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クロス第9話

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datui

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森と言うには少し木の数が足りぬ雑木林の中を、桂ヒナギクは日本刀を携えて歩いていた。
その可憐な顔は緊張にこわばり、彼女が並々ならぬ警戒心を抱きながら移動していることを表している。
そしてその警戒は、自分に対して忍び寄ってくる気配を捉えていた。

「誰!?」

日本刀に手をかけながら、ヒナギクが声の方向に向かって叫ぶ。するとすぐに、木の陰から男子生徒が姿を見せた。

「俺だ、桂」
「キョンくん……」

仲のいい相手の顔を確認して、ヒナギクは一瞬警戒を緩める。だが、彼女はすぐさま緩めた警戒を元に戻した。
ここは殺し合いの真っ只中。友人と言えどもそう簡単に心を許すわけにはいかないのだ。

「そう怖い顔するなって。俺はお前を攻撃するつもりはない」
「口では何とでも言えるわ」
「よく考えてみろ。日本刀持ったお前に、俺が素手で勝てると思うか? 勝負するだけ無駄ってもんだ」
「あなたにも武器が支給されてるはずだわ」
「わかったわかった。そこまで言うなら俺が支給された物を見せてやるよ」

そう言うと、キョンはポケットから携帯電話を取り出した。

「それ、携帯電話じゃない。それなら私にだって……」
「まあ最後まで話を聞け」

眉間にしわを寄せながら、キョンは携帯電話の下部を指さす。そうされて、ヒナギクは初めて気づいた。
彼の携帯電話には、ヒナギクのものにはないパーツが装着されているのだ。

「何よそれ?」
「首輪探知機、だそうだ。これをケータイに接続すると、半径300メートル以内にある首輪からの電波をキャッチできる……らしい」
「レーダーみたいなもの?」
「そういうことだ。俺がお前の近くに来たのは首輪の反応があったからであって、他意はない。じゃあな」

キョンはその場から立ち去ろうとして、すぐに足を止める。

「おっと、危ねえ。大事なことを言い忘れてた」
「何?」
「お前も殺し合いに積極的じゃないんだろ? だったら、その、あれだ。
 キョン子とかハルヒに会ったら、守ってやってくれないかな? お前の強さは、俺もよく知ってるし」
「ああ、そういうこと」

キョンの言葉を聞き、ヒナギクは微笑を浮かべつつ溜め息を漏らす。

「何だよ、その反応は」
「別に。それよりその話、半分引き受けてあげるわ」
「はあ? どういうことだ? まさかどっちか片方しか守ってくれないとか言うんじゃ……」
「違うわよ」

戸惑うキョンに、ヒナギクが歩み寄る。

「私があなたと一緒に行ってあげる。その二人をあなたが見つけたところで、武器がないんじゃ守りきれないでしょ?」
「そういうことか……。それなら、ありがたくその気持ちいただくぜ」
「決まりね。それじゃ、行きましょ?」

キョンの前に立ち、ヒナギクは歩き出す。

「桂……済まないな」
「何言ってるのよ、友達のために何かするのは人として当然でしょ?」
「そう言ってくれると、こっちも気が楽になるぜ」
「さあ、レッツゴー! こんなくだらないゲーム、とっとと抜け出すわよ!」

大切な人を守るために、そしてその思いを抱く友を守るために。二人は、前に進む。


【9番 桂ヒナギク】
【学年】高1
【状態】健康
【所持品】日本刀
【能力】知力:A 体力:A 時の運:E

【12番 キョン】
【学年】高1
【状態】健康
【所持品】首輪探知機
【能力】知力:D 体力:C ツッコミ:S



【9番 桂ヒナギク】

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初登場!

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【12番 キョン】

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