◆
白、黒、赤。
三色の異なる装甲の戦士により繰り広げられるライダーバトル。
肉体、精神、或いはその両方が本来の変身者とは別人なのが、このバトルロワイアルの異質さを如実に表している。
三色の異なる装甲の戦士により繰り広げられるライダーバトル。
肉体、精神、或いはその両方が本来の変身者とは別人なのが、このバトルロワイアルの異質さを如実に表している。
「ペルソナ!」
先手を切ったのは雨宮蓮の変身した仮面ライダージョーカー。
ガイアメモリの固有能力とは別に、蓮本人が持つ力を解放。
自らの仮面を引き剥がし、反逆の意思に目覚めた証。
シルクハットのような頭部を持つペルソナ、アルセーヌがスキルを発動。
放たれたのは二つ、ラクンダとスクンダ。
然程SPを消費せずに対象の耐久力と敏捷性を低下させる、使い勝手の良いスキルだ。
敵の能力が下がればその分こちらは有利になる、シャドウ相手にも使っていた基本的な戦法である。
ガイアメモリの固有能力とは別に、蓮本人が持つ力を解放。
自らの仮面を引き剥がし、反逆の意思に目覚めた証。
シルクハットのような頭部を持つペルソナ、アルセーヌがスキルを発動。
放たれたのは二つ、ラクンダとスクンダ。
然程SPを消費せずに対象の耐久力と敏捷性を低下させる、使い勝手の良いスキルだ。
敵の能力が下がればその分こちらは有利になる、シャドウ相手にも使っていた基本的な戦法である。
「んー?」
自らを襲った倦怠感らしき気持ちの悪さに、斬月・真は首を傾げる。
相手が何らかの攻撃を行ったのは見れば分かるが、どういった効果かは不明。
訝し気にジョーカーを見るも、動いてみれば分かるだろうとあっさり疑問を放棄。
ソニックアローを片手に斬り掛かった。
相手が何らかの攻撃を行ったのは見れば分かるが、どういった効果かは不明。
訝し気にジョーカーを見るも、動いてみれば分かるだろうとあっさり疑問を放棄。
ソニックアローを片手に斬り掛かった。
『そっちから来てくれるとは嬉しいねぇ』
最初の標的に選ばれたのはブラッドスターク。
変身前の女性とは似ても似つかない壮年男性の声で軽口を叩く。
恋人を抱擁するかのように両手を広げ、斬月・真の接近を歓迎する姿勢を取る。
本当に愛しい相手を受け入れるならば、左右の手にそれぞれ武器を持ってはいないのだが。
変身前の女性とは似ても似つかない壮年男性の声で軽口を叩く。
恋人を抱擁するかのように両手を広げ、斬月・真の接近を歓迎する姿勢を取る。
本当に愛しい相手を受け入れるならば、左右の手にそれぞれ武器を持ってはいないのだが。
ソニックアローのシャフト部分による斬撃で火花が散った。
但しブラッドスタークの装甲へのダメージによるものではない。
刃が到達する寸前、左手に握った剣を翳しソニックアローを防いだ。
ふざけたポーズからは考えられない反射速度、このくらいはやってもらわねば楽しめないと斬月・真はじんわりと笑う。
但しブラッドスタークの装甲へのダメージによるものではない。
刃が到達する寸前、左手に握った剣を翳しソニックアローを防いだ。
ふざけたポーズからは考えられない反射速度、このくらいはやってもらわねば楽しめないと斬月・真はじんわりと笑う。
「いくよ?」
短く尋ねる、返答は聞かない。
一度防いだからといって勝負が決まった訳では無く、続けてソニックアローを振るう。
ブラッドスタークもまた一撃で終わるとは思っておらず、的確に防ぎ続ける。
アークリムと呼ばれるソニックアローの刃は対インベス・アーマードライダーを想定した切れ味を誇るが、ブラッドスタークの持つ剣は破壊されずに原型を保っていた。
一度防いだからといって勝負が決まった訳では無く、続けてソニックアローを振るう。
ブラッドスタークもまた一撃で終わるとは思っておらず、的確に防ぎ続ける。
アークリムと呼ばれるソニックアローの刃は対インベス・アーマードライダーを想定した切れ味を誇るが、ブラッドスタークの持つ剣は破壊されずに原型を保っていた。
「凄い剣だね」
『だろ?ジューダスの奴には感謝しなきゃなァ』
『だろ?ジューダスの奴には感謝しなきゃなァ』
元はジューダスに支給されたのを譲って貰ったが、大した得物だと感心を抱く。
エターナルソード。
剣が持つ真の力は現状使えないようでも、武器としての性能は優秀だ。
エターナルソード。
剣が持つ真の力は現状使えないようでも、武器としての性能は優秀だ。
「アルセーヌ!」
斬月・真が相手をしなければならないのはブラッドスタークだけではない。
少しばかり斬り合いに意識を向け過ぎた時、ジョーカーがペルソナに指示を出す。
左腕部より火花が散り、ソニックアローを握る力が幾分弱まる。
スラッシュの援護を受けたブラッドスタークが一歩踏み込み、エターナルソードを横薙ぎに振るった。
大振りだが威力は高い、ソニックアローの防御こそ間に合ったもののたたらを踏みよろけるのまでは防げない。
少しばかり斬り合いに意識を向け過ぎた時、ジョーカーがペルソナに指示を出す。
左腕部より火花が散り、ソニックアローを握る力が幾分弱まる。
スラッシュの援護を受けたブラッドスタークが一歩踏み込み、エターナルソードを横薙ぎに振るった。
大振りだが威力は高い、ソニックアローの防御こそ間に合ったもののたたらを踏みよろけるのまでは防げない。
追撃を仕掛けるブラッドスターク。
だが斬月・真は新世代型のアーマードライダーだけあって、持ちうる能力も高スペックだ。
だが斬月・真は新世代型のアーマードライダーだけあって、持ちうる能力も高スペックだ。
エターナルソードに対し右肩の装甲を突き出して防御。
特殊なコーティングの効果で斬撃の威力も低減させられ、傷を与えられない。
刃を防いだままの体勢でタックルをけし掛ければ、今度はブラッドスタークが体勢を崩された。
黄金色のラインが斬月・真の脚力を強化し、よろけて隙だらけの胴体へ蹴りが放たれる。
特殊なコーティングの効果で斬撃の威力も低減させられ、傷を与えられない。
刃を防いだままの体勢でタックルをけし掛ければ、今度はブラッドスタークが体勢を崩された。
黄金色のラインが斬月・真の脚力を強化し、よろけて隙だらけの胴体へ蹴りが放たれる。
『っとォ、危ねぇな』
伸ばされた白い装甲の足はブラッドスタークが地面に倒れた事で外れた。
と言うよりはブラッドスターク自らアスファルトの上に背中から倒れ込み、蹴りを躱したのだ。
上体を起こさずこのままの体勢で攻撃に移る。
武器はエターナルソードのみではない、ブラッドスターク本来の装備が右手に握られていた。
照準は既にメロン柄の装甲へと合わせている、後はトリガーを引くだけで良い。
トランスチームガンの銃口が火を吹き、斬月・真の胸部装甲へ連続して高熱硬化弾が命中。
ゲネシスドライバー同様に、トランスチームシステムもまた仮面ライダーとの戦闘目的で開発された兵器。
ならば斬月・真相手が相手でも、装甲により低減されるがダメージ自体は与える事が可能。
と言うよりはブラッドスターク自らアスファルトの上に背中から倒れ込み、蹴りを躱したのだ。
上体を起こさずこのままの体勢で攻撃に移る。
武器はエターナルソードのみではない、ブラッドスターク本来の装備が右手に握られていた。
照準は既にメロン柄の装甲へと合わせている、後はトリガーを引くだけで良い。
トランスチームガンの銃口が火を吹き、斬月・真の胸部装甲へ連続して高熱硬化弾が命中。
ゲネシスドライバー同様に、トランスチームシステムもまた仮面ライダーとの戦闘目的で開発された兵器。
ならば斬月・真相手が相手でも、装甲により低減されるがダメージ自体は与える事が可能。
銃撃により斬月・真は強制的に動きを止められた。
自分が行動に移せる十分な隙を確保したブラッドスターク、そのまま地面を転がり一旦距離を取って立ち上がる。
そして相棒へとバトンタッチ、選手交代とでも言わんばかりに前へ出たのはジョーカー。
レッドメロンの果肉のような色合いのレンズを赤い瞳で睨み返す。
自分が行動に移せる十分な隙を確保したブラッドスターク、そのまま地面を転がり一旦距離を取って立ち上がる。
そして相棒へとバトンタッチ、選手交代とでも言わんばかりに前へ出たのはジョーカー。
レッドメロンの果肉のような色合いのレンズを赤い瞳で睨み返す。
「次は君?」
「ペルソナ!」
「ペルソナ!」
質問の答えには行動で返してやる。
アルセーヌが出現し長い腕を振るい、ナイフのような爪が斬月・真を襲った。
ソニックアローの刃で防御、続けてジョーカーの拳が脇腹を狙う。
ライドウェアに覆われているとはいえ、装甲部分程の耐久性は期待できない。
アルセーヌが出現し長い腕を振るい、ナイフのような爪が斬月・真を襲った。
ソニックアローの刃で防御、続けてジョーカーの拳が脇腹を狙う。
ライドウェアに覆われているとはいえ、装甲部分程の耐久性は期待できない。
脆い部分が狙われやすいのは斬月・真にも分かっている事。
左腕を拳の前に持って行き防御、ジョーカーの方が握った手から若干の痺れを感じた。
ケンライコウと呼ばれる腕部を保護するプレートだ。
薄さに反して強度は非常に高い。
左腕を拳の前に持って行き防御、ジョーカーの方が握った手から若干の痺れを感じた。
ケンライコウと呼ばれる腕部を保護するプレートだ。
薄さに反して強度は非常に高い。
拳の痛みに僅かながら怯んだジョーカーをソニックアローで斬り付ける。
盛大に火花を散らして後退、斬月・真が追撃を仕掛け斬撃の嵐がジョーカーを逃しはしない。
アークリムに切り裂かれるのを防ぐは拳部分を覆う手甲。
ジョーカーの全身を保護する強化外骨格と同等の強度を持つナックルも、防戦一方では格闘戦での本領を発揮できない。
盛大に火花を散らして後退、斬月・真が追撃を仕掛け斬撃の嵐がジョーカーを逃しはしない。
アークリムに切り裂かれるのを防ぐは拳部分を覆う手甲。
ジョーカーの全身を保護する強化外骨格と同等の強度を持つナックルも、防戦一方では格闘戦での本領を発揮できない。
と、斬月・真は別方向からの殺気にジョーカーへの攻撃を中断。
小気味良い発砲音が響き、高熱硬化弾が殺到する。
今度は先程と同じとはいかない、ソニックアローを振り回し銃弾を斬り落とす。
高熱硬化弾も命中しなければ恐れるに足りず、斬月・真の視覚センサーは迫る弾を正確に捉えていた。
小気味良い発砲音が響き、高熱硬化弾が殺到する。
今度は先程と同じとはいかない、ソニックアローを振り回し銃弾を斬り落とす。
高熱硬化弾も命中しなければ恐れるに足りず、斬月・真の視覚センサーは迫る弾を正確に捉えていた。
『使え蓮!』
しかし銃を連射し意識を自分に釘付けに出来たのなら、ブラッドスタークとしては無問題。
ジョーカー目掛けて武器を一つ投げ渡す。
キャッチすると同時に斬月・真へ斬り掛かるジョーカー。
銃弾を斬り落としながらジョーカーの刃を弾き返そうとするも、逆に絡め取られ硬直。
武器を持つのとは反対の空いた手が握り拳を作り、斬月・真の腹部へ一撃入れる。
低く呻いた声に耳は貸さず、脚力を増幅させた上での二撃目が叩き込まれた。
ジョーカー目掛けて武器を一つ投げ渡す。
キャッチすると同時に斬月・真へ斬り掛かるジョーカー。
銃弾を斬り落としながらジョーカーの刃を弾き返そうとするも、逆に絡め取られ硬直。
武器を持つのとは反対の空いた手が握り拳を作り、斬月・真の腹部へ一撃入れる。
低く呻いた声に耳は貸さず、脚力を増幅させた上での二撃目が叩き込まれた。
蹴り飛ばされた事で結果的に距離を取る事には成功。
ソニックアローの弦を引き絞り、弓としての本来の使い方を行う。
エネルギー矢がジョーカーを射るべく発射され、前に出たブラッドスタークに斬り落とされた。
その横を駆け抜けるのはジョーカー、右手で得物をクルリと回し急接近を試みる。
ソニックアローの弦を引き絞り、弓としての本来の使い方を行う。
エネルギー矢がジョーカーを射るべく発射され、前に出たブラッドスタークに斬り落とされた。
その横を駆け抜けるのはジョーカー、右手で得物をクルリと回し急接近を試みる。
近付かせまいと放った矢は、ジョーカーの後方より発射された銃弾により霧散。
心強い援護を得たジョーカーが止まる事は無い。
心強い援護を得たジョーカーが止まる事は無い。
「ケツアルカトル!」
翼の生えた大蛇が出現、牙を剥き出しに主の敵を威圧。
ジョーカーの意思に従い純白の翼で暴風を巻き起こす。
マハガルーラ。広範囲の敵に疾風属性のダメージを与えるスキル。
かまいたちに襲われたような斬撃が装甲の上から刻まれ、更には吹き飛ばされそうになる。
しかし斬月・真の体重は100kgを超える為、多少足に力を込めるだけで問題無い。
尤もそれは、ジョーカーが攻撃を当てられる距離までの接近を許す隙に繋がった。
ジョーカーの意思に従い純白の翼で暴風を巻き起こす。
マハガルーラ。広範囲の敵に疾風属性のダメージを与えるスキル。
かまいたちに襲われたような斬撃が装甲の上から刻まれ、更には吹き飛ばされそうになる。
しかし斬月・真の体重は100kgを超える為、多少足に力を込めるだけで問題無い。
尤もそれは、ジョーカーが攻撃を当てられる距離までの接近を許す隙に繋がった。
振り下ろされた刃をソニックアローで受け止める。
押し返すべく力を込めようとし、アークリムに掛かった重みが消えたと気付いた時には遅い。
胸部装甲を撫でるように刃を走らせ、激しく散った火花を全身で受けつつジョーカーは敵に防御や反撃を許さない。
押し返すべく力を込めようとし、アークリムに掛かった重みが消えたと気付いた時には遅い。
胸部装甲を撫でるように刃を走らせ、激しく散った火花を全身で受けつつジョーカーは敵に防御や反撃を許さない。
右手で振るうのはバルブの付いた短剣、スチームブレード。
怪盗団がパレスで活動する際、それぞれの戦闘スタイルにあった武器を持ち込んでいる。
パンサーは鞭、フォックスは刀といったようにメンバー一人一人得意とする得物も違う。
リーダーであるジョーカーが得意とするのはナイフだ。
現実世界で手に入れたレプリカのナイフは認知の世界で本物の切れ味を発揮し、数多のシャドウを斬り伏せて来た。
現在使っているスチームブレードもまた、ジョーカーが使い慣れたリーチの武器。
強化された仮面ライダーの身体能力と、そこいらのナイフを凌駕する性能の刃物が揃った状態なら、パレスに侵入した時と同じ感覚で戦える。
怪盗団がパレスで活動する際、それぞれの戦闘スタイルにあった武器を持ち込んでいる。
パンサーは鞭、フォックスは刀といったようにメンバー一人一人得意とする得物も違う。
リーダーであるジョーカーが得意とするのはナイフだ。
現実世界で手に入れたレプリカのナイフは認知の世界で本物の切れ味を発揮し、数多のシャドウを斬り伏せて来た。
現在使っているスチームブレードもまた、ジョーカーが使い慣れたリーチの武器。
強化された仮面ライダーの身体能力と、そこいらのナイフを凌駕する性能の刃物が揃った状態なら、パレスに侵入した時と同じ感覚で戦える。
リーチこそソニックアローが上でも、取り回しと振るうスピードの面ではスチームブレードに軍配が上がる。
ましてバトルロワイアルに巻き込まれる前より培った経験も加算されているのだ。
ジョーカーへと有利が傾くのは必然だろう。
ましてバトルロワイアルに巻き込まれる前より培った経験も加算されているのだ。
ジョーカーへと有利が傾くのは必然だろう。
「っ!?」
だが斬月・真とていつまでも一方的な展開を認めはしない。
スチームブレードをガッチリと掴み、力づくでジョーカーの猛攻を止めた。
急速加熱した刃は並の装甲など瞬時に溶かし斬るが、斬月・真のスーツは耐熱性にも優れている。
刃を止めるのは片手で十分、もう片方の手にはソニックアローで斬り付ける役目があるのだから。
スチームブレードをガッチリと掴み、力づくでジョーカーの猛攻を止めた。
急速加熱した刃は並の装甲など瞬時に溶かし斬るが、斬月・真のスーツは耐熱性にも優れている。
刃を止めるのは片手で十分、もう片方の手にはソニックアローで斬り付ける役目があるのだから。
「ケケッ!背中ががら空きだってなぁ!」
しかし役目は果たされない。
背後より斬り付けられた衝撃に気を取られ、スチームブレードを握る力に緩みが生じる。
生まれたチャンスを逃してなるものかと右手を引き、スチームブレードを己の手元に戻した。
刃が手の中から消えたのを理解した斬月・真は、その場で回転するようにソニックアローを振り回し前後の敵を牽制。
背後へ跳んだジョーカーはともかく、後ろから不意打ちを仕掛けた者には効果が無い。
背後より斬り付けられた衝撃に気を取られ、スチームブレードを握る力に緩みが生じる。
生まれたチャンスを逃してなるものかと右手を引き、スチームブレードを己の手元に戻した。
刃が手の中から消えたのを理解した斬月・真は、その場で回転するようにソニックアローを振り回し前後の敵を牽制。
背後へ跳んだジョーカーはともかく、後ろから不意打ちを仕掛けた者には効果が無い。
「今から俺もこっちに混ぜてもらうぜ!」
幽体故に今の斬撃を無傷で凌いだ少年、ゲンガーは刀を肩に担いで言う。
仲間の敵討ちなんて柄では無いと自覚している。
それでもハルトマンを殺した相手にすごすご引き下がるのも、それはそれで苛立ちを覚える自分がいるのだ。
だから倒せはしなくても、徹底的に邪魔をしてやると意気込みこちらの戦闘に介入した。
仲間の敵討ちなんて柄では無いと自覚している。
それでもハルトマンを殺した相手にすごすご引き下がるのも、それはそれで苛立ちを覚える自分がいるのだ。
だから倒せはしなくても、徹底的に邪魔をしてやると意気込みこちらの戦闘に介入した。
三人に増えたゲゲルのターゲットを前に、ダグバは考える。
山間部での戦闘は小さな少年が何かしらの策を講じたが、直接自分を相手取ったのはキャメロット一人。
放送前の戦闘は今と同じく幽体の少年がウロチョロしていたが、直接自分を相手取ったのはハルトマン一人。
村で出会った宿儺とのアレは戦闘と呼べるかも怪しい。
そして現在戦闘中の二人組、蓮とエボルトはチームワークを発揮して共に自分と戦っている。
当初はキャメロットとの再戦を行うつもりだったが、ジョーカー達との戦闘も楽しい。
これまでとは違う戦いに、まだまだ楽しめそうだとダグバは心を躍らせた。
山間部での戦闘は小さな少年が何かしらの策を講じたが、直接自分を相手取ったのはキャメロット一人。
放送前の戦闘は今と同じく幽体の少年がウロチョロしていたが、直接自分を相手取ったのはハルトマン一人。
村で出会った宿儺とのアレは戦闘と呼べるかも怪しい。
そして現在戦闘中の二人組、蓮とエボルトはチームワークを発揮して共に自分と戦っている。
当初はキャメロットとの再戦を行うつもりだったが、ジョーカー達との戦闘も楽しい。
これまでとは違う戦いに、まだまだ楽しめそうだとダグバは心を躍らせた。
○
承太郎と魔王。
因縁を持つ彼らが互いに関して知っている事は少なく、深く踏み込む気も無い。
魔王にとっては厄介な力を持つ、最後の一人になるまでの障害でしかなく。
承太郎にとっては坂田銀時という肩を並べて戦った男を殺した敵でしかない。
どんな事情があって殺し合いに乗っただとか、悲惨な境遇があるかなど知らないし知る気もない。
仮に魔王本人の口から語られたとて、叩きのめさない理由にはならないのである。
因縁を持つ彼らが互いに関して知っている事は少なく、深く踏み込む気も無い。
魔王にとっては厄介な力を持つ、最後の一人になるまでの障害でしかなく。
承太郎にとっては坂田銀時という肩を並べて戦った男を殺した敵でしかない。
どんな事情があって殺し合いに乗っただとか、悲惨な境遇があるかなど知らないし知る気もない。
仮に魔王本人の口から語られたとて、叩きのめさない理由にはならないのである。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!」
対話は不要、先手必勝あるのみ。
仲間を殺された怒り、みすみす仲間を死なせた己への怒り、決して許せぬ悪を前にした怒り。
表向きはクールに、されど内に秘めた業火の如き激情を乗せた拳。
一発一発に込められた破壊力たるや、有象無象のスタンド使いの抵抗をも許しはしない。
直撃すれば再起不能は確実、たとえ殺す事になっても承知の上でラッシュが放たれる。
仲間を殺された怒り、みすみす仲間を死なせた己への怒り、決して許せぬ悪を前にした怒り。
表向きはクールに、されど内に秘めた業火の如き激情を乗せた拳。
一発一発に込められた破壊力たるや、有象無象のスタンド使いの抵抗をも許しはしない。
直撃すれば再起不能は確実、たとえ殺す事になっても承知の上でラッシュが放たれる。
だがスタープラチナだろうと苦戦は免れない、早期の決着は不可能に等しい。
精神・肉体共に魔王の名は飾りでは無い。
だからこそ彼らはそれぞれの世界で人間達に恐れられて来たのだから。
肉を潰し、骨を砕く拳は全て破壊の剣に阻まれる。
戦意は十分、手加減など一切していない、しかしそれで倒せるような相手でない事は承太郎とて理解していた。
魔王とはこれが二度目の戦闘だがやはり一筋縄ではいかない相手だと改めて痛感。
故に余計な思考で集中力を乱すのは愚の骨頂、考えるべきは己のスタンドで相手を倒すその一点のみ。
ラッシュの勢いを僅かにでも緩めれば死が待っていると己に言い聞かせ、ひたすらに殴りつける。
精神・肉体共に魔王の名は飾りでは無い。
だからこそ彼らはそれぞれの世界で人間達に恐れられて来たのだから。
肉を潰し、骨を砕く拳は全て破壊の剣に阻まれる。
戦意は十分、手加減など一切していない、しかしそれで倒せるような相手でない事は承太郎とて理解していた。
魔王とはこれが二度目の戦闘だがやはり一筋縄ではいかない相手だと改めて痛感。
故に余計な思考で集中力を乱すのは愚の骨頂、考えるべきは己のスタンドで相手を倒すその一点のみ。
ラッシュの勢いを僅かにでも緩めれば死が待っていると己に言い聞かせ、ひたすらに殴りつける。
魔王の横合いから迫る青い影。
悪魔も裸足で逃げ出すような凶暴さを剥き出しにした笑みを浮かべるは、強欲のホムンクルス。
硬化させた両腕でならば、人体などほんのちょっぴり力を入れるだけで紙の様に引き裂かれる。
グリードの接近は一々視線を向けずとも気付いていた。
破壊の剣を振るう手は休めず、片足をグリードへと突き出す。
さっきと同じだ、女だろうとお構いなしに顔を狙って来た。
コイツは本当に女の扱いを知らないのか。そう呆れを呟くのは内心に留めておき上半身を捻って回避に動く。
直撃はしない。が、左耳付近に焼けるような熱さを感じる。
完璧な回避は出来なかったようで耳が千切れたらしい。
コロリと落ちた肉の塊には目もくれず腕を伸ばし切り裂く。
再生が完了したばかりの耳が拾ったのはキン!という甲高い音。
龍の頭部を模したガントレットが硬化した爪を防いでいる、ならばそれごと腕を破壊しようにも今度は顔を掴まれた。
抜け出そうと藻掻く必要は無かった、すぐにラッシュを放つスタープラチナへ投げ付けられたからだ。
一応敵ではないと判断した少女にまで拳が叩き込まれそうになり、スタンドを一度解除。
殴られずに済んだグリードもまた即座に体勢を立て直す。
悪魔も裸足で逃げ出すような凶暴さを剥き出しにした笑みを浮かべるは、強欲のホムンクルス。
硬化させた両腕でならば、人体などほんのちょっぴり力を入れるだけで紙の様に引き裂かれる。
グリードの接近は一々視線を向けずとも気付いていた。
破壊の剣を振るう手は休めず、片足をグリードへと突き出す。
さっきと同じだ、女だろうとお構いなしに顔を狙って来た。
コイツは本当に女の扱いを知らないのか。そう呆れを呟くのは内心に留めておき上半身を捻って回避に動く。
直撃はしない。が、左耳付近に焼けるような熱さを感じる。
完璧な回避は出来なかったようで耳が千切れたらしい。
コロリと落ちた肉の塊には目もくれず腕を伸ばし切り裂く。
再生が完了したばかりの耳が拾ったのはキン!という甲高い音。
龍の頭部を模したガントレットが硬化した爪を防いでいる、ならばそれごと腕を破壊しようにも今度は顔を掴まれた。
抜け出そうと藻掻く必要は無かった、すぐにラッシュを放つスタープラチナへ投げ付けられたからだ。
一応敵ではないと判断した少女にまで拳が叩き込まれそうになり、スタンドを一度解除。
殴られずに済んだグリードもまた即座に体勢を立て直す。
『SWORD VENT』
破壊の剣を左手に持ち替え、右手でデッキからカードを引き抜く。
流れるように先程グリードの爪を防いだガントレット型の召喚機に装填。
他のライダーとは違う低くくぐもった電子音声が、カードの読み込みを完了した事を伝える。
頭上から飛来して来たのは龍の尾を模した青龍刀、ドラグセイバー。
奇しくも龍騎が使うものと同じ名の剣を掴み、双剣を打ち鳴らす。
色合いに違いがあるだけでなく、剣自体のAPも龍騎より上。
手数を増やし魔王は疾走。脚力もまた龍騎の倍だ。
駆け出した勢いを殺さずに跳躍、ピサロの特技の一つであるムーンサルトを繰り出した。
流れるように先程グリードの爪を防いだガントレット型の召喚機に装填。
他のライダーとは違う低くくぐもった電子音声が、カードの読み込みを完了した事を伝える。
頭上から飛来して来たのは龍の尾を模した青龍刀、ドラグセイバー。
奇しくも龍騎が使うものと同じ名の剣を掴み、双剣を打ち鳴らす。
色合いに違いがあるだけでなく、剣自体のAPも龍騎より上。
手数を増やし魔王は疾走。脚力もまた龍騎の倍だ。
駆け出した勢いを殺さずに跳躍、ピサロの特技の一つであるムーンサルトを繰り出した。
得物が一本増えた事で脅威も増している。
左右に伸ばした剣が空気を切り裂き、余波だけで皮膚に赤い線が生まれそうだ。
独楽のように迫る魔王へグリードは防御を選択、硬化させた両腕を交差させ構えを取る。
喧しい音が気になるもののダメージは皆無、だが双剣を叩きつけられた衝撃までは防ぎようが無い。
体が宙に浮き後方へと吹き飛ばされ、追いかけるように回転した状態の魔王が接近。
硬化範囲を広めようとするも間に合うかは微妙な距離。
一度斬られた程度で死にはしないが、ホムンクルスの生命力とは無限の命を約束するものではない。
賢者の石の錬成に使われた魂のストックが切れれば、人間同様呆気なく死に至る。
左右に伸ばした剣が空気を切り裂き、余波だけで皮膚に赤い線が生まれそうだ。
独楽のように迫る魔王へグリードは防御を選択、硬化させた両腕を交差させ構えを取る。
喧しい音が気になるもののダメージは皆無、だが双剣を叩きつけられた衝撃までは防ぎようが無い。
体が宙に浮き後方へと吹き飛ばされ、追いかけるように回転した状態の魔王が接近。
硬化範囲を広めようとするも間に合うかは微妙な距離。
一度斬られた程度で死にはしないが、ホムンクルスの生命力とは無限の命を約束するものではない。
賢者の石の錬成に使われた魂のストックが切れれば、人間同様呆気なく死に至る。
「スタープラチナ・ザ・ワールド」
尤も魂一つを消費する必要も無くなった。
急ぎ硬化させるグリード、回転斬りを放つ魔王。
どちらも空中にて動きをピタリと止め、傍から見ればトリック映像のような何とも奇妙な絵面となる。
グリードだけではない、戦場いる全ての参加者が瞬き一つせず凍り付いたように動かない。
急ぎ硬化させるグリード、回転斬りを放つ魔王。
どちらも空中にて動きをピタリと止め、傍から見ればトリック映像のような何とも奇妙な絵面となる。
グリードだけではない、戦場いる全ての参加者が瞬き一つせず凍り付いたように動かない。
承太郎が時の止まった世界への入門を許されるのは、2秒という極僅かな間のみ。
公園にて半裸の巨漢との戦いから今に至るまで、スタープラチナに課せられた制限が解除される気配は無い。
DIOとの戦闘で開花させた時を思えば大幅な弱体化をされている。
それでもこの2秒間は何者も承太郎の攻撃を防げず、承太郎へ傷を付ける事も叶わない。
公園にて半裸の巨漢との戦いから今に至るまで、スタープラチナに課せられた制限が解除される気配は無い。
DIOとの戦闘で開花させた時を思えば大幅な弱体化をされている。
それでもこの2秒間は何者も承太郎の攻撃を防げず、承太郎へ傷を付ける事も叶わない。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!!」
双剣を用いたムーンサルトも時間停止中ならば恐れるに足りず。
魔王とグリードの間に割って入るように跳躍し、スタープラチナのラッシュを放つ。
効果が切れるまでに動作一つも無駄にはできない。
文字通り、時間の許す限り拳を振るった。
魔王とグリードの間に割って入るように跳躍し、スタープラチナのラッシュを放つ。
効果が切れるまでに動作一つも無駄にはできない。
文字通り、時間の許す限り拳を振るった。
時が動き出し、魔王は後方へと殴り飛ばされる。
グリードにしてみれば訳が分からないだろう。
いきなり目の前に人形らしき存在を操っていた男の背中が現れ、自分を斬ろうとしていた男は吹き飛んでいるのだから。
何が起きたと疑問を貌に貼り付けながら着地、正面の男に尋ねようとするがそれどころでは無いと気付く。
グリードにしてみれば訳が分からないだろう。
いきなり目の前に人形らしき存在を操っていた男の背中が現れ、自分を斬ろうとしていた男は吹き飛んでいるのだから。
何が起きたと疑問を貌に貼り付けながら着地、正面の男に尋ねようとするがそれどころでは無いと気付く。
「マヒャド」
少し離れた位置で立ち上がった魔王が呪文を詠唱、冷気の嵐が吹き荒れる。
すかさずスタープラチナのラッシュで冷気を霧散させ、グリードも距離をとって躱す。
しかしどちらも完全な対処には至らない。
四肢が凍り付き、動きに支障が出る前にどうにか砕いた。
すかさずスタープラチナのラッシュで冷気を霧散させ、グリードも距離をとって躱す。
しかしどちらも完全な対処には至らない。
四肢が凍り付き、動きに支障が出る前にどうにか砕いた。
(成程…)
これまでの戦闘を通じて、魔王は自身が変身した姿への評価を内心で下す。
思った以上に使えると。
思った以上に使えると。
カードデッキの存在はバトルロワイアル開始直後に、デイパックの中身を確認した時から把握していた。
ご丁寧に付属していた説明書にも目を通し、使い方も頭に入れてある。
だがこれまでの戦闘で魔王がカードデッキを使い、リュウガに変身した場面は一度も無い。
ご丁寧に付属していた説明書にも目を通し、使い方も頭に入れてある。
だがこれまでの戦闘で魔王がカードデッキを使い、リュウガに変身した場面は一度も無い。
理由としては、デッキを使い変身するのは却ってピサロの力に枷を付けるのではないかという懸念があったからだ。
装甲を纏えば確かに耐久力は上げられるだろう。
しかし魔王のイメージとしては装甲を纏うと聞くと、どうしても鈍重な鎧を着こんだ姿を思い浮かべてしまう。
それではピサロの優れた身体能力を発揮するのに邪魔になるのではないか。
加えてもしこの未知の技術を用いた装甲を纏った際、魔法の使用にまで支障が出たら、ピサロの肉体は宝の持ち腐れも同然である。
だからイマイチ使う気も起きずデイパックの奥底へ放置していた。
装甲を纏えば確かに耐久力は上げられるだろう。
しかし魔王のイメージとしては装甲を纏うと聞くと、どうしても鈍重な鎧を着こんだ姿を思い浮かべてしまう。
それではピサロの優れた身体能力を発揮するのに邪魔になるのではないか。
加えてもしこの未知の技術を用いた装甲を纏った際、魔法の使用にまで支障が出たら、ピサロの肉体は宝の持ち腐れも同然である。
だからイマイチ使う気も起きずデイパックの奥底へ放置していた。
それでも使用を決めたのは、承太郎の能力を警戒しての事だ。
予めこちらの耐久力を引き上げておけば、もしあの力を使われても被害を最小限に留められる。
カードデッキの力がプラスとなるかマイナスになるかは賭けだったが、結果として見れば間違いなくプラスのほう。
鈍重どころか今まで以上に動きのキレが増し、魔法もこれまで通り使用可能
何より承太郎が使った奇妙な攻撃を受けても、ダメージこそゼロではないが十分戦闘可能な程度には防いでいる。
これならばもっと早くに使っていればと己の判断を悔やむが今更だ。
予めこちらの耐久力を引き上げておけば、もしあの力を使われても被害を最小限に留められる。
カードデッキの力がプラスとなるかマイナスになるかは賭けだったが、結果として見れば間違いなくプラスのほう。
鈍重どころか今まで以上に動きのキレが増し、魔法もこれまで通り使用可能
何より承太郎が使った奇妙な攻撃を受けても、ダメージこそゼロではないが十分戦闘可能な程度には防いでいる。
これならばもっと早くに使っていればと己の判断を悔やむが今更だ。
殺意に呼応し光を放つレッドアイが、承太郎達に最大限の警戒を抱かせた。
○
10人以上の参加者が入り乱れる戦場で、最も戦況が危ういのは誰か。
大多数がこう答えるだろう。
それは鬼舞辻無惨で間違いないと。
大多数がこう答えるだろう。
それは鬼舞辻無惨で間違いないと。
『HOLD VENT』
脚部の召喚機にカードを読み込ませ、ベルデはバイオワンダーを装備。
自らの契約モンスターの目を模した武器は、一般的な地球の生物以上の肉体強度を持つミラーモンスターにも有効打を与えられる。
動物系悪魔の実を食べたとはいえ、元がミーティの肉体である無惨も直撃すれば重症は免れない。
ワイヤーがしなり先端の本体が無惨の頭上より襲い来る。
全身の筋肉を余すところなく使い横っ飛びに回避、だが逃げた先でも脅威が待ち受けていた。
自らの契約モンスターの目を模した武器は、一般的な地球の生物以上の肉体強度を持つミラーモンスターにも有効打を与えられる。
動物系悪魔の実を食べたとはいえ、元がミーティの肉体である無惨も直撃すれば重症は免れない。
ワイヤーがしなり先端の本体が無惨の頭上より襲い来る。
全身の筋肉を余すところなく使い横っ飛びに回避、だが逃げた先でも脅威が待ち受けていた。
「せりゃあ!」
スコルピオワームのカギ爪だ。
マスクドライダーシステムの資格者を苦戦させる、成体ワームの中でも上位の能力を持つ個体。
こちらもベルデ同様今の無惨が相手をするには手が余る。
しかし無惨とてずっと逃げ回るだけに思考を費やしてはいない。
回避では無くあえて真正面からの突進を決行、背中スレスレの位置をカギ爪が通過したが斬られずに凌いだ。
腹部への衝撃に呻くスコルピオワーム、痛みこそ小さいが突き飛ばされ尻もちを付く。
数秒程度とはいえ一人に対してマウントは取れた。
と言っても、無惨が相手をしている他の二名は依然として自由に動けるままだ。
マスクドライダーシステムの資格者を苦戦させる、成体ワームの中でも上位の能力を持つ個体。
こちらもベルデ同様今の無惨が相手をするには手が余る。
しかし無惨とてずっと逃げ回るだけに思考を費やしてはいない。
回避では無くあえて真正面からの突進を決行、背中スレスレの位置をカギ爪が通過したが斬られずに凌いだ。
腹部への衝撃に呻くスコルピオワーム、痛みこそ小さいが突き飛ばされ尻もちを付く。
数秒程度とはいえ一人に対してマウントは取れた。
と言っても、無惨が相手をしている他の二名は依然として自由に動けるままだ。
「ドラララララララララァッ!!」
最も耳障りで腹立たしい声が無惨の耳に届き、否応なしに脳が茹で上がる。
殺してやりたい、その顔を引き裂き全身の肉を食い千切ってやりたい。
鬼とは違い人間の血液に不快感を示す肉体であっても、殺してやれるのなら些細な問題だと歪な歯を打ち鳴らす。
だがどれだけ思った所で鉄砲の掃射よりも激しい殴打の嵐を前にして、無惨がやれる事と言ったら回避一択。
一度距離を取るしかなかった。
殺してやりたい、その顔を引き裂き全身の肉を食い千切ってやりたい。
鬼とは違い人間の血液に不快感を示す肉体であっても、殺してやれるのなら些細な問題だと歪な歯を打ち鳴らす。
だがどれだけ思った所で鉄砲の掃射よりも激しい殴打の嵐を前にして、無惨がやれる事と言ったら回避一択。
一度距離を取るしかなかった。
次から次へと敵の増援が現れるこの状況。
無惨が本来辿る筈だった鬼殺隊との決戦と似ているのは果たして偶然か。
未来を見通す力までは有していない無惨からしたら、相も変わらぬ不快感に発狂しそうなのを抑えるので手一杯。
無理やりに動かし続けている事に多少の成果があったのか、放送前よりは肉体にも幾分慣れを覚えている。
尤も少し慣れた程度で好転するような現状ではなく、殺してやりたいミチルには爪も牙も届かない。
全く嬉しくないおまけとして、鬼の肉体には無縁だった疲労が蓄積しているのも非常に鬱陶しい。
いのちのたまのデメリットは容赦なく無惨の体力を削り、彼のストレス増大に一役買っていた。
更に無惨を苛立たせるのは、現在別の者と戦闘中であるキャメロットの存在。
放送前に片腕を失い、もう片方も使い物にならなくしてやったのは覚えている。
だというのに、そんな事実は最初から無かったとでも言わんばかりに両腕は綺麗なままではないか。
どんな小細工を使ったかは知らないが、鬼でもない小娘が短時間で負傷を完治させるなど気味が悪く、不愉快で仕方がなかった。
無惨が本来辿る筈だった鬼殺隊との決戦と似ているのは果たして偶然か。
未来を見通す力までは有していない無惨からしたら、相も変わらぬ不快感に発狂しそうなのを抑えるので手一杯。
無理やりに動かし続けている事に多少の成果があったのか、放送前よりは肉体にも幾分慣れを覚えている。
尤も少し慣れた程度で好転するような現状ではなく、殺してやりたいミチルには爪も牙も届かない。
全く嬉しくないおまけとして、鬼の肉体には無縁だった疲労が蓄積しているのも非常に鬱陶しい。
いのちのたまのデメリットは容赦なく無惨の体力を削り、彼のストレス増大に一役買っていた。
更に無惨を苛立たせるのは、現在別の者と戦闘中であるキャメロットの存在。
放送前に片腕を失い、もう片方も使い物にならなくしてやったのは覚えている。
だというのに、そんな事実は最初から無かったとでも言わんばかりに両腕は綺麗なままではないか。
どんな小細工を使ったかは知らないが、鬼でもない小娘が短時間で負傷を完治させるなど気味が悪く、不愉快で仕方がなかった。
不快感が絶頂に達しかけている無惨とは反対に、ミチルは自分達の勝利を確信していた。
ハルトマンを殺した白い弓兵の方へ行かせて欲しいとゲンガーに頼まれ、入れ替わりに手を貸してくれた緑の騎士。
自己紹介の暇も無く無惨が襲い掛かって来た為、名前も聞いていないが蓮達と一緒に来たのだから味方と判断して良いだろう。
彼との協力もあって自分達は無惨相手に戦いを有利に運んでいる。
最初は耀哉の死に嘆き苦しみ我を忘れているのだと勘違いした。
蓋を開けてみれば、豹の正体は耀哉が言っていた邪悪極まりない鬼。
アーマージャックのように他者を平然と蹴落とす外道とあっては、ミチルも手加減するつもりはない。
ハルトマンを殺した白い弓兵の方へ行かせて欲しいとゲンガーに頼まれ、入れ替わりに手を貸してくれた緑の騎士。
自己紹介の暇も無く無惨が襲い掛かって来た為、名前も聞いていないが蓮達と一緒に来たのだから味方と判断して良いだろう。
彼との協力もあって自分達は無惨相手に戦いを有利に運んでいる。
最初は耀哉の死に嘆き苦しみ我を忘れているのだと勘違いした。
蓋を開けてみれば、豹の正体は耀哉が言っていた邪悪極まりない鬼。
アーマージャックのように他者を平然と蹴落とす外道とあっては、ミチルも手加減するつもりはない。
(いける…いけるはず…!)
ベルデが振るったバイオワンダーを避けるも、またもやスコルピオワームが待ち受けている。
無惨も流石に分かっていたのか、スコルピオワームがカギ爪を振るうより先に前足を動かす。
銀の外殻にミーティの名残を覗かせる爪が突き立てられた。
猛獣の爪だろうと強度ならばワームの肉体の方が上。
それを否定するかの如くスコルピオワームの胴体に走る鋭い痛みは、いのちのたまの恩恵があってこそ。
ぎゃっ、と短い悲鳴がミチルにも聞こえて来た。
致命傷には程遠い為か即座に反撃に移りカギ爪を振るうが、察知し避けようと飛び退く無惨の方が速い。
無惨も流石に分かっていたのか、スコルピオワームがカギ爪を振るうより先に前足を動かす。
銀の外殻にミーティの名残を覗かせる爪が突き立てられた。
猛獣の爪だろうと強度ならばワームの肉体の方が上。
それを否定するかの如くスコルピオワームの胴体に走る鋭い痛みは、いのちのたまの恩恵があってこそ。
ぎゃっ、と短い悲鳴がミチルにも聞こえて来た。
致命傷には程遠い為か即座に反撃に移りカギ爪を振るうが、察知し避けようと飛び退く無惨の方が速い。
「黎斗さん!」
咄嗟に彼の名が口を突いて出る。
無惨との戦闘で会ったばかりの相手でも、殺し合いを止める志を共にした仲間だ。
負傷した仲間を気遣うのはおかしなことではない。
無惨との戦闘で会ったばかりの相手でも、殺し合いを止める志を共にした仲間だ。
負傷した仲間を気遣うのはおかしなことではない。
「なんだって?」
そうだ、その行為自体に不審な点は無い。
問題は口にした名前。
その名をスコルピオワームに向けて言うなど有り得ない。
問題は口にした名前。
その名をスコルピオワームに向けて言うなど有り得ない。
何せ黎斗という名は…
「待て、君はどうして私の名前を知っているんだ?いやそれより、何故あの怪人を黎斗と呼ぶ?」
「え……?えっと…え?あの、言ってる意味が…」
「…意味が分からないはこちらの台詞だ。檀黎斗がこの私以外のどこにいる」
「え……?えっと…え?あの、言ってる意味が…」
「…意味が分からないはこちらの台詞だ。檀黎斗がこの私以外のどこにいる」
この人は一体何を言っているんだろうか。
檀黎斗とは銀色の異形に姿を変えた白い服の青年の名前だろうに。
ついさっき本人がそう名乗っていた。
なのに目の前にいる緑の騎士に変身した人は、自分こそが檀黎斗だと言う。
困惑を表情に浮かべるが、向こうも仮面越しから戸惑いが感じられる。
嘘を吐いている?いや、こんな状況で嘘を吐く理由が見当たらない。
それに彼の反応は演技では無く素で困惑しているとしか思えない自然なものだ。
檀黎斗とは銀色の異形に姿を変えた白い服の青年の名前だろうに。
ついさっき本人がそう名乗っていた。
なのに目の前にいる緑の騎士に変身した人は、自分こそが檀黎斗だと言う。
困惑を表情に浮かべるが、向こうも仮面越しから戸惑いが感じられる。
嘘を吐いている?いや、こんな状況で嘘を吐く理由が見当たらない。
それに彼の反応は演技では無く素で困惑しているとしか思えない自然なものだ。
サッと顔が一気に青褪める。
同じような状況がついさっきも無かったか?
他人の名を騙り、自分はそれにまんまと騙された。
二度目は絶対に有り得ないと、どうして言い切れようか。
同じような状況がついさっきも無かったか?
他人の名を騙り、自分はそれにまんまと騙された。
二度目は絶対に有り得ないと、どうして言い切れようか。
「なら…」
檀黎斗が緑の騎士に変身した人なら、あの青年は誰だ。
弾かれたように視線を向け、
弾かれたように視線を向け、
「そっか…バレちゃたんだ」
感情の乗らない淡々とした声に、こちらを見つめる兜に隠された瞳の冷たさに、
全身を悪寒が駆け巡った。
全身を悪寒が駆け巡った。
「――っ!!」
マズい。
青年の正体が何なのかとか、どういうつもりで檀黎斗を名乗ったのかとか。
そういった疑問全部は後回しにするしかない。
動かなければ、青年が何かをするより早く行動に出なければ。
心臓が奏でる鼓動が異様に速くなり、体中に流れる汗が衣服を濡らす。
青年の正体が何なのかとか、どういうつもりで檀黎斗を名乗ったのかとか。
そういった疑問全部は後回しにするしかない。
動かなければ、青年が何かをするより早く行動に出なければ。
心臓が奏でる鼓動が異様に速くなり、体中に流れる汗が衣服を濡らす。
動け、動け、動け。
動かないと、死――――
動かないと、死――――
「クレイジー・ダイヤモンドさ
「クロックアップ」
○
「ぇ……?」
気が付いた時には全てが終わっていた。
視線の先には鉛色の空。
背中から伝わるのは冷えたアスファルトの硬さ。
背中から伝わるのは冷えたアスファルトの硬さ。
ややあって一番の変化に気付く。
胸が炙られているように熱い。
首を動かそうにもやけに億劫に感じられ、辛うじて両目で確認ができた。
胸が炙られているように熱い。
首を動かそうにもやけに億劫に感じられ、辛うじて両目で確認ができた。
赤。
ペンキでもぶち撒けたか、容器いっぱいのトマトジュースでも零したか。
それにしてはツンとした鉄の臭いが鼻孔を刺激する。
それなら答えは一つしかない。
ペンキでもぶち撒けたか、容器いっぱいのトマトジュースでも零したか。
それにしてはツンとした鉄の臭いが鼻孔を刺激する。
それなら答えは一つしかない。
(血…)
誰の、などと考えるだけで馬鹿馬鹿しい。
ついでに言うと、今も胸から溢れ出す量が何を意味するかも分かる。
お人好しで純粋過ぎる面があれど、頭の回転は非常に速い方だ。
だから、全てを理解するのは容易い。
ついでに言うと、今も胸から溢れ出す量が何を意味するかも分かる。
お人好しで純粋過ぎる面があれど、頭の回転は非常に速い方だ。
だから、全てを理解するのは容易い。
「いや……」
産屋敷耀哉が言い遺した狡猾な鬼。
生きていた頃の彼には何一つとしてしてあげられなかったが、せめて彼が最後まで心残りだったろう悪鬼を倒す事で手向けとする。
不可能だ。
生きていた頃の彼には何一つとしてしてあげられなかったが、せめて彼が最後まで心残りだったろう悪鬼を倒す事で手向けとする。
不可能だ。
「いや……」
会場のどこかへ転移させた勇気ある少年。
家族を失っても歯を食い縛って戦う彼の安否を確かめ、肩を並べて殺し合いの打破を目指す。
不可能だ。
家族を失っても歯を食い縛って戦う彼の安否を確かめ、肩を並べて殺し合いの打破を目指す。
不可能だ。
「こんなの……」
共に殺し合いに参加させられた少女。
家族の死を自分のせいだと責める彼女の心の傷を癒し、この先も友達でいたい。
不可能だ。
家族の死を自分のせいだと責める彼女の心の傷を癒し、この先も友達でいたい。
不可能だ。
何もできない。
誰かの痛みを消し去る事も、誰かの心の支えになる事も、全てが叶わない。
誰かの痛みを消し去る事も、誰かの心の支えになる事も、全てが叶わない。
「やだぁ…!」
犬飼ミチルは、ここで死ぬのだから。
○○○
雨が降っていた。
真っ赤な血も、絶望の涙も洗い流す。
そんな雨が、降り続けていた。