チェンジ・ロワイアル@ ウィキ
禁忌の身体
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一つ不愉快な事があれば、二つ三つと連鎖して起こるらしい。
民家にてアルフォンスが開いた名簿を見て不意にそう思った。
民家にてアルフォンスが開いた名簿を見て不意にそう思った。
この出来損ないの体では鞄を開くのもままならなかったが、それを察したであろうアルフォンスが私の鞄を開き、中身を取り出した。
どうやら壊滅的に愚鈍な人間、という訳ではなかったようだ。
鞄を開けるよう仕草で伝えるという、余計な手間を私に取らせなかった点は評価してやっても良い。
どうやら壊滅的に愚鈍な人間、という訳ではなかったようだ。
鞄を開けるよう仕草で伝えるという、余計な手間を私に取らせなかった点は評価してやっても良い。
アルフォンスが私に向けて開いた名簿。
そこには見過ごせない情報が幾つもあった。
そこには見過ごせない情報が幾つもあった。
私の名前が載っているのは当たり前として、やはりと言うべきか鬼殺隊の連中の名もあった。
奴らが参加している可能性は勿論考慮していた。
とはいえ、こうしてその事実を目の当たりにされると、どうしようもなく苛立ちが湧き上がる。
しかもだ、よりにもよって鬼狩り共の頭である産屋敷。
奴がこの地にいるなどふざけているにも程がある。
無駄に隊士を差し向け、ただただ無意味にその命を散らし、それを数百年にも渡って繰り返す異常者の極みのような存在。
それが産屋敷だ。
私が殺し合いにいると知ったなら、嬉々として命を狙いに来るだろう。
最悪の場合、奴が私の体に入っている可能性も無いとは言い切れない。
奴の事だ、きっとこの機会に自分諸共私の体を消滅させるに違いない。
そうなる前に急ぎ体を取り戻すか、最低でも私の体に入っているどこぞの塵屑を確保し、余計な真似をできないようにせねばなるまい。
奴らが参加している可能性は勿論考慮していた。
とはいえ、こうしてその事実を目の当たりにされると、どうしようもなく苛立ちが湧き上がる。
しかもだ、よりにもよって鬼狩り共の頭である産屋敷。
奴がこの地にいるなどふざけているにも程がある。
無駄に隊士を差し向け、ただただ無意味にその命を散らし、それを数百年にも渡って繰り返す異常者の極みのような存在。
それが産屋敷だ。
私が殺し合いにいると知ったなら、嬉々として命を狙いに来るだろう。
最悪の場合、奴が私の体に入っている可能性も無いとは言い切れない。
奴の事だ、きっとこの機会に自分諸共私の体を消滅させるに違いない。
そうなる前に急ぎ体を取り戻すか、最低でも私の体に入っているどこぞの塵屑を確保し、余計な真似をできないようにせねばなるまい。
鬼殺隊の人間は産屋敷のみではない。
産屋敷のような狂人を親のように崇める、これまた救いようの無い隊士。
その中でも特に狂っている柱もまた、殺し合いの参加者として名を載せられていた。
だがその者は猗窩座に殺され、この世にはいないはず。
なのに何故名簿には名がある?
猗窩座が確実にトドメを刺したかも、死体の確認すらマトモに出来ない役立たずの駄犬だったから、そう言い切るのは容易い。
が、真実は違うのだろう。
なにせ名簿に載っている死者の名は炎柱以外にもあるからだ。
産屋敷のような狂人を親のように崇める、これまた救いようの無い隊士。
その中でも特に狂っている柱もまた、殺し合いの参加者として名を載せられていた。
だがその者は猗窩座に殺され、この世にはいないはず。
なのに何故名簿には名がある?
猗窩座が確実にトドメを刺したかも、死体の確認すらマトモに出来ない役立たずの駄犬だったから、そう言い切るのは容易い。
が、真実は違うのだろう。
なにせ名簿に載っている死者の名は炎柱以外にもあるからだ。
累の母親、零余子。
前者は累共々鬼殺隊に斬られ、後者に至っては私が手ずから殺した鬼。
あの二体まで殺し合いにいるというのならば、流石に認めなくてはならないのだろう。
ボンドルド達は死者を蘇生させる力を我が物にしているのだと。
最初に集められた奇妙な空間で見せられた、死人が生き返る光景。
あれはくだらない幻覚などではない、本当に死から蘇ったのだろう。
前者は累共々鬼殺隊に斬られ、後者に至っては私が手ずから殺した鬼。
あの二体まで殺し合いにいるというのならば、流石に認めなくてはならないのだろう。
ボンドルド達は死者を蘇生させる力を我が物にしているのだと。
最初に集められた奇妙な空間で見せられた、死人が生き返る光景。
あれはくだらない幻覚などではない、本当に死から蘇ったのだろう。
死者の蘇生などはこの私の力を以てしても不可能だ。
ならボンドルド達は、非常に不愉快極まりないが、私の想像を超える力を有しているに違いない。
「どんな願いでも叶える」、あの言葉も間抜けな人間をそそのかすつもりで言った戯言ではなく、
真にあらゆる願いを叶えられる自信があるからこその言葉、ということか。
尤も、奴らが馬鹿正直に優勝者の願いを叶えてやるかどうかは疑わしい所だが。
ならボンドルド達は、非常に不愉快極まりないが、私の想像を超える力を有しているに違いない。
「どんな願いでも叶える」、あの言葉も間抜けな人間をそそのかすつもりで言った戯言ではなく、
真にあらゆる願いを叶えられる自信があるからこその言葉、ということか。
尤も、奴らが馬鹿正直に優勝者の願いを叶えてやるかどうかは疑わしい所だが。
(しかし…何故わざわざ蘇生させてまでこいつらを参加させた?)
十二鬼月ですらない、累の家族ごっこに振り回されていた女。
一体全体こいつのどこに参加者としての価値を見出したというのか。
こいつよりならば、まだ累本人を参加させた方がマシだろうに。
零余子にしたってそうだ。
下弦の肆の座を与えてやったというのに今の地位に胡坐をかき、鬼狩り共から逃げ続けた臆病者。
この私の血を与えられていながら、それが如何に栄誉なのかも理解できない塵屑なんぞを参加させて何になる?
現に主である私が耐え難い屈辱を受けているのにも関わらず、あの女共はどこで遊び惚けているのか、一向に私の前に姿を見せないではないか。
何と使えぬ連中だ。あんな女たちを生き返らせてボンドルドは何がしたいのか、理解に苦しむ。
殺し合いを開催する狂人の考えなど分かりたくも無いが。
一体全体こいつのどこに参加者としての価値を見出したというのか。
こいつよりならば、まだ累本人を参加させた方がマシだろうに。
零余子にしたってそうだ。
下弦の肆の座を与えてやったというのに今の地位に胡坐をかき、鬼狩り共から逃げ続けた臆病者。
この私の血を与えられていながら、それが如何に栄誉なのかも理解できない塵屑なんぞを参加させて何になる?
現に主である私が耐え難い屈辱を受けているのにも関わらず、あの女共はどこで遊び惚けているのか、一向に私の前に姿を見せないではないか。
何と使えぬ連中だ。あんな女たちを生き返らせてボンドルドは何がしたいのか、理解に苦しむ。
殺し合いを開催する狂人の考えなど分かりたくも無いが。
(他にいる鬼は童磨か…)
上弦の弐である奴もこの地に招いたというのは分からんでもない。
少なくとも零余子のような腑抜けよりはずっと使い物になる。
例え鬼の肉体でなくなったとしても、私の為に人間どもを皆殺しにするだろう。
しかしだ、あの男を傍に置いておけば苛立ちの原因となるのも事実。
人形染みた空虚な笑みと共に紡がれる言葉の数々は、耳に入れるだけでうんざりする。
それでも、出来損ないの肉体となった私に残された数少ない駒であるのは確か。
あれでも黒死牟に次ぐ実力者なのだから、早々に敗退するような無様は晒さないはず。
少なくとも零余子のような腑抜けよりはずっと使い物になる。
例え鬼の肉体でなくなったとしても、私の為に人間どもを皆殺しにするだろう。
しかしだ、あの男を傍に置いておけば苛立ちの原因となるのも事実。
人形染みた空虚な笑みと共に紡がれる言葉の数々は、耳に入れるだけでうんざりする。
それでも、出来損ないの肉体となった私に残された数少ない駒であるのは確か。
あれでも黒死牟に次ぐ実力者なのだから、早々に敗退するような無様は晒さないはず。
配下の者どもの事へ考えを巡らせている最中、アルフォンスが話しかけて来た。
人語は話せぬが言葉の内容は理解できると見たのか、私の名前を爪で指してくれと言う。
体がマトモなもの且つ、名簿が無かったならば「月彦」と名乗っていたが、生憎と今の肉体は畜生以下の肉塊。
とはいえ名を尋ねられるくらいは予想が付いた事なので、特に躊躇もせず名前を指さした。
当然それは本名ではない。
鬼狩りどもがいる状況で不用意に「鬼舞辻無惨」を名乗る訳にはいかない。
故にここは「産屋敷耀哉」の名を使った。
本名を隠す為とはいえ、よりにもよって異常者の名を騙らねばならんのには不快感で吐き気がする。
そんな私の内心に気付く素振りも見せず、アルフォンスは呑気に礼を言って来た。
人語は話せぬが言葉の内容は理解できると見たのか、私の名前を爪で指してくれと言う。
体がマトモなもの且つ、名簿が無かったならば「月彦」と名乗っていたが、生憎と今の肉体は畜生以下の肉塊。
とはいえ名を尋ねられるくらいは予想が付いた事なので、特に躊躇もせず名前を指さした。
当然それは本名ではない。
鬼狩りどもがいる状況で不用意に「鬼舞辻無惨」を名乗る訳にはいかない。
故にここは「産屋敷耀哉」の名を使った。
本名を隠す為とはいえ、よりにもよって異常者の名を騙らねばならんのには不快感で吐き気がする。
そんな私の内心に気付く素振りも見せず、アルフォンスは呑気に礼を言って来た。
名簿の確認を終えると、次にアルフォンスが開いたのは参加者に与えられた肉体の詳細用紙。
嫌悪感しかない出来損ないの肉体だが、一つくらいは使える力が無いとも言い切れない。
正直全く期待はしていないが、万一の可能性もあるのでアルフォンスと共に紙へ目を通す。
嫌悪感しかない出来損ないの肉体だが、一つくらいは使える力が無いとも言い切れない。
正直全く期待はしていないが、万一の可能性もあるのでアルフォンスと共に紙へ目を通す。
「これって…!?」
詳細用紙に記されていた内容にアルフォンスが驚愕の声を出した。
無理もないことだ。
何せ内容が正しければ、この出来損ないの肉塊はボンドルドによって造られたと言うのだから。
元はミーティという人間の小娘だったらしいが、とある実験の被験者となり、今の姿に変わったらしい。
ミーティの辿った末路を読み進める中で、『アビス』という単語を見つけた。
これは先の放送でボンドルドも口にしていたものだ。
意味は分からないが、ボンドルドを知る上で外す事の出来ない要素ではないかと考える。
奴が所属する組織の名か?
いや、放送でボンドルドは『探掘家』を名乗っていた。
であれば『アビス』というのは奴が活動をする場所、地下空間か何かを差しているのか?
尤もただ穴に入って調査をするだけの人間ではないだろう。
ミーティを人から醜悪な出損ないに造り変え、殺し合いの開催という大それた真似をしている。
それだけの能力と人脈を持った男が関わっているのなら、『アビス』というのもろくなものじゃないだろうよ。
無理もないことだ。
何せ内容が正しければ、この出来損ないの肉塊はボンドルドによって造られたと言うのだから。
元はミーティという人間の小娘だったらしいが、とある実験の被験者となり、今の姿に変わったらしい。
ミーティの辿った末路を読み進める中で、『アビス』という単語を見つけた。
これは先の放送でボンドルドも口にしていたものだ。
意味は分からないが、ボンドルドを知る上で外す事の出来ない要素ではないかと考える。
奴が所属する組織の名か?
いや、放送でボンドルドは『探掘家』を名乗っていた。
であれば『アビス』というのは奴が活動をする場所、地下空間か何かを差しているのか?
尤もただ穴に入って調査をするだけの人間ではないだろう。
ミーティを人から醜悪な出損ないに造り変え、殺し合いの開催という大それた真似をしている。
それだけの能力と人脈を持った男が関わっているのなら、『アビス』というのもろくなものじゃないだろうよ。
とにかくこのミーティがボンドルドと関係した存在というのは理解した。
ならミーティの肉体を詳しく調べれば、ボンドルドに繋がる重要な情報を手に入れる事が出来る。
…と短絡的な参加者ならばそう決めつけるだろうな。
生憎私はその可能性は低いと考えている。
本当に重大な秘密がミーティに隠されているのなら、わざわざ参加者として会場に放り込むような愚行を犯すとは思えない。
ミーティの肉体から得られる情報はボンドルドにとって何の痛手にもならないからこそ、参加者の肉体として私の精神を閉じ込め、
ボンドルド自身の名を記した詳細用紙を配布したのではないのか。
ならミーティの肉体を詳しく調べれば、ボンドルドに繋がる重要な情報を手に入れる事が出来る。
…と短絡的な参加者ならばそう決めつけるだろうな。
生憎私はその可能性は低いと考えている。
本当に重大な秘密がミーティに隠されているのなら、わざわざ参加者として会場に放り込むような愚行を犯すとは思えない。
ミーティの肉体から得られる情報はボンドルドにとって何の痛手にもならないからこそ、参加者の肉体として私の精神を閉じ込め、
ボンドルド自身の名を記した詳細用紙を配布したのではないのか。
「となると…ミーティの参加はボンドルドにとって重要な事じゃない…?」
私と同じ事を考えていたのだろう。
呟かれたアルフォンスの言葉にほんの少しだけ感心する。
成程、頭の回転の速さも悪くはないようだ。
この程度の事にも気付かず嬉々としてミーティの肉体を調べようとする馬鹿なら、その空っぽな頭を突き刺してやりたくなったが、
流石にそこまでどうしようもない能無しでは無いということか。
呟かれたアルフォンスの言葉にほんの少しだけ感心する。
成程、頭の回転の速さも悪くはないようだ。
この程度の事にも気付かず嬉々としてミーティの肉体を調べようとする馬鹿なら、その空っぽな頭を突き刺してやりたくなったが、
流石にそこまでどうしようもない能無しでは無いということか。
ミーティの件は一旦置いておき、支給品の確認に移った。
鞄からアルフォンスが取り出した品々を、説明書と共に一つずつ見やる。
その中に一つ、今の状況を好転させるかもしれないものがあった。
上手くいけば這って移動するしかないこの身体も少しはマシになるだろう。
しかし確実に事が上手くいくかどうかは賭けになる。
ならばまだ使うべき時ではない。
鞄からアルフォンスが取り出した品々を、説明書と共に一つずつ見やる。
その中に一つ、今の状況を好転させるかもしれないものがあった。
上手くいけば這って移動するしかないこの身体も少しはマシになるだろう。
しかし確実に事が上手くいくかどうかは賭けになる。
ならばまだ使うべき時ではない。
鞄の中身を全て確認し終えると、アルフォンスの腹の虫が鳴った。
余程空腹だったのか、気恥ずかしそうに自身の鞄から食料を出し始める。
私の分も出そうとしたが、頭を横に振りその必要は無いと訴える。
今は食事を取りたい気分ではなく、肉体が鬼で無いとはいえ人間と同じ物を口に入れる気になどなれない。
アルフォンスは少しばかり渋ったようだが、しつこく食事を勧める真似はしなかった。
いいからさっさと食って耳障りな腹の虫を何とかすれば良いだろうに。
余程空腹だったのか、気恥ずかしそうに自身の鞄から食料を出し始める。
私の分も出そうとしたが、頭を横に振りその必要は無いと訴える。
今は食事を取りたい気分ではなく、肉体が鬼で無いとはいえ人間と同じ物を口に入れる気になどなれない。
アルフォンスは少しばかり渋ったようだが、しつこく食事を勧める真似はしなかった。
いいからさっさと食って耳障りな腹の虫を何とかすれば良いだろうに。
「じゃあ…いただきます」
遠慮がちにしつつ、食料に口を付けた。
味わうようにゆっくりと咀嚼していたが、急にその動きがピタリと止まる。
徐々に顔を青褪めさせると、アルフォンスは口に含んでいた物を全て吐き出した。
味わうようにゆっくりと咀嚼していたが、急にその動きがピタリと止まる。
徐々に顔を青褪めさせると、アルフォンスは口に含んでいた物を全て吐き出した。
余程口に合わなかったのか?
◆◆◆
今口に含んだばかりのサンドイッチを吐き終えると、アルフォンスは震える手で水を取り出した。
喉にこびりついた汚物を洗い流すかのようにがぶ飲みする。
喉にこびりついた汚物を洗い流すかのようにがぶ飲みする。
久方振りの食事に浮かれていた心は一瞬で消え失せた。
今だけは同行者がどんな気持ちで自分の醜態を見ているかにも、気を回す余裕が無い。
それ程までにアルフォンスの、というより千翼の身体は普通の食事という行為を拒絶していた。
パンの柔らかい触感、トマトとレタスの瑞々しさ、厚切りハムの噛み応え、チーズの濃厚なしょっぱさ。
それら全てが酷く不快だった。
今だけは同行者がどんな気持ちで自分の醜態を見ているかにも、気を回す余裕が無い。
それ程までにアルフォンスの、というより千翼の身体は普通の食事という行為を拒絶していた。
パンの柔らかい触感、トマトとレタスの瑞々しさ、厚切りハムの噛み応え、チーズの濃厚なしょっぱさ。
それら全てが酷く不快だった。
大量の水分を取ったアルフォンスは自身に起きた災難に、ただ困惑する。
サンドイッチ自体におかしな所はない。
むしろ殺し合いという状況でなければ、もっと大喜びで齧りついていた。
なのに吐き出してしまった。
食べかけのサンドイッチを見ると、それだけで胃がムカムカしてくる。
支給された食料に問題が無いのなら、原因は身体の方ということなのか。
サンドイッチ自体におかしな所はない。
むしろ殺し合いという状況でなければ、もっと大喜びで齧りついていた。
なのに吐き出してしまった。
食べかけのサンドイッチを見ると、それだけで胃がムカムカしてくる。
支給された食料に問題が無いのなら、原因は身体の方ということなのか。
何故千翼の身体は食事を受けつけないのだろうか。
プロフィールにはそういった事情は何も書かれていなかった。
だがアルフォンスには一つだけ心当たりがある。
プロフィールにはそういった事情は何も書かれていなかった。
だがアルフォンスには一つだけ心当たりがある。
(アマゾン……)
人喰いの怪物、アマゾン。
その生態についてアルフォンスは詳しい所を全く知らない。
ただ『人を喰う』という部分、そして殺し合いが始まってから絶えず襲い掛かって来た空腹、
それらが一つの推測を打ち立てたではないか。
千翼の正体はアマゾンで、彼は言わば同族狩りをしていたのではないか、と。
確証の無いただの気にし過ぎとして深く考えないようにしていた。
しかし他ならぬ千翼の肉体が、己の考えは真実である可能性が高いと告げてしまった。
何故普通の食事は受け付けない?
答えは至って単純、千翼が人間を主食とする生物だから。
ふと掌を見ると、さっき付いた切り傷がもう塞がっていた。
幾ら小さな傷でもこんな短時間で完治するなど、どう考えたって常識では有り得ない。
これもまた千翼がアマゾンだからなのか。
それを強く否定できるだけの根拠は、アルフォンスには無かった。
その生態についてアルフォンスは詳しい所を全く知らない。
ただ『人を喰う』という部分、そして殺し合いが始まってから絶えず襲い掛かって来た空腹、
それらが一つの推測を打ち立てたではないか。
千翼の正体はアマゾンで、彼は言わば同族狩りをしていたのではないか、と。
確証の無いただの気にし過ぎとして深く考えないようにしていた。
しかし他ならぬ千翼の肉体が、己の考えは真実である可能性が高いと告げてしまった。
何故普通の食事は受け付けない?
答えは至って単純、千翼が人間を主食とする生物だから。
ふと掌を見ると、さっき付いた切り傷がもう塞がっていた。
幾ら小さな傷でもこんな短時間で完治するなど、どう考えたって常識では有り得ない。
これもまた千翼がアマゾンだからなのか。
それを強く否定できるだけの根拠は、アルフォンスには無かった。
(…もし、この空腹が人間を食べたいっていう千翼の訴えなら……)
果たして自分はそれに耐える事が出来るのだろうか。
一刻も早く首輪を外してボンドルド達を倒し、元の体を取り戻す。
言葉にすれば簡単だが、実際の道のりはとても険しい。
もしも、ボンドルド達に辿り着く前に空腹へ負けてしまったら?
その時自分は一体どうなるのだろうか。
一刻も早く首輪を外してボンドルド達を倒し、元の体を取り戻す。
言葉にすれば簡単だが、実際の道のりはとても険しい。
もしも、ボンドルド達に辿り着く前に空腹へ負けてしまったら?
その時自分は一体どうなるのだろうか。
先の見えぬ自分自身への不安に、アルフォンスはブルリと身体を震わせた。
◆◆◆
アルフォンスの様子がおかしい。
水を必死に飲んだかと思えば何かを考え込み、不安そうに己の肉体を見下ろしている。
食事が口に合わなかった、などの間抜けな理由では無いらしい。
奴の様子からして恐らく食料ではなく、肉体の方に何らかの問題があるのだろう。
水を必死に飲んだかと思えば何かを考え込み、不安そうに己の肉体を見下ろしている。
食事が口に合わなかった、などの間抜けな理由では無いらしい。
奴の様子からして恐らく食料ではなく、肉体の方に何らかの問題があるのだろう。
普通の食事を受けつけない肉体。
私にも一つだけ思い当たる節がある。
私にも一つだけ思い当たる節がある。
アルフォンスの精神が入っている肉体は、鬼ではないか?
そう考えれば納得がいく。
人間の血肉を喰らって生きる鬼ならば、人間が普段食べているものを身体が拒否するのも当然の話。
だが私はアルフォンスの肉体である小僧、あのような者を鬼にした覚えは全く無い。
ならばこの小僧は私以外の手の者が生み出した化け物、ということになる。
思い浮かぶのは未だ顔も見せぬ忌々しい男、ボンドルド。
ミーティを出来損ないに変えるような実験をしていたのなら、人造の人喰い生物を生み出す事も可能なのではないだろうか。
そう考えれば納得がいく。
人間の血肉を喰らって生きる鬼ならば、人間が普段食べているものを身体が拒否するのも当然の話。
だが私はアルフォンスの肉体である小僧、あのような者を鬼にした覚えは全く無い。
ならばこの小僧は私以外の手の者が生み出した化け物、ということになる。
思い浮かぶのは未だ顔も見せぬ忌々しい男、ボンドルド。
ミーティを出来損ないに変えるような実験をしていたのなら、人造の人喰い生物を生み出す事も可能なのではないだろうか。
…誰が生み出したにせよ、私にとっては良い展開ではない。
アルフォンスの肉体は腹の虫をしつこく鳴らして空腹を訴えている。
その空腹を満たすには普通の食事ではなく、人間の肉を喰わねばならない。
だったら適当な参加者を見つけてそいつを喰えば良いだけの事だが、そんな簡単に済む話なら私はこうして頭を痛めてはいない。
アルフォンスはほぼ間違いなく人間を喰うのを拒否する。
このお人好しなガキはどれだけ空腹に苛まれようと、決して他の参加者共を己の糧にしようとはしない。
私に言わせればくだらないにも程がある考えだが、こいつが食人を拒否し続ければどうなるかを考えると全く笑えない。
空腹の余りまともな判断もできず、それが私に危害が及ぶ結果に繋がるのではないか。
空腹で我を忘れて私を喰おうと襲い掛かるのではないか。
当初はそれなりに使えると思っていたアルフォンスだが、今やいつ爆発するかも分からない厄介な存在となった。
こんな奴からは迅速に離れるべきなのだろうが、アルフォンスの元を去ったとしても次に出会う参加者が同じように私を保護しようとするとは限らない。
出会い頭に殺される可能性だってあり得る。
アルフォンスの肉体は腹の虫をしつこく鳴らして空腹を訴えている。
その空腹を満たすには普通の食事ではなく、人間の肉を喰わねばならない。
だったら適当な参加者を見つけてそいつを喰えば良いだけの事だが、そんな簡単に済む話なら私はこうして頭を痛めてはいない。
アルフォンスはほぼ間違いなく人間を喰うのを拒否する。
このお人好しなガキはどれだけ空腹に苛まれようと、決して他の参加者共を己の糧にしようとはしない。
私に言わせればくだらないにも程がある考えだが、こいつが食人を拒否し続ければどうなるかを考えると全く笑えない。
空腹の余りまともな判断もできず、それが私に危害が及ぶ結果に繋がるのではないか。
空腹で我を忘れて私を喰おうと襲い掛かるのではないか。
当初はそれなりに使えると思っていたアルフォンスだが、今やいつ爆発するかも分からない厄介な存在となった。
こんな奴からは迅速に離れるべきなのだろうが、アルフォンスの元を去ったとしても次に出会う参加者が同じように私を保護しようとするとは限らない。
出会い頭に殺される可能性だってあり得る。
この問題を解決する術が一つある。
それは私の支給品である、『ネコネコの実』を食べることだ。
悪魔の実という食べれば特殊な力を手に入れられる果実。
説明書き通りの効果を発揮するのなら、獣人とやらに姿を変えられるらしい。
カナヅチになるという弱点こそ出来るものの、まともな移動が可能となり、参加者を皆殺しにできる力を身に着けられる。
真実ならば今の私にとっては何よりも価値のある支給品である。
それは私の支給品である、『ネコネコの実』を食べることだ。
悪魔の実という食べれば特殊な力を手に入れられる果実。
説明書き通りの効果を発揮するのなら、獣人とやらに姿を変えられるらしい。
カナヅチになるという弱点こそ出来るものの、まともな移動が可能となり、参加者を皆殺しにできる力を身に着けられる。
真実ならば今の私にとっては何よりも価値のある支給品である。
しかし、しかしだ。
恐らく悪魔の実は元々人間が食べるからこそ効果を最大限に発揮できるもの。
こんな肉塊がネコネコの実を食べたとして、本当に力を得られるのか疑問が浮かぶ。
もしネコネコの実を食べてもロクに力を使えなかったら、無駄に弱点が一つ増えただけで終わるではないか。
まぁこんな肉体では悪魔の実を食べずとも、泳ぐ事など不可能ではあるのだが。
それに説明書きの記述が全てデタラメだという可能性も否定できない。
ボンドルドのように性根の腐り切った輩ならば、虚偽の説明で無駄にこちらの期待を煽るくらいはするだろう。
とにかく、確実に力を得られる確証もない今の時点でネコネコの実を食べるのは避けたい。
恐らく悪魔の実は元々人間が食べるからこそ効果を最大限に発揮できるもの。
こんな肉塊がネコネコの実を食べたとして、本当に力を得られるのか疑問が浮かぶ。
もしネコネコの実を食べてもロクに力を使えなかったら、無駄に弱点が一つ増えただけで終わるではないか。
まぁこんな肉体では悪魔の実を食べずとも、泳ぐ事など不可能ではあるのだが。
それに説明書きの記述が全てデタラメだという可能性も否定できない。
ボンドルドのように性根の腐り切った輩ならば、虚偽の説明で無駄にこちらの期待を煽るくらいはするだろう。
とにかく、確実に力を得られる確証もない今の時点でネコネコの実を食べるのは避けたい。
アルフォンスも今すぐに空腹で暴走する、という事にはならないだろう。
だが近い内にロクでもない末路になるのは目に見えている。
だが近い内にロクでもない末路になるのは目に見えている。
その瞬間が来る前にどう動くべきか、決めねばなるまい。
◆◆◆
アルフォンスにも無惨にも知らない事があった。
それは千翼の肉体が普通の食事を拒絶した理由である。
それは千翼の肉体が普通の食事を拒絶した理由である。
答えは千翼がアマゾンだから、ではない。
確かにアマゾンは個体によって差はあるが、皆食人衝動を抱えている。
しかし人間と同じ物を食べられないという訳ではない。
レジスターによりアマゾンの本能を抑え、人肉以外のタンパク質を代用エネルギーにする個体だっていた。
確かにアマゾンは個体によって差はあるが、皆食人衝動を抱えている。
しかし人間と同じ物を食べられないという訳ではない。
レジスターによりアマゾンの本能を抑え、人肉以外のタンパク質を代用エネルギーにする個体だっていた。
千翼が人間の食事を受け付けない理由とは、幼少期のトラウマが原因となっている。
幼い千翼は目の前で母親がアマゾンに喰われる瞬間を目撃した。(実際には千翼自身が喰らおうとしたのだが、ここでは割愛する)
それ以来、何かを口に含んで食べようとすると過去の光景が蘇り、結果食事という行為自体に強い嫌悪感を抱いてしまった。
つまりアマゾンの肉体だから食事を受け付けないのではなく、精神的な理由により食事を受け付けないのである。
幼い千翼は目の前で母親がアマゾンに喰われる瞬間を目撃した。(実際には千翼自身が喰らおうとしたのだが、ここでは割愛する)
それ以来、何かを口に含んで食べようとすると過去の光景が蘇り、結果食事という行為自体に強い嫌悪感を抱いてしまった。
つまりアマゾンの肉体だから食事を受け付けないのではなく、精神的な理由により食事を受け付けないのである。
だが現在のアルフォンスの状態と照らし合わせると、実に不可解な話ではないだろうか。
アルフォンスには千翼の肉体のみが与えられ、精神は完全にアルフォンス本人。
にも関わらずアルフォンスは千翼同様、食事を受け付けられなくなった。
今の千翼は千翼本人の精神が入っていない、言わば抜け殻とでも言うべき状態。
それがどうして、あたかも千翼の精神が残っているかのような影響をアルフォンスに与えたのだろうか。
アルフォンスには千翼の肉体のみが与えられ、精神は完全にアルフォンス本人。
にも関わらずアルフォンスは千翼同様、食事を受け付けられなくなった。
今の千翼は千翼本人の精神が入っていない、言わば抜け殻とでも言うべき状態。
それがどうして、あたかも千翼の精神が残っているかのような影響をアルフォンスに与えたのだろうか。
その答えを示す参加者が一人存在する。
名を両面宿儺。ボンドルドによって集められた者の中でも屈指の力を持つ呪いの王。
現在の宿儺はおっここと関織子という少女の肉体に精神を幽閉され、大幅な弱体化を余儀なくされている。
重要なのは宿儺の身にも奇怪な影響が出ているということだ。
おっこもまた千翼と同じく精神が無い、肉体のみの抜け殻である。
だというのに宿儺は「他者を笑顔にする」行動を取りだした。
まるでアルフォンス同様に、おっこの精神が残っているかのような影響を受けて。
名を両面宿儺。ボンドルドによって集められた者の中でも屈指の力を持つ呪いの王。
現在の宿儺はおっここと関織子という少女の肉体に精神を幽閉され、大幅な弱体化を余儀なくされている。
重要なのは宿儺の身にも奇怪な影響が出ているということだ。
おっこもまた千翼と同じく精神が無い、肉体のみの抜け殻である。
だというのに宿儺は「他者を笑顔にする」行動を取りだした。
まるでアルフォンス同様に、おっこの精神が残っているかのような影響を受けて。
これらの奇妙な現象もまた、ボンドルドの想定する所なのか。
それを知る参加者は未だ現れていない。
それを知る参加者は未だ現れていない。
【B-5 村/黎明】
【アルフォンス・エルリック@鋼の錬金術師】
[身体]:千翼@仮面ライダーアマゾンズ
[状態]:空腹感、自分自身への不安
[装備]:ネオアマゾンズレジスター@仮面ライダーアマゾンズ
[道具]:基本支給品、ネオアマゾンズドライバー@仮面ライダーアマゾンズ、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:元の体には戻りたいが、殺し合うつもりはない
1:首輪について調べて、錬金術で分解する
2:ミーティ(無惨)に入った精神の持ち主と、元々の肉体の持ち主であるミーティを元の身体に戻してあげたい。ただし殺し合いに乗っている可能性も考慮し、一応警戒しておく
3:殺し合いに乗っていない人がいたら協力したい
4:バリーを警戒。殺し合いに乗っているなら止める
5:もしこの空腹に耐えられなくなったら…
6:千翼はアマゾン…?
7:一応ミーティの肉体も調べる…?
[備考]
[身体]:千翼@仮面ライダーアマゾンズ
[状態]:空腹感、自分自身への不安
[装備]:ネオアマゾンズレジスター@仮面ライダーアマゾンズ
[道具]:基本支給品、ネオアマゾンズドライバー@仮面ライダーアマゾンズ、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:元の体には戻りたいが、殺し合うつもりはない
1:首輪について調べて、錬金術で分解する
2:ミーティ(無惨)に入った精神の持ち主と、元々の肉体の持ち主であるミーティを元の身体に戻してあげたい。ただし殺し合いに乗っている可能性も考慮し、一応警戒しておく
3:殺し合いに乗っていない人がいたら協力したい
4:バリーを警戒。殺し合いに乗っているなら止める
5:もしこの空腹に耐えられなくなったら…
6:千翼はアマゾン…?
7:一応ミーティの肉体も調べる…?
[備考]
- 参戦時期は少なくともジェルソ、ザンパノ(体をキメラにされた軍人さん)が仲間になって以降です。
- ミーティを合成獣だと思っています。
- 千翼はアマゾンではないのかと強く疑いを抱いています。
- 支給された身体の持ち主のプロフィールにはアマゾンの詳しい生態、千翼の正体に関する情報は書かれていません。
- 千翼同様、通常の食事を取ろうとすると激しい拒否感が現れるようです。
- 無惨の名を「産屋敷耀哉」と思っています。
【鬼舞辻無惨@鬼滅の刃】
[身体]:ミーティ@メイドインアビス
[状態]:成れ果て、強い怒り、激しい屈辱感
[装備]:
[道具]:基本支給品、ネコネコの実@ONE PIECE、ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]基本方針:元の体に戻る。主催は絶対に許さない
1:何とかして自由に動けるようになる
2:今はアルフォンスを利用。だがこのまま一緒にいるのは危険か?
3:ネコネコの実の力が本当ならば食べてみる。が、今すぐ食べる気は無い
4:部下に苛立ち。何故あんな使えない女共を蘇生させた?
[備考]
[身体]:ミーティ@メイドインアビス
[状態]:成れ果て、強い怒り、激しい屈辱感
[装備]:
[道具]:基本支給品、ネコネコの実@ONE PIECE、ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]基本方針:元の体に戻る。主催は絶対に許さない
1:何とかして自由に動けるようになる
2:今はアルフォンスを利用。だがこのまま一緒にいるのは危険か?
3:ネコネコの実の力が本当ならば食べてみる。が、今すぐ食べる気は無い
4:部下に苛立ち。何故あんな使えない女共を蘇生させた?
[備考]
- 参戦時期は産屋敷邸襲撃より前です。
- ミーティの体はナナチの隠れ家に居た頃のものです。
- 精神が成れ果てのミーティの体に入っても、自我は喪失しません。
- 名簿と支給品を確認しました。
- アルフォンスには自身の名を「産屋敷耀哉」だと偽っています。
- アルフォンスの肉体(千翼)を鬼かそれに近い人喰いの化け物だと考えています。
【ネコネコの実@ONE PIECE】
動物系の悪魔の実。モデル豹(レオパルド)。
大柄な人獣へと変身し、鋭利な爪や強靭な尾と足で攻撃する。
動物系の悪魔の実。モデル豹(レオパルド)。
大柄な人獣へと変身し、鋭利な爪や強靭な尾と足で攻撃する。
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05:もがき続けなければ始まらない | アルフォンス・エルリック | 62:羅針盤はずっと闇を指したまま |
鬼舞辻無惨 |