…」
僅かに気が弛んだ翠に厳しい声が飛ぶ。
「気を抜くな、行け!坊主、お前も自分で走りな!女に担がれてんじゃねぇ」
「こっちだって好きで担がれ……うわっ」
大助は最後まで言えず再び翠に担がれる。
追おうとした忍の前にすかさず隼人が苦無を投げて遮った。
「あの二人はウチの筆頭のお客でね。お引取り願おうか」
最期まで城に踏み止どまろうとしていた所を邪魔された大助は激しくもがいた。
「こら翠離せ!破廉恥だぞ!」
「五月蠅い!つべこべ言わずに走れ、馬鹿大助!」
叱咤しつつ、翠は天満門を出てからずっと自分達がつけられているのに気付いていた。
恐らく徳川に与する伊賀者だろう。
(数が多すぎる……!)
尚も暴れもがく大助に苛立ちながら翠は舌打ちした。
大助を守りながら阿梅達の居る山寺まで辿り着けるだろうか。
(ダメだ、弱気になれば負ける)
父が居ない事で自分が激しく動揺しているのが翠には情けない程良く分った。
山寺まで後少しと言う所で遂に囲まれ、翠は大助を庇いながら苦無を構える。
「敵か!?」
徒ならぬ雰囲気を察して大助も獲物を構えた。
父の手ほどきを受けた大助の短槍の腕前は佐助を唸らせた事もある。
「若旦那は筋が良いよ。流石は真田幸村の息子だね。
ひょっとすると父君を越える日はあっという間にやってくるかもよ?」
そう親子二代の傅役になった佐助に褒められると、大助は舞い上がった。
早く父のような立派な武士になりたいと人一倍鍛錬に励んだものだ。
「囲まれた。いいか大助、絶対私の傍を離れるな」
翠が低い声で言った。
姿は見えなくとも圧倒的な数の殺気がジリジリと二人の肌を焼く。
無意識の内に翠は翡翠の簪をしまった懐に手を伸ばした。
「――!!」
突如新しい気配が猛烈な速さで翠達と敵の間に割り込んで来た。
「良く頑張ったな翠!後一息だ、さっさと走れ」
「隼人…」
僅かに気が弛んだ翠に厳しい声が飛ぶ。
「気を抜くな、行け!坊主、お前も自分で走りな!女に担がれてんじゃねぇ」
「こっちだって好きで担がれ……うわっ」
大助は最後まで言えず再び翠に担がれる。
追おうとした忍の前にすかさず隼人が苦無を投げて遮った。
「あの二人はウチの筆頭のお客でね。お引取り願おうか」




