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1502●東芝不正会計

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1502●東芝不正会計
 2015年2月、証券取引等監視委員会が、大手電機メーカー東芝に、不正会計の疑いがあるとして報告を求めた。インフラ事業の会計をめぐり損失を先送りしているという東芝社員からの内部告発がきっかけだった。社内調査によって、500億円を超える不正な会計処理が発覚し、さらに主力事業の半導体やパソコン、テレビ事業の部門でも疑わしい処理が見られた。第三者委員会が設けられ、本格的な調査が始まった。東芝は、6月末期限の有価証券報告書の提出を2カ月延長した。
 7月に公表された第三者委員会報告書では、半導体の在庫価値を水増ししたり、パソコン部品を一時的に取引先に高価で買い取らせて利益が上がっているように見せかけたりなどで、税引前利益で約1500億円を水増ししていたと認定された。これを受け、資産の減損処理なども計算し直した結果、09年3月期から15年3月期の第3四半期までの間に行われた不正会計の規模は2248億円にまで膨れ上がった。この期間に上げていたとしてきた利益の4割が消えたことになる。
 とりわけ不正な処理が幅広く行われたのは12年3月期から13年3月期にかけてで、この間東芝は、東日本大震災や福島第一原発事故、タイの洪水など厳しい経営環境に直面していた。経営陣は、目先の決算期の利益を大きく見せることにこだわり、過度に高い営業目標の達成を現場に押し付けたり、表面だけ取り繕った利益の上積みを求めて圧力をかけてきた。
 不正発覚まで、東芝は企業統治の優等生と見られていた。社外取締役が過半数を占める3つの委員会が経営をチェックする「委員会設置会社」に03年にいちはやく移行していた。しかし、指名委員と報酬委員に社長経験者が就いていたり、監査委員会の委員長を不正の当事者だった最高財務責任者が務めていたりと、企業統治は機能しなかった。第三者委員会は、「当期利益至上主義」と「上司に逆らえない企業風土」を不正の背景として指摘した。
 責任をとって歴代3社長を含む経営幹部9人が辞任。不正への関与が認められなかった室町正志会長が社長に就き、会社は3社長を含む5人の元役員に対し計3億円の賠償を求めて提訴した(その後請求額を増額)。
 証券取引等監視委員会は、過去最高額となる73億円の課徴金納付を勧告した。また、東芝の会計監査をしてきた新日本監査法人には、公認会計士・監査審査会が検査に入り、その結果、業務管理体制が不十分であったとして、行政処分を行うよう金融庁に勧告した。
 15年11月、子会社の米原発事業会社が13年から14年にかけて1100億円超の損失を出していたのに、連結決算に影響がない扱いにして開示されていなかったことが発覚して、東芝をとりまく経営環境の厳しさがさらに明らかになった。
★2015年
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