「ママ!! ママァ!!」
半狂乱になって叫ぶ少年の名はラース。
人体錬成の失敗作である人造人間……ホムンクルスだ。
人体錬成の失敗作である人造人間……ホムンクルスだ。
彼が求める母とは自分を作ってすぐに捨てた憎きイズミ・カーティスではなく、ホムンクルスの仲間のスロウスのこと。
ここに連れてこられる直前、自分が足を引っ張ったせいでスロウスが宿敵エドワード・エルリックに殺された。
ホムンクルスのリーダーであるダンテは、貴重な賢者の石を使ってまでやられた駒を蘇らせたりはしない。
それでも何とか頼み込もうと本拠地に向かっていたというのに、気づいたらあの殺し合いの説明の場にいた。
「ママァアアアアア!!!!」
深い悲しみに暮れて絶叫するラース。けれど、冥界の王の……ハ・デスの言ったことを思い出して、暗い笑みを浮かべる。
「そうだ、願いだ……賢者の石でも神様でもなんだっていい、ママが生き返るなら、僕は……!」
あれほど憎んでいたエドワードやイズミと同じ……否、それより遥かに下劣な思考に行き着いていることにも気づかずに、ラースは殺し合いに乗る決心をした。
と、その時。
「さっき、ママ、ママって泣いてのは君?」
近くの茂みを掻き分けて、金髪の少女が現れる。
「そうだよ、けどもう泣かない……みんな殺せば、ママは生き返るから!」
金髪の少女……フェイト・テスタロッサが近くにいたのは単なる偶然だが、実際に遭遇したのは偶然ではない。ラースの泣き叫ぶ声を聞いて、自分と歳の変わらぬ子供が怖がっているのかと様子を見に来ていたのだ。
余談だがその泣き叫ぶ声が、どこか自分の声と似ている気がしたのも、様子を見に来た一因ではある。
余談だがその泣き叫ぶ声が、どこか自分の声と似ている気がしたのも、様子を見に来た一因ではある。
ラースの殺気の籠もった瞳に、フェイトは悲しげな瞳で首を横に振る。
「駄目だよ。人は……死んだ人は、絶対に生き返らない」
アリシアがそうだったから、とまでは言わないフェイト。
「人は生き返らない? クッ、あっはっはっは!!」
教訓、というにはあまりにも直球過ぎる言葉を聞いて、ラースは狂ったような笑い声をあげる。
「そんなこと、僕らが一番よく知ってる」
笑顔から一転、ドスの効いた低い声でフェイトを睨むラース。
「僕らはホムンクルス、人造人間だ。どこかの馬鹿が面白半分で誰かを蘇らせようと、人体錬成を試して生まれた化物だよ」
「化け物……偽物……人造、人間……」
「息子の代わりに産まれさせられた僕と、母親の代わりに産まれさせられたママ……」
誰かを蘇らせようとして作られた偽物。それは、それはまるで……フェイト自身のことのようだった。
「だからママは生き返る。人じゃないからこそ、生き返るんだ!!!」
ラースは自らの支給品であるキング・ブラッドレイの刀……別の世界[原作]においてラースの名を持つ者の武器と一体化する。
「お前たちは、死ねぇえええ!!」
鬼気迫る表情で向かってくるラースに、フェイトもまた支給品である雷の斧で防御する。
「くっ!」
激しい火花を散らす刀と斧。そのまま激しく動き回りながら打ち合う二人。
「くっ、あああ!」
しかし、デバイス抜きのパワー……というより腕力では流石に不利であり、徐々に押されていくフェイト。
「少しはやるみたいだけど、僕より弱いね! この程度か!?」
嘲笑いながら攻撃を続けるラース。
キング・ブラッドレイの刀は二振りだ。左腕だけでなく、右足も刀と同化させると、曲芸師のように飛び跳ねて蹴りを放つ。
「ぐぅあ!」
その一撃を受けて吹き飛ばされるフェイトだったが、なんとか空中で体勢を整えて着地する。
(バルディッシュがあれば……!)
相棒とも言えるデバイスがないことに歯噛みするフェイトだが、ないものねだりをしてもしょうがない。それに、この雷の斧も説明書を読んだ限りでは決して悪い武器ではないのだ。
図らずも距離を取ったことで仕切り直しとなり、両者睨み合う。
「へぇ、今ので死んでないんだ。そのバカデカい斧が合わないだけで、思ったよりは強いのかな?」
ただの少女ではないとは思っていたが、ホムンクルスである自分の動きについてこれるほどとは思っていなかったラース。一方フェイトは斧の刃先を地面に向けるようにして構えながら、どこか悲しげな瞳でラースを見据えていた。
「君は……私に似てる」
「似てる? 声の話か? 確かにな」
「それもだけど、そうじゃなくて」
ゆっくりと武器を下ろすフェイト。すかさず襲いかかろうとするラースだが、次のフェイトの言葉を聞いて体を止める。
「私も……君と同じだった」
「同じ、だと?」
「母さんは……最期まで私を見てくれなかった。どうしてかというと、私も君と同じ……代わりに作られた偽物だったからだった」
「……お前もホムンクルスなのか?」
「ううん、私はクローンの方」
クローンという概念をラースは知らないが、ホムンクルスと同じようなものであるということは理解できた。
「母さんは私を見てくれなかったけど、私にはそばにいてくれる人も、手を差し伸べてくれる人もいた。君にとってはママがそうなんでしょ? だから……」
「ふん、お前の自分語りなんて興味ないね」
そっぽを向いて言うラース。だが口ではそう言いながらも、彼の殺気が僅かながら和らいでいるのを感じた。
「お前じゃなくて、私は……」
フェイトには分かった。目の前の少年は心を閉ざしている。かつて、ジュエルシードを集めていた頃の自分と同じか、それ以上に。
彼には『ママ』しかいない。自分にとってのアルフやなのはのような人がいなかったか、いたとしても気づけなかったのだろう。
そんな人と分かり合うにはどうすればいいか……フェイトの『友達』が、教えてくれた。
「私は……フェイト。フェイト・テスタロッサ。あなたは?」
キョトン、とした顔になるラース。まさか自己紹介をされるとは思っていなかったのだろう。けれど、斧を地面に向けて片手を差し出してくるフェイトに、同じように『母親』に捨てられたフェイトに思うところがあったのか、ぶっきらぼうに答える。
「憤怒のホムンクルス……ラースだ」
ラース。それは、きっと通称みたいなもので、本当の名前じゃなくて。でも彼にはその名前しかないのだろう。
「ラース。私は、君を止める」
「やってみればいい! 僕はお前を殺すぞ!」
ラースは刀と同化していない方の手で地面に触れる。ラースの右腕と左足……エドワード・エルリックの右腕と左足が輪を作ることで、錬金術が発動。
大きく隆起した地面がフェイトに襲いかかる。
「こんなもの!」
試し打ちもしていないが、出し惜しみをしていては負けるのは先ほどの打ち合いで分かった。
フェイトは雷の斧……スラッシュアックス、断雷斧キリンを剣モードに変化させ、迫りくる地面に突き刺した。
「属性解放突き!!!」
激しい爆発と共に、フェイトに迫っていた地面がバラバラに吹き飛ぶ。
「隙だらけだよぉ!!」
元々使っていたデバイスと似通う部分もあって、扱いの難しいスラッシュアックスでラースと互角に戦っていたフェイト。しかし流石にこの短期間では使いこなすとまではいかず、属性解放突きの後の大きな隙を晒してしまう。
ラースが軽快に飛び跳ねながら接近してくる。フェイトが慌てて体勢を立て直そうとした時……
「オギャーー!! アギャーー!!!」
突然、赤ん坊の泣き声が響く。
「そんな、赤ちゃんまでこんな殺し合いに!?」
二人の激しい闘いの音がうるさかったのか、単に草むらに放置されているのが不快だったのかは分からない。
しかし、赤ん坊……野原ひまわりが目を覚まして泣いている、ということは確かだ。
しかし、赤ん坊……野原ひまわりが目を覚まして泣いている、ということは確かだ。
「はっ、ぁ、あぁ、はっ……! はっ……!」
ひまわりの泣き声を聞いた瞬間、目を見開いて固まるラース。
「ラース?」
「うるさい……」
ラースは赤ん坊の泣き声が苦手だ。トラウマと言ってもいい。
流産した赤ん坊の死体を元に錬成され、産まれた直後に真理の扉に捨てられた頃の記憶を、自分の泣き声を思い出すから。
流産した赤ん坊の死体を元に錬成され、産まれた直後に真理の扉に捨てられた頃の記憶を、自分の泣き声を思い出すから。
「うるさい!! おい、ソイツを黙らせろ!!」
「だ、黙らせろって……」
「オギャーー!! オギャーー!!」
『オギャーー!! オギャーー!!』
「うるさい、うるさいうるさい!! 黙れぇえええええ!!!」
「ラース!! ダメ!」
ひまわりに向けて突進するラース。
「僕に、あのことを思い出させるなぁああああ!!!」
本来ならフェイトのスピードはラースと見劣りするものではない。だがフェイトの持つスラッシュアックス、それも剣モードは狩人の扱う武器の中でも最上級の重さだ。
だから、ひまわりに走り寄るラースに、追いつけない。
「静かに、しろぉおおお!!!!」
種族によって自立の早い遅いはあれど、どんな生物でも赤ん坊の頃は母に、周りに守られなければ生きていけない。
苛立ったラースに蹴り飛ばされる。たったそれだけで、文字通り赤子の手をひねるほど簡単に……野原ひまわりは息絶えた。
【野原ひまわり@クレヨンしんちゃん 死亡】
「あ、あぁ、ああぁあ……!」
無力な赤ん坊。何もできない無力な存在。かつて捨てられた時の自分のような弱い弱い存在を……ラースは殺してしまった。
「僕は、僕は、なんてこと……! 違う、僕は、僕は……!」
「ラース……」
赤ん坊を殺したラースに、本当なら憤怒の感情を浮かべなければならないはずなのに……フェイトはなぜか、彼のことが哀れでたまらなかった。
「くっ、来るなぁ!!」
ラースは再び地面に手をついて錬成する。今度は土煙をあげての目くらましだ。
土煙が晴れた時には、ラースの姿は掻き消えていた。
土煙が晴れた時には、ラースの姿は掻き消えていた。
逃げた。それも、命の危機を感じたわけでもない。ただ、自分の行ったことが……赤ん坊を殺したことが、それで責められるのが怖くて。
「ラース、君は……許されないことをした」
ギュッ、と断雷斧キリンを握りしめるフェイト。
「私が止める」
元々こんな殺し合いなどに乗るつもりはない。しかしこの出来事で、より一層抗う決意が固まった。
しかしフェイトはラースを追わず、先ほどラースが蹴り飛ばした赤ん坊に歩み寄る。ただ腹立ち紛れに蹴られただけで息絶えた、余りにも儚い命……ひまわりの遺体を見て、俯いてしまうフェイト。
「ごめんね……」
消え入りそうな声で、そう呟いた。
「僕は、僕には、関係ない……! 赤ん坊がいたからって、僕と似た女の子がいたからって関係ない! ママを生き返らせる! みんな殺す!!」
咄嗟にフェイトから逃げた後、激しく首を横に振って自分に言い聞かせるラース。
「ダンテもイズミも関係ない! 僕はママがいれば、それだけでいいんだ!」
【ラース@鋼の錬金術師(2003年版)】
[状態]:健康、疲労(小)
[装備]:キング・ブラッドレイの刀@鋼の錬金術師
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2】
[思考・状況]基本方針:みんな殺して、ママを生き返らせる
1:みんな殺す! 誰だろうと関係ない!
2:フェイトにはできれば会いたくない
[状態]:健康、疲労(小)
[装備]:キング・ブラッドレイの刀@鋼の錬金術師
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2】
[思考・状況]基本方針:みんな殺して、ママを生き返らせる
1:みんな殺す! 誰だろうと関係ない!
2:フェイトにはできれば会いたくない
[備考]
47話終了後からの参戦です。
47話終了後からの参戦です。
【フェイト・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:健康、疲労(小)
[装備]:断雷斧キリン@モンスターハンターシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2】
[思考・状況]基本方針:殺し合いに抗う
1:まず、この子(ひまわり)を埋めてあげないと……
2:ラースを止める。
[備考]
一期終了後からの参戦です。
[状態]:健康、疲労(小)
[装備]:断雷斧キリン@モンスターハンターシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2】
[思考・状況]基本方針:殺し合いに抗う
1:まず、この子(ひまわり)を埋めてあげないと……
2:ラースを止める。
[備考]
一期終了後からの参戦です。
『支給品紹介』
【断雷斧キリン@モンスターハンターシリーズ】
フェイト・テスタロッサに支給。
剣と斧の変形機能を持つスラッシュアックス。青と白を基調とした美しい武器。攻撃力は低いが雷属性値は高く、作品によって強さに幅がある。
ちなみに剣モードの攻撃時に使用される強襲ビンも一緒に支給されている。
【断雷斧キリン@モンスターハンターシリーズ】
フェイト・テスタロッサに支給。
剣と斧の変形機能を持つスラッシュアックス。青と白を基調とした美しい武器。攻撃力は低いが雷属性値は高く、作品によって強さに幅がある。
ちなみに剣モードの攻撃時に使用される強襲ビンも一緒に支給されている。