コンペロリショタバトルロワイアル@ ウィキ

──それはきっと、「悲劇」なのだろう

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
僕はその日生き返り、人を殺した。



人を殺した事自体は、そこまで感慨は無かった。
何故なら僕はチャペルの双子。ジェフ・ボーエンだから。
世界を裏から牛耳る兵器産業にして秘密結社「エグリゴリ」
そのエグリゴリ主導で行われた妊娠した母体への新薬の投与実験。
人工的に天才を多数輩出する事を目的とした実験の結果、生み出された子供達。
それが「チャペル・オブ・チルドレン」であり。
その中でもNo.1とNo.2の頭脳を誇ったのが僕と、兄のアル・ボーエンだった。
僕たち兄弟は生まれて二か月で両親に「ハロー」と語り掛け。
ジュニアスクールに入るまでに物理学、化学、工学を始めとする学位を取得した。
周囲の凡人達を見て何故この程度の事が出来ないのかと、当時は理解に苦しんだものだ。


そして、七歳になった頃、兄のアル・ボーエンは僕たちの実の両親を殺した。
“凡人“は”天才“を認める事ができない。
それは両親ですら例外ではなかった…。
両親は天才の僕たちを認めず、僕たちを迫害し虐めた凡人の子供達の肩を持った。
あろうことか、手を汚さずスマートな復讐を行った僕たちを殺そうとした。
このまま生かしていたら大変な事になる、それが父の最後の言葉だった。
崩れ落ちる父と母の姿を見て胸が締め付けられる様に痛んだけど、アルは笑っていた。
笑って、両親にこんな運命を辿らせた凡人達に復讐しよう。そう言っていた。


僕は、その言葉に黙って頷いた。


両親がいなくなってから。
僕たちはエグリゴリの機関に引き取られた。
引き取られてからは毒ガス、洗脳装置、サイボーグ、強化人間…
工学、化学、果てはバイオテクノロジーに至るまで、およそ科学と呼べる物なら何でも着手した。
エグリゴリは僕たちの才能を認めてくれて、心地よかった。
悪戯に人を殺した事もあったけど、組織の力を使えば簡単に揉み消せた。
自らの頭脳と組織の権力さえあれば、不可能はない。
あの時の僕たちはそう信じていた。


エグリゴリに引き取られてから暫く経った後僕たち双子に上から指令が出た。
日本のハイスクールに在籍する二体のARMSという兵器を備えた高校生を確保せよ。
僕たちにとってそれは新しいゲームでしかなく。
あらゆる手を使って勝とうとした。
爆薬にロケット弾、自作の強化人間(サイボーグ)…
学校と言う舞台(ステージ)は僕たち双子にとって不快だったから壊すことに躊躇は無かった。
消防隊を全滅させた時なんかは、胸がすく思いだった。
だが、その結果僕たちはARMSを持つ二人に敗れ。
暴走した僕たち双子に見切りをつけたエグリゴリのシークレット・エージェント…
『キース』に粛清された。



刃で貫かれた時。
僕たち兄弟に殺された人間たちもこんなに痛かったのか。
そう思った。
その事を考えたくなくて、僕は最後に兄に尋ねた。


───僕たちは…卑怯者なんかじゃないよね……?


兄(アル)は、何も答えてはくれなかった。


「アル…待ってて……」


意識が途切れた後、気が付いたら僕はあの薄暗いホールにいた。
そこで殺し合いを強要され、兄弟が死んだ。
特に何も思わなかった。凡人達など、天才の僕に敵う筈がないからだ。
如何にも低能そうな凡人がこの世から二人消えた所で、揺れる頭脳など持ち合わせてはいない。
あの海馬乃亜とかいう子供に命令されるのは不愉快だが、生き返らせてくれるなら帳消しにできる。
そして僕は命じられるままに、人を殺した。


「ランボさん!お前みたいなズルっ子には負けないもんねー!!」


物陰から銃を撃った僕に、最初に出会ったガキはそう言ってきた。
牛柄の服を着て、もじゃもじゃの頭に変な角を付けたこれまた低能そうなガキだった。
一発目は外してしまったが、二発目は奴の足に当たった。
痛がる奴を見てスカッとした。世紀の天才である僕にふざけた事を抜かすからこうなるのだ、そう思った。
だが、その直後奴は自分のランドセルからバズーカを取り出してきた。
不味い、と思った。如何に世紀の天才と言えど、ロケット弾を喰らえば終わりだ。
無我夢中だった。
殺さなければ殺される、そう思った。
一度経験した死の痛みが蘇ってくる。
僕は夢中でそのガキにタックルした後、至近距離でガキの脳天に銃弾を撃ち込んだ。
一発目で「くぴゃ」と声を上げて、二発目で痙攣し、三発目で動かなくなった。


「……僕たちは…卑怯者なんかじゃ……ない……」


牛のガキの支給品を自分のランドセルに放り込んで。
明らかに要領を無視して入っていくランドセルの異様さにも、この時ばかりは気にならなかった。
そうして、ひと段落した後、僕は荒い息を吐いた。
何故だか無性にアルの顔が見たくなって、空を見上げた。
分かってる、此処はきっと地獄だ。
その地獄の中で勝ち上がった物こそ生者の世界へ帰ることができる。
だから、僕は殺し合いに乗る。
だから、僕は負けない。
アルも、きっとこうするだろう。
あの日、パパとママを手にかけて。
僕を此方の道に引きずり込んだのは、血を分けた兄(アル)なのだから。

───天才でも、死は怖かった。一度経験したら、猶更だった。
───死にたく、なかった。




【ランボ@家庭教師ヒットマンREBORN! 死亡】


【ジェフ・ボーエン@ARMS】
[状態]健康
[装備]ベレッタM92F@現実、10年バズーカ@家庭教師ヒットマンREBORN!
[道具]基本支給品×2、ランダム支給品1~4
[思考・状況]基本方針:殺し合いに優勝し、アルと再会する。
1.僕は、卑怯者なんかじゃない……
[備考]
原作二巻、死亡後より参戦です。


【10年バズーカ@家庭教師ヒットマンREBORN!】
撃たれた対象を五分間だけ十年後の対象と入れ替える。
本ロワでは撃たれた対象は五分間経過するまで首輪は動作しないが、制限により入れ替わっている間は意識が強制的にシャットアウトされ、
入れ替わった先で行動するのは不可能である。五分経過すれば意識がある状態で再び転送しなおされる。
また、死亡するなどして十年後存在していない人間に命中した場合不発に終わる。
入れ替える十年後の対象は本ロワを経験しなかった並行世界(つまり原作)の対象であり、入れ替わったからといって本ロワでも生存するとは限らない。




この地でまず最初に思ったことは、これはエグリゴリの手に依るものか?という事だった。
だが、あの海馬乃亜というガキを僕は知らない。
まずエグリゴリに連なる存在、それもこんな大掛かりな催しを開く立場にいる子供なら…
一番単純に考えるのなら、チャペルの子供達出身である可能性が高い。
だが、僕もまたチャペルの子供達出身ではあるが、あんな子供は知らない。
この天才的頭脳は、その気がなくとも一度名前と顔を認識すれば忘れる筈もない。
その僕の記憶を辿っても、あんな日本人の子供には心当たりは無かった。
何より、僕を除くチャペルの子供達はグランドキャニオンで………


「それに、何故僕を生かしている……?」


この実験にエグリゴリが関わっているなら、不可解な点は他にもある。
彼の組織が反乱分子である僕たちを粛清しようと決定し、拉致に成功したなら何故さっさと殺さない?
意識を失っている間、殺すチャンスはそれこそいくらでもあった筈なのに。
殺し合いを強制するというのは此方に対する殺意が見受けられるが、方法が迂遠すぎる。
そして、一番不可解な点。
何故、高槻涼、新宮隼人、巴武士、久留間恵のオリジナルARMS達がいないのか。
此処に来る直前、薄れていく意識の中で周囲を見渡したが周囲にいた人影はどれも僕とそう変わらない子供ばかりだった。
何故、一番の危険因子であるオリジナルARMS達をここへ呼ばなかった?
まだ利用価値があると判断されたから?
それならば僕も殺し合いに参加させるより、人質に取った方が利用価値は高いだろう。
エグリゴリの仕業と断定するにはどうにも、腑に落ちない点が多かった。
しかし今はそれを考えても、判断材料が少なすぎる。


「ふん…いいだろう海馬乃亜。貴様のその挑戦、受けて立とう」


未だに正体の掴めない海馬乃亜という少年はハッキリ言って不気味だった。
恐ろしい気持ちも、勿論あった。
だが…それ以上に、僕の頭の中に逢った考えは一つ。


「この世紀の天才…アル・ボーエンが忌々しい首輪の戒めを外し、直ぐに貴様を一発殴りに行ってやる」


それは、不遜にもこの人類の至宝たるアル・ボーエンに殺し合いを強いた海馬乃亜への宣戦布告だった。
恐らく、奴はそれなり以上に僕の事を調べているのだろう。
両親を自分の手で殺害した事、通っていた学校に毒ガスをばらまいた事、そして涼たちARMSを捕らえる為に行った暴挙の事も…
その上で、自身の生存の為にその頭脳を殺戮に使えと、そう言いたいのだろう。




「こんな首輪程度で僕に命令できると思ったなら、大間違いだ」


だが、今の僕が大人しく殺しあえと言う命令に従うと思ったなら、それは大間違いだ。
以前の僕ならば、見立て通り殺し合いに乗っただろう。
己の能力を誇示する為に…科された課題をクリアする為に…
しかし、凡人を見下し、ゲームの様に人を殺すことに躊躇のないアル・ボーエンはあの日死んだのだ。
弟の…ジェフと共に。
それからはARMSの謎の解明と、最後に残った家族を奪ったエグリゴリの復讐のために生きるつもりだった。



───何で世界を敵と味方の二つだけに色分けして考えるんだ!?
───疲れんだろ?そー言うの!



そうして、エグリゴリを追って…涼や隼人、ユーゴー達と過ごす内に……
世界を凡人と天才、敵と味方に色分けしていた事が酷く馬鹿馬鹿しく感じるようになった。
ここでも同じだ。
世界の色を敵と味方の二色に分けて、誰かに促されるまま殺し合いをするなんて、もう真っ平御免だ。
そう言う事は、もう卒業したのだ。天才の幼年期は、既に終わっている。
だから、僕は僕の意思で思考し、歩く。この殺し合いに抗って見せる。
僕たちとエグリゴリの戦いは…終わってはいないのだから。
───さぁ、開戦の時間だ。



【アル・ボーエン@ARMS】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:殺し合いから脱出する。
1.首輪を解析する。
2.協力者を探す。
[備考]
原作十巻以降から参戦です。





兄弟は、今はまだ知らない。想像すらできない。
この殺し合いの場で、血を分けた片割れがいる事など。
彼等が再び出会う事ができるかは、神のみぞ知る。
だが、歩みを止め、時間が止まったままの弟と。
仲間を得て、その後の時を進み続ける筈だった兄。
兄弟の道には既に、埋まる事のない運命と言う名の溝が横たわっている。
もし、殺し合いを生き延び、兄弟が出会う事があったなら。
その物語に、タイトルをつけるなら。
それはきっと────、

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
ウィキ募集バナー