時間を少し遡る。
ウェザードーパントと絵美理が殺し合うエリアを逃げたゲンガー。
禁止エリアに指定された南へ向かう訳にはいかず、西に向けて走り続けた。
もうとっくに戦闘音は聞こえない。
無事逃げれたがゲンガーに喜びは微塵も無く、やり場のない苛立ちだけが燻っていた。
禁止エリアに指定された南へ向かう訳にはいかず、西に向けて走り続けた。
もうとっくに戦闘音は聞こえない。
無事逃げれたがゲンガーに喜びは微塵も無く、やり場のない苛立ちだけが燻っていた。
「…チッ」
ロビンの判断を間違いだったと責める気は無い。
あのままゲンガーが残った所でハルトマンを正気には戻せなかっただろうし、
負傷していたロビンを抱えていては逃げ切れずに揃って殺されていたかもしれない。
ゲンガーだけでも生かそうとする、最善の判断だったとは分かっている。
あのままゲンガーが残った所でハルトマンを正気には戻せなかっただろうし、
負傷していたロビンを抱えていては逃げ切れずに揃って殺されていたかもしれない。
ゲンガーだけでも生かそうとする、最善の判断だったとは分かっている。
だからといって簡単には割り切れない。
長年の友人の様に親しい間柄とまではいかずとも、志を共にする仲間だった。
カイジとロビンの死も、数時間後の定時放送で発表され神楽達が知る事になる。
いや、放送より前に彼らと合流したら、ゲンガーの口から伝えねばならない。
その時を考えると、非常に気が重かった。
長年の友人の様に親しい間柄とまではいかずとも、志を共にする仲間だった。
カイジとロビンの死も、数時間後の定時放送で発表され神楽達が知る事になる。
いや、放送より前に彼らと合流したら、ゲンガーの口から伝えねばならない。
その時を考えると、非常に気が重かった。
「らしくねえなぁ…」
自分はこうも頻繁にセンチな気分になる奴だっただろうか。
イジワルズのリーダーとして、もっと好き勝手にやっていたはず。
だけどバトルロワイアルに巻き込まれる前、サーナイトの一件があってからどうにも他者の死に心を揺り動かされてる。
不甲斐ない自分がただ惨めで、乾いた笑いが漏れる。
イジワルズのリーダーとして、もっと好き勝手にやっていたはず。
だけどバトルロワイアルに巻き込まれる前、サーナイトの一件があってからどうにも他者の死に心を揺り動かされてる。
不甲斐ない自分がただ惨めで、乾いた笑いが漏れる。
「……ん?」
ふと顔を上げると、直ぐ近くに何かの店があった。
ルブラン。確か地図に載っていた喫茶店の名前。
チェンソーの化け物の襲撃さえなければ、探索するはずの施設。
一緒にここへ訪れていただろう二人の仲間がいない事にまたもや憂鬱となる。
ルブラン。確か地図に載っていた喫茶店の名前。
チェンソーの化け物の襲撃さえなければ、探索するはずの施設。
一緒にここへ訪れていただろう二人の仲間がいない事にまたもや憂鬱となる。
(誰かが暴れでもしたのか?)
入り口が破壊され、吹き抜けとなっている。
地図に載っている事から誰かが訪れたのは分かっていたが、何かトラブルでもあったのだろうか。
危険な参加者に襲われでもしたのか、或いは扉の開け方も知らない奴が強引に入ったのか。
どちらにせよ警戒するに越したことは無い。
地図に載っている事から誰かが訪れたのは分かっていたが、何かトラブルでもあったのだろうか。
危険な参加者に襲われでもしたのか、或いは扉の開け方も知らない奴が強引に入ったのか。
どちらにせよ警戒するに越したことは無い。
カイジの遺品となった銃を構え、慎重に足を踏み入れる。
純喫茶とある通り、コーヒー豆の入った瓶が並んでいた。
店内も酷い有様だ。ガラスが錯乱し、椅子やテーブルも幾つか引っ繰り返っている。
こんな場所にいつまでも長居するような奴なんて、果たしているのだろうか。
疑問に思いつつ店内をゆっくりと歩きつつ、カウンター奥を調べる。
何か、食欲をそそるような匂いがした。どうやらコンロに掛けられた鍋かららしい。
中身はカレーだ。
純喫茶とある通り、コーヒー豆の入った瓶が並んでいた。
店内も酷い有様だ。ガラスが錯乱し、椅子やテーブルも幾つか引っ繰り返っている。
こんな場所にいつまでも長居するような奴なんて、果たしているのだろうか。
疑問に思いつつ店内をゆっくりと歩きつつ、カウンター奥を調べる。
何か、食欲をそそるような匂いがした。どうやらコンロに掛けられた鍋かららしい。
中身はカレーだ。
そういやこの地で食事を取った時、一緒にいた少女が食べていたのもカレーだったな。
何て、他愛のない事を一つ思い出す。
何て、他愛のない事を一つ思い出す。
(…ケッ、今はそんなのどうでも良いんだよ)
思った以上に殺し合いで出会った連中の死を引き摺っている自分に悪態を吐く。
一階は荒れているが、他に変わった所は無し。
奥の方に階段があったので、一応二階も調べようと振り向き、
一階は荒れているが、他に変わった所は無し。
奥の方に階段があったので、一応二階も調べようと振り向き、
「おいおい、店主に断りも無く入るのは感心しねぇな」
額に銃を突き付けられた。
「っ!?」
冷たく睨みつける銃口に息を呑む。
こんなに近付かれるまで気配をまるで感じなかった。
これでも気を張っていたつもりだが、心のどこかに緩みがあったのか。
それとも、目の前にいる人物が手練れだからか。
理由はともかく下手な動きはできず、自分に向けて舌打ちする。
こんなに近付かれるまで気配をまるで感じなかった。
これでも気を張っていたつもりだが、心のどこかに緩みがあったのか。
それとも、目の前にいる人物が手練れだからか。
理由はともかく下手な動きはできず、自分に向けて舌打ちする。
銃を向けてくる相手は女だった。
人間で言えば美人に当て嵌まる顔には、どこか冷たい笑みが浮かんでいる。
おかしな真似をしたら撃つ、瞳がそう告げてきているようだった。
マズい状況に冷汗が流れるが、動揺を隠すように口を開く。
人間で言えば美人に当て嵌まる顔には、どこか冷たい笑みが浮かんでいる。
おかしな真似をしたら撃つ、瞳がそう告げてきているようだった。
マズい状況に冷汗が流れるが、動揺を隠すように口を開く。
「ケケッ、店主だったら掃除くらいしろよ。こんなんじゃ客なんて来ないだろ」
「耳が痛いねぇ。まぁ、ここは俺の店じゃあ無いんだがな」
「耳が痛いねぇ。まぁ、ここは俺の店じゃあ無いんだがな」
軽口を叩きながらゲンガーは頭を必死に働かせる。
自分は警戒されており、妙な動きをすれば即座に殺されるだろう。
幽体離脱していない生身の体では、銃弾一発で容易く死に至る
だが女がすぐに自分を殺す気でないのも確か。でなければ、何が起きたか理解する間もなく撃たれていたはず。
だったらどうにかなるかもしれない。
自分は警戒されており、妙な動きをすれば即座に殺されるだろう。
幽体離脱していない生身の体では、銃弾一発で容易く死に至る
だが女がすぐに自分を殺す気でないのも確か。でなければ、何が起きたか理解する間もなく撃たれていたはず。
だったらどうにかなるかもしれない。
「勝手に入ったのは悪かったぜ。けどよ、危ない野郎が中に潜んでるかもしれないんだ。警戒するのは当然だろ?」
「そりゃ確かにな。反対に聞くが、中にいるのが危なくない奴だったらどうしてた?」
「…どうもしねえさ。ただ、隣のエリアにヤバい参加者がいるから警告くらいはしてたかもな」
「へぇ……」
「そりゃ確かにな。反対に聞くが、中にいるのが危なくない奴だったらどうしてた?」
「…どうもしねえさ。ただ、隣のエリアにヤバい参加者がいるから警告くらいはしてたかもな」
「へぇ……」
返された言葉に、女は何かを考え込むような表情を作った。
相変わらず銃は突き付けられたままだが、自分の話には食いついたと見る。
と、女の後ろからギシリと軋むような音が聞こえた。
誰かが階段を下りて来たのだと気付く。
視界が捉えたのは帽子を被った青年。この状況に驚いている様子だ。
相変わらず銃は突き付けられたままだが、自分の話には食いついたと見る。
と、女の後ろからギシリと軋むような音が聞こえた。
誰かが階段を下りて来たのだと気付く。
視界が捉えたのは帽子を被った青年。この状況に驚いている様子だ。
「誰だ?」
「さぁ?まだ名前も聞いちゃいない。…ああ、一番大事なこともな」
「さぁ?まだ名前も聞いちゃいない。…ああ、一番大事なこともな」
帽子の青年の顔を見ないまま返し、ゲンガーへ質問する。
「お前は殺し合いに乗ってるのか?」
「ケケッ!馬鹿言うんじゃねえよ。誰があんな野郎の言う通りにするかってんだ」
「ケケッ!馬鹿言うんじゃねえよ。誰があんな野郎の言う通りにするかってんだ」
吐き捨てるように質問の答えを返す。
そもそもだ、ボンドルドが殺し合いなんて開かなければ木曾達が死ぬ事は無かったのだし、
自分も心をかき乱される事も無かった。
原因を作った主催者の言い成りになるのだけは、どうあっても許容できない。
そもそもだ、ボンドルドが殺し合いなんて開かなければ木曾達が死ぬ事は無かったのだし、
自分も心をかき乱される事も無かった。
原因を作った主催者の言い成りになるのだけは、どうあっても許容できない。
答えを聞いた女は暫し沈黙する。
先に反応したのは帽子の青年の方だった。
先に反応したのは帽子の青年の方だった。
「銃を下ろしてくれ。彼は多分、大丈夫だ」
「…ま、アーマージャックみたいなろくでなしじゃあ無さそうだしな」
「…ま、アーマージャックみたいなろくでなしじゃあ無さそうだしな」
肩を竦めると、女は銃を下ろした。
どうにか命の危機は去ったようだ。
緊張感から解放され安堵のため息が漏れる。
だがゲンガーには、このままのんびり休憩を取るつもりは無い。
相手の雰囲気からして、彼らも殺し合いには乗っていないと察せられる。
どうにか命の危機は去ったようだ。
緊張感から解放され安堵のため息が漏れる。
だがゲンガーには、このままのんびり休憩を取るつもりは無い。
相手の雰囲気からして、彼らも殺し合いには乗っていないと察せられる。
「なぁ、お前らも殺し合いには乗ってないんだよな?」
「乗ってたらお前さんをさっさと撃ってるよ」
「…そうか。なら、頼みがある」
「乗ってたらお前さんをさっさと撃ってるよ」
「…そうか。なら、頼みがある」
二人の顔をしっかりと見据えた後、頭を下げた。
「何でも良い。何か強力な武器があるなら俺に譲ってくれ」
突然の頼みごとに二人は揃って首を傾げる。
その反応は当たり前だ。
どういう事なのかと青年に聞かれ、ゲンガーはこれまでの経緯をかいつまんで説明する。
自分の名はゲンガーと言い仲間が複数いたが、内の一人が奇妙な支給品によって怪物になったこと。
怪物となったせいで暴走し、仲間をも手に掛けたこと。
自分だけはどうにか逃げて来られたが、暴走した仲間は今も隣のエリアで別の怪物と戦闘を行っている。
その反応は当たり前だ。
どういう事なのかと青年に聞かれ、ゲンガーはこれまでの経緯をかいつまんで説明する。
自分の名はゲンガーと言い仲間が複数いたが、内の一人が奇妙な支給品によって怪物になったこと。
怪物となったせいで暴走し、仲間をも手に掛けたこと。
自分だけはどうにか逃げて来られたが、暴走した仲間は今も隣のエリアで別の怪物と戦闘を行っている。
ハルトマンをこのまま放置しておく気は無いが、どうすれば正気に戻せるのかは不明。
それにチェンソーの怪物も決して弱い相手では無いのだ。もしかしたらハルトマンが殺されてしまう可能性も無視できない。
だからゲンガーはチェンソーの怪物をどうにか対処し、尚且つハルトマンを一度気絶させて暴走を無理矢理にでも止めようと考える。
その為にはレンタロウの能力と、今の装備だけでは不十分。
故にこうして強い武器の譲渡を頼み込んでいる。
それにチェンソーの怪物も決して弱い相手では無いのだ。もしかしたらハルトマンが殺されてしまう可能性も無視できない。
だからゲンガーはチェンソーの怪物をどうにか対処し、尚且つハルトマンを一度気絶させて暴走を無理矢理にでも止めようと考える。
その為にはレンタロウの能力と、今の装備だけでは不十分。
故にこうして強い武器の譲渡を頼み込んでいる。
わざわざ武器のみをくれと言うよりも、一緒に付いて来てくれと頼む道だってある。
けれどゲンガーは考える、考えてしまう。
ここに連れて来られてから、自分に関わった者が三人も死んでいる。
もし一緒に来てくれと頼みでもしたら、今度はこの二人まで死んでしまうのではないか?
馬鹿げた妄想かもしれない。木曾達の死はゲンガーに何の責任も無い。
それでも、もしもの事を思うと、同行を頼む事は出来なかった。
氷雪の霊峰に連れて行ってくれと依頼した時のような事は、どうしても口に出来ない。
けれどゲンガーは考える、考えてしまう。
ここに連れて来られてから、自分に関わった者が三人も死んでいる。
もし一緒に来てくれと頼みでもしたら、今度はこの二人まで死んでしまうのではないか?
馬鹿げた妄想かもしれない。木曾達の死はゲンガーに何の責任も無い。
それでも、もしもの事を思うと、同行を頼む事は出来なかった。
氷雪の霊峰に連れて行ってくれと依頼した時のような事は、どうしても口に出来ない。
頭を下げるゲンガーから視線を帽子の青年…蓮に移す。
言葉にせずとも瞳が告げていた。
「彼を助けてやりたい」と。
言葉にせずとも瞳が告げていた。
「彼を助けてやりたい」と。
(お前ならそうすると思ったよ)
エボルトは呆れ笑いを蓮に返す。
この無口なようで、その実お人好しな少年ならそうする事くらいは予想が付く。
またチェンソーの怪物が関わっていて、煉獄の時のように助けられない。
そんな繰り返しをさせない為にも、早く怪物二匹の殺し合いに介入したくてウズウズしているのだろう。
この無口なようで、その実お人好しな少年ならそうする事くらいは予想が付く。
またチェンソーの怪物が関わっていて、煉獄の時のように助けられない。
そんな繰り返しをさせない為にも、早く怪物二匹の殺し合いに介入したくてウズウズしているのだろう。
しょうがねえなと呟き、エボルトは頭を下げ続ける少年に言う。
「なら、俺が一緒に行って、そのお仲間の暴走を何とかしてやるよ」
「はぁ!?」
「はぁ!?」
蓮もゲンガーも何を言ってるんだとエボルトを見やる。
二人分の視線を受けた当の本人は、至って涼しい顔で続けた。
二人分の視線を受けた当の本人は、至って涼しい顔で続けた。
「武器だけ渡した所で確実に上手くいく保証は無い。もしお前が死にでもしたら、あのチェンソー頭の奴か暴走中の奴に武器を奪われるだろ?だったら俺が直接行ってどうにかした方がマシだと思うがね」
「いや、だけどよ…!」
「なに、本当にヤバくなったらさっさと逃げるさ。それに、ウダウダ議論してるほど余裕は無いんじゃねぇのか?」
「うっ……」
「待ってくれ、だったら俺が二人を止めに…」
「ここに居る中で一番負傷が少ないのは俺だ。なら俺が行った方が良いだろ。大体、アイツらはどうする」
「いや、だけどよ…!」
「なに、本当にヤバくなったらさっさと逃げるさ。それに、ウダウダ議論してるほど余裕は無いんじゃねぇのか?」
「うっ……」
「待ってくれ、だったら俺が二人を止めに…」
「ここに居る中で一番負傷が少ないのは俺だ。なら俺が行った方が良いだろ。大体、アイツらはどうする」
反論できずに押し黙る。
確かに、今ルブランにいる者の中ではエボルトが一番負傷していない。
それに屋根裏部屋にはしんのすけとシロがいる。
拘束中とはいえ今のシロをしんのすけと二人きりにさせるのは、流石に抵抗がある。
よって誰か一人はここに残るべきだ。
確かに、今ルブランにいる者の中ではエボルトが一番負傷していない。
それに屋根裏部屋にはしんのすけとシロがいる。
拘束中とはいえ今のシロをしんのすけと二人きりにさせるのは、流石に抵抗がある。
よって誰か一人はここに残るべきだ。
「反論が無いならさっさと行こうぜ?手遅れになっても良いなら別だがな」
自分一人で戻るつもりのゲンガーとしては、納得できない。
だがこう言われてしまえば、提案を受け入れるしかなかった。
口論している場合でないとは理解している。
渋々と言った様子を隠さずに頷く。
だがこう言われてしまえば、提案を受け入れるしかなかった。
口論している場合でないとは理解している。
渋々と言った様子を隠さずに頷く。
「……分かったよ。けど、本気でヤバくなったらお前はさっさと逃げろよ」
「心配ありがとよ」
「心配ありがとよ」
深刻そうなゲンガーに反し、あくまで軽い調子を崩さず外に出る。
エボルトとしては、別に善意でハルトマンの暴走を止めに行くつもりは無い。
上手くハルトマンを正気に戻し、この機会にチェンソーの怪物を始末する。
そうなれば新しい戦力の確保と邪魔な参加者の排除を同時に済ませられ一石二鳥。
仮に暴走を止められなくとも、その時はその時だ。
エボルトとしては、別に善意でハルトマンの暴走を止めに行くつもりは無い。
上手くハルトマンを正気に戻し、この機会にチェンソーの怪物を始末する。
そうなれば新しい戦力の確保と邪魔な参加者の排除を同時に済ませられ一石二鳥。
仮に暴走を止められなくとも、その時はその時だ。
フルボトルを手に取り、先程ゲンガーに付きつけた銃へ装填する。
「蒸血」
――MIST MATCH
――COBRA…C・COBRA…FIRE
――COBRA…C・COBRA…FIRE
手早くブラッドスタークへの変身を済ませる。
とっくに見慣れてしまった蓮はともかく、ゲンガーは少々驚いているようだ
とっくに見慣れてしまった蓮はともかく、ゲンガーは少々驚いているようだ
「うおっ、お前も仮面ライダーとか言うのだったのかよ」
『残念、正解はブラッドスターク!…何で仮面ライダーの事を……まぁいい』
「…いや声まで変わんのかよ」
『残念、正解はブラッドスターク!…何で仮面ライダーの事を……まぁいい』
「…いや声まで変わんのかよ」
詳しい説明は移動中にでも聞けば良いとすぐに切り替える。
徒歩で向かうよりも良い方法がある。
デイパックに手を突っ込み、取り出したのはどう考えても小さな鞄とは不釣り合いの大きさの物体。
バイクであった。
徒歩で向かうよりも良い方法がある。
デイパックに手を突っ込み、取り出したのはどう考えても小さな鞄とは不釣り合いの大きさの物体。
バイクであった。
「それは…?」
『ん?ああ、シロの支給品にあったんだよ。見ての通り二人までしか乗れないから、拠点の移動にゃちょいと不向きだがな』
『ん?ああ、シロの支給品にあったんだよ。見ての通り二人までしか乗れないから、拠点の移動にゃちょいと不向きだがな』
自分と蓮の二人だけならまだしも、しんのすけとシロも含めるならバイクでは無理だ。
いずれは拠点を移す為に、車が欲しい所だと苦笑いする。
だが蓮にはそういった事情よりも、バイクの見た目が興味を引いた。
黒い前部分と、緑の後ろ部分という奇抜なカラーリングが施された機体は、夢で見た光景を思い起こさせる。
左翔太郎とフィリップが変身した、あの戦士の色と同じなのだ。
このバイクも彼らと関係があるのだろうか。そんな疑問を抱く蓮を尻目に、エボルトはバイクに跨り、後ろにゲンガーも乗る。
いずれは拠点を移す為に、車が欲しい所だと苦笑いする。
だが蓮にはそういった事情よりも、バイクの見た目が興味を引いた。
黒い前部分と、緑の後ろ部分という奇抜なカラーリングが施された機体は、夢で見た光景を思い起こさせる。
左翔太郎とフィリップが変身した、あの戦士の色と同じなのだ。
このバイクも彼らと関係があるのだろうか。そんな疑問を抱く蓮を尻目に、エボルトはバイクに跨り、後ろにゲンガーも乗る。
『そんじゃあ行って来る。しんのすけとシロから目を離すなよ』
「ああ、分かってる」
「ああ、分かってる」
アクセルを吹かし、ルブランを離れていく。
胡散臭い男だが、一緒に戦うと共犯関係を受け入れた相手だ。
ゲンガーや彼の仲間共々無事に戻って来ることを願う。
胡散臭い男だが、一緒に戦うと共犯関係を受け入れた相手だ。
ゲンガーや彼の仲間共々無事に戻って来ることを願う。
◆◆◆
『やれやれ、また逃げられちまったか』
そして現在、一目散に飛んで行った絵美理を見送るしか出来ずにボヤく。
煉獄を殺した時にはあんな雲には乗っていなかった。
言動は疑い様も無い狂人だが、考え無しの馬鹿ではない。
むしろ自分の不利をきちんと理解し退く判断は即座に下せる、敵ながら天晴だ。
アーマージャックと言い、ロクな性格をしてない奴に限って力だけはある。
何とも面倒だとブラッドスタークは苦笑いした。
煉獄を殺した時にはあんな雲には乗っていなかった。
言動は疑い様も無い狂人だが、考え無しの馬鹿ではない。
むしろ自分の不利をきちんと理解し退く判断は即座に下せる、敵ながら天晴だ。
アーマージャックと言い、ロクな性格をしてない奴に限って力だけはある。
何とも面倒だとブラッドスタークは苦笑いした。
『さて、そろそろ本来の目的を果たしますかね…とォッ!』
誰に向けるでもなく呟き、直後右腕を跳ね上げる。
狙いは勿論ウェザードーパント。トランスチームガンから高熱硬化弾が発射された。
敵も当然ウェザーマインを振るい迎え撃つ。
僅か一瞬の差、ブラッドスタークの方が速さで勝った。
狙いは勿論ウェザードーパント。トランスチームガンから高熱硬化弾が発射された。
敵も当然ウェザーマインを振るい迎え撃つ。
僅か一瞬の差、ブラッドスタークの方が速さで勝った。
「ギッ!?」
硬化弾はウェザードーパントの右手に命中。
貫通こそしなかったものの、焼けるような痛みが走りウェザーマインから手を離す。
痛みは右手のみで終わってはくれない。
トランスチームガンを連射しながら、ブラッドスタークは敵目掛けて走り出す。
銃弾はウェザードーパントの体を痛めつけ、火花が絶えず散る。
貫通こそしなかったものの、焼けるような痛みが走りウェザーマインから手を離す。
痛みは右手のみで終わってはくれない。
トランスチームガンを連射しながら、ブラッドスタークは敵目掛けて走り出す。
銃弾はウェザードーパントの体を痛めつけ、火花が絶えず散る。
「グガアアアアアアアアアアッ!!」
煩わしい痛みにウェザードーパントの怒りはあっさり頂点に達する。
馬鹿正直に突っ込んでくるブラッドスタークにこれ以上好きにはさせない、そう言うかのように能力を行使した。
ブラッドスタークを囲むように出現する黒い雲。
敵を逃がさず一方的に痛めつける、絵美理にも使った雷雲だ。
中央のブラッドスターク目掛けて赤い雷が迸る。
馬鹿正直に突っ込んでくるブラッドスタークにこれ以上好きにはさせない、そう言うかのように能力を行使した。
ブラッドスタークを囲むように出現する黒い雲。
敵を逃がさず一方的に痛めつける、絵美理にも使った雷雲だ。
中央のブラッドスターク目掛けて赤い雷が迸る。
『聞いてた通りだな、こいつは!』
ブラッドスタークは走るスピードはそのままに、姿勢を低くする。
すると驚く事に、まるで赤い影のように体が変化し地を這うではないか。
当たる筈だった雷は、拘束から抜け出された為に全て外れる。
ウェザードーパントが標的を変更する余裕は無い、己の懐に潜り込んだブラッドスタークが実体化したからだ。
すると驚く事に、まるで赤い影のように体が変化し地を這うではないか。
当たる筈だった雷は、拘束から抜け出された為に全て外れる。
ウェザードーパントが標的を変更する余裕は無い、己の懐に潜り込んだブラッドスタークが実体化したからだ。
「グガアアアッ!?」
至近距離から銃弾を浴びせられる。
自分の体から血のように火花が散るのをむざむざと見せつけられた。
痛みから逃れようと、ウェザードーパントは両腕を広げ竜巻を発生させる。
これにはブラッドスタークも堪らず吹き飛ばされた。
自分の体から血のように火花が散るのをむざむざと見せつけられた。
痛みから逃れようと、ウェザードーパントは両腕を広げ竜巻を発生させる。
これにはブラッドスタークも堪らず吹き飛ばされた。
「ガアアアアアアッ!」
体勢を整える暇など与えない。
手を翳し、ブラッドスタークの周囲にのみ集中豪雨を発生させる。
足元から水が溜まり、身動きが取れなくなった。
このままでは溺死させられる。だというのにブラッドスタークに焦りは無い。
手を翳し、ブラッドスタークの周囲にのみ集中豪雨を発生させる。
足元から水が溜まり、身動きが取れなくなった。
このままでは溺死させられる。だというのにブラッドスタークに焦りは無い。
胸部装甲が光り、エメラルドグリーンの大蛇が現れる。
動きを封じられた主に代わって、ウェザードーパントを噛み砕かんとする。
ウェザードーパントはブラッドスタークへの攻撃を中断し、大蛇へ標的を変更。
頭上に雷雲を発生させ、大蛇目掛けて雷を落とした。
動きを封じられた主に代わって、ウェザードーパントを噛み砕かんとする。
ウェザードーパントはブラッドスタークへの攻撃を中断し、大蛇へ標的を変更。
頭上に雷雲を発生させ、大蛇目掛けて雷を落とした。
――ICE STEAM!
エネルギー体の大蛇が消滅した直後、ウェザードーパントの体が凍り付く。
武器をライフルモードへ変形させた相手に、特殊弾を撃たれたからだ。
今度はウェザードーパントの身動きが封じられる。
両腕から熱を放射し氷を溶かす。
武器をライフルモードへ変形させた相手に、特殊弾を撃たれたからだ。
今度はウェザードーパントの身動きが封じられる。
両腕から熱を放射し氷を溶かす。
反対に凍らせてやろうと冷気を放つ。
これに対しブラッドスタークは再度大蛇を召喚、今度は炎を吐かせて迎撃。
炎がウェザードーパントの体表面を軽く炙り、冷気はブラッドスタークの装甲を僅かに凍らせる。
両名ともに致命傷にはならない。
これに対しブラッドスタークは再度大蛇を召喚、今度は炎を吐かせて迎撃。
炎がウェザードーパントの体表面を軽く炙り、冷気はブラッドスタークの装甲を僅かに凍らせる。
両名ともに致命傷にはならない。
『続きといこうかァ!』
スチームジェネレターにより、各部から蒸気が噴射される。
瞬間的な能力強化がされ、ウェザードーパントへと急接近をした。
トランスチームライフルを振るい、ブレード部分による斬撃がウェザードーパントを傷つける。
ウェザーマインは落とした為に使えない。
なら竜巻を起こして吹き飛ばそうとするが、いざ能力を発動させる時に限ってブラッドスタークは引き金を引くのだ。
至近距離で銃弾が直撃する痛みに、能力の行使が遅れ、そうするとまた斬られる。
更にブラッドスタークは攻撃にトランスチームライフルのみならず、蹴りも行っていた。
単なる物理攻撃ではない。
足先に搭載された機能を使い、麻痺毒を含んだ蒸気を纏わせ蹴りを放つ。
これによりウェザードーパントは一方的に体力をじわじわと削られる羽目になっている。
瞬間的な能力強化がされ、ウェザードーパントへと急接近をした。
トランスチームライフルを振るい、ブレード部分による斬撃がウェザードーパントを傷つける。
ウェザーマインは落とした為に使えない。
なら竜巻を起こして吹き飛ばそうとするが、いざ能力を発動させる時に限ってブラッドスタークは引き金を引くのだ。
至近距離で銃弾が直撃する痛みに、能力の行使が遅れ、そうするとまた斬られる。
更にブラッドスタークは攻撃にトランスチームライフルのみならず、蹴りも行っていた。
単なる物理攻撃ではない。
足先に搭載された機能を使い、麻痺毒を含んだ蒸気を纏わせ蹴りを放つ。
これによりウェザードーパントは一方的に体力をじわじわと削られる羽目になっている。
「ガ、ガ…ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」
絶えず襲い来る痛みを振り払うべく、ウェザードーパントはデタラメに腕を振り回す。
掌からは虹色の光線が発射され、手当たり次第に周囲の建造物が破壊されていく。
狙いも何も付けない、子どもの癇癪のような攻撃だ。
だからこそ余計に読み辛い。このまま攻撃を続けていては手痛い一撃を受けてもおかしくはない。
地面を蹴り、ブラッドスタークは後方へと大きく跳ぶ。
掌からは虹色の光線が発射され、手当たり次第に周囲の建造物が破壊されていく。
狙いも何も付けない、子どもの癇癪のような攻撃だ。
だからこそ余計に読み辛い。このまま攻撃を続けていては手痛い一撃を受けてもおかしくはない。
地面を蹴り、ブラッドスタークは後方へと大きく跳ぶ。
「グゥウウウウウウウウ…!」
距離を取られたウェザードーパントは雷雲を作り出す。
但し今度はブラッドスタークの周囲では無く、頭上にだ。
赤い光が黒い雲を駆け巡り、真下の獲物を焼き殺す出番を今か今かと待ちわびていた。
さながら神をも恐れぬ罪人へ裁きを下すかの如く、無数の雷を落とそうと腕を振るい、
但し今度はブラッドスタークの周囲では無く、頭上にだ。
赤い光が黒い雲を駆け巡り、真下の獲物を焼き殺す出番を今か今かと待ちわびていた。
さながら神をも恐れぬ罪人へ裁きを下すかの如く、無数の雷を落とそうと腕を振るい、
「ケケッ!またまた邪魔させてもらうぜ!」
背後から何者かに斬られた。
「ギッ!?」
痛みは無いが、不意打ちに意識が持って行かれる。
振り返ればそこには、ゆらゆらと靄のような肉体の少年の姿。
幽体離脱を行ったゲンガーだ。
振り返ればそこには、ゆらゆらと靄のような肉体の少年の姿。
幽体離脱を行ったゲンガーだ。
「ハルトマン、もういい加減に止まっとけ!」
両手で握り締めた刀を我武者羅に振るう。
ドーパントの肉体に効果はほとんど期待出来ないが、それで良い。
目的は倒す事では無く、自分に意識を向けさせる事。
隙さえ作れたなら、後はもう一人の出番だ。
ドーパントの肉体に効果はほとんど期待出来ないが、それで良い。
目的は倒す事では無く、自分に意識を向けさせる事。
隙さえ作れたなら、後はもう一人の出番だ。
――COBRA!STEAM SHOT!COBRA!
電子音声によりウェザードーパントが再度ブラッドスタークを見る。
その時にはもう、眼前で巨大な蛇が大口を開いていた。
蛇を模したエネルギー弾がウェザードーパントを飲み込む。
ゲンガーへの巻き添えは気にしていない。
幽体故に心配は一切無用と予め伝えておいた。
その時にはもう、眼前で巨大な蛇が大口を開いていた。
蛇を模したエネルギー弾がウェザードーパントを飲み込む。
ゲンガーへの巻き添えは気にしていない。
幽体故に心配は一切無用と予め伝えておいた。
「ガギャアアアアアアアアアアッ!!」
これまで以上のダメージに、とうとう膝を付く。
だがまだ終わらない。破壊衝動は消え去ってはいない。
だがまだ終わらない。破壊衝動は消え去ってはいない。
「ガァァァ……!!」
ブラッドスタークもゲンガーも、目に映る全てを消し去る。
両腕に冷気を纏い、全方向に射出して、それでやっと自分を傷つける者はいなくなるのだと顔を上げ、
両腕に冷気を纏い、全方向に射出して、それでやっと自分を傷つける者はいなくなるのだと顔を上げ、
『悪いが、もう終わりにしたいんでね』
――STEAM BREAK!COBRA!
衝撃が体中に襲い掛かり、今度こそウェザードーパントの意識はプッツリと切れた。
○
悲鳴も出さずに倒れた瞬間、ハルトマンの首から何かが排出されるのをゲンガーは見た。
中央にWの文字が記された、白いメモリ。
カイジが使おうとして、何故かハルトマンの体内に挿入された機械だ。
中央にWの文字が記された、白いメモリ。
カイジが使おうとして、何故かハルトマンの体内に挿入された機械だ。
メモリを拾い、傍に倒れたハルトマンと見比べる。
そこには猛威を振るった怪物の姿は無く、ボロボロで身じろぎ一つしない青年がいるだけだ。
近付き確かめると、胸が上下し呼吸しているのが分かる。気絶しているだけらしく、安堵の吐息を漏らした。
そこには猛威を振るった怪物の姿は無く、ボロボロで身じろぎ一つしない青年がいるだけだ。
近付き確かめると、胸が上下し呼吸しているのが分かる。気絶しているだけらしく、安堵の吐息を漏らした。
「こいつのせいで……」
手に持ったメモリを憎々し気に見る。
これのせいでハルトマンは暴走し、カイジとロビンも死んだ。
強力な支給品には違いないが、ゲンガーにとっては忌むべき代物である。
これのせいでハルトマンは暴走し、カイジとロビンも死んだ。
強力な支給品には違いないが、ゲンガーにとっては忌むべき代物である。
「チッ!」
ゴミでも扱うかのように地面へ叩きつけると、刀の切っ先を振り下ろす。
ちょうど真ん中の部分、Wの箇所に突き刺さり二つに割れた。
外部に晒された部品がバチバチと火花を散らし、それもすぐに収まりただのガラクタと化した。
ちょうど真ん中の部分、Wの箇所に突き刺さり二つに割れた。
外部に晒された部品がバチバチと火花を散らし、それもすぐに収まりただのガラクタと化した。
『壊しちまったのか?勿体ない…』
やれやれと首を振るブラッドスタークへ、嫌そうに目を向ける。
確かに使い方次第では立派な武器になるだろう。
カイジが自分達に存在を隠し、密かに持っていたのも分からんでもない。
それでも、こんな暴走の危険がある機械など無い方が良いに決まっている。
少なくともゲンガーはそう思った。
確かに使い方次第では立派な武器になるだろう。
カイジが自分達に存在を隠し、密かに持っていたのも分からんでもない。
それでも、こんな暴走の危険がある機械など無い方が良いに決まっている。
少なくともゲンガーはそう思った。
「…まぁ、そのよ。ありがとな。お陰でハルトマンを正気に戻せた」
『良いさ。俺も確実に戻せるかどうかは賭けだったしなぁ』
『良いさ。俺も確実に戻せるかどうかは賭けだったしなぁ』
エボルトが提示した、ハルトマンを正気に戻す方法。
それは実にシンプルな、戦闘不能になるくらいのダメージを与えるというものだった。
余りにも脳筋過ぎる策と思われるかもしれないが、理由がってのことだ。
人から怪物に変化する、それはエボルトの良く知るスマッシュと同じだ。
スマッシュを人間に戻すには、体内の成分を抽出しなくてはならず、ハルトマンが変身したドーパントを解除させるにはWやアクセルなどの仮面ライダーのマキシマムドライブを当てガイアメモリを破壊する必要がある。
ここで注目すべきは、スマッシュもドーパントも元は人間ということだ。
どれだけ強力な異能の怪物になろうと、素体となったのが人間である以上は体力にも当然限界がある。
であるならば、耐えられる限界以上のダメージを与えられたなら幾ら怪物だろうと戦闘続行は不可能となる。
そう睨んでひたすら痛めつけたが、結果は成功だった。
仮にダメージを与えすぎて死んでしまっても、あのまま暴走を続けるよりはマシと適当に言いくるめるつもりであったが、わざわざ教える必要は無い。
それは実にシンプルな、戦闘不能になるくらいのダメージを与えるというものだった。
余りにも脳筋過ぎる策と思われるかもしれないが、理由がってのことだ。
人から怪物に変化する、それはエボルトの良く知るスマッシュと同じだ。
スマッシュを人間に戻すには、体内の成分を抽出しなくてはならず、ハルトマンが変身したドーパントを解除させるにはWやアクセルなどの仮面ライダーのマキシマムドライブを当てガイアメモリを破壊する必要がある。
ここで注目すべきは、スマッシュもドーパントも元は人間ということだ。
どれだけ強力な異能の怪物になろうと、素体となったのが人間である以上は体力にも当然限界がある。
であるならば、耐えられる限界以上のダメージを与えられたなら幾ら怪物だろうと戦闘続行は不可能となる。
そう睨んでひたすら痛めつけたが、結果は成功だった。
仮にダメージを与えすぎて死んでしまっても、あのまま暴走を続けるよりはマシと適当に言いくるめるつもりであったが、わざわざ教える必要は無い。
(こいつが絶好調だったなら、もっと手間取ったかもしれねぇがな)
エボルトがウェザードーパント相手に有利に立ち回れた理由。
一つは移動中にゲンガーから情報を得ていたこと。
初見であれば多彩な天候操作の対処に梃子摺ったかもしれないが、大体どういった能力を使うのはゲンガーに聞いておいたお陰で即座に対処が可能となった。
一つは移動中にゲンガーから情報を得ていたこと。
初見であれば多彩な天候操作の対処に梃子摺ったかもしれないが、大体どういった能力を使うのはゲンガーに聞いておいたお陰で即座に対処が可能となった。
二つ目は互いのコンディションの差だ。
ウェザードーパントのスペックは確かに高いが、変身者であるハルトマンは絵美理との戦闘で少なくない傷を負い、疲労も蓄積していた。
そこへ加えて、エボルトが到着するまでに繰り広げられた戦闘による疲れも加算された。
対してエボルトは定時放送前の連戦による疲労こそ完全には抜け切っていないが、ほぼノーダメージ。
ハルトマンに比べると余裕を持って戦えたという事になる。
ウェザードーパントのスペックは確かに高いが、変身者であるハルトマンは絵美理との戦闘で少なくない傷を負い、疲労も蓄積していた。
そこへ加えて、エボルトが到着するまでに繰り広げられた戦闘による疲れも加算された。
対してエボルトは定時放送前の連戦による疲労こそ完全には抜け切っていないが、ほぼノーダメージ。
ハルトマンに比べると余裕を持って戦えたという事になる。
とにかくこれで一件落着。
後はさっさとルブランに戻るだけだが、バイクに乗れるのは二人まで。
先に気絶したハルトマンを運び、それまでゲンガーには待っていて貰うしかなさそうだ。
後はさっさとルブランに戻るだけだが、バイクに乗れるのは二人まで。
先に気絶したハルトマンを運び、それまでゲンガーには待っていて貰うしかなさそうだ。
自分がいない間に余計な問題が起きていなければ良いが。
そう思いながら来た道を振り返る。
そう思いながら来た道を振り返る。
『……ん?』
ずっと遠くの方に、何かが見えた。
気のせいか?いや確かに何かを見た筈だ。
トランスチームライフルを構え、スコープを覗く。
倍率を最大にまで上げ細かく観察すると、やはり何か、赤いモノが見えた。
気のせいか?いや確かに何かを見た筈だ。
トランスチームライフルを構え、スコープを覗く。
倍率を最大にまで上げ細かく観察すると、やはり何か、赤いモノが見えた。
『……何でこう面倒ばっかり舞い込むのかねぇ』
悪い事に、アレは恐らくルブランがある方向だ。
余計な問題が起きていなければと思った矢先にこれとは、エボルトと言えど頭が痛くなってくる。
かといってここでのんびり眺めている訳にもいかない。
貴重な戦力を失うのも困るので、早急に戻らねば。
余計な問題が起きていなければと思った矢先にこれとは、エボルトと言えど頭が痛くなってくる。
かといってここでのんびり眺めている訳にもいかない。
貴重な戦力を失うのも困るので、早急に戻らねば。
『ゲンガー、ちょいと向こうで問題発生だ。俺は急いで戻らなけりゃならくなったから、お前はどっかに隠れててくれ』
「あん?…ハルトマンを休ませたいから別に良いけどよ、大丈夫なのか?」
『大丈夫だと願いたいね。そいつが起きたらコレでも食わせとけ』
「あん?…ハルトマンを休ませたいから別に良いけどよ、大丈夫なのか?」
『大丈夫だと願いたいね。そいつが起きたらコレでも食わせとけ』
ピーチグミを一つ取り出し、ゲンガーに放る。
まじまじと見つめるゲンガーには構わず、バイクに跨り急発進した。
まじまじと見つめるゲンガーには構わず、バイクに跨り急発進した。
「何だか分かんねえが、無事でいろよ…」
あっという間に走り去ったエボルトを見送ると、ハルトマンを担いでその場を離れる。
派手に戦った音を聞きつけて、危険な参加者が集まって来るかもしれない。
このまま外にいては危険だ。
取り敢えず近くの建物に移動し、ハルトマンをベッドかソファーにでも寝かせてやりたい。
派手に戦った音を聞きつけて、危険な参加者が集まって来るかもしれない。
このまま外にいては危険だ。
取り敢えず近くの建物に移動し、ハルトマンをベッドかソファーにでも寝かせてやりたい。
今は自分が彼女を守ってやらねばと、気を引き締め早足で戦いの跡が残る場を後にした。
結果だけ見れば、ハルトマンのドーパント化は解除され、ウェザーメモリも破壊された。
良いか悪いかで言えば前者だろう。
良いか悪いかで言えば前者だろう。
しかしハルトマンにとって本当に良い結果と言えるのだろうか。
カイジを殺しロビンを痛めつけたが、それらは彼女の意思ではない。
全てはガイアメモリが引き起こした事だ。
元々メモリを持っていたカイジとて、ここまでの惨事になると分かっていたらメモリを使おうなどとは考えなかったはず。
誰が悪いかで言えば、ハルトマンでもカイジでもなく、殺し合いの主催者達に決まっている。
全てはガイアメモリが引き起こした事だ。
元々メモリを持っていたカイジとて、ここまでの惨事になると分かっていたらメモリを使おうなどとは考えなかったはず。
誰が悪いかで言えば、ハルトマンでもカイジでもなく、殺し合いの主催者達に決まっている。
だがそれでも、ハルトマンが仲間を死に追いやったという事実は消えない。
神楽や康一、ゲンガーが許したとしてもハルトマン自身が己の行いを赦せるとは限らない。
神楽や康一、ゲンガーが許したとしてもハルトマン自身が己の行いを赦せるとは限らない。
仲間に背負われ、魔女は眠り続ける。
目を覚ましたその時、彼女を待ち受けるのは自らが犯した罪という逃れようのない絶望だ。
目を覚ましたその時、彼女を待ち受けるのは自らが犯した罪という逃れようのない絶望だ。
【D-7 街/午前】
【ゲンガー@ポケットモンスター赤の救助隊/青の救助隊】
[身体]:鶴見川レンタロウ@無能なナナ
[状態]:人の身体による不慣れ、高揚している、疲労(大)、精神疲労(大)、自分への強い苛立ち、手にダメージ
[装備]:八命切@グランブルーファンタジー、シグザウアーP226@現実、ピーチグミ@テイルズオブディスティニー
[道具]:基本支給品×3、近江彼方の枕@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、タケコプター@ドラえもん、サイコロ六つ@現実、肉体側の名簿リスト@オリジナル
[思考・状況]基本方針:イジワルズ特別サービス、主催者に意地悪…いや、邪魔してやる。
1:ハルトマンを連れ、どこかの建物に避難する。
2:イジワルズ改めジャマモノズとして活動する。
3:ピカチュウとメタモンには用心しておく。(いい奴だといいが)
4:木曾のメモのこと、覚えておかないとな。
5:こいつらを見るとアイツ等を思い出すな…(主人公とそのパートナー達の事です)
6:何でオレが付けた団名嫌がるやつ多いんだ?
7:カイジのやつ、何でメタモンの事を聞いて来た?
[備考]
※参戦時時期はサーナイト救出後です。一応DX版でも可。(殆ど差異はないけど)
※久しぶりの人の身体なので他の人以上に身体が慣れていません。
代わりに幽体離脱の状態はかなり慣れた動きができます(戦闘能力に直結するかは別)。
幽体離脱で離れられる射程は大きくても1エリア以内までです。
※木曾から『ボンドルドが優勝を目的にしてない説』を紙媒体で伝えられてます。
(この都合盗聴の可能性も察してます)
[身体]:鶴見川レンタロウ@無能なナナ
[状態]:人の身体による不慣れ、高揚している、疲労(大)、精神疲労(大)、自分への強い苛立ち、手にダメージ
[装備]:八命切@グランブルーファンタジー、シグザウアーP226@現実、ピーチグミ@テイルズオブディスティニー
[道具]:基本支給品×3、近江彼方の枕@ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、タケコプター@ドラえもん、サイコロ六つ@現実、肉体側の名簿リスト@オリジナル
[思考・状況]基本方針:イジワルズ特別サービス、主催者に意地悪…いや、邪魔してやる。
1:ハルトマンを連れ、どこかの建物に避難する。
2:イジワルズ改めジャマモノズとして活動する。
3:ピカチュウとメタモンには用心しておく。(いい奴だといいが)
4:木曾のメモのこと、覚えておかないとな。
5:こいつらを見るとアイツ等を思い出すな…(主人公とそのパートナー達の事です)
6:何でオレが付けた団名嫌がるやつ多いんだ?
7:カイジのやつ、何でメタモンの事を聞いて来た?
[備考]
※参戦時時期はサーナイト救出後です。一応DX版でも可。(殆ど差異はないけど)
※久しぶりの人の身体なので他の人以上に身体が慣れていません。
代わりに幽体離脱の状態はかなり慣れた動きができます(戦闘能力に直結するかは別)。
幽体離脱で離れられる射程は大きくても1エリア以内までです。
※木曾から『ボンドルドが優勝を目的にしてない説』を紙媒体で伝えられてます。
(この都合盗聴の可能性も察してます)
【エーリカ・ハルトマン@ストライクウィッチーズシリーズ】
[身体]:操真晴人@仮面ライダーウィザード
[状態]:ダメージ(極大)、胸部にダメージ(大)、疲労(極大)、気絶
[装備]:ウィザードライバー&ドライバーオンウィザードリング&ハリケーンウィザードリング+サンダーウィザードリング@仮面ライダーウィザード
[道具]:基本支給品、
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない
0:……
1:この仮面ライダーの力で二人はわたしが守るよ!!
2:元の世界に戻れても、ネウロイに落とされたあの場所に逆戻りする羽目になる気がする…。それなら首輪を外す方法探しながら、脱出手段を見つけちゃえばいいよね!
3:トゥルーデの身体が…!!悪用されてないことを信じるしかないよね?
4:他の良い参加者と会えて色々話せて良かった!!色々話し合えたし、運が良かったかも
5:もし操真やトゥルーデ、そして今いる仲間の仲間が殺されてたら…わたしは主催を許さない。
[備考]
※参戦時期は「RtB」ことストライクウィッチーズ ROAD to BERLINの6話「復讐の猟犬」にてネウロイに撃墜された後からです。
※作中にて舞台になっている年代が1945年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。
※晴人のアンダーワールドに巣食うウィザードラゴンの意識は封じられてはいませんが、ハルトマンとコミュニケーションを行う事は基本的に出来ません。
※操真晴人の肉体の参戦時期は「仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー」以降です。また経歴の記述については、正史(確定してるのはウィザード本編、MOVIE大戦アルティメイタム、戦国MOVIE大合戦のウィザードパート、小説 仮面ライダーウィザード)以外の作品にも触れられているようですが、具体的にどうなっているかは後続にお任せします。
※T2ウェザーメモリに適合しました。が、本人の意思とは無関係に変身した為、暴走しました。
※暴走中の事を覚えているかは不明です。
[身体]:操真晴人@仮面ライダーウィザード
[状態]:ダメージ(極大)、胸部にダメージ(大)、疲労(極大)、気絶
[装備]:ウィザードライバー&ドライバーオンウィザードリング&ハリケーンウィザードリング+サンダーウィザードリング@仮面ライダーウィザード
[道具]:基本支給品、
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない
0:……
1:この仮面ライダーの力で二人はわたしが守るよ!!
2:元の世界に戻れても、ネウロイに落とされたあの場所に逆戻りする羽目になる気がする…。それなら首輪を外す方法探しながら、脱出手段を見つけちゃえばいいよね!
3:トゥルーデの身体が…!!悪用されてないことを信じるしかないよね?
4:他の良い参加者と会えて色々話せて良かった!!色々話し合えたし、運が良かったかも
5:もし操真やトゥルーデ、そして今いる仲間の仲間が殺されてたら…わたしは主催を許さない。
[備考]
※参戦時期は「RtB」ことストライクウィッチーズ ROAD to BERLINの6話「復讐の猟犬」にてネウロイに撃墜された後からです。
※作中にて舞台になっている年代が1945年な為、それ以降に出来た物についての知識は原則ありません。
※晴人のアンダーワールドに巣食うウィザードラゴンの意識は封じられてはいませんが、ハルトマンとコミュニケーションを行う事は基本的に出来ません。
※操真晴人の肉体の参戦時期は「仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー」以降です。また経歴の記述については、正史(確定してるのはウィザード本編、MOVIE大戦アルティメイタム、戦国MOVIE大合戦のウィザードパート、小説 仮面ライダーウィザード)以外の作品にも触れられているようですが、具体的にどうなっているかは後続にお任せします。
※T2ウェザーメモリに適合しました。が、本人の意思とは無関係に変身した為、暴走しました。
※暴走中の事を覚えているかは不明です。
※T2ウェザーメモリ@仮面ライダーWは破壊されました。