コンペロワイアル、第85話!!
前回(第63話)のあらすじ!!
森の中で迷子になっていたマリオ、ヨッシー、カズマの三人。
するとキノコを模した二体のNPCと出会う。
その二体を退ける過程でマリオ達は勇者、レム、ちひろの三人を新たに仲間にする。
そうして六人となった彼らは、とりあえず森からの脱出を図っていた。
そして――
前回(第63話)のあらすじ!!
森の中で迷子になっていたマリオ、ヨッシー、カズマの三人。
するとキノコを模した二体のNPCと出会う。
その二体を退ける過程でマリオ達は勇者、レム、ちひろの三人を新たに仲間にする。
そうして六人となった彼らは、とりあえず森からの脱出を図っていた。
そして――
「「Zzz……」」
マリオとヨッシーの二人は、それはそれは見事な寝姿を披露していた。
「寝るな――――っ!!」
そんな二人に蹴りでツッコミを入れるカズマ。
後ろではレムとちひろが呆れを通り越し、最早驚きの目で三人を見つめていた。
後ろではレムとちひろが呆れを通り越し、最早驚きの目で三人を見つめていた。
「悪い悪い、二十話くらい出番が無いとヒマでつい……」
「だからって寝るなよ!!」
「だからって寝るなよ!!」
カズマがマリオの弁明にキレていると、ここでちひろがあることに気付いた。
「ところで私達、どこに向かっているのでしょうか?」
「とりあえず森から出ようって話になったのでは?」
「とりあえず森から出ようって話になったのでは?」
ちひろの問いにヨッシーが返答するが、彼女は顔を青褪めながらこう続けた。
「私達、ちゃんと外に向かってますよね?」
「……それはちょっと分かりません」
「……それはちょっと分かりません」
ヨッシーには、ちひろの問いに自信をもって応えることはできなかった。
ここで唐突だが、本スレの>>1か、wikiにあるロワのルールのデイパックの箇所を見て欲しい。
以下に全文を記す。
以下に全文を記す。
【デイパック】
- 全ての参加者はゲーム開始後「デイパック」を渡される。以下中身。
- 地図:マップを印刷した安っぽい地図。
- 食料:インスタントラーメンと缶チューハイ(ストロングゼロ)×3個だけ。お湯は現地調達。
- ルールブック:基本ルールが書かれている紙。A4用紙。初回放送にて裏側に全参加者の氏名のみ浮き上がる。
- ランダム支給品:現実出展かフィクションのアイテム。最大3つ。
これをよく見れば分かるが、基本支給品の中に方位磁石の類はない。
すなわち、彼らには正確に方角を確かめる術がないのである。
すなわち、彼らには正確に方角を確かめる術がないのである。
「クソッ! せめてノズ〇スが支給されてたら良かったのに……」
「いや確かに、常に北を向くみたいなずかん説明文はありましたけど、何故にポ〇モン?」
「いや確かに、常に北を向くみたいなずかん説明文はありましたけど、何故にポ〇モン?」
現状のまずさにカズマが思わず毒づくが、内容がおかしいせいで思わずちひろがツッコミを入れてしまう。
するとここで、マリオが皆に向かって一喝した。
するとここで、マリオが皆に向かって一喝した。
「大丈夫だ! オレを信じてついてこい!!」
「おぉ~!」
「おぉ~!」
ドンと自分の胸を叩き、自信ありげに宣言するマリオ。
その堂々とした佇まいは、流石主人公にして歴戦の風格。
思わずヨッシーは手を叩いていた。
その堂々とした佇まいは、流石主人公にして歴戦の風格。
思わずヨッシーは手を叩いていた。
ガクガクガクガクガク
しかし膝は滅茶苦茶に震えていた。
元々迷子だったのだから、当たり前といえば当たり前である。
元々迷子だったのだから、当たり前といえば当たり前である。
「全然自信ねえじゃんか!?」
「うるせ――――――っ!!」
「うるせ――――――っ!!」
ツッコミを入れるカズマに逆ギレするマリオ。
不安要素は大いにあったが、他にアテもないのでとりあえずマリオについていくことになった。
それから数分後、実はH-6と森の外周部にいた彼らはあっさり脱出に成功した。
不安要素は大いにあったが、他にアテもないのでとりあえずマリオについていくことになった。
それから数分後、実はH-6と森の外周部にいた彼らはあっさり脱出に成功した。
「何とか脱出できましたね……」
「都合のいい展開で助かるぜ」
「いつまでも森で迷ってるだけなんて、絵面が地味ですしね」
「都合のいい展開で助かるぜ」
「いつまでも森で迷ってるだけなんて、絵面が地味ですしね」
ホッと息を吐くレムに対し、ギリギリアウトな発言をするマリオとヨッシー。
そしてこれからどっちに行くかを考えるも、一先ず近くにある施設へ向かうことにした。
そしてこれからどっちに行くかを考えるも、一先ず近くにある施設へ向かうことにした。
余談だが、H-6には勇者を除く彼ら五人が一度遭遇したマーダーであるパワーがおり、
カズマのものであるちゅんちゅん丸が支給され、また勇者が現在装備している剣と鎧の本来の持ち主である令嬢剣士の遺体がある。
しかし彼らは幸か不幸か、どちらとも遭遇することはなかった。
カズマのものであるちゅんちゅん丸が支給され、また勇者が現在装備している剣と鎧の本来の持ち主である令嬢剣士の遺体がある。
しかし彼らは幸か不幸か、どちらとも遭遇することはなかった。
そこからしばらくして、彼らは最も近い施設であるトマト・テンプルに到着する。
途中、ゴブリンが襲ってくることもあったが、勇者とレムの力と、ヨッシーの食欲によりあっさりと迎撃されていった。
途中、ゴブリンが襲ってくることもあったが、勇者とレムの力と、ヨッシーの食欲によりあっさりと迎撃されていった。
「俺ら出番ねえな」
「楽でいいじゃん」
「……いいんですかね?」
「楽でいいじゃん」
「……いいんですかね?」
あからさまに楽だと思うカズマとマリオ。
対して、一人これでいいのかと思うちひろだが、特に何かが起こることも無く、彼らは入っていった。
対して、一人これでいいのかと思うちひろだが、特に何かが起こることも無く、彼らは入っていった。
そして始まるのは情報交換。
お互い合流した時に少しだけしていたが、話したのはパワーのこととクッパのことくらいである。
トゲワンワンやアヌビス神がいたからそれについてだけは話したが、それ以外のことは何も話していない。
そうでなければ、レムとちひろにマリオ達三人が芸人だと思われることはなかっただろう。
お互い合流した時に少しだけしていたが、話したのはパワーのこととクッパのことくらいである。
トゲワンワンやアヌビス神がいたからそれについてだけは話したが、それ以外のことは何も話していない。
そうでなければ、レムとちひろにマリオ達三人が芸人だと思われることはなかっただろう。
「トリオの芸人さんじゃなかったんですね」
「しかもこの殺し合いが初対面だったなんて……」
「そんなことだと思ったよ畜生!!」
「しかもこの殺し合いが初対面だったなんて……」
「そんなことだと思ったよ畜生!!」
そしてその誤解がとけた時、カズマは思わず天を仰ぎながら叫んでいた。
初対面の人間にそんな誤解を受けるレベルで、マリオ達の影響を受けている自分に不安を覚えてしまったからだ。
初対面の人間にそんな誤解を受けるレベルで、マリオ達の影響を受けている自分に不安を覚えてしまったからだ。
「カズマのやつ、なんか大変そうだなモグモグ」
「ですねムシャシャ」
「ですねムシャシャ」
しかしカズマの嘆きなど関係なく、マリオとヨッシーは何やら食べながらぼんやりとその光景を眺めていた。
「おい、何食ってんだ二人とも?」
「それ私が渡したカニクリームコロッケです」
「それ私が渡したカニクリームコロッケです」
カズマが尋ねると、答えたのはちひろだった。
そう、マリオ達が食べているのは彼女に支給されたカニクリームコロッケだった。
そしてヨッシーの手には、最後の一個が握られている。
そう、マリオ達が食べているのは彼女に支給されたカニクリームコロッケだった。
そしてヨッシーの手には、最後の一個が握られている。
「あれ!? 十個以上あった筈なんですけど!?」
「ヨッシー! おれはそのコロッケ二個しか食ってないんだぞ!!」
「俺に至ってはまだ食ってねえよ!!」
「ヨッシー! おれはそのコロッケ二個しか食ってないんだぞ!!」
「俺に至ってはまだ食ってねえよ!!」
ちひろはヨッシーの食欲に驚き、マリオとカズマはこれ以上食べられてたまるかとヨッシーを抑えにかかる。
その後、紆余曲折の末にコロッケ最後の一個はカズマの胃袋に収まる。
その後、紆余曲折の末にコロッケ最後の一個はカズマの胃袋に収まる。
そうこうしているうちに、色々あったものの情報交換自体はつつがなく終わった。
「一度まとめてみるか」
カズマはそう言うと、手近な地面にさっきまでの情報交換の結果を簡単に纏めていた。
「まず名簿にいるそれぞれに知り合いがこんな感じで」
夢見りあむ、高垣楓、島村卯月、新田美波
ナツキ・スバル
アクア、ウィズ
ピーチ姫
ぉ姫様
クッパ姫
ナツキ・スバル
アクア、ウィズ
ピーチ姫
ぉ姫様
クッパ姫
「んで、この中で戦闘力が無いから心配なのが」
夢見りあむ、高垣楓、島村卯月、新田美波
ナツキ・スバル
ピーチ姫
ぉ姫様
ナツキ・スバル
ピーチ姫
ぉ姫様
「こうで、放っておいても大丈夫そうなのが」
アクア、ウィズ
クッパ姫
クッパ姫
「こうだな。まあアクアは違う理由でさっさと合流したいけどな」
「お姫様多いですね」
「クッパは違いますけどね」
「お姫様多いですね」
「クッパは違いますけどね」
カズマの簡単なまとめを見て、思わず率直な感想を零してしまうちひろと、それに対してコメントするヨッシー。
一方、今までの話に対しそこまで参加していなかったレムは、どこか訝し気な目でカズマを見つめていた。
一方、今までの話に対しそこまで参加していなかったレムは、どこか訝し気な目でカズマを見つめていた。
「どうしたんだ?」
レムの仲間を見つめる視線に気づいたマリオが、それとなく問いかける。
すると彼女は、遠慮がちにこう言った。
すると彼女は、遠慮がちにこう言った。
「マリオ様……
ただ、サトウ様のアクアという仲間が死者を蘇らせるほどの水魔法の使い手というのがどうにも……」
「成程、殺し合いなのに死んだやつを生き返らせることができる参加者はおかしいってことか……」
「いえそうではありませんが」
ただ、サトウ様のアクアという仲間が死者を蘇らせるほどの水魔法の使い手というのがどうにも……」
「成程、殺し合いなのに死んだやつを生き返らせることができる参加者はおかしいってことか……」
「いえそうではありませんが」
レムが疑わしく思っていること。
それは、カズマの語る仲間の話だった。
それは、カズマの語る仲間の話だった。
レムの常識では、青の称号を授かるほどのルグニカ随一の水魔法の使い手、フェリスであっても死者を蘇らせることはできない。
にも関わらず、カズマの仲間アクアはそれをこともなげに成すという。
正直、今一つ信じられなかったが、この状況で嘘を言うとも思えないので直接本人に言おうとは思わなかった。
にも関わらず、カズマの仲間アクアはそれをこともなげに成すという。
正直、今一つ信じられなかったが、この状況で嘘を言うとも思えないので直接本人に言おうとは思わなかった。
マリオは彼女の言葉をかなり違う方向に解釈してしまったが、それもまあ疑問の一つといえば一つなので、あまり深く否定しなかった。
「あ、人を疑うのはよくないと思います……」
「何で急にコミュ障になってんだよ!?」
「何で急にコミュ障になってんだよ!?」
そんなレムに対し、ここまで静観を貫いていた勇者が注意する。
しかし、なぜかやたらコミュ障のような話し方だったせいで、カズマは己への不信などどうでもいいとばかりにツッコミを入れていた。
それはそれとして、彼はレムに向けてこう話しかける。
しかし、なぜかやたらコミュ障のような話し方だったせいで、カズマは己への不信などどうでもいいとばかりにツッコミを入れていた。
それはそれとして、彼はレムに向けてこう話しかける。
「まあいきなり死者蘇生とか言われても胡散臭いよな。
気持ちはわかるけど、それアクアには言うなよ。ただでさえ自称女神の面倒くさい奴なんだから」
「自称女神……!?」
気持ちはわかるけど、それアクアには言うなよ。ただでさえ自称女神の面倒くさい奴なんだから」
「自称女神……!?」
ただでさえ胡散臭く思っている存在が女神を自称するという情報に、主であるロズワールやスバルを除いて変人慣れしていないレムの処理容量は限界だった。
というより、道化を演じているだけでロズワールもスバルも根は割とまともな部類である。
そんな相手しか知らない彼女に、本当の変人相手は少々荷が重い。
ここでそれを見かねたちひろが割り込んで、無理矢理話を変える。
というより、道化を演じているだけでロズワールもスバルも根は割とまともな部類である。
そんな相手しか知らない彼女に、本当の変人相手は少々荷が重い。
ここでそれを見かねたちひろが割り込んで、無理矢理話を変える。
「ところで、知っている人を探すにしても、これからどうしますか?」
「皆一緒じゃダメなのか?」
「いえ、私が一番知人が多いのにいうのもなんですけど、探す相手が十人もいますから。
別れた方が効率がいいんじゃないかと」
「皆一緒じゃダメなのか?」
「いえ、私が一番知人が多いのにいうのもなんですけど、探す相手が十人もいますから。
別れた方が効率がいいんじゃないかと」
話の矛先は、これからどうするかだった。
それに対し合いの手を入れるマリオだが、ちひろはチーム分けを提案する。
しかし、彼女は知らなかった。
マリオはここでもボケてくる、ギャグ漫画の人間であることを。
それに対し合いの手を入れるマリオだが、ちひろはチーム分けを提案する。
しかし、彼女は知らなかった。
マリオはここでもボケてくる、ギャグ漫画の人間であることを。
・・
「獣人?」
「十人でしょ――っ!!」
「いつ着替えたんですか!?」
「獣人?」
「十人でしょ――っ!!」
「いつ着替えたんですか!?」
いつの間にか狼男のコスプレに着替えたマリオに向かって、全力でツッコミを入れるヨッシーとちひろ。
その後ろでは、カズマがこんなことを考えていた。
その後ろでは、カズマがこんなことを考えていた。
(俺がツッコミ入れなくていいの、楽だな……)
カズマが思わずしみじみしている中、話はチーム分けする方へ向かっていきそうになるのだが、口にこそしないもののレムは内心で、これ以上変な人と行動するのは正直ちょっと嫌だった。
とはいえ口に出さない以上、誰も彼女の気持ちは察せられない。
まずは現状把握から。
とはいえ口に出さない以上、誰も彼女の気持ちは察せられない。
まずは現状把握から。
現在、戦えるのはちひろを除く五人。
しかしカズマの戦力は、戦える他四人に比べるとはっきり言って、かなり低かった。
以上を踏まえてカズマが出した結論はこれだ。
しかしカズマの戦力は、戦える他四人に比べるとはっきり言って、かなり低かった。
以上を踏まえてカズマが出した結論はこれだ。
「おらよ」
チーム1 チーム2
マリオ カズマ
ヨッシー レム
勇者 ちひろ
ヨッシー レム
勇者 ちひろ
「これ絶対戦力のこと考えてないでしょ――っ!!」
「あの、流石にどうかと思いますよ?」
「あの、流石にどうかと思いますよ?」
カズマのあらゆる意味で欲望丸出しなチーム分けに正論を言うヨッシーと、やんわり非難するちひろ。
正直これ以上マリオ達と付き合っていると、どんどん変な影響を受けそうなので離れたかったカズマだが、その野望はあえなく潰えた。
すると今度はレムがチーム分けを提案する。
正直これ以上マリオ達と付き合っていると、どんどん変な影響を受けそうなので離れたかったカズマだが、その野望はあえなく潰えた。
すると今度はレムがチーム分けを提案する。
「こうではいけませんか?」
チーム1 チーム2
マリオ レム
ヨッシー ちひろ
カズマ
勇者
ヨッシー ちひろ
カズマ
勇者
「まさかの男女別!?」
「お前これ、色物が自分と一緒にいるの嫌なだけだろ!? いやよく見ると俺も色物扱いかよ!?」
「お前これ、色物が自分と一緒にいるの嫌なだけだろ!? いやよく見ると俺も色物扱いかよ!?」
正直こういうこと言わなさそうなレムからの、まさかすぎる提案に驚くちひろ。
しかしカズマはこの分け方に、とりあえず色物を自分と違う方に分けようとしている、という意図を見抜いた。
しかしカズマはこの分け方に、とりあえず色物を自分と違う方に分けようとしている、という意図を見抜いた。
バツの悪そうな顔をするレムだが、ここで見かねたヨッシーが新たにチーム分けを提案した。
「こうですよ」
ちひろ
勇者 レム
カズマ ヨッシー マリオ
勇者 レム
カズマ ヨッシー マリオ
「ピラミッド!?」
「組体操かよ――っ!!」
「組体操かよ――っ!!」
最早チーム分けでも何でもなかった。
その後、ああでもないこうでもないと話し合う一行だが、最終的に最初出会った時の状態に戻すことになった。
すなわち、マリオ、ヨッシー、カズマ組と、ちひろ、レム、勇者組である。
そうして結論が纏まったと同時に――
すなわち、マリオ、ヨッシー、カズマ組と、ちひろ、レム、勇者組である。
そうして結論が纏まったと同時に――
ザッ
今までいなかった誰かの足音が、トマト・テンプルに響いた。