「かいのとら。とらのわこ。あれほどおとこまえなるものは、めったにみられないでしょう。
ねえ、わかきりゅうよ」
「はは。軍神どのが、臆面もなく惚気られるとは。こっちが照れる」
「けんをまじえて、はじめてわかるあいてというものもある。わたくしには、それがかいの
とらであったのですね。かわすひとたち、ひとたちが、わたくしをぼうがのきょうちへとい
ざなうのです。いのちをとして、たたかわずにはいられない」
なにやら、元就が感じ入ったように頷いていた。政宗は、信玄と幸村どちらにも興味がない
ようで、どんどん姿勢が崩れてゆく。
ねえ、わかきりゅうよ」
「はは。軍神どのが、臆面もなく惚気られるとは。こっちが照れる」
「けんをまじえて、はじめてわかるあいてというものもある。わたくしには、それがかいの
とらであったのですね。かわすひとたち、ひとたちが、わたくしをぼうがのきょうちへとい
ざなうのです。いのちをとして、たたかわずにはいられない」
なにやら、元就が感じ入ったように頷いていた。政宗は、信玄と幸村どちらにも興味がない
ようで、どんどん姿勢が崩れてゆく。
「真田幸村なあ…。あのすぐ頭に血が上ったり、やたら暑苦しいのは、まだ女知らないから
かな」
知ったような口ぶりの政宗に、半兵衛が冷ややかに応じる。
「そういう君も、他人のことは言えないだろうに」
「…な…っ!!……て…てめぇ!な…何ぃ言いやがる!」
言葉に詰まるのが、図星を突付かれた証拠だ。
政宗の頬が赤く染まるのを、謙信が微笑ましそうに見ていた。
「わかきりゅうよ。はずかしがることはありません」
政宗は、がしがしと頭を掻きながらすまし顔の半兵衛を睨む。
「…ったく。ここで男知らないの、俺と毛利だけか?」
「き…決め付けるとは、ぶ、無礼!」
飛び上がったのは、元就だった。
かな」
知ったような口ぶりの政宗に、半兵衛が冷ややかに応じる。
「そういう君も、他人のことは言えないだろうに」
「…な…っ!!……て…てめぇ!な…何ぃ言いやがる!」
言葉に詰まるのが、図星を突付かれた証拠だ。
政宗の頬が赤く染まるのを、謙信が微笑ましそうに見ていた。
「わかきりゅうよ。はずかしがることはありません」
政宗は、がしがしと頭を掻きながらすまし顔の半兵衛を睨む。
「…ったく。ここで男知らないの、俺と毛利だけか?」
「き…決め付けるとは、ぶ、無礼!」
飛び上がったのは、元就だった。
「見てれば、わかるんだよ。元就君。耳年増なのか、そうじゃないのか」
半兵衛のとどめに、元就も頬を染める。
「まあ、こよいのざきょうですから」
半兵衛のとどめに、元就も頬を染める。
「まあ、こよいのざきょうですから」
「しこくのおにとよばれる、わかむしゃ。ちょうそかべどの。かれもまた、ひがしにはいな
いおとこぶり。とこじょうずとうわさされるせいしつがいるあざいながまさどのも、なかな
かのおとこぶりでしょう。うわきなどはかんがえもよらぬようですが」
元親の名が出たときに、元就がわずかに身じろいだ。
いおとこぶり。とこじょうずとうわさされるせいしつがいるあざいながまさどのも、なかな
かのおとこぶりでしょう。うわきなどはかんがえもよらぬようですが」
元親の名が出たときに、元就がわずかに身じろいだ。
「いまのわたしのたのしみは、かいのとらのわこがいつ、どのようなにょにんとであうのか。
あのとしまでまもっているどうていをささげるあいてに、きょうみがつきないのです。かい
のとらとともに、みまもっていたいと…。まあ、さかなにしているといってもいいのですが」
気高い微笑に騙されずに、意外と物見高いな、と、政宗と半兵衛は視線を交した。
幸村も大変だな、と。
謙信、信玄そして猿飛佐助にも見守られている、いや、観察されているのだ。
あのとしまでまもっているどうていをささげるあいてに、きょうみがつきないのです。かい
のとらとともに、みまもっていたいと…。まあ、さかなにしているといってもいいのですが」
気高い微笑に騙されずに、意外と物見高いな、と、政宗と半兵衛は視線を交した。
幸村も大変だな、と。
謙信、信玄そして猿飛佐助にも見守られている、いや、観察されているのだ。
「ああ、謙信さま……。そのように多くの殿方を品定めしておられたのですか」
かなりずれているかすがの不安そうな瞳に軽く頷きながら、謙信は大杯をきれいに飲み干し
た。
「わたくしのうつくしいつるぎ。あんじることはありません。わたくしには、そなたがいま
す」
「ああ~。謙信さまっ」
かなりずれているかすがの不安そうな瞳に軽く頷きながら、謙信は大杯をきれいに飲み干し
た。
「わたくしのうつくしいつるぎ。あんじることはありません。わたくしには、そなたがいま
す」
「ああ~。謙信さまっ」
「両手に、花…というか、棘のある毒の花と、ごつい虎がお好みか」
ぼそりと、半兵衛が呟いた。
だが、恍惚としたかすがの耳には届かなかったようだった。
元就も同じようなことを考えていたが、いつも通りだんまりであった。
多弁な半兵衛、寡黙な元就と、表現は違っても似た者どうしの二人は、そのせいもあってか
お互いに牽制しあっている。
ぼそりと、半兵衛が呟いた。
だが、恍惚としたかすがの耳には届かなかったようだった。
元就も同じようなことを考えていたが、いつも通りだんまりであった。
多弁な半兵衛、寡黙な元就と、表現は違っても似た者どうしの二人は、そのせいもあってか
お互いに牽制しあっている。
「では、わかきひめぎみたち。たのしきはなしなど。たけなかどの、こよいはまたあでやか
な」
な」




