「みんなを殺人者の彼女にさせるわけにはいかない!」
ㅤ殺し合いという地において、愛城恋太郎が真っ先に心配したのは、自分の命などではない。この殺し合いに優勝した場合であっても、多くの人を殺したであろう自分と付き合っている彼女たちが社会から後ろ指を指されることである。恋愛モンスターもここまでくるともはや怖いね。
ㅤしかし、当然自分が死ぬのも嫌だ。大好きな彼女たちと二度と会えなくなるのは死ぬより辛いし、彼女たちが悲しむことになるのはもっと辛い。死ぬなんて、死んでもお断りだ。
ㅤ優勝するのはダメ。かといって死ぬのもイヤ。恋太郎は完全に詰んでいた。
「優勝するのはダメ。かといって死ぬのもイヤ。俺は完全に詰んでいるなぁ……。」
ㅤ展開の都合上、地の文でも言っていたことをわざわざ声に出し直していた恋太郎。
「――諦めるのはまだ早いぜ。」
ㅤそんな彼の独り言を聴いていた者から、救いの手が差し伸べられる。
「き、君は――!」
ㅤ恋太郎の前に、突如として意味深に現れたキャラクター。経験則上、目と目が会った瞬間にビビーンと衝撃が迸り、そして恋が始まる予感だ。
「……がいこつ?」
ㅤある意味で、衝撃だった。目の前の人物には、皮膚と呼ぶべきものがない。人間の子供のような体格で、ちゃんと服を着て、動いて喋ってはいるものの、見た目という、五感で知覚できるものの中でもとりわけ重要な部分が文字通り人間離れしていた。それを目の当たりにして、恋太郎は思う。
(とうとう出ちゃったよ……!)
(これまでも人智を超えた動きはあったけど、ちゃんと人間の域は出ていなかったのに……!)
(人外……!ㅤそれも馬の擬人化とかそういう系じゃない、グロめのモンスター的なやつ……!)
(いいのか!?ㅤこれを恋太郎ファミリーに加えて、本当にいいのか……!?ㅤ人気落ちて打ち切りとかになったりしないか……?)
(読者の皆様、もしかしたら作者は迷走しているかもしれませんが……)
(それでもどうか、これからも君のことが大大大大大好きな100人の彼女を、何卒よろしくお願いします……!)
「待て待て、オイラをヒロインにするな。」
「あ、はい。あと目が無いから目が合うことがそもそもないですね。」
ㅤそしてがいこつ、もといスケルトンは、自身の名を『サンズ』と告げた。銀色に輝くホネ身は紅い月に照らされてどす黒く染まり、観測する者の恐怖を駆り立てる。
「えっと……諦めるなと言うけど……一体俺はどうすれば?」
「ふっふっふ……このSSのタイトルを見てみな。」
「ハッ……殺し合わずに生還するたったひとつの冴えたやり方!ㅤ……って、そんなものがあるんですか?」
ㅤ恋太郎としては飛びつかずにはいられない。何かを失うことも、何かが変わることもなく、平穏に今までの日常が帰ってくるのならそれに超したことなどない。
「とても簡単さ。」
「勿体ぶらずに教えてください!」
「まあ落ち着こうぜ。シュレディンガーのホネって知ってるか?」
「勿体ぶらずに教えてください!!」
「要は体の中のホネはスケルトンになるまで折れてるか折れてないか分からないってことさ。」
「勿体ぶらずに教えてください!!!」
「つまり――この話がコンペで選ばれなければいい。そうしたら優勝するなんて有り得ないし、もちろん死ぬこともない。舞台裏で元の日常にしれっと帰してもらうのも自由ってわけだ。」
「な、なるほど!ㅤ具体的には何をすれば?」
「現地点で結構選ばれにくい発言はしてるはずだけどな……悪いけどアンタ、個性は強いからそこそこ選ぶのにオイシイキャラなんだぜ。これだけじゃあ、足りないかもしれねえ。」
「オイシイキャラといえばあなたもだとは思いますけどね。」
「まあまあ、この話の内に選ばれない努力を最大限やってみようぜ。」
「一体何をすれば?」
「それはな……ごにょごにょ」
ㅤサンズは恋太郎に何かを耳打ちする。すると恋太郎はなるほど、と頷き、そして口を開く。
「宣言します!」
ㅤビシッと右手を上げる恋太郎。
「俺、愛城恋太郎は、これから先に出会う相手がどんな人であっても、原作がハーレムを許容するのをいいことにクロスオーバー先の相手と恋人関係になることなど、決して致しません!ㅤ俺の恋人は原作で登場済み・登場予定の100人が上限です!」
ㅤそう、展開のネタとなりうるものを先に潰したのだ。リレーのハードルを無意味に引き上げる謎の所業。こんなものがコンペで通ることなど到底有り得ないだろう。
ㅤしかしそれだけでは終わらない。あの怠け者サンズが、努力をするとまで言ったのだ。宣言ひとつで終わるはずがない。
ㅤサンズは手のひらを恋太郎に伸ばす。
「あれ?ㅤ急に景色が変わった……?」
「オイラのしわざさ。オイラ近道知ってんだ。」
ㅤ文章媒体なので伝わりにくいかもしれないが、恋太郎たちはどこか違う場所に瞬間移動していた。そう、ホネのずいまでなまけものを謳われる男サンズは、時に歩く描写すら省略してしまう。
ㅤ瞬間移動で展開を壊すかもしれない彼を、本当に参戦させていいんですか……?
「そして、次だ。」
「ムダに改行しまくってみたぜ。」
「なるほど、
こんな
謎改行で
読みにく
い作品なんて
まあ選
びたくなんかないで
すよね。」
「おう、その意気だ。そして次が最後だ。ごにょごにょ」
ㅤサンズは再度、恋太郎に耳打ちをする。それから、2人は続きを書きたくない状態表になるように各々の状態に細工をし始めた。システムメッセージにまで干渉する問題児など、二度とこのロワでお目にかかることはないだろう。
「これでバッチリだ。さあ、これがこのロワで見る俺の最後の台詞だろうぜ。」
「うおおおお待っててくれみんな!ㅤ今帰るよ!!」
ㅤさてさて、果たして彼らは、このロワ参戦を回避することができるのか?ㅤその答えは、神と主催者のみぞ知る……。
【愛城恋太郎@君のことが大大大大大好きな100人の彼女】
[状態]:全裸、ハゲ化
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:どうせ続きは書かれまい。
[状態]:全裸、ハゲ化
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:どうせ続きは書かれまい。
【サンズ@UNDERTALE】
[状態]:死にかけの重体(自称)
[装備]:無いぜ。
[道具]:重かったから全部捨てたぜ。
[思考・状況]
基本方針:殺し合わなくてもクリアできるのがウチの醍醐味だぜ。
[状態]:死にかけの重体(自称)
[装備]:無いぜ。
[道具]:重かったから全部捨てたぜ。
[思考・状況]
基本方針:殺し合わなくてもクリアできるのがウチの醍醐味だぜ。