いのちだいじに ◆NIKUcB1AGw
逃走中、ポケモン緑の襲撃を受けた牧場物語とサバイバルキッズ2。
サバイバルキッズが己の命と引き替えに助けてくれた自分たちの命、むざむざ捨てるわけにはいかない。
迫り来る魔手に対し、二人は果敢に抵抗した。
サバイバルキッズが己の命と引き替えに助けてくれた自分たちの命、むざむざ捨てるわけにはいかない。
迫り来る魔手に対し、二人は果敢に抵抗した。
が、あっけなく負けた。
何せ相手は、モンスターボールで心臓ぶち抜くような怪物である。
身体能力が人類の範疇であり、戦闘向きの能力も持っていない彼らに太刀打ちできるはずがなかった。
身体能力が人類の範疇であり、戦闘向きの能力も持っていない彼らに太刀打ちできるはずがなかった。
「手応えがなさ過ぎる……。全力を出すのが申し訳なくなってくるレベルだな」
血まみれになって地に伏せる二人を見下ろしながら、ポケモン緑は呟く。
「さて、どちらから殺すか……。何か意見はあるか?」
二人に向かって尋ねるポケモン緑であったが、返事はない。
すでに彼らの口から漏れるのは、かすかなうめき声だけであった。
すでに彼らの口から漏れるのは、かすかなうめき声だけであった。
「特にないか……。なら、歳の順に殺してやろう」
ポケモン緑は牧場物語の首をつかみ、持ち上げる。
(歳の順……)
牧場物語の脳裏には、たった今ポケモン緑が口にした台詞が響いていた。
その言葉は、牧場物語にあるインスピレーションを与えていた。
彼が思いついた策を実行すれば、もしかしたらポケモン緑に勝てるかもしれない。
だがそれは、ポケモン緑の命を奪うことに他ならない。
命を育てることが存在意義である牧場物語にとって、他者を殺めることは自らのアイデンティティーを否定することだ。
その言葉は、牧場物語にあるインスピレーションを与えていた。
彼が思いついた策を実行すれば、もしかしたらポケモン緑に勝てるかもしれない。
だがそれは、ポケモン緑の命を奪うことに他ならない。
命を育てることが存在意義である牧場物語にとって、他者を殺めることは自らのアイデンティティーを否定することだ。
(だが、このままでは二人とも殺されるだけだ……。
仲間を助けられるなら、僕の全てをなげうってでも……!)
仲間を助けられるなら、僕の全てをなげうってでも……!)
その瞬間、牧場物語の心に修羅が宿った。
血に染まった彼の右手がゆっくりと動き、ポケモン緑の腕をつかむ。
血に染まった彼の右手がゆっくりと動き、ポケモン緑の腕をつかむ。
「貴様、まだ抵抗できるだけの力が……」
すでに死に体だと思っていた牧場物語の意外な反応に、ポケモン緑は思わず驚愕の声を漏らす。
だが、その声にさほど深刻な雰囲気はない。
相手は瀕死の一般人。多少余力が残っていても脅威にはならない。
ポケモン緑はそう考えていた。
しかし次の瞬間、彼の体を強い違和感が襲った。
だが、その声にさほど深刻な雰囲気はない。
相手は瀕死の一般人。多少余力が残っていても脅威にはならない。
ポケモン緑はそう考えていた。
しかし次の瞬間、彼の体を強い違和感が襲った。
「貴様……何をした」
「僕の能力は……時間操作だ……。僕はこの能力を……農作業以外に使うつもりはなかった……。
だけど……仲間を守るために……。僕は誓いを……破る!」
「時間操作……貴様、まさか!」
「じいさんの姿になったのが不幸だったね、ポケモン緑! 老衰で死んでいけぇぇぇぇ!!」
「ぐああああ!!」
「僕の能力は……時間操作だ……。僕はこの能力を……農作業以外に使うつもりはなかった……。
だけど……仲間を守るために……。僕は誓いを……破る!」
「時間操作……貴様、まさか!」
「じいさんの姿になったのが不幸だったね、ポケモン緑! 老衰で死んでいけぇぇぇぇ!!」
「ぐああああ!!」
牧場物語の首から手を離し、ポケモン緑は悶絶の声をあげながら倒れ込む。
そして、そのまま彼は動かなくなった。
そして、そのまま彼は動かなくなった。
(やった……)
勝利を確信し、牧場物語の口元にかすかな笑みが浮かぶ。
だが、彼の命もまた尽きようとしていた。
牧場物語の能力に、体力消耗などのデメリットは特に設定されていない。
しかし強敵を倒した安心感と、アイデンティティを放棄した喪失感が彼から生きる気力を奪っていた。
その状態で生命を維持できるほど、牧場物語が負った傷は浅くはなかったのだ。
だが、彼の命もまた尽きようとしていた。
牧場物語の能力に、体力消耗などのデメリットは特に設定されていない。
しかし強敵を倒した安心感と、アイデンティティを放棄した喪失感が彼から生きる気力を奪っていた。
その状態で生命を維持できるほど、牧場物語が負った傷は浅くはなかったのだ。
(サバイバルキッズ2……。君はどうにか……生き延びてくれ……)
仲間の無事を祈りながら、牧場物語は静かに息を引き取った。
◇ ◇ ◇
「牧場物語……さん……」
サバイバルキッズ2は全身の痛みをこらえ、牧場物語ににじり寄る。
彼がまだ生きていると信じたかったサバイバルキッズ2だが、間近で見た牧場物語はすでに息をしていなかった。
彼がまだ生きていると信じたかったサバイバルキッズ2だが、間近で見た牧場物語はすでに息をしていなかった。
「うぅ……ああ……!」
サバイバルキッズ2の目から、大粒の涙がこぼれ落ちる。
つい先ほど兄を失い、今また仲間を失った。
いかに覚悟を決めようと、その事実は幼い彼の精神にはあまりに過酷すぎた。
それでもサバイバルキッズ2は、立ち上がらないわけにはいかなかった。
この殺し合いを終わらせる。それが二つの命によって守られた、自分の使命だからだ。
サバイバルキッズ2は、ゆっくりと体を起こし……
つい先ほど兄を失い、今また仲間を失った。
いかに覚悟を決めようと、その事実は幼い彼の精神にはあまりに過酷すぎた。
それでもサバイバルキッズ2は、立ち上がらないわけにはいかなかった。
この殺し合いを終わらせる。それが二つの命によって守られた、自分の使命だからだ。
サバイバルキッズ2は、ゆっくりと体を起こし……
そして、心臓を貫かれた。
「え……?」
反射的に振り向くサバイバルキッズ2。その視線の先にいたのは、牧場物語に殺されたはずのポケモン緑であった。
(なんで……?)
疑問に対する答えを見つけられぬまま、サバイバルキッズ2の意識は永遠に断たれた。
◇ ◇ ◇
「我としたことが、危ないところだったな……。雑魚といえど、油断すれば手痛い反撃をくらうこともあるということか……」
念のため二人が死んでいることを確認しながら、ポケモン緑は呟く。
彼が倒れた理由、それは身もふたもない言い方をすれば「気のせい」であった。
たとえ外見や精神年齢が老人に設定されていようと、このゲームの参加者に与えられた肉体は3DSに作られたばかりのもの。
牧場物語が能力を発動したわずかな時間程度では、老衰死にいたるわけがなかったのだ。
しかし牧場物語の気迫に飲まれてしまったポケモン緑はその事実に気づけず、相手の言葉を鵜呑みにしてしまったのである。
そもそもがゲームソフトに人格を与えた不安定な存在である彼らにとって、思い込みの力とはバカにできないものなのだ。
彼が倒れた理由、それは身もふたもない言い方をすれば「気のせい」であった。
たとえ外見や精神年齢が老人に設定されていようと、このゲームの参加者に与えられた肉体は3DSに作られたばかりのもの。
牧場物語が能力を発動したわずかな時間程度では、老衰死にいたるわけがなかったのだ。
しかし牧場物語の気迫に飲まれてしまったポケモン緑はその事実に気づけず、相手の言葉を鵜呑みにしてしまったのである。
そもそもがゲームソフトに人格を与えた不安定な存在である彼らにとって、思い込みの力とはバカにできないものなのだ。
「だがここから先、私に油断はない! 妖怪ウォッチを葬るその時まで、勝ち続けてみせるわ!」
【牧場物語 死亡】
【サバイバルキッズ2 死亡】
【サバイバルキッズ2 死亡】
【ポケットモンスター緑】
【状態】健康
【装備】モンスターボール×4
【道具】支給品一式×3、スキルパック23
【思考】
1:優勝し、妖怪ウォッチを殺す
【状態】健康
【装備】モンスターボール×4
【道具】支給品一式×3、スキルパック23
【思考】
1:優勝し、妖怪ウォッチを殺す