「そんな………どうして、あんな……うっ!うげっ!!」
眼鏡をかけたブレザーの学生服姿の少年……水篠颯太は、つい先程起こった冥界の魔王を名乗る者による『決闘(デュエル)という名の殺し合いの開催宣言』と、
見せしめとして無惨に殺された自身と同年代の少年の姿を思いだし、
胃袋の内容物を何度も地面に吐き下していた。
見せしめとして無惨に殺された自身と同年代の少年の姿を思いだし、
胃袋の内容物を何度も地面に吐き下していた。
突然『物語のキャラクター』が現実に出てくるという異常事態に巻き込まれてしばらく経つが、
本来の颯太は投稿サイトにイラストの投稿を行っている事を除けば、
どこにでもいる平凡なオタク少年……
こんな何年か前に、
藤原竜也主演で映画化された高見広春の小説みたいなイベントに強制参加されて平常心を保てる程、
図太い精神は持ってはいないのである。
本来の颯太は投稿サイトにイラストの投稿を行っている事を除けば、
どこにでもいる平凡なオタク少年……
こんな何年か前に、
藤原竜也主演で映画化された高見広春の小説みたいなイベントに強制参加されて平常心を保てる程、
図太い精神は持ってはいないのである。
「ハァ……ハァ……」
胃の内容物を粗方吐き終え、颯太は荒い息を漏らしながら口を拭う。
とりあえずは、他の参加者に会う前にどこかに隠れなければ……。
とりあえずの方針を決めると、颯太は自身に支給されたデイパックに手を伸ばし………
その動きを止めた。
いや、『止められた』というべきか。
とりあえずは、他の参加者に会う前にどこかに隠れなければ……。
とりあえずの方針を決めると、颯太は自身に支給されたデイパックに手を伸ばし………
その動きを止めた。
いや、『止められた』というべきか。
突如、颯太の背後の首筋に冷たく硬い物が押し当てられ、
颯太の体は凍りついたかのように固まってしまった
颯太の体は凍りついたかのように固まってしまった
「……動くな。動かなければ悪いようにはしない」
背後から若い女性の声が聞こえ、颯太は冷や汗を流しながら大きく唾を飲み込んだ。
「お前はこの殺し合いに……」
「の、乗ってないです……」
「の、乗ってないです……」
背後からの問いかけに、颯太は少々早口になりながら即答する。
しばしの沈黙の後……颯太の首筋から冷たい感触が消えた。
しばしの沈黙の後……颯太の首筋から冷たい感触が消えた。
「……ハァ~」
背後の人物が納得したらしく、颯太は安堵のため息を漏らした。
「驚かして申し訳ない。私も、無闇に人の命を奪うような真似をするつもりはない」
「い、いえ……こんな状況ですし……」
「い、いえ……こんな状況ですし……」
仕方ない、と続けようとして背後に振り返り……颯太は目を丸くした。
そこには緑を基調としたチャイナドレスのような服を着用し、長く美しい黒髪をサイドポニーテールでまとめた美少女が、包丁を手にして立っていた。
持っている武器こそ違うが……颯太はその美少女を知っていた。
「か、関羽雲長……愛紗?」
そう……今颯太の目の前にいるのは、
『三国志』をモチーフとしたアダルトゲームを原作とするメディアミックス作品『恋姫†無双』シリーズに登場するヒロインの一人、『関羽』こと『愛紗』だったのだ。
『三国志』をモチーフとしたアダルトゲームを原作とするメディアミックス作品『恋姫†無双』シリーズに登場するヒロインの一人、『関羽』こと『愛紗』だったのだ。
「!」
颯太の呟きを耳にすると、愛紗は目の色を変えて颯太に飛びかかり、颯太の体を地面に押さえつけた。
「うわあぁぁ!?」
情けない事に、
颯太はろくに抵抗らしい抵抗もできずに大して歳の変わらない少女に地面に押さえつけられてしまい、
その喉元に鈍く光る包丁を突きつけられたのだった。
颯太はろくに抵抗らしい抵抗もできずに大して歳の変わらない少女に地面に押さえつけられてしまい、
その喉元に鈍く光る包丁を突きつけられたのだった。
「貴様……何故、私の『真名』を知っている!?」
愛紗は今にも颯太の喉に包丁を突き刺さんとするかのような剣幕で、怒りを露にしていた。
ここで少し解説すると、
『真名』とは、『恋姫†無双』シリーズの大半のキャラクターに設定されている『モデルとなった三国志の人物のものとは違う、もう一つの名前』で、今颯太の目の前にいる蜀の武将『関羽雲長』がモデルの少女の『愛紗』という呼び名もその一つである。
この『真名』は『本人が心を許した証として呼ぶことを許した名前』であり、
これを本人の承諾無しに呼ぶ事は、問答無用で切り殺されても文句が言えない程失礼な行為なのである。
『真名』とは、『恋姫†無双』シリーズの大半のキャラクターに設定されている『モデルとなった三国志の人物のものとは違う、もう一つの名前』で、今颯太の目の前にいる蜀の武将『関羽雲長』がモデルの少女の『愛紗』という呼び名もその一つである。
この『真名』は『本人が心を許した証として呼ぶことを許した名前』であり、
これを本人の承諾無しに呼ぶ事は、問答無用で切り殺されても文句が言えない程失礼な行為なのである。
「あ、あの……あ、愛……」
「貴様に真名を許した覚えはない!」
「は、はい!ごめんなさい関羽さん!!」
「貴様に真名を許した覚えはない!」
「は、はい!ごめんなさい関羽さん!!」
とても自分と大して歳の変わらない少女とは思えない剣幕を見せる愛紗に、颯太は反論する事もできなかった。
「貴様、何故私の名を……真名までも知っている!?貴様はあのハ・デスという男の仲間なのか!?」
「いや……その……えっと」
「貴様は何者だ!?」
「は、はい!み、水篠、水篠颯太!です……」
「いや……その……えっと」
「貴様は何者だ!?」
「は、はい!み、水篠、水篠颯太!です……」
颯太は内心、『セレジアさんと最初に会った時みたいだなぁ……』などと現実逃避的な感想を抱きながらも、何とかこの場を切り抜けようとしていた。
「か、関羽さん!僕はあのハ・デスって人とは、全然関係無いんです!僕も貴女と同じで、無理矢理ここに連れて来られて……」
「……………」
「……………」
颯太は必死に弁解するが、愛紗は颯太の喉元から包丁を離そうとはせず、颯太に疑いの眼差しを向けていた。
「あ、あの!原作のゲームはやった事無いけど、ノベライズとコミカライズは読みましたし、アニメ版は全部見ました!『桃園の誓い』のシーンは凄くて……」
「『原作』?『アニメ』?何を言って……」
「『原作』?『アニメ』?何を言って……」
途中から弁解ではなく、『恋姫†無双』シリーズの感想を述べ始める颯太に、愛紗は首を傾げるが……
「!」
颯太の口にしたある言葉に気づいて目を丸くした。
「『桃園の誓い』だと!?姉上と義姉妹の誓いをたてた時の事か!?」
『桃園(とうえん)の誓い』とは、
三国志演義の序盤において、後に『蜀』を建国する事になる劉備、関羽、張飛の三人が
義兄弟の契りを結ぶシーンの事であり、
三国志をモチーフとする恋姫†無双シリーズにおいては、
アニメ版第二期のオープニングテーマのタイトルのモチーフとなっているのだ。
三国志演義の序盤において、後に『蜀』を建国する事になる劉備、関羽、張飛の三人が
義兄弟の契りを結ぶシーンの事であり、
三国志をモチーフとする恋姫†無双シリーズにおいては、
アニメ版第二期のオープニングテーマのタイトルのモチーフとなっているのだ。
「どういう事だ!?あの時、あそこにはお主のような者の姿はいなかった!どうしてお主が知っているのだ!?」
「そ、それはその……」
「そ、それはその……」
颯太は恐る恐る語り始めた。
何故自分が愛紗の真名や義姉妹との誓いを知っているのかを、
そして『恋姫†無双』という物語についてを……。
ちなみに、念のため原作ゲームの主人公である『北郷一刀』を知っているか聞き、
愛紗が『知らない』と答えたので、アニメ版を中心に話している。
そして『恋姫†無双』という物語についてを……。
ちなみに、念のため原作ゲームの主人公である『北郷一刀』を知っているか聞き、
愛紗が『知らない』と答えたので、アニメ版を中心に話している。
☆☆☆
「……と、いう訳なんです」
「………」
「………」
颯太が話終えると、愛紗は豊満な胸の前で腕組みをしながら神妙な表情を浮かべる。
ちなみに現在、颯太は拘束を解かれて、愛紗と向かい合う形で共に地面に正座していた。
「つまり……私はお主の世界で造られた『物語の登場人物』だと、そういうのだな?」
「は、はい……いきなり、信じられないかもしれませんけど……」
「当たり前だ!!」
「は、はい……いきなり、信じられないかもしれませんけど……」
「当たり前だ!!」
愛紗は地面に拳を叩きつけながら激昂し、颯太はビクリッ!と震え上がった。
「私のいた場所が、私の仲間や義姉妹が、私自身やその人生が……『娯楽』の為に造られた『絵空事』だと!?そんな世迷い言、信じられる訳ないだろう!!」
「いや、あの、僕に言われても!?」
「いや、あの、僕に言われても!?」
いかに大して歳の変わらない少女とはいえ、相手は百戦錬磨の武将。
ただのオタク高校生に過ぎない颯太は、その剣幕に涙目を浮かべながら震え上がるしかなかった。
ただのオタク高校生に過ぎない颯太は、その剣幕に涙目を浮かべながら震え上がるしかなかった。
「……あぁ、いや……すまん」
激昂した後、愛紗は頭を抱えながらため息を漏らした。
「……正直信じられないのは本当だが、嘘をつくならばもう少し本当らしい嘘をつくだろうし、私や義姉妹達についてあそこまで詳しいとなると……信じざるえないようだな」
「そ、そうですか……ハァ~」
「そ、そうですか……ハァ~」
愛紗がとりあえずではあるが納得してくれたので、颯太は再び安堵のため息を漏らした。
「……それで、お主………颯太だったか。一つ聞きたい事があるのだが……」
「あ、はい。何でしょうか?」
「もしやとは思うが……あの『ハ・デス』という者も、『物語の登場人物』なのか?」
「!」
「あ、はい。何でしょうか?」
「もしやとは思うが……あの『ハ・デス』という者も、『物語の登場人物』なのか?」
「!」
愛紗からの問いかけに、颯太は一瞬目を見開き……
「……はい。多分間違い無いと思います」
……顔を伏せながらではあるが、愛紗の問いかけを肯定した。
颯太の知る限り……『冥界の魔王ハ・デス』とは、
大人気トレーディングカードゲームの一つ『遊戯王OCG』に登場するモンスターカードの一枚だ。
大人気トレーディングカードゲームの一つ『遊戯王OCG』に登場するモンスターカードの一枚だ。
ハ・デスだけではない。
最初の場所で説明を行っていた磯野なる人物、
そして見せしめに殺された『本田』という少年を、
そしてその本田の友人『遊戯』を、
そして『決闘(デュエル)』『決闘者』という言葉を……颯太は知っていた。
最初の場所で説明を行っていた磯野なる人物、
そして見せしめに殺された『本田』という少年を、
そしてその本田の友人『遊戯』を、
そして『決闘(デュエル)』『決闘者』という言葉を……颯太は知っていた。
『遊戯王OCG』の原作である漫画『遊☆戯☆王』の登場人物、
そして……『遊☆戯☆王』にまつわる関連用語の一つとして。
そして……『遊☆戯☆王』にまつわる関連用語の一つとして。
「そうか……お主の話を聞いて、もしやとは思ったが……」
颯太の返答を聞き、愛紗は自身の顎に手を当てる。
「……多分、あのハ・デスの言ってた『無数の世界』っていうのは……『物語の世界』の事だと思います。……ハ・デス自身も、自分が『物語の登場人物』……『被造物』だって、理解している感じでしたし……」
愛紗に語りながら、颯太は次第に顔を伏せつつ声を小さくしていく。
異なる『物語世界』からその登場人物達を『被造物』として現実に出現させられる存在を……颯太は知っていた。
『軍服の姫君』ことアルタイル。
まさに、颯太が関わってしまった事件の中心にいる……今は亡き『友人』の遺作。
アルタイルの能力ならば、様々な『物語世界』から被造物を集めて殺し合いをさせるくらい、
雑作もない事だろう。
雑作もない事だろう。
「それで颯太、お主はこれからどうするのだ?」
「えっ?そ、そうですね……えっと……」
「えっ?そ、そうですね……えっと……」
愛紗に今後の方針を問われ、颯太は黙りこんでしまった。
先ほどから何度も書いているが、颯太は平々凡々としたオタク少年。
友人であるセレジアやメテオラ等『被造物』と違い、戦う力など持っていない。
友人であるセレジアやメテオラ等『被造物』と違い、戦う力など持っていない。
しかも状況から見て、この『決闘』という名の殺し合いには、アルタイルが一枚噛んでいる可能性と高い……
ますます颯太にはどうにも出来そうには思えなかった。
ますます颯太にはどうにも出来そうには思えなかった。
「えっと……その……」
颯太の頭の中は堂々巡りの考えばかりが過り、半ば思考停止状態に陥ってしまっていた。
「……ハァ、仕方ない」
黙りこんだままの颯太の姿に愛紗はため息を漏らすと、颯太の手を掴んで立ち上がった。
「か、関羽さん!?何を!?」
「……いつまでもこうしている訳にもいかんだろう。とりあえず場所を変えるぞ」
「……いつまでもこうしている訳にもいかんだろう。とりあえず場所を変えるぞ」
颯太は愛紗に引っ張られるまま、歩いていった
はたして、この殺し合いにおける彼らの『物語』はどのような結末を迎えるのか……
それはまだ誰にも分からないのだ。
それはまだ誰にも分からないのだ。
【水篠颯太@Re:CREATORS】
[状態]:若干情緒不安定、
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本:殺されたくはない
1:・・・(思考停止状態)
2:他にも被造物が?
[備考]
アニメ第12話辺りからの参戦。
版権キャラやその出典作品に関する知識を持っています。
どの程度の知識があるかは、後の書き手さんに任せますが、参戦時期的に『2016年11月』以降に発表された作品の知識はありません。
この殺し合いに『軍服の姫君』ことアルタイル@Re:CREATORSが関わっているのでは?と考えています。
[状態]:若干情緒不安定、
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本:殺されたくはない
1:・・・(思考停止状態)
2:他にも被造物が?
[備考]
アニメ第12話辺りからの参戦。
版権キャラやその出典作品に関する知識を持っています。
どの程度の知識があるかは、後の書き手さんに任せますが、参戦時期的に『2016年11月』以降に発表された作品の知識はありません。
この殺し合いに『軍服の姫君』ことアルタイル@Re:CREATORSが関わっているのでは?と考えています。
【関羽(愛紗)@恋姫†無双(アニメ)】
[状態]:健康、動揺(中)
[装備]:包丁@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本:殺し合いはしない
1:颯太と行動する
2:まさか自分が『物語の登場人物』だったとは・・・
[備考]
アニメ版第三期『真・恋姫†無双 ~乙女大乱~』最終話後からの参戦です。
颯太の話を聞き、自分が『物語の登場人物』である事を知りました。
[状態]:健康、動揺(中)
[装備]:包丁@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本:殺し合いはしない
1:颯太と行動する
2:まさか自分が『物語の登場人物』だったとは・・・
[備考]
アニメ版第三期『真・恋姫†無双 ~乙女大乱~』最終話後からの参戦です。
颯太の話を聞き、自分が『物語の登場人物』である事を知りました。
【包丁@現実】
どこの家庭にも一本はある、ごく普通のステンレス製包丁。
どこの家庭にも一本はある、ごく普通のステンレス製包丁。