「せやぁっ!」
真っ先に動きを見せたのはレイ。
愛用の刀剣型デバイスを振り被り、一撃で以て勝負を決める心構えで突撃。
敵は有無を言わさずこちらを全滅に追いやろうとした邪悪。
ならば対話の余地無し、斬るのに躊躇はいらない。
愛用の刀剣型デバイスを振り被り、一撃で以て勝負を決める心構えで突撃。
敵は有無を言わさずこちらを全滅に追いやろうとした邪悪。
ならば対話の余地無し、斬るのに躊躇はいらない。
「フン…」
一刀両断の下に決着は簡単に付かない。
装甲を叩き割った手応えは無し、斬られ痛みに呻く声も聞こえず。
ライトグリーンのラインが走った斧に阻まれ、レイの剣は命を刈り取るには至らなかった。
装甲を叩き割った手応えは無し、斬られ痛みに呻く声も聞こえず。
ライトグリーンのラインが走った斧に阻まれ、レイの剣は命を刈り取るには至らなかった。
『ATTACK RIDE BLAST!』
先手必勝の四文字は残念ながら実現に至らず。
されど嘆きを露わにする結果でも無い、予想は十分に付いたこと。
背後からの電子音声が次の動きを即座に決断させ、エボルの反撃を待たずに跳躍。
自身の得物に掛かる重さが消失した途端、視覚機能が拾うは無数の光弾。
銃口と緑のレンズ、両方で睨み付けるディケイドだ。
チマチマ引き金を引き続けた所で、恐らくエボル相手にさしたる効果は望めない。
連射性能を高めたライドブッカーのエネルギー弾が狙い撃つ。
されど嘆きを露わにする結果でも無い、予想は十分に付いたこと。
背後からの電子音声が次の動きを即座に決断させ、エボルの反撃を待たずに跳躍。
自身の得物に掛かる重さが消失した途端、視覚機能が拾うは無数の光弾。
銃口と緑のレンズ、両方で睨み付けるディケイドだ。
チマチマ引き金を引き続けた所で、恐らくエボル相手にさしたる効果は望めない。
連射性能を高めたライドブッカーのエネルギー弾が狙い撃つ。
血飛沫の如く火花を散らし後退、或いはダメージに耐え切れず爆散。
対峙中の敵が並の怪人程度ならそうなっただろうが、生憎エボルはその枠に収まらない。
エネルギー弾が当たる直前に、赤い残光を残して消失。
次にディケイドが姿を捉えた時にはもう、目と鼻の先で斧が振り下ろされた。
対峙中の敵が並の怪人程度ならそうなっただろうが、生憎エボルはその枠に収まらない。
エネルギー弾が当たる直前に、赤い残光を残して消失。
次にディケイドが姿を捉えた時にはもう、目と鼻の先で斧が振り下ろされた。
「っ!」
ライドブッカーをソードモードへ変形、瞬時の判断で防御の構えを取る。
刀身が震えディケイドの両腕にも痺れが来た。
未知の鉱石、ディヴァインオレで構成された刀身は破壊困難な強度を持つ。
そこいらの武器なら今の一撃で、砂糖菓子のように砕け散ったのは想像に難くない。
刀身が震えディケイドの両腕にも痺れが来た。
未知の鉱石、ディヴァインオレで構成された刀身は破壊困難な強度を持つ。
そこいらの武器なら今の一撃で、砂糖菓子のように砕け散ったのは想像に難くない。
ディケイドへの追撃を止めるのは心強い仲間達。
二方向から迫る敵意への対処に移行。
オーソライズバスターがレイの剣を防ぎ、左手でやちよの槍を掴む。
魔法少女の武器だろうと関係無い。
ほんのちょっぴり力を入れ穂先を粉砕、破片が呆気なく地面に散らばる。
だが武器の損失程度やちよには無問題。
使い物にならなくなった槍を捨て、魔力と引き換えに新しく精製し構え直す。
二方向から迫る敵意への対処に移行。
オーソライズバスターがレイの剣を防ぎ、左手でやちよの槍を掴む。
魔法少女の武器だろうと関係無い。
ほんのちょっぴり力を入れ穂先を粉砕、破片が呆気なく地面に散らばる。
だが武器の損失程度やちよには無問題。
使い物にならなくなった槍を捨て、魔力と引き換えに新しく精製し構え直す。
剣が振るわれ、槍が突き出され、エネルギー弾が撃ち込まれる。
三人が狙う対象はたった一人。
しかしこの戦いを見て、ただの袋叩きと言える者はまずいない。
剣と槍は片手ずつで捌かれ、エネルギー弾に至っては命中してもノーダメージ。
地球外の物質を加工し作り上げた装甲相手には、ディケイドも自身の武器へ些か頼りなさを覚える。
三人が狙う対象はたった一人。
しかしこの戦いを見て、ただの袋叩きと言える者はまずいない。
剣と槍は片手ずつで捌かれ、エネルギー弾に至っては命中してもノーダメージ。
地球外の物質を加工し作り上げた装甲相手には、ディケイドも自身の武器へ些か頼りなさを覚える。
『FINAL ATTACK RIDE DE・DE・DE DECADE!』
「退いてろ!火傷するぞ!」
警告が放たれレイとやちよは素直に従う。
これまでのエネルギー弾と違い、今から撃つのは仲間を巻き込みかねない威力と範囲だ。
ディケイドライバーが情報をスキャンし力を解放。
エボルへの道を作るようにカード型のエネルギーが展開、発射された銃弾が潜り抜け光線に変化。
怪人複数体をも巻き込む光が喰らい殺さんとするのは、当然エボル。
これまでのエネルギー弾と違い、今から撃つのは仲間を巻き込みかねない威力と範囲だ。
ディケイドライバーが情報をスキャンし力を解放。
エボルへの道を作るようにカード型のエネルギーが展開、発射された銃弾が潜り抜け光線に変化。
怪人複数体をも巻き込む光が喰らい殺さんとするのは、当然エボル。
カメラアイを焼き潰す閃光を前にして尚、エボルに動揺は無かった。
高威力の技が来ることなど、十分想定の範囲内。
こちらはディケイド以上の力で真っ向から捻じ伏せてやるまで。
高威力の技が来ることなど、十分想定の範囲内。
こちらはディケイド以上の力で真っ向から捻じ伏せてやるまで。
『Ready Go!』
『EVOLTEC FINISH!』
エボルボトルの成分を破壊エネルギーに変換。
ドライバーのレバー部分を回す度により活性化し、正に必殺の威力を変身者に付与する。
右腕部分にエネルギーが収束、迫り来る光線へ真っ過ぐに拳を突き出した。
只のパンチと侮るなかれ、数多の惑星を滅ぼしたライダーの放つ技だ。
閃光を打ち消しても止まらない、腕に纏った真紅のオーラは健在。
マゼンタ色の装甲を粉砕し、世界の破壊者を逆に破壊する拳が襲い来る。
ドライバーのレバー部分を回す度により活性化し、正に必殺の威力を変身者に付与する。
右腕部分にエネルギーが収束、迫り来る光線へ真っ過ぐに拳を突き出した。
只のパンチと侮るなかれ、数多の惑星を滅ぼしたライダーの放つ技だ。
閃光を打ち消しても止まらない、腕に纏った真紅のオーラは健在。
マゼンタ色の装甲を粉砕し、世界の破壊者を逆に破壊する拳が襲い来る。
「はぁあああああ…!!」
単独の戦闘ならば絶体絶命の危機を迎えただろう。
なれど仲間の存在がディケイドを死から遠ざける。
なれど仲間の存在がディケイドを死から遠ざける。
飛び退いてからやちよも黙って指を咥えていた訳ではない。
精製した槍に魔力を集中、大技(マギア)発動の準備に入った。
手に持つ1本と周囲に展開した10本、全てに魔力を注ぎ込み威力を最大限に強化。
槍自体が壊れかねない限界まで充填し投擲。
後に続く様に展開された槍も射出、エボルを串刺しにせんと飛来する。
精製した槍に魔力を集中、大技(マギア)発動の準備に入った。
手に持つ1本と周囲に展開した10本、全てに魔力を注ぎ込み威力を最大限に強化。
槍自体が壊れかねない限界まで充填し投擲。
後に続く様に展開された槍も射出、エボルを串刺しにせんと飛来する。
「チッ…」
これでもまだエボルの装甲には傷一つ付かない。
ダメージゼロ、しかし威力を高めた槍の一斉掃射を防御も無しに受けたのだ。
体勢が僅かながらに崩れ、ディケイドへの狙いにブレが生じる。
となればこのチャンスを逃す手はない。
胸部を掠める拳に冷汗を掻きつつ、エボルの攻撃をどうにかやり過ごす。
致命傷でないなら上出来、距離を取るのに成功。
ダメージゼロ、しかし威力を高めた槍の一斉掃射を防御も無しに受けたのだ。
体勢が僅かながらに崩れ、ディケイドへの狙いにブレが生じる。
となればこのチャンスを逃す手はない。
胸部を掠める拳に冷汗を掻きつつ、エボルの攻撃をどうにかやり過ごす。
致命傷でないなら上出来、距離を取るのに成功。
そしてやちよの攻撃はまだ終わっていない。
一斉展開からの射出すら前座に過ぎない、ここからが本命。
既に手元には新たな槍が生成済み、当然魔力を存分に注ぎ込んだ。
弾丸に変化した思わせる、爆発的な加速で突撃。
だがエボルの反応速度もまた、地球産のライダーシステムを凌駕する性能。
急接近するやちよを正確に捉え、エネルギーが残留中の拳で迎え撃つ。
赤と青、破壊エネルギーと魔力が衝突し互いの視界を鮮やかな光が焼く。
既に手元には新たな槍が生成済み、当然魔力を存分に注ぎ込んだ。
弾丸に変化した思わせる、爆発的な加速で突撃。
だがエボルの反応速度もまた、地球産のライダーシステムを凌駕する性能。
急接近するやちよを正確に捉え、エネルギーが残留中の拳で迎え撃つ。
赤と青、破壊エネルギーと魔力が衝突し互いの視界を鮮やかな光が焼く。
「ぐっ…」
余波が両者を痛め付け、先に後退へ動いたのはやちよの方。
一般人よりは打たれ強い魔法少女と言えども、仮面ライダーの装甲程の耐久力は無い。
体の傷だけならまだしも、ソウルジェムにまで被害が及べば手遅れ。
このまま鎬を削るのはリスクが高過ぎる。
一般人よりは打たれ強い魔法少女と言えども、仮面ライダーの装甲程の耐久力は無い。
体の傷だけならまだしも、ソウルジェムにまで被害が及べば手遅れ。
このまま鎬を削るのはリスクが高過ぎる。
尤も、今回に限ってはエボルもまた即座の追撃には出れなかった。
ディケイドの放った光線は打ち破ったが、ある程度の勢いを殺されたのは事実。
ネオディケイドライバーにアップデートされた現在のディケイドは、全体的な能力が格段に上昇している。
よってエボルの技も威力を削ぎ落とせた。
でなければやちよのマギアであろうと、ロクな拮抗も許さず叩きのめしただろう。
槍は己の拳で破壊してみせた、されど装甲下の体へ僅かながらダメージが走る。
損傷個所を知らせる音声が電子頭脳内で響き、意識をそちらへ持って行かれた。
ディケイドの放った光線は打ち破ったが、ある程度の勢いを殺されたのは事実。
ネオディケイドライバーにアップデートされた現在のディケイドは、全体的な能力が格段に上昇している。
よってエボルの技も威力を削ぎ落とせた。
でなければやちよのマギアであろうと、ロクな拮抗も許さず叩きのめしただろう。
槍は己の拳で破壊してみせた、されど装甲下の体へ僅かながらダメージが走る。
損傷個所を知らせる音声が電子頭脳内で響き、意識をそちらへ持って行かれた。
時間にすれば5秒にも満たなくとも、致命的と言って良い隙が生まれる。
仲間達が作ったチャンスを無駄にはできない。
エボル目掛けて疾走、風を切り裂きレイの愛剣が唸りを上げた。
仲間達が作ったチャンスを無駄にはできない。
エボル目掛けて疾走、風を切り裂きレイの愛剣が唸りを上げた。
各部の装甲を斬ったとてノーダメージ。
ならば狙うは腹部の機械、エボルドライバー。
士がディケイドライバーを用いたように、仮面ライダーとは総じてベルトが力の源。
そこを破壊されれば当然変身も解除される。
生身に戻しさえすればこっちのものだ。
ならば狙うは腹部の機械、エボルドライバー。
士がディケイドライバーを用いたように、仮面ライダーとは総じてベルトが力の源。
そこを破壊されれば当然変身も解除される。
生身に戻しさえすればこっちのものだ。
刃がエボルドライバーを叩き割る正にその寸前で、ピタリと動きが止まった。
「こ、これは…!?」
レイの意思で攻撃を止めたのではない。
動揺を態度に表す姿からも、彼女にとって予想外の事態だとは誰の目にも明らか。
意識は健在、なのに指一本自由に動かせない。
原因はエボルの腕部から放たれたエネルギー波による拘束。
鬼の始祖すら身動きを封じた絶大な効果は、当然の如く閃刀姫にも有効。
剣でベルトを破壊する為には距離を詰めねばならず、その状態で動けなくなればどうなるか。
考えるまでも無い、至近距離でレイの瞳に移る斧が答えだ。
動揺を態度に表す姿からも、彼女にとって予想外の事態だとは誰の目にも明らか。
意識は健在、なのに指一本自由に動かせない。
原因はエボルの腕部から放たれたエネルギー波による拘束。
鬼の始祖すら身動きを封じた絶大な効果は、当然の如く閃刀姫にも有効。
剣でベルトを破壊する為には距離を詰めねばならず、その状態で動けなくなればどうなるか。
考えるまでも無い、至近距離でレイの瞳に移る斧が答えだ。
『KAMEN RIDE KIVA!』
『FORM RIDE KIVA GARURU FORM!』
レイがエボルの隙を見逃さなかったように、彼女の仲間はレイの危機を見過ごさない。
カードを2枚叩き込み、ディケイドは仮面ライダーキバへと変身。
更にガルルフォームへチェンジ、出現した剣で斬りかかる。
敏捷性ならエンペラーフォームをも超える形態だ、急接近しオーソライズバスターを弾く。
意識が逸れレイの拘束も解除、追撃はさせじと続けてキバが右腕を振るう。
オーソライズバスターは衛星ゼアの技術力の結晶なれど、キバの剣も負けてはいない。
ウルフェン族のガルルが姿を変えたガルルセイバーは、これまで幾度となく紅渡を助けた魔剣なのだから。
カードを2枚叩き込み、ディケイドは仮面ライダーキバへと変身。
更にガルルフォームへチェンジ、出現した剣で斬りかかる。
敏捷性ならエンペラーフォームをも超える形態だ、急接近しオーソライズバスターを弾く。
意識が逸れレイの拘束も解除、追撃はさせじと続けてキバが右腕を振るう。
オーソライズバスターは衛星ゼアの技術力の結晶なれど、キバの剣も負けてはいない。
ウルフェン族のガルルが姿を変えたガルルセイバーは、これまで幾度となく紅渡を助けた魔剣なのだから。
「余計な抵抗を…」
「するに決まってるだろ。簡単に死ねない理由があるんだよ」
「するに決まってるだろ。簡単に死ねない理由があるんだよ」
斧と剣が打ち合い、赤と青の残光が衝突を繰り返す。
ガルルフォームはキバが変身する中で最もスピードに優れたフォーム。
しかし並外れた速さなら、エボルも決して引けを取らない。
レイの拘束に使ったエネルギーを自身の脚部に流し強化。
スピード面はほぼ互角、されどパワー面ではエボルが勝り防戦一方となるのはキバ。
斧がキバの手から得物を叩き落とし、無防備な胴体へ刃を走らせた。
が、頭上から降り注ぐ槍の雨が決め手の一撃を放たせはしない。
ガルルフォームはキバが変身する中で最もスピードに優れたフォーム。
しかし並外れた速さなら、エボルも決して引けを取らない。
レイの拘束に使ったエネルギーを自身の脚部に流し強化。
スピード面はほぼ互角、されどパワー面ではエボルが勝り防戦一方となるのはキバ。
斧がキバの手から得物を叩き落とし、無防備な胴体へ刃を走らせた。
が、頭上から降り注ぐ槍の雨が決め手の一撃を放たせはしない。
「チィッ…!」
妨害されまたもやキバは遠ざかる。
目障りな真似をした方を先に仕留めるか、やちよを睨みオーソライズバスターを変形。
ガンモードで狙いを付けるもトリガーは引かれない。
真横から迫る刀身をカメラアイの端が捉え、直後視界がぐらつく。
ダメージこそ期待できないとはいえ、顔面部への衝撃は集中力を割くのに持って来いだ。
目障りな真似をした方を先に仕留めるか、やちよを睨みオーソライズバスターを変形。
ガンモードで狙いを付けるもトリガーは引かれない。
真横から迫る刀身をカメラアイの端が捉え、直後視界がぐらつく。
ダメージこそ期待できないとはいえ、顔面部への衝撃は集中力を割くのに持って来いだ。
『FINAL ATTACK RIDE KI・KI・KI KIVA!』
二人が隙を作れば三人目がそこを狙う。
カードを装填しガルルの持つ魔皇力を解放。
キバ本人はフエッスルという道具が必須であれど、ディケイドはカードの効果で再現が可能。
魔皇力により切れ味が増したガルルセイバーを咥え跳躍、四肢を総動員した動きは狼そのもの。
急降下し勢いを乗せ、黄金色の刃がエボルを切り裂いた。
カードを装填しガルルの持つ魔皇力を解放。
キバ本人はフエッスルという道具が必須であれど、ディケイドはカードの効果で再現が可能。
魔皇力により切れ味が増したガルルセイバーを咥え跳躍、四肢を総動員した動きは狼そのもの。
急降下し勢いを乗せ、黄金色の刃がエボルを切り裂いた。
「ッ…!!」
オーソライズバスターの防御こそ間に合ったものの、数多のファンガイアを撃破して来た技だ。
威力は馬鹿にならず次の動作へ移るまでにタイムラグが生じる。
なればとキバが次なる一手を繰り出す。
ガルルフォームからキバの鎧を纏った基本形態へ戻り、右手には新たなカード。
当然エボルも黙って見ているつもりはない。
高威力の技で迎撃すべくエボルドライバーへ手を伸ばす。
レバー部分を掴もうとし、手が弾かれた。
威力は馬鹿にならず次の動作へ移るまでにタイムラグが生じる。
なればとキバが次なる一手を繰り出す。
ガルルフォームからキバの鎧を纏った基本形態へ戻り、右手には新たなカード。
当然エボルも黙って見ているつもりはない。
高威力の技で迎撃すべくエボルドライバーへ手を伸ばす。
レバー部分を掴もうとし、手が弾かれた。
「貴様…!」
「苦情は受け付けませんのであしからず!」
「苦情は受け付けませんのであしからず!」
相手の怒気などなんのその。
腕を狙い剣で弾いたレイは怒りを受け流し、悪戯っ子のように舌を出して笑う。
妨害はこれ一つで済みはしない。
突如発生した水がエボルに絡み付き、拘束具の役目を果たす。
水魔法を応用し、同じくキバのアシストを行ったやちよだ。
長々と動きを封じる効果など最初から期待していない、少しでも時間を稼げれば良い。
腕を狙い剣で弾いたレイは怒りを受け流し、悪戯っ子のように舌を出して笑う。
妨害はこれ一つで済みはしない。
突如発生した水がエボルに絡み付き、拘束具の役目を果たす。
水魔法を応用し、同じくキバのアシストを行ったやちよだ。
長々と動きを封じる効果など最初から期待していない、少しでも時間を稼げれば良い。
『FINAL ATTACK RIDE KI・KI・KI KIVA!』
右足部分の拘束具、ヘルズゲートが解き放たれる。
三つの魔皇石から順に魔皇力が流し込まれ増幅。
蝙蝠の翼を思わせる部分が羽ばたき、キバは遥か上空へと飛翔。
同じく蝙蝠を象った瞳が標的を捉え離さない。
高空からの蹴りは、さながら罪人へ下す王の裁きか。
三つの魔皇石から順に魔皇力が流し込まれ増幅。
蝙蝠の翼を思わせる部分が羽ばたき、キバは遥か上空へと飛翔。
同じく蝙蝠を象った瞳が標的を捉え離さない。
高空からの蹴りは、さながら罪人へ下す王の裁きか。
「がぁっ…!」
叩き込まれた足底から魔皇力が流し込まれ、装甲の下のマシンボディを痛め付ける。
エボルの装甲は既存の科学では解明不可能な物質、だがファンガイアの魔皇力とて人間の理解が及ばないパワーを秘めている。
地面に背中を付け、周囲一帯に刻まれる巨大なキバの紋章。
王の判決を言い渡されたファンガイアと同じ光景、唯一違うのは死という末路は回避したこと。
中々に効いたが破壊までは至らない。
エボルの装甲は既存の科学では解明不可能な物質、だがファンガイアの魔皇力とて人間の理解が及ばないパワーを秘めている。
地面に背中を付け、周囲一帯に刻まれる巨大なキバの紋章。
王の判決を言い渡されたファンガイアと同じ光景、唯一違うのは死という末路は回避したこと。
中々に効いたが破壊までは至らない。
数時間前に無惨との戦闘で負った損傷箇所へ響く威力。
エボルに変身していた為最小限の傷で抑えられはしたものの、もし生身だったら大破は確実。
個々の力は恐らくエボルに及ばない、しかし連携という強みを活かし追い詰めてみせた。
侮れば今度こそ本当に破壊されるだけ。
エボルに変身していた為最小限の傷で抑えられはしたものの、もし生身だったら大破は確実。
個々の力は恐らくエボルに及ばない、しかし連携という強みを活かし追い詰めてみせた。
侮れば今度こそ本当に破壊されるだけ。
だったら何人集まったとて届かない力で滅ぼすのみ。
『DRAGON!RIDER SYSTEM!EVOLUTION!』
『Are You Ready?』
「変身」
『DRAGON…DRAGON…EVOL DRAGON!』
『フッハッハッハッハッハ!』
パイプオルガンに似た音声が鳴り響き、生成装置が展開。
光が晴れた時には全ての工程が完了し堂々と姿を現す。
細部にも幾つか違いが見られるが、何よりも変化したのは頭部。
青い仮面が装着されたエボルの顔は、万丈龍我が変身する仮面ライダークローズと瓜二つ。
光が晴れた時には全ての工程が完了し堂々と姿を現す。
細部にも幾つか違いが見られるが、何よりも変化したのは頭部。
青い仮面が装着されたエボルの顔は、万丈龍我が変身する仮面ライダークローズと瓜二つ。
仮面ライダーエボル・ドラゴンフォーム。
ドラゴンエボルボトルとの組み合わせにより変身が可能な、エボルのフェーズ2。
滅に支給されたエボルボトルは2本だけではなかったのだ。
ドラゴンエボルボトルとの組み合わせにより変身が可能な、エボルのフェーズ2。
滅に支給されたエボルボトルは2本だけではなかったのだ。
「…士、士。何だかもっとマズいことになったと思うのは私の気のせいですよね?」
「そうなら良かったけどな」
「そうなら良かったけどな」
軽口を叩く声も強張り緊張を隠し切れない。
エボルの放つプレッシャーが数段階引き上げられた。
余計なお喋りをこれ以上続ける余裕は無いと言わんばかりに肉薄、キバの鎧を拳が打つ。
エボルの放つプレッシャーが数段階引き上げられた。
余計なお喋りをこれ以上続ける余裕は無いと言わんばかりに肉薄、キバの鎧を拳が打つ。
「ぐっ…!」
接近されるのは予想通り、故にタイミングが危ういながらもライドブッカーによる防御は間に合った。
尤も無事かどうかは別の話。
剣を構えた体勢のまま殴り飛ばされ、受け身も取れずに地面を転がる。
ライドブッカーに損壊は見られずとも、へし折られたと錯覚を抱きかねない一撃だ。
尤も無事かどうかは別の話。
剣を構えた体勢のまま殴り飛ばされ、受け身も取れずに地面を転がる。
ライドブッカーに損壊は見られずとも、へし折られたと錯覚を抱きかねない一撃だ。
「させません!」
キバへの変身が解除され、再度ディケイドへ戻る。
余計な小細工には出させまいと追い打ちを掛けるエボルへ、レイとやちよが斬り込む。
速さもさることながら武器の狙いも正確無比。
エボルドライバー目掛け突き出す切っ先、それが容易く躱され反対に拳が顔面へと飛ぶ。
余計な小細工には出させまいと追い打ちを掛けるエボルへ、レイとやちよが斬り込む。
速さもさることながら武器の狙いも正確無比。
エボルドライバー目掛け突き出す切っ先、それが容易く躱され反対に拳が顔面へと飛ぶ。
「女の子の顔を殴るとか正気とは思えませんよ!?」
「口より手を動かしなさい…!」
「口より手を動かしなさい…!」
全身の筋肉を総動員し、集中力を決して切らさず拳を避け時には受け流す。
可能にしたのは二人が高い実力を持つ戦士が故。
とはいえ空気の振動だけで肌が切り裂かれる威力の打撃には、歴戦の少女達と言えども神経が削られる。
可能にしたのは二人が高い実力を持つ戦士が故。
とはいえ空気の振動だけで肌が切り裂かれる威力の打撃には、歴戦の少女達と言えども神経が削られる。
『ATTACK RIDE SLASH!』
立て直したディケイドが再び参戦。
次元エネルギーを纏い、切れ味を強化したライドブッカーを豪快に振るう。
一振りで複数の斬撃が放たれ、手数で攻めるもエボル相手には余りにも無意味な抵抗。
拳が的確に斬撃を打ち消し、一撃の重さにディケイドの方が怯みかけた。
次元エネルギーを纏い、切れ味を強化したライドブッカーを豪快に振るう。
一振りで複数の斬撃が放たれ、手数で攻めるもエボル相手には余りにも無意味な抵抗。
拳が的確に斬撃を打ち消し、一撃の重さにディケイドの方が怯みかけた。
感じ取ったプレッシャーは気のせいなどでは無かった。
事実、姿を変えてから敵は明確に強さを増しているのだから。
ドラゴンフォームのエボルは全体的な能力の上昇に加え、格闘戦に特化したパワー重視の形態だ。
ディケイドに変身中の士でさえ、たったの一撃すら食らうのを絶対に避けるべきと警戒を抱く。
生身のレイとやちよでは、冗談抜きに紙切れ同然に裂かれるに違いない。
事実、姿を変えてから敵は明確に強さを増しているのだから。
ドラゴンフォームのエボルは全体的な能力の上昇に加え、格闘戦に特化したパワー重視の形態だ。
ディケイドに変身中の士でさえ、たったの一撃すら食らうのを絶対に避けるべきと警戒を抱く。
生身のレイとやちよでは、冗談抜きに紙切れ同然に裂かれるに違いない。
腰を引き千切らんと回し蹴りが放たれ、獲物に選ばれたやちよは水魔法を行使。
足元に纏わせ敏捷性を強化、爪先が衣装を破るだけで済ませる。
安堵する暇は無い、続けて襲い来るは蒼炎を纏った拳。
ドラゴンフォームのエボルだけが使用可能な機能を用いて、魔法少女を焼き殺す。
拳だけではない、全身の装甲が発熱し余りの高温に足元の水が蒸発。
力任せに水魔法を打ち破られ、再使用の間もなく拳が襲って来た。
足元に纏わせ敏捷性を強化、爪先が衣装を破るだけで済ませる。
安堵する暇は無い、続けて襲い来るは蒼炎を纏った拳。
ドラゴンフォームのエボルだけが使用可能な機能を用いて、魔法少女を焼き殺す。
拳だけではない、全身の装甲が発熱し余りの高温に足元の水が蒸発。
力任せに水魔法を打ち破られ、再使用の間もなく拳が襲って来た。
「やちよ!」
二振りの剣が振り下ろされ、エボルの腕を強引に押し留める。
長続きはしない拘束だ、モタモタせずにやちよは大きく後退。
蒼炎に武器諸共焼かれる前に、レイとディケイドもまた距離を取った。
並んで立つ三人の顔からは欠片も余裕が見当たらない。
長続きはしない拘束だ、モタモタせずにやちよは大きく後退。
蒼炎に武器諸共焼かれる前に、レイとディケイドもまた距離を取った。
並んで立つ三人の顔からは欠片も余裕が見当たらない。
「……そうか。お前がやちよか」
意外にもエボルは即座の追撃に出ず、意味あり気に呟くのみ。
何故自分の名前に反応を示すのか、理由へ気付くのに時間は掛からなかった。
何故自分の名前に反応を示すのか、理由へ気付くのに時間は掛からなかった。
「あなたは…誰から私の名前を聞いたのかしら?」
敵は冴島邸を訪れる前に自分を知る者と会っている。
背筋を冷たいものが落ち、心臓の音がやけに五月蠅い。
誰と会った、会ったとしてその者はどうなった。
考えられる最悪の予想に恐怖が湧き出す。
背筋を冷たいものが落ち、心臓の音がやけに五月蠅い。
誰と会った、会ったとしてその者はどうなった。
考えられる最悪の予想に恐怖が湧き出す。
「名前は知らん。ただ…お前やいろはという人間を守ると言った子供を殺した。それだけだ」
ヒュッと自分の喉が嫌な音を立てる。
誰を指して言っているのか、憎たらしいまでに自分の冷静な部分が答えを弾き出す。
子供で、いろはとやちよを守ると言う者など、参加者の中で一人しかいない。
誰を指して言っているのか、憎たらしいまでに自分の冷静な部分が答えを弾き出す。
子供で、いろはとやちよを守ると言う者など、参加者の中で一人しかいない。
「フェリ、シアが……?」
死んだ。
やちよの知らない場所で、目の前の男に殺された。
信じられない、信じたくない。
自分の心を弄ぶ嘘だったらどんなに良かったか。
だけどそんな都合の良い可能性を否定するのも、やはりやちよ自身の冷静さ。
相手は嘘を並べる様子がない、ただ事実としてフェリシアの死を告げているだけ。
やちよの知らない場所で、目の前の男に殺された。
信じられない、信じたくない。
自分の心を弄ぶ嘘だったらどんなに良かったか。
だけどそんな都合の良い可能性を否定するのも、やはりやちよ自身の冷静さ。
相手は嘘を並べる様子がない、ただ事実としてフェリシアの死を告げているだけ。
「あ……」
手のかかる子だった。
家事の手伝いは面倒くさがるし、鶴乃と揃って大騒ぎするのだって一度や二度じゃない。
でも一緒にいて悪い気分にはならなかった。
ご飯を作ればいつも美味い美味いと嬉しそうに食べ、お礼を言ってくれて。
それに、お風呂上りに髪を乾かしてあげるのだってすっかり日課になって。
家事の手伝いは面倒くさがるし、鶴乃と揃って大騒ぎするのだって一度や二度じゃない。
でも一緒にいて悪い気分にはならなかった。
ご飯を作ればいつも美味い美味いと嬉しそうに食べ、お礼を言ってくれて。
それに、お風呂上りに髪を乾かしてあげるのだってすっかり日課になって。
だけどもう、それらは全て過去の光景。
この先、やちよの人生にフェリシアが関わる事は二度とない。
かなえやメルと同じ、また一人やちよの前から去って行った。
土砂降りの中、突き放した態度のやちよへ複雑な顔をし背を向けたのが最後。
マギウスの翼から連れ戻せもせず、喪失という現実だけが残る。
この先、やちよの人生にフェリシアが関わる事は二度とない。
かなえやメルと同じ、また一人やちよの前から去って行った。
土砂降りの中、突き放した態度のやちよへ複雑な顔をし背を向けたのが最後。
マギウスの翼から連れ戻せもせず、喪失という現実だけが残る。
《ほら、やっぱりね》
声が聞こえる。
誰よりもやちよを責める、忌々しいあの声が。
誰よりもやちよを責める、忌々しいあの声が。
《また一人、あなたのせいで死んじゃったわ》
《かわいそうなフェリシア。あなたなんかの仲間になったばっかりに》
《きっといろはもこう思うわよ。あなたの仲間になんてならなければ良かったって》
「――――っ!!!」
黙れと口にしたい、何も言うなと叫びたい。
なのに言い返そうとすれば肝心の言葉は出て来てくれず、自分の心(なか)へ気持ちが悪い程に浸透する。
また自分のせいで仲間が死んだ、フェリシアまでもを自分の願いの犠牲にしてしまった。
胸の奥底から蝕まれ、息が酷く苦しい。
胸元の三日月に穢れが溜まるのすら、今のやちよには気を回す余裕が無い。
なのに言い返そうとすれば肝心の言葉は出て来てくれず、自分の心(なか)へ気持ちが悪い程に浸透する。
また自分のせいで仲間が死んだ、フェリシアまでもを自分の願いの犠牲にしてしまった。
胸の奥底から蝕まれ、息が酷く苦しい。
胸元の三日月に穢れが溜まるのすら、今のやちよには気を回す余裕が無い。
「ぐぁっ…!」
「きゃっ…!」
「きゃっ…!」
そしてこの場は絶望に沈み込んでいられる程、生易しくはなかった。
やちよの意識を引き戻したのは、共に戦う二人の呻き声。
エネルギー波で身動きを封じたディケイドをレイにぶつけ、揃って地面を転がるのに見向きもしない。
青い仮面と目が合い、何かを思うより早く大量の槍を精製。
心がどれだけ苛まれても、体は戦場の空気へいち早く反応を見せる。
射出するも片っ端から叩き落とされ効果は無し。
そうこうしている内にエボルが迫りつつあり、殴り殺されるのは確実だ。
槍一本を翳した所で敵の拳は防げない。
だから幾重にも束ね、魔力を重ね掛けして即席の盾を生み出す。
やちよの意識を引き戻したのは、共に戦う二人の呻き声。
エネルギー波で身動きを封じたディケイドをレイにぶつけ、揃って地面を転がるのに見向きもしない。
青い仮面と目が合い、何かを思うより早く大量の槍を精製。
心がどれだけ苛まれても、体は戦場の空気へいち早く反応を見せる。
射出するも片っ端から叩き落とされ効果は無し。
そうこうしている内にエボルが迫りつつあり、殴り殺されるのは確実だ。
槍一本を翳した所で敵の拳は防げない。
だから幾重にも束ね、魔力を重ね掛けして即席の盾を生み出す。
『Ready Go!』
『EVOLTEC FINISH!』
「っう…!」
ここまでやってようやく辛うじて防げるレベルだ。
飾り気のないストレートパンチの一発で砕け散った上に、衝撃だけで吹き飛ばされたが。
飾り気のないストレートパンチの一発で砕け散った上に、衝撃だけで吹き飛ばされたが。
頭から叩きつけられるのを防ぐべく宙でどうにか体勢を変え、ふらつきながら着地。
レイ達から大分離れた位置だと分かり急いで戻ろうとし、
レイ達から大分離れた位置だと分かり急いで戻ろうとし、
「よう、元気そうだなベイビー」
聞きたくない声が聞こえた。
○
己の幸運にパラダイスキングは笑いを抑えられない。
ダンデライナーで飛行中、何やら派手にドンパチやらかす連中を発見。
家来を引き連れ慎重に様子を見に行くと、知ってる女が一人に知らない連中が三人。
どうやら女は三人内の二人と協力し、残る一人と戦闘の真っ最中らしい。
それは良い、そういう状況だって有り得るだろう。
問題は三人が戦っている相手が、パラダイスキングから見てもヤバいと言わざるを得ない化け物なこと。
自分の戦極ドライバーと同じように、仮面ライダーへの変身アイテムを支給されたとは分かる。
ただ有する能力はどう考えてもブラックバロンより遥かに上。
何故王様の自分にああいう道具を寄越さないのかとボヤキつつ、戦況に変化が訪れ行動に出るのを決断。
ダンデライナーで飛行中、何やら派手にドンパチやらかす連中を発見。
家来を引き連れ慎重に様子を見に行くと、知ってる女が一人に知らない連中が三人。
どうやら女は三人内の二人と協力し、残る一人と戦闘の真っ最中らしい。
それは良い、そういう状況だって有り得るだろう。
問題は三人が戦っている相手が、パラダイスキングから見てもヤバいと言わざるを得ない化け物なこと。
自分の戦極ドライバーと同じように、仮面ライダーへの変身アイテムを支給されたとは分かる。
ただ有する能力はどう考えてもブラックバロンより遥かに上。
何故王様の自分にああいう道具を寄越さないのかとボヤキつつ、戦況に変化が訪れ行動に出るのを決断。
(あんな化け物と直接ぶつかるのは御免だが、今ならいけるかもしれねぇ)
自分のモノにする予定の女の危機に颯爽と駆け付ける。
悪くはないが、無策で恰好付けて出て行き殺されるなど真っ平御免。
それより、女が他の三人から引き離された今の状況の方が都合は良い。
仲間らしき二人はヤバい仮面ライダーの相手で手一杯、この隙に女を動けなくさせる。
後はこっちに被害が出る前に撤退、安全な場所で「お楽しみ」と洒落込む。
悪くはないが、無策で恰好付けて出て行き殺されるなど真っ平御免。
それより、女が他の三人から引き離された今の状況の方が都合は良い。
仲間らしき二人はヤバい仮面ライダーの相手で手一杯、この隙に女を動けなくさせる。
後はこっちに被害が出る前に撤退、安全な場所で「お楽しみ」と洒落込む。
「王様直々に迎えに来てやったぜベイビーちゃん。有難く思えよ」
「ボクも一緒ですよ~♪」
「ボクも一緒ですよ~♪」
槍を肩に担いだパラダイスキングの後ろから顔を出すのは、吐き気を催す邪悪な幼児。
どちらもアーマードライダーの変身は予め済ましてあった。
よりにもよって、どうしてこのタイミングで出て来るのか。
仮面の下のニヤケ顔が嫌でも浮かび上がり、猛烈な不快感が湧き出す。
どちらもアーマードライダーの変身は予め済ましてあった。
よりにもよって、どうしてこのタイミングで出て来るのか。
仮面の下のニヤケ顔が嫌でも浮かび上がり、猛烈な不快感が湧き出す。
「一生会いたくなかったわ」
「おうおう、気の強さは相変わらずで嬉しいぜ。そっちのが俺好みだからなぁ」
「おうおう、気の強さは相変わらずで嬉しいぜ。そっちのが俺好みだからなぁ」
威勢が良い程、屈服させた時の快感は激しいものと化す。
やはりこの女は是が非でも、自分の妃にしてやりたいところだ。
とはいえ油断ならない力を持っているのも否定は出来ない。
数時間前の戦闘では自分達が優勢に進めた筈が、反撃を許し逃げる羽目になった。
加えて時間を掛け過ぎれば、向こうで暴れている化け物にこっちまで襲われる。
やはりこの女は是が非でも、自分の妃にしてやりたいところだ。
とはいえ油断ならない力を持っているのも否定は出来ない。
数時間前の戦闘では自分達が優勢に進めた筈が、反撃を許し逃げる羽目になった。
加えて時間を掛け過ぎれば、向こうで暴れている化け物にこっちまで襲われる。
だったら自分もここいらで、切り札というやつを使わせてもらう。
『スイカ!』
「もういっちょ変身、ってな!」
『ロックオン!ソイヤッ!』
起動させるのは三つ目の支給品。
バナナ、タンポポに続く新たなロックシードをドライバーに装填。
上空にクラックが開かれ、真下の変身者へ落ちて来るのは巨大なスイカ。
ブラックバロンの変身時に現れたバナナ以上に大きい。
ともすればパラダイスキング自身をも粉砕し兼ねない、規格外のサイズだ。
バナナ、タンポポに続く新たなロックシードをドライバーに装填。
上空にクラックが開かれ、真下の変身者へ落ちて来るのは巨大なスイカ。
ブラックバロンの変身時に現れたバナナ以上に大きい。
ともすればパラダイスキング自身をも粉砕し兼ねない、規格外のサイズだ。
『スイカアームズ!大玉ビッグバン!』
だがこれで問題無い。
落来したスイカの上部から顔を出し、同時に電子音声が変身完了を伝える。
傍から見ると果実に顔以外の全部が埋まったシュールな姿。
何とも言えない光景にやちよも困惑し、タラオに至っては「このおじさんの脳みそはサクランボの種より小さいんですかね?」と呆れる始末。
落来したスイカの上部から顔を出し、同時に電子音声が変身完了を伝える。
傍から見ると果実に顔以外の全部が埋まったシュールな姿。
何とも言えない光景にやちよも困惑し、タラオに至っては「このおじさんの脳みそはサクランボの種より小さいんですかね?」と呆れる始末。
「面白いのはこっからだぜ」
『ヨロイモード!』
スイカ内部で戦極ドライバーを操作。
アーマードライダーの変身時と同じように果実が展開、ブラックバロンの全身を覆う鎧と化す。
右手にはこれまたカットしたスイカを思わせる形状の巨大槍。
鎧武やバロンといった沢芽市のアーマードライダーが纏ったスイカアームズ、その本領を発揮する形態だ。
アーマードライダーの変身時と同じように果実が展開、ブラックバロンの全身を覆う鎧と化す。
右手にはこれまたカットしたスイカを思わせる形状の巨大槍。
鎧武やバロンといった沢芽市のアーマードライダーが纏ったスイカアームズ、その本領を発揮する形態だ。
「わー!大きくてかっこいいです~♪」
「だろ?もっと褒めても良いぜぇ?こいつがどんだけ強いか、今からたっぷり見せてやるからよ!」
「っ!!」
「だろ?もっと褒めても良いぜぇ?こいつがどんだけ強いか、今からたっぷり見せてやるからよ!」
「っ!!」
アームズウェポンを振り下ろされた先で、やちよは我に返り跳躍。
スイカバーにも見えるおかしな武器だが破壊力は抜群。
地面が粉砕され、冴島邸の庭が削り取られた。
倉橋ゴンザが見たら卒倒間違いなしの悲惨な光景だが、家主を気遣う場合ではない。
スイカバーにも見えるおかしな武器だが破壊力は抜群。
地面が粉砕され、冴島邸の庭が削り取られた。
倉橋ゴンザが見たら卒倒間違いなしの悲惨な光景だが、家主を気遣う場合ではない。
「逃げんなよ!」
ブラックバロンの脚部が唸り、杭打機かと言わんばかりの勢いで放つ蹴り。
強化されたスイカアームズのキック力の前には、戦車の装甲すら障子紙同然。
魔法少女と言えども直撃すればミンチは確実。
水魔法を使い急加速、回避しながら槍を射出し続ける。
強化されたスイカアームズのキック力の前には、戦車の装甲すら障子紙同然。
魔法少女と言えども直撃すればミンチは確実。
水魔法を使い急加速、回避しながら槍を射出し続ける。
槍は一本残らず命中するも、ブラックバロンは微塵も怯まない。
そもそも避ける素振りすらしなかった。
当たった所で痛くも痒くもないのだから、回避の必要などある訳がない。
そもそも避ける素振りすらしなかった。
当たった所で痛くも痒くもないのだから、回避の必要などある訳がない。
見た目に違わず、耐久力とパワーは非常に厄介。
加えて巨体には似合わない俊敏な動きも可能。
ユグドラシルコーポレーション所属の人間ですら滅多には手に入らない、高ランクのロックシード。
次世代型のゲネシスドライバーにも劣らない性能を誇るのがスイカアームズだ。
加えて巨体には似合わない俊敏な動きも可能。
ユグドラシルコーポレーション所属の人間ですら滅多には手に入らない、高ランクのロックシード。
次世代型のゲネシスドライバーにも劣らない性能を誇るのがスイカアームズだ。
槍を射出しながら接近、ブラックバロンの頭部目掛けて手元の得物を突き出す。
顔面部分にもスイカアームズの装飾が確認出来るが、少なくとも他の部位よりは脆い筈。
丁度目に当たる部分を貫かんと迫る穂先、しかしスイカアームズは反応速度も侮れない。
アームズウェポンの一振りで槍が砕け散り、次いで狙うはやちよ本人。
柄だけとなり使い物にならない武器へ執着する理由はない。
放り捨てて後退、空振ったアームズウェポンが生み出す空気の揺れが長髪を靡かせる。
顔面部分にもスイカアームズの装飾が確認出来るが、少なくとも他の部位よりは脆い筈。
丁度目に当たる部分を貫かんと迫る穂先、しかしスイカアームズは反応速度も侮れない。
アームズウェポンの一振りで槍が砕け散り、次いで狙うはやちよ本人。
柄だけとなり使い物にならない武器へ執着する理由はない。
放り捨てて後退、空振ったアームズウェポンが生み出す空気の揺れが長髪を靡かせる。
「ちょこまか鬱陶しいですね~。じっとしてく~ださ~い」
ブラックバロンの槍を避ければもう一人が銃を撃つ。
龍玄の性能を活かしての精密な射撃は、やちよと言えども捨て置けない。
槍を精製し回転、エネルギー弾を叩き落とした傍から再度スイカの巨体が接近。
龍玄の性能を活かしての精密な射撃は、やちよと言えども捨て置けない。
槍を精製し回転、エネルギー弾を叩き落とした傍から再度スイカの巨体が接近。
「おらぁっ!」
横薙ぎの単純な一振りも大きさが大きさだ。
暴風が巻き起こり、命中せずとも枯れ葉のように吹き飛ばされそうになる。
水魔法でバランスを取り踏ん張るも、休む間もなくアームズウェポンが頭上より襲来。
足元の水で加速し回避すれば、続け様にエネルギー弾が来た。
暴風が巻き起こり、命中せずとも枯れ葉のように吹き飛ばされそうになる。
水魔法でバランスを取り踏ん張るも、休む間もなくアームズウェポンが頭上より襲来。
足元の水で加速し回避すれば、続け様にエネルギー弾が来た。
アーマードライダーの猛攻に歯噛みすらも惜しいと、やちよは必死に打開策を練る。
◆◆◆
戦況の悪さはレイ達も同じ。
コブラフォームの時でさえ三人掛かりでどうにか食らい付いたというのに。
一人減ればその分負担は増大、おまけに現在のエボルはフェーズ2により能力が更に強化された状態。
やちよを追いかけたくても、そんな余裕を与えてくれない。
コブラフォームの時でさえ三人掛かりでどうにか食らい付いたというのに。
一人減ればその分負担は増大、おまけに現在のエボルはフェーズ2により能力が更に強化された状態。
やちよを追いかけたくても、そんな余裕を与えてくれない。
左右同時に剣を振り攻め込むが、片腕ずつで難なく捌かれる。
装甲部分で刀身を阻み、時には拳や手刀を繰り出す。
数度の打ち合いでディケイドとレイ、両名共に武器をまともにぶつけ合うのは悪手と理解。
傷一つ付かない堅牢さもさることながら、パワーが桁違い過ぎるのだ。
装甲部分で刀身を阻み、時には拳や手刀を繰り出す。
数度の打ち合いでディケイドとレイ、両名共に武器をまともにぶつけ合うのは悪手と理解。
傷一つ付かない堅牢さもさることながら、パワーが桁違い過ぎるのだ。
「がっ…」
力強いのみならず、スピードと精密性も兼ね備えている。
ライドブッカーの防御をすり抜け、拳が胴体を叩く。
ディケイドの装甲にはあらゆる衝撃を緩衝し、決定的なダメージを防ぐ機能がある。
だが今受けたのは、本当に機能しているのかと疑わざる得ない痛みだ。
拳一発で軽く眩暈に襲われた、連続して受ければ本気で殴り殺されてしまう。
どうにか動こうとするもエボルを前にしては余りに襲い。
ライドブッカーの防御をすり抜け、拳が胴体を叩く。
ディケイドの装甲にはあらゆる衝撃を緩衝し、決定的なダメージを防ぐ機能がある。
だが今受けたのは、本当に機能しているのかと疑わざる得ない痛みだ。
拳一発で軽く眩暈に襲われた、連続して受ければ本気で殴り殺されてしまう。
どうにか動こうとするもエボルを前にしては余りに襲い。
「させないって言った筈ですよ!」
両手が白ばむ程に柄を握り、伸ばしかけたエボルの腕へ剣を叩き込む。
優秀な閃刀姫であろうと渾身の力で得物を振るわねば、敵をほんの数ミリ動かすことすら不可能。
傷は与えられずとも狙いは逸らせた、自身が拳の餌食となる前に範囲外へ退く。
強引な体勢のまま歯を食い縛りディケイドが離脱。
無理に動かした全身の悲鳴を黙殺し、すかさずカードを叩き込む。
優秀な閃刀姫であろうと渾身の力で得物を振るわねば、敵をほんの数ミリ動かすことすら不可能。
傷は与えられずとも狙いは逸らせた、自身が拳の餌食となる前に範囲外へ退く。
強引な体勢のまま歯を食い縛りディケイドが離脱。
無理に動かした全身の悲鳴を黙殺し、すかさずカードを叩き込む。
『FINAL ATTACK RIDE DE・DE・DE DECADE!』
ディケイドとエボルを繋ぐかのように、カード状の道が創り出される。
一枚一枚を潜り抜ける度にライドブッカーの刀身へエネルギーが収束。
邪悪を討つ光剣を片手に疾走する破壊者を、エボルは脅威と感じやしない。
分かっているからだ、この攻撃も自分には届かないと。
レバーを高速回転しこちらも破壊者のエネルギーを纏う。
一枚一枚を潜り抜ける度にライドブッカーの刀身へエネルギーが収束。
邪悪を討つ光剣を片手に疾走する破壊者を、エボルは脅威と感じやしない。
分かっているからだ、この攻撃も自分には届かないと。
レバーを高速回転しこちらも破壊者のエネルギーを纏う。
『Ready Go!』
『EVOLTEC FINISH!』
装甲全体が急速に過熱を始め、やがて右腕に収束される。
蒼炎が揺らめき、周囲の空気が乾き出す。
最後の一枚を通過したディケイド、その手の剣が迫るのをエボルは無感動に見つめ動かない。
先手は敵に奪われた、しかしそれでも己の有利は変わりなし。
蒼炎が揺らめき、周囲の空気が乾き出す。
最後の一枚を通過したディケイド、その手の剣が迫るのをエボルは無感動に見つめ動かない。
先手は敵に奪われた、しかしそれでも己の有利は変わりなし。
「ぐぁああああああっ!!」
『CIAO!』
威力を限界まで強化したライドブッカーが弾かれる。
まるで目障りな羽虫を払い除けるに等しい動作で、大技が無駄に終わった。
ディケイドが凍り付く暇すら無い、胸部へと叩き込まれる蒼炎の一撃。
大量に飛び散る火花がエボルの仮面を照らし、悲鳴が聴覚センサーを刺激する。
殴り飛ばされ受け身もまともに取れず、ディケイドは地面を転がるしか出来ない。
まるで目障りな羽虫を払い除けるに等しい動作で、大技が無駄に終わった。
ディケイドが凍り付く暇すら無い、胸部へと叩き込まれる蒼炎の一撃。
大量に飛び散る火花がエボルの仮面を照らし、悲鳴が聴覚センサーを刺激する。
殴り飛ばされ受け身もまともに取れず、ディケイドは地面を転がるしか出来ない。
「ぐ……」
ディケイドライバーが外れ生身のまま地に横たわる。
口の端からは血が流れ、声らしい声と言ったら小さな呻きだけ。
口の端からは血が流れ、声らしい声と言ったら小さな呻きだけ。
「士!っ…あっ…!」
血相を変えて駆け寄ろうとするが、それすらも叶わない。
突如全身が硬直し指一本動かせなくなる。
剣だけは握ったままだが振るうことが無理なら無意味。
突如全身が硬直し指一本動かせなくなる。
剣だけは握ったままだが振るうことが無理なら無意味。
「こん…のぉ……!」
身を捩る動作も出来ず、体のコントロールが奪われた。
エネルギー波による拘束をされては閃刀姫も無力。
己の意思とは無関係にエボルの元へ引き寄せられ、何をされるかはすぐ分かった。
反対の手に持った斧、あれで頭をかち割る気だろう。
エネルギー波による拘束をされては閃刀姫も無力。
己の意思とは無関係にエボルの元へ引き寄せられ、何をされるかはすぐ分かった。
反対の手に持った斧、あれで頭をかち割る気だろう。
(私は…まだ…!)
死ねない、死ぬ訳にはいかない。
殺し合いを破壊し終えていない、大切な少女とまだ会えていない。
どれだけ死を拒否したくても、エボルから与えられるのは無慈悲な終焉の刃。
人類滅亡を掲げるヒューマギアには、他者を生かす選択肢など存在する筈もなかった。
殺し合いを破壊し終えていない、大切な少女とまだ会えていない。
どれだけ死を拒否したくても、エボルから与えられるのは無慈悲な終焉の刃。
人類滅亡を掲げるヒューマギアには、他者を生かす選択肢など存在する筈もなかった。
(士…渡…ロゼ……私は……!)
精一杯の抵抗で睨み付けるも効果無し。
思った通り、躊躇なく斧が振り下ろされる。
いつかの優しさに溢れた記憶の中、ロゼが綺麗と言ってくれた髪が真っ赤に汚され――
思った通り、躊躇なく斧が振り下ろされる。
いつかの優しさに溢れた記憶の中、ロゼが綺麗と言ってくれた髪が真っ赤に汚され――
「だめぇえええええええええええ!!!」
