牛飼い娘は考える。ディアボロは様子を見る。
どちらも動きを止めてしまうという、不毛ともいえるこの状況。
この停滞を裂いたのはディアボロだった。
どちらも動きを止めてしまうという、不毛ともいえるこの状況。
この停滞を裂いたのはディアボロだった。
「女。名簿上は確か……牛飼い娘だったか」
「なんで……!?」
「なんで……!?」
ディアボロが自分の名前、正しくは名前ではないが、を呼んだことに驚く牛飼い娘。
ゴブリンスレイヤーと書かれている彼ならば気づいてくれるかもしれないが、それを知っているのは彼女が遭遇したひろしや瞳など五人だけだ。
もしかしてこのディアボロが、ここにはいない蜜璃達になにかしたのだろうか。
ゴブリンスレイヤーと書かれている彼ならば気づいてくれるかもしれないが、それを知っているのは彼女が遭遇したひろしや瞳など五人だけだ。
もしかしてこのディアボロが、ここにはいない蜜璃達になにかしたのだろうか。
「おそらく貴様はこう考えているだろう。
もしやこの男はミツリやクロちゃん、変なおじさんに手荒な真似をして情報を聞き出したのではないか、とな」
「!?」
もしやこの男はミツリやクロちゃん、変なおじさんに手荒な真似をして情報を聞き出したのではないか、とな」
「!?」
己の考えを読まれ動揺した牛飼い娘は、思わずショックガンをディアボロに突きつける。
暴挙ともいえる振る舞いだが、突きつけられている当人は動揺することなく、両手を上にあげて無抵抗の意思を見せ、むしろ突きつけている側を落ち着けにかかった。
暴挙ともいえる振る舞いだが、突きつけられている当人は動揺することなく、両手を上にあげて無抵抗の意思を見せ、むしろ突きつけている側を落ち着けにかかった。
「落ち着け。そして貴様の考えにはノーと答えよう。
貴様も私の所業について聞いているのだろうが、悪人だからと言って殺し合いに安易に乗るわけではない。
その証拠に私は今、貴様に何もしていない」
「……」
貴様も私の所業について聞いているのだろうが、悪人だからと言って殺し合いに安易に乗るわけではない。
その証拠に私は今、貴様に何もしていない」
「……」
ディアボロの言葉に何かを返すことなく、牛飼い娘の対応は変わらない。
それに対して彼は特に何もリアクションせず、ただ淡々と話を進める。
それに対して彼は特に何もリアクションせず、ただ淡々と話を進める。
「……まあいい。別に私は貴様と仲良しこよしがしたいわけではないからな。
ただ一つだけ忠告したかっただけだ」
「忠告?」
「貴様はおそらくプレザントパークに戻ろうとしているのだろうが、やめておけ。
あそこは殺し合いに乗っている怪物に襲撃され、ミツリがその怪物の足止めを買って出て、あとは散り散りに逃げ出したのだ。
おそらくミツリは生きてはいまい。後を追いたくなければ、別の場所を目指すんだな」
「そんな……!?」
『おはよう。四時間半ぶりだな、参加者の諸君』
ただ一つだけ忠告したかっただけだ」
「忠告?」
「貴様はおそらくプレザントパークに戻ろうとしているのだろうが、やめておけ。
あそこは殺し合いに乗っている怪物に襲撃され、ミツリがその怪物の足止めを買って出て、あとは散り散りに逃げ出したのだ。
おそらくミツリは生きてはいまい。後を追いたくなければ、別の場所を目指すんだな」
「そんな……!?」
『おはよう。四時間半ぶりだな、参加者の諸君』
ディアボロの言葉に衝撃を受ける牛飼い娘。
そのショックも止まぬままに、ミルドラースの放送が始まる。
禁止エリアは問題ない。
近くの場所が一つ呼ばれていたが、禁止エリアになるのは四時間後。気を付けていれば大丈夫だろう。
だが呼ばれた死者についてはそうはいかない。
そのショックも止まぬままに、ミルドラースの放送が始まる。
禁止エリアは問題ない。
近くの場所が一つ呼ばれていたが、禁止エリアになるのは四時間後。気を付けていれば大丈夫だろう。
だが呼ばれた死者についてはそうはいかない。
『ひろし』
『甘露寺蜜璃』
『甘露寺蜜璃』
蜜璃については、先にディアボロから聞かされていたこともあってショックはそこまでなかった。
信じきれなかったことが、事実として確定しただけ。
ひろしについても、覚悟はしていた。
銃で撃たれ、魔物に襲われ、牛飼い娘は彼を置いて這う這うの体で逃げ出したのだ。
生きているとは思えなかった。
信じきれなかったことが、事実として確定しただけ。
ひろしについても、覚悟はしていた。
銃で撃たれ、魔物に襲われ、牛飼い娘は彼を置いて這う這うの体で逃げ出したのだ。
生きているとは思えなかった。
実際はそこから更にひと悶着あったのだが、それを知るすべは今の彼女にはない。
そして知ったところで結果は変わらない。
そして知ったところで結果は変わらない。
「そっか……」
だがそれでも、牛飼い娘は打ちひしがれる。
辛い。
出会ってから僅かな時間しか経ってないとはいえ、仲間だった人の死が辛い。
叔父の牧場を手伝っている間に滅んだ故郷は、いつの間にか無くなったとしか思えなかったのに。
この島の極限状況が、さっき起きた戦いが、そんな逃げを許してくれない。
もしや彼は、ゴブリンスレイヤーと呼ばれる幼馴染は、ずっとこんなものを抱えていたのだろうか。
たった一人で、故郷が滅んでいくところを見届けた当事者として。子供のころから今も、これからも。
辛い。
出会ってから僅かな時間しか経ってないとはいえ、仲間だった人の死が辛い。
叔父の牧場を手伝っている間に滅んだ故郷は、いつの間にか無くなったとしか思えなかったのに。
この島の極限状況が、さっき起きた戦いが、そんな逃げを許してくれない。
もしや彼は、ゴブリンスレイヤーと呼ばれる幼馴染は、ずっとこんなものを抱えていたのだろうか。
たった一人で、故郷が滅んでいくところを見届けた当事者として。子供のころから今も、これからも。
「ふむ……」
一方、ディアボロは放送を冷静に分析しようとしていた。
禁止エリアにも、死者の名前にも思うところはない。
甘露寺蜜璃の脱落は痛手だが、覚悟していたことだ。
しいて言うならホル・ホースがこの段階で脱落したのには驚いたが、いくら生き残りを優先したところで、自分が遭遇した金髪の男のような相手と出会っていれば、脱落は免れないだろう。
最後のオグリキャップが後付けのように呼ばれたことは疑問だが、おそらく現状では答えが出ないだろう、と一旦流すことにした。
それよりも気になることが、眼前にあるからだ。
禁止エリアにも、死者の名前にも思うところはない。
甘露寺蜜璃の脱落は痛手だが、覚悟していたことだ。
しいて言うならホル・ホースがこの段階で脱落したのには驚いたが、いくら生き残りを優先したところで、自分が遭遇した金髪の男のような相手と出会っていれば、脱落は免れないだろう。
最後のオグリキャップが後付けのように呼ばれたことは疑問だが、おそらく現状では答えが出ないだろう、と一旦流すことにした。
それよりも気になることが、眼前にあるからだ。
「……おい、さっきから気になっていたんだが、そのメイド。確かヒトミだったか?
私が聞いていた話とまるで違うぞ。どうなってるんだ」
「えっと……」
私が聞いていた話とまるで違うぞ。どうなってるんだ」
「えっと……」
ディアボロは瞳について牛飼い娘を問いただす。
蜜璃達から聞いた話だと、今一つ何を考えているのか分からない部分もあるが、ひろしを主と呼ぶ従順で強い女、というような評価だったはずだ。
しかし今の彼女は違う。
まるで迷子の幼児がやっと見つけた母親から離れまいとするように牛飼い娘の服の裾をの掴んでいるだけで、こちらのことなど見向きもしない。
蜜璃達から聞いた話だと、今一つ何を考えているのか分からない部分もあるが、ひろしを主と呼ぶ従順で強い女、というような評価だったはずだ。
しかし今の彼女は違う。
まるで迷子の幼児がやっと見つけた母親から離れまいとするように牛飼い娘の服の裾をの掴んでいるだけで、こちらのことなど見向きもしない。
疑問に思うディアボロに対し、牛飼い娘は三人でプレザントパークから出発した後の経緯を話す。
三人でしばらく歩いていると、いきなり白い服を着た金髪の男に襲撃されたこと。
男に対し瞳ともう一人いた仲間、ひろしの二人が対処し、自分は見守るしかできなかったこと。
男から三人で逃げ出した後、それに瞳が怒り牛飼い娘を殺そうとするも、ひろしに庇われたこと。
直後、巨大なNPCに襲われ自身が殺されかけるも、さっき自分たちを襲撃した男がそのNPCと戦い始めたこと。
その後、打って変わった様子で一人泣く瞳を助け、今ここにいること。
三人でしばらく歩いていると、いきなり白い服を着た金髪の男に襲撃されたこと。
男に対し瞳ともう一人いた仲間、ひろしの二人が対処し、自分は見守るしかできなかったこと。
男から三人で逃げ出した後、それに瞳が怒り牛飼い娘を殺そうとするも、ひろしに庇われたこと。
直後、巨大なNPCに襲われ自身が殺されかけるも、さっき自分たちを襲撃した男がそのNPCと戦い始めたこと。
その後、打って変わった様子で一人泣く瞳を助け、今ここにいること。
「なるほど」
牛飼い娘の話を聞き終えたディアボロは、静かに頷く。
しかし頷きつつも、彼の心には疑問があった。
彼女たちを襲撃した男やNPCは今どうなっているのか。
そしてなぜ、牛飼い娘は瞳をかばい助けようとしているのか、と。
まあ最後に関しては分からないが、ブチャラティと同じようなタイプなのかもしれない、と辺りをつける。
しかし頷きつつも、彼の心には疑問があった。
彼女たちを襲撃した男やNPCは今どうなっているのか。
そしてなぜ、牛飼い娘は瞳をかばい助けようとしているのか、と。
まあ最後に関しては分からないが、ブチャラティと同じようなタイプなのかもしれない、と辺りをつける。
瞳の凶行については、ディアボロはある程度予想を立てていた。
彼は極端なほどに他者を信じない男ではあるが、他人が分からない男でない故に。
粕谷瞳という女は、要するにただの独りよがりだ。
どんな理由があるかは知らないが、『メイドとしてご主人様に奉仕する』ことに酔っているだけだ。
例えるなら、カルトに嵌った狂信者のように。
出会ったばかりのひろしをご主人様に選んだことにも、何らかの基準はあれどそこまで深い理由はないのだろう。
だから牛飼い娘をひろしの意思を無視して殺害しようとする。
そうすることがご主人様にとって有益だと信じるが故に。
彼は極端なほどに他者を信じない男ではあるが、他人が分からない男でない故に。
粕谷瞳という女は、要するにただの独りよがりだ。
どんな理由があるかは知らないが、『メイドとしてご主人様に奉仕する』ことに酔っているだけだ。
例えるなら、カルトに嵌った狂信者のように。
出会ったばかりのひろしをご主人様に選んだことにも、何らかの基準はあれどそこまで深い理由はないのだろう。
だから牛飼い娘をひろしの意思を無視して殺害しようとする。
そうすることがご主人様にとって有益だと信じるが故に。
(無能な働き者、と言ったところか。部下には欲しくない手合いだな)
ひろしのように手元に置いて制御するのは難儀するだろう。
仮に自分が使うなら、遊撃だろうか。
適当に単独行動させ、殺し合いに乗っているか、明らかな足手まといを切り捨てさせる役だ。
ついでに情報でも持って帰ってくれば儲けものだが、途中で野垂れ死にしようが一切こちらの懐は痛まない。
使い捨てには最適だ。
仮に自分が使うなら、遊撃だろうか。
適当に単独行動させ、殺し合いに乗っているか、明らかな足手まといを切り捨てさせる役だ。
ついでに情報でも持って帰ってくれば儲けものだが、途中で野垂れ死にしようが一切こちらの懐は痛まない。
使い捨てには最適だ。
(まあ今のコイツにはそれすらできないだろうが――いや待て)
ここでディアボロは自身に支給されたマインドホンについて思い至る。
確か、あれに収録された音楽を参加者に聞かせ続けると正気を失い、デジヘッドと呼ばれる怪物のようなものに変化するらしい。
デジヘッドが何かよく分からないが、参加者に益をもたらすものではないだろう。
ならば、瞳をそれに変化させて適当に殺し合いに乗っている参加者にけしかければ、ちょうどいい捨て駒にできるのではないか。
敵が減ろうが瞳が死のうが、どちらになろうが損はないのだから。
だが問題はある。
まず、デジヘッド化に成功したとて、思い通りに動かない可能性がある。
そもそもデジヘッドが分からない以上、想定とは違う挙動を覚悟しなければならない。
まあこれに関しては、瞳は実験台扱いでもいい。どう動くのか分かれば、瞳がどうなろうと次に生かせるだろう。
確か、あれに収録された音楽を参加者に聞かせ続けると正気を失い、デジヘッドと呼ばれる怪物のようなものに変化するらしい。
デジヘッドが何かよく分からないが、参加者に益をもたらすものではないだろう。
ならば、瞳をそれに変化させて適当に殺し合いに乗っている参加者にけしかければ、ちょうどいい捨て駒にできるのではないか。
敵が減ろうが瞳が死のうが、どちらになろうが損はないのだから。
だが問題はある。
まず、デジヘッド化に成功したとて、思い通りに動かない可能性がある。
そもそもデジヘッドが分からない以上、想定とは違う挙動を覚悟しなければならない。
まあこれに関しては、瞳は実験台扱いでもいい。どう動くのか分かれば、瞳がどうなろうと次に生かせるだろう。
そしてもう一つ。
まずそんな状況を牛飼い娘が見過ごすはずないのだ。騙してやろうにも、どう話せばマインドホンをつけたままにできるというのか。
まずそんな状況を牛飼い娘が見過ごすはずないのだ。騙してやろうにも、どう話せばマインドホンをつけたままにできるというのか。
(殺してしまうか?)
実のところ、ディアボロが牛飼い娘を殺すことで生じるデメリットは少ない。
原作知識を持つクロちゃん経由でディアボロの知識を持つ者は現状七人。
この内彼視点では、クロちゃん、りあむ、変なおじさんはひとまず自身を殺し合いに乗っていないと判断している。
蜜璃、ひろしは死亡。瞳は正気を失っている。
ならばディアボロを知り、警戒しているのは牛飼い娘のみ。
ひとまず話はできているが、殺し合いに乗っていないと思わせられたかと言われると疑問が残る。
もし仮にここから別行動すれば、どんな悪評をばらまかれるかと考えると離れるのに抵抗がある。
ならば連れ歩くのかと問われると、ディアボロとしては否定したい。
ただでさえスタンドが使えない中、戦闘力のない一般人とそれ以下の何もできないメイドを引き連れるなど愚の骨頂だ。
原作知識を持つクロちゃん経由でディアボロの知識を持つ者は現状七人。
この内彼視点では、クロちゃん、りあむ、変なおじさんはひとまず自身を殺し合いに乗っていないと判断している。
蜜璃、ひろしは死亡。瞳は正気を失っている。
ならばディアボロを知り、警戒しているのは牛飼い娘のみ。
ひとまず話はできているが、殺し合いに乗っていないと思わせられたかと言われると疑問が残る。
もし仮にここから別行動すれば、どんな悪評をばらまかれるかと考えると離れるのに抵抗がある。
ならば連れ歩くのかと問われると、ディアボロとしては否定したい。
ただでさえスタンドが使えない中、戦闘力のない一般人とそれ以下の何もできないメイドを引き連れるなど愚の骨頂だ。
(だが殺すのにしてもどうする?)
手元に武器はない。スタンドも使えない。
首でも締めるか? 馬鹿馬鹿しい。抵抗されるにきまってるうえに、流石にヒトミかNPC辺りが介入してくるだろう。
ならば仕方ない。ここは一旦諦めてうまく自分の都合のいいように誘導するしか――
首でも締めるか? 馬鹿馬鹿しい。抵抗されるにきまってるうえに、流石にヒトミかNPC辺りが介入してくるだろう。
ならば仕方ない。ここは一旦諦めてうまく自分の都合のいいように誘導するしか――
「あっ」
すると目の前で奇跡が起きた。
悪魔に微笑むはずのない慈愛の天使が、神の祝福が下りてきたようにディアボロは感じた。
悪魔に微笑むはずのない慈愛の天使が、神の祝福が下りてきたようにディアボロは感じた。
起きたことは簡単に説明できる。
牛飼い娘が持っていた散弾銃を、手を滑らせ落としたのだ。
持ちなれない武器の上、鉄火場に慣れていない牧場で働く少女なのだから、無理もないだろう。
だがそれは、よりにもよって悪魔の前で起きてはならない出来事だった。
牛飼い娘が持っていた散弾銃を、手を滑らせ落としたのだ。
持ちなれない武器の上、鉄火場に慣れていない牧場で働く少女なのだから、無理もないだろう。
だがそれは、よりにもよって悪魔の前で起きてはならない出来事だった。
ダッ
落ちていく散弾銃めがけてディアボロが走る。
それを見て危険を感じた牛飼い娘もまた散弾銃を拾おうとするが、先に拾ったのはディアボロだった。
彼は即座に散弾銃を構え、そして――
それを見て危険を感じた牛飼い娘もまた散弾銃を拾おうとするが、先に拾ったのはディアボロだった。
彼は即座に散弾銃を構え、そして――
パンッ
撃った。
乾いた発砲音を響かせ、銃弾は牛飼い娘の腹部を貫く。
乾いた発砲音を響かせ、銃弾は牛飼い娘の腹部を貫く。
「え、あ……」
腹部からあってはならないほどの血が流れる。
咄嗟に両手で抑えようとするも、それは血をせき止める栓にはなりえない。
だから終わる。彼女の命は消えていく。
咄嗟に両手で抑えようとするも、それは血をせき止める栓にはなりえない。
だから終わる。彼女の命は消えていく。
「瞳さん……にげ、て……」
「いや……いや……! いかないで……! しんじゃ、やだぁ!!」
「いや……いや……! いかないで……! しんじゃ、やだぁ!!」
立ってられずドサリと倒れこんだ牛飼い娘は、瞳に逃げるよう促す。
しかし瞳はただ彼女の体を必死に揺すり、生を懇願のみ。
ならばもう牛飼い娘の行いに意味はない。
勇気も救済も、全て悪魔に飲まれて消えていく。
しかし瞳はただ彼女の体を必死に揺すり、生を懇願のみ。
ならばもう牛飼い娘の行いに意味はない。
勇気も救済も、全て悪魔に飲まれて消えていく。
(おじさん、ごめんなさい……)
死にゆく牛飼い娘が思い起こすのは、世話になっている牧場の主にして自身の叔父。
故郷が滅んだ自身を引き取り、男手一つで育て上げてくれた。
それだけじゃなく、今はゴブリンスレイヤーと呼ばれる彼を住まわせてくれた。
故郷が滅んだ自身を引き取り、男手一つで育て上げてくれた。
それだけじゃなく、今はゴブリンスレイヤーと呼ばれる彼を住まわせてくれた。
(冒険者ギルドの皆……)
次に思い返すのは仲良くなった冒険者の人々と、ギルドの受付嬢。
ここ一、二年ほどで距離が縮まり、一緒に遊んだり時には、エルフの結婚式にも行った。
そんな友人たち。
そして最後に――
ここ一、二年ほどで距離が縮まり、一緒に遊んだり時には、エルフの結婚式にも行った。
そんな友人たち。
そして最後に――
(私、もう君の帰る場所にはなれないや……)
ゴブリンスレイヤーと呼ばれる、牛飼い娘の幼馴染。
何もかも変わり果てたように見えても、それでも傍に居たかった。
帰る場所になり続けたかった。
だがそれはもうできない。
もう二度と、彼にシチューを作ってあげられない。
何もかも変わり果てたように見えても、それでも傍に居たかった。
帰る場所になり続けたかった。
だがそれはもうできない。
もう二度と、彼にシチューを作ってあげられない。
「ごめ、んね……」
謝罪の言葉を最後に、牛飼い娘はこの世を去る。
それが誰に向けての言葉だったのかは、少女も悪魔も知ることはできない。
それが誰に向けての言葉だったのかは、少女も悪魔も知ることはできない。
【牛飼い娘@ゴブリンスレイヤー 死亡】
【残り69名】
【残り69名】
「なんで……」
「女。大人しくしろ。そうすれば命くらいは助けてやる」
「女。大人しくしろ。そうすれば命くらいは助けてやる」
牛飼い娘の死に打ちひしがれる瞳の背中に散弾銃を突きつけるディアボロ。
もしひろしが生きていれば、メイドでいられたならばこうなったとて、彼女は逆転しスタンドが使えないディアボロなど十二分に対処できただろう。
だが今の彼女にそんな力はない。
抗う胆力はある。だが気力はない。
ディアボロが突きつけている散弾銃に、そして彼が見せる冷徹な眼差しに覚えるばかり。
彼が見せるそれは、かつて己を誘拐した男よりも、更に冷たいものだ。
嗜虐も好色もない、ただ使い捨てる道具を見つめるものだった。
それが、瞳には何より恐ろしく思えた。
もしひろしが生きていれば、メイドでいられたならばこうなったとて、彼女は逆転しスタンドが使えないディアボロなど十二分に対処できただろう。
だが今の彼女にそんな力はない。
抗う胆力はある。だが気力はない。
ディアボロが突きつけている散弾銃に、そして彼が見せる冷徹な眼差しに覚えるばかり。
彼が見せるそれは、かつて己を誘拐した男よりも、更に冷たいものだ。
嗜虐も好色もない、ただ使い捨てる道具を見つめるものだった。
それが、瞳には何より恐ろしく思えた。
「まずは移動するぞ」
ディアボロの言葉に従い、瞳達は牛飼い娘の死体から離れる。
その間に手にあるキノコがなんなのか聞いてきたので、彼女は嘘偽りなく答えた。
聞いたディアボロは躊躇なくそれを奪い取り、また牛飼い娘のデイパックも拾い、中身を確認しながら移動する。
やがて死体が見えないくらいの位置まで移動した後、そこで彼はデイパックからマインドホンを取り出し、瞳に付けた。
その間に手にあるキノコがなんなのか聞いてきたので、彼女は嘘偽りなく答えた。
聞いたディアボロは躊躇なくそれを奪い取り、また牛飼い娘のデイパックも拾い、中身を確認しながら移動する。
やがて死体が見えないくらいの位置まで移動した後、そこで彼はデイパックからマインドホンを取り出し、瞳に付けた。
「それから流れる曲を黙って聞いていろ」
それだけ言ってディアボロは散弾銃を瞳に向けつつ少しずつ距離を開けていく。
彼の行動の意味が理解できないが、訝しむほどの頭も働かず、彼女は黙って曲を聞いていた。
彼の行動の意味が理解できないが、訝しむほどの頭も働かず、彼女は黙って曲を聞いていた。
『感情表現の強制パレード』
マインドホンから流れるのは、激しい曲調と、それに押しも押されぬほどに激しい破壊の衝動を示す歌詞。
もしこの曲を参加者の神楽鈴奈が聞けば、ウィキッドの制作したコスモダンサーだと知っていることだろう。
もしこの曲を参加者の神楽鈴奈が聞けば、ウィキッドの制作したコスモダンサーだと知っていることだろう。
争いと破壊を所望する様は、まるでこの殺し合いを肯定しているようで。
だけど、寄る辺も支えも失った瞳にとっては、乾いた砂に落ちる水のように染み渡る。
だけど、寄る辺も支えも失った瞳にとっては、乾いた砂に落ちる水のように染み渡る。
染まる。
染みる。
己の心とは違うはずなのに、なぜか深く心に刻まれる。
まるでこれこそが本当に望んだものなのだと。
染みる。
己の心とは違うはずなのに、なぜか深く心に刻まれる。
まるでこれこそが本当に望んだものなのだと。
壊す。
壊す。
全てを壊す。
壊れてしまえ。
どうせこの世界に壊れてはいけないものなど、何もないのだから。
壊す。
全てを壊す。
壊れてしまえ。
どうせこの世界に壊れてはいけないものなど、何もないのだから。
◆
ここでデジヘッドについて少し話をしておこう。
デジヘッドとは、メビウスという仮想世界においては『μ』あるいは『オスティナートの楽士』の狂信者、
リドゥという仮想世界においては『リグレット』あるいは『オブリガードの楽士』の狂信者である。
これら二つの仮想世界の住人はストレス耐性が無く、自身が崇めているμなどを悪く言われるのが我慢ならない。
その為、仮想世界であるという点も合わせて、異形化しμなどを悪く言う者へ襲い掛かるのだ。
崇めるモノの良さを知らしめるために。
デジヘッドとは、メビウスという仮想世界においては『μ』あるいは『オスティナートの楽士』の狂信者、
リドゥという仮想世界においては『リグレット』あるいは『オブリガードの楽士』の狂信者である。
これら二つの仮想世界の住人はストレス耐性が無く、自身が崇めているμなどを悪く言われるのが我慢ならない。
その為、仮想世界であるという点も合わせて、異形化しμなどを悪く言う者へ襲い掛かるのだ。
崇めるモノの良さを知らしめるために。
だがこのコンペロワにおいては必ずしもそうではない。
神楽鈴奈という元々メビウスの人間であるという事実を踏まえても、本来デジヘッドになることはない存在だった。
しかしペニーワイズというメビウスにもリドゥにも関係ない参加者の手により、デジヘッドとなり、更には楽士でもない者に操られるマリオヘッドとなった。
神楽鈴奈という元々メビウスの人間であるという事実を踏まえても、本来デジヘッドになることはない存在だった。
しかしペニーワイズというメビウスにもリドゥにも関係ない参加者の手により、デジヘッドとなり、更には楽士でもない者に操られるマリオヘッドとなった。
ならば鈴奈以外の参加者もまた、デジヘッドとなる可能性があるのではないか。
このコンペロワの会場がメビウス或いはリドゥ、もしくはそれに類似する仮想世界かは現状不明だが、参加者がデジヘッドと成りえる事実が観測された以上、成るのだ。
このコンペロワの会場がメビウス或いはリドゥ、もしくはそれに類似する仮想世界かは現状不明だが、参加者がデジヘッドと成りえる事実が観測された以上、成るのだ。
だが粕谷瞳には本来のデジヘッドが持つ、μの良さを知らしめるという目的がない。
なにせμもリグレットもいない世界の住人なのだ。良さを知るも何もない。
ならば瞳の目的とは何か。
それはマインドホンに収録されたコスモダンサーに影響される。
なにせμもリグレットもいない世界の住人なのだ。良さを知るも何もない。
ならば瞳の目的とは何か。
それはマインドホンに収録されたコスモダンサーに影響される。
マインドホンには洗脳能力がある。
曲を聞かせ続けることで、現実への帰属意識が芽生えようともμの信者へと一気に戻る。
ならば何もかもを失った者が聞けばどうなるか。
恐ろしいほどの勢いでのめり込むだろう。
さっきまで何も知らなかった参加者であろうとも、あっという間にデジヘッドへとオーバードーズするほどに。
曲を聞かせ続けることで、現実への帰属意識が芽生えようともμの信者へと一気に戻る。
ならば何もかもを失った者が聞けばどうなるか。
恐ろしいほどの勢いでのめり込むだろう。
さっきまで何も知らなかった参加者であろうとも、あっという間にデジヘッドへとオーバードーズするほどに。
そんなことが起こりえるのか、という疑問もあるだろう。
だがここは起こりえない事象が起こりえる魔境、コンペロワの会場。
起きる。
起きるのだ。
ならばこそ断言しよう。
だがここは起こりえない事象が起こりえる魔境、コンペロワの会場。
起きる。
起きるのだ。
ならばこそ断言しよう。
粕谷瞳は、デジヘッドとなった。
◆
「あれがデジヘッドか……」
離れたところから瞳を眺めているディアボロが思わず呟く。
彼の視界には、黒い鎧とも甲虫ともつかないような姿へと変わっていく瞳の姿がある。
もし神楽鈴奈がマリオヘッドとなる前ならば、見覚えのあるデジヘットを見て驚くことだろう。
だがディアボロにとってはここからが本題だ。
彼の視界には、黒い鎧とも甲虫ともつかないような姿へと変わっていく瞳の姿がある。
もし神楽鈴奈がマリオヘッドとなる前ならば、見覚えのあるデジヘットを見て驚くことだろう。
だがディアボロにとってはここからが本題だ。
(このデジヘッドは果たしてどう動くのか)
理想は自分の指示通りに動く手駒だが、そうならなかったとしても別にいい。
所詮は実験。ならないのならそれなりの使い道を選ぶまで。
そう考えていたディアボロだったが――
所詮は実験。ならないのならそれなりの使い道を選ぶまで。
そう考えていたディアボロだったが――
シュッ
「なっ!? 何ィィィィ――――――――――ッ!?」
気づけば、彼の眼前にはデジヘッドと化した瞳の姿があった。
その彼女は拳を振るい、ディアボロの命を奪わんとする。
その彼女は拳を振るい、ディアボロの命を奪わんとする。
(は、速い! ポルナレフのシルバーチャリオッツと比べても遜色ないほどの速さだ!!
これがデジヘッドというものなのか!?)
これがデジヘッドというものなのか!?)
瞳の身体能力の高さに驚きを隠せないディアボロ。
メビウスの帰宅部がカタルシスエフェクトを発現した時、彼らは普通の人間の筈なのに明らかにそれを超越した動きを見せる。
ならば、敵対できるデジヘットもそれに相応しい身体能力を持ってしかるべきだろう。
もっとも、ここまでの動きができるのは粕谷瞳という人間の元々の運動能力あってこそではあるが。
メビウスの帰宅部がカタルシスエフェクトを発現した時、彼らは普通の人間の筈なのに明らかにそれを超越した動きを見せる。
ならば、敵対できるデジヘットもそれに相応しい身体能力を持ってしかるべきだろう。
もっとも、ここまでの動きができるのは粕谷瞳という人間の元々の運動能力あってこそではあるが。
「このディアボロを舐めるなッ!!」
瞳の拳を必死に回避しながら、ディアボロは牛飼い娘のデイパックからあるものを取り出す。
わざわざ拾ったのだから、中身を確認するのは当たり前のこと。
そしてこの状況は何が起こるか確かめる実験なのだから、当然襲い掛かられることも計算している。
なので彼は迷わない。
彼がデイパックから取り出したのは、小さな袋。
その袋の口を開け、ディアボロは瞳に投げつける。
すると、辺りに甘い匂いが漂った。
わざわざ拾ったのだから、中身を確認するのは当たり前のこと。
そしてこの状況は何が起こるか確かめる実験なのだから、当然襲い掛かられることも計算している。
なので彼は迷わない。
彼がデイパックから取り出したのは、小さな袋。
その袋の口を開け、ディアボロは瞳に投げつける。
すると、辺りに甘い匂いが漂った。
この袋の名前はにおいぶくろ。
とある世界群において、魔物を引き付ける匂いを持った不思議な粉が入った小袋である。
とある世界群において、魔物を引き付ける匂いを持った不思議な粉が入った小袋である。
辺りに甘い匂いが漂った途端、どこからともなくNPCが集まってくる。
四方世界のゴブリン。
ハイラルのボコブリン。
アリアハンのおおがらす。
キノコ王国のチョロプーなどなど。
それらの群れが、一番匂いのついた瞳へと向かっていく。
四方世界のゴブリン。
ハイラルのボコブリン。
アリアハンのおおがらす。
キノコ王国のチョロプーなどなど。
それらの群れが、一番匂いのついた瞳へと向かっていく。
「今だ!!」
そんな瞳の姿を背にし、ディアボロは逃げ出した。
傍から見れば無謀な逃亡。
しかし当の瞳はNPCにかまけ、それどころではない。
傍から見れば無謀な逃亡。
しかし当の瞳はNPCにかまけ、それどころではない。
魔物は集う。
されど悪魔は逃げる。
それに気づかず、デジヘッドは戦い始めるのだった。
されど悪魔は逃げる。
それに気づかず、デジヘッドは戦い始めるのだった。
◆
時は少し遡り、場所はB-4。
サーニャが火傷になったラッドを治療していたころ、放送が鳴り響いた。
とはいえ、情報は多いもののそもそも三人の知人など紫のレミリアくらいのもの。
なのでサーニャと勇者は、三十人という退場者の多さに心を痛めつつも、動きや感情に大きな動揺は見られなかった。
そして紫はミルドラースの放送について思考する。
サーニャが火傷になったラッドを治療していたころ、放送が鳴り響いた。
とはいえ、情報は多いもののそもそも三人の知人など紫のレミリアくらいのもの。
なのでサーニャと勇者は、三十人という退場者の多さに心を痛めつつも、動きや感情に大きな動揺は見られなかった。
そして紫はミルドラースの放送について思考する。
(色々と変な放送ね)
禁止エリアや死者については別にいい。
三十人という人数が多いか少ないかは、人によって感想が変わりそうではあるが、紫にとってはまあそんなものだろう、といったところだ。
殺し合いである以上モチベーションの理由はどうあれ、乗り気な参加者はある程度いるはず。
そうでなければ一致団結して反逆することも、満更ありえない話でもないだろう。
だが疑問はある。
三十人という人数が多いか少ないかは、人によって感想が変わりそうではあるが、紫にとってはまあそんなものだろう、といったところだ。
殺し合いである以上モチベーションの理由はどうあれ、乗り気な参加者はある程度いるはず。
そうでなければ一致団結して反逆することも、満更ありえない話でもないだろう。
だが疑問はある。
(何で名前を呼ばれた死者の中で、オグリキャップとかいう参加者だけ後から付け足されたのか)
単なる記録ミスか読み飛ばしならそれでもいい。
だが参加者に情報を与える機会で、そんなミスをそうそうするだろうか。
細心の注意を払ってしかるべきのはずだ。
なにかある、とは思う。そういえば――
だが参加者に情報を与える機会で、そんなミスをそうそうするだろうか。
細心の注意を払ってしかるべきのはずだ。
なにかある、とは思う。そういえば――
(死者、とは言ってないわね)
ミルドラースは参加者の名前を呼んでいく時に退場とは言ったが、死亡したとは言っていない。
すなわち――
すなわち――
(生きたまま脱出した参加者がオグリキャップで、しかも運営がそれを許容している?
それとも運営に何らかの不都合が発生して、追い出した?)
それとも運営に何らかの不都合が発生して、追い出した?)
だとすれば、後から呼ばれたオグリキャップには何か秘密があったのだろうか、と紫は推測する。
名簿を見る限り、サーニャと同じくオグリキャップには同じ世界の参加者はいないようなので、調べるなら遭遇した参加者を探らなければならないだろう。
正直、ただでさえ情報が足りない自分たちには難題だ。
あまり深く考えすぎず、出会った参加者に聞く程度が精々だろう。
それよりも大きな疑問がある。
名簿を見る限り、サーニャと同じくオグリキャップには同じ世界の参加者はいないようなので、調べるなら遭遇した参加者を探らなければならないだろう。
正直、ただでさえ情報が足りない自分たちには難題だ。
あまり深く考えすぎず、出会った参加者に聞く程度が精々だろう。
それよりも大きな疑問がある。
(香霖堂、移転したのね)
あの店に閑古鳥が鳴くのはいつものことだが、だからと言って無理矢理土地を変えるとは。
というか、移動させるくらいならなぜ最初にそんな隅の方に設置したのか。
まさか私達と一番最初に会わせたかったわけでもあるまいし。
というか、移動させるくらいならなぜ最初にそんな隅の方に設置したのか。
まさか私達と一番最初に会わせたかったわけでもあるまいし。
などと思考を巡らせる紫。
しかしそれもここまでとなる。なぜならば――
しかしそれもここまでとなる。なぜならば――
「紫さん! 勇者さん! この人が目覚めました!!」
「……うるっせぇなあ、畜生」
「……うるっせぇなあ、畜生」
喜びを隠さないサーニャとは対照的に、煩わしさを感じながら上半身を起こすラッド。
彼が何気なく辺りを見回すと最初に目に入るのは、サーニャ、勇者、紫といずれもタイプの違う美少女たち。
三人を見た彼は何気なく呟く。
彼が何気なく辺りを見回すと最初に目に入るのは、サーニャ、勇者、紫といずれもタイプの違う美少女たち。
三人を見た彼は何気なく呟く。
「随分見栄えのいい地獄だなオイ」
「そこは天国じゃないかしら?」
「天国に行けるタマじゃなくてな」
「そう。なら地獄の獄卒より麗しい現世の私達に見惚れなさいな」
「生憎ロリータの趣味はねえんだ。
それに俺には愛する婚約者がいるんでな。浮気はしねえ」
「……とりあえず元気そうですね」
「そこは天国じゃないかしら?」
「天国に行けるタマじゃなくてな」
「そう。なら地獄の獄卒より麗しい現世の私達に見惚れなさいな」
「生憎ロリータの趣味はねえんだ。
それに俺には愛する婚約者がいるんでな。浮気はしねえ」
「……とりあえず元気そうですね」
いきなり始まる紫とラッドのテンポのいい会話に入れないサーニャは、元気そうな様子を見て一先ず安心する。
一方、ラッドはまたも辺りを見回し、目に入った打擲の剛激手の死体を見て思わず感嘆する。
一方、ラッドはまたも辺りを見回し、目に入った打擲の剛激手の死体を見て思わず感嘆する。
「オイオイオイオイなんだよなんだよ!
あんだけ強かったバケモンがよ、ハムみたいに真っ二つかよ!!
じゃあこれやった奴はこう思ってんのか!? 俺はこんなに強いからこの殺し合いでも絶対死なねえってよ!!」
「それは、ちょっと思えないかな……」
あんだけ強かったバケモンがよ、ハムみたいに真っ二つかよ!!
じゃあこれやった奴はこう思ってんのか!? 俺はこんなに強いからこの殺し合いでも絶対死なねえってよ!!」
「それは、ちょっと思えないかな……」
テンションが上がっていくラッドに対し、冷や水を浴びせるような一言を呟く勇者。
それに対しラッドは訝し気な目を向けた。
それに対しラッドは訝し気な目を向けた。
「アレ倒したのはボクなんだけど、えっと、手柄を横取りしちゃってごめんなさい」
「謝る必要はないわ。
狩場が決まってるわけでもなしに、獲物を奪われる方が悪いのよ」
「……クソムカツク正論だな金髪の嬢ちゃん。俺がキレて殺しにかかるとか思わねえのか?
それともまさか、てめえら全員死なねえとでも思ってんのか?」
「そんなボロボロかつ、あなたが負けた怪物を倒した人がいる状況で、武器もないなあなたに私達が負けるとは、少なくとも現時点だと思えないわね。
仮に隠し玉があったとしても、それをデイパックから出させる気はないわ」
「チッ」
「謝る必要はないわ。
狩場が決まってるわけでもなしに、獲物を奪われる方が悪いのよ」
「……クソムカツク正論だな金髪の嬢ちゃん。俺がキレて殺しにかかるとか思わねえのか?
それともまさか、てめえら全員死なねえとでも思ってんのか?」
「そんなボロボロかつ、あなたが負けた怪物を倒した人がいる状況で、武器もないなあなたに私達が負けるとは、少なくとも現時点だと思えないわね。
仮に隠し玉があったとしても、それをデイパックから出させる気はないわ」
「チッ」
紫の適切な現状分析に、ラッドは思わず舌打ちをする。
とはいえ勇者の話の途中なので、それ以上は何も言わず続きを促す。
とはいえ勇者の話の途中なので、それ以上は何も言わず続きを促す。
「それで、そんだけ強くてもえらく臆病な理由は何かあんのか?」
「単純に、この殺し合いの最初に遭遇しただけだよ。
ボクより強い化け物にね。正体はよく分かんないけど」
「ほーん……」
「単純に、この殺し合いの最初に遭遇しただけだよ。
ボクより強い化け物にね。正体はよく分かんないけど」
「ほーん……」
勇者の言葉を聞き、ラッドはすんなり納得する。
ほうれん草を食べたポパイでも倒せなさそうな化け物を、倒せる参加者でも勝てない参加者がいる。
聞いてみれば単純な話だ。これでも自分は死なないと思えるのなら、そいつはお花畑ではなく化け物だろう。
もしかしたらだが、この殺し合いの参加者の中では自分は弱い方なのかもしれない。
そう思うと、ラッドとしては腹立たしいばかりではあるが。
ほうれん草を食べたポパイでも倒せなさそうな化け物を、倒せる参加者でも勝てない参加者がいる。
聞いてみれば単純な話だ。これでも自分は死なないと思えるのなら、そいつはお花畑ではなく化け物だろう。
もしかしたらだが、この殺し合いの参加者の中では自分は弱い方なのかもしれない。
そう思うと、ラッドとしては腹立たしいばかりではあるが。
「さて、それじゃせっかくだし、何か知っていることでも話してもらおうかしら」
そんなラッドの心情を知ってか知らずか、紫は彼は殺し合いに関する情報を求める。
とはいえ、彼が持っている情報は多くない。
最初に瞳と遭遇した後、打擲の剛激手と遭遇し、再び瞳と一戦交えた後に打擲の剛激手と戦って敗れる。
これがコンペロワでのラッドの軌跡である。
強いて言うなら瞳が名前を呼んでいたひろし、牛飼い娘の名前と外見くらいなら分かるが、人物像があまり分からないうえにひろしは既に死んでいる。
とはいえ、彼が持っている情報は多くない。
最初に瞳と遭遇した後、打擲の剛激手と遭遇し、再び瞳と一戦交えた後に打擲の剛激手と戦って敗れる。
これがコンペロワでのラッドの軌跡である。
強いて言うなら瞳が名前を呼んでいたひろし、牛飼い娘の名前と外見くらいなら分かるが、人物像があまり分からないうえにひろしは既に死んでいる。
「その瞳って、どんな人かしら?」
「最初はチェーンソーで散弾銃とやり合うキレたメイドだったぜ。
なのに次会ったらいきなり迷子のガキみてえに泣きじゃくってやがった」
「よく分かんないんだけど」
「こっちに聞かれても知らねえよ」
「最初はチェーンソーで散弾銃とやり合うキレたメイドだったぜ。
なのに次会ったらいきなり迷子のガキみてえに泣きじゃくってやがった」
「よく分かんないんだけど」
「こっちに聞かれても知らねえよ」
紫たちがとりあえず合流を目指していた粕谷瞳にラッドが遭遇していたので、人物像を聞いてみるもよく理解できない三人。
これ以上話していても埒が明かなさそうなので、一先ず次の行動方針を考えようかと思うが――
これ以上話していても埒が明かなさそうなので、一先ず次の行動方針を考えようかと思うが――
ガサガサガサガサ
なにやら近くの草むらが揺れ始める。
すると次の瞬間、ゴブリンがそこから飛び出してきた。
とはいえ四人に襲い掛かることはなく、彼らに目もくれず逃げ出していく。
その理由はすぐに分かる。
すると次の瞬間、ゴブリンがそこから飛び出してきた。
とはいえ四人に襲い掛かることはなく、彼らに目もくれず逃げ出していく。
その理由はすぐに分かる。
ザッ
なぜなら、即座に新手が現れたからだ。
銀髪ツインテールのメイドが、ゴブリンをすさまじい速度で追っていた。
この殺し合いでメイド服など、彼女しか着用ていない。
それに一度遭遇しているラッドからすれば、彼女が粕谷瞳だとすぐに理解できる。
もっとも、いつの間にか纏っている黒い鎧のような物に関しては認知の外だが。
銀髪ツインテールのメイドが、ゴブリンをすさまじい速度で追っていた。
この殺し合いでメイド服など、彼女しか着用ていない。
それに一度遭遇しているラッドからすれば、彼女が粕谷瞳だとすぐに理解できる。
もっとも、いつの間にか纏っている黒い鎧のような物に関しては認知の外だが。
「随分話と違うようね」
「そいつは悪かったな。だけどそんなこと言ってる暇はなさそうだぜ」
「そいつは悪かったな。だけどそんなこと言ってる暇はなさそうだぜ」
ラッドの言葉を皮切りにしたのか、それとも偶然か。
彼の言葉が終わると同時に、瞳は四人に向けて襲い掛かった。
彼の言葉が終わると同時に、瞳は四人に向けて襲い掛かった。
【B-4/朝】
【粕谷瞳@リベリオンズ Secret Game 2nd Stage】
[状態]:健康、デジヘッド化
[装備]:マインドホン@Caligula Overdose-カリギュラ オーバードーズ-
[道具]:基本支給品
[思考]
基本:???
1:全てを壊す
[備考]
※参戦時期は本編開始前となります。
※「ジョジョの奇妙な冒険」の参加者について、一定の情報を得ました。
※デジヘッドになりました。レベル、使える技は次の書き手氏にお任せします。
[状態]:健康、デジヘッド化
[装備]:マインドホン@Caligula Overdose-カリギュラ オーバードーズ-
[道具]:基本支給品
[思考]
基本:???
1:全てを壊す
[備考]
※参戦時期は本編開始前となります。
※「ジョジョの奇妙な冒険」の参加者について、一定の情報を得ました。
※デジヘッドになりました。レベル、使える技は次の書き手氏にお任せします。
【ラッド・ルッソ@BACCANO バッカーノ!】
[状態]:ダメージ(中)、上半身に火傷跡(大)
[装備]:スタングレネード@現実
[道具]:基本支給品、
[思考]
基本:自分は死なないと思っている人間を見つけて殺す! とにかく殺す! 殺しまくる!
1:瞳を殺す
2:その後に牛飼い娘を殺す
[備考]
※参戦時期はフライング・プッシーフット号に乗りこむ直前からとなります。
[状態]:ダメージ(中)、上半身に火傷跡(大)
[装備]:スタングレネード@現実
[道具]:基本支給品、
[思考]
基本:自分は死なないと思っている人間を見つけて殺す! とにかく殺す! 殺しまくる!
1:瞳を殺す
2:その後に牛飼い娘を殺す
[備考]
※参戦時期はフライング・プッシーフット号に乗りこむ直前からとなります。
【勇者@ゴブリンスレイヤー】
[状態]:魔力消費(小)
[装備]:約束された勝利の剣@Fateシリーズ、包帯(ところどころに巻いてる)
[道具]:基本支給品(食料は菓子類と水に交換)
[思考]基本行動方針:こんな殺し合いを許してはおけない。
1:なんだか分からないけどこの人(瞳)と戦う
2:助けが欲しい人はなるべく助けたい。
3:彼(ザメドル)は倒さないといけない。
4:紫さん、サーニャちゃんと同行。
[備考]
※最低でも魔王を撃破した後からの参戦です。
※約束された勝利の剣の性能は知ってはいますが、
現状は切れ味のいい剣程度で扱っています
※ランダム支給品の二つはエクスカリバーと交換されました
[状態]:魔力消費(小)
[装備]:約束された勝利の剣@Fateシリーズ、包帯(ところどころに巻いてる)
[道具]:基本支給品(食料は菓子類と水に交換)
[思考]基本行動方針:こんな殺し合いを許してはおけない。
1:なんだか分からないけどこの人(瞳)と戦う
2:助けが欲しい人はなるべく助けたい。
3:彼(ザメドル)は倒さないといけない。
4:紫さん、サーニャちゃんと同行。
[備考]
※最低でも魔王を撃破した後からの参戦です。
※約束された勝利の剣の性能は知ってはいますが、
現状は切れ味のいい剣程度で扱っています
※ランダム支給品の二つはエクスカリバーと交換されました
【サーニャ@UNITIA ユニティア 神託の使徒×終焉の女神】
[状態]:幻惑の学聖ボタンの強化効果(回避率、命中率上昇、魔族属性に有利)、魔力消費(大)
[装備]:幻惑の学聖ボタン@大番長、サーニャの十字架@UNITIA ユニティア 神託の使徒×終焉の女神
[道具]:基本支給品(食料は菓子類と水に交換)、鳥の死骸@ミスミソウに刺さっていた棒状の物(洗浄、消毒済み)
[思考]基本行動方針:出来るだけ生命を救う。
1:目の前の相手(瞳)に対処する
2:紫さんと勇者さんと同行。
3:傷ついた人は助けたいけど……
[備考]
※参戦時期は少なくとも固有のストーリー経験済みです。
※幻惑の学聖ボタンの効果で魔族属性に該当する敵に対して強化効果を得てます。
※治癒能力は低下していますが、元々役割がヒーラーなのでそれなりに回復できます。
※能力を用いた死者の蘇生は不可能となっております。
[状態]:幻惑の学聖ボタンの強化効果(回避率、命中率上昇、魔族属性に有利)、魔力消費(大)
[装備]:幻惑の学聖ボタン@大番長、サーニャの十字架@UNITIA ユニティア 神託の使徒×終焉の女神
[道具]:基本支給品(食料は菓子類と水に交換)、鳥の死骸@ミスミソウに刺さっていた棒状の物(洗浄、消毒済み)
[思考]基本行動方針:出来るだけ生命を救う。
1:目の前の相手(瞳)に対処する
2:紫さんと勇者さんと同行。
3:傷ついた人は助けたいけど……
[備考]
※参戦時期は少なくとも固有のストーリー経験済みです。
※幻惑の学聖ボタンの効果で魔族属性に該当する敵に対して強化効果を得てます。
※治癒能力は低下していますが、元々役割がヒーラーなのでそれなりに回復できます。
※能力を用いた死者の蘇生は不可能となっております。
【八雲紫@東方Projectシリーズ】
[状態]:力の消耗(小)
[装備]:緋舞扇@グランブルーファンタジー、ビブルカード(粕谷瞳)@ONE PIECE
[道具]:基本支給品(食料は菓子類と水に交換、破亜限堕取×1@銀魂 銀玉くえすと 銀さんが転職したり世界を救ったり 含む)、ビブルカード×2(シャーロット・E・イェーガー、土方歳三)、卵かけご飯@現実
[思考]基本行動方針:一先ずは異変解決
1:瞳に対処。何なのかしらこの姿
2:勇者ちゃんとサーニャと共にビブルカードの示す先へ向かわないくても、いいかしらね
3:霖之助さんは変わらないようで安心した。
4:レミリアは……ほっといても大丈夫でしょ。
5:ミルドラースの目論見とか、その辺考察しておきたいかも。
[備考]
※参戦時期は少なくとも緋想天以降です。
※境界を操る程度の能力には制限が掛かっており、行使した場合大幅に力を消耗します。
・能力を用いた遠所への移動は2マス先のエリアまでであれば可能です。
※サーニャ、紫、勇者のランダム支給品は森近霖之助の能力、
『道具の名前と用途がわかる程度の能力』で鑑定済みです。
ただし使用方法は分かっていません
[状態]:力の消耗(小)
[装備]:緋舞扇@グランブルーファンタジー、ビブルカード(粕谷瞳)@ONE PIECE
[道具]:基本支給品(食料は菓子類と水に交換、破亜限堕取×1@銀魂 銀玉くえすと 銀さんが転職したり世界を救ったり 含む)、ビブルカード×2(シャーロット・E・イェーガー、土方歳三)、卵かけご飯@現実
[思考]基本行動方針:一先ずは異変解決
1:瞳に対処。何なのかしらこの姿
2:勇者ちゃんとサーニャと共にビブルカードの示す先へ向かわないくても、いいかしらね
3:霖之助さんは変わらないようで安心した。
4:レミリアは……ほっといても大丈夫でしょ。
5:ミルドラースの目論見とか、その辺考察しておきたいかも。
[備考]
※参戦時期は少なくとも緋想天以降です。
※境界を操る程度の能力には制限が掛かっており、行使した場合大幅に力を消耗します。
・能力を用いた遠所への移動は2マス先のエリアまでであれば可能です。
※サーニャ、紫、勇者のランダム支給品は森近霖之助の能力、
『道具の名前と用途がわかる程度の能力』で鑑定済みです。
ただし使用方法は分かっていません