その1
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homuhomu_tabetai
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「…もう九月が来るってのに…まだまだ暑いなぁ…」ガチャガチャ… ズルズル…
夕方、少しは暑さがマシになるかと思い…俺は打ち水をしようと庭に出てホースを引っ張り出した…。
…ホミュホミュー… トテテテ…
「…ん?…仔ほむか…一匹で居るなんて珍しいな…」
「…蝶を追いかけてるのか…なるほど…それで巣から離れてしまったんだな…」ポイッ…
ヒラヒラ…ヒラ…ヒラ…
「ホミャー…ホミュミューン…」トテテテ…
俺はホースを置いて、忍び足でそっと仔ほむに近づく…仔ほむは蝶に夢中で俺に気づいていないようだ…。
ヒラヒラ……ヒ…ラ…
「ホミュッ…ホミ……」ソロソロ…
「…ホミャッ!!!『ガバッ!』…ホミュウ…?」フワッ…ヒラヒラ…
…仔ほむは地面に止まった蝶におそるおそる近づき飛び掛ったが…仔ほむの腕をすり抜けて蝶は飛び立ってしまった…。空を舞う蝶をじっと見つめる仔ほむ…。
「…ホミューン…」ジー…
「ほら捕まえた!」ヒョイ!
後ろから仔ほむの襟首をつまんで持ち上げる…。
「ホミッ!?ホミャアアアァァァァー…」プラーン…
「残念だったな!お前は蝶を捕まえられなかったのに…俺はお前を捕まえたぞ!」
襟首をつままれて俺の顔の前に持ち上げられた仔ほむは、俺の指から逃げようとジタバタ暴れながら鳴き声をあげる…。
「ホミャッ…ホミュウウウゥゥゥ…」ジタバタ… プラプラ…
「…お前ちょっと…うるさいぞ…」ピンッ!
ビシッ!
「ホビッ!!…ホミー…ホミー…」プラーン…プラーン… タラー…
軽く仔ほむの額…というか顔面を指で弾くと仔ほむはおとなしくなった……鼻(?)を押さえた指の間から血が滴っている。
「そうだ…黙ってろ!…俺はうるさいのは嫌いなんだよ……あー…居ないな…」キョロキョロ…
「…お前が鳴いたのに親が来ないのは…やっぱり巣は離れてるんだな…」
「…ホミ…ホーーーー…」プラーン… スゥーーー…
こいつの親が近くに居ないかと俺が周りを探していると…仔ほむは大きく息を吸い込むような仕草を見せた後…。
「ホミャアアアアアアアアアアァァァァァァァァーッ!!!」
……さっきより大きな鳴き声を出した……コイツ…うるさいのは嫌いだと言ったのに…!!
ビシッ!
「ホミ゙ャッ!!…ホ…ホビ…」プラーン…プラーン… タラー…
「…俺はさっき言ったよな!?…うるさいのは嫌いだと……しかし…仔ほむの移動できる距離なんざたかが知れてるしな…この庭のどこかに巣があるんだろう…」キョロキョロ…
「…ホミュ…ホミュー…」ジタバタ… プラープラー…
「…まっ…いいか…ちょうど暇だったし…こいつで暇潰しするか…」スタスタスタ…
「…ホミャア…」ジタバタ…ジタバタ… プランプラン…
・・・・・・・・・
「…うーん…これでいいか…透明だし大きさもちょうどいい感じだしな…」スッ…ポコン!
「…ホミーホミミー…」ジタバタ… プラプラ…
キッチンに行き蓋付きのプラ容器を手に取る…スーパーで、カットフルーツなんかを入れて売っている六角形をした透明の容器だ…。
…俺の母親がフルーツ好きで、頻繁に買ってくるのだ……母親は空になったら洗って様々な用途に使っている…。
今日なんか朝から庭を歩きながら食ってたし…よっぽど好きなんだな…。
『朝は気持ちがいいから、自然に囲まれて優雅な時間を過ごすの♪』…なんて言ってたっけ?…『庭の木は自然じゃない!』…と突っ込む気も失せた…。
「…貧乏性だと思ってたが…こんな事に役立つとは思わなかったな…」ペコンペコン!
「…ホミャッ…ホミャミャーッ…」ジタバタ… ブランブラン…
「…どうした?……容器に近づけたらまた暴れだしたぞ……ん?…匂いか…?」クンクン…
容器を鼻に近づけると…微かにフルーツの香りが漂う…こんな弱い匂いによく気づいたな…。
「ホミャー!!ホミュゥゥゥ!!」ジタバタジタバタ… ブラブラブラブラ…
…仔ほむは容器に向かって短い腕を目一杯伸ばし、足をバタバタさせて暴れている…どうやら容器に餌でも入っていると思っているようだ…。
「…面白いなコイツ…ほら!がっかりするなよ!」ポイッ!
「ホミュウウウゥゥゥ!!…『ポコン!』ホヒャッ!!」ドテー…
仔ほむを容器に落としてやる…仔ほむは着地に失敗して仰向けにひっくり返った…。
「…ホミュン!!『コロン』…ホミュ?」ムクッ キョロキョロ…
しかしすぐに起き上がり容器の中を見回した後…匂いを改めて嗅ぎ始める…。
「ホミュミュー!!『キョロキョロ…』……ホミュー!?『クンクン…』…ホミュウ///」アグアグ///
「ははは!コイツ…容器の壁を噛もうとしてるな!…壁に果物の匂いが付いてるのを餌と間違えてるのか?」
「ホミューン///『アグアグ///』…ホミュッ?…ホミュミュッ!?」ポコポコ!
「…ホミュ…『トテトテ…』…ホミャン///」ペロペロ///
…初めに齧ろうとしていた部分が齧れなかったので仔ほむは壁を叩いた後、移動して別の部分を今度は舐め始めた…。
「…ホミャア///『ペロペロ///』…ホミャッ?…ホミャミャッ!?」ナデナデ…
「…くくく…さっきと同じことやってるし…果物の匂いはするのに食えないのが不思議なんだな…面白れー…」フリフリ…
「ホミャッ!?ホミャアアアァァァァァーッ!!」コロンコロン…
また移動して違う壁を舐めようとしていたので容器を振って邪魔をしてやる…仔ほむは容器の中を転げまわる…。
「ほれほれ♪」フリフリ…
「ホミャアアアァァァァッ!!『ポコッ!』…ホミュウウウゥゥゥッ!!『ポコッ!』…ホミミィィィィ…」コロンコロン…
「ははは!必死だなおい!……そろそろ許してやるか…」トン!
ポコッ!
「ホミッ!!…ホ…ホミ…」ワシャワシャ…ワシャワシャワシャ…
…仔ほむは揺れの止まった容器の底に突っ伏したまま、まだ手足を忙しく動かしている…何かつかまるものが無いか探しているのか…?
「もう揺れてないぞ…亀みたいな動きだな…それとも立てないのか?」
「…ホミー…」ワシャワシャ…
…そういえばコイツ…野良だったな…野良は雑菌が結構付いてるって聞いたぞ……うん…ちょうどいいか!
ヒョイ!
「…ホミ…ホミミー…」ワシャワシャ…
「…まだやってるし…それよりお風呂だぞ!」キュッ…ジャー…
俺は容器を持ち上げて、蛇口をひねる…入れる水の量を調節するために弱めに水を出す。
「…半分ぐらいまで入れるか…」スッ…ジャボッ!ジャボジャボ…
「…ホミー…ホミャッ!?『ガバッ!』…ホミャ…ホミャアアアァァァァーッ!!」バチャンバチャン!
突然入ってきた水に驚いて立ち上がる仔ほむ…もう仔ほむの胸まで水が入った…水から逃げようと腕を上げ飛び跳ねるが…無駄なあがきにしかならない。
プカー…
「ホ…ホミャアアァァ…ホブッ!…『ザバッ!』ガハッ!…ホギョオオォォオッ『ザバッ!』ゲッゲホッ!…ボブッ…」バチャバチャバチャバチャ…
水はどんどん増えて…もう仔ほむの身体を底から完全に浮き上がらせてしまった…浮いたり沈んだりしながら仔ほむは水に弄ばれている…。
「…泳げないのかコイツ?…川や池に落ちたらどうするんだろ…?…おっと!もういいな…」キュッ!
「ホビャッ!!!…『ゴボゴボ…』…ボヒッ!!!…ホビイイィィィ…ボッ『ゴボッ!』…」バチャバチャバチャバチャ…
「そしたら蓋をして…と!」
カポッ!
『…ホビエエェェェ……ボヒイィィィィ…』バチャ…バチャ…
「よいしょおおおぉぉぉぉーっ!!」ワッシャワッシャ!!
『…ホブウウゥゥゥゥゥ…』ジャバッ…ジャバッ…
「うおっ!?何じゃコレ!?汚ねぇ…」ワッシャワッシャ!!
…容器を勢い良く振って仔ほむを洗うと、仔ほむに付いていた汚れが水を土色に濁らせる…こんなに汚れてるとは予想外だった…。
「…これはまだ何回か繰り返さないとヤバイな…」カパッ!
「…ホヒーホヒー…」ゼハゼハ… プカー… グルグル…
蓋を開けると仔ほむが仰向けに浮いて…水の流れに身を任せて容器の縁に沿って廻っている…
「…なるほど…力を抜くと水に浮くのは他の生物と同じか…」チャポン…
「…キッチンのシンクだけど…まぁいいか…」ジョロロー…
「…ホミ…」スー…
「おっと!」カシャ…ジョロロー…
汚水を容器からシンクに流すと仔ほむが水に乗って流れてきたので…流れ落ちないように蓋でガードしながら流す…。
「…ホ…ホー…」スィー…ポコ…ポコン…
「…一回目終了!」スッ!
「…ホミャー…ホゴッ…」コロン グテー… エレレー…
「あーっ!?…吐きやがった………二回目開始!」キュッ!ジョボボー…
「…ホッ…ホミャアァァァァァー…」バチャ…バチャ…
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…結局…水の濁りは四回目でやっと無くなった…。