プラグ飛んだよ

最終更新:

fiat500-onlinemanual

- view
だれでも歓迎! 編集
良い季節になりました。
町営駐車場にて。2004年秋。藤野駅前に来ています。

ここ神奈川県藤野町は相模湖畔にある山あいのまちで人口は約一万一千人、山の緑が美しいのどかなまちです。 まちは相模湖、国道20号線、高速中央道を骨格として広がり、「芸術のまち」というスローガンの元、 まちづくりが行われています。
時折り鹿撃ちでしょうか、パーンという音が山に響きます....
我がチンクもおいしい空気を腹一杯味わうために吸うためにシリンダーをむき出しにしてくつろいでます ..............................................

................................って、おい!ヘッドはどこいったんだよ!

パーンと響くその音とは
えーと、正直に言いますと、今回は山梨へ行く用事があって、 朝早くのんびり行こうと国道20号をのんびり走っておりました。
大垂水峠を越えて、相模湖にさしかかったのは午前八時過ぎ。
緑濃い山間のワインディングロードを走っていたそのときパーンッと言う音ともに出力が落ち、エンジン音はババッババッと聞き慣れない音に変わりました。
瞬間的に「プラグが飛んだ!」と思いました。
何故かそう思ったんです。
はたして降りてみると予想の通り2番側(前方側)のプラグがハイテンションコードごとブランブランと揺れていました。
はぁぁ。
ついに来たか、というのが最初の感想。
そしてその後に不安がぞわーっと体に広がりました。
いったい、これからどうすればいいのか....
プラグホールなめてまーす。

雨の山中に立ちつくす。
いずれにしろ、山梨での用事はキャンセルして家まで帰り着く方法を考えなければならないのですが、プラグホールを確認しても完全にバカ穴になっており、プラグは固定出来ません。
一気筒では高速もダメだけど下道で大垂水峠を越えることも出来ないでしょう。
ワタクシは当時JRSというロードサービスに加入していてレッカーは10kmまで無料です。
しかし、地図で見て目算で家までは70~90kmくらいあるのではと言う感じです。
10kmを超過するとたしか1kmで1000円以上は取られた記憶があります。
しかたないので少し行ったところのGSで相談するとレッカーしてくれる業者を紹介してくれましたが、そこに電話で問い合わせて住所を告げたら最低7万円はかかるとのこと。
はぅぅぅぅ。
修理にも金がかかることが予想され、この出費は痛すぎます。
しかし他に手は無さそうだし....。

次にすべき事はまぁさんへの「助けて!」電話(^^ ;(結局それかよ)
プラグホールの欠損に対する応急処置はやっぱりなさそう。
冗談半分でエンジンばらしてヘッドだけ持って帰って修理すればとかいってます。
おいおい。
路上でエンジンばらせるかーっ(T_T)
プラグロケットの発射台です。

どの道が正解へつながっているのか、雨の中で立ちつくし思案します。
七万円払って陸送し、暇を作って直す。
これが正道だ。
本来これしかないと思えました。
プラグホールの修理はヘリサート、もしくはアルゴンでの穴ふさぎの上でサイドプラグホールを開け直すという修理の二者択一。
いずれも経験無く費用の想像がつきません。
ヘリサートのセットを買って自分でやる場合は20000円のキット購入だと聞いたからこれは業者任せの方が安いでしょう。
やめていた煙草に火を点けて、雨に打たれていたら少し冷静になってきました。

ここは山の中なんですが奇しくも 中央本線藤野駅の目の前です。
しかも駅前には町営の駐車場が有りました。
意を決して管理のおじさんに聞いてみると 一週間止めても前払いしてくれれば良いよとのこと。
町営駐車場でヘッドを外すことが出来れば電車で家に持ち帰ってヘリサートして来週の土曜日にまた来ればいいのか...
まぁさんの言ってたことはあながち現実的ではないと言い切れないかもしれない....
仮にエンジン降ろしてヘッドをはぐるとしても二時間コースだ。
工具も揃ってる。
場所も確保した。
やるしかないか!ダメだったらそこでレッカーすればいいじゃないか。
よしっ!やるっ!ヘッドはずすぜ!

そうと決まったら気が楽になった。
バッテリーからケーブルを外す。
タペットカバー、キャブを外す。
エキマニ、アッパーファンカバー、ロッカーアームを外す。
サーモ側カバーの上方のフリーにする。
プッシュロッドとオイルリターンパイプを抜き取る。
どうやら、エンジンをおろざずにヘッドが外せそうな予感がしてきた。
以前やったときには結局途中でめんどくさくなってエンジンを下ろしたのだが、今回は行けそうだ。
駐車場のおじさんが心配そうに時折見に来る。
そりゃそうだ。
ちょっと修理させてくださいと入ったものの、エンジンバラバラになっちゃってるんですもの....。
かまわず慎重に少しづつヘッドを止めている8個のナットを交互に緩めてゆく。
全てを取り去り、ヘッドを持ち上げると見事ヘッドがプッシュロッドごと抜き取れた!イェー!

ここでBoS?さんに電話。
ヘッドはずせたんでヘリサートやってくれるところ知りませんか?と。
候補あるけど、頼んだことがある訳じゃないからどうかなとのこと。
それよか、あんた足無いんだから中野まで車で迎えに行って車屋につきあうよと暖かいお言葉。
いつもいつもスマンです。
修理工場は結局色々当たったけど知り合いの知り合いみたいな感じでうちの近所に発見。
今日中にヘリサートしてくれるとのこと。
おお、てことはひょっとして明日、取付に行ける?
明日乗って帰ってこれる?まじ?まじですか!

ヘッドを抱いて各駅停車の旅。
修理を受けてくれたのは板橋区のO氏。
怪我の功名ですごい人と知り合うことが出来ました。
看板も掲げていない外見普通の民家の中には旋盤からなにからそろっている完璧な加工工場の様相。
旧車の主にバイクとたまにクルマの修理や部品加工、ワンオフでのパーツ製作などを個人で行われている スペシャリストでした。
聞くところに寄ると月刊オールドタイマーにも常連で掲載されているとのこと。
夕方、取りに行くとみごとヘリサートされたヘッドがそこにありました。
翌朝、ヘッドを持ち、ツナギを着込んで新宿から中央特快で藤野へ向かいました。
雨が山の緑を美しく光らせてはいるけれどエンジンをくみ上げるには最悪の天気。
それでもやらねばなりません。
プッシュロッドに新しいOリングを点けて刺し、ヘッドを乗せます。
トルクレンチを使ってローテーションで8個の ナットを締め付け、外したのと逆の手順でくみ上げてゆく。
二時間半でほぼ組み上げてタペット調整する。
タペットカバーをつけて作業完了!
この余ったネジは何?
ファンカバーのボルト、締めにくい所はパスしていい?などと俺のA型としての几帳面さをばっちり発揮した作業ではあったけど、とにかく外していたバッテリーを接続。
クランキングを30秒。
キーON。
スターター...キュルボボ、ボウン!どどどどどど!やたー。
心配そうに遠くで見ていた駐車場の管理のおばちゃん(今日は交代しておばちゃんだった)が指でオッケーマークを作ってるので大きく頷いてオッケーマークを返す。
わはははは~
八王子まで慣らしのつもりで下道、そこから高速で無事自宅へ帰り着きました。

今回は自宅から遠く離れた所での応急処理不能時の対応の一つのモデルケースとなりました。
従来の俺なら7万円払って陸送、次の週エンジンをおろしてヘッド外し、その週あたりにヘリサート加工を 行うか依頼し、その翌週にくみ上げと、10万円コース+一ヶ月不動という状況に陥っていたのではないか、と考えると空恐ろしくなります。
今回は往復電車賃と一泊二日駐車場代、ヘリサート台を会わせて8000円ちょい、 とリーズナブルに乗り越えられました。
もちろんこれはアイデアをくれたまぁさん、心配して駆けつけてくれたBoS?さん、電話やメールで励ましてくれたkogoroさんやyamameさんkinokoさん、陸送の準備までしてくれた組長、掲示板で励ましてくれた皆様などのおかげなくして語れませんが。

以前、ヘッドガスケットが切れたと誤解して(ホントはエキマニガスケット切れ)無駄にヘッドを外したことが あったのですが、つまるところ、この経験なしで今回の解は得られなかっただろうと思うと、人生これなにも無駄なことなど無いのだ、と美しい藤野の山々に叫びたい気持ちでした。

(written by 大塚)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
ウィキ募集バナー