年季の入ったアパート、ばんだ荘の一室にて。
錆の目立つ手摺に腕を乗せ、街並みを眺める。
見えるのは住み慣れた多魔市じゃない、全く知らない場所。
気味の悪い光景だと、桃は素直に思う。
夏休み中に部屋を借り、第二の実家とも言えるアパートにいるのに。
まるでこの建物だけ切り抜かれ、別世界に連れて来られたかのようだ。
錆の目立つ手摺に腕を乗せ、街並みを眺める。
見えるのは住み慣れた多魔市じゃない、全く知らない場所。
気味の悪い光景だと、桃は素直に思う。
夏休み中に部屋を借り、第二の実家とも言えるアパートにいるのに。
まるでこの建物だけ切り抜かれ、別世界に連れて来られたかのようだ。
「ねえシャミ子、私がここに泊まるって言った時のこと覚えてる?」
傍らには誰もいない。
アパートに人の気配はなく、桃の声が寂しく響く。
アパートに人の気配はなく、桃の声が寂しく響く。
「シャミ子とミカンが私の知らない所で距離を縮めて、モヤモヤしたってリリスさんに煽られたけど……その通りだって言ったらどうする?」
けれど桃の言葉は自分自身に向けたのでなければ、ここにいない者へ向けたのともと違う。
誰の目にも一人しかいない空間で、桃にだけは分かる。
最も近くにいてくれる存在を、魂で深く繋がったまぞくの少女を。
自分を孤独にさせないでくれる『彼女』が、いるのだと。
誰の目にも一人しかいない空間で、桃にだけは分かる。
最も近くにいてくれる存在を、魂で深く繋がったまぞくの少女を。
自分を孤独にさせないでくれる『彼女』が、いるのだと。
「揶揄ってなんかないよ。それとも、今のが本当のことだとシャミ子が焦る理由でもあるのかな?」
からからと笑って紡いだ言葉は、確かに『彼女』へ届いた。
頭一つ分小さい体を揺らし、あっちこっちへ尻尾を振って。
顔を赤くした『彼女』が目を泳がす姿が、ハッキリと分かる。
誤魔化すように両手を振り上げ、怒ってる風に見せても効果無し。
迫力なんて皆無、小動物に等しい愛くるしさしか発揮されない。
頭一つ分小さい体を揺らし、あっちこっちへ尻尾を振って。
顔を赤くした『彼女』が目を泳がす姿が、ハッキリと分かる。
誤魔化すように両手を振り上げ、怒ってる風に見せても効果無し。
迫力なんて皆無、小動物に等しい愛くるしさしか発揮されない。
「引っ越しのご挨拶で牛肉を持って行った時、シャミ子が一番真剣に見てたよね。涎もちょっと出てたの覚えてるよ」
ほんの数週間前の出来事が、いやに懐かしく感じるのはきっと。
もう二度と戻れない、失われた愛すべき日常だからだろう。
人間がいて、まぞくがいて、魔法少女もいる。
普通とは言い難いけど、傷付け合わずに緩やかな毎日を過ごす。
この先もずっと続いて欲しかった、「みんなが仲良く」いられる世界は砂粒のように零れ落ちた後。
もう二度と戻れない、失われた愛すべき日常だからだろう。
人間がいて、まぞくがいて、魔法少女もいる。
普通とは言い難いけど、傷付け合わずに緩やかな毎日を過ごす。
この先もずっと続いて欲しかった、「みんなが仲良く」いられる世界は砂粒のように零れ落ちた後。
「誤魔化しても駄目、ちゃんと見てたんだから。……楽しかったね」
賑やかなのは嫌いじゃない。
封印中の邪神が脳に直接語り掛ける時以外、ばんだ荘での生活は楽しいと思えた。
封印中の邪神が脳に直接語り掛ける時以外、ばんだ荘での生活は楽しいと思えた。
誰が予想出来たのだろうか。
女手一つで二人の子供を育てた母が死に、姉を慕うしっかり者の妹が死に、
残された長女も後を追う、望む筈のない結末が訪れるなど。
女手一つで二人の子供を育てた母が死に、姉を慕うしっかり者の妹が死に、
残された長女も後を追う、望む筈のない結末が訪れるなど。
「……大丈夫、私が全部なんとかする。また皆一緒にいれる。だから……泣かないで、シャミ子」
子供をあやすかの力加減で、自分の胸に手を当てた。
『彼女』が泣いている、喪失に深く傷付き涙を流している
一緒になれたのが理由だろう、前よりも『彼女』の感情がストレートに自分へ流れ込む。
そんな顔はさせたくない、誰よりも優しいまぞくには苦しんで欲しくない。
『彼女』が泣いている、喪失に深く傷付き涙を流している
一緒になれたのが理由だろう、前よりも『彼女』の感情がストレートに自分へ流れ込む。
そんな顔はさせたくない、誰よりも優しいまぞくには苦しんで欲しくない。
「恐いことも悲しいことも、何もかも全部なかったことになるよ」
一度失ったものは二度と返って来ないと、誰が決めた。
喪失の現実を背負ってでも生きねばならないなんて、押し付けられるのは真っ平だ。
喪失の現実を背負ってでも生きねばならないなんて、押し付けられるのは真っ平だ。
「一緒に、私達の大好きな街角に帰ろう?その為にも――他の人達には早く死んでもらわないと、ね」
ひび割れた水晶に似た瞳で、一点を見つめる。
守りたかったものを失った魔法少女の、力の使い方は一つしかない。
奪う側に回る、それだけのこと。
守りたかったものを失った魔法少女の、力の使い方は一つしかない。
奪う側に回る、それだけのこと。
◆◆◆
「戻って来ましたか……」
物珍しさのない市街地へ到着し、レイは苦い記憶を噛み締める。
並ぶ士も軽口はなく、思い出すは無力さを痛感した瞬間。
駆け付けるのが遅れたばかりに、罪無き少女の命が奪われた。
自ら殿を引き受けた青年の犠牲で生かされ、逃げるしか出来なかった。
一日の内に幾度も味わった己への怒りは、決して忘れていない。
並ぶ士も軽口はなく、思い出すは無力さを痛感した瞬間。
駆け付けるのが遅れたばかりに、罪無き少女の命が奪われた。
自ら殿を引き受けた青年の犠牲で生かされ、逃げるしか出来なかった。
一日の内に幾度も味わった己への怒りは、決して忘れていない。
『ここがレイちゃん達がココアちゃんを見付けたっていう……』
「ええ。それに……」
「継国縁壱。奴の犠牲者がまたしても生まれた場所、か」
「ええ。それに……」
「継国縁壱。奴の犠牲者がまたしても生まれた場所、か」
仲間に犠牲を強いてしまった後悔は、天津にも痛い程理解出来る。
意地を張って残り、それで戦って勝てる相手じゃない。
自ら足止めを買って出る覚悟へ、唾を吐くに等しい愚行に出れるものか。
生き延びる事を優先し、散った者達の意志を背負う。
正しい選択が他にないと、分からない程鈍くなった覚えもない。
意地を張って残り、それで戦って勝てる相手じゃない。
自ら足止めを買って出る覚悟へ、唾を吐くに等しい愚行に出れるものか。
生き延びる事を優先し、散った者達の意志を背負う。
正しい選択が他にないと、分からない程鈍くなった覚えもない。
だが簡単に割り切れるかどうかは、また別だ。
自分にもっと力があれば、承太郎は今も生きていられたんじゃないか。
或人と滅だって、憎悪を乗り越え手を取り合う光景が実現したのでは。
何度悔やんでも過去は変えられず、彼らの死は覆せない。
喪ってばかりの自分が、どうしようもなく恨めしかった。
自分にもっと力があれば、承太郎は今も生きていられたんじゃないか。
或人と滅だって、憎悪を乗り越え手を取り合う光景が実現したのでは。
何度悔やんでも過去は変えられず、彼らの死は覆せない。
喪ってばかりの自分が、どうしようもなく恨めしかった。
エリア内に支給品はおろか、死体すらも残っていない。
アスファルトを汚す、乾いた血の痕だけが闘争が起きた証。
守るべき者の為に命を懸けた青年が、今も屍兵として会場を練り歩いている。
己が目で見た事実を改めて意識し、原因を作った陰陽師への怒りが湧く。
しかし優先順位は見誤らない、真っ先に行うべきは行方知れずの仲間との合流。
単独行動中だろうココアに加え、精神状態が非常に危ぶまれる桃とその関係者達。
アスファルトを汚す、乾いた血の痕だけが闘争が起きた証。
守るべき者の為に命を懸けた青年が、今も屍兵として会場を練り歩いている。
己が目で見た事実を改めて意識し、原因を作った陰陽師への怒りが湧く。
しかし優先順位は見誤らない、真っ先に行うべきは行方知れずの仲間との合流。
単独行動中だろうココアに加え、精神状態が非常に危ぶまれる桃とその関係者達。
「真月君の話では、陽夏木くんを最後に見たのはここから北上したエリアだったか」
「自力で動ける気力があるなら、近い場所に来てるかもな」
「自力で動ける気力があるなら、近い場所に来てるかもな」
ミカンが呪いを起こしてしまったのは天津の言うように、北へ行ったD-5エリア。
今もそこを動けずにいるのか、若しくは既に移動したか。
後者であればまだ近場を彷徨ってる可能性が有り、最初の探索場所でここを選んだのだ。
ココア曰くD-4の市街地には、吉田家の実家を再現した施設が設置されてるとのこと。
仮にミカンや桃が訪れていたら、無視するとは言い難い。
今もそこを動けずにいるのか、若しくは既に移動したか。
後者であればまだ近場を彷徨ってる可能性が有り、最初の探索場所でここを選んだのだ。
ココア曰くD-4の市街地には、吉田家の実家を再現した施設が設置されてるとのこと。
仮にミカンや桃が訪れていたら、無視するとは言い難い。
まずはそこへ向かおうと移動再開――の必要は、すぐになくなった。
「全員用心してください。何者かが近付いて来ます」
愛刀一本で戦場を駆け抜けたレイは、最も他者の気配や敵意に敏感だ。
得物を構え振り返り、士達もそれに倣って各々ドライバーを装着。
何が来ようと今更恐れはしないが、心構えだけで乗り切れる段階はとっくに過ぎた。
緊張の面持ちで視線を集める物陰から、現れるは桃色の髪を揺らす少女。
見知った顔と分かり、安堵と共に緊張を解く。
得物を構え振り返り、士達もそれに倣って各々ドライバーを装着。
何が来ようと今更恐れはしないが、心構えだけで乗り切れる段階はとっくに過ぎた。
緊張の面持ちで視線を集める物陰から、現れるは桃色の髪を揺らす少女。
見知った顔と分かり、安堵と共に緊張を解く。
「桃!?良かった、こっちに来てたんですね……」
研究所前での戦いで、引き離された仲間の一人。
急ぎ発見せねばと思っていた相手と、無事に再会出来た。
まさかココアの時のように、並行世界の桃だなんて展開はないだろう。
駆け寄ろうとし、
急ぎ発見せねばと思っていた相手と、無事に再会出来た。
まさかココアの時のように、並行世界の桃だなんて展開はないだろう。
駆け寄ろうとし、
「待て、それ以上は近付かない方がいい」
「えっ?垓?急に何を……」
「えっ?垓?急に何を……」
肩を掴んだ仲間の方を振り向き、訝しく問う。
レイの方を見ず、視線を桃に固定した天津の表情は険しい。
直接会うのはこれが初めて、千代田桃という少女については話でしか聞いていない。
彼女を深く理解してると、大口を叩く気は皆無。
逆に言えば、この中で桃との付き合いが無いに等しい天津だからこそ。
余計な先入観を持たず、真っ先に気付けた。
レイの方を見ず、視線を桃に固定した天津の表情は険しい。
直接会うのはこれが初めて、千代田桃という少女については話でしか聞いていない。
彼女を深く理解してると、大口を叩く気は皆無。
逆に言えば、この中で桃との付き合いが無いに等しい天津だからこそ。
余計な先入観を持たず、真っ先に気付けた。
(彼女のあの目は……)
乾き切ったように見えて、コールタールに似た激情が見え隠れする瞳。
桃とは初対面なれど、彼女の目には嫌と言う程に覚えがある。
復讐に心を支配された者達、アークの後継者を重ねざるを得ない。
ただの仲間同士の再会で済む予感がせず、身が強張る天津を余所に向こうへ動きがあった。
桃とは初対面なれど、彼女の目には嫌と言う程に覚えがある。
復讐に心を支配された者達、アークの後継者を重ねざるを得ない。
ただの仲間同士の再会で済む予感がせず、身が強張る天津を余所に向こうへ動きがあった。
「うん、そう。私の仲間だった人達。皆良い人だよ」
「桃……?」
「桃……?」
誰もいない方を見つめ、ボソボソと何事かを呟く。
レイ達の存在を認識してるだろうに、話す対象が明らかに違う。
独り言かと困惑する一同に構わず、桃にしか見えない『彼女』との会話が続く。
レイ達の存在を認識してるだろうに、話す対象が明らかに違う。
独り言かと困惑する一同に構わず、桃にしか見えない『彼女』との会話が続く。
「……うん。でも仕方ないと思うよ、他に方法がないから。シャミ子が謝ることじゃない、私が決めたこと。シャミ子だけの味方でいるって、もう決めたからさ」
傍目には一人芝居同然の会話を行う桃の、腹部に士の意識が向かう。
華奢な体躯とはミスマッチの、ゴテゴテしたパーツが付いた機械。
天才物理学者の手で復元されたソレを、今の桃が装着している。
亡き戦士達への誓いを果たすべく、覚悟を決めた。
そう断言出来れば、どれ程良かったか。
本来の所持者たるドクターが、断じて望まない選択を取ったのではと。
泡のように浮かぶ想像を、否定出来ない。
華奢な体躯とはミスマッチの、ゴテゴテしたパーツが付いた機械。
天才物理学者の手で復元されたソレを、今の桃が装着している。
亡き戦士達への誓いを果たすべく、覚悟を決めた。
そう断言出来れば、どれ程良かったか。
本来の所持者たるドクターが、断じて望まない選択を取ったのではと。
泡のように浮かぶ想像を、否定出来ない。
「桃あなたは――」
明らかに不自然な様子の桃と、仲間達の警戒。
こうも条件が揃っては、レイも再会の純粋な喜びに身を委ねていられない。
得物を握る力を一度は緩めたが、抜き放つ瞬間は時間の問題じゃあなかろうか。
そうはならないでくれと一抹の期待を捨てず、対話を試みる。
こうも条件が揃っては、レイも再会の純粋な喜びに身を委ねていられない。
得物を握る力を一度は緩めたが、抜き放つ瞬間は時間の問題じゃあなかろうか。
そうはならないでくれと一抹の期待を捨てず、対話を試みる。
『MAXIMAM MIGHTY X!』
「っ!?」
が、話をする気が相手に無いのが即座に分かった。
自分達に視線を向けたと思えば、流れる動作でポケットから手を取り出す。
握り締めるものは、ゲームマスターが持つのと似た物体。
ガシャット、そう呼ばれるアイテムを起動。
電子音声が響き、レイも警戒を一気に引き上げる。
自分達に視線を向けたと思えば、流れる動作でポケットから手を取り出す。
握り締めるものは、ゲームマスターが持つのと似た物体。
ガシャット、そう呼ばれるアイテムを起動。
電子音声が響き、レイも警戒を一気に引き上げる。
(私達がいない間、あなたに何が起きたかは分かりませんが……!)
戦兎の死か、吉田良子の死か。
それすら超える程に、心を壊す悪夢が襲ったのか。
自分達の発見が遅れたせいで、道を踏み外してしまった後悔も。
彼女を変えた原因への疑問も、一旦置いて踏み込む。
こちらを射抜く瞳は放送前と全く違う、仲間に向ける類とは思えない。
仕掛ける気だと、察しが付けば動き出さない理由は無し。
士達と同じ仮面ライダーに変身する気だろうが、その前に身動きを封じさせてもらう。
それすら超える程に、心を壊す悪夢が襲ったのか。
自分達の発見が遅れたせいで、道を踏み外してしまった後悔も。
彼女を変えた原因への疑問も、一旦置いて踏み込む。
こちらを射抜く瞳は放送前と全く違う、仲間に向ける類とは思えない。
仕掛ける気だと、察しが付けば動き出さない理由は無し。
士達と同じ仮面ライダーに変身する気だろうが、その前に身動きを封じさせてもらう。
レイが取った方法は間違いじゃない。
仮面ライダー共通の弱点の一つに、必ず『変身』の工程を挟まねばならないものがある。
ショッカー製改造人間の本郷猛に始まり、ゲームマスターに囚われた浮世英寿らデザイアグランプリのプレイヤー。
或いは未来の大物錬金術師を目指す少年や、グラニュート界からの迷い子等々。
彼ら仮面ライダーの変身者への手っ取り早い対策は、そもそも変身させなければいい。
事実、桃にゲーマドライバーを託した宝生永夢も過去に起きた事件の際。
生身の時を狙撃され、戦線離脱を余儀なくされた。
仮面ライダー共通の弱点の一つに、必ず『変身』の工程を挟まねばならないものがある。
ショッカー製改造人間の本郷猛に始まり、ゲームマスターに囚われた浮世英寿らデザイアグランプリのプレイヤー。
或いは未来の大物錬金術師を目指す少年や、グラニュート界からの迷い子等々。
彼ら仮面ライダーの変身者への手っ取り早い対策は、そもそも変身させなければいい。
事実、桃にゲーマドライバーを託した宝生永夢も過去に起きた事件の際。
生身の時を狙撃され、戦線離脱を余儀なくされた。
変身せずとも超人的な身体能力を持つレイならば、ガシャットの挿入を事前で阻止するのは不可能に非ず。
陸上の花形スターを余裕で追い越す速度を発揮、伸ばした手が触れるまで残り僅か。
陸上の花形スターを余裕で追い越す速度を発揮、伸ばした手が触れるまで残り僅か。
但し、桃相手にその方法は通用しない。
「ぐっ!?」
ガシャットを持つ手を掴む寸前、桃が元々持つ力を行使。
秒という時間すら不要の、魔法少女への変身。
ピンク色の衣装を纏い、左拳を至近距離のレイへ放つ。
伸ばした腕を引っ込め身を捩り回避、直撃は避けるも頬に赤い一本線が引かれる。
一発凌いだ程度で安心は早い、桃は既に次の攻撃へ移った後。
腰の捻りを加えた蹴りが襲い掛かり、咄嗟に剣の腹でガード。
秒という時間すら不要の、魔法少女への変身。
ピンク色の衣装を纏い、左拳を至近距離のレイへ放つ。
伸ばした腕を引っ込め身を捩り回避、直撃は避けるも頬に赤い一本線が引かれる。
一発凌いだ程度で安心は早い、桃は既に次の攻撃へ移った後。
腰の捻りを加えた蹴りが襲い掛かり、咄嗟に剣の腹でガード。
「細い体のくせして、大分重くないですかね……!」
予想を超えて腕まで痺れが走り、後方へと足がもつれる。
追撃は来ない、必要な隙は十分に生まれた。
軽やかに跳ねて距離を取り、ガンマンさながらにガシャットを一回転。
煌びやかな画面を背に、普段以上に低い声が闘争開始(ゲームスタート)を改めて告げる。
追撃は来ない、必要な隙は十分に生まれた。
軽やかに跳ねて距離を取り、ガンマンさながらにガシャットを一回転。
煌びやかな画面を背に、普段以上に低い声が闘争開始(ゲームスタート)を改めて告げる。
「マックス大変身」
『ガシャット!ガッチャーン!レベルMAX!』
『最大級のパワフルボディ!ダリラガーン!ダゴズバーン!』
『マキシマムパワーX!』
ピンク色のド派手なスーツに、コントローラーを模した装甲。
魔法少女姿から一転、全身を覆い隠す姿へ変化。
頭上より落下した巨大な顔面へ入り込み、巨木の如き四肢を生やす。
パワードスーツの装着を経て、仮面ライダーエグゼイド・マキシマムゲーマーレベル99への変身が完了。
重厚感に違わぬプレッシャーを撒き散らし、仲間だった者達を仮面越しに射抜く。
魔法少女姿から一転、全身を覆い隠す姿へ変化。
頭上より落下した巨大な顔面へ入り込み、巨木の如き四肢を生やす。
パワードスーツの装着を経て、仮面ライダーエグゼイド・マキシマムゲーマーレベル99への変身が完了。
重厚感に違わぬプレッシャーを撒き散らし、仲間だった者達を仮面越しに射抜く。
「桃……あなたは……」
「単にウォーミングアップがしたいだけってなら、今からでもそう言え」
「単にウォーミングアップがしたいだけってなら、今からでもそう言え」
最悪の事態に発展し顔を歪めるレイに並び、あえて冗談めかして士が問う。
しかし浮かべる表情は愉快さの正反対、返って来る答えも予想は付く。
しかし浮かべる表情は愉快さの正反対、返って来る答えも予想は付く。
「……心配して探しに来てくれたことは感謝してるよ。レイさん達は、本当に良い人だって分かるから」
人を殺して喜ぶ連中が大勢いる中で、善人だと確信を持って言える者達がレイや士だ。
両足を失い足手纏いになり、挙句人質に取られ迷惑ばかりを掛けた。
見限られて当然の自分を常に気遣い、ここまで探しにやって来た事へ感謝はある。
死んで欲しくない人達と思ってるのも、嘘じゃない。
両足を失い足手纏いになり、挙句人質に取られ迷惑ばかりを掛けた。
見限られて当然の自分を常に気遣い、ここまで探しにやって来た事へ感謝はある。
死んで欲しくない人達と思ってるのも、嘘じゃない。
「でも、死んでくれなきゃ困るんだ」
彼らと手を取り合い、ゲームマスターに抗う道を選ぶ気は完全に失せた。
魔法少女を唯一引き戻せたろうまぞくは、祈り(呪い)を遺し自害。
今や桃だけの味方となり、手を引き奈落へ共に落ちるのみ。
全てをなかったことにする為には、罪悪感すら何の意味も齎さない。
魔法少女を唯一引き戻せたろうまぞくは、祈り(呪い)を遺し自害。
今や桃だけの味方となり、手を引き奈落へ共に落ちるのみ。
全てをなかったことにする為には、罪悪感すら何の意味も齎さない。
「なるべく痛くないようにするから、さ」
遠回しな殺害宣言は脅しじゃあない、本気だ。
足底が地面を叩き粉砕、砲丸を彷彿させる勢いを付けて接近。
足底が地面を叩き粉砕、砲丸を彷彿させる勢いを付けて接近。
「変身!」
『KAMEN RIDE DECADE!』
対話で事を治める段階は過ぎたと、理解出来ない士ではない。
殺意を浴びたその時点で、ライダーカードをドライバーに装填。
染みついた動作で変身を実行、マゼンタ色の装甲を纏う。
専用装備、ライドブッカーを近接形態に変えるや防御の構えを取る。
特殊な鉱石を加工して作った刀身は、耐久性の高さ故に盾としても機能。
エグゼイドの巨拳を防ぎ、己が身には指先一つ触れさせない。
殺意を浴びたその時点で、ライダーカードをドライバーに装填。
染みついた動作で変身を実行、マゼンタ色の装甲を纏う。
専用装備、ライドブッカーを近接形態に変えるや防御の構えを取る。
特殊な鉱石を加工して作った刀身は、耐久性の高さ故に盾としても機能。
エグゼイドの巨拳を防ぎ、己が身には指先一つ触れさせない。
「うおっ!?」
が、直撃は防げても衝撃自体は無効化出来ない。
9つのライダー世界を通りすがった時を超える、アップグレードされたディケイドのパワーを以てしても。
体勢維持が不可能な程に重い。
踏ん張ろうと両足に力を籠めるも、無意味とばかりに後方へ押し出される。
背後の壁をぶち破るまで止まらないのか、いいやそれより速くエグゼイドが仕掛けた。
大きく開いた距離を一跳びで詰め、二撃目の拳を放つ。
9つのライダー世界を通りすがった時を超える、アップグレードされたディケイドのパワーを以てしても。
体勢維持が不可能な程に重い。
踏ん張ろうと両足に力を籠めるも、無意味とばかりに後方へ押し出される。
背後の壁をぶち破るまで止まらないのか、いいやそれより速くエグゼイドが仕掛けた。
大きく開いた距離を一跳びで詰め、二撃目の拳を放つ。
『ATTACK RIDE SLASH!』
迎え撃つべく、ディケイドもカードを装填。
次元エネルギーを付与し、斬撃の威力を強化。
拳と刀身が激突し、打ち勝ったのは前者。
ライドブッカーがあらぬ方へ弾き跳び、無防備となった胴体へ三撃目が迫る。
次元エネルギーを付与し、斬撃の威力を強化。
拳と刀身が激突し、打ち勝ったのは前者。
ライドブッカーがあらぬ方へ弾き跳び、無防備となった胴体へ三撃目が迫る。
『Progrise key comfirmed. Ready to break.』
ディケイド単独の戦闘であればともかく、仲間の存在が敵の猛攻を認めない。
急ぎ変身を終えたサウザーがプログライズキーのデータを引き出し、死角から斬り付ける。
独楽を思わせる回転を加えた斬撃は、強固な鎧も削り取る威力だ。
かといって、当てさせてもらえるかは別。
敵意の接近を察知し、標的を急遽サウザーに変更。
裏拳を叩き付け強制的に回転を停止、振り被った勢いのままに殴り飛ばす。
急ぎ変身を終えたサウザーがプログライズキーのデータを引き出し、死角から斬り付ける。
独楽を思わせる回転を加えた斬撃は、強固な鎧も削り取る威力だ。
かといって、当てさせてもらえるかは別。
敵意の接近を察知し、標的を急遽サウザーに変更。
裏拳を叩き付け強制的に回転を停止、振り被った勢いのままに殴り飛ばす。
「ぬぅっ……!?」
宙へ投げ出されたサウザーの自然落下を、悠長に待たず跳躍。
黄金のライダーを見下ろす位置まで跳び、繰り出されるは踵落し。
重量を乗せた一撃は、装甲の下の肉体までもを粉砕するだろう。
黄金のライダーを見下ろす位置まで跳び、繰り出されるは踵落し。
重量を乗せた一撃は、装甲の下の肉体までもを粉砕するだろう。
「させませんよ!」
そこへ動くは閃刀姫、愛用の刀剣型デバイスを振るう。
生身の一撃であれば無意味に等しいが、レイの全身を覆うは赤いスーツと銀の鎧。
敵の意識がディケイド達に向けられた隙に、カードデッキを使い変身完了。
龍騎となった事で、元々の身体能力へライダーのスペックを上乗せ。
ダメージは与えられずとも、狙いを逸らす分には問題無し。
蹴り砕かれる末路を回避、受け身を取ったサウザーは次なるプログライズキーを装填。
生身の一撃であれば無意味に等しいが、レイの全身を覆うは赤いスーツと銀の鎧。
敵の意識がディケイド達に向けられた隙に、カードデッキを使い変身完了。
龍騎となった事で、元々の身体能力へライダーのスペックを上乗せ。
ダメージは与えられずとも、狙いを逸らす分には問題無し。
蹴り砕かれる末路を回避、受け身を取ったサウザーは次なるプログライズキーを装填。
「龍騎同士で共同作業と洒落込むぞ」
「っ!ええ、乗ってあげますよ!」
「っ!ええ、乗ってあげますよ!」
同じくディケイドもカードを取り、龍騎へ見せ付けるように揺らしてみせた。
この状況でも余裕ぶった態度でふざけた、のではない。
意図を察し龍騎も腹部へ手を伸ばし、望みの一枚を引き抜く。
この状況でも余裕ぶった態度でふざけた、のではない。
意図を察し龍騎も腹部へ手を伸ばし、望みの一枚を引き抜く。
『KAMEN RIDE RYUUKI!』
『ATTACK RIDE STRIKE VENT!』
『STRIKE VENT』
定時放送前に取り戻した力を使い、ディケイドも龍騎へ姿を変える。
二人の赤い騎士が並び、右腕には全く同じガントレットを装備。
背後には赤龍型モンスター、ドラグレッダーが現れ口内へエネルギーを充填。
エグゼイドを標的に火炎を放射、龍騎達の技が合わさり灼熱の渦を生み出す。
二人の赤い騎士が並び、右腕には全く同じガントレットを装備。
背後には赤龍型モンスター、ドラグレッダーが現れ口内へエネルギーを充填。
エグゼイドを標的に火炎を放射、龍騎達の技が合わさり灼熱の渦を生み出す。
「袋叩きのようで申し訳ないが、手早く無力化させてもらう!」
『Progrise key comfirmed. Ready to break.』
青い輝きを帯びたサウザンドジャッカーを地面に突き刺し、龍騎二人のアシストを実行。
地を伝って電撃が相手に到達、動きを鈍らせ反撃を行わせない。
長続きしないとは承知の上、僅かな隙をこじ開け火炎がエグゼイドを襲う。
変身解除、そうでなくとも無力化に近付くダメージになるのを期待し、
地を伝って電撃が相手に到達、動きを鈍らせ反撃を行わせない。
長続きしないとは承知の上、僅かな隙をこじ開け火炎がエグゼイドを襲う。
変身解除、そうでなくとも無力化に近付くダメージになるのを期待し、
「どうして、無駄に手間を掛けせるのかな」
視界に広がる炎の渦を前に、エグゼイドは冷え切った声で呟く。
腰を低く落とし、右手で作った拳を突き出す。
単純極まる動作も、レベル99の形態が行えば絶大な威力の凶器だ。
アスファルトが捲り上がる暴風が発生、火炎をあっという間に掻き消す。
腰を低く落とし、右手で作った拳を突き出す。
単純極まる動作も、レベル99の形態が行えば絶大な威力の凶器だ。
アスファルトが捲り上がる暴風が発生、火炎をあっという間に掻き消す。
「ぐぁっ!?」
「この威力は……!?」
「この威力は……!?」
被害に遭ったのは三人のライダーも同様、装甲部から火花を散らし宙を泳ぐ。
ドライバーの操作を必要としない、武器の一つも使わずにこの威力。
悪い冗談と思いたいが、現実逃避の時間すらも相手は許さない。
ドライバーの操作を必要としない、武器の一つも使わずにこの威力。
悪い冗談と思いたいが、現実逃避の時間すらも相手は許さない。
「最初はあなたでいいか」
「ご指名どうも……!!光栄な限りだ……!」
「ご指名どうも……!!光栄な限りだ……!」
ゴムのように伸びた腕がサウザーの足を掴み、自身の元へ引き寄せる。
足元に転がし、踏みつけ逃げられないように固定。
どうにか動かせる手でサウザンドジャッカーを振るうも、無駄な足掻きでしかない。
装甲共々潰すか、いやそれよりベルトを壊して生身に戻せば虫のように殺せる。
吹き飛ばされたディケイド達の復帰も遅い、今から何をやっても無意味。
足元に転がし、踏みつけ逃げられないように固定。
どうにか動かせる手でサウザンドジャッカーを振るうも、無駄な足掻きでしかない。
装甲共々潰すか、いやそれよりベルトを壊して生身に戻せば虫のように殺せる。
吹き飛ばされたディケイド達の復帰も遅い、今から何をやっても無意味。
『駄目!エグゼイドは……エムの力は誰かを殺す為にあるんじゃないよ!』
「――っ」
「――っ」
殺す為の手が止まり、聞き覚えの無い声の主を見やる。
サウザーの傍らに転がった、紫色の機械。
その中央に貼り付いタッチパネルに映る、自身と同じ髪色の女。
画面一枚隔てた先の彼女は何故、本来のエグゼイドの変身者を知っているのか。
サウザーの傍らに転がった、紫色の機械。
その中央に貼り付いタッチパネルに映る、自身と同じ髪色の女。
画面一枚隔てた先の彼女は何故、本来のエグゼイドの変身者を知っているのか。
「あなたは、なに?何で永夢さんを知ってるの?」
『私は……永夢と同じ、CRの仲間だよ。今は、自由に外に出れないけど……』
『私は……永夢と同じ、CRの仲間だよ。今は、自由に外に出れないけど……』
エグゼイドの力を託したドクターの仲間、それも生前の永夢から聞いた花家大我とは別の人物。
予想していなかった存在は無視出来ず、仮面の下で顔が強張る。
予想していなかった存在は無視出来ず、仮面の下で顔が強張る。
『モモちゃん、だよね?ツカサ達から何があったかは聞いたよ。エムが、どうして死んだのかも』
「…………そう」
「…………そう」
本人が直接語ったのではなく、又聞きの形ではあるが。
デスゲームで永夢が誰と出会い、何と戦い、何故命を散らしたのか。
余りにも早いゲームオーバーを迎えたその事実に、思う所がないと誰が言えよう。
デスゲームで永夢が誰と出会い、何と戦い、何故命を散らしたのか。
余りにも早いゲームオーバーを迎えたその事実に、思う所がないと誰が言えよう。
人を救う為の手で命を奪わねばならない程に、彼は追い詰められた。
救うと決めた患者は彼の手を離れ、惨たらしい死を迎えた。
そして彼自身も、圧倒的な暴威に晒され命を落とした。
救うと決めた患者は彼の手を離れ、惨たらしい死を迎えた。
そして彼自身も、圧倒的な暴威に晒され命を落とした。
NPCの立場故、正規プレイヤーのように自由には動けない。
ゲームシステムを考えた為の調整で、設定を施した黎斗が酷く恨めしい。
どうして彼が苦しんでる時、支えてあげられなかったんだろう。
彼の心に亀裂が入り、永夢自身が最も傷付いていたのに。
ラブリカに操られ敵に回った時も、永夢は自分を必死に助けようとしてくれた。
バグスターとして切除する他ないと見なされて尚、仲間として受け入れてくれた。
救われてばかりで結局、一番傍にいなきゃならない場面で間に合わなかった自分を責めたくなる。
ゲームシステムを考えた為の調整で、設定を施した黎斗が酷く恨めしい。
どうして彼が苦しんでる時、支えてあげられなかったんだろう。
彼の心に亀裂が入り、永夢自身が最も傷付いていたのに。
ラブリカに操られ敵に回った時も、永夢は自分を必死に助けようとしてくれた。
バグスターとして切除する他ないと見なされて尚、仲間として受け入れてくれた。
救われてばかりで結局、一番傍にいなきゃならない場面で間に合わなかった自分を責めたくなる。
『モモちゃん……』
だが今真っ先にやるべきは、自身への罵りなんかじゃない。
永夢が生かした少女に、彼の仲間だった者として言葉を掛ける。
肉体的にも精神的にも追い詰められ、今に至るまでずっと傷だらけの彼女へ。
画面を挟んで、伝えねばならない。
永夢が生かした少女に、彼の仲間だった者として言葉を掛ける。
肉体的にも精神的にも追い詰められ、今に至るまでずっと傷だらけの彼女へ。
画面を挟んで、伝えねばならない。
『まずは……ありがとう。生きることを諦めないで、ここまでずっと頑張ってくれて』
「え……?」
「え……?」
予想と全く違う言葉に、意味が分からず間の抜けた顔になる。
永夢の意志を踏み躙ってること、何より自分を生かそうと彼が犠牲になった件で。
激しい罵りを受けるとばかり思い、されて当然と桃自身も考えていたのに。
何故、よりにもよって感謝を告げるのか理解出来ない。
永夢の意志を踏み躙ってること、何より自分を生かそうと彼が犠牲になった件で。
激しい罵りを受けるとばかり思い、されて当然と桃自身も考えていたのに。
何故、よりにもよって感謝を告げるのか理解出来ない。
「何それ……?お礼を言われることなんて、私は何も……」
『ううん、してるよ?だってあなたは、エムが一番望んでいたことを投げ出さなかったから』
「永夢さんの望み……」
『生きることを諦めない、生きることから逃げない。あなたに生きて欲しい、それがエムの願いじゃないかな?』
『ううん、してるよ?だってあなたは、エムが一番望んでいたことを投げ出さなかったから』
「永夢さんの望み……」
『生きることを諦めない、生きることから逃げない。あなたに生きて欲しい、それがエムの願いじゃないかな?』
エグゼイドを継ぐことでも、殺し合いを止めることでもない。
生きて、自分の命を大切にして欲しい。
仮面ライダー以前に一人のドクターとしての、切な願いが最後の戦いへ臨む原動力になった。
生きて、自分の命を大切にして欲しい。
仮面ライダー以前に一人のドクターとしての、切な願いが最後の戦いへ臨む原動力になった。
「……っ、違う……私、は、感謝されるような奴じゃない……」
結果的に、死ななかっただけだ。
真紅の騎士に嬲られた時、小さなエルフに両足を斬られた時。
そして、誰よりも大切に想う宿敵を喪った時。
生きることを諦め、死に逃げようとしたのは嘘じゃない。
永夢の献身に背き続け、今だってこの有様。
感謝を真正面から受け止めるだなんて、思える筈がないだろうに。
真紅の騎士に嬲られた時、小さなエルフに両足を斬られた時。
そして、誰よりも大切に想う宿敵を喪った時。
生きることを諦め、死に逃げようとしたのは嘘じゃない。
永夢の献身に背き続け、今だってこの有様。
感謝を真正面から受け止めるだなんて、思える筈がないだろうに。
「私は……っ、永夢さんが助けてくれた命を、何度も捨てようとして……っ!」
『モモちゃんが本当に諦める気だったら、今ここにはいない筈だよ。投げ出したくなるくらい辛くても、頑張ってみようって思ってくれたから。だから私とこうして会えたって思う』
「あなたは……なんでそんなに……っ!」
『モモちゃんが本当に諦める気だったら、今ここにはいない筈だよ。投げ出したくなるくらい辛くても、頑張ってみようって思ってくれたから。だから私とこうして会えたって思う』
「あなたは……なんでそんなに……っ!」
自分自身を貶しても、その度にやんわりと否定をぶつけて来る。
誰よりも優しい言葉が、どんな凶器よりも痛くて仕方ない。
いっそあらん限りの罵声をぶつけてくれれば、まだ楽だったのに。
誰よりも優しい言葉が、どんな凶器よりも痛くて仕方ない。
いっそあらん限りの罵声をぶつけてくれれば、まだ楽だったのに。
『……私も、昔エムに助けてもらったんだ。倒されて当然の私を、諦めないで受け入れてくれた』
「永夢さんが……?」
『だから、今度は私の番!永夢が患者さんを助けるのを諦めなかったように、モモちゃんが生きることを諦めず頑張ったみたいに!私も、モモちゃんのことを諦めない』
「永夢さんが……?」
『だから、今度は私の番!永夢が患者さんを助けるのを諦めなかったように、モモちゃんが生きることを諦めず頑張ったみたいに!私も、モモちゃんのことを諦めない』
呆然と、地面に落ちた機械を見下ろす。
彼女がいるのは画面の向こう側、こんなに近くでも指先すら触れられない。
なのにどうしてだろうか。
自分のすぐ目の前に、カラフルな衣装を纏う彼女が立っていて。
汚れた手を優しく包む、有り得ない光景を見てしまうのは。
彼女がいるのは画面の向こう側、こんなに近くでも指先すら触れられない。
なのにどうしてだろうか。
自分のすぐ目の前に、カラフルな衣装を纏う彼女が立っていて。
汚れた手を優しく包む、有り得ない光景を見てしまうのは。
『エムの仲間として、看護師として私はモモちゃんを助けたい。だから、私を信じて』
「…………………………」
「…………………………」
視線を落としたまま身動ぎせず、仮面の奥からは沈黙が続く。
自分でも気付かぬ内に拘束を緩め、足元のサウザーが抜け出したのに気を回しもしない。
先程殴り飛ばした二人もまた、何時でも動けるよう気を張りつつ。
ここはポッピーに任せるべきと判断し、様子見に徹していた。
自分でも気付かぬ内に拘束を緩め、足元のサウザーが抜け出したのに気を回しもしない。
先程殴り飛ばした二人もまた、何時でも動けるよう気を張りつつ。
ここはポッピーに任せるべきと判断し、様子見に徹していた。
「…………私は、やっぱり自分が感謝される奴じゃないって思う」
『……うん』
『……うん』
数十秒を経て、絞り出した声。
ポッピーが掛けた言葉を噛み締めても、自分が永夢の望みを果たしてるとは思えない。
ポッピーが掛けた言葉を噛み締めても、自分が永夢の望みを果たしてるとは思えない。
「でも、あなたが言ってくれたことまで否定したくない」
『モモちゃん……』
「本当は、私がこういうこと思ったら駄目なんだけど……でも、少しだけ嬉しかった」
『モモちゃん……』
「本当は、私がこういうこと思ったら駄目なんだけど……でも、少しだけ嬉しかった」
もうどうしようもないのに、匙を投げて構わないのにまだ手を伸ばしてくれる。
助けたいと本気の想いをぶつけられ、心が揺らがなかったとは言えない。
永夢の仲間なら、そう言って当然かと。
か細い呟きは口に出さず、自分の胸に仕舞っておく。
助けたいと本気の想いをぶつけられ、心が揺らがなかったとは言えない。
永夢の仲間なら、そう言って当然かと。
か細い呟きは口に出さず、自分の胸に仕舞っておく。
「ありがとう、ございます。まだ私を、そんな風に見てくれて」
敵意は薄れ、小さな声で紡ぐ感謝。
伝えたかった想いが届き、ポッピーも安堵に表情を崩す。
このまま言葉を交わし桃を落ち着かせて、戦闘回避へ持って行く。
エグゼイドの力の使い道を諭すよりも、まずは患者のメンタルケアが最優先と意気込み、
伝えたかった想いが届き、ポッピーも安堵に表情を崩す。
このまま言葉を交わし桃を落ち着かせて、戦闘回避へ持って行く。
エグゼイドの力の使い道を諭すよりも、まずは患者のメンタルケアが最優先と意気込み、
「でもごめんなさい。私はもう、シャミ子だけの味方だから」
『えっ』
『えっ』
油の撒かれた家に火が点くように、殺意が一瞬で湧き上がる。
言われた意味を理解するのを待たず、振り下ろされる拳。
部品が辺りに散らばるまで一刻の猶予もないが、ポッピーに抗う術はない。
どうしてと、呟く事すら許されなかった。
言われた意味を理解するのを待たず、振り下ろされる拳。
部品が辺りに散らばるまで一刻の猶予もないが、ポッピーに抗う術はない。
どうしてと、呟く事すら許されなかった。
「結局振り出しに戻っただけか……!」
『ATTACK RIDE CLOCK UP!』
ポッピーに任せつつも、警戒を怠らなかったのが功を為した。
加えて事前にカブトへ変身していたのも、正解だったと言える。
カードの装填と同時にマスクドライダーシステムの機能を発動、加速の世界に侵入し駆け出す。
バグルドライバーⅡを回収し離脱、狙ったかのタイミングでクロックアップが解除。
本来よりも短い間しか使えなくなっているが、ポッピーの救出は成功だ。
加えて事前にカブトへ変身していたのも、正解だったと言える。
カードの装填と同時にマスクドライダーシステムの機能を発動、加速の世界に侵入し駆け出す。
バグルドライバーⅡを回収し離脱、狙ったかのタイミングでクロックアップが解除。
本来よりも短い間しか使えなくなっているが、ポッピーの救出は成功だ。
『モモちゃん……どうして……!』
「桃、やはり“そちら側”から引き返す気はないのですか?」
「桃、やはり“そちら側”から引き返す気はないのですか?」
自身の無事など到底喜べず、ポッピーはショックを隠せない。
レイもまた、悲痛な表情を仮面で隠して問う。
道を誤り虐殺へ投じる仲間を、助けたいのは閃刀姫とて同じ。
これ以上失いたくない命の中には、桃だって入っている。
自分の手で仲間を討つ事態の到来なんて、避けられるなら是非そうしたい。
レイもまた、悲痛な表情を仮面で隠して問う。
道を誤り虐殺へ投じる仲間を、助けたいのは閃刀姫とて同じ。
これ以上失いたくない命の中には、桃だって入っている。
自分の手で仲間を討つ事態の到来なんて、避けられるなら是非そうしたい。
「不安にさせちゃったね。でも心配ないよ、私はシャミ子とずっと一緒だもの。うん、絶対二人で願いを叶えようね」
未だ己を救うべき仲間として扱う、悲痛な問いかけには反応を見せず。
桃は『彼女』を安心させる言葉を紡ぎ、微笑んだ。
ポッピー達が自分を助けようとしてるのへ、疑いを持ちはしない。
かといって、武器を降ろし手を取るかと言えば否。
真に桃を救う筈だったまぞくは決定的に壊す一手を打ち、逝ってしまったのだから。
桃は『彼女』を安心させる言葉を紡ぎ、微笑んだ。
ポッピー達が自分を助けようとしてるのへ、疑いを持ちはしない。
かといって、武器を降ろし手を取るかと言えば否。
真に桃を救う筈だったまぞくは決定的に壊す一手を打ち、逝ってしまったのだから。
『モモちゃん話を聞いて!私は本当に……!』
「ごめん、私のことはもう諦めていいよ」
「ごめん、私のことはもう諦めていいよ」
尚も食い下がるポッピーを切り捨て、巨椀を伸ばし叩き付ける。
エナジーアイテムを使わずとも、レベル99の四肢は伸縮自在。
それでいて拳速も異常なスピードを発揮し、空気を叩き割り迫った。
エナジーアイテムを使わずとも、レベル99の四肢は伸縮自在。
それでいて拳速も異常なスピードを発揮し、空気を叩き割り迫った。
「…分かりました、痛くしますが後で文句は聞きませんよ!」
『SWORD VENT』
「そちらが会話を打ち切る気なら、我々も相応のやり方を取らせてもらおう!」
『Progrise key comfirmed. Ready to break.』
愛刀と青龍刀をそれぞれ構えた龍騎に続き、サウザーも得物の刀身に炎を纏わせる。
三つの剣が巨大な拳をあらぬ方へ弾いて、仲間の死を遠ざけた。
生身以上の膂力で以ても痺れの走る威力に、向こうが本気で殺しに来てるのを今一度噛み締める。
三つの剣が巨大な拳をあらぬ方へ弾いて、仲間の死を遠ざけた。
生身以上の膂力で以ても痺れの走る威力に、向こうが本気で殺しに来てるのを今一度噛み締める。
「ポッピー、君には辛いだろうが彼女は……」
『……ううん、モモちゃんが言葉だけで止まってくれないのは分かった。ここからは、私も一緒に戦わせて!』
『……ううん、モモちゃんが言葉だけで止まってくれないのは分かった。ここからは、私も一緒に戦わせて!』
唇を噛み俯くも、長々とショックを受けてる場合でもない。
想像以上に深刻な状態の桃へ、思う所は多々あるも。
何もしないでいれば悪化を許すだけ、言葉で止まらない相手には別の対処を試みる。
想像以上に深刻な状態の桃へ、思う所は多々あるも。
何もしないでいれば悪化を許すだけ、言葉で止まらない相手には別の対処を試みる。
仲間が戦意を見せた以上、全力でアシストするのが自身の役目。
実体化して戦う為の器を用意すべく、サウザーがライダモデルを一斉解放。
自我を持たぬライダー達が次々現れ、内の一体であるブレイドのバックルとバグルドライバーⅡを入れ替える。
腹部の機械を通じデータに干渉、里見灯花との戦闘時と同じ現象が起こった。
実体化して戦う為の器を用意すべく、サウザーがライダモデルを一斉解放。
自我を持たぬライダー達が次々現れ、内の一体であるブレイドのバックルとバグルドライバーⅡを入れ替える。
腹部の機械を通じデータに干渉、里見灯花との戦闘時と同じ現象が起こった。
「また手間ばっかり掛けて……」
悪態を呟き、これ以上余計な真似はさせじとエグゼイドが駆け出す。
巨体とミスマッチの走力を以てすれば、文字通りの一瞬で懐に潜り込める。
巨体とミスマッチの走力を以てすれば、文字通りの一瞬で懐に潜り込める。
しかしこの場に指を咥えて見物に徹する者は、一人もいない。
説得不可能と分かった瞬間より、ディケイドも取るべきカードを数手先まで構築済だ。
説得不可能と分かった瞬間より、ディケイドも取るべきカードを数手先まで構築済だ。
『KAMEN RIDE BUILD!』
『FORM RIDE HAWK GATLING!』
「――っ」
赤い装甲のカブトから一転、二色の戦士への変身にエグゼイドも息を呑む。
自分を助ける為に死んだ、自意識過剰な正義のヒーロー。
彼と同じ姿に、動揺を一切抱くなというのも難しい。
自分を助ける為に死んだ、自意識過剰な正義のヒーロー。
彼と同じ姿に、動揺を一切抱くなというのも難しい。
相手の動きが止まった理由に察しが付きつつも、加減を持ち込みはしない。
翼の形状をした飛行ユニットを展開、空中から狙い撃つ。
ホークガトリングフォームのビルドは専用装備も相俟って、火力と射撃能力の両方に秀でた形態。
本来の装備であるライドブッカーも合わせ、二丁拳銃が光弾を雨霰と発射。
翼の形状をした飛行ユニットを展開、空中から狙い撃つ。
ホークガトリングフォームのビルドは専用装備も相俟って、火力と射撃能力の両方に秀でた形態。
本来の装備であるライドブッカーも合わせ、二丁拳銃が光弾を雨霰と発射。
「鬱陶しい……!」
エグゼイドの耐久性を崩すには至らない。
現に全身へ命中を許しても、ダメージらしいダメージはゼロ。
現に全身へ命中を許しても、ダメージらしいダメージはゼロ。
問題無しだ、ほんの少し時間を稼げば反撃の用意は整った。
『Progrise key comfirmed. Ready to break.』
『CRITICAL CREWS-AID!』
ビルドとは別の電子音声が響き、エグゼイド相手への加勢を告げる。
サウザーと共に跳躍したのは、ブレイドのデータを上書きし変身を終えたポッピー。
進んで相手を傷付けたいとも思わないが、戦わねばならないと分かり尻込みはしてられない。
空中を飛び回りハート型の光弾を拡散、メルヘンチックな攻撃方法だが侮れる威力に非ず。
エグゼイドの装甲へ当たる度に爆発を起こし、巨体がグラついた瞬間に電撃を帯びたサウザンドジャッカーを突き刺す。
サウザーと共に跳躍したのは、ブレイドのデータを上書きし変身を終えたポッピー。
進んで相手を傷付けたいとも思わないが、戦わねばならないと分かり尻込みはしてられない。
空中を飛び回りハート型の光弾を拡散、メルヘンチックな攻撃方法だが侮れる威力に非ず。
エグゼイドの装甲へ当たる度に爆発を起こし、巨体がグラついた瞬間に電撃を帯びたサウザンドジャッカーを突き刺す。
「邪魔……!」
武器を持つのは敵だけじゃあない。
三味一体の可変型ウェポン、ガシャコンキースラッシャーを取り出し一閃。
力任せにサウザーを弾き返し、続けてもう片方の手が振り下ろす。
永夢の遺品の一つ、ガシャコンブレイカーを紙一重で躱し後退。
入れ替わりで動くのは龍騎と、破壊者の形態に戻ったディケイド。
各々カードを引き抜くや、高威力の技を発動。
三味一体の可変型ウェポン、ガシャコンキースラッシャーを取り出し一閃。
力任せにサウザーを弾き返し、続けてもう片方の手が振り下ろす。
永夢の遺品の一つ、ガシャコンブレイカーを紙一重で躱し後退。
入れ替わりで動くのは龍騎と、破壊者の形態に戻ったディケイド。
各々カードを引き抜くや、高威力の技を発動。
『FINAL VENT』
「女の子を蹴り飛ばすなんて本当は御法度ですが……今回は例外ということで!」
鏡面世界を通じドラグレッダーを召喚、跳躍した龍騎と共に天へ一直線。
空中で重力を無視した動作と共に、蹴りの構えを取る。
多くのミラーモンスターを撃破して来た一撃だが、エグゼイド相手にはこれでもまだ不安が残る。
空中で重力を無視した動作と共に、蹴りの構えを取る。
多くのミラーモンスターを撃破して来た一撃だが、エグゼイド相手にはこれでもまだ不安が残る。
『FINAL FORM RIDE KI・KI・KI KIVA!』
「ちょっとくすぐったいぞ。聞こえてるかは知らないけどな」
であれば、足りない分を補えばいいだけの話。
ライダモデルのキバの背に手を置き、扉を開くように力を解放。
生前の紅渡とは叶わなかった、絆を深めたライダー同士の連携技。
身の丈を超えるサイズの、キバット族の形を取った弓を構える。
ライダモデルのキバの背に手を置き、扉を開くように力を解放。
生前の紅渡とは叶わなかった、絆を深めたライダー同士の連携技。
身の丈を超えるサイズの、キバット族の形を取った弓を構える。
『FINAL ATTACK RIDE KI・KI・KI KIVA!』
すかさず二枚目のカードを装填、必殺のエネルギーを付与。
弦を引き絞り充填完了、頭上では龍騎も叩き込む準備が済んだ。
キバの世界で猛威を振るった上級ファンガイアを、一撃で下した光矢を放つ。
タイミングを同じくして、龍騎も標的目掛け急降下。
ドラグレッダーが吐き出す火炎の勢いも味方に付け、燃え盛る弾丸の如き様で急接近。
弦を引き絞り充填完了、頭上では龍騎も叩き込む準備が済んだ。
キバの世界で猛威を振るった上級ファンガイアを、一撃で下した光矢を放つ。
タイミングを同じくして、龍騎も標的目掛け急降下。
ドラグレッダーが吐き出す火炎の勢いも味方に付け、燃え盛る弾丸の如き様で急接近。
「っ、なにこの、重さ……!」
双剣を交差し防御、押し返さんと力を籠めるエグゼイドだが思いの外拮抗を見せる。
自分の体に不調は何も起きていない、なのに敵の攻撃が先程以上に重い。
相応に威力が高いにしても、マキシマムゲーマーのパワーのが圧倒的に上の筈。
だというのに捻じ伏せられない理由は、仮面ライダーポッピーに備わった機能。
定時放送前の聖都大学附属病院で、環いろはが変身し戦った際と同じく。
仲間達への能力強化が起き、エグゼイド相手に食らい付ける状況を実現させたのだ。
自分の体に不調は何も起きていない、なのに敵の攻撃が先程以上に重い。
相応に威力が高いにしても、マキシマムゲーマーのパワーのが圧倒的に上の筈。
だというのに捻じ伏せられない理由は、仮面ライダーポッピーに備わった機能。
定時放送前の聖都大学附属病院で、環いろはが変身し戦った際と同じく。
仲間達への能力強化が起き、エグゼイド相手に食らい付ける状況を実現させたのだ。
「こ、のぉ……っ!!」
小賢しい真似に出たところで、叩き潰すだけの力が自分にはある。
魔力のリソースを膂力の強化に割き、エグゼイドのパワーに上乗せ。
双剣を叩き付けるようにし薙ぎ払えば、光矢は霧散。
だが突き進む勢いで僅かに上回られたか、龍騎の蹴りがアーマー越しに胸部を叩く。
耐爆クリアコーティング剤を塗布している為、ダメージは大幅に軽減。
しかし衝撃だけはゼロに変えられず、後方へと押し出された。
魔力のリソースを膂力の強化に割き、エグゼイドのパワーに上乗せ。
双剣を叩き付けるようにし薙ぎ払えば、光矢は霧散。
だが突き進む勢いで僅かに上回られたか、龍騎の蹴りがアーマー越しに胸部を叩く。
耐爆クリアコーティング剤を塗布している為、ダメージは大幅に軽減。
しかし衝撃だけはゼロに変えられず、後方へと押し出された。
そしてこの瞬間を待っていたとばかりに、ディケイド達は勝負を決めに出る。
『FINAL FORM RIDE RYU・RYU・RYU RYUUKI!』
「ちょっとくすぐったいが我慢しとけ」
「んっ……!ちょっとどころじゃなくムズムズしましたよ!?」
抗議を聞き流し、これまで仲間にやって来たのと同じ工程を挟む。
騎士に似た風貌のライダーは、カードの効果で全く異なる姿に変化。
長い胴を持つ赤龍型のミラーモンスター、ドラグレッダーと瓜二つになり浮遊。
騎士に似た風貌のライダーは、カードの効果で全く異なる姿に変化。
長い胴を持つ赤龍型のミラーモンスター、ドラグレッダーと瓜二つになり浮遊。
『FINAL ATTACK RIDE RYU・RYU・RYU RYUUKI!』
続けてカードを切り、ディケイドも跳躍。
先程龍騎が放ったのと同じ、ミラーモンスターの放射する火炎を纏っての飛び蹴り。
されどライダー同士の絆こそがディケイドの強さの一つである故に、威力は倍以上だ。
先程龍騎が放ったのと同じ、ミラーモンスターの放射する火炎を纏っての飛び蹴り。
されどライダー同士の絆こそがディケイドの強さの一つである故に、威力は倍以上だ。
「ポッピー!我々も共に!」
「うん!モモちゃん……絶対に止めるから!」
「うん!モモちゃん……絶対に止めるから!」
『THOUSAND DESTRUCTION!』
『CRITICAL CREWS-AID!』
頷き合い、サウザーとポッピーも決着の為に動く。
プログライズキーとガシャットが、それぞれエネルギーを引き出し脚部に収束。
更にライダモデルの戦士達も続き、上空にて構えを取った。
狙うはたった一人、仮面ライダーの代名詞とも言える技を一斉に叩き込む。
プログライズキーとガシャットが、それぞれエネルギーを引き出し脚部に収束。
更にライダモデルの戦士達も続き、上空にて構えを取った。
狙うはたった一人、仮面ライダーの代名詞とも言える技を一斉に叩き込む。
「…………」
異なる仮面の英雄達が、自分を確実に止めんと迫り来る。
正しき魂の持ち主には希望を、悪しき魂の持ち主には絶望を与える光景。
このまま何もしないよりはマシと、ちっぽけな抵抗に出るか。
自らに下される罰と受け入れ、全ての悪足掻きを投げ捨てるか。
二つに一つの選択が浮かび、小さく笑みが零れた。
正しき魂の持ち主には希望を、悪しき魂の持ち主には絶望を与える光景。
このまま何もしないよりはマシと、ちっぽけな抵抗に出るか。
自らに下される罰と受け入れ、全ての悪足掻きを投げ捨てるか。
二つに一つの選択が浮かび、小さく笑みが零れた。
戦士達が迫る。
流星群のように降り注ぐ蹴りを浴び、敗北を認めても。
きっと殺されるまではいかない。
彼女達が諦めないと、助けると言ったのが嘘じゃないことくらいは分かる。
きっと殺されるまではいかない。
彼女達が諦めないと、助けると言ったのが嘘じゃないことくらいは分かる。
戦士達が迫る。
どれだけ時間が掛かっても、自分に向き合う事を止めないのだろう。
彼らは何も悪くないのに、助けるのが遅れ申し訳ないと強く悔やむのだろう。
自分を守って逝った二人の男と同じ、殺されていい人なんかじゃないから。
彼らは何も悪くないのに、助けるのが遅れ申し訳ないと強く悔やむのだろう。
自分を守って逝った二人の男と同じ、殺されていい人なんかじゃないから。
戦士達が迫る。
まだ戻れると、誰かが言った。
引き返すべきだと、知ってる声が言った。
今からでも救われる道があるのだと、自分によく似た声が言った。
引き返すべきだと、知ってる声が言った。
今からでも救われる道があるのだと、自分によく似た声が言った。
「もう遅いよ」
『HYPER MUTEKI!』
救いなんてどこにもないから、ここまで堕ちてしまったのに。