生田緑地(いくたりょくち)は、神奈川県川崎市多摩区枡形・東生田・長尾、および宮前区初山に広がる都市公園(総合公園)で、川崎市内最大の緑地である。計画面積179.3ha(供用面積約117ha)の広大な敷地を有し、多摩丘陵の東端に位置する。
概要
起源は1941年(昭和16年)に川崎市都市計画緑地第1号として指定されたことに遡り、当初は首都防衛のための「防空緑地帯」として山林・農地が強制収用された歴史を持つ。戦後、都市公園法施行に伴い本格的な公園整備が進められ、1964年(昭和39年)から造成工事が開始された。1967年(昭和42年)に日本民家園が開園して以降、伝統工芸館、かわさき宙と緑の科学館(旧川崎市青少年科学館)、岡本太郎美術館、藤子・F・不二雄ミュージアムなどの文化施設が次々と整備され、自然と文化が融合した都市公園として発展した。
2002年(平成14年)に隣接する向ヶ丘遊園が閉園した際、市民の要望によりばら苑が川崎市に移管され「生田緑地ばら苑」として存続、現在も春と秋に一般公開されている。園内はクヌギ・コナラを中心とした雑木林が広がり、多様な動植物が生息する豊かな自然環境を保っている。枡形山(標高84m)の展望台からは多摩川や都心方面を望むことができ、四季折々の風景が楽しめる。中央地区には東口ビジターセンター、しょうぶ園、中央広場、ホタルの里、自然探勝路などが配置され、南地区には川崎国際生田緑地ゴルフ場や初山地区の周遊散策路が、東地区には向ヶ丘遊園跡地のばら苑と藤子・F・不二雄ミュージアムが位置する。生田配水池展望広場とも近接し、周辺の緑地ネットワークを形成している。管理は川崎市が担い、市民参加型の「生田緑地マネジメント会議」やボランティア活動が活発で、生物多様性の保全や持続可能な利用を目指した取り組みが進められている。入園無料で、散策や森林浴、施設見学を通じて市民の憩いの場として親しまれ、多摩丘陵の貴重な自然遺産を体現する川崎市のシンボル的な存在となっている。