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«資本主義再考 III»
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資本主義を超えようとする運動は、資本主義が社会に対して提供している諸機能を理解し、それらのそれぞれについて、継承、代替、または不要化の策を講じなければなりません。
«資本主義再考 I»では貸し手の権利の制限、«資本主義再考 II»では事業の金銭面の端を閉じることを資本主義の機能としてつまびらかにしました。
この投稿では、社会運営資源の回収について述べることにします。
社会運営に関係する組織は、公的なものであれ私的なものであれ、天然資源、資金、人材などの資源を確保して活動しています。ある組織によって確保された資源は、他の組織からある程度あるいはまったく利用できなくなります。ですから、時代の移り変わりで組織が不要になった場合に、組織が速やかに解体されないままであれば、資源は社会運営から漏れ出してしまいます。
多くの場合、通貨発行権を持つ政体が個別組織を直接所有していると、不要になった後も組織は解体されず、社会には資源漏れが発生することになります。資源漏れが大きくなると社会全体が機能不全に陥ります。ソビエト連邦と東ヨーロッパの社会主義国が崩壊したのも、資源漏れが大きくなったことが主な原因でしょう。
資本主義における代表的な組織である株式会社は、不要になれば解体され、それが確保していた資源は社会に回収されます。株式会社の解体は資本主義の失敗ではなく、機能なのです。政府が会社を頻繁に救済すれば、資本主義は行き詰ります。
スウェーデンのような北欧諸国が高福祉政策を維持するには、強い経済が必要です。そのため、スウェーデンでは会社をほとんど救わない。会社を速やかに潰し、社会の資源である従業員のほうを救済します。
政体が会社などの民間組織を過剰に保護しても、資源漏れは発生します日本経済は会社の平均寿命が長いからこそ不調に陥っているのです。
日本政府は日本航空を救済し、従業員の一部を切り捨てます。日本航空が救済されたことで、別の会社から躍進の機会が奪われたこと、そして、切り捨てられた従業員の未来の再就職機会が部分的にせよ奪われたことに、日本政府は気が付いていない。
社会主義制度において、組織の解体はなおさら難しい。おそらく、組織の設立時にその有効寿命が定められ、有効寿命を迎えた組織は、有権者である人民の審査を通らない限り、自動的に解体されなければならないでしょう。