まつは小首をかしげるようにして微笑んだ。
「――かつて信長様は、長曾我部殿のことを鳥無き島の蝙蝠と言ったとか」
「ああ、そういや、最初に言い出したのは魔王だったっけな」
「ああ、そういや、最初に言い出したのは魔王だったっけな」
「鳥無き里の蝙蝠」の里を島に変え元親に形容したのは織田信長だった。
鳥無き島の蝙蝠。鳥、すなわち強者のいない四国で権勢を誇る蝙蝠を揶揄した言葉。
どうでもいいと思っていたが。
鳥無き島の蝙蝠。鳥、すなわち強者のいない四国で権勢を誇る蝙蝠を揶揄した言葉。
どうでもいいと思っていたが。
「猛禽ですら住めぬ地で生きる蝙蝠というのは、きっと常人では計りしれぬ器を持った生きものなのでしょうね」
まつは視線を空に転じた。
釣られて元親も天を仰ぐ。
大鳥――鷹か鷲か、翼を広げ飛ぶ影が見えた。
釣られて元親も天を仰ぐ。
大鳥――鷹か鷲か、翼を広げ飛ぶ影が見えた。
「――長曾我部殿のつくる新たな天下を、まつも見てみとうござりまする」
そう言って、まつは笑った。
かつて見かけた市姫のような傾国の笑みではなく、男を後ろから立てるような賢妻の莞爾とした笑顔だった。
かつて見かけた市姫のような傾国の笑みではなく、男を後ろから立てるような賢妻の莞爾とした笑顔だった。
――やっぱいい女だな、と思う。




