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2202●岸田政権の安全運転
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2202●岸田政権の安全運転
政権発足直後の21年10月の衆院選で勝利した岸田政権は、22年7月に予定されている参院選でも勝利すれば、その後は、国政選挙の試練にさらされなくてすむ「黄金の3年」を手にいれる見込みであった。そのため、参院選までは、支持率を下げないよう安全運転でいく必要があった。
1月17日就任後初の施政方針演説で岸田首相は、コロナ対策最優先を強調した。首相は、コロナ対策が後手に回ったと批判されて瓦解した菅政権の轍を踏むまいと、官僚や地方との方針のすり合わせは後回しにして早期に対応を決定し、批判があれば軌道修正するというやり方で対処した。
足下の経済情勢にも配慮した。コロナ禍で、日本の経済回復の力は弱く、米国の金融緩和見直しの動きの中、景気動向の不安視から株価が下がっていた。加えて前年からつづく原油価格高騰で生活必需品の値上げが続いていた。首相は、過去最大の補正予算案を出し、積極的な財政出動を続ける姿勢をアピールした。
安保政策では、安倍政権の路線を継承して、敵地攻撃能力保有を念頭に防衛力強化をすると米側に表明した。ハト派と見られていた岸田だが、党内基盤が弱いため、安倍派をはじめとする自民党内保守派から予想される突き上げに先回りしてむしろ甘心を買おうとする面が伺えた。
2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻をめぐっても、政権は米国・NATO諸国によるロシア非難・対ロ制裁に全面的に同調した。これによって、プーチンへの協調によって北方領土返還を進めようとしていた安倍首相の路線は明確に蹉跌した。
2022年度予算は3月22日の参院本会議で、自民、公明、国民民主の3党などの賛成多数で可決、成立した。戦後4番目の早さであった。首相がガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結解除を検討する考えを示したことを受け、国民民主は衆院に続き参院でも予算に賛成した。
22年度予算は、社会保障費(歳出全体の3分の1を占める)、防衛費、国債費で過去最大を更新したほか、新型コロナ対策の予備費5兆円や、首相の目玉政策である「新しい資本主義」関連で看護や介護分野などの賃上げに関する費用を計上するなどで、一般会計総額は107兆5964億円と過去最大となった。歳入面では、税収が、新型コロナで落ち込んだ企業の業績が回復傾向にあることなどから、過去最高の65兆円余りとなり、新規国債の発行額は約37兆円と、2年ぶりに前の年度の当初予算を下回る見込みとなっていた。
夏に参院選を控える中、新型コロナの影響とウクライナ情勢に伴う物価の高騰への対応として追加経済対策を求める声が与野党双方から早くも上がり、5月31日には、2.7兆円の補正予算が成立した。「新しい資本主義」像は変質し、旧来型のバラマキ政策に回帰した観があった。それでも国会に波風は立たず、4月、5月と岸田政権への支持率は上昇していった。
政権発足直後の21年10月の衆院選で勝利した岸田政権は、22年7月に予定されている参院選でも勝利すれば、その後は、国政選挙の試練にさらされなくてすむ「黄金の3年」を手にいれる見込みであった。そのため、参院選までは、支持率を下げないよう安全運転でいく必要があった。
1月17日就任後初の施政方針演説で岸田首相は、コロナ対策最優先を強調した。首相は、コロナ対策が後手に回ったと批判されて瓦解した菅政権の轍を踏むまいと、官僚や地方との方針のすり合わせは後回しにして早期に対応を決定し、批判があれば軌道修正するというやり方で対処した。
足下の経済情勢にも配慮した。コロナ禍で、日本の経済回復の力は弱く、米国の金融緩和見直しの動きの中、景気動向の不安視から株価が下がっていた。加えて前年からつづく原油価格高騰で生活必需品の値上げが続いていた。首相は、過去最大の補正予算案を出し、積極的な財政出動を続ける姿勢をアピールした。
安保政策では、安倍政権の路線を継承して、敵地攻撃能力保有を念頭に防衛力強化をすると米側に表明した。ハト派と見られていた岸田だが、党内基盤が弱いため、安倍派をはじめとする自民党内保守派から予想される突き上げに先回りしてむしろ甘心を買おうとする面が伺えた。
2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻をめぐっても、政権は米国・NATO諸国によるロシア非難・対ロ制裁に全面的に同調した。これによって、プーチンへの協調によって北方領土返還を進めようとしていた安倍首相の路線は明確に蹉跌した。
2022年度予算は3月22日の参院本会議で、自民、公明、国民民主の3党などの賛成多数で可決、成立した。戦後4番目の早さであった。首相がガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結解除を検討する考えを示したことを受け、国民民主は衆院に続き参院でも予算に賛成した。
22年度予算は、社会保障費(歳出全体の3分の1を占める)、防衛費、国債費で過去最大を更新したほか、新型コロナ対策の予備費5兆円や、首相の目玉政策である「新しい資本主義」関連で看護や介護分野などの賃上げに関する費用を計上するなどで、一般会計総額は107兆5964億円と過去最大となった。歳入面では、税収が、新型コロナで落ち込んだ企業の業績が回復傾向にあることなどから、過去最高の65兆円余りとなり、新規国債の発行額は約37兆円と、2年ぶりに前の年度の当初予算を下回る見込みとなっていた。
夏に参院選を控える中、新型コロナの影響とウクライナ情勢に伴う物価の高騰への対応として追加経済対策を求める声が与野党双方から早くも上がり、5月31日には、2.7兆円の補正予算が成立した。「新しい資本主義」像は変質し、旧来型のバラマキ政策に回帰した観があった。それでも国会に波風は立たず、4月、5月と岸田政権への支持率は上昇していった。