「殺し合い……だと……? どうなってやがる」
逆立った銀髪に幼い子供のような小さな体躯、それに見合わぬ太刀を背に差し白い羽織に黒の和服を身に着けた少年。
一見すれば、奇抜な格好をした大人びた雰囲気の子供のように見えるが、その実年齢は優に数百歳を超える人外。
死神、その中でも突出した実力者である護廷十三隊十番隊隊長の一人、日番谷冬獅郎は困惑を隠せずにいた。
一見すれば、奇抜な格好をした大人びた雰囲気の子供のように見えるが、その実年齢は優に数百歳を超える人外。
死神、その中でも突出した実力者である護廷十三隊十番隊隊長の一人、日番谷冬獅郎は困惑を隠せずにいた。
「あの乃亜とかいうガキ、瀞霊廷から俺をこんな場所まで拉致したってのか……?」
かの滅却師(クインシー)達ですら、その侵入には気づかれ死神達と交戦となったというのに、乃亜と名乗る少年はそれすらなく、仮にも隊長である日番谷を殺し合いの場へと連れ去った。
その当の日番谷ですら、乃亜という侵入者の存在に気付くことなく意識を奪われ、殺し合いの開幕を聞くまで事態を把握しきれなかった。
不覚どころか、大失態の極めともいえる。さらに言えばそんな芸当を平然と行い、あれだけの数の少年少女達を集めた乃亜の力も計り知れない。
その当の日番谷ですら、乃亜という侵入者の存在に気付くことなく意識を奪われ、殺し合いの開幕を聞くまで事態を把握しきれなかった。
不覚どころか、大失態の極めともいえる。さらに言えばそんな芸当を平然と行い、あれだけの数の少年少女達を集めた乃亜の力も計り知れない。
「殺し合いなんざ乗るわけにはいかないが……まずはこの首輪を外さねえとな。涅でも居れば話は早いんだが」
技術開発局の局長であり、同じ護廷十三隊の隊長の同僚を思い浮かべながら、日番谷は駆け足で殺し合いの会場内を散策する。
現状、日番谷一人では首輪の解析は不可能だ。現状は会場内を周りながら情報の収集、それと殺し合いに乗る馬鹿が居れば止める。この二つを当面の目的とした。
現状、日番谷一人では首輪の解析は不可能だ。現状は会場内を周りながら情報の収集、それと殺し合いに乗る馬鹿が居れば止める。この二つを当面の目的とした。
「おい、姉ちゃん! なんか、変な格好した奴がいるぞ!」
辺りを駆け回ってから数分後、日番谷の前に小柄な女の子と、頭に十円ハゲを作った肥満気味な少年を発見した。
(本当に小さな子ばかり……やっぱりあの乃亜って子は、私みたいに見た目が小さいか、こんな幼い子供ばかり集めたのね。……なんて悪趣味なの)
乾紗寿叶。
背丈は中学生か小学生に見間違えられる程、小柄だがれっきとした女子高生だ。髪型を二つに結んでツインテールにしているのも、幼さに拍車を掛けているかもしれない。
背丈は中学生か小学生に見間違えられる程、小柄だがれっきとした女子高生だ。髪型を二つに結んでツインテールにしているのも、幼さに拍車を掛けているかもしれない。
その体躯を活かして、魔法少女等のコスプレをジュジュという名前で活動している以外は普通の女子高生の彼女が、何故こんな殺し合いに巻き込まれた事に本人も疑問に思っていた。
だが、今目の前にいる二人の少年たちを見て、納得してしまう。
だが、今目の前にいる二人の少年たちを見て、納得してしまう。
乃亜は少なくとも外見が小学生前後の子供達を集め、非道な殺し合いを強制させることを目的にしているのだろう。
その中で紗寿叶も外見の幼さから、参加者として選ばれてしまったのかもしれない。
個人情報を発信した覚えはないし気を付けてもいるが、やはりコスプレイヤーとしての活動で一般人よりは目につく事は多いだろうし、乃亜は常識では測れない存在なのは何となく分かる。
紗寿叶の居場所など手に取るようにわかり、こんな殺し合いの場へと連れ去られてしまったのだろう。
その中で紗寿叶も外見の幼さから、参加者として選ばれてしまったのかもしれない。
個人情報を発信した覚えはないし気を付けてもいるが、やはりコスプレイヤーとしての活動で一般人よりは目につく事は多いだろうし、乃亜は常識では測れない存在なのは何となく分かる。
紗寿叶の居場所など手に取るようにわかり、こんな殺し合いの場へと連れ去られてしまったのだろう。
「オレ、小嶋元太ってんだ。お前、うな重持ってねえか?」
「んなもん、あるわけねえだろ」
「んなもん、あるわけねえだろ」
「けどよ。あの乃亜ってやつ、色んなもん配ってくれるって言ってたぞ?」
「だからって、どうしてうな重を配るんだ。そもそも、簡素だが食料は基本支給品で配られてるじゃねえか、わざわざ別の食いモンを支給しねえだろ」
「だからって、どうしてうな重を配るんだ。そもそも、簡素だが食料は基本支給品で配られてるじゃねえか、わざわざ別の食いモンを支給しねえだろ」
「でも、俺のランドセルにソフトクリーム入ってたぜ?」
「ああ悪いな! 俺が間違ってた!!」
「ああ悪いな! 俺が間違ってた!!」
この小太りで食い意地の張った男の子、小嶋元太というらしい。
殺し合いが始まった当初、ルフィとエースが惨殺された光景を思い返してしまい恐怖と混乱で腰が抜けていた紗寿叶に声を掛けてくれた。
話すと死体は見慣れているらしいと、大分現実離れした発言をされたが実際に年上の紗寿叶よりは冷静で食欲もあることから、多分嘘ではないのかもしれない。
紗寿叶も彼のお陰で冷静さを取り戻し、何とか殺し合いの中でもこうして別の参加者に接触する等、自発的に行動を起こせるようにはなった。
殺し合いが始まった当初、ルフィとエースが惨殺された光景を思い返してしまい恐怖と混乱で腰が抜けていた紗寿叶に声を掛けてくれた。
話すと死体は見慣れているらしいと、大分現実離れした発言をされたが実際に年上の紗寿叶よりは冷静で食欲もあることから、多分嘘ではないのかもしれない。
紗寿叶も彼のお陰で冷静さを取り戻し、何とか殺し合いの中でもこうして別の参加者に接触する等、自発的に行動を起こせるようにはなった。
「ねえ、キミは何て名前なの? 良かったら教えて欲しいわ」
「ああ、そうだな。俺は日番谷冬獅郎、信じられないだろうが死神だ。まあ、お前達が想像するような死神と少し違って、虚(ホロウ)と呼ばれる悪霊を対峙するのが仕事と思ってくれ。
普段なら霊力のない人間には見えないんだが、多分乃亜の奴が何か仕掛けて、普通の人間にも見えるようになってるみたいだな。
さっきも話したように、虚との戦いに備えて鍛えてある。だから万が一の時、戦いは俺に任せて―――」
普段なら霊力のない人間には見えないんだが、多分乃亜の奴が何か仕掛けて、普通の人間にも見えるようになってるみたいだな。
さっきも話したように、虚との戦いに備えて鍛えてある。だから万が一の時、戦いは俺に任せて―――」
「おい、冬獅郎。お前ふざけんなよ!!」
「元太?」
「もう二人死んでんだぞ! ごっこ遊びしてる場合じゃねえよ!!」
「……ごっ、こ?」
元太の表情は、先ほどのうな重の話題から考えられない程に激怒した過熱した物となり、そのまま日番谷の胸倉を掴み上げる。
マイペースな様を見せていたが、彼も彼なりにこの殺し合いに対し憤怒していたのだろう。江戸川コナンと共に数多の殺人事件を見てきた中で、彼の中でも拙いながらも正義感が目覚めていたのかもしれない。
彼とて、昆虫人間を信じ捕獲に向かおうとしたり、仮面ヤイバーの大ファンだったり、ゴメラの実在を信じるくらいにはまだ幼く子供だ。
マイペースな様を見せていたが、彼も彼なりにこの殺し合いに対し憤怒していたのだろう。江戸川コナンと共に数多の殺人事件を見てきた中で、彼の中でも拙いながらも正義感が目覚めていたのかもしれない。
彼とて、昆虫人間を信じ捕獲に向かおうとしたり、仮面ヤイバーの大ファンだったり、ゴメラの実在を信じるくらいにはまだ幼く子供だ。
それでも、こんな初対面の常軌を逸した自己紹介を真に受けるほど、子供ではなかった。
だから、自分の妄想をあたかも現実のように語る日番谷に対し、事態をちゃんと直視しろ、妄想の世界に閉じこもるなと不器用な方法だが喝を飛ばしたのだ。
だから、自分の妄想をあたかも現実のように語る日番谷に対し、事態をちゃんと直視しろ、妄想の世界に閉じこもるなと不器用な方法だが喝を飛ばしたのだ。
しかし、当然ながら日番谷にとってはこれは妄想でも何でもなく、ただの真実で自己紹介をそのまま行っただけに過ぎないのだが。
「元太くん、手を離して」
「姉ちゃん……」
「きっと日番谷くんも悪気はなかったのよ」
「姉ちゃん……」
「きっと日番谷くんも悪気はなかったのよ」
何か不味い対応をしたのか一人困惑する日番谷を他所に、紗寿叶は元太を止めるように仲裁に割り込んだ。
渋々元太は手を離し、紗寿叶は優し気な視線を日番谷に向けたまま口を開いた。
渋々元太は手を離し、紗寿叶は優し気な視線を日番谷に向けたまま口を開いた。
「なんか、勘違いしてるみたいだが俺は……」
「貴方の気持ち分かるわ。私もね、魔法少女になりたかったの……強くてキラキラしてカッコよくて、フリフリの可愛い服を着てて……」
「いや、俺は」
「殺し合いなんて怖いもんね? 自分の憧れる強い姿になろうとして、不安を消そうとしてたんでしょ?
好きなものになろうとする気持ちは否定しないわ。私も、無理をしてでも作り物でも、夢を叶えようとコスプレをしてるから」
好きなものになろうとする気持ちは否定しないわ。私も、無理をしてでも作り物でも、夢を叶えようとコスプレをしてるから」
「……」
「でもね。今は場を弁えた方が良いかもしれない。殺し合いに乗った人ばかりではないと思うけど、みんな今は必死なの。
そんな時にコスプレの設定を語られたら、怒られても無理はないわ」
そんな時にコスプレの設定を語られたら、怒られても無理はないわ」
「俺は空座小学校6年生、日番谷冬獅郎だ! ごめんな元太くん!」
真摯に見つめ語り掛けてくる紗寿叶に対し、日番谷は僅かな逡巡の末―――投げた。
(運良く、二人とも殺し合いには乗ってないけど……この先、どうなるか分からないわね。……私が一番年上だし、いざって時は戦わなきゃ、いけないのよね?)
乃亜の言う殺し合いに従う子供なんて居るとは考え辛いが、それでは殺し合いは成立しない。
やはり、いずれ何処かでそんな殺意を滾らせた子供と遭遇してしまうかもしれない。その時はやはり紗寿叶が前線に立って、この二人を守ってあげなければいけないのだろう。
やはり、いずれ何処かでそんな殺意を滾らせた子供と遭遇してしまうかもしれない。その時はやはり紗寿叶が前線に立って、この二人を守ってあげなければいけないのだろう。
「コナンの奴なら、もしかしたら何とかしてくれるかもなあ」
「お前の友達か?」
「おう、いつも殺人事件を解決してんだ」
「いつも……?」
「大体一週間ぐらいのペースで殺人事件起きるからよ」
「お前の言っていることも大概妄想じゃねえのか!? なんで、俺だけあんな責められたんだ!!」
「お前の友達か?」
「おう、いつも殺人事件を解決してんだ」
「いつも……?」
「大体一週間ぐらいのペースで殺人事件起きるからよ」
「お前の言っていることも大概妄想じゃねえのか!? なんで、俺だけあんな責められたんだ!!」
「……そうね。今は元太くんの友達を探しましょう。
日番谷くんも……」
日番谷くんも……」
「安心しろ。
俺もしばらく同行させてもらう。誰が殺しに乗るかも分からねえしな……」
俺もしばらく同行させてもらう。誰が殺しに乗るかも分からねえしな……」
色々誤解はされているが無辜の子供が二人、こんな状況で放っておくわけにもいかない。
日番谷も彼らと同行することを拒否する理由はなかった。
日番谷も彼らと同行することを拒否する理由はなかった。
「冬獅郎ってよぉ」
「どうして、お前は俺には呼び捨てなんだよ。6年生だって言ってんだろ!」
「小6にしちゃ背が小っちゃくねえか?」
「なん……だと……?」
「どうして、お前は俺には呼び捨てなんだよ。6年生だって言ってんだろ!」
「小6にしちゃ背が小っちゃくねえか?」
「なん……だと……?」
ふと元太に言われた後、このランドセルを担いでいる自分の姿を改めて客観視してみる。
(……小4くらいにしときゃよかったか? いやそんな小さくねえだろ……小さいのか?)
何故か部下である松本乱菊の姿が浮かび、馬鹿笑いされる姿を幻視してしまった。
【小嶋元太@名探偵コナン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2(本人確認済み)、ソフトクリーム@現実
[思考・状況]基本方針:コナンや探偵団のみんなを探す。
1:うな重食いてえな。
[備考]
ハロウィンの花嫁は経験済みです。
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2(本人確認済み)、ソフトクリーム@現実
[思考・状況]基本方針:コナンや探偵団のみんなを探す。
1:うな重食いてえな。
[備考]
ハロウィンの花嫁は経験済みです。
【乾紗寿叶@その着せ替え人形は恋をする】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]基本方針:殺し合いはしない。
1:元太の友達を探してあげる。
2:妹(178㎝)は居ないと思うけど……。
[備考]
原作4巻終了以降からの参戦です。
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]基本方針:殺し合いはしない。
1:元太の友達を探してあげる。
2:妹(178㎝)は居ないと思うけど……。
[備考]
原作4巻終了以降からの参戦です。
【日番谷冬獅郎@BLEACH】
[状態]:健康
[装備]:氷輪丸@BLEACH
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]基本方針:殺し合いを潰し乃亜を倒す。
1:巻き込まれた子供は保護し、殺し合いに乗った奴は倒す。
[備考]
ユーハバッハ撃破以降、最終話以前からの参戦です。
人間の参加者相手でも戦闘が成り立つように制限されています。
卍解は一度の使用で12時間使用不可。
[状態]:健康
[装備]:氷輪丸@BLEACH
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]基本方針:殺し合いを潰し乃亜を倒す。
1:巻き込まれた子供は保護し、殺し合いに乗った奴は倒す。
[備考]
ユーハバッハ撃破以降、最終話以前からの参戦です。
人間の参加者相手でも戦闘が成り立つように制限されています。
卍解は一度の使用で12時間使用不可。
支給品紹介
【氷輪丸@BLEACH】
日番谷冬獅郎の斬魄刀、氷雪系最強と謳われるに相応しい冷気と凍結能力を操れる。
空気中の水分さえあれば、凍結能力を使うことで様々な技を繰り出せるなど応用性も高い。
【氷輪丸@BLEACH】
日番谷冬獅郎の斬魄刀、氷雪系最強と謳われるに相応しい冷気と凍結能力を操れる。
空気中の水分さえあれば、凍結能力を使うことで様々な技を繰り出せるなど応用性も高い。
125:友達 | 投下順に読む | 136:LOVE OR EAT |
時系列順に読む | ||
START | 小嶋元太 | 001:壊れた幻想 |
START | 乾紗寿叶 | |
START | 日番谷冬獅郎 |