本物の勇者

+ ――果たして一年の終わりに、彼らはそれと出会う。(注意:第二部までの重大なネタバレを含みます。「第八試合 その4」あるいは書籍版Ⅴ読了後の閲覧を推奨)
外なるセテラ

彼はついに、勇者を見つけた。
全ての心に通ずる詞術の疎通できない、存在しないはずの。

それは生まれつき詞術(しじゅつ)の概念を理解しないままに、世界を認識している。
それは自らの見る現実を他者へと同じく突きつける、真なる解呪の力を持つ。
それは厳然たる現実としての強さと大きさを持つ、ただの大鬼(オーガ)である。
そして、それは最初から――

登場話

第二部

  • 「第八試合 その2」

略歴

  • 読み:そとなるセテラ
  • 種族:大鬼(オーガ)
  • クラス:勇者(ブレイブ)

環座のクノーディに出会う以前、漂う羅針のオルクトによって命名された不言のウハクの名前。

オルクトと移り気なオゾネズマの旅の途中で見いだされ、“最後の地”クタ白銀街までオルクトを守り、
オゾネズマの願いに応えて“本物の魔王”を殺した、"本物の勇者"。

外見

灰色の、大鬼(オーガ)としてはひどく小柄な(・・・・・・)個体。

能力

概略は不言のウハクを参照。

詞術という世界法則が存在する異修羅世界においては、異なる種族であっても意思で通じ合うことができる。
詞術至上主義の世界観ゆえ、詞術で意思疎通のできない獣は心を持たないとされるが、獣ですら“本物の魔王”を恐怖する、
あるいはオルクトの歌に聞き入るような精神的機能(あるいはこれが本当の“心”なのかもしれない)がある。

では、そのような精神的機能を全く持たない存在がいたとすれば。
勇気によって恐怖に抗うといったレベルではなく、そもそも恐怖を全く感じない存在がいたとすれば。“本物の魔王”を打倒し得るのではないか?


――実験は成功だ。


――それがオルクトが考案した魔王殺しの手段であり、外なるセテラの正体である。

この大鬼(オーガ)がいかなる経緯で異修羅世界に生まれついたかは神のみぞ知ることであるが、
“勇気”という概念を全く持たない存在でしか“勇者”に成り得なかったというのは、いかにも皮肉な出来事である。


そして――

セテラは紛れもなく、独立した一つの存在である。
遠隔操作の機械でも、使役されるだけの魔族でもなく、彼が何を為し、どう行動するかを、彼自身が自由に決めることができる。
では、精神的機能を有していない彼は、どのような理由で何を成し、どういった理屈で行動しているのか……?

心を持たないはずの彼が、なぜ六合上覧に参加しているのか?

今作においてその思考や本心が読み取れない存在は何人かいるが、その中で最もその意図が不明で、恐ろしい(・・・・)のはこの外なるセテラであろう。


  • 結局何がやばいのかわからん -- 名無しさん (2024-06-17 11:47:09)
  • はい、いいえすら喋らない勇者、大分ハイセンス -- 名無しさん (2024-10-01 19:16:55)
  • 世界からの浮きっぷりがプレイヤーキャラを彷彿とさせられていいね -- 名無しさん (2024-11-23 01:05:10)
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最終更新:2024年11月23日 01:05