「……正直言うとな、煮詰まったときの話し相手になってくれると助かるってわけだ」
政をよくわきまえている才媛に、どうやって「ここにいるのは少しも迷惑ではない」と伝えればいいのか、
元親は言葉を交わすたびに悩んでいる。
鋭い女と相対する男の苦労は身をもって体験しているが、
なんでも見通して人より早く気を回すことができてしまう女もそれはそれでつらいだろう。
文字通り、湯水の如く兵器に金をつぎこんでいる最中の国だが、女ひとりかくまうぐらい知れている。
元親をはじめ、ここにいる連中はその程度の認識だ。
世間一般の、人質としての価値だとか、交渉の材料とか、
そういうことにがんじがらめになっているのが彼女の方なのだから、まったく救われない。
元親は言葉を交わすたびに悩んでいる。
鋭い女と相対する男の苦労は身をもって体験しているが、
なんでも見通して人より早く気を回すことができてしまう女もそれはそれでつらいだろう。
文字通り、湯水の如く兵器に金をつぎこんでいる最中の国だが、女ひとりかくまうぐらい知れている。
元親をはじめ、ここにいる連中はその程度の認識だ。
世間一般の、人質としての価値だとか、交渉の材料とか、
そういうことにがんじがらめになっているのが彼女の方なのだから、まったく救われない。
「まあ。まだまだ子供にござりますること」
鈴のような声で笑う彼女から見れば、元親など本当に子供なのだろう。
鬼と恐れられる自分が手のひらで転がされるのは、ばつが悪い。
鬼と恐れられる自分が手のひらで転がされるのは、ばつが悪い。
「ちぇ。根の詰めすぎは逆にはかどらないんだぜ。
――あんたも、頑張りすぎると身体に毒だ。ちぃっとのんびり休むぐらいの方がいい、余計なことは考えずにさ」
――あんたも、頑張りすぎると身体に毒だ。ちぃっとのんびり休むぐらいの方がいい、余計なことは考えずにさ」
彼女は笑顔を凍らせ――そしてその表情のまま涙をこぼした。
嗚咽や慟哭に表情をゆがますことなく、こんな自分がおかしくてたまらないというように涙を拭いながら言った。
嗚咽や慟哭に表情をゆがますことなく、こんな自分がおかしくてたまらないというように涙を拭いながら言った。
「犬千代様と、同じことをおっしゃる――」




