―――城戸、戦ってくれ……。俺の代わりに……恵理を頼む。
わかってるよ、蓮。お前に助けられた命だもんな。
―――それが正しいかどうかじゃなくて……俺の、ライダーの一人として叶えたい願いがそれなんだ。
そうだ。だから俺は―――
○ ○ ○
「おのれ、メフィスとフェレス……」
赤い月が浮かぶ平安京を彷徨い歩く少女が一人。
少女は時折物陰に隠れつつ辺りに人がいないことを確認しながら歩いている。
それは他の参加者を警戒してのことではあるが、彼女の場合は別の意味をも含んでいた。
少女は時折物陰に隠れつつ辺りに人がいないことを確認しながら歩いている。
それは他の参加者を警戒してのことではあるが、彼女の場合は別の意味をも含んでいた。
「支給品に服の一つぐらい入れておいてほしかった……。いやこの際下着とか靴下でもいい……」
少女、岸波白野は一糸纏わぬ全裸だった。
白野は元々ムーンセル・オートマトンが構築した霊子虚構世界「SE.RA.PH」で聖杯戦争を運営するために生まれたNPCだった。
しかし偶然生じたバグから自我を獲得し、自らを記憶喪失の魔術師(ウィザード)と思い込んだ彼女は聖杯戦争のマスターとなった。
記憶もなく、聖杯にかける願いも持たないまま戦い続けていた彼女は様々な対戦相手と出会い、斃し、成長を重ねていった。
白野は元々ムーンセル・オートマトンが構築した霊子虚構世界「SE.RA.PH」で聖杯戦争を運営するために生まれたNPCだった。
しかし偶然生じたバグから自我を獲得し、自らを記憶喪失の魔術師(ウィザード)と思い込んだ彼女は聖杯戦争のマスターとなった。
記憶もなく、聖杯にかける願いも持たないまま戦い続けていた彼女は様々な対戦相手と出会い、斃し、成長を重ねていった。
そんな時、殺生院キアラの企てによって暴走したAI、BBの手で月の裏側へと落とされ、他のマスターらと協力してSE.RA.PHへの帰還を目指すことになった。
この時契約した破格のサーヴァント、英雄王ギルガメッシュと時間をかけて絆を紡ぎ、最終的に殺生院キアラを打倒しギルガメッシュとの契約も満了となった。
そして間桐桜が為した「特大のズル」によって白野と桜は生身の肉体を手に入れ月を離れ地上に降り立ち、新しい日々を始めようとしていた。
岸波白野はまさに生身の肉体で目覚めた直後のタイミングでこの殺し合いに連れてこられていたため、一切の衣服を身に着けていなかったのだ。
この時契約した破格のサーヴァント、英雄王ギルガメッシュと時間をかけて絆を紡ぎ、最終的に殺生院キアラを打倒しギルガメッシュとの契約も満了となった。
そして間桐桜が為した「特大のズル」によって白野と桜は生身の肉体を手に入れ月を離れ地上に降り立ち、新しい日々を始めようとしていた。
岸波白野はまさに生身の肉体で目覚めた直後のタイミングでこの殺し合いに連れてこられていたため、一切の衣服を身に着けていなかったのだ。
「使えそうな支給品はこれぐらいかな」
残念ながら支給品の中に服や靴の類は何も入っていなかった。
代わりに入っていたのは白野には扱えない、もしくは使い道のわからないものだった。
最初に出てきたのは軍神の剣(フォトン・レイ)というカラフルな剣だった。強い神秘を感じる。何らかの宝具ないし概念武装だろう。
客観的に見れば当たりの支給品なのだろうが、鍛えてすらいない小娘の腕力では扱うどころか持ち上げることさえできない。
代わりに入っていたのは白野には扱えない、もしくは使い道のわからないものだった。
最初に出てきたのは軍神の剣(フォトン・レイ)というカラフルな剣だった。強い神秘を感じる。何らかの宝具ないし概念武装だろう。
客観的に見れば当たりの支給品なのだろうが、鍛えてすらいない小娘の腕力では扱うどころか持ち上げることさえできない。
次に出てきたのはランペイジガトリングプログライズキーなる銃のマガジンのようにも見えるデバイス。
どうやらこれ単体では意味を為さず、エイムズショットライザーなるアイテムと組み合わせて扱うものらしい。
どうやらこれ単体では意味を為さず、エイムズショットライザーなるアイテムと組み合わせて扱うものらしい。
そして最後に出てきたのが白野が今手にしている黄金の時計型のデバイス、名をグランドジオウライドウォッチというらしい。
説明書によればこれも本来は別の道具と組み合わせて使うものなのだが、所持しているだけでも仮面ライダーなるものを召喚・使役できるらしい。
ウォッチの表面にプリントされている何かの顔らしきものは仮面ライダーの顔なのだろう。
とりあえず護身のためこれを持っておくことにした。
説明書によればこれも本来は別の道具と組み合わせて使うものなのだが、所持しているだけでも仮面ライダーなるものを召喚・使役できるらしい。
ウォッチの表面にプリントされている何かの顔らしきものは仮面ライダーの顔なのだろう。
とりあえず護身のためこれを持っておくことにした。
「桜が無事だといいんだけど……」
現状、支給品の中にあった名簿には参加者の名前は記されていない。
しかし白野は間桐桜も一緒に巻き込まれている可能性は低くないと見ていた。
何しろ記憶にある限り、殺し合いに連れ込まれる直前まで桜と一緒にいたのだ。参加させられたとすれば二人同時でも何らおかしくない。
もちろん自分一人だけで桜が巻き込まれていないに越したことはないが、その場合どういう基準で参加者を選んだのか、という疑問が出てくる。
とはいえ今は自分の貞操が無事では済まなそうな状況なので細かい考察は後回しにせざるを得ない。
しかし白野は間桐桜も一緒に巻き込まれている可能性は低くないと見ていた。
何しろ記憶にある限り、殺し合いに連れ込まれる直前まで桜と一緒にいたのだ。参加させられたとすれば二人同時でも何らおかしくない。
もちろん自分一人だけで桜が巻き込まれていないに越したことはないが、その場合どういう基準で参加者を選んだのか、という疑問が出てくる。
とはいえ今は自分の貞操が無事では済まなそうな状況なので細かい考察は後回しにせざるを得ない。
人間衣食足りて礼節を知るとは言うが、今の岸波白野にはどちらも圧倒的に欠けている。
衣服や靴の問題をどうにかして解決しなければならないのはもちろん、確認した限り食糧も余裕があるとは言えない。
電脳世界と違い現実に存在する生身の身体は極度に飢えれば死んでしまう。食糧、飲料も併せて探していく必要がありそうだ。
衣服や靴の問題をどうにかして解決しなければならないのはもちろん、確認した限り食糧も余裕があるとは言えない。
電脳世界と違い現実に存在する生身の身体は極度に飢えれば死んでしまう。食糧、飲料も併せて探していく必要がありそうだ。
改めて現状の困難さとやるべきことの多さを認識しため息を吐く。
そうして赤い月が不気味に浮かぶ空を見上げた時―――黒い人影を見た。
そうして赤い月が不気味に浮かぶ空を見上げた時―――黒い人影を見た。
「えっ?」
その人影は白野の眼前に着地した。
突如目の前に現れた人影は黒と白銀の鎧を纏っていた。
細身の剣を携えるその姿は物語から抜け出てきた騎士のようにも見える。
何より騎士には殺し合いに巻き込まれた参加者であることを示す首輪があった。
突如目の前に現れた人影は黒と白銀の鎧を纏っていた。
細身の剣を携えるその姿は物語から抜け出てきた騎士のようにも見える。
何より騎士には殺し合いに巻き込まれた参加者であることを示す首輪があった。
「えぇ!?は、裸ぁ!?」
「っ……!!」
「っ……!!」
スマートな出で立ちに不釣り合いな素っ頓狂な声を発した騎士の言葉で自分が裸を見られたことを悟った。
咄嗟に金色のウォッチを持った右手で胸を、左手に持ったデイパックで股間を隠してじりじりと騎士と距離を取る。
咄嗟に金色のウォッチを持った右手で胸を、左手に持ったデイパックで股間を隠してじりじりと騎士と距離を取る。
「こ、これはその……やむにやまれぬ事情がありまして……。
わたしは決して露出狂だとかAUOというわけではないんです!信じてください!」
「え、えーゆー……?っていうか、まだ子供じゃないか……」
わたしは決して露出狂だとかAUOというわけではないんです!信じてください!」
「え、えーゆー……?っていうか、まだ子供じゃないか……」
困惑する騎士が発している声は明らかに成人男性のそれだった。
同性ならまだしも見知らぬ異性の前で裸体を晒しているという事実に頬が紅潮する。
しかしこれはチャンスでもある。目の前の騎士が穏健な参加者なら何か身体を隠すものを貸してもらうこともできるかもしれない。
岸波白野が抱いた淡い期待はしかし、騎士の纏う空気が剣呑なものに変化したことで打ち砕かれる。
同性ならまだしも見知らぬ異性の前で裸体を晒しているという事実に頬が紅潮する。
しかしこれはチャンスでもある。目の前の騎士が穏健な参加者なら何か身体を隠すものを貸してもらうこともできるかもしれない。
岸波白野が抱いた淡い期待はしかし、騎士の纏う空気が剣呑なものに変化したことで打ち砕かれる。
「…………ごめん」
騎士、仮面ライダーナイトが腰に差した剣型の召喚器、ダークバイザーを抜いた。
その鋭利な切っ先は過たず白野の心臓に向けられている。
それは取りも直さずナイトが殺し合いに乗った参加者だということを示していた。
その鋭利な切っ先は過たず白野の心臓に向けられている。
それは取りも直さずナイトが殺し合いに乗った参加者だということを示していた。
○ ○ ○
「どうすりゃいいんだよ……」
OREジャーナルの新人記者、城戸真司は現状に懊悩していた。
ライダーバトルという殺し合いに身を投じていた時に、全く別の殺し合いに巻き込まれたこの状況は真司の処理能力を超えていた。
ライダーバトルという殺し合いに身を投じていた時に、全く別の殺し合いに巻き込まれたこの状況は真司の処理能力を超えていた。
真司はある日突然ミラーモンスターに襲われ窮地に陥ったところを榊原という男が変身した仮面ライダー龍騎に救われた。
ミラーモンスターとの戦闘で致命傷を負った榊原から龍騎のデッキを受け継ぎモンスターを生み出すコアミラーの存在を教えられた真司はコアミラーの破壊、ひいてはライダーバトルの阻止を目指しはじめた。
しかし他のライダーたちとの交渉は悉く失敗し、逆に真司の存在を疎んだライダーたちの同盟によって戦いに迷いを抱いていた秋山蓮共々追い詰められていた。
そのまま高見沢逸郎が変身する仮面ライダーベルデによって葬られそうになるも、蓮に庇われ九死に一生を得たものの龍騎のデッキは仮面ライダーオーディンに破壊されてしまった。
だが瀕死の蓮からナイトのデッキと蓮の恋人を救うことを託された真司は蓮の頼みを聞き入れ、己の信念を曲げて蓮の代わりにライダーバトルを勝ち抜くことを決意した。
ミラーモンスターとの戦闘で致命傷を負った榊原から龍騎のデッキを受け継ぎモンスターを生み出すコアミラーの存在を教えられた真司はコアミラーの破壊、ひいてはライダーバトルの阻止を目指しはじめた。
しかし他のライダーたちとの交渉は悉く失敗し、逆に真司の存在を疎んだライダーたちの同盟によって戦いに迷いを抱いていた秋山蓮共々追い詰められていた。
そのまま高見沢逸郎が変身する仮面ライダーベルデによって葬られそうになるも、蓮に庇われ九死に一生を得たものの龍騎のデッキは仮面ライダーオーディンに破壊されてしまった。
だが瀕死の蓮からナイトのデッキと蓮の恋人を救うことを託された真司は蓮の頼みを聞き入れ、己の信念を曲げて蓮の代わりにライダーバトルを勝ち抜くことを決意した。
そうしてファイナルベントを起動したライダーたちと対峙していた時、唐突に真司の意識は遠のき気づけばナイトサバイブへの変身も解けて見知らぬ空間にいた。
何が起こっているのか理解できないうちに主催者を名乗るメフィスとフェレスによって二人の少女が殺された。
こと戦闘に関わる直感以外で頭が回る方ではない真司でもあれが参加者に対する見せしめであることは容易に理解できた。
何が起こっているのか理解できないうちに主催者を名乗るメフィスとフェレスによって二人の少女が殺された。
こと戦闘に関わる直感以外で頭が回る方ではない真司でもあれが参加者に対する見せしめであることは容易に理解できた。
真司の中の良識が「これを許してはならない」と叫んでいる。
同時にライダーバトルでの経験が「殺し合いの阻止など不可能だ」と囁いている。
ライダー同士の戦いを止めようと奔走した真司の行動には結局何の意味もなく、逆に戦いに乗り気なライダーたちを一致団結させるだけだった。
無意味どころか逆効果な行為。蓮はそのせいで自分を庇い命を落としたようなものだ。
同時にライダーバトルでの経験が「殺し合いの阻止など不可能だ」と囁いている。
ライダー同士の戦いを止めようと奔走した真司の行動には結局何の意味もなく、逆に戦いに乗り気なライダーたちを一致団結させるだけだった。
無意味どころか逆効果な行為。蓮はそのせいで自分を庇い命を落としたようなものだ。
「なあ蓮……最後の一人になるまで戦えば、あの二人は願いを叶えてくれると思うか?」
答えが返って来ることはないとわかっていても言葉にせずにはいられなかった。
最早真司の命は真司だけのものではない。蓮の命と願いをも背負っている。無駄死にはできない。
しかしこの戦いは恐らくライダー同士の戦いとはまた異なるものであろうことをも感じ取っていた。
ライダーでも何でもない普通の人が巻き込まれた可能性は十分ある。
だからこそ苦悩せずにはいられない。本当に乗っていいのか?デッキを持たない者まで殺すのはいくら何でも―――
最早真司の命は真司だけのものではない。蓮の命と願いをも背負っている。無駄死にはできない。
しかしこの戦いは恐らくライダー同士の戦いとはまた異なるものであろうことをも感じ取っていた。
ライダーでも何でもない普通の人が巻き込まれた可能性は十分ある。
だからこそ苦悩せずにはいられない。本当に乗っていいのか?デッキを持たない者まで殺すのはいくら何でも―――
「ってそうだよデッキ!デッキは!?」
そこでようやく仮面ライダーに変身するためのカードデッキがなくなっていることに気づいた。
慌ててデイパックの中身を漁りナイトのデッキを探すがそれらしいものが見つからない。代わりにあるものが見つかった。
慌ててデイパックの中身を漁りナイトのデッキを探すがそれらしいものが見つからない。代わりにあるものが見つかった。
「何だこれ?ナイトの顔が書かれた…時計?」
見慣れないデバイスだった。見たところ時計に見えなくもないが秒針を刻んでいる様子はない。
これは一体何なのか?何故ナイトの顔が描かれているのか?
不思議に思って触っているとスイッチらしきものがあることに気づいた。
これは一体何なのか?何故ナイトの顔が描かれているのか?
不思議に思って触っているとスイッチらしきものがあることに気づいた。
『ナイト』
何気なくその時計、仮面ライダーナイトの力と歴史を封じたライドウォッチを起動した時、真司の脳に知らない光景がいくつも飛び込んできた。
それは真司が経験したライダーバトルとはまるで異なる世界だった。
その世界では真司が2002年の初頭のうちから龍騎となってライダーバトルに参戦し、モンスターから人を守るために戦っていた。
蓮と真司は何度もぶつかり合いながらも次第に信頼関係を築いていき、何と高見沢と一緒に自分たちを殺しに来たあの弁護士までが徐々に態度を軟化させていった。
時には浅倉さえも交えて四人で馬鹿をやることすらあった。手塚や須藤をはじめ多くのライダーが現れては散っていった。その度に蓮は迷っていた。
それは真司が経験したライダーバトルとはまるで異なる世界だった。
その世界では真司が2002年の初頭のうちから龍騎となってライダーバトルに参戦し、モンスターから人を守るために戦っていた。
蓮と真司は何度もぶつかり合いながらも次第に信頼関係を築いていき、何と高見沢と一緒に自分たちを殺しに来たあの弁護士までが徐々に態度を軟化させていった。
時には浅倉さえも交えて四人で馬鹿をやることすらあった。手塚や須藤をはじめ多くのライダーが現れては散っていった。その度に蓮は迷っていた。
だがライダーが三人にまで減り、戦いが終わりに近づいた頃、街に大量発生したモンスターとの戦闘で真司が死んだ。
その世界の城戸真司は迷いながらも人を守るために戦い続け、最後にはライダーバトルを止めるという確固たる願いを、答えを得て逝った。
真司の死を看取った蓮もまた自身の願いを貫く覚悟を決め、命と引き換えに仮面ライダーオーディンを討ち恋人の小川恵理の意識を取り戻した。
それで終わり。結局蓮は願いを叶えたものの再び恋人との生活を取り戻すことは叶わなかった。
その世界の城戸真司は迷いながらも人を守るために戦い続け、最後にはライダーバトルを止めるという確固たる願いを、答えを得て逝った。
真司の死を看取った蓮もまた自身の願いを貫く覚悟を決め、命と引き換えに仮面ライダーオーディンを討ち恋人の小川恵理の意識を取り戻した。
それで終わり。結局蓮は願いを叶えたものの再び恋人との生活を取り戻すことは叶わなかった。
「今の、は……」
意識が戻る。腰にはいつの間にかVバックルが装填され手にはウォッチの代わりにナイトのデッキが握られていた。
何故?さっきまでデッキなんて持っていなかったしデッキを鏡に翳してもいないのに。
何故?さっきまでデッキなんて持っていなかったしデッキを鏡に翳してもいないのに。
城戸真司は仮面ライダー龍騎だ。それは何度となく繰り返されたライダーバトルの歴史で一度も変わらなかった事実。
神崎士郎にデッキを渡されなかろうが、運命の悪戯によって何度でも城戸真司は仮面ライダー龍騎になり戦いに飛び込んでいく。
だが繰り返された戦いの歴史の中で一度だけ、城戸真司が仮面ライダーナイトとなった世界があった。
この殺し合いに参加させられた城戸真司はその世界から連れてこられている。
それ故か、あるいはメフィスとフェレスによる何らかの差配があったか。あるいは単なる偶然か。
仮面ライダーナイトの力と歴史を封じたナイトライドウォッチを起動した瞬間、真司は異なるライダーバトルの歴史を垣間見たのだった。
神崎士郎にデッキを渡されなかろうが、運命の悪戯によって何度でも城戸真司は仮面ライダー龍騎になり戦いに飛び込んでいく。
だが繰り返された戦いの歴史の中で一度だけ、城戸真司が仮面ライダーナイトとなった世界があった。
この殺し合いに参加させられた城戸真司はその世界から連れてこられている。
それ故か、あるいはメフィスとフェレスによる何らかの差配があったか。あるいは単なる偶然か。
仮面ライダーナイトの力と歴史を封じたナイトライドウォッチを起動した瞬間、真司は異なるライダーバトルの歴史を垣間見たのだった。
もう一つ。参加者への支給品の中に混ぜられたライドウォッチには主催側によって手が加えられている。
起動さえすれば本来の変身者本人でなかろうと、本来の変身者と真逆の性質を持つ者であろうとそのライダーに変身し力を振るうことができる。
鏡にデッキを翳す、ハザードレベルを高める、バグスターウィルスへの抗体を持つ、アギトの資質を持つ…等といった変身に本来必要な資格も工程も条件も全て無視できる。
全ては参加者全員に等しく優勝の可能性を与え、殺し合いを円滑に遂行するためだ。
起動さえすれば本来の変身者本人でなかろうと、本来の変身者と真逆の性質を持つ者であろうとそのライダーに変身し力を振るうことができる。
鏡にデッキを翳す、ハザードレベルを高める、バグスターウィルスへの抗体を持つ、アギトの資質を持つ…等といった変身に本来必要な資格も工程も条件も全て無視できる。
全ては参加者全員に等しく優勝の可能性を与え、殺し合いを円滑に遂行するためだ。
「結局どうやっても…蓮は死ぬしかないのかよ?
恵理さんが回復しても、そこに蓮がいなくちゃ悲しむだけじゃないか……!
何でだよ?どうして二人が一緒にいちゃいけないんだよ?
ライダー同士の戦いなんてなければ、二人ともずっと一緒にいられたはずなんだ!なのに……!」
恵理さんが回復しても、そこに蓮がいなくちゃ悲しむだけじゃないか……!
何でだよ?どうして二人が一緒にいちゃいけないんだよ?
ライダー同士の戦いなんてなければ、二人ともずっと一緒にいられたはずなんだ!なのに……!」
別の世界の秋山蓮の顛末を知った真司の胸に去来したのは悲しみとも怒りともつかない感情だった。
蓮はあれほど迷いながらも恵理を助けようとしていた。しかし蓮が最後まで勝ち抜けてもこの結末とは。
蓮はあれほど迷いながらも恵理を助けようとしていた。しかし蓮が最後まで勝ち抜けてもこの結末とは。
「どう足掻いてもライダー同士の戦いの枠組みじゃ、蓮か恵理さんのどっちかが犠牲になる。
それにモンスターに食われた人たちもたくさんいた。ライダーが戦ってる間に無関係の人が死んでいく……。
この殺し合いに勝ち抜けば、あの子たちならもっとすごい力で皆を助けたりできないか?」
それにモンスターに食われた人たちもたくさんいた。ライダーが戦ってる間に無関係の人が死んでいく……。
この殺し合いに勝ち抜けば、あの子たちならもっとすごい力で皆を助けたりできないか?」
最早元の世界のライダーバトルに希望はない。
例えこの殺し合いの打破に成功して元の世界に無事帰れたとして、既にそこに蓮はいない。
そしてそこからライダーバトルを勝ち抜かなければ恵理も助かることはない。完全に詰みだ。
例えこの殺し合いの打破に成功して元の世界に無事帰れたとして、既にそこに蓮はいない。
そしてそこからライダーバトルを勝ち抜かなければ恵理も助かることはない。完全に詰みだ。
だがあの少女たち、メフィスとフェレスならどうだ?
これだけ大掛かりなゲームを仕掛ける力を持っている彼女たちなら全てを解決できる力を持っているのではないか?
実際にあの二人は「どんな願いも一つだけ叶う」と言い切った。
少女を見せしめに殺すような主催者の発言を信用するのは危険なのは真司も理解している。
しかしこの首輪を外して彼女たちを出し抜く方策など真司には考えつかないし、他人に協力を求めても無駄だろう。
仮に誰か協力的な参加者を見つけられても、浅倉や高見沢のように殺し合いの進行を望む別の参加者に台無しにされるのがオチだ。
そういうことはライダーバトルでもう散々に懲りた。
これだけ大掛かりなゲームを仕掛ける力を持っている彼女たちなら全てを解決できる力を持っているのではないか?
実際にあの二人は「どんな願いも一つだけ叶う」と言い切った。
少女を見せしめに殺すような主催者の発言を信用するのは危険なのは真司も理解している。
しかしこの首輪を外して彼女たちを出し抜く方策など真司には考えつかないし、他人に協力を求めても無駄だろう。
仮に誰か協力的な参加者を見つけられても、浅倉や高見沢のように殺し合いの進行を望む別の参加者に台無しにされるのがオチだ。
そういうことはライダーバトルでもう散々に懲りた。
「でもそれは……巻き込まれた人たちも殺すってことで……いや待てよ、犠牲になった人全員助けてくれって頼むのはどうだ?
ライダーの戦いで死んだ人たちもこの殺し合いで死んだ人たちも最後に全員救えるなら……でも上手くいくか?もし断られたら……」
ライダーの戦いで死んだ人たちもこの殺し合いで死んだ人たちも最後に全員救えるなら……でも上手くいくか?もし断られたら……」
一度最後の一人になるまで勝ち残り、然る後願いの力でライダーバトルと今回の殺し合いで出た犠牲者全員を救済する。
妙案に思えたが、結局は「悪辣な見せしめを行ったメフィスとフェレスを信用できるか?」という問題に帰結する。
もし願いを断られたり、承諾されても不完全な形でしか叶わなかったら取り返しがつかない。
妙案に思えたが、結局は「悪辣な見せしめを行ったメフィスとフェレスを信用できるか?」という問題に帰結する。
もし願いを断られたり、承諾されても不完全な形でしか叶わなかったら取り返しがつかない。
「どうする?どうしたら……」
―――それが正しいかどうかじゃなくて……俺の、ライダーの一人として叶えたい願いがそれなんだ。
ふと、先ほど垣間見た別の世界の自分の最期の言葉を思い出した。
そうだ。あの世界の自分は今ここにいる自分よりもずっと長く戦って、ずっと長く迷っていた。
その上で出た結論は、「どうすればいいのか」ではなく「自分はどうしたいのか」という方向性での答えだった。
そうだ。あの世界の自分は今ここにいる自分よりもずっと長く戦って、ずっと長く迷っていた。
その上で出た結論は、「どうすればいいのか」ではなく「自分はどうしたいのか」という方向性での答えだった。
「俺が叶えたい願い……俺がしたいこと……」
―――城戸、戦ってくれ……。俺の代わりに……恵理を頼む。
そうだ。自分がコアミラーの破壊をやめてまで戦いを続けようと思ったのは蓮のためだ。
蓮には譲れない願いがあったにも関わらず、他人を犠牲にすることを迷っていた。最後には真司を庇って死んだ。
別の世界の蓮を知った今ならわかる。あれは蓮にとってこの上なく重い、苦渋の決断だった。
その想いに背を向けることはできない。ならば―――
蓮には譲れない願いがあったにも関わらず、他人を犠牲にすることを迷っていた。最後には真司を庇って死んだ。
別の世界の蓮を知った今ならわかる。あれは蓮にとってこの上なく重い、苦渋の決断だった。
その想いに背を向けることはできない。ならば―――
「俺はこの命を蓮と恵理さんを助けるために使う。
それが正しいかどうかの話じゃない。蓮が喜ぶかどうかの話でもない。
今ここにいる俺が、ライダーの一人として叶えたい願いがそれなんだ」
それが正しいかどうかの話じゃない。蓮が喜ぶかどうかの話でもない。
今ここにいる俺が、ライダーの一人として叶えたい願いがそれなんだ」
決意と覚悟を言葉にする。
もちろん他の犠牲者たちを救うことも可能なら叶えてもらう。
しかしどうしても全員を救えないなら―――真司は秋山蓮と小川恵理を他の誰より優先する。
そういう線引きをすることを決めた。
もちろん他の犠牲者たちを救うことも可能なら叶えてもらう。
しかしどうしても全員を救えないなら―――真司は秋山蓮と小川恵理を他の誰より優先する。
そういう線引きをすることを決めた。
全てが上手くいったとしても、蓮には殴られるだろう。
「誰がそこまでしろと頼んだ」と怒る様子が目に浮かぶ。
でもそれで良い。願いを叶えるために突き進んだ罪も報いも自分が背負う。
そうしたいと願ったのは、他ならぬ城戸真司自身なのだから。
「誰がそこまでしろと頼んだ」と怒る様子が目に浮かぶ。
でもそれで良い。願いを叶えるために突き進んだ罪も報いも自分が背負う。
そうしたいと願ったのは、他ならぬ城戸真司自身なのだから。
右拳を握り、体の左前に出してから手にしたナイトのデッキをVバックルに装填する。蓮がそうしていたように。
ここから先は後戻りのできない一本道だ。
ここから先は後戻りのできない一本道だ。
「変身!!」
バックルにデッキが装填されると同時に、真司の左右から騎士の鏡像のようなものが迫り来る。
鏡像が真司に重なった時、彼の姿は仮面ライダーナイトへと変じていた。
鏡像が真司に重なった時、彼の姿は仮面ライダーナイトへと変じていた。
「しゃあっ…!」
龍騎に変身していた時と同じように、変身直後の掛け声を出す。
自己暗示、あるいは空元気のようなものだ。
これから戦う相手はモンスターでもライダーでもない人間だ。
それでも倒す、殺す。そして勝つ。精一杯の自身への発破だった。
自己暗示、あるいは空元気のようなものだ。
これから戦う相手はモンスターでもライダーでもない人間だ。
それでも倒す、殺す。そして勝つ。精一杯の自身への発破だった。
○ ○ ○
そうして仮面ライダーナイト、城戸真司は岸波白野に出会った。
参加者を、敵を求めて平安京を飛び回っていたナイトは早々に目的を果たした。
靴すら履いていない一糸纏わぬ裸というこの上なく無防備な格好で、左手の甲に刻まれた赤い刺青が特徴的な一人の少女を。
その少女は見るからに大人しそうで、およそ荒事には向いていなさそうに見えた。
参加者を、敵を求めて平安京を飛び回っていたナイトは早々に目的を果たした。
靴すら履いていない一糸纏わぬ裸というこの上なく無防備な格好で、左手の甲に刻まれた赤い刺青が特徴的な一人の少女を。
その少女は見るからに大人しそうで、およそ荒事には向いていなさそうに見えた。
もちろん大そう驚いた。
熾烈な戦闘を覚悟していたにも関わらず、まるで漫画のようなハプニングに出くわすとは。
出来ることなら少女の助けになってやりたかった。
しかし―――それはできない。城戸真司は最後の一人となり願いを叶えると既に決めたから。
見過ごすことだって出来るだろう。だが敢えてそれもしない。
今ここで誰かを手に掛けて踏ん切りをつけなければ、自分はこの先誰も殺せないような気がしたから。
熾烈な戦闘を覚悟していたにも関わらず、まるで漫画のようなハプニングに出くわすとは。
出来ることなら少女の助けになってやりたかった。
しかし―――それはできない。城戸真司は最後の一人となり願いを叶えると既に決めたから。
見過ごすことだって出来るだろう。だが敢えてそれもしない。
今ここで誰かを手に掛けて踏ん切りをつけなければ、自分はこの先誰も殺せないような気がしたから。
「…………ごめん」
剣型の召喚器、ダークバイザーを取り出し構える。
狙いは心臓。せめて苦しませないよう一撃で命を断つ。
狙いは心臓。せめて苦しませないよう一撃で命を断つ。
「俺のことを恨んでくれていい。
もし出来るなら全部終わった後他の人たちと一緒に生き返らせる…けど、無理なら諦めてくれ」
もし出来るなら全部終わった後他の人たちと一緒に生き返らせる…けど、無理なら諦めてくれ」
腰だめにダークバイザーを構え、雄叫びを上げながら突進。
ただの突きではない。仮面ライダーという名の超人が繰り出す攻撃だ。速度も威力も只人のそれとは比較にならない。
ただの突きではない。仮面ライダーという名の超人が繰り出す攻撃だ。速度も威力も只人のそれとは比較にならない。
無防備な白野の身体を貫くはずだったナイトの攻撃。
だがナイトが走り出した瞬間、空間が歪み『2002』と描かれたゲートから一人の赤い戦士が弾かれたように飛び出した。
赤い戦士は低い姿勢でナイトへ突進し、その腰を掴んで白野から遠ざけていく。
もつれあった赤い戦士とナイトは地面を転がり、同時に起き上がって相手を睨んだ。
だがナイトが走り出した瞬間、空間が歪み『2002』と描かれたゲートから一人の赤い戦士が弾かれたように飛び出した。
赤い戦士は低い姿勢でナイトへ突進し、その腰を掴んで白野から遠ざけていく。
もつれあった赤い戦士とナイトは地面を転がり、同時に起き上がって相手を睨んだ。
「お、お前は……!?」
ナイトにとって今日幾度目の驚愕だろうか。
ナイトの殺人を止めた赤い戦士はもう存在しないはずだった。
元の世界でオーディンによって破壊された筈のデッキを使う戦士、元は城戸真司が変身していた仮面ライダー龍騎が立ちはだかっていた。
ナイトの殺人を止めた赤い戦士はもう存在しないはずだった。
元の世界でオーディンによって破壊された筈のデッキを使う戦士、元は城戸真司が変身していた仮面ライダー龍騎が立ちはだかっていた。
(これはどういう状況なの?このデバイスの力であの赤い戦士が召喚された?)
岸波白野もこの状況に困惑していた。
とはいえそこは月の聖杯戦争を、月の裏側での事件を駆け抜けたマスターだ。狼狽はせず状況の把握に努める。
とはいえそこは月の聖杯戦争を、月の裏側での事件を駆け抜けたマスターだ。狼狽はせず状況の把握に努める。
黒い騎士に殺されそうになった時、右手に持っていたグランドジオウライドウォッチが光り赤い戦士が現れた。
つまりはあれこそ説明書に書かれていた仮面ライダーなる存在。恐らく黒い騎士も同種の存在と見て間違いない。
赤い戦士が一瞬白野の方へ振り返った。言葉は発さなかったが「逃げろ」と言っているように感じた。
この場は―――
つまりはあれこそ説明書に書かれていた仮面ライダーなる存在。恐らく黒い騎士も同種の存在と見て間違いない。
赤い戦士が一瞬白野の方へ振り返った。言葉は発さなかったが「逃げろ」と言っているように感じた。
この場は―――
>逃げる
戦う
戦う
迷わず赤い戦士にその場を任せ離脱する。
戦うにはあまりにも状況が悪すぎる。仮面ライダーという存在に対する情報(マトリクス)も不十分だ。
ここは一度黒い騎士を撒いて少しでも態勢を整えるべきだ。
戦うにはあまりにも状況が悪すぎる。仮面ライダーという存在に対する情報(マトリクス)も不十分だ。
ここは一度黒い騎士を撒いて少しでも態勢を整えるべきだ。
岸波白野がその場を走り去ったことを確認した赤い戦士、龍騎はデッキからカードを取り出した。
それを見たナイトもまた反射的にカードを取り出し、二人の戦士がそれぞれの召喚器にカードを装填した。
それを見たナイトもまた反射的にカードを取り出し、二人の戦士がそれぞれの召喚器にカードを装填した。
『SWORD VENT』
龍騎の手にドラグセイバーが、ナイトの手にウイングランサーが渡る。
龍騎からは決してここを通さないという強い意志を感じる。それはまるで―――
龍騎からは決してここを通さないという強い意志を感じる。それはまるで―――
「お前は……俺なのか?」
ナイトの、真司の問いに龍騎は答えない。
しかしナイトのウォッチを通して別の世界を垣間見た真司にはわかる。
あの龍騎は違う世界の俺だ。何度も迷いながらもライダーの戦いを止めるという確固たる願いを見出した城戸真司だ。
しかしナイトのウォッチを通して別の世界を垣間見た真司にはわかる。
あの龍騎は違う世界の俺だ。何度も迷いながらもライダーの戦いを止めるという確固たる願いを見出した城戸真司だ。
「そっか…そうだよな。お前が俺なら、今の俺を認められないのは当たり前だ。
だけど俺も、お前を認めるわけにはいかないんだよ!」
だけど俺も、お前を認めるわけにはいかないんだよ!」
激突。龍騎のドラグセイバーとナイトのウイングランサーがぶつかり合い火花を散らす。
彼らは互いに同じ城戸真司だが、辿り着いた結論はどうしようもなく違えていた。
互いに互いを否定するように激しく剣を交える龍騎とナイト。
その最中ナイトはダークバイザーを取り出し二刀流で龍騎を押し込む。二刀による突きが龍騎のアーマーに直撃し吹き飛ばす。
彼らは互いに同じ城戸真司だが、辿り着いた結論はどうしようもなく違えていた。
互いに互いを否定するように激しく剣を交える龍騎とナイト。
その最中ナイトはダークバイザーを取り出し二刀流で龍騎を押し込む。二刀による突きが龍騎のアーマーに直撃し吹き飛ばす。
『TRICK VENT』
龍騎と距離が開いた隙を逃さず次のカードを装填。
手数を信条とするナイトの真骨頂とも言える分身体が二体出現し、走り出す。
迎撃せんと構える龍騎だが―――その龍騎を無視して分身たちは左右に分かれて逃げた少女、白野を追う。
龍騎は制止しようとしたが、防御の構えを取っていたために反応が遅れ分身を逃がしてしまう。
手数を信条とするナイトの真骨頂とも言える分身体が二体出現し、走り出す。
迎撃せんと構える龍騎だが―――その龍騎を無視して分身たちは左右に分かれて逃げた少女、白野を追う。
龍騎は制止しようとしたが、防御の構えを取っていたために反応が遅れ分身を逃がしてしまう。
『ADVENT』
彼女を逃がすわけにはいかない。それにこの手を使えば龍騎が動揺することはわかっていた。
何故なら真司が龍騎の立場なら同じ反応をするからだ。
更にアドベントを発動。ダークウイングを呼び出し手数を増やして龍騎を圧倒する算段だった。
ダークウィングの攻撃に対処している龍騎を狙いナイトが駆け出す。
何故なら真司が龍騎の立場なら同じ反応をするからだ。
更にアドベントを発動。ダークウイングを呼び出し手数を増やして龍騎を圧倒する算段だった。
ダークウィングの攻撃に対処している龍騎を狙いナイトが駆け出す。
だがナイトの攻撃が龍騎に届くよりも早く赤い龍が顕現する。
窮地の龍騎を救ったのはアドベントの使用もなく現れた無双龍ドラグレッダーだった。
龍騎からダークウイングを引き剥がし、解放された龍騎はドラグセイバーで反撃に転じ圧倒的優位を確信していたナイトに痛烈なカウンターを見舞う。
窮地の龍騎を救ったのはアドベントの使用もなく現れた無双龍ドラグレッダーだった。
龍騎からダークウイングを引き剥がし、解放された龍騎はドラグセイバーで反撃に転じ圧倒的優位を確信していたナイトに痛烈なカウンターを見舞う。
「うあっ!」
転がるナイト。攻守が逆転し、一刻も早く本体のナイトを倒し分身を消すため龍騎がドラグバイザーにカードを装填した。
『STRIKE VENT』
ドラグレッダーの頭部を模した打撃武装、ドラグクロ―が龍騎の右腕に装着される。
ドラグクロ―から放たれる火炎弾、ドラグクロ―ファイアーは5000℃もの熱量を誇る。
数多のミラーモンスターを葬り、直撃すればライダーでさえ一撃で戦闘不能に追い込みかねない威力を有している。
狙い澄ました必殺のタイミング。龍騎から放たれた火砲は吸い込まれるようにナイトへと迫り―――
ドラグクロ―から放たれる火炎弾、ドラグクロ―ファイアーは5000℃もの熱量を誇る。
数多のミラーモンスターを葬り、直撃すればライダーでさえ一撃で戦闘不能に追い込みかねない威力を有している。
狙い澄ました必殺のタイミング。龍騎から放たれた火砲は吸い込まれるようにナイトへと迫り―――
○ ○ ○
「ぜっ…、はぁ、はっ……」
龍騎とナイトの戦闘を始めた場所から離脱すること約200メートル弱。
たったそれだけの距離を走っただけで岸波白野は完全に息を切らしていた。
たったそれだけの距離を走っただけで岸波白野は完全に息を切らしていた。
(この身体、体力が全っ然ない……!)
SE.RA.PHや月の裏側では勝ち目のない強敵から逃げざるを得ない場面が何度かあった。
それに一日でアリーナを端から端まで駆け抜けてきたこともある。
だから走る、逃げるということにかけて白野は少々ばかり自信を持っていた。
しかしそれは白野が電脳体だったからこそ通せた無茶だ。
時間にしてつい数刻前までカプセルで眠っていた生身の身体は本来なら激しい運動が出来る状態ではない。
虚弱体質というわけではないにせよ、有り体に言って持久力、スタミナがほとんどないのだ。
肩で息をしているような現状では何もないところで無意味にジャンプしてみせるような元気もない。
それに一日でアリーナを端から端まで駆け抜けてきたこともある。
だから走る、逃げるということにかけて白野は少々ばかり自信を持っていた。
しかしそれは白野が電脳体だったからこそ通せた無茶だ。
時間にしてつい数刻前までカプセルで眠っていた生身の身体は本来なら激しい運動が出来る状態ではない。
虚弱体質というわけではないにせよ、有り体に言って持久力、スタミナがほとんどないのだ。
肩で息をしているような現状では何もないところで無意味にジャンプしてみせるような元気もない。
「嘘っ!?」
弱り目に祟り目とはこのことか、先ほど通った路地の曲がり角から黒い騎士、ナイトが二人同時に現れた。
何故増えたのか。赤い戦士はどうなったのか。疑問は尽きないが確信できることが一つ。
このままではあと数秒で岸波白野は殺される、ということだ。
何故増えたのか。赤い戦士はどうなったのか。疑問は尽きないが確信できることが一つ。
このままではあと数秒で岸波白野は殺される、ということだ。
「来て!」
咄嗟にグランドジオウライドウォッチを翳す。
説明書に書かれていた文章と先ほど赤い戦士が出現した事実を鑑みれば、この支給品は仮面ライダーなる者を召喚することができる。
この絶望的状況を打開できるとすれば、この場に別の仮面ライダーを召喚する以外にない。
説明書に書かれていた文章と先ほど赤い戦士が出現した事実を鑑みれば、この支給品は仮面ライダーなる者を召喚することができる。
この絶望的状況を打開できるとすれば、この場に別の仮面ライダーを召喚する以外にない。
『ダイカイガン!ニュートン!オメガドライブ!』
果たして白野の祈りは通じ、『2015』と描かれたゲートを潜り、青を基調としたボクサーのような出で立ちの仮面の戦士が現れた。
仮面ライダーゴースト、ニュートン魂が放った強力な斥力波によってナイトの分身二体は視界の外まで一瞬で吹き飛ばされていった。
直後にゴーストは消滅した。
仮面ライダーゴースト、ニュートン魂が放った強力な斥力波によってナイトの分身二体は視界の外まで一瞬で吹き飛ばされていった。
直後にゴーストは消滅した。
「今の黒騎士、首輪がついてなかった……まさか分身能力?」
ゴーストの後ろから状況を俯瞰していた白野は分身に参加者の証である首輪がなかったことを確認していた。
思えば自分が召喚した戦士にも首輪がついていなかった。
分身、召喚といった能力にはそういう特徴があるということなのだろう。
思えば自分が召喚した戦士にも首輪がついていなかった。
分身、召喚といった能力にはそういう特徴があるということなのだろう。
「どこかの建物にでも隠れた方が良いかな……」
どうあれわかっているのは相手はまだ白野の追跡を諦めていないということだ。
ひょっとするとグランドジオウライドウォッチの性能を見せてしまったのが良くなかったのかもしれない。
参加者の代わりに戦ってくれる戦士を召喚できる支給品となれば、間違いなく当たりの部類に違いない。
そんな役立つ支給品を見れば奪い取ろうと躍起になる、というのは十分あり得る話だ。ましてやそれを持っているのは裸の女ときている。
走って逃げるのは体力が持たないと判断した白野はどこか隠れられる場所を探そうと考えた。
ひょっとするとグランドジオウライドウォッチの性能を見せてしまったのが良くなかったのかもしれない。
参加者の代わりに戦ってくれる戦士を召喚できる支給品となれば、間違いなく当たりの部類に違いない。
そんな役立つ支給品を見れば奪い取ろうと躍起になる、というのは十分あり得る話だ。ましてやそれを持っているのは裸の女ときている。
走って逃げるのは体力が持たないと判断した白野はどこか隠れられる場所を探そうと考えた。
―――その時、爆発音が鳴り響いた。
○ ○ ○
着弾、轟音。
龍騎の放ったドラグクロ―ファイアーは過たずナイトへと命中していた。
だが。
龍騎の放ったドラグクロ―ファイアーは過たずナイトへと命中していた。
だが。
『GUARD VENT』
爆炎の中から無傷のナイトが現れ、背にはマントを羽織っていた。
このマントこそナイトがガードベントのカードによって呼び寄せたダークウイングが変形した姿。
ウイングウォールという名称がつけられたこのマントのAPは3000。龍騎のストライクベントを上回る数値を持つ。
それ故にナイトは無傷で攻撃を防ぎきることができたのだ。
このマントこそナイトがガードベントのカードによって呼び寄せたダークウイングが変形した姿。
ウイングウォールという名称がつけられたこのマントのAPは3000。龍騎のストライクベントを上回る数値を持つ。
それ故にナイトは無傷で攻撃を防ぎきることができたのだ。
『FINAL VENT』
ドラグバイザーから鳴った電子音声。それは必殺の一撃が放たれることを明瞭に示していた。
龍騎はまるでナイトのガードベントを読んでいたかのように、間髪入れず最後の切り札を発動した。
ファイナルベント。その名前が示す通りライダーが持ち得る手札の中で最大の威力を誇るカードだ。
本来城戸真司はライダーに向けて殺傷力の高いファイナルベントを撃つことはできないはずだった。
龍騎はまるでナイトのガードベントを読んでいたかのように、間髪入れず最後の切り札を発動した。
ファイナルベント。その名前が示す通りライダーが持ち得る手札の中で最大の威力を誇るカードだ。
本来城戸真司はライダーに向けて殺傷力の高いファイナルベントを撃つことはできないはずだった。
けれど今その殺意を向けられているナイトに驚きはなかった。むしろ自然に龍騎の殺意を受け入れてさえいた。
何故なら自分が龍騎と同じ立場なら同じことをする確信があるからだ。認められないもう一人の自分が相手だからだ。
だがそれは―――黙って死を受け入れることを意味しない。
何故なら自分が龍騎と同じ立場なら同じことをする確信があるからだ。認められないもう一人の自分が相手だからだ。
だがそれは―――黙って死を受け入れることを意味しない。
龍騎がドラグレッダーと共に空高く舞い上がる。
ドラゴンライダーキック。空中でキックポーズを取りドラグレッダーが射出した炎のエネルギーを纏って敵を蹴り飛ばす龍騎最強の技だ。
この技を放たれて受けきった、あるいは逃げ延びたミラーモンスターはただの一体も存在しない。
龍騎というデッキの高い攻撃力と城戸真司の戦闘センスの合わせ技あってこそドラゴンライダーキックは字義通りの「必殺」足り得る。
ドラゴンライダーキック。空中でキックポーズを取りドラグレッダーが射出した炎のエネルギーを纏って敵を蹴り飛ばす龍騎最強の技だ。
この技を放たれて受けきった、あるいは逃げ延びたミラーモンスターはただの一体も存在しない。
龍騎というデッキの高い攻撃力と城戸真司の戦闘センスの合わせ技あってこそドラゴンライダーキックは字義通りの「必殺」足り得る。
「悪いけど―――」
『NASTY VENT』
『NASTY VENT』
龍騎が空中で一回転を始めた瞬間、ナイトから分離したダークウイングが超音波を出しながら龍騎とドラグレッダーへ接近する。
攻撃に専心していた状態でまともに超音波を受けた龍騎とドラグレッダーは苦悶の声を上げながら地面に落下した。
ナスティベント。殺傷力こそないが、確実に敵の攻撃を妨害し隙を作り出せる優秀なカードだ。
攻撃に専心していた状態でまともに超音波を受けた龍騎とドラグレッダーは苦悶の声を上げながら地面に落下した。
ナスティベント。殺傷力こそないが、確実に敵の攻撃を妨害し隙を作り出せる優秀なカードだ。
「―――俺はまだ死ねない。俺が死んだら蓮と恵理さんを助けることができなくなる」
『FINAL VENT』
『FINAL VENT』
龍騎がそうしたように、ナイトもまたもう一人の自分へ向けてファイナルベントを切る。
未だ態勢を立て直せていない龍騎目掛けて、再びウイングウォールを纏って突進していく。
空高く跳躍。全身を高速で回転させ、己を一本の槍に見立てたかのように急降下し龍騎へと迫る。
龍騎にそれを避ける術はなく、直撃した瞬間に爆発とともに跡形もなく消滅した。
未だ態勢を立て直せていない龍騎目掛けて、再びウイングウォールを纏って突進していく。
空高く跳躍。全身を高速で回転させ、己を一本の槍に見立てたかのように急降下し龍騎へと迫る。
龍騎にそれを避ける術はなく、直撃した瞬間に爆発とともに跡形もなく消滅した。
これぞナイトのファイナルベント、飛翔斬。
この技もまた多くのミラーモンスターを葬り去り、ライダー同士の戦いでも何度も使われてきた切り札だ。
この技もまた多くのミラーモンスターを葬り去り、ライダー同士の戦いでも何度も使われてきた切り札だ。
「……もう後には引けないんだ」
初めてこの手でライダーを、違う道を選んだ自分自身を葬った。
これから進む道がどれほど悍ましく、血に塗れた道であろうと引き返す術はもうない。
当然、あの少女もまた参加者である以上見逃すことはできない。まだ遠くへは逃げていないはずだ。
変身時間を無駄にするわけにはいかない。
これから進む道がどれほど悍ましく、血に塗れた道であろうと引き返す術はもうない。
当然、あの少女もまた参加者である以上見逃すことはできない。まだ遠くへは逃げていないはずだ。
変身時間を無駄にするわけにはいかない。
ライドウォッチによる変身はどんな参加者にも一定の戦闘力を与える反面、特定の支給品に頼りきることはできないよう制限も設けられていた。
それは変身の制限時間とクールタイム。変身時間は一回につき十分、そして変身の解除後は二時間が経過しなければ再度の使用はできない。
真司はナイトに変身した直後に改めて添付の説明書に目を通してこの制限を把握していたのだった。
それは変身の制限時間とクールタイム。変身時間は一回につき十分、そして変身の解除後は二時間が経過しなければ再度の使用はできない。
真司はナイトに変身した直後に改めて添付の説明書に目を通してこの制限を把握していたのだった。
血染めの月が浮かぶ平安京の空をナイトが飛翔する。
ダークウイングが変形したウイングウォールはナイトの防具となるだけでなく、飛行能力をも付与する。
体感だがあと五分は時間が残っているはずだ。空からなら逃げた少女を見つけることも容易い。
それに彼女が持っていた龍騎を召喚した黄金のウォッチ、あれは危険だ。逆に真司が手に入れれば勝ち抜くのに有利に働くだろう。
ダークウイングが変形したウイングウォールはナイトの防具となるだけでなく、飛行能力をも付与する。
体感だがあと五分は時間が残っているはずだ。空からなら逃げた少女を見つけることも容易い。
それに彼女が持っていた龍騎を召喚した黄金のウォッチ、あれは危険だ。逆に真司が手に入れれば勝ち抜くのに有利に働くだろう。
「…いた」
あっさりと少女、岸波白野は補足された。
変身により強化されたナイトの視覚は潜伏先を探そうとしていた少女を正確に捉えていた。
龍騎との戦いでデッキは「ほぼ」枯渇しているが、幸い相手はまだナイトに気づいていない。
空中からの奇襲。それ一つで終わらせる。出来れば痛みを感じる暇を与えないように。
ウイングランサーを構え、突撃の態勢を作る。……だがその手は震えていた。
変身により強化されたナイトの視覚は潜伏先を探そうとしていた少女を正確に捉えていた。
龍騎との戦いでデッキは「ほぼ」枯渇しているが、幸い相手はまだナイトに気づいていない。
空中からの奇襲。それ一つで終わらせる。出来れば痛みを感じる暇を与えないように。
ウイングランサーを構え、突撃の態勢を作る。……だがその手は震えていた。
(まだ迷ってるのかよ、俺ってやつは!?)
迷いを振り払おうと頭を振る。
今さらライダーバトルを終わらせようとしていた頃の自分に戻れるとでも思っているのか?
たまたま強力な支給品を持っていただけで、本来なら無力で無防備だったであろう少女を殺そうとする段まで踏み込んでおいて?
そもそもこの場において殺し合いを否定するということは、蓮から託された願いにも反しているではないか。
甘えるな、いい加減に覚悟を決めろ城戸真司。
今さらライダーバトルを終わらせようとしていた頃の自分に戻れるとでも思っているのか?
たまたま強力な支給品を持っていただけで、本来なら無力で無防備だったであろう少女を殺そうとする段まで踏み込んでおいて?
そもそもこの場において殺し合いを否定するということは、蓮から託された願いにも反しているではないか。
甘えるな、いい加減に覚悟を決めろ城戸真司。
「ぁあああああああああああああああっ!!!」
咆哮。同時にウイングランサーを突きだし一直線に急降下するナイト。
ファイナルベントのような技でこそないが、莫大な運動エネルギーが込められた突撃の破壊力はライダーをも殺傷し得る。
ファイナルベントのような技でこそないが、莫大な運動エネルギーが込められた突撃の破壊力はライダーをも殺傷し得る。
―――対象に命中すれば、の話だが。
「さすがにしつこい……!」
咆哮を上げたために白野は直前で空中のナイトに気づいていた。
咄嗟にグランドジオウライドウォッチを翳し、白野と突撃するナイトの間に立つようにライダーが召喚された。
咄嗟にグランドジオウライドウォッチを翳し、白野と突撃するナイトの間に立つようにライダーが召喚された。
「ライダーキック」
『RIDER KICK』
『RIDER KICK』
仮面ライダーカブト・ライダーフォーム。
既に必殺技の発動準備を終えた状態で召喚されたカブトのタキオン粒子を纏った回し蹴りがナイトに炸裂。
ライダーキックによる衝撃とそれに伴う爆発によって地面を転げ回った。
既に必殺技の発動準備を終えた状態で召喚されたカブトのタキオン粒子を纏った回し蹴りがナイトに炸裂。
ライダーキックによる衝撃とそれに伴う爆発によって地面を転げ回った。
「甘いな…」
真司の胸中を見透かしたようにそう言い残し消えるカブト。
逆に岸波白野はナイトが大きなダメージを受けた状況にあっても油断をしていなかった。
咄嗟にウイングランサーを盾代わりにしてカブトのライダーキックを受け止めていたのを見ていたが故に。
逆に岸波白野はナイトが大きなダメージを受けた状況にあっても油断をしていなかった。
咄嗟にウイングランサーを盾代わりにしてカブトのライダーキックを受け止めていたのを見ていたが故に。
「行って!」
段々と白野もグランドジオウライドウォッチの使い方、コツを掴みつつあった。
エネミーやサーヴァントとの戦闘の時のように指示を出せば、召喚されたライダーは概ねその指示に従うのだ。
次に召喚されたのは仮面ライダーファイズ。フォトンエッジを構え起き上がったナイトに斬りかかっていく。
そのナイトはと言えば、ライダーキックを受け止めた代償に刀身が半ばから折れたウイングランサーを捨て、デッキから最後のカードを取り出していた。
サバイブ・疾風。ライダーを強化形態であるサバイブへと進化させるとっておきの切り札だ。
エネミーやサーヴァントとの戦闘の時のように指示を出せば、召喚されたライダーは概ねその指示に従うのだ。
次に召喚されたのは仮面ライダーファイズ。フォトンエッジを構え起き上がったナイトに斬りかかっていく。
そのナイトはと言えば、ライダーキックを受け止めた代償に刀身が半ばから折れたウイングランサーを捨て、デッキから最後のカードを取り出していた。
サバイブ・疾風。ライダーを強化形態であるサバイブへと進化させるとっておきの切り札だ。
「うっ……!」
ナイトを中心に吹きつける強い風に思わず顔を顰める白野。
ファイズも突然の強風に一瞬足を止めてしまっていた。
ファイズも突然の強風に一瞬足を止めてしまっていた。
『SURVIVE』
風が収まった時、ナイトの姿は青みが増し、金の装飾が増えたナイトサバイブの姿へと変じていた。
即座に斬りかかったファイズの斬撃をナイトサバイブは軽々と回避、左腕の盾から取り出した剣で逆に斬り捨てた。
即座に斬りかかったファイズの斬撃をナイトサバイブは軽々と回避、左腕の盾から取り出した剣で逆に斬り捨てた。
(強い……!)
明らかに姿が変わる前よりプレッシャーが増している。
仮面ライダーをよく知らない白野にも相手が全力を出してこちらを殺しに来ていることがわかる。
だからといって、ハイそうですかと殺されてやるわけにはいかない。
戦力は当然こちらが劣勢で逃げ出すこともできない。ルール無用の殺し合いではSE.RA.PHの介入も望めない。
仮面ライダーをよく知らない白野にも相手が全力を出してこちらを殺しに来ていることがわかる。
だからといって、ハイそうですかと殺されてやるわけにはいかない。
戦力は当然こちらが劣勢で逃げ出すこともできない。ルール無用の殺し合いではSE.RA.PHの介入も望めない。
―――それでも、斃して先に進む以外に生き残る道はない。
身体を隠していた両手をダラリと下げ、聖杯戦争での戦闘態勢に移行する。
胸も性器も丸出しになり、凄まじい羞恥がこみ上げるが歯を食いしばって耐える。
敵を前にして両手が塞がっていてはいざという時の動きに遅れが出てしまう。それは極限状況であまりに致命的な隙になる。
胸も性器も丸出しになり、凄まじい羞恥がこみ上げるが歯を食いしばって耐える。
敵を前にして両手が塞がっていてはいざという時の動きに遅れが出てしまう。それは極限状況であまりに致命的な隙になる。
「来て!」
白野の呼び声に応じて二体の仮面ライダーが一度に召喚された。
「大体わかった」
マゼンタのスーツに白いベルトの破壊者、仮面ライダーディケイド。
「私がベストオブベストのビルドだ」
黄色と紫を織り交ぜた配色、忍びのエンターテイナー、仮面ライダービルド・ニンニンコミックフォーム。
「何人出てくるんだよ!?」
相手取る真司にしてみれば少女の裸身に男としての劣情を催すような余裕など全くない。
倒しても次々とライダーが現れる。それにサバイブは強力だが反面体力の消耗も激しいためどのみち長期戦は出来ない。
新たに出現した二人のライダーを速やかに駆逐すべく、デッキからカードを取り出そうとした、その時。
倒しても次々とライダーが現れる。それにサバイブは強力だが反面体力の消耗も激しいためどのみち長期戦は出来ない。
新たに出現した二人のライダーを速やかに駆逐すべく、デッキからカードを取り出そうとした、その時。
「右腕とベルトを狙って!」
デッキに伸ばした右手を狙ってディケイドがガンモードのライドブッカーで銃撃を見舞った。
咄嗟に左腕の盾で銃撃を防ぐが、その一瞬の隙に四コマ忍法刀を構えたビルドがナイトサバイブの懐へ潜り込みVバックルを狙う。
咄嗟に左腕の盾で銃撃を防ぐが、その一瞬の隙に四コマ忍法刀を構えたビルドがナイトサバイブの懐へ潜り込みVバックルを狙う。
「おわっ!?」
どうにか身を捻ってビルドの斬撃を回避、剣を振るって反撃するがビルドも素早い反応でこれを受け止めた。
(デッキの弱点がバレてる!)
先ほどサバイブを発動した時に白野はナイトの能力使用の手順を見ていた。
ナイト及びナイトサバイブは召喚器を左腕に装備する関係上右手でデッキからカードを引き抜き、左腕の召喚器に装填せねばならない。
つまり構造上左腕だけではカードの使用はできず、右腕かデッキのどちらかを潰されればカードの使用は封じられる。
その弱点を、白野はたった一度ナイトがカードを使ったところを見ただけで看破していた。
ナイト及びナイトサバイブは召喚器を左腕に装備する関係上右手でデッキからカードを引き抜き、左腕の召喚器に装填せねばならない。
つまり構造上左腕だけではカードの使用はできず、右腕かデッキのどちらかを潰されればカードの使用は封じられる。
その弱点を、白野はたった一度ナイトがカードを使ったところを見ただけで看破していた。
「今!足元がお留守!」
ビルドと鍔迫り合いを演じていたところにディケイドがナイトサバイブの足を目掛け銃撃。
膝に命中した光弾は強化形態であるナイトサバイブにさしたるダメージを与えなかったが態勢を崩すことには成功した。
すかさずビルドが連続攻撃。Vバックルの破壊こそできなかったものの、アーマーに命中した斬撃はナイトサバイブを吹き飛ばした。
膝に命中した光弾は強化形態であるナイトサバイブにさしたるダメージを与えなかったが態勢を崩すことには成功した。
すかさずビルドが連続攻撃。Vバックルの破壊こそできなかったものの、アーマーに命中した斬撃はナイトサバイブを吹き飛ばした。
しかしナイトサバイブもやられっぱなしではない。吹っ飛ばされながらも、むしろそれを好機としてデッキからカードを取り出していた。
迷わずカードをドラグバイザーツバイに装填した。
迷わずカードをドラグバイザーツバイに装填した。
『BLUST VENT』
ダークウイングが進化した姿、ダークレイダーが現れ両翼からタイヤのような部位が出現する。
そこから放たれるのはミラーモンスター複数をまとめて吹き飛ばすほどの威力を持った猛烈な風だ。
まともに命中すればディケイドとビルドを吹き飛ばすのはもちろん射線上に居る白野の命を奪えることは間違いないだろう。
そこから放たれるのはミラーモンスター複数をまとめて吹き飛ばすほどの威力を持った猛烈な風だ。
まともに命中すればディケイドとビルドを吹き飛ばすのはもちろん射線上に居る白野の命を奪えることは間違いないだろう。
『風遁の術!』
ダークレイダーが風を放つ直前、ビルドが四コマ忍法刀の機能を起動し刀に風を纏わせる。
そして放たれた暴風を刀で受け流し、力負けしつつもブラストベントの風の軌道を逸らしてのけた。
正面から同じ風の力をぶつけて相殺しようとしたならパワーの差でビルドが敗れていただろう。しかし逸らすだけなら同等のパワーは必要ない。
そして放たれた暴風を刀で受け流し、力負けしつつもブラストベントの風の軌道を逸らしてのけた。
正面から同じ風の力をぶつけて相殺しようとしたならパワーの差でビルドが敗れていただろう。しかし逸らすだけなら同等のパワーは必要ない。
『ATTACK RIDE BLUST!』
ビルドがブラストベントの風を逸らした次の瞬間、ビルドの背後から既にカードを装填していたディケイドが現れライドブッカーの銃口をナイトサバイブへ向ける。
通常よりも強化された光弾の嵐が次々とナイトサバイブへと命中した。
通常よりも強化された光弾の嵐が次々とナイトサバイブへと命中した。
「ぐあっ……!」
アタックライドによる攻撃はさすがのナイトサバイブでもダメージを免れず、態勢を崩す。
岸波白野がライダーに指示を与えはじめた瞬間、目に見えてライダーの動きが的確になった。
ここに来て真司は己の認識が甘かったことをようやく理解した。
岸波白野がライダーに指示を与えはじめた瞬間、目に見えてライダーの動きが的確になった。
ここに来て真司は己の認識が甘かったことをようやく理解した。
(俺の動きが読まれてる!?あの子、ただの一般人じゃない!)
今の今まで真司は自分は少女、岸波白野を殺す側だとは思っていても自分が彼女に殺される側に回るかもしれないとは考えていなかった。
ここまでの苦戦は偏に少女が持っていた支給品の力によるものだとしか思っておらず、それさえも突破できないものではないと高を括っていた。
ある意味間違ってはいない。元より岸波白野という人間に戦う力は備わっていないのだから。
ここまでの苦戦は偏に少女が持っていた支給品の力によるものだとしか思っておらず、それさえも突破できないものではないと高を括っていた。
ある意味間違ってはいない。元より岸波白野という人間に戦う力は備わっていないのだから。
だが直接戦う力を持たずとも、岸波白野には月の聖杯戦争と月の裏側の事件で培った、サーヴァント戦の経験値がある。
当初は単なる凡人に過ぎなかった彼女は何度もサーヴァントと共に死地を潜り抜けることで類稀な戦術指揮能力を会得していた。
その指揮能力を発揮できる状況さえ整えば格上の参加者をも殺し得る。
当初は単なる凡人に過ぎなかった彼女は何度もサーヴァントと共に死地を潜り抜けることで類稀な戦術指揮能力を会得していた。
その指揮能力を発揮できる状況さえ整えば格上の参加者をも殺し得る。
バトルロワイアルの参加者は戦力の格差こそあれ、誰にも等しく優勝する可能性そのものは与えられている。
度を越した強者には制限が設けられ、一般人などの弱者には役立つ支給品が与えられる場合がある。
優れた戦闘センスを持っているとしても、仮面ライダーであるとしてもそれは絶対的なアドバンテージ足り得ない。
強者といえど己の力に胡坐をかけば瞬く間に死に逝く世界、それがこの平安京。
殺し合いに乗る者であれ反抗する者であれ、生き抜く強い意志こそが力になる。即ち―――
度を越した強者には制限が設けられ、一般人などの弱者には役立つ支給品が与えられる場合がある。
優れた戦闘センスを持っているとしても、仮面ライダーであるとしてもそれは絶対的なアドバンテージ足り得ない。
強者といえど己の力に胡坐をかけば瞬く間に死に逝く世界、それがこの平安京。
殺し合いに乗る者であれ反抗する者であれ、生き抜く強い意志こそが力になる。即ち―――
―――Sword or Death。戦わなければ生き残れない。
【城戸真司@仮面ライダー龍騎TVSP 13RIDERS】
[状態] :ダメージ(中)、疲労(中)、仮面ライダーナイトサバイブに変身中(変身解除まで約3分)
[装備] :ナイトのデッキ(ナイトライドウォッチ)@仮面ライダージオウ、ダークバイザーツバイ@仮面ライダー龍騎
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:優勝してバトルロワイアルでの犠牲者及び元の世界でのライダーバトルの犠牲者全員を生き返らせてもらう。
それが叶わない場合は秋山蓮の蘇生と小川恵理の回復を優先する。
1:目の前の仮面ライダーたちと少女(岸波白野)を倒す
[備考]
※参戦時期は「戦いを続ける」ENDからです
※ナイトライドウォッチを通して仮面ライダー龍騎TV本編の世界を垣間見ました。
少なくとも秋山蓮視点での大まかな流れは把握しています。
※仮面ライダーナイト及びナイトサバイブのトリックベントを使用した際、出現する分身には首輪が付きません
[状態] :ダメージ(中)、疲労(中)、仮面ライダーナイトサバイブに変身中(変身解除まで約3分)
[装備] :ナイトのデッキ(ナイトライドウォッチ)@仮面ライダージオウ、ダークバイザーツバイ@仮面ライダー龍騎
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:優勝してバトルロワイアルでの犠牲者及び元の世界でのライダーバトルの犠牲者全員を生き返らせてもらう。
それが叶わない場合は秋山蓮の蘇生と小川恵理の回復を優先する。
1:目の前の仮面ライダーたちと少女(岸波白野)を倒す
[備考]
※参戦時期は「戦いを続ける」ENDからです
※ナイトライドウォッチを通して仮面ライダー龍騎TV本編の世界を垣間見ました。
少なくとも秋山蓮視点での大まかな流れは把握しています。
※仮面ライダーナイト及びナイトサバイブのトリックベントを使用した際、出現する分身には首輪が付きません
【岸波白野@Fate/EXTRA CCC】
[状態] :疲労(大)、全裸、強い羞恥
[装備] :グランドジオウライドウォッチ@仮面ライダージオウ、令呪三画@Fate/EXTRA CCC
[道具]:基本支給品、軍神の剣@Fate/Grand Order、ランペイジガトリングプログライズキー@仮面ライダーゼロワン
[思考・状況]
基本方針:スタンス未定。とりあえず生き残る。
0:とても 恥ずかしい!
1:目の前の参加者(城戸真司)を倒す
2:桜が巻き込まれていないかが気になる
3:衣服と靴が欲しい(切実)
4:なるべく早く生身の身体に慣れたい
[備考]
※参戦時期はギルガメッシュルート、CCCエンドからです。
※令呪を持っているため、未契約のサーヴァントとの合意があればマスター契約を結ぶことができます
※現在のグランドジオウライドウォッチの使用状況は以下の通りです
龍騎、ファイズ、カブト、ゴースト:再召喚可能になるまで約二時間
ディケイド、ビルド:召喚中
[状態] :疲労(大)、全裸、強い羞恥
[装備] :グランドジオウライドウォッチ@仮面ライダージオウ、令呪三画@Fate/EXTRA CCC
[道具]:基本支給品、軍神の剣@Fate/Grand Order、ランペイジガトリングプログライズキー@仮面ライダーゼロワン
[思考・状況]
基本方針:スタンス未定。とりあえず生き残る。
0:とても 恥ずかしい!
1:目の前の参加者(城戸真司)を倒す
2:桜が巻き込まれていないかが気になる
3:衣服と靴が欲しい(切実)
4:なるべく早く生身の身体に慣れたい
[備考]
※参戦時期はギルガメッシュルート、CCCエンドからです。
※令呪を持っているため、未契約のサーヴァントとの合意があればマスター契約を結ぶことができます
※現在のグランドジオウライドウォッチの使用状況は以下の通りです
龍騎、ファイズ、カブト、ゴースト:再召喚可能になるまで約二時間
ディケイド、ビルド:召喚中
【ナイトライドウォッチ@仮面ライダージオウ】
仮面ライダーナイトの力と歴史を封じた時計型のデバイス。城戸真司の支給品。
ジクウドライバーで変身する仮面ライダーが使うことでアーマータイムを発動できる。
また力を奪われた本来の変身者がウォッチを起動すれば一時的に変身能力を取り戻すこともできる。
本ロワではライドウォッチを起動することで該当するライダーの変身アイテムへと変化し、変身者の資質や変身条件を無視して誰でも仮面ライダーに変身することが可能。
ただし変身時間は一度につき最大十分間で、変身解除すると二時間は再使用できない。
強化形態にも変身できるが変身するには本来の変身者であることか該当するライダーの力と相性が良い者、あるいは該当するライダーの力への理解や習熟を深める必要がある。
仮面ライダーナイトの力と歴史を封じた時計型のデバイス。城戸真司の支給品。
ジクウドライバーで変身する仮面ライダーが使うことでアーマータイムを発動できる。
また力を奪われた本来の変身者がウォッチを起動すれば一時的に変身能力を取り戻すこともできる。
本ロワではライドウォッチを起動することで該当するライダーの変身アイテムへと変化し、変身者の資質や変身条件を無視して誰でも仮面ライダーに変身することが可能。
ただし変身時間は一度につき最大十分間で、変身解除すると二時間は再使用できない。
強化形態にも変身できるが変身するには本来の変身者であることか該当するライダーの力と相性が良い者、あるいは該当するライダーの力への理解や習熟を深める必要がある。
【グランドジオウライドウォッチ@仮面ライダージオウ】
仮面ライダークウガ〜ビルドまでの主役ライダーの力と歴史を収斂した特殊なライドウォッチ。岸波白野の支給品。
原作では仮面ライダージオウの最強フォーム、仮面ライダーグランドジオウの変身アイテムとして使われた。
クウガ〜ビルドまでの主役ライダー本人や彼らが使っていた武器を歴史から召喚し、使役することができる。
原作最終話では変身前の常盤ソウゴがグランドジオウライドウォッチから直接ライダーを召喚する描写もあった。
本ロワでは手に持つことでクウガ〜ビルドまでの主役ライダーを召喚・使役することができる。
ただし以下の制限が存在する。
仮面ライダークウガ〜ビルドまでの主役ライダーの力と歴史を収斂した特殊なライドウォッチ。岸波白野の支給品。
原作では仮面ライダージオウの最強フォーム、仮面ライダーグランドジオウの変身アイテムとして使われた。
クウガ〜ビルドまでの主役ライダー本人や彼らが使っていた武器を歴史から召喚し、使役することができる。
原作最終話では変身前の常盤ソウゴがグランドジオウライドウォッチから直接ライダーを召喚する描写もあった。
本ロワでは手に持つことでクウガ〜ビルドまでの主役ライダーを召喚・使役することができる。
ただし以下の制限が存在する。
- 召喚できるのは一度に二人まで。ただし乗り物や分身能力による一時的な数の増加はカウント外。
- 召喚したライダーは五分経過で自動的に消滅し、その後二時間再召喚不可になる。また必殺技を発動すると直後に消滅する。
- 中間フォーム、最強フォームは召喚できない。召喚できるのは基本フォームか派生フォームのみ。
- この他各ライダーの強力な特殊能力(カブトのクロックアップ、オーズのガタキリバコンボ等)は個別に制限されている場合がある。
【ランペイジガトリングプログライズキー@仮面ライダーゼロワン】
仮面ライダーバルカンの最強フォーム、仮面ライダーランペイジバルカンに変身するためのプログライズキー。岸波白野の支給品。
エイムズショットライザーに装填することで変身する……が、強い圧力を掛けなければ認証装置のロックを解除することができない。
ロックを解除するには最低でもゴリラめいた怪力を持つ人間の腕力が必要になるだろう。
仮面ライダーバルカンの最強フォーム、仮面ライダーランペイジバルカンに変身するためのプログライズキー。岸波白野の支給品。
エイムズショットライザーに装填することで変身する……が、強い圧力を掛けなければ認証装置のロックを解除することができない。
ロックを解除するには最低でもゴリラめいた怪力を持つ人間の腕力が必要になるだろう。
【軍神の剣@Fate/Grand Order】
セイバーのサーヴァント、アルテラの宝具で三色の光を纏った長剣。岸波白野の支給品。
三色の光で構成された「刀身」は地上に於ける 「あらゆる存在」を破壊し得るという。
真の力を解放した時、ランクと種別が上昇する。
セイバーのサーヴァント、アルテラの宝具で三色の光を纏った長剣。岸波白野の支給品。
三色の光で構成された「刀身」は地上に於ける 「あらゆる存在」を破壊し得るという。
真の力を解放した時、ランクと種別が上昇する。