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  • このイカれた強欲と遭遇を!

コンペ・ロワイアル@ウィキ

このイカれた強欲と遭遇を!

最終更新:2022年05月03日 07:46

匿名ユーザー

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 皆が足音のした方を向くと、そこには二人の男女が立っている。
 男の方はごく普通だった。
 長くも短くもない白髪に、整っているものの目立たない顔立ち。
 体つきも中肉中背と、十把一絡げとしか言いようのない、群衆の中なら即座に埋もれてしまうような青年だ。

 対し、女性の方は顔立ち、スタイルともに整っており、赤を基調とした服装と、膝上十センチ以上に短いスカートが特徴的だ。
 どれほどの群衆の中にいたとしても、埋没することはないだろう。
 その女性を見て、勇者は思わず声をあげた。

「姫様! ご無事ですか!?」
「姫様?」

 勇者の言葉を聞き、思わずオウム返しをしてしまうちひろ。
 彼女には、勇者の言う姫がそれらしい服装をしているようには見えないのだ。
 正直、キャバ嬢と言われた方が違和感がない。

 レム達も似たようなことを思っている。
 だがレムからすれば、現状彼女が住む国の王族は全員亡くなっているうえ、王族との面識など一切ない。
 おまけに、彼女の主であり、宮廷魔術師のロズワールが普段からピエロのようなメイクをしているせいで、姫の服装についてツッコミを入れるほどの物かと思っていた。
 マリオ達も同様で、伊達に異世界や奇人変人慣れしていない。
 そういう物、という感覚で処理していた。

 一方、仲間達がそんな考えを巡らせているとは露とも思っていない勇者は、同行している青年に向けて感謝の念を述べる。

「よく来たな」
(よく来たなは違くね?)

 だが言葉のチョイスは最悪だった。
 勇者当人としては、危険な殺し合いの中ここまで姫様を守っていただき感謝します、位の意味合いなのだが、どう考えても伝わるわけがない。
 予想通り、苛立ったような素振りを見せながら青年は口を開く。

「あのさぁ。初対面の人間に対してそんな高圧的な態度はおかしくないかな? 
 君が僕の妻とどんな関係かは知らないけど、僕らはこの殺し合いの参加者という意味なら対等と言っても差し支えないと思うんだよ。
 おまけに君からすれば僕は恩人だろ? 別に感謝しろとか押し付けてるわけじゃないよ。そんな風に要求するのは僕の趣味じゃない。
 だけど、感謝するならそれ相応の態度があると思わないかい? 誰だっていきなり上から目線で話されたら嫌だって、考えたりしないのかい?
 もしかしたら君の周りではそれがまかり通ってたのかもしれないけど、そんなことがいつまでも続くと考えているようなら、僕は君と分かり合える気がしないな」

 青年の口から飛び出す長文に、一瞬だが気圧されてしまう一行。
 しかし、よくよく考えれば怒らせるだけの言動をしたのは勇者なので、とりあえず代表としてカズマが謝ることになった。

「何で俺!?」
「いや、何か慣れてそうなので……」

 確かにカズマの仲間が問題を起こした時、謝りに行くのは彼である。
 しかしまさかこんなところでもその役割になるとは、流石の彼も予測していなかった。

「あ、いやその……すまん。こいつ、悪い奴じゃないんだけど、言葉のチョイスがおかしいところがあってな」
「申し訳ありません」

 とはいえ仕方ないので何とか弁明するカズマと、横で素直に頭を下げる勇者。
 すると溜飲が多少下がったのか、青年は謝罪を受け入れた。

「そうだね。間違えたら謝罪する、それが大事なんだ。
 過ちを素直に認め受け入れ、次はしないように努める。簡単なことだろう?」

 お前も上から目線じゃね? とカズマは言いたくなったが、あえて問題を起こすことも無いかと思い、グッと堪えた。
 一方、青年は姫に一つ質問をする。

「ところで、君はこの男とどういう関係なのかな?
 いや、彼とどういう関係だったとしても、君と僕の愛は決して途切れないと信じているよ。僕らがあそこで出会ったのは運命だからね。
 だけど知人がいるのなら、関係を清算しておくのも必要なことだと考えているだけなんだ。
 それにもし、万が一だけど、君が処女じゃなかったとしたら、君が他の男に触れられているとしたら、流石の僕も君との付き合いを考え直さなきゃいけなくなる」

 一つの台詞の中で矛盾が生じ始める青年の言葉。
 それに対する姫の返答は、誰にとっても予想外の物だった。

「いいえ、私はこの方と会ったことはございません」
「はい?!?!?!?!?!?!」

 姫の返答に一番驚いたのは勇者だ。
 何せ、彼が彼女を攫ったデーモンを倒し、救い出した当人なのだから。
 にも関わらず知らないと言われたのは、流石の彼にも多大なショックを与えた。

 ただし、これはあくまで勇者視点の認識だ。
 姫の参戦時期は勇者に救出される前なので、彼とは事実一切面識がないのである。
 時間軸の違いが生んだ認識の差異である。

 一方、このやりとりを聞いた青年は少し違う解釈をした。

「面識はないんだね。ならよかった。
 彼女はこう言っているけど、君はおそらくキングダムの兵士か何かだろう。
 なら一兵卒の君が姫の目に留まることは、はっきり言って無いんじゃないかな?
 いや、別に恋人でもないのならそれでいいんだ。正直、僕の時は出会っていきなり告白されたからね。それを誰彼構わずやっているというのなら、流石に貞操観念を疑ってしまうよ。
 本来なら人の趣味にあれこれ口出しするなんてぶしつけかもしれないけど、おかしいことや間違っていると思うことに対して何も言わないのは、人としてどうかと思うからね。
 いくら僕が多くを求めず、平凡で当たり前の幸せさえあればいい人間だからと言って、無抵抗主義ではないんだ」

 青年は、勇者をただの兵士と解釈した。
 基本的に青年は他人が自分に嘘をつくとは思っていない。
 それでも矛盾が発生した時、彼はそれを自分の都合がいいように解釈するタイプの人間だった。

 そんな青年はふと、勇者の仲間に目をやる。
 別に深い意味があったわけでは無い。そういえばなんかいるな、位の感覚だった。
 やたらと個性的なメンツだが、彼が目を奪われたのは、彼の世界では珍しい黒髪のポニーテールの女性。
 千川ちひろだ。

 青年はちひろに向かって一歩一歩、悠然と歩いていく。
 やがて彼女の目の前で足を止めたとき、彼は彼女の顎をクイッと引き、一言。

「結婚しよう」
「    」
「……え?」
「はぁ?」

 あまりにも突然すぎる青年の結婚発言に対し、驚きのあまり絶句するちひろ。
 レムとカズマも傍目で見ながら、間の抜けた声をあげることしか出来ない。

「おれと!?」
「マリオさんじゃないですよ――っ!!」

 そしてそしてマリオはなぜかウェディングドレスを纏い、ヨッシーにツッコミを入れられていた。
 ちなみに勇者はさっきの姫の発言がショックなのか、特に反応しなかった。

 一方青年も、自分の発言が唐突な自覚があるのか、何やら語り始めた。

「ああ、突然の発言で驚かせたかな? ごめんね。その点については素直に謝罪するよ。僕は謝れる人間だからね。
 でも思うんだ。人と人の出会いは一期一会で、その中で運命の人と出会える可能性はどれだけだろうって。
 僕は本当はありふれていると思う。でもそれを見逃したり、あるいは些細な理由で口に出すのを躊躇ったりしているだけなんだよ。
 だけど運命の人と結ばれないのは僕だけじゃない、相手にとっても寂しいことだ。だから僕は気づいた時に迷うことなく口にしているのさ」
「あー……その、ちょっといいか?」

 高揚しているのか、やたら機嫌よく話す青年の言葉を挙手しながら遮るカズマ。
 彼としてはかなり珍しく、かなり引き気味の態度だ。
 一方、いきなり話の腰を折られた青年は機嫌を悪くしながらカズマを睨む。

「何かな? 今僕は気分よく喋っているんだけど、それを遮るって言うのはどういう了見なわけ?
 いや、別に話を聞かない自由はあると思うし、場合によっては遮らなきゃいけない時もあると思うよ。
 だけど今はどう考えても違うよね。火急の用があるわけでもないのに人の発言を遮るのは、正直育ちを疑ってしまうな。
 まあ、人は産まれや育ちを選ぶことは難しいから、仕方のないことかもしれないか。仕方のないこと、どうにもならないことは誰にでもあるよね。
 それをどうにかしようなんておこがましいことだ。人は下手に身の丈に余る欲望を持たず、今ある平凡を愛することが重要なんだ。
 なら寛大で無欲な僕は話を聞いてあげるよ、何?」
「お、おう……サンキュ」

 怒涛の長文が続くあまり完全に青年に呑まれているカズマだが、形だけ頭を下げると、即座に質問を繰り出す。
 それは彼の好奇心であり、これ以上話を聞いているとマズいのでは、という直感でもあった。

「お前の言う運命って、何で判断するんだ?」
「顔だよ。顔が可愛い。愛なんてそれが全てでしょ?」
「顔だけかよ――っ!!」

 カズマの質問に対し、青年は迷うことなく返答する。
 一方、ここまでギャグ漫画にあるまじき狂気を見せる青年にノーリアクションを貫いていたマリオだったが、ここでついにツッコミに走る。
 すると青年はマリオに向けて、まるで出来の悪い生徒に呆れる教師のような視線を向けながら、自身の発言の理由を説明し始めた。

「僕は思うんだけどさ、世の中勝手な人が多い気がするんだ。
 恋人や夫婦になった後に、愛が冷めて別れるなんてよく聞く話だろ?
 お互い愛し合って一緒になった筈なのに、やれ好みが合わない、生活習慣が合わない、趣味が合わない時間が合わない。
 そんな些細な理由で相手に幻滅して別れるような奴はクズだ。僕はそんな奴らが心底嫌いなんだよ」

 喋っているうちに怒りを覚えたのか、青年は顔を歪ませながら話を続ける。
 その様は正しく、愛の形を知らないものへと義憤が宿っていた。
 自分は正しいと、心から信じ切っていた。

「勝手なんだよ誰もかも。どうしてそんなちょっとしたことで幻滅するのかな。そんなことが馬鹿な話があっていいのか? おかしいじゃないか。
 だから僕は好きな相手は顔で選ぶ。好きな顔をしているのであれば、僕はその顔の持ち主がどんな子であっても幻滅なんてしないよ。
 だって顔が好きなんだから。その顔である限り、愛が冷めることなんて絶対ない。

 脱いだ服を片付けない人でも。子供を何人も殺した殺人鬼でも。料理が壊滅的に下手くそだろうと。
 親兄弟を借金のカタに売り飛ばしていようと。色移りする洗濯物が分けられない人でも。隠れて動物を殺すのが趣味な頭のおかしい人でも。
 服のセンスが最悪だろうと。金に汚い性根だろうと。風呂に入らなくて汚物みたいな臭いがしていても。
 世界の滅亡を本気で目論んでいようとも――僕は嫌わない」

 それは青年の知らない未来において、79番目の妻にしようとしたハーフエルフの少女に語った言葉だった。
 勿論、そんなことはこの場にいる誰も知らない。
 ただ話を聞いていた一同は理解する。目の前の青年は、何か途方もないほどの異常者だということを。

「ま、待ってください! そんな……私はまだ、あなたの名前も知らないのに……!!」

 ここで今までフリーズしていたちひろが、それとなく距離を取りながら、何とかもっともらしい理由でプロポーズを断ろうとする。
 しかし彼は拒絶されているとは夢にも思わず、穏やかな笑みで謝罪しながら話しを続けた。

「そうだね。お互いのことを知っていかなければならないのに、まさか一番大事な名前を教えるのを忘れていたよ。
 でもよく考えれば僕もまだ君の名前を知らないから、お互いさまと言っても問題ないよね。
 ああいや大丈夫、最初に名乗るのは僕だよ。人に名前を聞くならまずは自分から、というしね。
 君が自己紹介が苦手だとしても、僕のを参考にしてくれればそれでいい。これから夫婦になるんだ、それくらいの気遣いはするさ」

 そして青年は名乗る。
 それがどれほどの意味をもたらすか、知ることのないまま。

「僕は魔女教大罪司教、『強欲』担当。――レグルス・コルニアス。
 さあ、君の名前はなんていうの――」
「はあああっ!!」

 レグルスの名前を聞いた瞬間、ここまでほぼ沈黙を貫いていたレムが、トゲワンワンを振りかざし、そのまま彼の頭に振り下ろした。
 彼女にとって、魔女教とはそうするだけの存在。
 魔女教は、彼女の元の世界では見つけ次第殺すことが常識となっている程の危険な組織。
 おまけに、彼女からすれば幼少期に自身の故郷を滅ぼした仇でもある。

 そして何より、こんな危険人物を生かしておけば、いずれレムの愛しい人であるスバルに危害が及ぶことは確実だ。
 ならばこそ、彼女が武器を振るわない理由はもう何一つ存在しなかった。

 とはいえ、何も知らない者がはたで見ていればいきなりの凶行ではある。
 だが誰も何も言えなかった。止めようと思えなかった。
 マリオにヨッシー、カズマに勇者に加え、戦いとは無縁の日常を送っていたちひろさえも。
 それほどまでに、レグルスの在り方は『怪物』だった。

 しかしそんなこと、レグルスには一切理解できない。
 自身を常識人と心から信じる彼からすれば、いきなり攻撃してくる少女など野蛮以外の何物でもない。

「いきなり攻撃なんて穏やかじゃないね。どんな親に育てられたらこうなってしまうのか心底疑問だよ。
 相手に気にくわないことがあっても、まずは言葉で対処するのが知性あるものの務めだと僕は思うんだ。
 だってそうだろう。動物や虫にも序列や決まりがあって、それを守って生きているんだから。
 ならば僕らもそうするべき、いやそれ以上に理性的に生きるべきだ。
 もしかして力が全ての蛮族の生まれなのかな? ならばそんなメイド服を着て仕事するような場所に馴染めるわけ無いから、一刻も早く辞めた方がお互いの為だよ。
 社会とは理性で成り立つべきだ。暴力の入る隙間なんてもの、あってはならないからね」

 トゲワンワンを頭に受けたにも関わらず、何一つ減ることのないレグルスの言葉。
 防いだのではない。受け止めたわけでもない。
 だけど彼は無傷だった。血はおろか、土埃一つついていなかった。

「にもかかわらず君は暴力で僕を排除しようとする。
 何が気に入らなかったのかは分からないし、もう知りたくもないけど、僕には、いや誰しもが生きる権利を有しているはずだ。
 にも関わらず奪おうとするということは、それは相手の人生への侵害だ。
 無欲で理性的な僕に対する、僕の権利の侵害だ」

 殴られたことには意にも介さず、話し続けたレグルス。
 しかしもう語ることはない、とばかりに彼は右足を振り上げようとする。
 なんて事のないはずの動作。だが異様な何かを感じたレムは、自身のデイバックから以前確認していたものを取り出しながら、ちひろに向かって叫んだ。

「ちひろ様! あれを!!」
「は、はい!!」

 レムに言われてちひろは咄嗟にデイバックに手を伸ばし、あるものを取り出す。
 それは黒い帽子だった。

 次の瞬間、レグルスが足を振り上げると同時に、彼を中心とした数十メートル一帯に衝撃が走った。

 しかしレムは衝撃が届くより先にデイバックから取り出したものを、近くにいた勇者に使う。
 そしてちひろもまた、帽子を一番近くにいたヨッシーに被せる。

 辺りに立ち込める土煙。
 やがてそれが晴れたとき、一行は無事な姿を現した。
 ただし、勇者とヨッシーをレグルスに向けて押し出し、残りの四人が盾にした状態で。

「どうして僕に……」
「私達をいきなり盾にしないでくださいよ――っ!! というか――」

 いきなり盾にされたことを嘆く勇者と、怒るヨッシー。
 更に言うなら、勇者は普段通りだがヨッシーはそうではなかった。

「なんで私だけやたらカチコチなんですか――――っ!?」

 カズマは、石になったかのように固まっていた。
 それは一行が無事なことに加えて、レムとちひろが使った支給品に秘密がある。

 まず、レムが使用したのはフィジカル軟膏というものだ。
 効果は、味方に使用すると一度だけ物理攻撃を反射するバリアを張る。
 これで勇者はレグルスの衝撃波を反射したのだ。
 しかし、盾が一人ではあの広範囲に及ぶ衝撃波は防ぎきれなかった。

 そこで次に、ちひろがヨッシーに被せた帽子が生きてくる。
 これはストーンぼうしと言うもので、被せると三ターン動けなくなる代わりにダメージを受けなくなる効果を持つ。
 これをヨッシーに被せることで、残る四人はレグルスの攻撃を防げたというわけだ。

「やってくれたね……」

 そしてレグルスも無事だった。傷跡はおろか、彼の体にも服にも土埃一つついていない。
 反射されたはずの自身の攻撃も何一つ彼に影響を及ぼさない。
 一方、彼は誰一人殺せなかったという結果に苛立ちを隠せなかった。

「どうやって防いだかは知らないけど、まさか勝てるなんて思っていないよね?
 まあ分からないか。なら分かるようにやってせて、言って聞かせて、示してあげるよ。
 僕はね、争いは嫌いなんだ。人を傷つけたり、逆に傷つくことで楽しむ人間なんて理解が及ばない。
 初期の魔女教にはこんな言葉がある。『頬を打たれたなら、反対の頬を差し出して、その上で理由を問いなさい』だ。
 実にいい言葉だと思う。話し合いの大切さを説いている。相手が暴力を振るってきても、話し合いの意思を失ってはならないと言っている。
 だけど僕はこう思うんだ。世の中、話し合いだけでは解決できないこともある。いや、話し合いという機能を失っている人間が一定数いるんだ。
 そんな相手はもう、力で解決するしかない。
 僕の手はちっぽけで、私財を守るのが精一杯の小さな人間だけど、愛し合うもの同士を引き裂こうとすることは、

 ――いかに無欲な僕でも、許せないな」

 最早見慣れてきた長台詞を繰り出すレグルスだが、一行は最早聞いていなかった。
 代わりに返答として、マリオはヨッシーを投げ飛ばす。

「行け――――――っ!!」
「ひええぇ――――――っ!!」

 マリオに投げ飛ばされたヨッシーは一直線にレグルスに向けて飛び、そして直撃する。
 だがやはりダメージを与えることはなく、ヨッシーはレグルスに激突したと同時に地面に落ちた。

 ガッ

 そのヨッシーをレグルスは即座にマリオ達に向けて蹴り飛ばす。
 すると、ヨッシーはマリオが投げたよりも明らかに速く、彼らの後方へと飛んで行った。
 これを見たカズマがこっそり皆に話しかける。

「なあ、あいつひょっとして、何かバリアみたいなものを張ってるんじゃないか?」
「なるほどな。ならそのバリアを何とか止めないとな。
 止める……止める……ストップ……」

 カズマの言葉を聞いて何やらブツブツ呟き始めるマリオだが、やがて彼はデイバックからあるものを取り出し、そのままレグルスに向けて投げつけた。

「ストッパ!!」
「下痢止めじゃねーか!!」

 当然だが、マリオの投げつけたそれがレグルスに通じる訳もなく、哀れストッパは彼に踏みつぶされた。

「ああっ! おれの支給品が!!」
「支給品だったんですか!?」
「馬鹿にしているのかな?」

 ストッパを壊され嘆くマリオに驚くちひろ。
 そして苛立ちを隠せないレグルス。

「僕はこれでも本気で怒っているんだ。それなのにこの対応は最早人を馬鹿にしているとしか思えないよ。
 人の本気には本気で応える。それが人同士のあるべき姿じゃないのかな?
 まさか道化を演じればやる気が削がれて許してもらえると考えているわけじゃないよね。
 いくら僕が個で完結している満たされた人間だからって、そんなその場しのぎの考えが通じるほど甘いつもりは流石にないんだけど?
 それともそれが君の本気なのかな? だとしたら怒りとかじゃなくて純粋にこう思うよ。どうかしてる」
「うるせ――っ!! おれは本気だ!!
 こちとらこれで三十年間やってきたんだよ!!」
「いや本当によくやってこれましたよね……」

 レグルスの発言に反論するマリオ。
 更には、いつの間に戻って来たのか、ヨッシーがしみじみとマリオの発言に頷いていた。
 するとカズマがある可能性にふと思い至る。

「そうだ! あのパワーが持ってて俺らがスティールしたあの刀……名前なんだっけ?
 とにかく、あれ使えばバリアを抜けられるかもしれねえ!!」

 カズマが思い至ったのは、今はマリオのデイバックに入っているアヌビス神のことである。
 アヌビス神がマリオのハンマーや服をすり抜けている場面を、カズマは今思い出した。
 なので彼はマリオのデイバックへ勝手に手を伸ばし、中からアヌビス神を引き抜いた。

「頼む。お前の力が必要なんだ! えっと……アクビ神!!」
『アヌビスだよ!! 何だその眠そうな名前は!?』

 名前を間違えられてキレるアヌビス神だったが、カズマがレグルスについて説明していくと、徐々に機嫌を直していった。
 どういうことか聞いてみると、アヌビス神は得意気に答えてくれた。

『おれは人が斬れればなんでもいいんだよ!』
「ざっくりしすぎだろ……まあいいか。
 それより、さっき言ったこと忘れんなよ」
『おう。あいつの体は傷がつかねえから、何かバリアみたいなのを張ってるかもしれねえって奴だろ。
 安心しろ! このアヌビス神に斬れないものなど、何ひとつありはしねェ――――――――――ッ!!』

 アヌビス神の返答に呆れるカズマだが、ともかくレグルスを倒すべく斬りかかれる距離までこっそり移動する。
 一方その頃、マリオとヨッシーはなぜか漫才をしていた。

「面白い話をしてやる!
 この前見かけた犬が全身真っ白でな……」
    ・・・・
「そりゃ尾も白いでしょうが!!」
「何ですかこの光景……」

 二人の漫才を見て戸惑うレム。
 だがレグルスは苛立ちの余り、右腕を振るって真空波をマリオに向けて放った。
 真空波は一直線にマリオの首目掛けて進み、一時彼の首から上が消失するのだが――

「ふぅ~ビックリした~」
「カメですかあんたは!?」

 実は首を体内に引っ込めていただけなので事なきを得た。
 その直後、カズマがレグルスにアヌビス神を両手で握り、振り上げて斬りかかった。

「うおおおおおおおお!!」
「はあ……まだ分からないの? 不完全で未完結な君達の攻撃は、完全で完結している僕には届かないってことがさ」

 カズマの攻撃を見て呆れ果てたような表情をするレグルス。
 彼には、敵が勝機を見出していることなど想定すらしていなかった。

 ズバッ!!

 そしてレグルスの予想とは異なり、カズマの振るったアヌビス神が、肉を裂く音が辺りに響く。
 ただし、裂かれたのはレグルスではない。

「え、あ、あぁ……」
「はぁ!?」

 切り裂いたカズマの戸惑いと怯え、レグルスの驚きの声が聞こえる。
 なぜなら、切り裂かれたのは――

「大……丈夫で……すか? ゆう……しゃさ、ま……」

 レグルスの前に飛びだし、正面で彼を庇ったぉ姫様だから。

「な、何で……」

 なぜぉ姫様がレグルスを庇ったのか分からないカズマ。
 それは庇われた当人も同じだったが、あまりにも突然すぎる展開なのかもはや言葉すら出てこない。
 そして庇ったぉ姫様は、自身の血で汚れた手を必死にレグルスへ向けて伸ばしながら、最期の言葉を口にした。

「勇者……様、どう……か…ご無事……で……」

 これと同時に、ぉ姫様の手はレグルスの首輪に触れ、そして終わる。
 彼女の行動の意味を彼女自身が語ることは、決してないままに。

【ぉ姫様@ファイナルソード 死亡】
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