◆
想定外だった。
ミチルの仲間らしき男が連れていた内の一人、まさかそいつが本物の檀黎斗だったとは誤算でしかない。
案の定自分へ警戒の眼差しを向けた姿に、メタモンは彼女の殺害を決断した。
ミチルの仲間らしき男が連れていた内の一人、まさかそいつが本物の檀黎斗だったとは誤算でしかない。
案の定自分へ警戒の眼差しを向けた姿に、メタモンは彼女の殺害を決断した。
自分こそが本物の檀黎斗だと嘘を貫く手もあったが、言った所で向こうが信じる可能性はゼロに等しい。
もっと前からミチルの前で善良な参加者を装い信頼関係を築いていたならまだしも、手短に自己紹介を済ませた程度の間柄だ。
それに本物の黎斗を連れて来た蓮という帽子の男、彼はミチルから相当信頼されているのが戦場に現れた際の反応で見て取れる。
加えてミチルだけでなく、ゲンガーも蓮達の参戦には安堵の笑みを浮かべていた。
どれだけ必死に嘘を吐いてもミチル達は間違いなく蓮と、蓮が共に行動していた本物の黎斗の味方をするのは確実。
もっと前からミチルの前で善良な参加者を装い信頼関係を築いていたならまだしも、手短に自己紹介を済ませた程度の間柄だ。
それに本物の黎斗を連れて来た蓮という帽子の男、彼はミチルから相当信頼されているのが戦場に現れた際の反応で見て取れる。
加えてミチルだけでなく、ゲンガーも蓮達の参戦には安堵の笑みを浮かべていた。
どれだけ必死に嘘を吐いてもミチル達は間違いなく蓮と、蓮が共に行動していた本物の黎斗の味方をするのは確実。
だから決めたのだ。
温存していたクロックアップを使い、抵抗する暇も与えずにミチルを殺す事を。
この手で殺したいゲンガーは幽体となり物理攻撃は効果が無い。
仮面ライダーに変身中の黎斗はクロックアップを使っても一撃で殺せるかは微妙。
豹のような参加者も殺せはするが、へんしんする姿は人間の方が後々使える。
標的に選ばれたミチルはメタモンへの反応が遅れ、クロックアップの使用を許してしまった。
温存していたクロックアップを使い、抵抗する暇も与えずにミチルを殺す事を。
この手で殺したいゲンガーは幽体となり物理攻撃は効果が無い。
仮面ライダーに変身中の黎斗はクロックアップを使っても一撃で殺せるかは微妙。
豹のような参加者も殺せはするが、へんしんする姿は人間の方が後々使える。
標的に選ばれたミチルはメタモンへの反応が遅れ、クロックアップの使用を許してしまった。
カギ爪をミチルの胸から引き抜き、血が付着したままのソレを今度はベルデに振るう。
エナジーアイテムを使ったかのような高速移動と、あっという間に殺害された学ランの少年。
二重の衝撃に硬直から解かれた時には既に、カギ爪はベルデを切り裂いた後だった。
血しぶきのように散らされる火花、よろけたベルデを蹴り飛ばし更に距離を離す。
エナジーアイテムを使ったかのような高速移動と、あっという間に殺害された学ランの少年。
二重の衝撃に硬直から解かれた時には既に、カギ爪はベルデを切り裂いた後だった。
血しぶきのように散らされる火花、よろけたベルデを蹴り飛ばし更に距離を離す。
ゲンガーを殺せず、変身する道具を奪えなかったのは名残惜しい。
しかしクロックアップが無制限に使えるならまだしも、制限がある状態で乱戦に臨むのは利口とは言えない。
放送前の戦いのような、いらないポケモンと捨てられるような無能には成り下がりたくなかった。
一人殺せたので良しと自分を納得させ、ここは早々に退き上げるに限る。
スコルピオワームの変身を解除、すかさず懐から取り出したのはアナザーカブトウォッチ。
アナザーカブトのクロックアップは変身後すぐに使える為、逃走にはもってこいだ。
しかしクロックアップが無制限に使えるならまだしも、制限がある状態で乱戦に臨むのは利口とは言えない。
放送前の戦いのような、いらないポケモンと捨てられるような無能には成り下がりたくなかった。
一人殺せたので良しと自分を納得させ、ここは早々に退き上げるに限る。
スコルピオワームの変身を解除、すかさず懐から取り出したのはアナザーカブトウォッチ。
アナザーカブトのクロックアップは変身後すぐに使える為、逃走にはもってこいだ。
『カブトォ…』
「へんしん!」
アナザーウォッチを体内に埋め込み、仮面ライダーカブトを歪めた怪人へと変わる。
後はクロックアップを使えば良いだけ、ワームに変身した時と同じ感覚で発動が可能。
後はクロックアップを使えば良いだけ、ワームに変身した時と同じ感覚で発動が可能。
既に頭は逃走一択となっているメタモンは戦場の変化に見向きもしない。
自分が今殺した少女の事すら、へんしんする姿が一つ増えた程度にしか見ていない。
自分が今殺した少女の事すら、へんしんする姿が一つ増えた程度にしか見ていない。
「ペルソナァッ!!!!!」
そんなメタモンを、決して許しも逃しもしない男が一人。
偽りの太陽を滅ぼすべく、断罪の光が異形の肉体を貫いた。
偽りの太陽を滅ぼすべく、断罪の光が異形の肉体を貫いた。
○
ミチルが殺された。
共にアーマージャックを倒し、シロの死に深い悲しみを見せていた少女。
推定殺害人数なんて物騒な記述を見つけたもしたが、冤罪に違いないと信じられるくらいには優しい人間だった。
だというのに、どうしてミチルは殺されなければならない。
仲間の死は余りにも突然で、理不尽だ。
共にアーマージャックを倒し、シロの死に深い悲しみを見せていた少女。
推定殺害人数なんて物騒な記述を見つけたもしたが、冤罪に違いないと信じられるくらいには優しい人間だった。
だというのに、どうしてミチルは殺されなければならない。
仲間の死は余りにも突然で、理不尽だ。
雨宮蓮の周りはいつだって理不尽に満ち溢れていた。
バレー部への暴力で高巻杏の親友を自殺未遂に追い詰めた鴨志田。
贋作の商売に目を眩ませ喜多川祐介のサユリへの想いを踏み躙った斑目。
他者をATMとしか見なさない傲慢さで新島真の正義感を嘲笑った金城。
心の怪盗団が対峙して来たのは、他者へ平然と理不尽を押し付け自らの欲を満たす大人達だ。
バレー部への暴力で高巻杏の親友を自殺未遂に追い詰めた鴨志田。
贋作の商売に目を眩ませ喜多川祐介のサユリへの想いを踏み躙った斑目。
他者をATMとしか見なさない傲慢さで新島真の正義感を嘲笑った金城。
心の怪盗団が対峙して来たのは、他者へ平然と理不尽を押し付け自らの欲を満たす大人達だ。
理不尽が渦巻くのは殺し合いも同じ。
煉獄杏寿郎が死んだ。
シロが死んだ。
志村新八が死んだ。
死んで良い筈の無い者達が、次から次へと命を散らしていく。
そうしてまた一人、蓮の元から去って行った。
煉獄杏寿郎が死んだ。
シロが死んだ。
志村新八が死んだ。
死んで良い筈の無い者達が、次から次へと命を散らしていく。
そうしてまた一人、蓮の元から去って行った。
仲間の危機に何もできない、気付いた時には最早手遅れ。
愕然とした顔で立ち尽くすゲンガー、白い弓兵を一人で相手取っているエボルト。
こんなに近くにいる彼らがどこか遠く感じられる。
愕然とした顔で立ち尽くすゲンガー、白い弓兵を一人で相手取っているエボルト。
こんなに近くにいる彼らがどこか遠く感じられる。
ミチルを殺した怪物は茶髪の青年になり、また新たな姿へと変わった。
沸々と湧き上がる怒り。
沸々と湧き上がる怒り。
ミチルを殺しておいてまだ傷つける気なのか。
どうしてミチルが死ななければならない。
自分はどれだけ命を取り零せば気が済む。
どうしてミチルが死ななければならない。
自分はどれだけ命を取り零せば気が済む。
怪盗団のリーダーとしての使命感、悪党を見過ごせない正義感。
それらとは別種の感情が蓮を動かす原動力となる。
背後に出現するは禍津と名付けられた魔人。
全身に纏うオーラは偶然にも絆を結んだ共犯者が変身する姿と同じ、血を被ったような色。
主が抱く負の感情に促されるまま、長得物より閃光を放った。
それらとは別種の感情が蓮を動かす原動力となる。
背後に出現するは禍津と名付けられた魔人。
全身に纏うオーラは偶然にも絆を結んだ共犯者が変身する姿と同じ、血を被ったような色。
主が抱く負の感情に促されるまま、長得物より閃光を放った。
○
「ぎゃああああああああああああ!!!?!」
喉が枯れるような絶叫を上げ、苦痛を訴える異形。
直撃した光はアナザーカブトの全身を焼き焦がす激痛を与え、逃走を阻止するのに成功。
マハジオダイン。
広範囲の敵に電撃属性の大ダメージを与えるスキルは、アナザーライダーの肉体をも容赦なく痛め付けた。
直撃した光はアナザーカブトの全身を焼き焦がす激痛を与え、逃走を阻止するのに成功。
マハジオダイン。
広範囲の敵に電撃属性の大ダメージを与えるスキルは、アナザーライダーの肉体をも容赦なく痛め付けた。
焼けた肉体からは刺激臭が漂い、それが却ってメタモンを正気に戻す。
痛みにいつまでも悶えている余裕が抱ける状況ではない。
攻撃して来た者への無防備を晒していてはマズいと振り返る。
痛みにいつまでも悶えている余裕が抱ける状況ではない。
攻撃して来た者への無防備を晒していてはマズいと振り返る。
「ぶぐぅっ!?」
直後、視界いっぱいに入ったのは黒い握り拳。
人間で言えば丁度鼻の部分への一撃に、頭の奥まで響くような痛みが来た。
目から星が出る、陳腐な喩えを味わうかのように視界が安定しない。
人間で言えば丁度鼻の部分への一撃に、頭の奥まで響くような痛みが来た。
目から星が出る、陳腐な喩えを味わうかのように視界が安定しない。
顔への痛みも引かない傍から、脇腹へ走るのは鈍痛。
足首に装着されたアンクレットがジョーカーメモリの力を増幅、脚力を限界まで強化。
しなやかながら敵を射る針のような鋭さも持ち合わせた蹴り。
焼かれた箇所への追い打ちとも言える痛みに悲鳴が漏れるのを抑えられない。
思わず蹴られた箇所を抑えながら後退る。
足首に装着されたアンクレットがジョーカーメモリの力を増幅、脚力を限界まで強化。
しなやかながら敵を射る針のような鋭さも持ち合わせた蹴り。
焼かれた箇所への追い打ちとも言える痛みに悲鳴が漏れるのを抑えられない。
思わず蹴られた箇所を抑えながら後退る。
「ぎぃっ!?」
その行動をジョーカーは許さない。
逃がしてなるものかと力強く踏み込み、左手のスチームブレードを振り下ろす。
武器内部の機能が刃を急速加熱し、溶かしながら斬るという独自の効果を付与。
マハジオダインで焼かれた身体へ更なる熱が襲い、まるで拷問を受けているようだった。
逃がしてなるものかと力強く踏み込み、左手のスチームブレードを振り下ろす。
武器内部の機能が刃を急速加熱し、溶かしながら斬るという独自の効果を付与。
マハジオダインで焼かれた身体へ更なる熱が襲い、まるで拷問を受けているようだった。
「調子に…乗るなああああ!」
一方的に痛めつけられ遂にメタモンが怒り叫ぶ。
吠え立てたくらいではジョーカーが止まらない事は分かっている、故に多少の痛みを無視して殴りかかった。
アナザーカブトとて元は仮面ライダージオウこと常磐ソウゴの前に立ち塞がった怪人。
そうそう簡単に撃破されるような存在ではない。
反撃を受けたジョーカーが怯み、今度こそクロックアップを発動させるべく腰の装飾に手を当てる。
吠え立てたくらいではジョーカーが止まらない事は分かっている、故に多少の痛みを無視して殴りかかった。
アナザーカブトとて元は仮面ライダージオウこと常磐ソウゴの前に立ち塞がった怪人。
そうそう簡単に撃破されるような存在ではない。
反撃を受けたジョーカーが怯み、今度こそクロックアップを発動させるべく腰の装飾に手を当てる。
「ペルソナ!」
させじと歯を食い縛って痛みに耐え、ケツアルカトルのスキルを発動。
巨体を震わせメタモンの全身を弾かれるような痛みが駆け巡る。
一瞬、クラリと脳に不快な感覚が走るも頭部を振って正気を保つ。
もう邪魔をされて堪るかとクロックアップを――
巨体を震わせメタモンの全身を弾かれるような痛みが駆け巡る。
一瞬、クラリと脳に不快な感覚が走るも頭部を振って正気を保つ。
もう邪魔をされて堪るかとクロックアップを――
「……え?」
クロックアップをどうやって使うのか分からない。
これまで問題無くやれていたのが急にどうすれば良いのか思い出せない。
肝心の発動の仕方だけが頭の中からスッポリと抜け落ちたかのようだ。
これまで問題無くやれていたのが急にどうすれば良いのか思い出せない。
肝心の発動の仕方だけが頭の中からスッポリと抜け落ちたかのようだ。
ケツアルカトルが放ったスキルの名は忘殺ラッシュ。
敵全体に物理属性のダメージを与える以外にもう一つ、対象を忘却状態にする効果を持つ。
忘却状態にされると固有のスキルを一定の間、忘れてしまったように使えなくなる。
アナザーカブトのクロックアップを急に発動不可能になった原因は、このスキルを受けたからだ。
敵全体に物理属性のダメージを与える以外にもう一つ、対象を忘却状態にする効果を持つ。
忘却状態にされると固有のスキルを一定の間、忘れてしまったように使えなくなる。
アナザーカブトのクロックアップを急に発動不可能になった原因は、このスキルを受けたからだ。
「な、なんで…ぐげっ!?」
理由を知らないメタモンは混乱するばかりだがジョーカーには関係無い。
敵の動揺など知った事かと言わんばかりに責め続ける。
わなわなと震える胴体へ捩じり込む拳、内臓まで潰されたと錯覚する痛みでメタモンは吐き気を覚えた。
敵の動揺など知った事かと言わんばかりに責め続ける。
わなわなと震える胴体へ捩じり込む拳、内臓まで潰されたと錯覚する痛みでメタモンは吐き気を覚えた。
くの字に曲がった体、地面を向いた顔に再び拳が叩き込まれ無理やり上を見上げる体勢となる。
視線が灰色の雲を見ている間、スチームブレードが肉体を焼き傷をより深く抉った。
よろけて下がった時は攻撃の手も止まった、そう思った次の瞬間回し蹴りが炸裂。
蹴り飛ばされて背中から地面に叩きつけられる。
視線が灰色の雲を見ている間、スチームブレードが肉体を焼き傷をより深く抉った。
よろけて下がった時は攻撃の手も止まった、そう思った次の瞬間回し蹴りが炸裂。
蹴り飛ばされて背中から地面に叩きつけられる。
「マガツイザナギ!」
起き上がる事など許可していない。
自分を見下ろす赤い瞳はそう告げているようで、言葉では無く暴力が降り注ぐ。
スチームブレードを放り投げ、両の拳を幾度となく叩きつける。
その度に、聞くに堪えない潰された声がメタモンから発せられた。
痛め付けるのはジョーカーだけではなく、彼の背後に立つペルソナも同じ。
憎き相手を嬲るが如き鬼気迫る様で、マガツイザナギが長得物を幾度も突き立てた。
自分を見下ろす赤い瞳はそう告げているようで、言葉では無く暴力が降り注ぐ。
スチームブレードを放り投げ、両の拳を幾度となく叩きつける。
その度に、聞くに堪えない潰された声がメタモンから発せられた。
痛め付けるのはジョーカーだけではなく、彼の背後に立つペルソナも同じ。
憎き相手を嬲るが如き鬼気迫る様で、マガツイザナギが長得物を幾度も突き立てた。
「アアアアアアアアアアッ!!!」
「ぐべっ!ぎゃいっ!ごぶっ!も゛、や゛べ、ぶぶぅっ!?」
「ぐべっ!ぎゃいっ!ごぶっ!も゛、や゛べ、ぶぶぅっ!?」
静止を求める声は届かない。
顔面を貫くのではと思わせる勢いで拳が突き刺さり、ビクビクと全身が痙攣する。
これまで耐えて来たアナザーカブトの肉体にも限界が来たのだろう、首元からアナザーウォッチが排出された。
顔面を貫くのではと思わせる勢いで拳が突き刺さり、ビクビクと全身が痙攣する。
これまで耐えて来たアナザーカブトの肉体にも限界が来たのだろう、首元からアナザーウォッチが排出された。
ジョーカーメモリはただ単に格闘能力を強化するだけではない。
使用者の感情が激しく揺さぶられれば揺さぶられる程高いエネルギーを発し、性能の限界を超えた力を引き起こす。
ミチルを殺したメタモンへの怒りはメモリの能力を最大以上に高め、反撃もロクにさせない猛攻を可能にした。
使用者の感情が激しく揺さぶられれば揺さぶられる程高いエネルギーを発し、性能の限界を超えた力を引き起こす。
ミチルを殺したメタモンへの怒りはメモリの能力を最大以上に高め、反撃もロクにさせない猛攻を可能にした。
(こ、殺される…!)
生身に戻り腫らした顔を恐怖で引き攣らせる。
早くスコルピオワームに変身し、黒い仮面ライダーから逃げなくては。
自分はまだたくさんの姿にへんしんしなくてはならない、へんしんこそが最強の技だと証明しなければ。
死んでしまえば、自分は一生「いらないポケモン」のままだ。
早くスコルピオワームに変身し、黒い仮面ライダーから逃げなくては。
自分はまだたくさんの姿にへんしんしなくてはならない、へんしんこそが最強の技だと証明しなければ。
死んでしまえば、自分は一生「いらないポケモン」のままだ。
それに道半場で死んだら願いも叶えられなくなる。
優勝し、姉を生き返らせる事だって…
優勝し、姉を生き返らせる事だって…
「は?」
自分は今何を考えた?
生き残る理由はへんしんする姿を増やし、それからワームに殺された姉を生き返らせる。
違う。姉を殺したのは自分だ。彼女を殺し弟に擬態した。
違う。自分は神に代わって剣を振るう男。全てのワームを倒し頂点に立つ。
違う。自分はワーム。だから自分も含めたワームを消し去る。
違う。ワームは天道達の手で根絶された。だから自分も消えなければ。
違う。自分は既に死んだはず。あの夜、じいやが最後まで手を握ってくれて
生き残る理由はへんしんする姿を増やし、それからワームに殺された姉を生き返らせる。
違う。姉を殺したのは自分だ。彼女を殺し弟に擬態した。
違う。自分は神に代わって剣を振るう男。全てのワームを倒し頂点に立つ。
違う。自分はワーム。だから自分も含めたワームを消し去る。
違う。ワームは天道達の手で根絶された。だから自分も消えなければ。
違う。自分は既に死んだはず。あの夜、じいやが最後まで手を握ってくれて
「ちが…違う…ぼくは…違う!」
違う。自分はメタモン
違う。自分は神代剣。
違う。自分はポケモン。
違う。自分はワーム。
違う。自分は神代剣。
違う。自分はポケモン。
違う。自分はワーム。
違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う。
「ぼくはメタモンだ…!メタモンなんだよぉ…!!」
村で両面宿儺が変身したカブトを前にした時、脳裏に蘇った記憶。
自分のものではないそれに深く考えるより先に、へんしんを一つ奪われ過去のトラウマが再発。
精神的な問題もあって忘れかけていた記憶が、今になってより鮮明に浮かび上がった。
メタモンにとっては全く歓迎できない事態だ。
己のアイデンティティのへんしんみならず、メタモンという存在自体が掻き消され否定されるに等しい。
自分のものではないそれに深く考えるより先に、へんしんを一つ奪われ過去のトラウマが再発。
精神的な問題もあって忘れかけていた記憶が、今になってより鮮明に浮かび上がった。
メタモンにとっては全く歓迎できない事態だ。
己のアイデンティティのへんしんみならず、メタモンという存在自体が掻き消され否定されるに等しい。
「ぼ、ぼくは、へんしんだ、こんな、こんないっぱいへんしんする、ぼくはメタモン」
メタモンには最早自分が何を言っているのかも分からない。
ただ己の存在を確かめるかのように思い付いた言葉を片っ端から吐き出し、姿を変えていく。
銀色の怪物、金髪の青年、特徴的なリーゼントヘアーの少年。
そして最後に、正気を失った笑みを浮かべる神代剣へと。
ただ己の存在を確かめるかのように思い付いた言葉を片っ端から吐き出し、姿を変えていく。
銀色の怪物、金髪の青年、特徴的なリーゼントヘアーの少年。
そして最後に、正気を失った笑みを浮かべる神代剣へと。
『JOKER!MAXIMAM DRIVE!』
メタモンが見せた一連の行動はジョーカーを止めるに至らない。
むしろ一瞬とはいえ仗助に擬態した事で、火に油を注ぐ結果となった。
むしろ一瞬とはいえ仗助に擬態した事で、火に油を注ぐ結果となった。
仲間を殺すだけでは飽き足らず、その姿まで奪う。
拳を振り下ろさない理由が、どこにあるというのか。
拳を振り下ろさない理由が、どこにあるというのか。
スロットに装填したメモリから、腕部を強化するエネルギーが拳へ伝達。
黒紫色の炎が宿り、破壊力を極限まで高める。
街を泣かせるドーパントを撃破し、バトルロワイアルにおいても度々振るわれた技。
それを今、異形の姿を解かれた青年にぶつけようとしている、
黒紫色の炎が宿り、破壊力を極限まで高める。
街を泣かせるドーパントを撃破し、バトルロワイアルにおいても度々振るわれた技。
それを今、異形の姿を解かれた青年にぶつけようとしている、
蓮は、心の怪盗団のリーダーは、仮面ライダージョーカーは
【踏み止まる】
→【振り下ろす】
→【振り下ろす】
本当にこの選択で良いのだろうか…
【踏み止まる】
→【殺す】
→【殺す】
「うわぁぁアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
怒りに身を任せるように、或いは迷いを振り切るように叫び声を上げる。
そして、視界が赤く染まった。
そして、視界が赤く染まった。
壊れた笑みは原型を留めず破壊され、赤とピンクが混じった肉が散らばった。
ふと、どこか見覚えのある光景に感じられるのは気のせいだろうか。
ややあって、ああと思い出す。
殺し合いが始まって間もない頃、公園で見つけた女の死体。
それと同じ惨状を自分が作ったのだ。
ふと、どこか見覚えのある光景に感じられるのは気のせいだろうか。
ややあって、ああと思い出す。
殺し合いが始まって間もない頃、公園で見つけた女の死体。
それと同じ惨状を自分が作ったのだ。
○
「何でだよ……」
誰に向けるでもなく口から這い出た呟きは雨音に掻き消される。
ミチルが殺され、殺した奴の正体はメタモンで、メタモンは蓮に殺された。
足元に根を張ったように一歩も動かず、一部始終を見たゲンガーの表情はまるで全てに疲れ切った老人のよう。
これで5人目だ。自分は後何人関わった者の死を目の当たりにしなければならないのだろうか。
ミチルが殺され、殺した奴の正体はメタモンで、メタモンは蓮に殺された。
足元に根を張ったように一歩も動かず、一部始終を見たゲンガーの表情はまるで全てに疲れ切った老人のよう。
これで5人目だ。自分は後何人関わった者の死を目の当たりにしなければならないのだろうか。
「君一人になっちゃったね」
『ああ、全員傷心中なもんでなァ!』
『ああ、全員傷心中なもんでなァ!』
ゲンガーの精神状態に関係無く、戦い自体は未だ継続中。
残されたエボルト単独でダグバを相手取る他無かった。
残されたエボルト単独でダグバを相手取る他無かった。
ソニックアローとエターナルソードが斬り結ぶ。
リーチ・威力共に勝っているのはエターナルソード。
真の力が封じられていようとそこいらの剣が鈍ら同然の切れ味・強度を誇る。
だがソニックアローとて新世代のアーマードライダー専用の装備だけあって、高い性能を持つ。
精霊王オリジンの力を借りて作られた武器相手でも破壊される事なく打ち合いが可能だった。
リーチ・威力共に勝っているのはエターナルソード。
真の力が封じられていようとそこいらの剣が鈍ら同然の切れ味・強度を誇る。
だがソニックアローとて新世代のアーマードライダー専用の装備だけあって、高い性能を持つ。
精霊王オリジンの力を借りて作られた武器相手でも破壊される事なく打ち合いが可能だった。
急所を狙った長い刀身をソニックアローで防ぎながらも、反対の手に警戒をする。
案の定右手が跳ね上がりトランスチームガンの照準が向けられた。
相手の武器が剣一本銃一丁のどちらかならまだしも、両方では少しばかりやり辛い。
斬り合いを続けたまま銃弾を防ぐのは困難、ゴムの如く柔軟な靴底で地面を踏みしめ背後へ跳ぶ。
距離を取ったと同時に響く銃声、ソニックアローを回転させるように振るい高熱硬化弾を斬り落とす。
このまま弾を防ぎ続けているだけでは動きを止められたも同然。
身を捻るようにして横へと跳ぶ、身体の端を掠める銃弾は無視して弦を引き絞り発射。
敵もまたステップを踏むようにエネルギー矢を回避、トリガーを引き続ける。
案の定右手が跳ね上がりトランスチームガンの照準が向けられた。
相手の武器が剣一本銃一丁のどちらかならまだしも、両方では少しばかりやり辛い。
斬り合いを続けたまま銃弾を防ぐのは困難、ゴムの如く柔軟な靴底で地面を踏みしめ背後へ跳ぶ。
距離を取ったと同時に響く銃声、ソニックアローを回転させるように振るい高熱硬化弾を斬り落とす。
このまま弾を防ぎ続けているだけでは動きを止められたも同然。
身を捻るようにして横へと跳ぶ、身体の端を掠める銃弾は無視して弦を引き絞り発射。
敵もまたステップを踏むようにエネルギー矢を回避、トリガーを引き続ける。
弦を引いて放つ弓と、引き金を引く銃。
攻撃に必要な工程が一つ多い分、隙ができやすいのは斬月・真。
一発ごとの威力はまだしも、連射性においてはやはり銃が上。
遠距離の撃ち合いもまた、ブラッドスタークが事を有利に進めていた。
攻撃に必要な工程が一つ多い分、隙ができやすいのは斬月・真。
一発ごとの威力はまだしも、連射性においてはやはり銃が上。
遠距離の撃ち合いもまた、ブラッドスタークが事を有利に進めていた。
「もうちょっとかな…」
敵に向けてではなく、何かを確認する為の言葉だ。
もう少しで自分の望み通りの展開になる、だからその時までは斬月・真のままで楽しむとしよう。
あくまでも殺し合いをゲームと捉えた思考で、ロックシードをソニックアローに装填。
エネルギーが充填され、必殺の威力を矢に付与する。
もう少しで自分の望み通りの展開になる、だからその時までは斬月・真のままで楽しむとしよう。
あくまでも殺し合いをゲームと捉えた思考で、ロックシードをソニックアローに装填。
エネルギーが充填され、必殺の威力を矢に付与する。
『ロックオン!メロンエナジー!』
通常の攻撃時以上の光を発し、緑の矢が射殺さんと迫る。
一方のブラッドスターク、敵が錠前を弓に装填した時点で高火力の攻撃が来ると確信。
敵のライダーシステムは初めて見るが、一連の動作はこちらの知識にある姿と似通っていた。
ならば対処法は実にシンプル、同等の威力で真っ向から相手をしてやる。
コブラロストフルボトルをトランスチームガンのスロットに装填、ボトルの成分が銃弾を強化した。
一方のブラッドスターク、敵が錠前を弓に装填した時点で高火力の攻撃が来ると確信。
敵のライダーシステムは初めて見るが、一連の動作はこちらの知識にある姿と似通っていた。
ならば対処法は実にシンプル、同等の威力で真っ向から相手をしてやる。
コブラロストフルボトルをトランスチームガンのスロットに装填、ボトルの成分が銃弾を強化した。
――STEAM BREAK!COBRA!――
矢を噛み砕き、その先の斬月・真をも喰い殺すコブラ。
コブラを射抜き、その先のブラッドスタークをも仕留める矢。
殺意を十分に籠めた互いの一撃は喰らい合うようにして爆発、エネルギーの余波が両者を襲う。
吹き飛ばされたブラッドスタークが受け身を取り、顔を上げると視覚センサーが瞬時に敵の姿を感知。
再度ロックシードをソニックアローに装填していた。
コブラを射抜き、その先のブラッドスタークをも仕留める矢。
殺意を十分に籠めた互いの一撃は喰らい合うようにして爆発、エネルギーの余波が両者を襲う。
吹き飛ばされたブラッドスタークが受け身を取り、顔を上げると視覚センサーが瞬時に敵の姿を感知。
再度ロックシードをソニックアローに装填していた。
『メロンエナジースカッシュ!』
アークリムにエネルギーが迸り、横薙ぎに大きく振るう。
緑色の刃が衝撃波となって離れた位置のブラッドスタークへと襲い掛かった。
今度はトランスチームガンにボトルを装填する時間はない。
全身を赤い液体状に変化させ、地を這うかのように移動し回避。
頭上を刃が通過した後で実体化、視界の端では刀を弾き飛ばされたゲンガーが慌てて拾いに行くのが見える。
刃を飛ばして来た当の本人は何故か変身を解除し、生身を晒していた。
ゲネシスドライバーをデイパックに仕舞い、新たなベルトに手を伸ばす。
緑色の刃が衝撃波となって離れた位置のブラッドスタークへと襲い掛かった。
今度はトランスチームガンにボトルを装填する時間はない。
全身を赤い液体状に変化させ、地を這うかのように移動し回避。
頭上を刃が通過した後で実体化、視界の端では刀を弾き飛ばされたゲンガーが慌てて拾いに行くのが見える。
刃を飛ばして来た当の本人は何故か変身を解除し、生身を晒していた。
ゲネシスドライバーをデイパックに仕舞い、新たなベルトに手を伸ばす。
『ARK ONE』
「もう良いみたいだね」
ベルトを巻き、手にしたプログライズキーを起動させる。
地の底から響くような電子音声は、変身が可能だと知らせる合図。
ゲネシスドライバーと違い再変身に一定の時間を必要とする制限が掛けられており、ダグバはこの時をずっと待っていたのだ。
男女問わず凍った心を解きほぐす笑みで、新たなステージの始まりを告げた。
地の底から響くような電子音声は、変身が可能だと知らせる合図。
ゲネシスドライバーと違い再変身に一定の時間を必要とする制限が掛けられており、ダグバはこの時をずっと待っていたのだ。
男女問わず凍った心を解きほぐす笑みで、新たなステージの始まりを告げた。
「変身」
『SINGURISE』
アークドライバーワンから放出された液体金属が、ダグバの全身を包み込む。
赤い稲妻を発しながら瞬く間に硬質化、パワードスーツへと形を変えた。
胸部を覆う装甲にも赤いクロスしたラインが走り、白をより一層際立たせる。
異なる色の瞳を光らせ、全てのフェーズが完了。
赤い稲妻を発しながら瞬く間に硬質化、パワードスーツへと形を変えた。
胸部を覆う装甲にも赤いクロスしたラインが走り、白をより一層際立たせる。
異なる色の瞳を光らせ、全てのフェーズが完了。
『破壊 破滅 絶望 滅亡せよ』
『CONCLUSION ONE』
メロンを被ったライダーとはまた別の姿。
ベルトも違う事から根本的に別物のライダーシステムらしい。
だが外見や使用した道具の違いは重要ではない。
装甲の上からでもヒシヒシと感じる、肌を刺すようなプレッシャー。
直接対峙しているだけで、相手の危険度が爆発的に跳ね上がったと理解する。
ベルトも違う事から根本的に別物のライダーシステムらしい。
だが外見や使用した道具の違いは重要ではない。
装甲の上からでもヒシヒシと感じる、肌を刺すようなプレッシャー。
直接対峙しているだけで、相手の危険度が爆発的に跳ね上がったと理解する。
「あいつ…!」
チラと横目で見やれば、戦慄を露わにしたゲンガーの姿があった。
幽霊のような状態となっているのに、分かり易く恐怖を表情に貼り付けるとは。
どこかシュールな絵面だが、冗談めかして笑い飛ばせる状況ではない。
幽霊のような状態となっているのに、分かり易く恐怖を表情に貼り付けるとは。
どこかシュールな絵面だが、冗談めかして笑い飛ばせる状況ではない。
「あの白いの…アレがハルトマンを殺したやつだ…!」
『成程ねぇ…』
『成程ねぇ…』
今の姿で猛威を振るいハルトマンを殺したのなら、ゲンガーの反応も納得だ。
ブラッドスタークでどこまで食らい付けるか。
ブラッドスタークでどこまで食らい付けるか。
手持ちのカードを思い浮かべ、生き延びる算段を組み立てる。
その眼前へこれまでとは段違いの速さで迫り、悪意の象徴が牙を剥いた。
その眼前へこれまでとは段違いの速さで迫り、悪意の象徴が牙を剥いた。
○○○
雨が勢いを増している。
掌にこびり付いた血も洗い流してくれるだろう。
掌にこびり付いた血も洗い流してくれるだろう。
だけど、別の大事なものまで流されていくような。
そんな気がしてならなかった。
そんな気がしてならなかった。