「……生きているとは驚いたよ。それも長曾我部軍に身を寄せていたとは、意外だね」
「竹中様、お退きくださりませ」
「竹中様、お退きくださりませ」
半兵衛は吐息をもらしたが、それはため息にも似ていた。
珍しくいらだちという感情をあらわにしているのは、まつが元親を秀吉のもとへと進ませたからだろう。
珍しくいらだちという感情をあらわにしているのは、まつが元親を秀吉のもとへと進ませたからだろう。
「君は豊臣の軍艦でそれを言うのかい。なるほど、君があの癇に障る男を甘やかしたというわけだ」
そう言って、一度剣を振る。
まつは、その冷たく透き通る瞳をまっすぐ見つめ直した。
まつは、その冷たく透き通る瞳をまっすぐ見つめ直した。
「どうか自重なさりませ。それほどに動けるお身体ではありますまい」
半兵衛の瞳が逡巡するのを、まつは初めて見た。
一瞬で翳りを隠し、半兵衛は平然と答える。
一瞬で翳りを隠し、半兵衛は平然と答える。
「何を言っているのか、意味がわからないな」
「女は子をなす身体を持っておりまする。お身体の変調、殿方のようにはごまかされませぬ」
「女は子をなす身体を持っておりまする。お身体の変調、殿方のようにはごまかされませぬ」
――病んでいるのだ。なぜ今まで気づかなかったと不思議なほど、はっきりと。
半兵衛の生命はそう長くあるまい。
半兵衛の生命はそう長くあるまい。
「豊臣様は知らぬご様子。胸に秘めておきたいのならば、お退きください」
秀吉の名を出したそのとき、半兵衛がひるんだ。
その隙を見逃さず、まつは思い切り踏みこむ。
薙刀を手放し、ほぼ同時に腰の刀を抜刀した。
神速の居合術。
半兵衛の鞭のようにしなる関節剣を絡めとり、強引に奪う。
その隙を見逃さず、まつは思い切り踏みこむ。
薙刀を手放し、ほぼ同時に腰の刀を抜刀した。
神速の居合術。
半兵衛の鞭のようにしなる関節剣を絡めとり、強引に奪う。




