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1604■パナマ文書 租税回避の実態暴露
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1604■パナマ文書 租税回避の実態暴露
多国籍企業や富裕層が法人所得税のかからない国や地域、いわゆるタックス・ヘイブンを使って本来母国で支払うべき租税を回避することは、従来から問題になっていた。合法的な租税回避で、各国財政が悪化し、格差拡大の一因になるばかりか、脱税や資金洗浄の温床になっているといわれていた。タックス・ヘイブンとしては、カリブ海にある英領バージン諸島やバハマが有名であったが、これらの地域では、法人情報の公開が貧弱で、匿名性が高く、実態はよくわかっていなかった。
2015年、ドイツの新聞社『南ドイツ新聞』に匿名の人物によって、中米パナマの法律事務所「モザック・フォンセカ」から流出した大量の電子ファイルが送りつけられた。ファイル数1150万、サイズにして合計2.6テラバイト に及ぶ膨大な文書の中身は、オフショア金融センターを利用する21万4000の企業の、株主や取締役などの情報を含む詳細な情報であった。のちにワシントンD.C.にある国際調査報道ジャーナリスト連合 (ICIJ) にも送られ、ICIJはこの漏洩文書を「パナマ文書」と名付け、約80カ国の提携先の記者とともに、分析・取材を進め、16年4月、第一次の調査結果を149件の文書と伴に発表した。
その結果、アイスランドのグンロイグソン首相、ウクライナのポロシェンコ大統領ら10カ国の現旧指導者12人を含む公職者140人の関係会社、英国のキャメロン首相の亡父や習近平国家主席の義兄の会社などの名前が上がった。
アイスランドのグンロイグソンは報道から間もなく首相を辞任した。
この漏洩事件でもっとも政治的に反応したのはロシアであった。大統領プーチンの友人であるセルゲイ・ロルドゥーギンの名前が文書に挙がり、彼のオフショア取引に関連した事業にプーチンが関与した可能性が指摘された。ロシア政府はこの流出事件を「西側の陰謀」と呼び、プーチンが今回の事件の「主な標的」であり、西側諸国はプーチンを恐れるゆえにオフショア金融の情報をわざと漏洩させたと主張した。
パキスタンでは、シャリーフ首相の子供たちの名前が記載されていた。17年、パキスタンの最高裁判所は、海外法人での自身の立場を明らかにしておらず議会や裁判所に不誠実だったなどとして首相および下院議員の資格がないとの判断を示し、選挙管理委員会に対し失職させるよう命じた。さらに、タックス・ヘイヴンを通じイギリスに資産を移し資産隠しを行った汚職の罪で元首相を当局が起訴、裁判所は禁錮10年の有罪判決を言い渡した。
公職者関係以外にもスポーツ関係者やエンタテインメント関係者らセレブの名前が多く上がった。日本に関しては公職者は出なかったが、若干の経済人の名前が上がった。
★2016年
多国籍企業や富裕層が法人所得税のかからない国や地域、いわゆるタックス・ヘイブンを使って本来母国で支払うべき租税を回避することは、従来から問題になっていた。合法的な租税回避で、各国財政が悪化し、格差拡大の一因になるばかりか、脱税や資金洗浄の温床になっているといわれていた。タックス・ヘイブンとしては、カリブ海にある英領バージン諸島やバハマが有名であったが、これらの地域では、法人情報の公開が貧弱で、匿名性が高く、実態はよくわかっていなかった。
2015年、ドイツの新聞社『南ドイツ新聞』に匿名の人物によって、中米パナマの法律事務所「モザック・フォンセカ」から流出した大量の電子ファイルが送りつけられた。ファイル数1150万、サイズにして合計2.6テラバイト に及ぶ膨大な文書の中身は、オフショア金融センターを利用する21万4000の企業の、株主や取締役などの情報を含む詳細な情報であった。のちにワシントンD.C.にある国際調査報道ジャーナリスト連合 (ICIJ) にも送られ、ICIJはこの漏洩文書を「パナマ文書」と名付け、約80カ国の提携先の記者とともに、分析・取材を進め、16年4月、第一次の調査結果を149件の文書と伴に発表した。
その結果、アイスランドのグンロイグソン首相、ウクライナのポロシェンコ大統領ら10カ国の現旧指導者12人を含む公職者140人の関係会社、英国のキャメロン首相の亡父や習近平国家主席の義兄の会社などの名前が上がった。
アイスランドのグンロイグソンは報道から間もなく首相を辞任した。
この漏洩事件でもっとも政治的に反応したのはロシアであった。大統領プーチンの友人であるセルゲイ・ロルドゥーギンの名前が文書に挙がり、彼のオフショア取引に関連した事業にプーチンが関与した可能性が指摘された。ロシア政府はこの流出事件を「西側の陰謀」と呼び、プーチンが今回の事件の「主な標的」であり、西側諸国はプーチンを恐れるゆえにオフショア金融の情報をわざと漏洩させたと主張した。
パキスタンでは、シャリーフ首相の子供たちの名前が記載されていた。17年、パキスタンの最高裁判所は、海外法人での自身の立場を明らかにしておらず議会や裁判所に不誠実だったなどとして首相および下院議員の資格がないとの判断を示し、選挙管理委員会に対し失職させるよう命じた。さらに、タックス・ヘイヴンを通じイギリスに資産を移し資産隠しを行った汚職の罪で元首相を当局が起訴、裁判所は禁錮10年の有罪判決を言い渡した。
公職者関係以外にもスポーツ関係者やエンタテインメント関係者らセレブの名前が多く上がった。日本に関しては公職者は出なかったが、若干の経済人の名前が上がった。
★2016年