冥界の魔王によって開催された『決闘』と銘打たれた血生臭いイベントの会場となっている名も知らぬ孤島……。
その海岸の砂浜で、二人の男が対峙していた……。
一人は、まだ『少年』と呼べる程に若い、軽装の鎧にウサギを思わせる白髪赤目の男……
迷宮都市『オラリオ』で最近知名度を上げつつある『ヘスティア・ファミリア』の眷属、ベル・クラネル。
迷宮都市『オラリオ』で最近知名度を上げつつある『ヘスティア・ファミリア』の眷属、ベル・クラネル。
もう一人は、アメリカの国旗を思わせる青を基調としたコスチュームを着用した筋骨たくましいベル・クラネルよりも年上の男……世界の平和を守るスーパーヒーローチーム『アベンジャーズ』のメンバー、キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャース。
「ハァアア!」
「フンッ!」
「フンッ!」
二人は互いに徒手空拳の状態で戦いあっていた。
いや……それは『戦い』というより、格闘技道場などで行われる『組み手』のようだった。
いや……それは『戦い』というより、格闘技道場などで行われる『組み手』のようだった。
「ハァッ!」
ベルは見ている方にも必死さが伝わるような表情を浮かべながら、
スティーブに向けて拳や蹴りを繰り出していく。
スティーブに向けて拳や蹴りを繰り出していく。
「……フンッ!」
しかし、一方のスティーブは汗一つ無い涼しい顔を浮かべながら、ベルの繰り出す拳や蹴りを軽々といなしていく……といっても、『全くの余裕』という訳ではない。
普通、超人兵士であるスティーブがベルと同い年くらいの少年と戦ったとして……
例え相手がなにかしらの格闘技を習得していたとしても、スティーブの体にはかすりもしないだろう。
例え相手がなにかしらの格闘技を習得していたとしても、スティーブの体にはかすりもしないだろう。
「ヤアァァッ!」
「……ムッ!」
「……ムッ!」
しかし、ベルの繰り出す拳や蹴りは的確な速度と威力でスティーブの体を狙い、スティーブはそれらを『両手』を使って防いでいたのだ。
ベルの知り合いがこの光景を見たならば、『ベル君、おしい!』と純粋な感想を述べるだろうが、
スティーブの知り合いがこの光景を見たならば、『信じられない』『あの少年は何者だ?』と驚愕する事になるだろう。
スティーブの知り合いがこの光景を見たならば、『信じられない』『あの少年は何者だ?』と驚愕する事になるだろう。
「ハァアア!!」
ベルはスティーブの腹部に向けて回し蹴りを食らわそうとした。
しかし……
しかし……
「フッ!」
スティーブはベルの渾身の蹴りを受け止め、ベルの鎧の襟回りを掴むと……
「ハァアア!!」
……柔道で言う『巴投げ』によく似た態勢でベルの体を地面に叩きつけたのだ。
「グワッ!?」
場所が『砂浜』という事もあってベルの体には目立つ傷はなかったが、
地面に叩きつけられた衝撃は軽いものではなかった。
地面に叩きつけられた衝撃は軽いものではなかった。
「ハァ……ハァ……」
ベルが砂浜に大の字で横たわり、荒い息を漏らしていると、
スティーブがベルに右手を差し出してきた。
スティーブがベルに右手を差し出してきた。
「……少し、休憩しようか?」
「……はい」
「……はい」
スティーブからの言葉に、ベルは差し出された右手を掴みながら答えたのだった。
『……』ゴクゴク……
ベルとスティーブは、先ほど組み手を行っていた砂浜から程近い草むらに腰を下ろし、
水分補給を行う。
水分補給を行う。
よほど喉が渇いていたのか、ペットボトルの水は勢い良く無くなっていった。
「……ベル、って言ったっけ?君は中々見所があるよ。最初、『訓練してくれ』って頼まれた時は少し困ったけど……」
「ハァ……そうですか……」
「ハァ……そうですか……」
スティーブからの称賛の言葉に、ベルは曖昧な返事を返した。
普段の彼を知る者が見たならば、困惑するような姿である。
普段の彼を知る者が見たならば、困惑するような姿である。
「………」
スティーブもスティーブで、出会ったばかりの少年の態度に困惑していた。
何か上手い言葉を話そうとは思うが、ティーンエイジャーの少年にどんな言葉を掛ければ良いのか分からない……。
何か上手い言葉を話そうとは思うが、ティーンエイジャーの少年にどんな言葉を掛ければ良いのか分からない……。
こういう時ばかりは、トニーの軽口やロキの口八丁が羨ましい……と、スティーブは思ってしまう。
しかし、自分はトニーともロキとも違う。
なので、自分なりの問いかけをする事にした。
しかし、自分はトニーともロキとも違う。
なので、自分なりの問いかけをする事にした。
「なぁ、ベル……君はどうして、僕に『鍛えてくれ』なんて頼んだんだい?」
スティーブが一番気になっていた事がこれ。
この『決闘』会場で知り合ってすぐ……
ベルはスティーブが『歴戦の戦士』である事を知ると、即座に『自分を鍛えて欲しい』と頼んだのだ。
それも、土下座までして。
その事が、スティーブの心に引っ掛かっていたのだ。
ベルはスティーブが『歴戦の戦士』である事を知ると、即座に『自分を鍛えて欲しい』と頼んだのだ。
それも、土下座までして。
その事が、スティーブの心に引っ掛かっていたのだ。
「それは……少しでも強くなりたくて……」
「本当にそれだけかい?だとしても、どうして今すぐ強くなりたいんだい?」
「……」
「本当にそれだけかい?だとしても、どうして今すぐ強くなりたいんだい?」
「……」
スティーブからの問いかけに、ベルは一瞬うつむき……
そして、静かに語りだした。
そして、静かに語りだした。
「………僕は、許せないんです」
「『許せない』?あのハ・デスって奴がかい?」
「いえ……確かに無理矢理人を連れ去って、殺し合いなんて開くハ・デスって人の事も許せないですけど……」
「『許せない』?あのハ・デスって奴がかい?」
「いえ……確かに無理矢理人を連れ去って、殺し合いなんて開くハ・デスって人の事も許せないですけど……」
「一番許せないのは……自分自身なんです」
そう語るベルの瞳には、怒りと悲しみと、深い罪悪感が宿っていた。
「……僕は、あの時……見せしめに殺された『ホンダ』って人の、すぐ近くにいました。なのに…………僕はあの人の首輪が爆発するのを、あの人の友達が泣き叫ぶのを……見ている事しかできなかった……もし僕が動けていたら、助けられたかもしれないのに!」
ベルは手に持つペットボトルを固く握り締める。
あまりの力に、ペットボトルはグシャグシャに潰れてしまった。
あまりの力に、ペットボトルはグシャグシャに潰れてしまった。
「……それは僕も同じ気持ちだ。だが、もし君があの少年を助けられたとしても……その時は代わりに君が殺されていただろう」
「……だとしても!」
「……だとしても!」
ベルはスティーブに向けて、自分の中に溢れるやるせない気持ちを叫ぶ。
「僕は、あの時……目の前に居たのに……動く事すらできなかったんです……あの人を、助けられたかもしれないのに……」
動こうとしなかった自分への『怒り』、
目の前でむざむざと人殺しを許してしまった『罪悪感』、
そして、自分と歳が近かったであろう少年が死んだ事への『悲しみ』……
それらがない交ぜになって、ベルの両目からは一筋の涙が流れていた。
目の前でむざむざと人殺しを許してしまった『罪悪感』、
そして、自分と歳が近かったであろう少年が死んだ事への『悲しみ』……
それらがない交ぜになって、ベルの両目からは一筋の涙が流れていた。
「……僕は物心ついた時から、おじいちゃんに英雄譚を聞かされて育ちました。もしも……もしも、物語に出てくるような英雄があそこにいたなら……きっと自分の命を犠牲にしてでも……あの場であのハ・デスを倒して、あね人だけじゃなくて、その場にいた『みんな』を助けてくれた……そう思うんです。だから!」
不意にベルは顔を上げる。
「僕が代わりに!『英雄』になれないとしても、『英雄の代わり』として!このふざけた『決闘』から、みんなを救いたい!だから、少しでも強くなりたいんです!」
自身の気持ちを語るベルの顔は、先ほどまで泣いていた少年と同一人物とは思えない、覚悟を決めた男の顔をしていた。
「……………」
『英雄の代わりとして、みんなを救いたい』。
そう語るベルの姿に、スティーブはかつての自分……
アースキン博士と出会い、超人兵士となる前、『戦争を早く終わらせたい』と強く思いながらも、
病弱な体が足枷となって何度も徴兵検査に落ちていた頃の自分の姿が重なって見えた。
そう語るベルの姿に、スティーブはかつての自分……
アースキン博士と出会い、超人兵士となる前、『戦争を早く終わらせたい』と強く思いながらも、
病弱な体が足枷となって何度も徴兵検査に落ちていた頃の自分の姿が重なって見えた。
「『英雄の代わり』として、か……立派な志だ」
スティーブはベルを称賛しながらも、「……だけど」と付け加えた。
「……『現実』は『物語』とは違うんだ。誰もが幸せになる『ハッピーエンド』が、必ず来るとは限らない。時には強大過ぎる力の前に敗北する事もあるし、大勢の人間を救う為に犠牲を出さなければいけない事だってあるんだ」
かつてのレッドスカル率いるヒドラとの戦い。
スティーブはワルキューレ爆撃機を北極海に沈め、
ニューヨークとそこに住む何十万もの人々を救ったのと引き換えに、70年もの間氷付けで眠り続ける事になった。
スティーブはワルキューレ爆撃機を北極海に沈め、
ニューヨークとそこに住む何十万もの人々を救ったのと引き換えに、70年もの間氷付けで眠り続ける事になった。
アベンジャーズが最初に結成された時のニューヨークでの戦い。
団結したアベンジャーズはロキ率いるチタウリ軍団から世界を救ったが、彼らが一致団結する事ができたのは、シールドのエージェント・コールソンがロキに殺されたのがきっかけだった。
団結したアベンジャーズはロキ率いるチタウリ軍団から世界を救ったが、彼らが一致団結する事ができたのは、シールドのエージェント・コールソンがロキに殺されたのがきっかけだった。
ウルトロン率いるロボット軍団とのソコヴィアでの決戦。
スティーブ達アベンジャーズはウルトロンを打倒して世界を救うことはできたものの、結果的にソコヴィアの首都は壊滅し、数え切れない数の市民が犠牲となってしまった。
スティーブ達アベンジャーズはウルトロンを打倒して世界を救うことはできたものの、結果的にソコヴィアの首都は壊滅し、数え切れない数の市民が犠牲となってしまった。
サノスとのインフィニティストーン争奪戦。
スティーブを初めとするヒーロー達は、あと1歩というところでサノスによる『デシメーション』を許してしまい、
全宇宙の生命の半分が消滅する事になった。
スティーブを初めとするヒーロー達は、あと1歩というところでサノスによる『デシメーション』を許してしまい、
全宇宙の生命の半分が消滅する事になった。
それから5年後のサノスとの最終決戦(エンドゲーム)。
スティーブの盟友だったアイアンマンことトニー・スタークは、自らの命と引き換えにサノスとその軍勢を消滅させ、地球を救ったのだ。
スティーブの盟友だったアイアンマンことトニー・スタークは、自らの命と引き換えにサノスとその軍勢を消滅させ、地球を救ったのだ。
「……ベル、君が進もうとしているのは終わりの見えない茨の道だ。一度進み始めたら、もう後戻りは出来ない。時には自分が無力に思えて、心が折れそうになる事もある筈だ」
スティーブはベルの肩にそっと手を置いた。
「ベル、君にその道を進む覚悟はあるかい?」
それは『ヒーロー』として、
『男』として、
何より『一人の大人』として、
スティーブの心からの問いかけだった。
だが……
『男』として、
何より『一人の大人』として、
スティーブの心からの問いかけだった。
だが……
「………えぇ、もちろんです」
ベルの心は変わらなかった。
「これくらいで諦めていたら……仲間や神様、憧れの人に愛想をつかれちゃいますから」
そう断言するベルの瞳には、迷いやためらいは一切無かった。
「……そうか」
ベルの返答に満足したのか、スティーブも覚悟を決めたような表情を浮かべ、デイバッグを担いで立ち上がった。
「……なら、いつまでものんびりしている訳には行かないな。一人でも多く、巻き込まれた人を助けに行こう!」
スティーブに続いてベルもデイバッグを片手に持って立ち上がった。
「はい!よろしくお願いします、スティーブさん!」
元気の良い返事をするベルだったが、スティーブは首を横に振った。
「………いいや、ベル。僕の事はこう呼んでくれ」
「……キャプテン・アメリカ」
後に、ベルはこう語る。
『この時のキャプテンは、まるで物語から抜け出した本物の英雄のようだった』、と。
『この時のキャプテンは、まるで物語から抜け出した本物の英雄のようだった』、と。
【ベル・クラネル@ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか】
[状態]:健康、若干の疲労、覚悟完了
[装備]:兎鎧@ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2
[思考・状況]
基本:『英雄の代わり』として、参加者達を助ける
1:スティーブさんと共に行動する
2:キャプテン・アメリカ?スティーブさんの二つ名?
3:ファミリアの仲間がいるなら合流する
[備考]
アポロン・ファミリアとの戦争遊戯終了後からの参戦。
スティーブを『オラリオから遠く離れた国出身の戦士』と思っています。
[状態]:健康、若干の疲労、覚悟完了
[装備]:兎鎧@ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2
[思考・状況]
基本:『英雄の代わり』として、参加者達を助ける
1:スティーブさんと共に行動する
2:キャプテン・アメリカ?スティーブさんの二つ名?
3:ファミリアの仲間がいるなら合流する
[備考]
アポロン・ファミリアとの戦争遊戯終了後からの参戦。
スティーブを『オラリオから遠く離れた国出身の戦士』と思っています。
【スティーブ・ロジャース(キャプテン・アメリカ)@マーベル・シネマティック・ユニバース】
[状態]:健康、体が程よくほぐれている
[装備]:キャプテン・アメリカのコスチューム@マーベル・シネマティック・ユニバース
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2
[思考・状況]
基本:ハ・デスを倒し、参加者達を救う
1:ベルと共に一人でも多くの参加者を救う
2:アベンジャーズの仲間がいるなら合流する
[備考]
『アベンジャーズ:エンドゲーム』終盤(トニーの葬儀後~インフィニティストーンを元の時代に返却しに行く)からの参戦。
ベルを『ソーやロキのような、地球の神話のモデルとなった地球外惑星の出身』だと考えています。
[状態]:健康、体が程よくほぐれている
[装備]:キャプテン・アメリカのコスチューム@マーベル・シネマティック・ユニバース
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2
[思考・状況]
基本:ハ・デスを倒し、参加者達を救う
1:ベルと共に一人でも多くの参加者を救う
2:アベンジャーズの仲間がいるなら合流する
[備考]
『アベンジャーズ:エンドゲーム』終盤(トニーの葬儀後~インフィニティストーンを元の時代に返却しに行く)からの参戦。
ベルを『ソーやロキのような、地球の神話のモデルとなった地球外惑星の出身』だと考えています。
【兎鎧@ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか】
ベル・クラネルの仲間である鍛冶士ヴェルフ・クロッゾ製作の軽装防具。
こう書いて『ピョンキチ』と読む。
ベル・クラネルの仲間である鍛冶士ヴェルフ・クロッゾ製作の軽装防具。
こう書いて『ピョンキチ』と読む。
【キャプテン・アメリカのコスチューム@マーベル・シネマティック・ユニバース】
キャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャースの専用戦闘服。
アメリカ国旗をモチーフとした赤青白のカラーリングと星のシンボルが特徴。
作品ごとにデザインがマイナーチェンジしていくが、このロワにおいては『アベンジャーズ/エンドゲーム』版のデザインをしている。
キャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャースの専用戦闘服。
アメリカ国旗をモチーフとした赤青白のカラーリングと星のシンボルが特徴。
作品ごとにデザインがマイナーチェンジしていくが、このロワにおいては『アベンジャーズ/エンドゲーム』版のデザインをしている。