今日はクリスマス
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homuhomu_tabetai
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作者:9L0QpMevo
602 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage] 投稿日:2011/12/23(金) 11:24:43.09 ID:9L0QpMevo
「雪……かぁ」
白い手袋で暖められていた手のひらに、
白い小さな結晶が舞い降りた。
ベンチに座る少女は、
空を見上げて泣いてるのか、笑っているのか、
手を伸ばして溜息をついた。
今日はクリスマス、
街では様々な装飾が全力を出して輝き、
夜であることを忘れさせるくらいだ。
ちらほらと見える人は仕事帰りの人が大体。
相手がいるなら、
今頃家でパーティでも開いているのだろうか。
そんな寂しさを増幅させるかのように、
ベンチの下から声が聞こえてきた。
「ホムッ♪ ホ~ム♪ ホムムッン」
「マドッ!」
「ホミャッ♪」
「マドョ♪」
小さな家族。
一見すれば微笑ましいものだが、
少女からしてみれば怒りの対象にしかならない。
相手がいない少女、相手がいるほむまど。
その差が、
自分はそれ以下なんだろうか。
そんな悔しさを生み出し、
気づけば、少女はベンチの下、
ほむまどの家族を直視していた。
それに驚く8つの目は、
様々な感情が表れていた。
「ホムッ!?」
「ホビャァ!!!」
「マドォ!」
「マ、マドォ.....」
子供達を庇うように躍り出る親。
しかし少女には、
そんな小さな壁は無意味だった。
ゆっくりと、
震える子供達に手を伸ばしていく。
噛み付いたり、引っかこうとする行為は、
手袋によって防がれ、
阻止することは出来ず、
ただ泣き叫ぶことしか出来ない。
少女は一度も
親からクリスマスプレゼントなんて貰った事は無い。
布越しに感じる柔らかいものは、
少女に、
去年に貰った最初で最後のクリスマスプレゼントを思い出させた。
少女は優しくゆっくりと握り締め、泣いてしまったが、
他の泣き声がそれを掻き消してくれた。
暫くして、
少女は悲しみを埋めるかのごとく赤く染まったそれを、
「プレゼントを有難う、だから私も」
そう言い、ほむまどの目の前に置いた。
冷たさに震える手をポケットに突っ込み、
去っていく少女。
少女とプレゼントを交互に見つめる4つの目は、
すでに光を失いかけていた。
終わり
- 素晴らしい、ただ食うストレス発散する以外にもこうして少女の心を癒したんだ
素晴らしいよ、それを虐待の一言で片づける管理人ェ