「馬鹿だよ。そんな風に遠ざけたって納得する俺じゃないって知ってる癖に。」
顔は見えないけれど秀吉が苦笑したのが分かった。
「……そうだな。」
少し腕が緩んで秀吉と目があった。
昔みたいな顔で見つめられて顔に熱がともる。
顔は見えないけれど秀吉が苦笑したのが分かった。
「……そうだな。」
少し腕が緩んで秀吉と目があった。
昔みたいな顔で見つめられて顔に熱がともる。
「ひでよ……。」
一瞬唇に何かが触れて、もう一度硬く抱きしめられる。
「あの時、ボロボロのお前をこうして抱きしめたかった。だが――」
慶次の瞳が凍りつくのを見た。
足元に横たわる無数の屍骸。
秀吉の手はその血に濡れていた。
一瞬唇に何かが触れて、もう一度硬く抱きしめられる。
「あの時、ボロボロのお前をこうして抱きしめたかった。だが――」
慶次の瞳が凍りつくのを見た。
足元に横たわる無数の屍骸。
秀吉の手はその血に濡れていた。
何よりも人を傷つける事を嫌う慶次。
その慶次の為に自分が殺したのだとどうして言う事が出来ただろう。
その慶次の為に自分が殺したのだとどうして言う事が出来ただろう。
守ることさえ出来なかったというのに。
「すまぬ。慶次。」
「秀吉。今―――。」
「我はねねを愛していた。だが、あの時お前を捕らえたと松永が口にした時、我は。」
胸が大きく鼓動をしている。
まさか、まさか、そんなはず――。
「ちょ、ちょっと待て、ちょっと待てよ。秀吉。それって。」
自分と秀吉の間に手を入れて何とか少しだけ距離を取る。
そのせいで至近距離で見詰め合うことになってしまった。
「それって――。」
焦る慶次の顔を見つめる秀吉の瞳が緩む。
「慶次。」
今度こそ、間違いの無い口付けをされてどうして良いのか分からない。
「ん……。」
ゆっくりと唇を食む様な口付けに、身体にじわりと熱が溜まって行く。
「ひ……ひでよし?」
秀吉の頬に手を当てて何とか辞めさせることが出来たものの、顔は近すぎるぐらい近くて視線を上げられない。
「うむ。」
「いや、うむじゃなくてさ。」
「うむ。」
「……いや、良いよもう。……びっくりした。」
ぐりぐりと秀吉の肩に頭を摺り寄せると、秀吉はまた「うむ」といって慶次の頭を撫でた。
「秀吉。今―――。」
「我はねねを愛していた。だが、あの時お前を捕らえたと松永が口にした時、我は。」
胸が大きく鼓動をしている。
まさか、まさか、そんなはず――。
「ちょ、ちょっと待て、ちょっと待てよ。秀吉。それって。」
自分と秀吉の間に手を入れて何とか少しだけ距離を取る。
そのせいで至近距離で見詰め合うことになってしまった。
「それって――。」
焦る慶次の顔を見つめる秀吉の瞳が緩む。
「慶次。」
今度こそ、間違いの無い口付けをされてどうして良いのか分からない。
「ん……。」
ゆっくりと唇を食む様な口付けに、身体にじわりと熱が溜まって行く。
「ひ……ひでよし?」
秀吉の頬に手を当てて何とか辞めさせることが出来たものの、顔は近すぎるぐらい近くて視線を上げられない。
「うむ。」
「いや、うむじゃなくてさ。」
「うむ。」
「……いや、良いよもう。……びっくりした。」
ぐりぐりと秀吉の肩に頭を摺り寄せると、秀吉はまた「うむ」といって慶次の頭を撫でた。
秀吉は壁に寄りかかり床に座った。
慶次の手を引き自分の膝の間に座らせ肩を抱く。
大柄だがやはり薄くて女なのだと分かる。
慶次の手を引き自分の膝の間に座らせ肩を抱く。
大柄だがやはり薄くて女なのだと分かる。
気付くのが遅すぎた。
誰よりも大切だと気付いた時には、既に慶次を誰よりも傷付けていた。
誰よりも大切だと気付いた時には、既に慶次を誰よりも傷付けていた。
「秀吉。」
「うむ。」
「話してよ。全部さ。」
昔と同じ秀吉を見てしまってはどんな出来事も深刻な事情があるとしか思えなかった。
秀吉は慶次の顔を見つめ小さく息を付いた。
大きな手が慶次の髪を弄ぶ様に撫でている。
少し逡巡すると秀吉は口を開いた。
「うむ。」
「話してよ。全部さ。」
昔と同じ秀吉を見てしまってはどんな出来事も深刻な事情があるとしか思えなかった。
秀吉は慶次の顔を見つめ小さく息を付いた。
大きな手が慶次の髪を弄ぶ様に撫でている。
少し逡巡すると秀吉は口を開いた。
お前には話すなと言われたのだがな。と前置きして秀吉は話始めた。
松永の目的は自分達の仲を完全に壊す事だった。
人の絆を信じていない松永にはそうする事が酷く楽しい余興だったようだ。
だから、ギクシャクしながらも完全に壊れない友人達を引き裂くためにやってきた。
離れようとしても離れきれない二人を繋ぐもの、それがねねだった。
松永の目的は自分達の仲を完全に壊す事だった。
人の絆を信じていない松永にはそうする事が酷く楽しい余興だったようだ。
だから、ギクシャクしながらも完全に壊れない友人達を引き裂くためにやってきた。
離れようとしても離れきれない二人を繋ぐもの、それがねねだった。




