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反妖怪主義
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概要
| 反妖怪主義 | |
| 英名 | Anti-youkaism |
| 別名 | |
反妖怪主義とは、東方Project原作に登場するイデオロギーであり、幻想郷から妖怪を追い出し、人間のものにすることを目的としている。
反妖怪主義者は、妖怪が自分たち人間のルーツや幻想郷そのものについての知識を有していながら、人間に対してそれを隠蔽していると仮定している。
妖怪たちに、幻想郷や人間についての情報を握られているようでは、恐らくいずれ起こすことになるであろう、妖怪に対する武装蜂起等で不利な立場に置かれることになる。
幻想郷や妖怪についての、真実を暴くメリットはそれだけではない。幻想郷において、恐怖とされる妖怪のの真実を解き明かすことで、その神秘性を剥奪し、人間にとってより矮小な存在へと引き落とすことができるのである。
妖怪の神秘性という見せかけ、すなわち「上部構造」に騙されず、それを下支えする現実である「下部構造」を解明するというのは、マルクスが資本主義社会の上部構造と下部構造を分析し、その社会の矛盾を暴露したことに類似する。
同様に、反妖怪主義の「宿敵に対する研究」は、妖怪と人間が共存する幻想郷の矛盾を明らかにし、人間らに革命の口実を与え、団結させるきっかけになる可能性がある。
恐らくは、これらの理由のために、反妖怪主義者は、幻想郷の真実について調べることを最優先している。この調査のために、反妖怪主義を信奉する秘密結社は死者すら出している。
反妖怪主義の特殊性は、右派的な種族に基づく差別、排斥と、左派的、唯物論的な「真実」や「矛盾」を暴露することによる階級闘争が不可分に結びついていることである。この特徴を持つ史実の思想は、シュトラッサー主義(ナチス左派)に他ならないだろう。彼らは、ユダヤ人を排斥の対象とすると同時に、資本主義を牛耳る支配階級とみなしていた。
妖怪側の反応
反妖怪主義は、多くの妖怪に相手にされていないが、これについて懸念を表している妖怪も存在する。
例えば、上白沢慧音は、幻想郷の人間と妖怪の現在成立している絶妙なバランスが、妖怪への恐怖を忘れた反妖怪主義者達によって破壊されることを懸念している。
また、上白沢は反妖怪主義の成立要因を、人間の親子間で歴史が継承されていないことに帰している。妖怪は過去のことも現在のように覚えているが、人間は世代交代のために、記憶が徐々に薄まっていき、人間の側が妖怪から離反していくとしている。
上白沢は、反妖怪主義に対する処方箋として、人間に対して歴史の学校を開き、過去に対する歴史認識を強化することを提案している。
アルチュセールのイデオロギー論の観点から見れば、これは、イデオロギー装置(学校)によって、人間を、妖怪を恐れる存在として「主体化」し直すことことにほかならないだろう。歴史を利用することによって、妖怪にとって都合の良い「人間」を再生産しようとする試みに過ぎないのである。
