赤色のラナンキュラス、花言葉は『あなたは魅力に満ちている』
「動かないで」
決闘会場のどこかの夜の森の中、一人の少女がもう一人の少女の首筋に刃物を突き付けていた。
首筋に刃物を突き付けられた少女の名はブレイク・ベラドンナ、この殺し合いの参加者の一人である。
決闘会場のどこかの夜の森の中、一人の少女がもう一人の少女の首筋に刃物を突き付けていた。
首筋に刃物を突き付けられた少女の名はブレイク・ベラドンナ、この殺し合いの参加者の一人である。
彼女はこの殺し合いに呼ばれる直前、避難中継地にてアトラスとマントルの市民の避難誘導を行っていたところ、
突如として強襲してきたシンダー・フォール及びニオポリタンと交戦し、シンダーの攻撃によって奈落の底に落ちようとしていたチームリーダー、
ルビー・ローズの救出を試みたものの、シンダーの妨害によって救出に使おうとしていた愛武器、ガムボール・シュラウドのリボンを切断され、
ルビーと共に奈落の底に落ちて行ったはずなのだ。
突如として強襲してきたシンダー・フォール及びニオポリタンと交戦し、シンダーの攻撃によって奈落の底に落ちようとしていたチームリーダー、
ルビー・ローズの救出を試みたものの、シンダーの妨害によって救出に使おうとしていた愛武器、ガムボール・シュラウドのリボンを切断され、
ルビーと共に奈落の底に落ちて行ったはずなのだ。
彼女の記憶はそこで途切れていた。気が付けばハ・デスと名乗る謎の存在によって殺し合いを強制され、
理解が追いつかぬまま会場に転送されることとなった。
理解が追いつかぬまま会場に転送されることとなった。
会場に転送された直後、ブレイクがまず行ったのは支給品の確認であった。
自分がこの殺し合いに呼ばれたということは自分と一緒に落ちたリーダーのルビー・ローズと自分より前に落ちたチームメイトでありパートナーであるヤン・シャオロンもこの殺し合いに参加しているかもしれない。
自分がこの殺し合いに呼ばれたということは自分と一緒に落ちたリーダーのルビー・ローズと自分より前に落ちたチームメイトでありパートナーであるヤン・シャオロンもこの殺し合いに参加しているかもしれない。
愛用武器のガムボール・シュラウドはこの殺し合いに呼ばれる直前、シンダーの攻撃によって破壊されている。
だからまずするべきは武器の早急な確保であり、その後は彼女たちに危害が及ぶ前に一刻も早くルビー・ローズ及びヤン・シャオロンと合流しなければ、とブレイクは考えていた。
だからまずするべきは武器の早急な確保であり、その後は彼女たちに危害が及ぶ前に一刻も早くルビー・ローズ及びヤン・シャオロンと合流しなければ、とブレイクは考えていた。
支給品を漁ってまず発見したのは刀身が血で染まった刀であった。
説明書には『屍山血河』と書かれており、恐らくそれがこの武器の名前であろうことを理解した。
説明書には『屍山血河』と書かれており、恐らくそれがこの武器の名前であろうことを理解した。
愛用武器のガムボール・シュラウドと異なり、鎖鎌形態や銃形態への変形機能はなく、刀として振るうしか出来ないと思われたものの、
今は愛用武器と同じ感覚で振るえる武器の入手に感謝しつつ、試しに振るおうとした所で首筋に刃物を突き付けられ、今に至る。
今は愛用武器と同じ感覚で振るえる武器の入手に感謝しつつ、試しに振るおうとした所で首筋に刃物を突き付けられ、今に至る。
ブレイクは首筋に刃物を突き付けられながらも今の状況を冷静に分析していた。
(いつの間に私の背後に!?支給品を確認する前に周囲を確認した際に人の気配はなかったはず……ファウナスである私の目を搔い潜って夜の闇の中を忍び寄れるはずは……)
そう、この少女、ブレイク・ベラドンナはファウナスであった。ファウナスとはブレイクの故郷であるレムナントにおける獣人である。
ファウナスは暗闇においても物を見ることが出来る暗視能力を備えており、
過去にレムナントにおいて行われたファウナス権利革命においてファウナスの軍勢と戦ったラグーン将軍という人物はファウナスの暗視能力を知らずに夜襲を仕掛け、
逆に返り討ちにあって捕えられてしまったという歴史があった。
過去にレムナントにおいて行われたファウナス権利革命においてファウナスの軍勢と戦ったラグーン将軍という人物はファウナスの暗視能力を知らずに夜襲を仕掛け、
逆に返り討ちにあって捕えられてしまったという歴史があった。
だから通常の人間がファウナスであるブレイクの目を誤魔化して夜の闇の中を忍び寄ることは不可能に近いはずなのだ。
(でも現に背後を取られてしまった。後ろの奴は絶対に只者じゃない。正体は一体……)
そうこう考えている内にブレイクの背後の少女が次の言葉を発する。
「ゆっくりと武器を置いて。そしてそのまま両手をあげてゆっくりとこっちを向いて。」
兎に角今は後ろの言葉に従うしかない、と考えたブレイクは指示通りに地面に武器を置くと両手をあげ、ゆっくりと後ろを向き……
「えいっ、ぶすっ」
「っ!?」
「っ!?」
その瞬間、首筋に突き立てられていた刃物が急に突き出され、ブレイクは死を覚悟し目を瞑る。
……がいくら待っても痛みがやってこないため、ブレイクが恐る恐る目を開けると……
「はい、お姉さんは一回死にました。次からはこうならないよう頑張りましょう。」
ブレイクの目の前にいたのは一人の少女であった。外見年齢はブレイクよりも幾分か下くらいであろうか。
薄い黄色いリボンを付けた鴉羽色の帽子を被り、黄色味がかった鮮やかな緑髪で上の服は黄色、下はラナンキュラスが描かれた緑色のスカートを履いており、
右手にはスティレットのような形状の短剣が握られていた。恐らく右手の短剣が自分の首筋に突き立てられた刃物の正体なのであろう。
薄い黄色いリボンを付けた鴉羽色の帽子を被り、黄色味がかった鮮やかな緑髪で上の服は黄色、下はラナンキュラスが描かれた緑色のスカートを履いており、
右手にはスティレットのような形状の短剣が握られていた。恐らく右手の短剣が自分の首筋に突き立てられた刃物の正体なのであろう。
少女は屈託のない笑顔を浮かべていた。その表情は相手を弄んでいるというよりもただ相手をからかって遊んでいるともとれるような表情であった。
その相手の少女の態度に少し苛立ったブレイクは少女に質問を投げかける。
その相手の少女の態度に少し苛立ったブレイクは少女に質問を投げかける。
「……一体どういうつもり?」
「えっ?どういうつもりってお姉さんの背後ががら空きだったからつい『無意識で』後ろをとっちゃった、みたいな感じ?」
「……ふざけないで。」
「えっ?どういうつもりってお姉さんの背後ががら空きだったからつい『無意識で』後ろをとっちゃった、みたいな感じ?」
「……ふざけないで。」
ブレイクは少女が自分のことを舐めているのではないかと感じた。さっき背後を取ったときだって殺そうと思えばいつでも殺せた。
なのにそれをしなかったということは「お前なんて殺そうと思えばいつでも殺せるぞ」と言っているようにも感じられたのだ。
だが少女はそんなブレイクの胸中を知ってか知らずか、ブレイクに次の質問を投げかける。
なのにそれをしなかったということは「お前なんて殺そうと思えばいつでも殺せるぞ」と言っているようにも感じられたのだ。
だが少女はそんなブレイクの胸中を知ってか知らずか、ブレイクに次の質問を投げかける。
「そういえば気になっていたんだけど」
「話をはぐらかさないでくれる?」
「えー?そうは言っても気になるよぅ」
「……仕方がないわね。何?」
「話をはぐらかさないでくれる?」
「えー?そうは言っても気になるよぅ」
「……仕方がないわね。何?」
少女のマイペースな態度にブレイクは苛立ちを募らせるがその気持ちを一旦抑え、少女に質問を促すことにする。
「お姉さん、妖怪?」
「……は?」
「……は?」
だが少女の思いもかけない質問にブレイクは一瞬、思考が停止したのを感じた。
最初は何かの冗談かと思ったのだが目の前の少女の表情を見て冗談で言っているのではないと察したブレイクは少女に質問の意図を聞き返すことにする。
最初は何かの冗談かと思ったのだが目の前の少女の表情を見て冗談で言っているのではないと察したブレイクは少女に質問の意図を聞き返すことにする。
「……何でそう思うの?」
「私のお家はね、地霊殿っていう所なんだけどお姉ちゃんが家主をしていていっぱいペットがいるんだけど、
そのペットの中にお燐って子がいてその子は猫の妖怪なんだけど、お姉さんが頭の上にお燐と同じ猫耳を生やしているからひょっとしたらお姉さんもお燐と同じ猫の妖怪なのかなあ~、なんて思って。」
「私のお家はね、地霊殿っていう所なんだけどお姉ちゃんが家主をしていていっぱいペットがいるんだけど、
そのペットの中にお燐って子がいてその子は猫の妖怪なんだけど、お姉さんが頭の上にお燐と同じ猫耳を生やしているからひょっとしたらお姉さんもお燐と同じ猫の妖怪なのかなあ~、なんて思って。」
ブレイクは彼女の家だという地霊殿なる建物も気になったがそれよりも少女が気になることを言っていたのでブレイクはさらに聞き返すことにする。
「猫の妖怪?その子はファウナスじゃないの?」
「え~?違うよ?お燐は元々普通の猫だったんだけど怨霊とか色々食べて今のお姉さんのような人の姿になれるようになったんだって。お姉さんは違うの?」
「え~?違うよ?お燐は元々普通の猫だったんだけど怨霊とか色々食べて今のお姉さんのような人の姿になれるようになったんだって。お姉さんは違うの?」
意味が分からなかった。
猫が怨霊を食べるとか人の姿になれるとか姉がそれをペットとして飼っているとかブレイクには彼女の言っていることが本の中の世界の話にしか感じられなかったのだ。
猫が怨霊を食べるとか人の姿になれるとか姉がそれをペットとして飼っているとかブレイクには彼女の言っていることが本の中の世界の話にしか感じられなかったのだ。
それにブレイクにはもう一つ気になることがあった。少女の容姿は一見すると普通の人間の少女のそれなのだが『ある一点』だけが普通の人間とは決定的に異なっていたのだ。
彼女の左胸には紫色の球体が浮かんでおりその球体には閉じた瞳のような器官が付いており、その球体から伸びた管が彼女の体に直に繋がっていたのである。
普通の人間は勿論、ファウナスであっても有り得ないその特異な容姿と先ほどの話の内容から少女が自らと全く異なる存在なのではないか、とブレイクは考える。
「……あなた、何者?」
「え~?『人に名前を聞くときはまず自分から名乗りなさい。』って教わらなかった?それにお姉さんが誰なのか気になるよぅ。」
「え~?『人に名前を聞くときはまず自分から名乗りなさい。』って教わらなかった?それにお姉さんが誰なのか気になるよぅ。」
彼女の言うことも一理ある、と考えたブレイクはまず自分から名乗ることにする。
「私の名はブレイク・ベラドンナ、ファウナスよ。」
「?ファウナスってなあに?妖怪と違うの?」
(……ファウナスを知らない?どういうこと?)
「?ファウナスってなあに?妖怪と違うの?」
(……ファウナスを知らない?どういうこと?)
ブレイクは彼女がファウナスを知らないという事実がにわかには信じられなかった。
ファウナスはブレイクの住む世界であるレムナントにおいては人類と並んで一般的に存在している種族である。
レムナントにおいてはファウナスの存在は誰でも知っている一般常識の範疇であり、それを知らないというのはレムナントの住民であるなら普通なら有り得ないことであった。
レムナントにおいてはファウナスの存在は誰でも知っている一般常識の範疇であり、それを知らないというのはレムナントの住民であるなら普通なら有り得ないことであった。
ブレイクは決闘会場に転送される前のハ・デスの言葉を思い出す。
「様々な世界から参加者を呼び寄せている」ハ・デスは確かにそう言った。
であるなら目の前の少女は自分とは全く異なる世界から呼び寄せられ、この殺し合いに参加させられているのではないか。
そう確信したブレイクはそれを確認するため、彼女の名を訪ねることにする。
そう確信したブレイクはそれを確認するため、彼女の名を訪ねることにする。
「約束通り名乗ったわよ。次はあなたの番よ。」
「うん、そうだね。じゃあ自己紹介するね。私の名前は古明地こいし、種族はさとり妖怪だよ。」
「さとり妖怪……」
「うん、そうだね。じゃあ自己紹介するね。私の名前は古明地こいし、種族はさとり妖怪だよ。」
「さとり妖怪……」
妖怪さとり、本を読むのが趣味で色々な本を読んできたブレイクはその名前を見たことがあった。
その妖怪は人の心を読み、隙を見せれば襲いかかるという言い伝えがあった。だがさとり妖怪はレムナントにおいては空想上の存在であり実在したという話は聞いたことが無かった。
ブレイクは確信する。やはり彼女はハ・デスの言う通りレムナントとは違う世界から連れてこられた参加者だということを。
それならば彼女がブレイクのことを妖怪だと勘違いしたことも地霊殿などブレイクの知らない地名を出してきたことも全て説明がつく。
そう思っていた所こいしはブレイクに唐突に謎かけを出してきた。
「さてお姉さんに問題です。私は何でお姉さんを殺さなかったのでしょうか?」
「……それ問題のつもり?というよりさとり妖怪ならわざわざ聞かなくても私の心を読めばいいでしょう?」
「……それ問題のつもり?というよりさとり妖怪ならわざわざ聞かなくても私の心を読めばいいでしょう?」
だがブレイクの挑発にこいしは困った顔をしながらこう返答してきた。
「私、心読めないんだよね。」
「……は?」
「……は?」
一瞬、ブレイクはこの少女は何を言っているんだと思った。さとり妖怪なのに心を読めない?種族としての特性を持たないとかそう言われても信じられるわけがないだろうとブレイクは思った。
「嘘言わないで。そう言われて馬鹿正直に信じるわけないでしょう。」
「う~ん、『読めない』という言い方には語弊があったかな。実際は読めないんじゃなくて『読む能力を封印した』というのが正しいんだよね。」
「封印?どういうこと?」
「う~ん、『読めない』という言い方には語弊があったかな。実際は読めないんじゃなくて『読む能力を封印した』というのが正しいんだよね。」
「封印?どういうこと?」
わざわざ種族としてのアイディンティティを封印?少女の言葉の意図が分からなかったブレイクは更に踏み込んで質問することにする。
「私のお姉ちゃんはね、私と同じさとり妖怪で心を読む能力はちゃんと持っているんだけど
そのせいで他の妖怪や怨霊たちから嫌われちゃってて私はそれを傍でずっと見てきたからお姉ちゃんみたいに皆に嫌われるのが嫌で能力を封印して使えなくしちゃったんだよね。」
「……」
そのせいで他の妖怪や怨霊たちから嫌われちゃってて私はそれを傍でずっと見てきたからお姉ちゃんみたいに皆に嫌われるのが嫌で能力を封印して使えなくしちゃったんだよね。」
「……」
ブレイクは彼女の言うことも一理ある、と思った。そりゃあ、心を読まれれば誰だって気持ちよくはないし嫌な気持ちになるだろう。それは人間も妖怪も怨霊も変わらないはずだ。
それに彼女の左胸の球体の目も閉じられていて開く様子はない。恐らくこれがさとり妖怪の相手の心を読む器官なのだろうがそれが閉じられているということはブレイクは彼女の言うことが本当のことなのではと思った。
ブレイクは彼女の踏み込んではいけない領域に踏み込んだ気がして少し自分が恥ずかしくなってしまっていた。
「……ごめんなさい、聞かれたくないことを聞いたかしら。」
「いいの。能力を封印したことは後悔はしていないから。それでどうして私がお姉さんを殺さなかったと思う?」
「いいの。能力を封印したことは後悔はしていないから。それでどうして私がお姉さんを殺さなかったと思う?」
今の話を聞いてブレイクは彼女の性格が何となく分かったような気がした。
この子は人懐っこいのだ。他者なんてどうでもいいと思うような性格なら『嫌われたくないから』という理由で能力を封印したりなんてしない。
それに彼女の笑顔も打算とかそういったもののない純粋無垢な笑みであるようにも感じられた。
それらを踏まえた上でブレイクは一つの答えを出す。
「私と遊びたかったから?」
「うーん、近いけどちょっと違うかな。」
「うーん、近いけどちょっと違うかな。」
そしてこいしは一呼吸置いた後、
「私ね、命蓮寺の在家信者なの。」
「……命蓮寺?」
「……命蓮寺?」
ブレイクは宗教には興味はなかったが恐らく彼女の言う『命蓮寺』とは彼女の世界の宗教団体なのだろうと考える。
「聖が私によく言ってたんだよ。あっ、聖っていうのは命蓮寺の住職さんなんだけどね、
殺してはいけません、盗んではいけません、不倫をしてはいけません、嘘をついちゃいけません、酒は飲んじゃいけませんって、まあこれは命蓮寺の六波羅蜜の戒律からの引用なんだけどね。」
殺してはいけません、盗んではいけません、不倫をしてはいけません、嘘をついちゃいけません、酒は飲んじゃいけませんって、まあこれは命蓮寺の六波羅蜜の戒律からの引用なんだけどね。」
酒や不倫とか子供になんてことを教えているんだ、と思いつつも残り三つに関してはブレイクも共感出来るところがあった。
「殺してはいけない」「盗んではいけない」「嘘をついてはいけない」これは皆誰もがいけないことだと分かっていることではあるが実際にそれらをしないようにすることは難しいことだということはブレイクは痛いほど痛感していた。
アトラスに出発する前、自らに執着し、アーガスにまで追跡してきて戦いを挑んできたアダム・トーラスを彼女はパートナーのヤン・シャオロンと共に自らの手で止めを刺す形で殺した。
そもそもアトラスに行く方法だってアーガスのアトラス軍基地から輸送機を盗んで密航するというやり方だったのだ。
そしてアトラスに着いた後、アイアンウッド将軍にレリックのことを聞かれた際、ルビーは「知恵のレリックの質問は全部使い切った。」と噓をついた。
そもそもアトラスに行く方法だってアーガスのアトラス軍基地から輸送機を盗んで密航するというやり方だったのだ。
そしてアトラスに着いた後、アイアンウッド将軍にレリックのことを聞かれた際、ルビーは「知恵のレリックの質問は全部使い切った。」と噓をついた。
後お酒に関してもルビーの叔父のクロウ・ブランウェンはよく酒浸りになっているからその点に関しても自分たちは守れてないな、とブレイクは思った。
いけないことだとは分かっていた。でもそうするしかなかった。それ以外に他に方法が思いつかなかったのだ。
実際それらをしなければブレイクは逆にアダムに殺されていたかもしれないし、アーガスで立ち往生したままだったかもしれない。
嘘をついたのだってアイアンウッド将軍を全面的に信用できなかった以上、レリックを使わせるのは危険だとルビーが判断したからなのだ。
嘘をついたのだってアイアンウッド将軍を全面的に信用できなかった以上、レリックを使わせるのは危険だとルビーが判断したからなのだ。
今回の殺し合いだってそうだ。参加者の中にだって他の参加者を容赦なく殺しにかかる危険な存在だっているかもしれないし、時には他の参加者の支給品を手に入れないと殺し合いを乗り切ることは出来ないかもしれない。
そう思ったブレイクはこいしにかつて自分がルビーに出会ったばかりのころに掛けた言葉を送る。
「……残念だけど、現実は決しておとぎ話のようにはいかない。」
「?どゆこと?」
「?どゆこと?」
こいしが不思議そうに聞いてくるのでブレイクは更に言葉を続ける。
「私だって危機を乗り切るために人は殺したし、盗みだってしてきた。嘘をついたこともあった。
でもそうしなければ危機を乗り切ることは出来なかった。今回の殺し合いだってそう、殺したくないといくら主張した所で、相手にとってはそんなこと知ったことじゃあない。
時には他の参加者の支給品を手に入れないといけない時もあるかもしれない。分かる?殺し合いは綺麗事を並べて生き残れるようなそんな甘いものじゃないの。それでもあなたは教えを破りたくないなんてそんな甘いことを言い続けるの?」
「うん、だって……」
でもそうしなければ危機を乗り切ることは出来なかった。今回の殺し合いだってそう、殺したくないといくら主張した所で、相手にとってはそんなこと知ったことじゃあない。
時には他の参加者の支給品を手に入れないといけない時もあるかもしれない。分かる?殺し合いは綺麗事を並べて生き残れるようなそんな甘いものじゃないの。それでもあなたは教えを破りたくないなんてそんな甘いことを言い続けるの?」
「うん、だって……」
そしてこいしは一呼吸置いた後、
「大好きな聖のこと、裏切れないもん。」
「……」
「……」
そう言ったこいしの表情は笑顔でありながらもどこか寂しげで、ブレイクはそれ以上何も言えなくなってしまった。
「あっ、大好きと言っても勿論お姉ちゃんが一番だよ。でも聖ってすごいんだよ。
聖はよく「不当に差別されている妖怪を救いたい」「人も妖怪も神も仏もみんな同じ」って口癖のように言ってて、言葉だけじゃなくて実際に不当に差別されたり迫害されたりしている妖怪を救うために活動していて、
そんなあの人の人柄に惹かれて入門を希望する妖怪も多いんだって。私は聖に誘われて入門したんだけど私自身もそんな聖の人柄に惹かれて入門を決意した口かな~、なんて。」
「……」
聖はよく「不当に差別されている妖怪を救いたい」「人も妖怪も神も仏もみんな同じ」って口癖のように言ってて、言葉だけじゃなくて実際に不当に差別されたり迫害されたりしている妖怪を救うために活動していて、
そんなあの人の人柄に惹かれて入門を希望する妖怪も多いんだって。私は聖に誘われて入門したんだけど私自身もそんな聖の人柄に惹かれて入門を決意した口かな~、なんて。」
「……」
ブレイクはこいしの言葉を聞きながらかつて自身が所属していた組織のことを思い出していた。
ホワイト・ファング―――元々は差別されていたファウナスに人類と同じ公平な権利を求めるために活動していた平和的な団体であったのだが、
父、ギラ・ベラドンナが指導者の地位を退き、新たにシエナ・カーンという女性が指導者の地位についてからはファウナスを拒絶した店舗への放火やファウナスを働かせている組織への窃盗や破壊工作といった過激なテロ行為を行うようになっていき、
更にアダムがクーデターを起こして新たな指導者の地位についてからは、ファウナスと人間の地位を逆転させ、人間をファウナスの奴隷にする野望のために行動し、そのためにローマンやシンダーといったセイラム陣営の者たちと手を組むようなテロ組織へと成り下がってしまった。
父、ギラ・ベラドンナが指導者の地位を退き、新たにシエナ・カーンという女性が指導者の地位についてからはファウナスを拒絶した店舗への放火やファウナスを働かせている組織への窃盗や破壊工作といった過激なテロ行為を行うようになっていき、
更にアダムがクーデターを起こして新たな指導者の地位についてからは、ファウナスと人間の地位を逆転させ、人間をファウナスの奴隷にする野望のために行動し、そのためにローマンやシンダーといったセイラム陣営の者たちと手を組むようなテロ組織へと成り下がってしまった。
ブレイクは幼少期からホワイト・ファングの団員であったのだが過激なやり方を取るようになったホワイト・ファングの変わりように耐えられなくなり、組織を抜けた過去があった。
現在では指導者に復帰したギラの手によってホワイト・ファングは再建され、アダムも自らの手で引導を渡したのであるが、彼女はこいしから聖の話を聞くうち、思わず次の言葉が漏れ出てしまっていた。
「そう、すごいのね。その『聖白蓮』って人は。」
「えへへ、そうでしょ~。」
「えへへ、そうでしょ~。」
そしてブレイクは物悲しげな表情になると
「もし……『聖白蓮』さんのような人がホワイト・ファングの指導者になっていたらホワイト・ファングもああはならなかったかもしれない。
過激なテロ行為に手を染めることも、シエナやアダムといった過激派を台頭させることも、ローマンやシンダーと手を組むこともせず、
ただ純粋に人類とファウナスの共存……『人間もファウナスも平等に生きられる世界』を作るために平和的に力を尽くせるような『穢れなき純潔の牙』の名を体現した組織になっていたかもしれない。」
「?ホワイト・ファングって何?お姉さんと何か関係があるの?」
過激なテロ行為に手を染めることも、シエナやアダムといった過激派を台頭させることも、ローマンやシンダーと手を組むこともせず、
ただ純粋に人類とファウナスの共存……『人間もファウナスも平等に生きられる世界』を作るために平和的に力を尽くせるような『穢れなき純潔の牙』の名を体現した組織になっていたかもしれない。」
「?ホワイト・ファングって何?お姉さんと何か関係があるの?」
ブレイクはこいしに自らの過去とレムナントにおけるファウナスの実状を話した。
レムナントにおいてファウナスが人類から差別され続けてきたこと。その現状を変えようとファウナスたちの手でホワイト・ファングという組織が作られ、自身も幼少期から組織に参加し活動し続けたこと。
それでも差別はなくならず、父が指導者の地位を退いてシエナという女性が指導者になってから過激なテロ行為を行う組織になっていったこと。組織の変貌に耐えられず組織を抜けたこと。
アダムがクーデターを起こして組織を乗っ取り、ファウナスが人類を支配下に置く目標を掲げ、そのためにローマンやシンダーといったセイラムの息がかかった者たちと手を組んだことも。
それでも差別はなくならず、父が指導者の地位を退いてシエナという女性が指導者になってから過激なテロ行為を行う組織になっていったこと。組織の変貌に耐えられず組織を抜けたこと。
アダムがクーデターを起こして組織を乗っ取り、ファウナスが人類を支配下に置く目標を掲げ、そのためにローマンやシンダーといったセイラムの息がかかった者たちと手を組んだことも。
ブレイクはこいしにそれらのことを包み隠さず全て話した。
「そっか……お姉さんも大変だったんだね……」
「ごめんなさい、私の身の上話に付き合ってくれて。」
「ごめんなさい、私の身の上話に付き合ってくれて。」
こいしは悲しげな表情をしていたがやがて元の無垢な笑顔に戻ると、
「うん、いいよ。今の話でお姉さんのこと、何となく分かった気がしたから。」
「こいしちゃん……」
「こいしちゃん……」
ブレイクはこいしが自身の身の上話をまるで自分のことのように悲しむ姿を見て思ったことがあった。
この子は優しいんだ、と。相手が心を覗かれることを嫌だと分かっているから自ら能力を封印し、
殺しや盗みをしないというお寺の教えを守り、相手の境遇をまるで自分のことのように悲しむ、そんな相手の気持ちになって考えられるような子なんだな、と。
殺しや盗みをしないというお寺の教えを守り、相手の境遇をまるで自分のことのように悲しむ、そんな相手の気持ちになって考えられるような子なんだな、と。
彼女を放っておけない、と感じたブレイクはこいしにある一つの提案をする。
「こいしちゃん、一つ提案なんだけど……」
「?なあに?」
「?なあに?」
そしてブレイクは意を決したような面持ちになると、
「私はあなたについていくことにするわ。」
「え!?いいの!?」
「え!?いいの!?」
こいしにとってはブレイクの提案は意外だったようでビックリしたような表情を浮かべていた。
「この殺し合いにどんな参加者がいるかは分からない。中には他の参加者を襲って殺すような危険な参加者が何人も参加しているかもしれない。
そんな参加者と戦うためにも一人よりも二人のほうが身を守れる確率は高くなる。そうでしょ?」
「でも、会ったばかりの私のためにそこまでしてくれるなんて……」
そんな参加者と戦うためにも一人よりも二人のほうが身を守れる確率は高くなる。そうでしょ?」
「でも、会ったばかりの私のためにそこまでしてくれるなんて……」
ブレイクはルビーと出会ったばかりの頃、彼女が自身に言った言葉を思い出していた。
『子供の頃、本のヒーローみたいになりたいって思っていた。正義のために戦う、たくさんの守るべき人達を助けたいの』
ブレイクも彼女の言葉を実践してみたいと思ったのだ。ブレイクも最初の頃はルビーのことを「年下の変な子」としか思っていなかった。
だけどどんな困難を前にしても立ち止まらずに前に進み続ける彼女を見て、いつしか彼女に対して尊敬の気持ちを抱くようになったのだ。
もし仮に自分のために目の前の少女を見捨てるようなことをしたら、尊敬するリーダーに顔向けできないな、とそう思うようになってしまったのだ。
「まずは殺し合いに乗っていない参加者を見つけて合流しましょう。
私のチームメンバーにルビー・ローズとヤン・シャオロンって子がいるんだけど彼女たちも多分この殺し合いに参加させられていると思うし私と同じように殺し合いに乗っていない参加者を探しているはず。
まず彼女たちと合流して他の参加者と結束して主催のハ・デスを倒して元の世界に帰りましょう。」
「えっ……私たちでハ・デスを倒して殺し合いを止めるなんてそんなこと出来るの……?」
私のチームメンバーにルビー・ローズとヤン・シャオロンって子がいるんだけど彼女たちも多分この殺し合いに参加させられていると思うし私と同じように殺し合いに乗っていない参加者を探しているはず。
まず彼女たちと合流して他の参加者と結束して主催のハ・デスを倒して元の世界に帰りましょう。」
「えっ……私たちでハ・デスを倒して殺し合いを止めるなんてそんなこと出来るの……?」
不安そうなこいしに対し、ただ一言、ブレイクはかつてルビーに言われた言葉をかけた。
「……だから私たちがいる。世界をよくするため。」
【ブレイク・ベラドンナ@RWBY】
[状態]:健康
[装備]:屍山血河@ELDEN RING
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める。
1:ルビー、ヤンを探す。
2:他にも殺し合いに乗っていない参加者がいたら合流する。
3:殺し合いに乗っているかもしれない参加者を警戒する。
[備考]
※Volume8終盤、次元の狭間に落下して以降からの参戦です。
[状態]:健康
[装備]:屍山血河@ELDEN RING
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める。
1:ルビー、ヤンを探す。
2:他にも殺し合いに乗っていない参加者がいたら合流する。
3:殺し合いに乗っているかもしれない参加者を警戒する。
[備考]
※Volume8終盤、次元の狭間に落下して以降からの参戦です。
【古明地こいし@東方Project 】
[状態]:健康
[装備]:慈悲の短剣@ELDEN RING
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:殺しはしたくない。
1:ブレイク・ベラドンナについていく。
2:殺し合いにはのらない。
3:ルビー・ローズとヤン・シャオロンを見つけるのを手伝いたい。
[備考]
※求聞口授以降、命蓮寺の在家信者になって以降からの参戦です。
[状態]:健康
[装備]:慈悲の短剣@ELDEN RING
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:殺しはしたくない。
1:ブレイク・ベラドンナについていく。
2:殺し合いにはのらない。
3:ルビー・ローズとヤン・シャオロンを見つけるのを手伝いたい。
[備考]
※求聞口授以降、命蓮寺の在家信者になって以降からの参戦です。
『支給品紹介』
【屍山血河@ELDEN RING】
ブレイク・ベラドンナに支給。後半に行くことが出来るマップのとある場所に出現する敵対NPCを倒すと入手できる武器。
筋力値、技量値、神秘値が必要な数値に達していなければ真価を発揮することは出来ないが、このロワではその制約は取り払われている。
【屍山血河@ELDEN RING】
ブレイク・ベラドンナに支給。後半に行くことが出来るマップのとある場所に出現する敵対NPCを倒すと入手できる武器。
筋力値、技量値、神秘値が必要な数値に達していなければ真価を発揮することは出来ないが、このロワではその制約は取り払われている。
【慈悲の短剣@ELDEN RING】
古明地こいしに支給。序盤で入手可能な武器だが同ゲームで入手可能な武器の中では最も高い致命補正を誇る致命の一撃に秀でた短剣。
筋力値、技量値が必要な数値に達していなければ真価を発揮することは出来ないが、このロワではその制約は取り払われている。
古明地こいしに支給。序盤で入手可能な武器だが同ゲームで入手可能な武器の中では最も高い致命補正を誇る致命の一撃に秀でた短剣。
筋力値、技量値が必要な数値に達していなければ真価を発揮することは出来ないが、このロワではその制約は取り払われている。