魔術が息づく世界
ネアが呼び落とされた世界層には、魔術が息づき、魔物、竜、精霊、妖精、人間たちが共存共栄していた。
この世界層において、〝世界〟は幾度か代替わりを繰り返しており、「万象を司る者」が崩壊すると転換期が訪れ、「終焉を司る者」が世界を滅ぼし、最後に終焉の崩壊を以て〝世界〟は終わる。
そしてやがて新たな「万象」の派生を以て、新たな〝世界〟が始まる。
今代の万象(
ディノ・シルハーン)の世界は、魔術と魂が結び付いて成り立っている。(
824)
事象や生物の発生、強い感情などそれぞれの条件が合致することで魔物や竜、妖精、精霊が派生し、それらは祟り物になることもある。
ただ、人間だけは他の種族と異なり、〝前の世界〟の生き物のあり方を参考に、様々な種族の高位者たちが試行錯誤した末に生み出された。
事象や草花からの派生など、生まれ落ちる最初の要因を持たない人間の派生は難しく、結果、人間だけは大地や草花から様々な魔術を取り込み、循環させて生きる形となった。
この手法は、〝前の万象(ディノルネイア)の世界〟の崩壊を超えることの出来た、気体化した高位精霊たちの意見を元にして、前の世界の生き物のあり方を参考にしている。(824)
今代の〝世界〟には様々な国があり、人間と人外者が混じって形作られる国もあれば、この〝世界〟とは一層異なる領域で、妖精や竜などが一族でまとまって暮らしている国もある。
王政が多く、魔術に恵まれた土地もあれば、そうでない土地もあり、また、魔術の発達は(読者の世界の)科学の発達に近しいものとして存在している。
それぞれの国や地域に棲む魔物たちを、公爵位の魔物たちがそれぞれ総括している。
今代の万象の世界には、神という存在がない代わりに、高位の魔物たちがそれに近しい概念として人間に崇められている。
この世界層の主要概念
歌乞い
魔術可動域
この世界層において魔術を扱うための基準となる数値。単に可動域とも言う。
洗濯や掃除、衣類の仕立て、調理など、生活の基盤に魔術の稼働が組み込まれており、可動域が極端に低い者は、自力で洗濯をすることもできず、魔術道具で生活を補わなければ自立して生きていくことすら困難。
また高位魔術師など、魔術可動域が高い人間は、魔術によって肉体を酷使しない分、妖精と同じくらい寿命が長くなり、健やかであればそれ以上生きることもある。対して、可動域が低い者は「永遠の子供」の区分として扱われることがあり、魔術による消耗が少ないため、こちらも同様に長生きする傾向にある。
- 目安:
- ヴェルクレア国内最高峰の魔術師とされるエーダリアとランシーンの羊飼い(魔術師)・ルドヴィークは同じくらい高い可動域
- 魔術が潤沢なウィームでのパン屋の開業基準:200(ウィーム外なら50程度)
- ウィームのパン屋・ジッタ:1000以上(エーダリアが驚愕するレベル)
- 野生の棘牛:800
- ウィームの精肉屋:必然的に800以上必要
魔術抵抗値
外部からの魔術侵食や弊害に対する防御力を指す。一般的には魔術可動域が大きいほど魔術抵抗値も大きい。
魔術可動域が低くても、魔術抵抗値が十分に高ければ、魔術が潤沢な土地や魔術特異点において倒れたりすることなく過ごすことが可能で、ネアはこの部類に入る。
本来は先天的な体質に依存する値だが、体力が激しく落ちると「干渉力(守護の作用)」と共に抵抗値が低下し、本来防げていたはずの魔術的な不調(魔術酔いなど)を引き起こすことがある。
魔術汚染による結晶化の病
魔術抵抗値の低い人間が過分な魔術に晒されると、〝魔術汚染〟または〝魔術浸食〟と呼ばれる状態になり、特有の病を発症する。
症状としては、抗体を持たない人間が魔術に侵食されると、指先などの体の末端から結晶化が始まり、進行すると指先が鈍色になり、触れれば崩れてしまいそうになる。結晶化の病は不治の病とされており、放置すれば死に至るため、対処療法としては本人の抵抗値で対処できるレベルの魔術の薄い地域で生きるか、完全隔離するなど、とにかく魔術に触れさせないようにするしかない。
唯一の根本的な治療法は、〝
薬の魔物〟が精製する特別な毒消しの薬や、ムグリスなどの特定の妖精が与える祝福によって魔術可動域と抵抗値を底上げすることのみ。
祝福
この世界層における祝福とは、土地の魔術や、魔物、精霊、妖精、竜といった人外者から与えられる恩寵や叡智を指す。
→
詳細は祝福参照
あわい
「世界の隙間」や魔術的な隔離空間を指す言葉。何層も何種類もあり、繋がっていない行き止まりの層もある。あわいには多くの層や種類が存在しており、魔物に殺された死者たちが集まる層のように、他のあわいとは繋がっていない行き止まりの場所も存在する。(
901)
あわいの時間は現実の世界とは異なって流れることがあり、時間の波間を逆行したり、時間の止まった土地に滞在してしまったりすることもある。
あわいは、かつて存在した場所が映し残されている事も多い。そのせいか、最下層のあたりは時間の流れが複雑な場所も多い。(
92)
- あわいの隙間
- 人間は隔絶または側溝とも呼ぶことがある。ネアたちが普段暮らしている世界と、死者の国や、妖精の国との間にできる、世界の管理下にありながら、名の知れたあわいではない、その末端の一種。(901)
影絵
「世界の記憶の欠片」が偶然に生まれたものや、魔術によって特定の情景を固定したものを指す。影絵はあわいと異なり、「本来の道筋から逸脱できない」という制約があり、歴史の澱のように同じ時間を何度も繰り返し続ける。高位の魔物などは、自らの城の影絵を書き換えたり、既存の影絵に自ら風景を作り足したりすることも可能。
妖精が円環の中に隠している隔離地などは、これら影絵やあわいを足場にして構築されていることが多いとされている。
時差
地球のように土地同士の位置関係による時差の概念はないが(363)、その土地の系譜のものの影響により、日照時間が変化することはある。
また、あわいなどの〝層〟が異なる領域と、人間の営みがある世界層とでは時差が生じることもある。
最終更新:2022年05月06日 21:49