(18人……すでに半数近くが死んだのか。思っていたよりペースは速いようだ)
メールで送られてきた死者のリストを見ても、門倉雄大は冷静だった。
友人であった渚カヲルの死には多少心を痛めたが、それだけだ。
たった一人の友人の死で再起不能なレベルまで落ち込むほど、彼の心は柔ではない。
友人であった渚カヲルの死には多少心を痛めたが、それだけだ。
たった一人の友人の死で再起不能なレベルまで落ち込むほど、彼の心は柔ではない。
(阿部は結局、あの後誰かに殺されたか……。まあいい、奴が死んだところで、俺の行動目的には何ら反しない……。
俺はただ、有希姉様と涼子姉様を捜し出してここから逃げおおせるだけだ)
俺はただ、有希姉様と涼子姉様を捜し出してここから逃げおおせるだけだ)
携帯電話を素早くポケットにしまうと、門倉は迷いのない足取りで歩き出した。
◇ ◇ ◇
ランキング作成人は、斧を杖代わりにしてよろよろと歩いていた。
(くそ、滝の野郎よりにもよって脚狙いやがって……。移動するだけで一苦労じゃねえか……)
自分の脚を撃った相手への怨嗟とその撃たれた脚から伝わる痛みに顔を歪めつつ、作成人は歩き続ける。
(あのメールの情報を信用するなら……。風見やゾフィーみたいな戦闘力トップクラスの奴もすでにリタイアしたことになる……。
つまりこのプログラムは、本人の戦闘力が全てじゃないってことだ。
怪我人の俺でも、十分に優勝は狙えるぜ……)
つまりこのプログラムは、本人の戦闘力が全てじゃないってことだ。
怪我人の俺でも、十分に優勝は狙えるぜ……)
思考を続けながら前進する作成人。その前に、突如一人の男が立ちふさがった。
男の頭に輝くリーゼントを見て、作成人はすぐにそれが誰だか理解する。
男の頭に輝くリーゼントを見て、作成人はすぐにそれが誰だか理解する。
「門倉か……」
「たいそうな怪我を負っているようだな、作成人」
「たいそうな怪我を負っているようだな、作成人」
阿部の時と同様に、先輩への敬意など感じられない口調で門倉は言う。
「誰にやられた?」
「……滝だよ。ちょっと威嚇しただけでドカン、だ」
「そうか」
「……滝だよ。ちょっと威嚇しただけでドカン、だ」
「そうか」
作成人から返答を得ると、門倉はすぐさまきびすを返した。
「お、おい! ちょっと待てよ! 怪我人放っていく気か?
助けてくれよ! お前に危害は加えないからさ!」
助けてくれよ! お前に危害は加えないからさ!」
自分から遠のいていこうとする門倉に、作成人は慌てて呼びかける。
彼も門倉の戦闘力の高さは知っている。だからこそ口八丁で丸め込み、味方につけようとしたのだ。
しかし、門倉には最初から手を組むなどという選択肢は存在しない。
彼も門倉の戦闘力の高さは知っている。だからこそ口八丁で丸め込み、味方につけようとしたのだ。
しかし、門倉には最初から手を組むなどという選択肢は存在しない。
「お前が死のうがどうしようが、俺には関係ない。俺にとって意味を持つのは、有希姉様と涼子姉様の生死だけだ。じゃあな」
淡々と告げると、門倉は振り返りもせずに消えていった。
「ちっ、とりつく島もないってわけかよ……」
一人残された作成人は、忌々しげに呟く。
「まあ、交渉の余地ゼロってんじゃ仕方ないか……。それに、あいつは中心部に向かったみたいだ。
さっきの光太郎の放送で、人は中心部に集まってるはず。となれば乱戦になり、怪我人の俺は圧倒的不利……。
同行しなくてかえって正解だったかもなあ……」
さっきの光太郎の放送で、人は中心部に集まってるはず。となれば乱戦になり、怪我人の俺は圧倒的不利……。
同行しなくてかえって正解だったかもなあ……」
ひとしきり呟くと、作成人は門倉が立ち去った方向とは逆に向かって歩き始めた。
「せいぜい、強者同士でつぶし合ってくれよ……。俺が生き残るためにな……」
【10番 門倉雄大】
【学年】中3
【状態】健康
【所持品】警棒、大型拳銃
【能力】知力:A 体力:A リーゼント:A
【学年】中3
【状態】健康
【所持品】警棒、大型拳銃
【能力】知力:A 体力:A リーゼント:A
【38番 ランキング作成人】
【学年】高3
【状態】右脚負傷
【所持品】斧、タケシの支給品
【能力】知力:A 体力:C ランキング作成力:SSS
【学年】高3
【状態】右脚負傷
【所持品】斧、タケシの支給品
【能力】知力:A 体力:C ランキング作成力:SSS