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コーポラティズム系統
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そもそもコーポラティズムとは
コーポラティズムとは複雑な歴史的変遷をたどってきた面倒な概念である。大きく3つに分けられる。
コーポラティズムの原点:カトリック・コーポラティズム
史実において最初に生まれたコーポラティズムは、キリスト教コーポラティズムの一種であるカトリック・コーポラティズムである。
カトリック・コーポラティズムについては専用のページの方を参照してほしいが、特徴としては、フランス革命的に対するカトリックの反動の産物だということである。フランス革命が掲げた理念、自由主義やら民主主義やら個人主義やら世俗主義に全面的に反対し、さらに自由貿易主義や競争にも反対している。特に、初期は中世のギルド制度を理想視していたのも特徴的である。
カトリック・コーポラティズムの時点で、ファシズム系や現代のコーポラティズムの特徴は出ている。それは、階級闘争を否定し、雇用主と労働者の相互協力を促進するということである。カトリック・コーポラティズムにはこれに加えて、キリスト教精神や国家あるいは共同体の有機体論も含まれていた。
カトリック・コーポラティズムの精神は、キリスト教民主主義にも、後のファシズム系のコーポラティズムにも影響を与えている。
ファシズム系のコーポラティズム
ファシズム系のコーポラティズムは、国家コーポラティズムやファシスト・コーポラティズムなどと呼ぶことが多い。
ファシスト・コーポラティズムが発展したのイタリアであることから分かるように、カトリック・コーポラティズムの影響はかなり色濃い。カトリック・コーポラティズムと同様に、自由主義を否定し、また、当時台頭してきていた社会主義も否定する。国家がトップダウンで、労働者を代表する組織と資本家を代表する組織の両方を抱え込み、国家主導で階級協調をやらせたのが最大の特徴である。
現代のコーポラティズム
現代のコーポラティズムの基本的な定義は、労働者を代表する利益団体(例えば労働組合)と資本家(経営者)を代表する利益団体(日本だと経団連が典型)が政治に制度的に組み込まれており、協調的に政策決定を行う体制である。つまり、思想というよりは、どのような政治体制かを表す用語として用いられる方が多い。
政治家、労働者、資本家(使用者)の三者を略して、政労使と呼ぶこともある。政労使の三者が社会的パートナーとして協調することを三者主義と呼んだりする。
コーポラティズムという用語自体は、構成する利益団体を政労使の三者に限定するものではない。
現代の民主的なコーポラティズムは、民主コーポラティズム、ネオ・コーポラティズムなどと呼ばれており、進歩主義色が強い場合は、社会コーポラティズムとも呼ばれる。