「……あの時以来、と言うべきか?」
「……ええ」
「……ええ」
この紅く狂った平安京には、本来在るはずのない建物が存在する。この場所もその一つ、本来ならば名古屋に存在するはずのポートビル。本来ならばこのポートビルの展望台からは地平線が見える鮮やかな海景色が見られるはず、だがそこから見えるのは紅く染まった歪められし平安の都、悍ましき鮮血の満月
この場所で、とある男女が対峙し、睨み合っている。宛らそれは蛇と鼠
この場所で、とある男女が対峙し、睨み合っている。宛らそれは蛇と鼠
「こんな所で会うとは思わなかったぞ。鬼ヶ原小夜子」
「それはこっちの台詞ね。――甘城道隆」
「それはこっちの台詞ね。――甘城道隆」
男の名前は甘城道隆。女の名前は鬼ヶ原小夜子。奇しくも二人には共通点がある。
それは、とある少女を―――甘城千歌を愛しているという事実
それは、とある少女を―――甘城千歌を愛しているという事実
「お互い、とんでもないことに巻き込まれたようだ。それで―――殺すのか? 俺の事を」
「勝手に決めつけないで欲しいね。殺人鬼(わたしたち)は自分たちの意思で殺す相手を決める」
「勝手に決めつけないで欲しいね。殺人鬼(わたしたち)は自分たちの意思で殺す相手を決める」
鬼ヶ原小夜子はその脳内に殺人鬼の人格を埋め込まれている。ベースはナチス・ドイツにおいて人体実験を繰り返してきた『死の天使』ヨーゼフ・メンゲレ
鬼ヶ原小夜子は甘城道隆と一応の面識はある。あの時は単純に殺しの獲物としての認識であった。一応愛しの千歌の兄という事も知ってはいるが
甘城道隆は殺人鬼の人格を埋め込まれた彼女たちの恐ろしさを知っている。虫一匹すら殺せないような優しい性格だった甘城千歌がまるで死刑囚の如く底なし沼のような伽藍堂の瞳で、自分を殺すことを躊躇しなくなった事を。結局の所、その千歌に助けられたお陰で今も生きているわけであるのだが
鬼ヶ原小夜子は甘城道隆と一応の面識はある。あの時は単純に殺しの獲物としての認識であった。一応愛しの千歌の兄という事も知ってはいるが
甘城道隆は殺人鬼の人格を埋め込まれた彼女たちの恐ろしさを知っている。虫一匹すら殺せないような優しい性格だった甘城千歌がまるで死刑囚の如く底なし沼のような伽藍堂の瞳で、自分を殺すことを躊躇しなくなった事を。結局の所、その千歌に助けられたお陰で今も生きているわけであるのだが
「それに。今あなたを殺しても何の特にもならないからね。表の千歌が悲しむだけだ」
「……表? 元の人格、ということでいいのか?」
「そう思ってくれればいい。最も、昼の人格(わたし)も、夜の人格(わたし)も既に混ざっているのだけれどね。他のみんなと同じく」
「……表? 元の人格、ということでいいのか?」
「そう思ってくれればいい。最も、昼の人格(わたし)も、夜の人格(わたし)も既に混ざっているのだけれどね。他のみんなと同じく」
何度も行われた殺人実験や天童組との抗争を得て、小夜子たちメデューサ症候群の少女たちは昼と夜の人格が交互に影響を与えるようになった
「――それは、千歌もか」
「……」
「……」
小夜子の沈黙は、道隆にとっては肯定の答えと同義であった
「……千歌から話は聞いているよ。メデューサを一人助けたって」
「……知っているのか」
「誰を救ったかまでは知らないがね」
「……知っているのか」
「誰を救ったかまでは知らないがね」
甘城道隆は、メデューサ症候群の裏に潜む五菱の闇を暴き、千歌の無罪を勝ち取る為に行動している。その過程でメデューサ候補であった少女、西園寺玲音が殺人鬼の人格を結びつく前に助けている
「それで、私達も救おうっていうのかな、君は?」
「――俺はそこまでお人好しじゃない。だが、千歌を助ける為に必要ならばそうするだけだ」
「――俺はそこまでお人好しじゃない。だが、千歌を助ける為に必要ならばそうするだけだ」
甘城道隆の行動原理は千歌を救うという一心のみにある。それでいて他人を見捨てるような冷徹漢というわけではない。西園寺玲音の時のように、結果として他人を助けることもあり得るのだから
「一つ聞きたい。君は千歌を愛しているのかい?」
「当たり前だ! この世の誰よりも千歌の事を愛していると断言できる程にな!」
「当たり前だ! この世の誰よりも千歌の事を愛していると断言できる程にな!」
甘城道隆は極度のシスコンである。それは、態々危険を犯してまで羽黒刑務所に乗り込んで調査をしに行く程に
千歌を愛する気持ちなら誰であろうと負けはしない、その自信あり過ぎる言い方に、小夜子は眉を顰め、口を開く
千歌を愛する気持ちなら誰であろうと負けはしない、その自信あり過ぎる言い方に、小夜子は眉を顰め、口を開く
「―――君は甘城千歌をメデューサから救うつもりでいるのか? もう一人の千歌を否定してでもか?」
「それは、もちろ―――!」
「それは、もちろ―――!」
「勿論のことだ」と言いかけた所で、道隆の口が止まる。冷静に思い返すならば、メデューサ症候群を何とかするということは、殺人鬼としての人格を完全に消し去る事である。それに気づき口を止めた、それ以上に、小夜子の自分を見る目が殺意そのものに変わりかけていたからだ
「……肯定していたのなら今ここで殺していたぞ。甘城道隆」
「……ッ!」
「……ッ!」
殺意の籠もった無感情な言葉に、思わず道隆の肌に冷や汗が流れる
「私達は殺人鬼だ。例えそれが強制されたものでも、誰かの思惑の下であったとしても、殺したという事実は変わらないし、今や殺人鬼の人格と昼の人格は融合しつつある」
本来の人格と殺人鬼としての人格。いずれ2つの人格は溶け合い、一つとなる。そうなった時、その人物がどうなるか等予想がつかないだろう
「私は千歌の事が大好きだ。その完璧な黄金比の顔立ちだけでもない。その性格にも私は惹かれた。昼の人格だけでもない、もう一人の『千歌』も私は大好きだ」
鬼ヶ原小夜子は甘城千歌の事が好きだ。千歌が入所して間もない時点で彼女のことを気に入っていた。そして殺人鬼としての千歌の人格に馴染まれて、救命ボートにてお互いに混じり合うに至ったほどにその仲は進展していった
小夜子はどちらの千歌の事も愛している。だからこそ、許せないのだ。どちらも好きだから、その片方を無碍にするような道隆の行為を
小夜子はどちらの千歌の事も愛している。だからこそ、許せないのだ。どちらも好きだから、その片方を無碍にするような道隆の行為を
「千歌を救うと言ったか甘城道隆。だが、お前がやろうとしていることはもう一人の千歌の否定に過ぎないんだ」
「……!」
「容易く「救う」なんて言葉で、『千歌』を否定するな!! 例え仕組まれだものだったとしても、どれだけ残酷なものだろうと、それも含めて私達だ!」
「……!」
「容易く「救う」なんて言葉で、『千歌』を否定するな!! 例え仕組まれだものだったとしても、どれだけ残酷なものだろうと、それも含めて私達だ!」
メデューサ症候群の少女たちは、本来なら普通の少女たちだった。だが、幾重の殺人と戦いを得て、夜の人格を、殺人鬼としての人格を受け入れ、そして融合しつつある。
結果として、それらもまた『彼女たち』だ。忌避すべき殺人鬼、それによって齎される殺人衝動。
だが、数多の困難を乗り越え、関係なかったはずの彼女たちに絆は芽生えた。それは、脱獄し自由を望む二人の少女を逃げる事の手助けをする程に
結果として、それらもまた『彼女たち』だ。忌避すべき殺人鬼、それによって齎される殺人衝動。
だが、数多の困難を乗り越え、関係なかったはずの彼女たちに絆は芽生えた。それは、脱獄し自由を望む二人の少女を逃げる事の手助けをする程に
それ以上に――その絆の上で、鬼ヶ原小夜子は両方の甘城千歌を受け入れる。その覚悟は、千歌の実の家族に負けないぐらいに
「……そうか」
「わかったかい? だったらもう、千歌を救うなんて世迷い言を――」
「感謝するよ、俺はある思い違いをしていたらしい」
「わかったかい? だったらもう、千歌を救うなんて世迷い言を――」
「感謝するよ、俺はある思い違いをしていたらしい」
だが、甘城道隆の覚悟はそれでも変わらない
「……俺を舐めるな鬼ヶ原小夜子。俺はあいつがどれだけ罪を犯そうと、俺に牙を剥こうと、それでも愛し続け、守ろうという気概ぐらいはある」
元より修羅の道であることは承知の上。大企業五菱のに潜む闇に真っ向から歯向かうと言わんばかりの所業。羽黒が、五菱が何を考えているかなんで未だわからない
「そうだな。君の言う通りだ。俺の知っている千歌も、殺人鬼の千歌も。俺の妹であることに変わりなんて無いんだ。例えその手がどれだけ血に塗れようと」
だけれど。例えどれだけ変わろうとも千歌が千歌であることに、甘城道隆の妹であることに、何ら変わりはない
「俺は、俺の知ってる優しい千歌が血も涙もない殺人鬼になってしまうのが許せなかった。だが、話を聞いて分かった気がする。殺人鬼でも、千歌の優しさは変わらない事に。……千歌を支えてくれたんだな、小夜子」
それは、何の隠し事もない感謝の言葉。どこかで殺人鬼の人格を自覚したその日、甘城千歌の心は一度崩れかけた。それを立ち直らせたのは道隆の手紙。だが、それまで支えたのは鬼ヶ原小夜子の献身
「――」
「お前の言いたいことも分かる。もし救い出せた所で、遺族がそれを許さない、なんて事もな。それでも守ってやると誓った。俺以外の家族からの見捨てられた千歌を支える、唯一の家族として――例え世界中を敵に回そうとも、千歌の為ならなんだってやってやる。五菱が何を企んでるのかは知らないが、お前たちに千歌を思い通りにはさせない」
「お前の言いたいことも分かる。もし救い出せた所で、遺族がそれを許さない、なんて事もな。それでも守ってやると誓った。俺以外の家族からの見捨てられた千歌を支える、唯一の家族として――例え世界中を敵に回そうとも、千歌の為ならなんだってやってやる。五菱が何を企んでるのかは知らないが、お前たちに千歌を思い通りにはさせない」
その覚悟は、鋼の如く不動なる決意。もし世界が千歌を許さないと言うならば、喜んで世界の敵になろう。そして千歌を絶望の淵から救い出す。たったそれだけの、それだけの事だ
「……はぁ。表の千歌のシスコンっぷりは私も知ってはいたが。兄がこれなら妹もあれということだな」
呆れ果てたが風に、溜息をつく小夜子。だが、少しだけ不敵に笑った後、手を差し出し
「けれど、千歌を大切に思うその気持ちだけは、悔しいけれど認めるしかないな」
「……当たり前だ。俺は甘城千歌のお兄ちゃんだからな」
「……当たり前だ。俺は甘城千歌のお兄ちゃんだからな」
――二人は、握手した
【甘城道隆@サタノファニ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本:?????
1:?????
[備考]
※参戦時期は神無村に向かう前
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本:?????
1:?????
[備考]
※参戦時期は神無村に向かう前
【鬼ヶ原小夜子@サタノファニ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本:主催陣営は気に入らない
1:悔しいが、こいつの千歌への愛情は認めざる得ない
[備考]
参戦時期は最低でも甲州九龍城突入前
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本:主催陣営は気に入らない
1:悔しいが、こいつの千歌への愛情は認めざる得ない
[備考]
参戦時期は最低でも甲州九龍城突入前