平安京の開けた通りにて相対する二人の女性。
一人は一言で例えるならば、彼女は『精悍』の言葉ががよく似合うだろう。
青みがかかった銀髪と、黒のジャケットと言った衣装は大人びた姿を引き立たせる。
一人は一言で例えるならば、彼女は『精悍』の言葉ががよく似合うだろう。
青みがかかった銀髪と、黒のジャケットと言った衣装は大人びた姿を引き立たせる。
「何故だ……」
だが、そんな彼女は今は狼狽しながら転がって襲い掛かる攻撃を回避する。
相手は宙を舞う鳥のように、血染めの月をバックにするかのように空高く逃げていく。
距離は五メートルかそこいら程度だが、空に逃げられては素手の現状では完全な間合いの外。
どうあっても素手だけで届く状況ではない。
相手は宙を舞う鳥のように、血染めの月をバックにするかのように空高く逃げていく。
距離は五メートルかそこいら程度だが、空に逃げられては素手の現状では完全な間合いの外。
どうあっても素手だけで届く状況ではない。
月をバックに空を舞うのは黒を基調とした軽装に黄金のラインが施され、
白マントを羽織った緋色の髪の女性。
その手には短刀が握られており、それらすべてが彼女にとって見覚えのあるものだ。
忘れるはずがない。嘗ての禍根であり、今を共に生きる親友なのだから。
白マントを羽織った緋色の髪の女性。
その手には短刀が握られており、それらすべてが彼女にとって見覚えのあるものだ。
忘れるはずがない。嘗ての禍根であり、今を共に生きる親友なのだから。
「何故君が刃を向けるんだ───ソーン!」
だからこそ彼女、シルヴァは理解できなかった。
空の世界を脅かす強大な力を排除する形で安寧を保つ、
全空最強の騎空団『十天衆』の彼女が何故狙ってくるのか。
少なくとも今のソーンは、そんなことはしないはずだと。
空の世界を脅かす強大な力を排除する形で安寧を保つ、
全空最強の騎空団『十天衆』の彼女が何故狙ってくるのか。
少なくとも今のソーンは、そんなことはしないはずだと。
「……私は、十天衆の誰よりも強くなくちゃいけないの。」
「え?」
簡単な話だ。シルヴァが知る『今のソーン』ではないということ。
天星器に唆されたことで本物の化け物になろうとした魔眼の射手。
強くなり続けて、自分が踏み躙ってきた人の為にも化け物になろうとする。
十天衆も、身を寄せる騎空団の団長すらも倒して誰よりも頂を目指す。
シルヴァたちを裏切らないで済むと、悪魔の囁きを信じ続けたあの頃の彼女。
弓を持ってない都合射手からは離れてしまっているが、今の彼女には関係なかった。
化け物だと証明できれば、それでいいのだ。
天星器に唆されたことで本物の化け物になろうとした魔眼の射手。
強くなり続けて、自分が踏み躙ってきた人の為にも化け物になろうとする。
十天衆も、身を寄せる騎空団の団長すらも倒して誰よりも頂を目指す。
シルヴァたちを裏切らないで済むと、悪魔の囁きを信じ続けたあの頃の彼女。
弓を持ってない都合射手からは離れてしまっているが、今の彼女には関係なかった。
化け物だと証明できれば、それでいいのだ。
「私は強い……誰の手の届かないぐらい、高みにいないといけないの!」
暴走と言えばそうだが殺し合いに乗るとは少々違う。
ただ強さを証明する、純粋にそれだけが今の目的になる。
でなければ、此処に来る以前の十天衆が生きてることへの説明がつかない。
あくまで最強を示すだけであり、最低限のブレーキは備わってる状態だ。
ただ強さを証明する、純粋にそれだけが今の目的になる。
でなければ、此処に来る以前の十天衆が生きてることへの説明がつかない。
あくまで最強を示すだけであり、最低限のブレーキは備わってる状態だ。
では、十天衆に匹敵してるわけではない相手と戦う理由はないのでは。
彼女を知ってる人物ならそう思うだろうし、実際のところその通りだ。
だが、此処で相対するシルヴァは彼女が知るシルヴァよりも未来の存在。
自分が知る彼女よりもずっと強くなっていることが、魔眼の視覚だけでも察せられる。
ほんの小さな確率でも戦うべき相手だと思えたのであれば、戦うつもりだ。
彼女を知ってる人物ならそう思うだろうし、実際のところその通りだ。
だが、此処で相対するシルヴァは彼女が知るシルヴァよりも未来の存在。
自分が知る彼女よりもずっと強くなっていることが、魔眼の視覚だけでも察せられる。
ほんの小さな確率でも戦うべき相手だと思えたのであれば、戦うつもりだ。
「君に何があったかは分からない……だがソーン、
もし其処へ行こうとするのなら、私がやることは一つだ。」
もし其処へ行こうとするのなら、私がやることは一つだ。」
化け物になるというのなら撃ち落として絶対に止める。
あの時メフォラシュでソーンと戦ったときにそう告げた。
彼女がどんな理由でもう一度其処を目指すのかは理解できないが、
全身全霊を以って彼女を人の領域に引き戻す。そう決めたことだ。
一度だけ、しかも入念な準備をして一か八の賭けでもぎ取った一勝。
あれを勝ちと呼べるものではないのは自分でも分かっている。
今回も彼女の本来の武器である魔導弓ではないというのを鑑みても、
勝てるかどうかと言われると頷けるものではないだろう。
あの時メフォラシュでソーンと戦ったときにそう告げた。
彼女がどんな理由でもう一度其処を目指すのかは理解できないが、
全身全霊を以って彼女を人の領域に引き戻す。そう決めたことだ。
一度だけ、しかも入念な準備をして一か八の賭けでもぎ取った一勝。
あれを勝ちと呼べるものではないのは自分でも分かっている。
今回も彼女の本来の武器である魔導弓ではないというのを鑑みても、
勝てるかどうかと言われると頷けるものではないだろう。
(だからと言って、諦めるつもりはない。)
憧れてるなら追い続けろ。
歩みを止めてしまえば追いつくことなんてありはしない。
一度しか勝てなかったなら、二度目を掴みとるだけ。
歩みを止めてしまえば追いつくことなんてありはしない。
一度しか勝てなかったなら、二度目を掴みとるだけ。
「ッ!」
思考を纏めているとソーンは襲い掛かる。
鳥のように急降下する相手に防具もないシルヴァは避けるしかない。
最強の弓使いと呼ばれた彼女とは言えども短刀の技術力は、
少なくとも同じ十天衆のカトルには遠く及ばないだろう。
しかし彼女は元々狩人としての技術が備わっている人物。
短刀を使うことになる機会は少なからず存在してることにくわえ、
飛翔術による飛行で自由な移動が可能だ。
鳥のように急降下する相手に防具もないシルヴァは避けるしかない。
最強の弓使いと呼ばれた彼女とは言えども短刀の技術力は、
少なくとも同じ十天衆のカトルには遠く及ばないだろう。
しかし彼女は元々狩人としての技術が備わっている人物。
短刀を使うことになる機会は少なからず存在してることにくわえ、
飛翔術による飛行で自由な移動が可能だ。
「逃がさない!」
避けてもすぐに旋回しソーンは背後を狙う。
振り向きながら咄嗟に回し蹴りをするも、
宙を舞いながら今度は頭に踵落としを叩き込まれる。
振り向きながら咄嗟に回し蹴りをするも、
宙を舞いながら今度は頭に踵落としを叩き込まれる。
「グッ!」
脳を揺さぶる威力だが、やはり格闘技は専門外。
意識が飛ぶような一撃には至らず怯むことはなかった。
頭上の足を掴もうとするも、蹴りの反動で一回転して回避しつつ再び空へを舞う。
こうなっては捕まえようがない。
意識が飛ぶような一撃には至らず怯むことはなかった。
頭上の足を掴もうとするも、蹴りの反動で一回転して回避しつつ再び空へを舞う。
こうなっては捕まえようがない。
(分かっている。弓だけが強くて彼女は十天衆ではない。)
空を自在に舞う飛翔術や魔眼と呼ばれるほど異常な視力、
多くの人が喉から手が出るほど欲したであろう技術や才能。
それらを併せ持った人物だからこそ、全空最強の騎空団が一人とも言える。
嘗て彼女に憧憬、ないし嫉妬してしまったのもそういうところだ。
多くの人が喉から手が出るほど欲したであろう技術や才能。
それらを併せ持った人物だからこそ、全空最強の騎空団が一人とも言える。
嘗て彼女に憧憬、ないし嫉妬してしまったのもそういうところだ。
(真っ向勝負で挑んで勝つのは極めて困難だ。なら───)
シルヴァは彼女から逃げるように走りつつ、背負うデイバックの中へと手を突っ込む。
有事の際に何か取り出せるようにと、最初に開けっ放しにしていたのが功を奏した。
だから取り出す際に開けるという動作が必要なく、ソーンは僅かに動きに遅れる。
背負った状態では何が取り出されるかはシルヴァ自身にも分からない。
完全にギャンブルだ。彼女は基本支給品も殆ど把握できてない状況で、
武器となりうるものを引かなければならないということになる。
上空から迫る彼女に対して、手にしたそれを取り出す。
有事の際に何か取り出せるようにと、最初に開けっ放しにしていたのが功を奏した。
だから取り出す際に開けるという動作が必要なく、ソーンは僅かに動きに遅れる。
背負った状態では何が取り出されるかはシルヴァ自身にも分からない。
完全にギャンブルだ。彼女は基本支給品も殆ど把握できてない状況で、
武器となりうるものを引かなければならないということになる。
上空から迫る彼女に対して、手にしたそれを取り出す。
(これは───)
引いたのが武器だったので、接近するのをやめる。
ソーンにとってその武器は恐らく銃だとは察したのだが、
ソーンにとってその武器は恐らく銃だとは察したのだが、
(あれは───銃……よね。)
ただ素直に銃と受け止めていいのか悩む。
いや、確かに彼女は銃の知識は詳しくない。
拳銃ならエッセル、狙撃銃ならシルヴァの方が理解がある。
銃らしき引き金もあるし銃床もあり、スコープも備わってる。
あれが銃ではない、と言い切るのは流石に出来ないものだ。
一方で、銃でありながら弾丸を装填するべき部分が存在せず、
その代わりに緑色に輝く何かが入ってるのが外からでも伺える。
銃身も剣のように細く、そも円筒状ですらなく中が見えている状態。
剣や鈍器と言われると少し納得してしまう程に普段見ない形状の武器。
いや、確かに彼女は銃の知識は詳しくない。
拳銃ならエッセル、狙撃銃ならシルヴァの方が理解がある。
銃らしき引き金もあるし銃床もあり、スコープも備わってる。
あれが銃ではない、と言い切るのは流石に出来ないものだ。
一方で、銃でありながら弾丸を装填するべき部分が存在せず、
その代わりに緑色に輝く何かが入ってるのが外からでも伺える。
銃身も剣のように細く、そも円筒状ですらなく中が見えている状態。
剣や鈍器と言われると少し納得してしまう程に普段見ない形状の武器。
(でもあれは間違いなく銃。それもシルヴァの得意な狙撃に使うもの。)
形勢逆転とも言えるが、此処で逃げるわけにはいかない。
本当の化け物が、勝てる勝負だけするわけがないのだから。
本当の化け物が、勝てる勝負だけするわけがないのだから。
(確か団長も、これと似たようなものを持っていた。もしそうなら……)
シルヴァにとってこの武器を使うのは初めてだが、似たものを見たことがある。
団長が装備していた銃の武器と酷似した形状のそれは、紛れもなく銃だと。
すぐに構えながら、彼女のいる空へと銃口と思しき部分を向けて引き金を引く。
思ってる通りの武器であれば、ソーンなら当てずとも勝機のある武器だと。
団長が装備していた銃の武器と酷似した形状のそれは、紛れもなく銃だと。
すぐに構えながら、彼女のいる空へと銃口と思しき部分を向けて引き金を引く。
思ってる通りの武器であれば、ソーンなら当てずとも勝機のある武器だと。
引き金を引いた瞬間、その予想通りの答えが出る。
「ッ!?」
なぜならその銃が発射したのは確かに弾丸だが、
緑の光条を強く放つ、光の弾丸だったからだ。
名をアダマント・レイ。存在しない空島の記憶を宿した化身が握る、
超磁力で加速させた弾丸が光条となる銃───要するにレールガン。
勿論こんなのを当てれば普通に一撃で命を奪い取る代物。
しかしシルヴァに当てるつもりはないし、寧ろ当てずとも勝てる。
緑の光条を強く放つ、光の弾丸だったからだ。
名をアダマント・レイ。存在しない空島の記憶を宿した化身が握る、
超磁力で加速させた弾丸が光条となる銃───要するにレールガン。
勿論こんなのを当てれば普通に一撃で命を奪い取る代物。
しかしシルヴァに当てるつもりはないし、寧ろ当てずとも勝てる。
(しまった、眼が……!?)
その理由がこれである。
視界が闇に覆われて、何も見えない。
ソーンにとって最も弱点となりうるのは───光。
魔眼は異常な視力を発揮するが、それが仇となる。
強い光に対して、彼女の魔眼は常人以上にダメージが大きい。
本来ならば閃光弾レベルの威力でもなければ、
彼女へこれだけの決定打を与えるのは厳しいだろう。
見知らぬ武器を前に注視しつづけた結果の産物である。
視界が闇に覆われて、何も見えない。
ソーンにとって最も弱点となりうるのは───光。
魔眼は異常な視力を発揮するが、それが仇となる。
強い光に対して、彼女の魔眼は常人以上にダメージが大きい。
本来ならば閃光弾レベルの威力でもなければ、
彼女へこれだけの決定打を与えるのは厳しいだろう。
見知らぬ武器を前に注視しつづけた結果の産物である。
(やはり、分の悪い賭けばかりだ。)
綱渡りとも言える賭けをして、
ようやく勝てる見込みが出てくる。
あれから強くなったものの、やはりまだまだだ。
そう自嘲しながら銃を捨ててると同時に跳躍して近くの塀へ、
更に高い門へと次々に飛び移り、そこからもう一度跳躍。
空を舞うソーンの頭上へと到達し、その背に蹴りを叩き込む。
ようやく勝てる見込みが出てくる。
あれから強くなったものの、やはりまだまだだ。
そう自嘲しながら銃を捨ててると同時に跳躍して近くの塀へ、
更に高い門へと次々に飛び移り、そこからもう一度跳躍。
空を舞うソーンの頭上へと到達し、その背に蹴りを叩き込む。
「ッ!」
視界が闇の中回避などできるわけがない。
自分よりも遥かに洗練されてる足技。
苦痛に顔を歪めながら地面に叩き落される。
視力が少し回復して立ち上がる頃には、シルヴァが目の前に立っている光景。
この間合いで下手な格闘技よりも優れた彼女の足技を相手に、
短刀も落とした現状相手できるかと言われると流石に不可能である。
自分よりも遥かに洗練されてる足技。
苦痛に顔を歪めながら地面に叩き落される。
視力が少し回復して立ち上がる頃には、シルヴァが目の前に立っている光景。
この間合いで下手な格闘技よりも優れた彼女の足技を相手に、
短刀も落とした現状相手できるかと言われると流石に不可能である。
「シルヴァ……」
「ソーン、私は言ったはずだ。
君が本物の化け物になろうとするなら、
私はどんな手を使ってでも君を撃ち落とす。
もう誰にも化け物とは呼ばせない。私にも、君自身にもだ。」
君が本物の化け物になろうとするなら、
私はどんな手を使ってでも君を撃ち落とす。
もう誰にも化け物とは呼ばせない。私にも、君自身にもだ。」
『我から見れば、うぬはこの上なく人らしいがな。』
十天衆を下す連戦の最中。オクトーに言われた言葉。
誰よりも強くあろうと、化け物でいようとしている姿は、
この上なく人間に見えていたのかもしれなかった。
誰よりも強くあろうと、化け物でいようとしている姿は、
この上なく人間に見えていたのかもしれなかった。
「シルヴァ……」
起き上がった彼女へと手を差し伸べる。
誰の手にも届かないぐらい高みにいた自分へ、
差し伸べられるその手は、自分以上に高く存在する月か太陽かのように。
誰の手にも届かないぐらい高みにいた自分へ、
差し伸べられるその手は、自分以上に高く存在する月か太陽かのように。
「君が全空最強の十天衆であろうとも関係ない。
どんなに高く舞おうとも、私が必ず君を皆の場所へと───」
どんなに高く舞おうとも、私が必ず君を皆の場所へと───」
「別に、それに問題があるとは到底思えないな。」
「ウグッ!?」
苦悶する声と共にシルヴァの表情が歪む。
彼女を背後から腹部を貫く、銀色のシミターに近しい剣。
噴き出した鮮血が、ソーンの顔に飛沫する。
彼女を背後から腹部を貫く、銀色のシミターに近しい剣。
噴き出した鮮血が、ソーンの顔に飛沫する。
「シルヴァ!?」
倒れる彼女を抱きとめ、視力を大分取り戻して漸く相手の姿がわかる。
刺したのは、和をイメージとした白と黒の色合いを基調とした服の人物。
二人にはジンやオクトーと言った『侍』のような姿をしている風貌とも言うべきだろう。
渋みのある顔は人に受けそうだが、今の声もあってすぐに彼を理解する。
今の凶行がなくとも、この男は間違いなく危険だと感じ取れるほどのものが。
刺したのは、和をイメージとした白と黒の色合いを基調とした服の人物。
二人にはジンやオクトーと言った『侍』のような姿をしている風貌とも言うべきだろう。
渋みのある顔は人に受けそうだが、今の声もあってすぐに彼を理解する。
今の凶行がなくとも、この男は間違いなく危険だと感じ取れるほどのものが。
「化け物を、頂を目指す。それの何がいけないのかね。
私にとって天下や頂とは興味はないが、乱世ではままあることだ。」
私にとって天下や頂とは興味はないが、乱世ではままあることだ。」
「誰、だ……!?」
脇腹を抑えながら訪ねる彼女の首を男は掴む。
女性とは言え大の大人を軽々と片手で持ちあげる。
女性とは言え大の大人を軽々と片手で持ちあげる。
「なに、通りすがりの収集家だよ。
君達が欲しい物を持っているのでね。」
君達が欲しい物を持っているのでね。」
「どういう、ことだ……!?」
モノが欲しいのであればそこの銃を拾うはず。
だがそちらではなく直接自分達を指しての言葉。
何が言いたいのか、二人には理解が追いつかない。
だがそちらではなく直接自分達を指しての言葉。
何が言いたいのか、二人には理解が追いつかない。
「離し───」
起き上がろうとするソーンを足で腹を踏みつけ抑える。
地面との板挟みで、起き上がることもままならない。
地面との板挟みで、起き上がることもままならない。
「ッ……!」
「君個人では、有り触れた凡百の音色しかない。
だが、十天衆の君がいれば話は変わるというものだ。
十天衆の君に一つ宝を預けよう。それを育てて、いずれ私が受け取りに行こう。」
だが、十天衆の君がいれば話は変わるというものだ。
十天衆の君に一つ宝を預けよう。それを育てて、いずれ私が受け取りに行こう。」
「何を言って……」
先程から何が言いたいのかさっぱり分からない。
理解してはいけないと脳が拒絶してるような気もするが、
それを抜きにしても、彼の言葉は難解さを極めている。
理解してはいけないと脳が拒絶してるような気もするが、
それを抜きにしても、彼の言葉は難解さを極めている。
「君には『過去』を贈ろう。怪物には仲間も、朋も必要ないのだから。」
嘗てオクトーと戦う以前に、
サラーサに向けて言った言葉。
誰とも知らない男に言われると同時。
サラーサに向けて言った言葉。
誰とも知らない男に言われると同時。
「そして───『絆』を貰おう。」
次の言葉を紡ぐと同時に、彼女の全身に炎が奔った。
【シ■ヴァ@グラン■■■ファ■■ジー ■亡】
「■■■■───ッ!!」
言葉にならないような悲鳴を上げる。
燃え盛る彼女に手を伸ばそうとしてもそれは届かない。
届いたとしても、とても触れられるものではないのだが。
燃え盛る彼女に手を伸ばそうとしてもそれは届かない。
届いたとしても、とても触れられるものではないのだが。
「君には贈った『過去』がある。大切に育んでくれたまえ。」
燃え盛るシルヴァを適当に放り投げて、門の方へと向かう。
するべきことを済ませた彼に、この場に留まる理由などない。
するべきことを済ませた彼に、この場に留まる理由などない。
「アアアアアッ!!」
普段なら絶対に聞くことのない、
叫び声と共にソーンは短刀を拾い上げてを振るう。
最早戦術も何も考えてない、ただの単調な一撃。
取るに足らない攻撃を静かに避けて、首に手刀を放つ。
叫び声と共にソーンは短刀を拾い上げてを振るう。
最早戦術も何も考えてない、ただの単調な一撃。
取るに足らない攻撃を静かに避けて、首に手刀を放つ。
「君が怪物になった時、改めて会おうではないか。
何、巡り合うとも。君が怪物になれば直々に貰いに行くのだから。」
何、巡り合うとも。君が怪物になれば直々に貰いに行くのだから。」
昏倒する彼女を置いて、今度こそ去る。
ついでとばかりに、珍しい銃を回収しながら。
ついでとばかりに、珍しい銃を回収しながら。
(『過去』を育て、やがて怪物へと至る。
その時に得る『十天衆』の称号はきっと格別なのだろう。)
その時に得る『十天衆』の称号はきっと格別なのだろう。)
欲するものを探して、奪う。
身も蓋もない言い方をすれば駄々をこねる子供と同じ。
だがそのままの状態で戦国乱世を生き抜いてしまった梟は、
此処でも不変の、永遠に満たされない欲求を満たし続ける。
身も蓋もない言い方をすれば駄々をこねる子供と同じ。
だがそのままの状態で戦国乱世を生き抜いてしまった梟は、
此処でも不変の、永遠に満たされない欲求を満たし続ける。
(だが、何を壊し、何を得ようとも、私が満たされることはない……)
最初はこの男は殺しあいに興味なかった。
いや、現在も殺し合いに於いては一切の興味はない。
この男の欲に底はなく、一つの成就では決して満たされることもない。
生も死も恐れるものでもない。死に時であれば躊躇なく自決を選ぶ狂人。
だが意味はあった。興味深い『十天衆』と言うその肩書きを。
そして、自分がまだ知らぬ宝誰かが持つ可能性を彼は知った。
故に探す。自分のあくなき欲を満たせる宝を持った存在を。
松永久秀……かの戦国乱世から招かれた、天下独尊の男。
現世であろうと辺獄であろうと、その欲望は不変である。
いや、現在も殺し合いに於いては一切の興味はない。
この男の欲に底はなく、一つの成就では決して満たされることもない。
生も死も恐れるものでもない。死に時であれば躊躇なく自決を選ぶ狂人。
だが意味はあった。興味深い『十天衆』と言うその肩書きを。
そして、自分がまだ知らぬ宝誰かが持つ可能性を彼は知った。
故に探す。自分のあくなき欲を満たせる宝を持った存在を。
松永久秀……かの戦国乱世から招かれた、天下独尊の男。
現世であろうと辺獄であろうと、その欲望は不変である。
【松永久秀@戦国BASARA】
[状態]:健康
[装備]:火薬@戦国BASARA、シャルティエミラージュ@テイルズオブデスティニー2、アダマント・レイ(残量19/20)@御城project:Re
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~1
[思考・状況]
基本方針:欲するものを手に入れる。何処であろうと私は不変だとも。
1:珍しいものを探し、手に入れる。それだけだ。
2:殺し合い? 興味などないので勝手にやりたまえ。
3:怪物となった彼女から貰う『十天衆』の肩書こそ欲しいものだ。
[備考]
※参戦媒体はアニメ版です(参戦時期は現時点では未定)。
[状態]:健康
[装備]:火薬@戦国BASARA、シャルティエミラージュ@テイルズオブデスティニー2、アダマント・レイ(残量19/20)@御城project:Re
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~1
[思考・状況]
基本方針:欲するものを手に入れる。何処であろうと私は不変だとも。
1:珍しいものを探し、手に入れる。それだけだ。
2:殺し合い? 興味などないので勝手にやりたまえ。
3:怪物となった彼女から貰う『十天衆』の肩書こそ欲しいものだ。
[備考]
※参戦媒体はアニメ版です(参戦時期は現時点では未定)。
「ソ-、ン……」
掠れた声で誰かが彼女を呼ぶ。
誰かは分かる。未だ燃える親友の声だ。
誰かは分かる。未だ燃える親友の声だ。
「シルヴァ!?」
彼女の声に、松永を追わずに其方へ駆け寄る。
分かっている。この状態では既に手遅れなことぐらい。
支給品にもこの状態をなんとかできるものはなければ、
今から水をかけたところで、遠からずその命は尽きる。
だからと言って、聞かずに放置するわけにはいかない。
分かっている。この状態では既に手遅れなことぐらい。
支給品にもこの状態をなんとかできるものはなければ、
今から水をかけたところで、遠からずその命は尽きる。
だからと言って、聞かずに放置するわけにはいかない。
「君は、化け物じゃ、ない……人で、あってくれ。」
全身を焼かれながらも、それでも振り絞った最期の言葉。
それは義妹のことでも、団長のことでもなく、ただ親友を想う言葉一つ。
松永とは真逆の、人であることを願いながら今度こそ命が燃え尽きる。
嘗ての絆を取り戻すことができた瞬間に、その絆をあの男に奪われた。
それは義妹のことでも、団長のことでもなく、ただ親友を想う言葉一つ。
松永とは真逆の、人であることを願いながら今度こそ命が燃え尽きる。
嘗ての絆を取り戻すことができた瞬間に、その絆をあの男に奪われた。
「シルヴァ……シルヴァ───ッ!!」
魔眼の射手には二つの分岐点があった。
一つ目は頂に至ろうと暴走した彼女を止める物語。
二つ目は悔恨を終わらせようと故郷で決着をつけた物語。
だが何方も灰となって消え、第三の道を歩むことになる。
彼女の心は人か化け物か。親友か仇敵の言葉のどちらの通りに至るのか。
どちらへ転ぶか分からない、辺獄の道を。
一つ目は頂に至ろうと暴走した彼女を止める物語。
二つ目は悔恨を終わらせようと故郷で決着をつけた物語。
だが何方も灰となって消え、第三の道を歩むことになる。
彼女の心は人か化け物か。親友か仇敵の言葉のどちらの通りに至るのか。
どちらへ転ぶか分からない、辺獄の道を。
【シルヴァ@グランブルーファンタジー 死亡】
【ソーン@グランブルーファンタジー】
[状態]:殺意(絶大)、精神疲労(絶大)、ダメージ(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]
基本方針:人であるようにしたい。でも……
1:あの人(松永)だけは許せない。
2:弓が欲しい。
[備考]
※参戦時期はソーン最終後~4アビ習得フェイトまでの間です。
※魔眼は大きくて一エリアのみです。
※飛翔術は高くて五メートルが上限です。
[状態]:殺意(絶大)、精神疲労(絶大)、ダメージ(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]
基本方針:人であるようにしたい。でも……
1:あの人(松永)だけは許せない。
2:弓が欲しい。
[備考]
※参戦時期はソーン最終後~4アビ習得フェイトまでの間です。
※魔眼は大きくて一エリアのみです。
※飛翔術は高くて五メートルが上限です。
※周囲にシルヴァの短刀@グランブルーファンタジーがあります。
シルヴァのデイバックは焼失しました
シルヴァのデイバックは焼失しました
【シルヴァの短刀@グランブルーファンタジー】
ソーンの支給品。狙撃手としての立場の都合と近接は徒手空拳の都合、
全くと言っていい程使われることがないシルヴァが腰に携える短刀。
特別優れた能力や逸話が残されてると言ったものは特になく、
ソーンに光の反射で合図を送るためのものとしての運用をされてる。
ソーンの支給品。狙撃手としての立場の都合と近接は徒手空拳の都合、
全くと言っていい程使われることがないシルヴァが腰に携える短刀。
特別優れた能力や逸話が残されてると言ったものは特になく、
ソーンに光の反射で合図を送るためのものとしての運用をされてる。
【アダマント・レイ@御城project:Re】
シルヴァの支給品。ゲーム上ではラ・ピュータの初期装備。
バルニバービ国の技術を結集して造られた鉄砲。
超磁力で加速させた弾丸が光条となり敵を貫くので、
鉄砲とは言うが形状も性能も最早レールガンの類になる。
シルヴァの支給品。ゲーム上ではラ・ピュータの初期装備。
バルニバービ国の技術を結集して造られた鉄砲。
超磁力で加速させた弾丸が光条となり敵を貫くので、
鉄砲とは言うが形状も性能も最早レールガンの類になる。
【火薬@戦国BASARA】
松永が相手を燃やす、爆破する際に用いる黒色火薬。
没収されなかった代わりに支給品の数を減らされている。
松永が相手を燃やす、爆破する際に用いる黒色火薬。
没収されなかった代わりに支給品の数を減らされている。
【シャルティエミラージュ@テイルズオブデスティニー2】
松永久秀の支給品。ゲーム上ではアクアラビリンスに潜んでいる、
リオン・マグナスの幻影から勝利することで手に入れる武器。
ソーディアン・シャルティエに酷似した幻体の剣で、地属性の力がある。
その力は本物にも劣らないようだが、元のシャルティエの人格はない。
松永久秀の支給品。ゲーム上ではアクアラビリンスに潜んでいる、
リオン・マグナスの幻影から勝利することで手に入れる武器。
ソーディアン・シャルティエに酷似した幻体の剣で、地属性の力がある。
その力は本物にも劣らないようだが、元のシャルティエの人格はない。