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«病気と食生活»
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— 高齢化 —
高齢化が進めば、人口あたりの病人の数は増えていきます。平均寿命が延びている限り、病人の比率が増えても、国民の健康状態が悪化していると断定できるのではありません。
— 米と小麦 —
米と小麦の間に総合的な優劣はありません。タンパク質の量では小麦が、タンパク質の質 — つまり、リジンの量 / 全アミノ酸の量 — では米が優れています。
米にも小麦に罪はありませんが、現在の人類のその食べ方にはそれぞれ異なる問題があります。
米は多量の塩分と一緒に食べられていることが多く、日本では特にその傾向が顕著です。このため、日本での胃癌罹患率は、かつて、欧米での10倍程度でした。パンの普及で胃癌罹患率は下降し、胃癌は癌部門死亡原因第1位を肺癌に譲りました。
小麦は乳製品と一緒に食べられることが多く、そのため、欧米での乳癌や大腸癌の罹患率は日本での4倍くらいです。パンの普及で、日本でも乳癌の罹患率は上昇しています。
つまり、米と小麦の選択は基本的に二律背反です。
しかし、個人は個人的に賢くなることができるかもしれません。家系に乳癌が多ければ米の方がいいし、家系に胃癌が多ければ小麦の方がいい。どちらの癌も皆無ならば、米でも小麦でもいい。
なお、乳製品を絶つ食事療法はしばしば乳癌患者に大きな利益をもたらしていますが、一般の人々に対して欧米で現在行われている大規模な疫学調査では、乳製品の有無による有意な違いは報告されていません。
腎臓病の人にとってタンパク質の摂取量を制限するのは良いことですが、それは一般の人々にとって食生活をより健康的なものにする選択とはならないでしょう。乳製品も似たようなものかもしれません。
日本では奈良時代まで酪(ヨーグルト)、蘇(チーズ)、醍醐(バター)を食べる習慣があり、いずれも長寿につながるとされていました。
― 国産品と輸入品 ―
国産の米と小麦には、ポストハーベスト(収穫後)農薬は使われていません。
米には小麦よりも多くのプレハーベスト(収穫前)農薬が使われています。
農薬の害について考えると、散布がポストハーベストかプレハーベスト(収穫前)なのかということは、議論の本質に関係しない。有害性については残留農薬の量を基準に考えるべきで、基準値を大幅に下回っていれば、散布時期は問題ではありません。
大まかな優劣をつけるとしたら、
1) 国産小麦
2) 国産米
3) 輸入小麦
4) 輸入米
2) 国産米
3) 輸入小麦
4) 輸入米
でしょう。
惜しむらくは、日本の気候が小麦の栽培にあまり向いておらず、それどころか、温暖化の影響で米すら品質劣化を見せていることです。
— 肉食 —
肉は魚よりコレステロール値を上げやすい。そのため、健康によくないと思われてきました。
ところが、日本での合計17万人に及ぶ複数の疫学調査をまとめた結果、全コレステロールでも悪玉コレステロール限定でも、値が高い人の方が長生きしていることが判明しました。
悪玉コレステロールは血管に対して有害ですが、善玉でも悪玉でも、感染症に対する抵抗力を強めるらしい。
これも二律背反です。
コレステロール値が高ければ、感染症で若くして唐突に逝ってしまう危険性を下げることができますが、加齢とともに動脈硬化に悩むことになります。
感染症予防は若年死亡率を下げたので、数字としては、平均寿命の向上をもたらしたと思われます。
— ピロリ菌 —
胃癌の大きな原因とされているピロリ菌は、ニューヨーク大学の医学部のブラスター教授らの約8000人を追跡した研究で、特に若年層での喘息などのアレルギーや食道癌の危険性を大幅に引き下げていることがわかっています。
先進国の感染率はおおむね10%程度で、子供の感染者は稀です。日本での喘息やアトピー性皮膚炎の増加の一因は、他の先進国と同じく、日本の子供たちもピロリ菌なしで育つ人類の初代や2代目であることでしょう。
発展途上国では5歳までに90%程度の子供がピロリ菌に感染するそうです。