その3
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homuhomu_tabetai
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686 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県)[sage saga] 投稿日:2011/09/12(月) 00:17:04.61 ID:mFCHYHTY0
りぼほむと白まどがつがいとなって、数日が過ぎた。
増水で荒れた河原には、多くの虫たちが戻り、
増水に耐えられずに枯れた草木を養分に増えたきゅうべえにより、
まだ幼い二匹を遥かに超える高さの雑草が生い茂りはじめていた。
野良仔白まど「ミャロ、ホミュラチャン、ミャリィィ……」
野良仔りぼ「ホミャミャ、ミャロカ、ホミュゥ」
二人はねぐらとなっている流木の洞の中で、じっと外の様子を窺っていた。
洞の近くの草むらには、大量のバッタが発生していた。
成体となったほむ種ならばモノともしない中型昆虫も、
幼体の彼女達にとっては脅威となる。
生まれてから数日の幼体のほむ種の身体は3~4センチ程度。
バッタも同程度から、大きければ6センチ近いモノもいる。
想像して欲しい、自分達と同じから倍近いサイズで、驚異的なジャンプ力を誇る異形の生命を。
仮に想像し難いならば、動物園の熊や虎を思い浮かべればいいだろう。
あれと同クラスの体躯を誇る異形が、体長の数倍から数十倍のジャンプをして来る瞬間。
それは、恐怖以外の何物でもない。
野良仔白まど「ミャ、ミャリィィィ……」フルフルカタカタ
白まどは完全に萎縮しており、りぼほむに縋り付いて震えている。
野良仔りぼ(ミャロカ……ホ、ホミュン)
対して、りぼほむは白まどが縋り付いて来てくれたお陰で、逆に正気を保てていた。
白まどを守ろうとする決意が、りぼほむに勇気を与えていたのだ。
結局、二人はバッタ達が静かになった瞬間を見計らって、川岸まで走って食事を済ませ、
また、バッタ達が静かになった隙を狙ってねぐらに戻る、と言う生活を強いられていた。
そんな生活が三日目を迎えた日だった……。
野良仔白まど「ミャリィィ……ミャリョォォォ……」ポロポロ
遂に、白まどの心が限界を迎えた。
すぐ近くにある脅威と、その脅威から逃げ続ける生活を抜け出し、元いた場所に戻りたいと言い出したのだ。
お山に帰りたい。
お母さん達と住んでいた、あのお山に戻りたい。
りぼほむの住む街は、山の麓にある都市の、郊外も外れに相当にする地域だ。
恐ろしい獣の類――野良犬やヘビだ――が少ない代わり、餌場は限りなく限定される。
確かに、山に行けば、餌はここ以上に豊富だろう。
だが――
野良仔りぼ「ホミャッ!? ミャロカ、ホミュゥッ!」
幼く、それも羽を失った自分達にはそれらの獣を相手に出来る能力はない。
飛べる、と言う最大のアドバンテージを失った自分達は、他のほむほむやまどまどに比べて腕力が多少優れている程度でしかない。
脚力や腕力でさやさや、あんあんに勝てるワケでもない。
しかも、親から扱いを教えられるハズの弓矢も満足に使えない自分たちは、まみまみにさえ劣る。
そんな状態で、ほむ種にとって遥か彼方に望む山まで、どうやって戻ると言うのか。
野良仔白まど「ミャリィィ……」ポロポロ
言われずとも、白まどにもその事は分かっていた。
だが、望郷と安息を願う気持ちは抑えきれるモノではない。
今よりも危険な場所に赴こうと言うのに、やはり身近にある危険から逃げ出したい気持ちが大きかったのだ。
それはさながら、夏の暑さに耐えかねて、寒さ厳しい冬を恋しいと感じるかのようなモノだろう。
人間に近い精神構造を持つほむ種の、それも幼い彼女達だからこその思考であっただろう。
野良仔りぼ「ミャロカ……ホミュホミュ……」スリスリ
野良仔白まど「ミャリョォォ……」ポロポロ
泣き濡れたつがいを慰めるように、りぼほむは頬ずりを始めた。
自らの頬で、最愛のつがいの涙を拭うように……。
野良仔白まど「ホミュラチャン……ミャロォ……///」スリスリ
いつしかつがいの涙は止まり、頬ずりを返すまでになっていた。
その夜――
……トテトテトテ……
眠りについていたりぼほむの耳に、微かな足音が響いた。
野良仔りぼ「ホ、ホミャ……?」
やや後れて、寝ぼけ眼を擦りながら、りぼほむは身を起こす。
見渡す。
空っぽのねぐら。
野良仔りぼ「ミャ、ミャロカッ!?」
眠気は一瞬で吹き飛んだ。
白まどの姿がない。
思考するよりも早く、身体が動いた。
姿のない白まど、聞こえた足音、昼に見せた彼女の泣き顔、山に戻りたいと泣いた声。
野良仔りぼ「ミャロカァァッ!」
ねぐらから飛び出し、辺りを見渡す。
鬱蒼と生い茂る草むらが邪魔をして、白まどの姿は見えない。
野良仔りぼ「ミャロカァッ! ミャロカァッ!」
声の限りに叫ぶりぼほむだが、返事はない。
代わりに響いたのは………
「ミャ、ミャリャァァァァァァァッ!?」
絶叫のような悲鳴。
野良仔りぼ「ミャ、ミャロカァァァァッ!?」
悲鳴の聞こえた方角に向けて、りぼほむは走り出した。