血生臭い殺し合いの会場と化した平安京のどこかで、参加者の一人である、スーツを纏い、頭に白髪を生やした初老近い男性が怯えている。
前触れもなくいきなり死の恐怖に曝されればある種当然だろう。
だがこの怯え方は尋常ではない。
前触れもなくいきなり死の恐怖に曝されればある種当然だろう。
だがこの怯え方は尋常ではない。
「嫌だ……死ぬのは嫌だ……」
先ほどからこれと同じようなことをブツブツと呟き、支給されていたサブマシンガンを構え、落ち着きなく辺りを見回し続けている。
なぜ見回すのかと問われたら、参加者が目に入った瞬間に引き金を引くつもりだからだ。
相手が殺し合いに乗っていようが乗っていまいが知ったことではない。
そんなことは見ただけでは分からないのだから。殺してしまえば絶対に安心だ。
なぜ見回すのかと問われたら、参加者が目に入った瞬間に引き金を引くつもりだからだ。
相手が殺し合いに乗っていようが乗っていまいが知ったことではない。
そんなことは見ただけでは分からないのだから。殺してしまえば絶対に安心だ。
これほどの恐怖を抱きながら、彼は警戒を続けていた。
「もう二度と……あんな思いは……」
彼の尋常ではない恐怖の原因は、死という物に対しての認識にある。
彼は一度死を体験している。
それも死に瀕したが奇跡の生還劇を演じたのではなく、実際に一度死亡し、その後に殺し合いに参加させられているのだ。
故に二度目の死に怯え、己にできる全霊を掛けて警戒しているのだ。
彼は一度死を体験している。
それも死に瀕したが奇跡の生還劇を演じたのではなく、実際に一度死亡し、その後に殺し合いに参加させられているのだ。
故に二度目の死に怯え、己にできる全霊を掛けて警戒しているのだ。
そんな彼の名は的場勇一郎。殺し合いに来る前までは不動高校というところで物理教えていた、もうすぐ定年になる冴えない教師だ。
ここからは、彼がなぜ一度死んだかを簡単に解説しよう。
それにはまず、不動高校の成り立ちから説明しなければならない。
ここからは、彼がなぜ一度死んだかを簡単に解説しよう。
それにはまず、不動高校の成り立ちから説明しなければならない。
不動高校はそもそも、かつて社屋を置いていた高畑製薬という会社が建物を寄付したところから開校している。
だが、実は高畑製薬は金で人を釣って新薬の人体実験を行った過去がある。
しかもその実験は失敗し、被験者は全員死亡。この事態を隠蔽するために、会社は被験者の死体を建物やその周りに隠して寄付したのだ。
学校になればそう簡単に建物を壊さないだろう、推測していたらしい。
だが、実は高畑製薬は金で人を釣って新薬の人体実験を行った過去がある。
しかもその実験は失敗し、被験者は全員死亡。この事態を隠蔽するために、会社は被験者の死体を建物やその周りに隠して寄付したのだ。
学校になればそう簡単に建物を壊さないだろう、推測していたらしい。
的場はその死体が生徒に見つからないようにするために寝ずの番として高畑製薬から送り込まれ、教師をしていたのだ。
彼は学園六不思議として死体のある場所にちなんだ怪談を流し、生徒を近づけないようにしていた。
その後しばらくは平穏に教師として過ごし、かつて寄付した校舎が旧校舎となり、いつしか使命すら忘れかけていたが十年前、推理小説部の女子生徒、青山ちひろがこの怪談に興味を持つ。
彼女の調査の末、結果として真相を知り、的場に対しこの件を警察に通報すると通告。
的場はなんとか止めようとしてもみ合った結果、青山は階段から転落し事故死してしまう。
彼に殺意はなかったが、これがきっかけで過去が芋づる式に明かされることを恐れ、後に引けなくなった彼は旧校舎の楽器室に青山の死体を隠し、表向きには行方不明ということにした。
そして不思議を一つ増やし、学園七不思議として呪われた音楽室の怪談を流した。
彼は学園六不思議として死体のある場所にちなんだ怪談を流し、生徒を近づけないようにしていた。
その後しばらくは平穏に教師として過ごし、かつて寄付した校舎が旧校舎となり、いつしか使命すら忘れかけていたが十年前、推理小説部の女子生徒、青山ちひろがこの怪談に興味を持つ。
彼女の調査の末、結果として真相を知り、的場に対しこの件を警察に通報すると通告。
的場はなんとか止めようとしてもみ合った結果、青山は階段から転落し事故死してしまう。
彼に殺意はなかったが、これがきっかけで過去が芋づる式に明かされることを恐れ、後に引けなくなった彼は旧校舎の楽器室に青山の死体を隠し、表向きには行方不明ということにした。
そして不思議を一つ増やし、学園七不思議として呪われた音楽室の怪談を流した。
それからしばらくして、推理小説部改めミステリー研が過去の楽器室を部室としたため顧問をかって出た。
しかし旧校舎も流石に古くなり、取り壊しの案が出始めたので彼は脅迫文を学校に送り付ける。
それと同時にミステリー研の部員の一人が、壁に埋められ、骨となった青山を発見。
その場に居合わせた的場は咄嗟に部員を殺害。これを自身が流した怪談と合わせて見立て殺人とした。
しかし旧校舎も流石に古くなり、取り壊しの案が出始めたので彼は脅迫文を学校に送り付ける。
それと同時にミステリー研の部員の一人が、壁に埋められ、骨となった青山を発見。
その場に居合わせた的場は咄嗟に部員を殺害。これを自身が流した怪談と合わせて見立て殺人とした。
それを重く見られ、旧校舎の解体はなくなったが、その後骨を別の部員にまたも見られそうになり再び殺害。
そして三度目、別の部員にまたも見られそうになったので殺害しようとするも失敗。
そして三度目、別の部員にまたも見られそうになったので殺害しようとするも失敗。
最後には骨のことも彼が起こした連続殺人のことも、不動高校の生徒金田一一に調べられ、的場は全てを自供。
すると、実はその場にいた、青山ちひろの失踪の真相を調べていた彼女の父が的場を殺害。
彼は死の恐怖に怯えながら、自らの因果を払ってこの世を去った。
すると、実はその場にいた、青山ちひろの失踪の真相を調べていた彼女の父が的場を殺害。
彼は死の恐怖に怯えながら、自らの因果を払ってこの世を去った。
はずだが、気づけばこの殺し合いに巻き込まれていた。
最初は何が起こったのか分からなかったが、少女二人の首が爆破で吹き飛んだ時、彼は現状を理解し、二度目の死に怯えたのだ。
最初は何が起こったのか分からなかったが、少女二人の首が爆破で吹き飛んだ時、彼は現状を理解し、二度目の死に怯えたのだ。
ガシャン
「!?」
いきなり謎の金属音が聞こえ、的場は迷うことなく銃を音のする方へ向ける。
すると、人影が見えたのでそのまま発砲。銃声が辺りにこだまする。
すると、人影が見えたのでそのまま発砲。銃声が辺りにこだまする。
しかし、銃弾が命中したにもかかわらず人影は倒れるどころか怯みもせず、何事もなかったかのように的場の元へ近づいていく。
「う、うわあああああああああ!!」
銃で撃たれても死なない相手に完全な恐慌状態に陥った的場は、ただひたすらにサブマシンガンの引き金を引き続けた。
バチバチと火花が起き続けるが、それでも人影は意にも介さず的場に向かって進み続ける。
バチバチと火花が起き続けるが、それでも人影は意にも介さず的場に向かって進み続ける。
カチッカチッ
とうとう的場のサブマシンガンの弾が切れ、弾幕が止んだ時火花もまた止み、その姿を見せた。
それは、とても奇妙な姿だった。
戦国時代の鎧をオレンジで模したものをあしらいつつも、全身を紺色のスーツを纏い、右手には刀を模したおもちゃの様な剣、左手にはオレンジを模した特徴的な剣を手に持っている。
それは、とても奇妙な姿だった。
戦国時代の鎧をオレンジで模したものをあしらいつつも、全身を紺色のスーツを纏い、右手には刀を模したおもちゃの様な剣、左手にはオレンジを模した特徴的な剣を手に持っている。
そしてこの姿を知る者が見ればこう言うだろう。アーマードライダー鎧武、または仮面ライダー鎧武と。
ちなみに右手の剣は無双セイバー。左手の剣は大橙丸という。
ちなみに右手の剣は無双セイバー。左手の剣は大橙丸という。
しかしそんなことは知らない的場からすれば、謎のスーツを身に纏った誰かが銃弾も意に介さず自分に向かってくる恐怖の光景でしかない。
「や、やめてくれ!!」
今まで引き金を引き続けていたがついに弾切れに気付いた的場は、サブマシンガンを捨て逃げ出そうとする。
しかし初老の男性でしかない的場と、アーマードライダーの走力を比べれば一目瞭然。
あっという間に的場は追いつかれ、地面に蹴り倒された。
そして鎧武は容赦なく大橙丸を振りかぶる。
しかし初老の男性でしかない的場と、アーマードライダーの走力を比べれば一目瞭然。
あっという間に的場は追いつかれ、地面に蹴り倒された。
そして鎧武は容赦なく大橙丸を振りかぶる。
「い、嫌だ……二度も死ぬなんて嫌だ……!」
涙を流しながら、的場は懸命に命乞いの叫びをあげる。
しかし鎧武は聞き届けることなく、無言で剣を的場の体に突き刺した。
しかし鎧武は聞き届けることなく、無言で剣を的場の体に突き刺した。
「た、助け……」
少しづつ命が消えていく感覚に怯え、地を這いながら助けを乞う的場。
しかしその声に答える者はいない。
しかしその声に答える者はいない。
やがて動かなくなり、彼の二度目の生涯はここで幕を閉じた。
【的場勇一郎@金田一少年の事件簿 死亡】
◆
鎧武は変身を解くと、中から20代後半くらいの青年が現れた。
彼の名前は六星竜一。先ほど彼が殺した的場と同じく、不動高校の教師だった男だ。
そんな六星が気になったのは、的場の最期の言葉だ。
彼の名前は六星竜一。先ほど彼が殺した的場と同じく、不動高校の教師だった男だ。
そんな六星が気になったのは、的場の最期の言葉だ。
「二度も死ぬなんて嫌だ、か」
まがりなりにもかつての同僚が、一体なぜそんな言葉を残したのか。
一度目は一体なぜ死んだのかについては、六星は気にしていなかったが、二度目という部分は引っかかった。
しかし引っかかりはしたが、疑ってはいなかった。
それもその筈。なぜなら――
一度目は一体なぜ死んだのかについては、六星は気にしていなかったが、二度目という部分は引っかかった。
しかし引っかかりはしたが、疑ってはいなかった。
それもその筈。なぜなら――
「俺は別に構わないけどな」
彼もまた、一度死んだ身だからだ。
なぜ六星竜一は一度死んだのか。的場について話した以上、六星についても簡単に説明しよう。
そのためには話は27年前にまで遡る。
なぜ六星竜一は一度死んだのか。的場について話した以上、六星についても簡単に説明しよう。
そのためには話は27年前にまで遡る。
27年前、青森県の六角村にてある惨劇が起こった。
そもそも六角村の山には野生の大麻が繁殖しており、それを栽培し村の上役が密売することで成り立った村である。
このことを知る者は少なかったが27年前、そのことに異を唱えた六角村の牧師夫妻が村の上役たちに殺害される。
さらに教会に放火し、牧師夫妻の養女七人を焼き殺して完全にこのことを隠滅しようともくろんだ。
しかし実際は一人、養女である詩織が、彼女と愛し合っていた村の上役一人にこっそり助けられ、彼女は村から離れ、表向き死んだことにしながら生活する。
その詩織の息子が六星竜一である。
そもそも六角村の山には野生の大麻が繁殖しており、それを栽培し村の上役が密売することで成り立った村である。
このことを知る者は少なかったが27年前、そのことに異を唱えた六角村の牧師夫妻が村の上役たちに殺害される。
さらに教会に放火し、牧師夫妻の養女七人を焼き殺して完全にこのことを隠滅しようともくろんだ。
しかし実際は一人、養女である詩織が、彼女と愛し合っていた村の上役一人にこっそり助けられ、彼女は村から離れ、表向き死んだことにしながら生活する。
その詩織の息子が六星竜一である。
詩織は息子である六星にあらゆることを叩き込んだ。
殺人術、格闘術、ナイフ、銃、演技力、さらには高校で教師ができる程度の学力を。
それもこれもすべては自身の恨みを晴らすため。
彼女は常日頃、竜一にこう言っていた。
殺人術、格闘術、ナイフ、銃、演技力、さらには高校で教師ができる程度の学力を。
それもこれもすべては自身の恨みを晴らすため。
彼女は常日頃、竜一にこう言っていた。
『お前は母さんの代わりにあの連中に復讐するんだよ……
お前はあいつらを皆殺しにするために生まれてきたんだから!』
お前はあいつらを皆殺しにするために生まれてきたんだから!』
詩織が表向き死んでいるせいで戸籍を持てないため、彼らは極貧の中を生き延びた。
全ては復讐する為。それだけを糧に毎日を生きてきた。
全ては復讐する為。それだけを糧に毎日を生きてきた。
そして時は流れ、村の上役の一つである時田家の娘、時田若葉が不動高校に入学した。
そこで彼女と接点を持つために、六星は不動高校に赴任してくるはずだった小田切進という男を殺害。
六星が小田切に成り代わり、不動高校で教師を務めながら若葉と恋仲になることで、彼女が卒業と同時に村に帰り、家が決めた婚約者と結婚パーティをする場で、彼は復讐計画を実行する時を待つことにした。
そこで彼女と接点を持つために、六星は不動高校に赴任してくるはずだった小田切進という男を殺害。
六星が小田切に成り代わり、不動高校で教師を務めながら若葉と恋仲になることで、彼女が卒業と同時に村に帰り、家が決めた婚約者と結婚パーティをする場で、彼は復讐計画を実行する時を待つことにした。
途中、予定外のトラブルで結婚が早まったり、若葉の同級生である金田一一と七瀬美雪が結婚式についてくることになるが、問題ないと六星は判断していた。
しかし現実には、復讐対象最後の一人を残した状態で金田一が真相を暴き、六星はやもなく追い詰められる。
だが六星は最後の一人をどさくさで殺害し、最後の締めとして大麻の畑を燃やそうとした。
しかし若葉の婚約者だった男や金田一が、様々な理由で彼を阻もうと立ちふさがる。
しかし現実には、復讐対象最後の一人を残した状態で金田一が真相を暴き、六星はやもなく追い詰められる。
だが六星は最後の一人をどさくさで殺害し、最後の締めとして大麻の畑を燃やそうとした。
しかし若葉の婚約者だった男や金田一が、様々な理由で彼を阻もうと立ちふさがる。
それでも畑を燃やそうとするが、直前で六星の父である村の上役に彼は殺害され、さらに父と母の真相を知り、驚愕の中命を落とした。
はずだが、彼もまたこうして殺し合いの場に立っている。
なぜ生き返ったのか、と考える気はなかった。
そして生き返ったとはいえ、何かやりたいこともなかった。
なぜ生き返ったのか、と考える気はなかった。
そして生き返ったとはいえ、何かやりたいこともなかった。
六星からすれば人生を賭した復讐も終わり、予定外や予想外は多々あれどやりたいことは全て完遂したと言っていい。
そんな状況で殺し合いに勝ち残ってまでしたいことなどないし、かと言って殺し合いに反逆し主催と戦うと考える人間でもなかった。
だが自殺する気も起きなかったので、とりあえず支給されたデイパックを漁り、出てきた変なベルトと付属されていたロックシードというものを、試しに使ってみることにした。
彼の人生にはほぼ無縁だった、好奇心というものである。
そんな状況で殺し合いに勝ち残ってまでしたいことなどないし、かと言って殺し合いに反逆し主催と戦うと考える人間でもなかった。
だが自殺する気も起きなかったので、とりあえず支給されたデイパックを漁り、出てきた変なベルトと付属されていたロックシードというものを、試しに使ってみることにした。
彼の人生にはほぼ無縁だった、好奇心というものである。
『オレンジ!』
付属されていた説明書きに従い、まずベルトを腰につけ、そしてロックシードをつけて、カッティングブレードを下ろす。
するといきなりベルトが音声を発し、さらには上から巨大なオレンジが被さる。
するといきなりベルトが音声を発し、さらには上から巨大なオレンジが被さる。
『ロック・オン!』
更に、被さったオレンジが軽妙な音楽と共に変形し、鎧と変わる。
『オレンジアームズ! 花道、オンステージ!!』
「うるせえベルトだな……」
「うるせえベルトだな……」
そして変身終了。
ベルトが出す音声のやかましさに多少辟易しつつ、六星はとりあえず辺りを歩いてみることにした。
ベルトが出す音声のやかましさに多少辟易しつつ、六星はとりあえず辺りを歩いてみることにした。
しばらくするとサブマシンガンを撃ってくる人影と遭遇。
別段自身の生に執着がないので、特に抵抗もせず弾を受けるが何のダメージもなければ行動に支障もない。
銃弾をものともしないスーツと、発砲者が同じ高校の教師で顔見知りだったことに驚きつつ、ある考えに思い至る。
別段自身の生に執着がないので、特に抵抗もせず弾を受けるが何のダメージもなければ行動に支障もない。
銃弾をものともしないスーツと、発砲者が同じ高校の教師で顔見知りだったことに驚きつつ、ある考えに思い至る。
それは、復讐の為に利用した若葉のことだった。
彼女は利用されているなど知らず六星を愛していたが、彼は若葉を復讐の道具に利用した。
その過程で若葉をそそのかして復讐相手を殺害させ、その直後に六星は彼女を殺害した。彼女もまた母の仇の娘であったがゆえに。
彼女は利用されているなど知らず六星を愛していたが、彼は若葉を復讐の道具に利用した。
その過程で若葉をそそのかして復讐相手を殺害させ、その直後に六星は彼女を殺害した。彼女もまた母の仇の娘であったがゆえに。
だが六星は若葉を愛していた。彼女も殺害対象だったにも拘らず。
だからこう思う。
だからこう思う。
人殺しに天国はありえない。
だがこんな殺し合いを開き、死者すらも自在に蘇生できる力の持ち主なら、地獄に落ちた女一人を天国に移住させるくらいはできるかもしれない。
だがこんな殺し合いを開き、死者すらも自在に蘇生できる力の持ち主なら、地獄に落ちた女一人を天国に移住させるくらいはできるかもしれない。
この考えに至った瞬間、六星は殺し合いに乗った。
そして弾切れと同時に逃げ出そうとした的場を殺害し、今に至る。
そして弾切れと同時に逃げ出そうとした的場を殺害し、今に至る。
「はっ」
曲がりなりにも顔見知りだった相手を殺しても、六星の心には小波すら立たない。
代わりに彼の頭を支配しているのは別のことだ。
代わりに彼の頭を支配しているのは別のことだ。
「そこにいる奴、出て来いよ」
六星は家の陰に隠れている人間の気配を感じ取り、呼びかける。
すると意外にも素直に隠れていた人間が現れた。
整った顔立ちをした、六星よりも年は下であろう青年が姿を見せる。彼の真っ黒なスーツを身に纏うさまはさながら喪服だ。
彼は六星に怒りの視線を向けていた。それは人殺し、ひいては悪を許さぬ正義の意志だろうか。
それを感じ取った六星は、可笑しくてたまらなかった。
すると意外にも素直に隠れていた人間が現れた。
整った顔立ちをした、六星よりも年は下であろう青年が姿を見せる。彼の真っ黒なスーツを身に纏うさまはさながら喪服だ。
彼は六星に怒りの視線を向けていた。それは人殺し、ひいては悪を許さぬ正義の意志だろうか。
それを感じ取った六星は、可笑しくてたまらなかった。
なぜなら視線の男は、六星が的場を殺すより前から視線を向けていたからである。
彼がもし殺し合いに反対するなら、六星の恐慌を止めようとするのが普通だ。
恐怖にかられたのなら、逃げるのが当然だ。
彼がもし殺し合いに反対するなら、六星の恐慌を止めようとするのが普通だ。
恐怖にかられたのなら、逃げるのが当然だ。
だが現実には、恐怖するわけでもなく殺しを止める訳でもなく、的場が死んでから現れたのだ。
これはもう六星と同じく殺し合いに乗っているとしか思えない。
これはもう六星と同じく殺し合いに乗っているとしか思えない。
「そんな怖い顔すんなよ。俺もお前も所詮同じムジナって奴なんだからよ」
「……っ! 話があります」
「ほう?」
「……っ! 話があります」
「ほう?」
六星の言葉に苦虫を嚙み潰したような顔を見せつつも、男は話を持ち掛けた。
それに六星はどうしようかと思ったが、その前に男が移動を提案した。
理由はすぐに分かる。何せさっきまで銃声がずっと響いていたのだ、そんなところで話し込むなど間抜けもいい所だろう。
それに六星はどうしようかと思ったが、その前に男が移動を提案した。
理由はすぐに分かる。何せさっきまで銃声がずっと響いていたのだ、そんなところで話し込むなど間抜けもいい所だろう。
ということで彼ら二人は平安京にある、先ほどまでいた地点から少し離れた家の中に移動し、中にあったちゃぶ台を挟んで座っていた。
家に入った二人の内、まずは六星が自己紹介を要求する。
これから話す相手の名前も知らないなど、話しにくくて仕方ないからだ。
家に入った二人の内、まずは六星が自己紹介を要求する。
これから話す相手の名前も知らないなど、話しにくくて仕方ないからだ。
「俺の名前は小田切――いや六星竜一だ」
「僕は夜神月。月と書いてライトだ」
「僕は夜神月。月と書いてライトだ」
変な名前だな、と六星は端的に思ったが、それは口にださず、代わりにさっき言っていた提案とは何かを問う。
月からもたらされた回答は、簡単に言うなら不戦協定だ。
月からもたらされた回答は、簡単に言うなら不戦協定だ。
参加者が何人いるか知らないが、最低でも数十人以上はいるであろうこの殺し合い。
この大人数で行われるゲームを、単独で勝ち抜くのは不可能だろう。
だからこそ、自身で何人か殺すとしても他に殺し合いに乗っている相手に殺してもらうのは必然だ。
この大人数で行われるゲームを、単独で勝ち抜くのは不可能だろう。
だからこそ、自身で何人か殺すとしても他に殺し合いに乗っている相手に殺してもらうのは必然だ。
「なので参加者が、そうだな……二十人を切るくらいまでは互いに不干渉。そしてお互いのことを話さない、というのはどうだ?」
「まあそりゃ構わねえが、一つ条件がある」
「条件?」
「まあそりゃ構わねえが、一つ条件がある」
「条件?」
六星の言葉に月は訝し気になるが、六星にとっては大切なことだ。
そもそも、月は不可思議なスーツを身に纏い銃弾をはねのける様を見せている。
にも関わらず彼は一切怯んでいない。ということは、このスーツに対抗できる何かを持っているに違いない。
そもそも、月は不可思議なスーツを身に纏い銃弾をはねのける様を見せている。
にも関わらず彼は一切怯んでいない。ということは、このスーツに対抗できる何かを持っているに違いない。
「そいつを見せろ」
「……断ると言ったら?」
「……断ると言ったら?」
月の挑発的な言葉と同時に背中から気配を感じた六星は、咄嗟に飛びのく。
するとさっきまでいたところには一本の矢が刺さっていた。
するとさっきまでいたところには一本の矢が刺さっていた。
慌てて矢を撃った主を探し、そいつはすぐに見つかった。
何せ、窓の外にいたのだから。
何せ、窓の外にいたのだから。
矢の主は大きさこそ人間大だが、外見は人間と大きく異なっていた。
どう見ても機械の体に、右手には剣。左手にはクロスポウを構えた怪物が、そこに立っている。
どう見ても機械の体に、右手には剣。左手にはクロスポウを構えた怪物が、そこに立っている。
「成程な。そいつがそうか」
「キラーマシン、というらしい」
「キラーマシン……ね」
「キラーマシン、というらしい」
「キラーマシン……ね」
かつて殺人マシンを名乗ったことのある六星は、多少の運命みたいなものを感じたが、それだけだ。
殺されかけたことは別に気にしていない。
あれで殺されていれば油断している大間抜けで、殺されなければ合格。そんなところだろう。
結果的に六星の要求にもこたえた以上、提案を受けることにした。
殺されかけたことは別に気にしていない。
あれで殺されていれば油断している大間抜けで、殺されなければ合格。そんなところだろう。
結果的に六星の要求にもこたえた以上、提案を受けることにした。
「まあ提案は受けてやってもいいが、仲良しこよしをするつもりもねえ。別行動させてもらうぜ」
「僕も仲良くする気はないが、少し待て」
「僕も仲良くする気はないが、少し待て」
家を出ていこうとした六星を引き留める月。
理由を問う六星だが、答えは簡単だった。
理由を問う六星だが、答えは簡単だった。
「今はないが、おそらく殺し合いの参加者の名前を載せた名簿みたいなものが配られるはずだ。
もし知っている名前があったら教えあおう。二手に分かれるのはそれからにしてくれ」
「あいよ」
もし知っている名前があったら教えあおう。二手に分かれるのはそれからにしてくれ」
「あいよ」
月の言葉に納得した六星は、その場に腰を下ろす。
そして待つのは良いが無為に過ごす気はないとばかりに、二人は情報交換を開始した。
そして待つのは良いが無為に過ごす気はないとばかりに、二人は情報交換を開始した。
◆
六星と情報交換をしていく中、月は驚くべき事実がいくつも発覚した。
なんと、月にとって今は2010年だが、六星にとっては90年代の初頭だというのだ。
おまけに六星は死んだが蘇ったというのだ。
なんと、月にとって今は2010年だが、六星にとっては90年代の初頭だというのだ。
おまけに六星は死んだが蘇ったというのだ。
「ビックリしたか?」
せせら笑う六星だが、月は本当に驚愕しかできない。
なぜなら彼もまた、死人だからだ。
なぜなら彼もまた、死人だからだ。
ここで夜神月がなぜ死んだか簡単に解説しよう。
三度目の長話になるが、付き合ってほしい。
三度目の長話になるが、付き合ってほしい。
夜神月は元々、警察官の父に優しい母、そして可愛い妹を持った高校生だった。
おまけに頭脳明晰でスポーツ万能、おまけにルックスよく正義感も強いと、まさに完璧超人だった。
おまけに頭脳明晰でスポーツ万能、おまけにルックスよく正義感も強いと、まさに完璧超人だった。
しかしある日、空から落ちてきたノートを拾ったときに彼の運命は一変する。
そのノートは死神のもので、それは名前を書かれると死ぬというのだ。
最初はジョークだと思い、試しにテレビに出ていた犯罪者の名前を書くと、そいつは死んだ。
偶然かと思い、今度は町でたまたま見かけたタチの悪いナンパ男の名前書くと、そいつも死んだ。
そのノートは死神のもので、それは名前を書かれると死ぬというのだ。
最初はジョークだと思い、試しにテレビに出ていた犯罪者の名前を書くと、そいつは死んだ。
偶然かと思い、今度は町でたまたま見かけたタチの悪いナンパ男の名前書くと、そいつも死んだ。
このことにショックを受けた彼は、逃げるように世界の悪を裁くことを決意。
手始めに犯罪者の名前を書き続け、気づけば彼は悪を裁く神『キラ』としてもてはやされ始めていた。
手始めに犯罪者の名前を書き続け、気づけば彼は悪を裁く神『キラ』としてもてはやされ始めていた。
しかし、そこにLという名探偵が待ったをかけ、キラは悪だと断言。
こうして月とLの頭脳戦が始まった。
こうして月とLの頭脳戦が始まった。
その壮絶な頭脳戦を制したのは、月だった。
こうして敵を打ち倒し、彼は世界の主張をキラが正義の方向に傾けていく。
こうして敵を打ち倒し、彼は世界の主張をキラが正義の方向に傾けていく。
しかし、しばらくすると今度はLの後継者を名乗るものが月の前に立ちふさがった。
再び起こる頭脳戦だが、結果的に今度はLの後継者が勝利した。
それでもなんとか生き残ろうとするも、最期には月にノートを落とした死神に殺され彼の生涯は幕を下ろす。
再び起こる頭脳戦だが、結果的に今度はLの後継者が勝利した。
それでもなんとか生き残ろうとするも、最期には月にノートを落とした死神に殺され彼の生涯は幕を下ろす。
はずだったが、彼はこうして生きている。
死神の力すら覆す主催者の力には驚嘆しかないが、この機を逃す手はない。
死神の力すら覆す主催者の力には驚嘆しかないが、この機を逃す手はない。
もう一度現世へと帰還し、願いの力で再び新世界の神となるのだ。
罪もない少女二人を殺しあざ笑う邪悪に組みするのは屈辱だが、今はそれを飲み込む。だが最終的には始末してやる。
そう決意を固める月だが、ふいにある仮説が浮かんだ。
罪もない少女二人を殺しあざ笑う邪悪に組みするのは屈辱だが、今はそれを飲み込む。だが最終的には始末してやる。
そう決意を固める月だが、ふいにある仮説が浮かんだ。
(もしやこの殺し合いは、死者しか参加していないのか……?)
自分、六星、そして六星に殺されたあの男。
この三人は死んだ後から呼び出されたのは間違いない。
そこで考えたのは、この殺し合いが死者しかいない可能性だ。
この三人は死んだ後から呼び出されたのは間違いない。
そこで考えたのは、この殺し合いが死者しかいない可能性だ。
かのカンダタみたく、地の底から地上に這い上がる最後の機会。
元の話では譲り合わないが故に皆死んだが、ここは譲り合っては生きていけない地獄変。
元の話では譲り合わないが故に皆死んだが、ここは譲り合っては生きていけない地獄変。
(いや、まだ断定するには早いな)
しかし月はこの可能性を一旦捨てた。
おそらく数十人以上いるうち、自分を含めまだ三人しか死者と出会っていないのだ。
おそらく数十人以上いるうち、自分を含めまだ三人しか死者と出会っていないのだ。
(それに懐のこれもある)
月は六星に分からないように懐にあるものをいじる。
彼の懐にあるもの、それはキラーマシンを従える魔法の筒だった。
この魔法の筒にキラーマシンが入っており、彼はそこから出してやることで外に解き放つことができる。
彼の懐にあるもの、それはキラーマシンを従える魔法の筒だった。
この魔法の筒にキラーマシンが入っており、彼はそこから出してやることで外に解き放つことができる。
本来、この魔法の筒にモンスターを従える効果などないのだが、参加者でもない怪物が好きに暴れることを主催者が嫌ったのか、制限が加えられているのだ。
魔法の筒から出した参加者に、中のモンスターが従うようになる制限を。
魔法の筒から出した参加者に、中のモンスターが従うようになる制限を。
(こんな怪物を僕は知らない。
となれば、ここは僕の常識が全く通用しない世界。だからこそ情報が重要だ)
となれば、ここは僕の常識が全く通用しない世界。だからこそ情報が重要だ)
そう頭の中で結論を定めた月は、大人しく参加者名簿を待つことにした。
二人の死者の、生者を追い落とす殺し合いは、もう始まっている。
【六星竜一@金田一少年の事件簿】
[状態]:健康
[装備]:量産型戦極ドライバー@仮面ライダー鎧武、オレンジロックシード@仮面ライダー鎧武
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2、的場のデイパック(基本支給品、ランダム支給品0~2、H&K MP5(弾切れ)@現実)
[思考・状況]基本方針:優勝狙い。若葉が地獄に落ちていたら、天国へ連れてってやる
1:参加者名簿が出てくるまで月と待つ
2:キラーマシン、か……
[備考]
参戦時期は死亡後です。
[状態]:健康
[装備]:量産型戦極ドライバー@仮面ライダー鎧武、オレンジロックシード@仮面ライダー鎧武
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2、的場のデイパック(基本支給品、ランダム支給品0~2、H&K MP5(弾切れ)@現実)
[思考・状況]基本方針:優勝狙い。若葉が地獄に落ちていたら、天国へ連れてってやる
1:参加者名簿が出てくるまで月と待つ
2:キラーマシン、か……
[備考]
参戦時期は死亡後です。
【夜神月@DEATH NOTE】
[状態]:健康
[装備]:魔法の筒@ドラゴンクエスト ダイの大冒険
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:優勝狙い。現世へ帰還し、今度こそ神となる。
1:参加者名簿が出てくるまで六星と待つ
2:もしやこの殺し合いは、死者しか参加していない……?
3:いずれは主催も始末する
[備考]
参戦時期は死亡後です。
魔法の筒@ドラゴンクエスト ダイの大冒険 に入っているモンスターはキラーマシン@ドラゴンクストシリーズ です。
この殺し合いは死人しか参加していない可能性を考えていますが、半信半疑です。
[状態]:健康
[装備]:魔法の筒@ドラゴンクエスト ダイの大冒険
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:優勝狙い。現世へ帰還し、今度こそ神となる。
1:参加者名簿が出てくるまで六星と待つ
2:もしやこの殺し合いは、死者しか参加していない……?
3:いずれは主催も始末する
[備考]
参戦時期は死亡後です。
魔法の筒@ドラゴンクエスト ダイの大冒険 に入っているモンスターはキラーマシン@ドラゴンクストシリーズ です。
この殺し合いは死人しか参加していない可能性を考えていますが、半信半疑です。
※六星と月がいる家の外に、キラーマシン@ドラゴンクエストシリーズ が控えています。
【H&K MP5@現実】
的場勇一郎に支給。
ドイツのヘッケラー&コッホ社が設計したサブマシンガン。
命中精度の高さから、日本のSATなどの対テロ作戦部隊では標準的な装備となっている。
的場勇一郎に支給。
ドイツのヘッケラー&コッホ社が設計したサブマシンガン。
命中精度の高さから、日本のSATなどの対テロ作戦部隊では標準的な装備となっている。
【量産型戦極ドライバー@仮面ライダー鎧武】
六星竜一に支給。
仮面ライダー鎧武における変身ベルト。
ロックシードと合わせて使うことで変身可能。
量産型とついているのは、このタイプだと所有者認定など無く、誰でも使用可能となる為。
六星竜一に支給。
仮面ライダー鎧武における変身ベルト。
ロックシードと合わせて使うことで変身可能。
量産型とついているのは、このタイプだと所有者認定など無く、誰でも使用可能となる為。
【オレンジロックシード@仮面ライダー鎧武】
六星竜一に支給。
エナジーロックシードの一種。
戦極ドライバーに装填し、使用することでオレンジアームズへと変身可能となる。
上記の量産型戦極ドライバーと合わせて一つの支給品として扱われる。
六星竜一に支給。
エナジーロックシードの一種。
戦極ドライバーに装填し、使用することでオレンジアームズへと変身可能となる。
上記の量産型戦極ドライバーと合わせて一つの支給品として扱われる。
【魔法の筒@ドラゴンクエスト ダイの大冒険】
夜神月に支給。
中にモンスターを一体封じ込められる魔法の筒。
「デルパ」と唱えることで筒から出し、「イルイル」と唱えることで筒へと戻すことができる。
更にこのロワのみ、魔法の筒の所有者に出したモンスターが従うようになっている。
裏を返せば、筒を奪われたり、所有者が死亡し別の参加者が新たに筒を手に入れた場合、モンスターが従う対象も新たな筒の所持者となる。
夜神月に支給。
中にモンスターを一体封じ込められる魔法の筒。
「デルパ」と唱えることで筒から出し、「イルイル」と唱えることで筒へと戻すことができる。
更にこのロワのみ、魔法の筒の所有者に出したモンスターが従うようになっている。
裏を返せば、筒を奪われたり、所有者が死亡し別の参加者が新たに筒を手に入れた場合、モンスターが従う対象も新たな筒の所持者となる。
【キラーマシン@ドラゴンクエストシリーズ】
夜神月に支給された魔法の筒に入っているモンスター。
名前の通り、所持している剣や弓矢、内蔵されているビームを放ち人間を殺す機械のモンスター。
シリーズの扱いはまちまちだが、おおむね終盤の強力なモンスターとして扱われる。初期にはキラーマシーンと表記されていたことも。
夜神月に支給された魔法の筒に入っているモンスター。
名前の通り、所持している剣や弓矢、内蔵されているビームを放ち人間を殺す機械のモンスター。
シリーズの扱いはまちまちだが、おおむね終盤の強力なモンスターとして扱われる。初期にはキラーマシーンと表記されていたことも。