♠ ♥ ♦ ♣
「「君/貴方たち が生きていける世界のために」」
彼らは、現在の大きな流れ(既知感)には叛逆せずに、最後の結末だけを変えることで、望んだ未来(未知の結末)を観測しようとした。
♠ ♥ ♦ ♣
バタフライ効果という言葉がある。
ある場所では、蝶の羽ばたき。もしくは小さな偶然。
しかし、ひとつの偶然が起こるかどうかで、嵐が起こるどうかが決まる。
少なくとも、人間の――そしてサーヴァントの運命は、あっけなく分岐する。
それが同じ結末へとたどり着く分岐か、世界線がまるごと変わるような分岐かは、結果を見なければ分からないけれど。
S中学校が
真庭鳳凰に襲撃されたのは、偶然。
Y高校がティキに襲撃されたのも、偶然。
駆逐イ級が市内の各地で被害を出したのも、必然じみてはいるが、ひとつひとつの被害場所が選ばれたのは偶然。
イ級に殺された被害者の中に、小学校の用務員がいたことも偶然。
しかし、
小学校では、運動場に全校児童が整列したまま、だいぶ時間が経過していた。
集団下校で引率に用いる黄色い旗の数が足りなかったので用務員さんが買い出しに行ったはずが、その用務員さんがいつまで経っても帰ってこないし、連絡も繋がらない。
用務員さんは集団下校の引率者も兼ねていたので、必然的に引率者の数も足りなくなった。
前後して、S中学とY高校がテロリストの襲撃を受けたというニュースが飛び込んでくる。これは市内の学校が連続で狙われるのではないかと、職員室で騒ぎになった。誰が伝えるともなしに、児童にもそれが伝わってしまった。
さらに前後して、用務員さんは最近良からぬ噂ばかりが聴こえてくる『御目方教』に出入りしていたと、職員の一人が思い出したように言った。信者の中には暴動騒ぎを起こした者もいると噂の立っている宗教団体だったものだから、用務員さんのことを警察に通報するかどうかでさらに揉めた。これも集団下校の直前だったものだから、耳ざとい児童によって拡散された。
さらにさらに、並行して市内の幾つかの場所で爆発事故が起こったというニュース速報が飛びこんできて、やはり児童を自分の足で帰宅させるのは危険ではないかとの意見が出た。
こうして、土壇場になって職員たちの議論が始まった。
集団下校を取りやめて保護者に迎えに来てもらうか、色々と不足した状態でも集団下校を決行するかの二択で、校長教頭が集めた教師の代表者たちが運動場の見える教室で討論を始める。
そういうわけで、児童たちは運動場に班別に並んだ状態で待たされるという苦行に耐えていた。とうに緊張感など無きに等しく、みんな隣の子どもと指スマやグリンピース(両手の人差し指で数字の「1」を2つ作り、先攻後攻で互いの指を触り合って数字を増やしていくあのゲーム)に興じている。
ランサーのマスター、東恩納鳴もその一人だった。
フラストレーションを溜めた児童の何人かは、すでに子ども用携帯電話で迎えを呼んでいた。自家用車が学校の校庭に何台も駐車し、子どもたちを見ていた教師に断りをいれて子どもを連れ出していく。
中でもひときわ大きな家――孤児院の院長先生がレンタル車も併せて何台かの車でやってきて、それまで
一条蛍と仲良く話していた五年生をリーダー格にした児童の一団がどっと立ち上がって帰って行ったのを見て、とうとう鳴に限界がきた。
【ねぇ、ランサー……】
【マスター、何をしたいのかは察したけど、それは止めた方がいいと思う】
【どうして?】
【つまり僕を実体化させて、迎えに来た兄か何かの振りをさせて、早く帰りたいってことだろう?】
【いけないの……?】
むぅ、と不満げな眼をして口をへの字にされた。
生前も、ある女性や妹とひとつ屋根の下で暮らしていた時に、その双方からよく向けられた表情だ。
ランサーとしても、彼女が遊ぶ時間欲しさにそんなことを言い出したわけでないことは分かっている。
早く学校を出て、アサシンとそのマスターを見つけ出すための作戦行動をしたいのだ。
念話では作戦会議をするにも限度があるし、ただでさえ『小学生』というロールを守っている限り、捜索に充てられる時間は限られるのだから。
【どこで他のサーヴァントが見ているか分からないよ。
気配遮断に長けたアサシンというサーヴァントもいる。
一方的に姿を見られたら、最初に会った時のようにまた襲われるかもしれない】
【でも、そんなことを言ってたらランサーはずっと霊体化してなきゃいけないよ?】
戒にとっては困ったことに。
『魔法少女活動』というものをしていたからだろうか、この少女は年相応なところもあるなりに、しっかりと状況を見る眼を持っている。そして少々こまっしゃくれていた。
……戒にとって比較対象が気が弱くて素直で騙されやすそうな彼の妹しかいないため、相対的にかしこく見えるのかもしれないが。
【そうは言っても、学校の皆がいる前で姿を見せるのはリスクの方が大きいよ。
君のように、小学生のマスターも紛れこんでいるかもしれないんだから】
櫻井戒が念話でそう伝えると、鳴は不思議そうに小首をかしげた。
【だったら、逆にその人達にも私たちのことを教えた方がいいんじゃないの?
聖杯が欲しくない人だったら一緒に帰ろうって仲間にできるし、欲しい人達ならランサーみたいに、『戦わずに聖杯を獲ろう』って説得した方がいいよ】
その言葉にどう返事をしたらいいのか、ランサーは考えるのに時間を要した。
鳴は、召喚した日に己のサーヴァントから告げられた『もしかしたら、戦わないでも聖杯だけを横取りできるような手段があるかもしれない』という欺瞞を、そのまま信じている。
だから彼女は、戦わないマスターのことを『いずれは殺さなければならない相手』だとは認識していない――そう認識しているランサーと、違って。
【確かに連続殺人のサーヴァントを倒すことを考えたら、味方は多い方がいいかもしれない。
でも、マスターから見たサーヴァントならともかく、サーヴァントがマスターを見ても100パーセントマスターだと判定できるわけじゃないんだ。分かりやすい魔力や令呪のようなのような証拠がない限りはね。
僕がここで実体化しても、マスターを探せるかどうか分からないよ】
【そっかぁ……今日になって色んな事件が起こってるみたいだから、悪いマスターのせいかもって、早く事件のこと調べたかったのに……】
どうやら、彼女は彼女なりに、そしてランサーの想像以上に、この周囲の騒動を重く捕えていたらしい。
(いや、待てよ……)
色んな事件。その言葉がきっかけとなって、嫌な胸騒ぎがランサーを襲った。
S中学と、Y高校を連続で襲撃したテロリスト。
児童の間でざわざわと交わされていた噂ではないが、確かに関連性を疑うべき状況ではある。
『別々のマスター同士の戦いによるもの』という可能性も低くない。しかし、同一人物が年若いマスターを炙りだすために、連続で犯行に及んでいる可能性も決して低くない。
しかも、この膠着状態になる一因を作った用務員は、御目方教の人間だったという。
これまでの鳴との日常ではまるで接点の無かった組織だが、噂を聞くだけでもマスターが絡んでいそうな怪しさがある。
そのマスターが関わっている組織の人間のせいもあって児童の下校が遅れ、今やまるで無防備な状態で迎えを待っている小学生と教員が大ぜい固まっている。
ひとつひとつの出来事だけならば、それを持って『次の標的はこの小学校ではないか』と推測するにはあまりにも薄い。しかし、あまりにも偶然が重なっている。
『もしや』の可能性を捨てきれなかったことで、彼の中で『このまま学校に長居するリスク』は『実体化して鳴を連れ出すリスク』と同等か、それ以上になってしまった。
【鳴ちゃんの気持ちはよく分かった。
マスターを見つけられる保証はないけど、君の兄の振りをして迎えに来よう】
【いいの? ありがとう、ランサー!】
ランサーが遠回しに『ここにいる児童は見捨てても、鳴だけは危ない場所から遠ざけよう』と見なして判断したことなど知るよしもなく鳴が喜んでいるのを見て、ランサーは内心で自嘲を重ねた。
◆シップ(望月)
泣きそうだった。
「無理。無理。無理。無理。絶対無理。やらかす。死ぬ」
彼女のマスターが。
【いっちーてんぱり過ぎだってば……なんとかなるっしょ】
【ならない!! つーか、いっちーって何!?】
【うちの姉妹はあたしのこともっちーって呼ぶもんで……なんとなぁく】
一松の知り合いの会社で、アルバイトの説明をざっと受けてからしばらくのこと。
望月と彼は、小学校の校庭に進入していた。
まぁ当然、二十代の無職男性が縁者もいないのに小学校に入ろうとするなど客観的に見ても不審者でしかないので、普通の侵入経路は使わなかった。
一松と仲が良いらしい猫に人間は本来使わない抜け道を案内してもらい、校庭のツツジの植え込みの陰から運動場を観察している。猫たちも一緒に。
学校関係者に気付かれた気配もなく、今のところは順調だ。
しかし、これから為さねばならないことについて、一松の中のハードルはエレベストよりも高いらしい。
しゃがみこんで並んでいるランドセルの群れの中。
依頼された人物は、すぐに見つかった。
なにせ、目立つそうだ。
望月は霊体化しており肉眼視できないのではっきりとしないが、その少女――一条蛍は、目立つ少女だった。
【小学生っていうから、まだ接触しやすいと思ってた。向こうも大人のこっちが話しかけたら緊張するから優位に立てると思ってた。
アレ、どう見ても小学生じゃないし……ちょっとオシャレしたら土日に河原でバーベキューやってる大学生の中に混じってても違和感無いし。あれに臆するなって方が無理。自殺行為】
【小学生女子なら会話でマウント取れる~とか思ってる時点で、屑の発想だよねぇー】
簡単な依頼のはずだった。
むしろ望月のマスターは、当初あからさまに手を抜いていく姿勢だった。
要は、『一条蛍という少女は、ごく普通の小学生なのかを身辺をうろついて確認すればいい』だけのことだと理解するや、ほっとしていた。
一日二日、適当に尾行して『やっぱり何もありませんでしたよ』と報告し、その間のホテル滞在費とかも調査経費で落としてしまおうと二人で決めた――友誼があるはずの社長にすらそんなだから、友達ができないのだろうかと思わなくもない。
いや、本人曰くブラック工場で終身名誉班長をやっていたこともあるらしく、やれと言われたらそれなりに全うはできるのだろうけど、自分のキャパを越えそうだと思ったらあっさり諦めるようだ。
(ちなみに望月自身も、一松の稼いできた金で一緒にだらだらと怠けようと思っていたので、割と人の事は言えない)
しかし、小学校での道中で望月は閃いた。
【その『社長に頼んだ依頼人』と調査対象ってさぁ……どっちもマスターじゃね?】
割と、思いつきやすい発想である。
互いに全く接点のない大人と子どもが、このK市で、一方がもう一方の身元を探ろうと依頼をして、しかもその理由を明かせないというのだから。
マスターを突き止めようとするマスターだと考えれば、とてもしっくりくる。
一松は納得したようにうなずき、そして冷や汗をだらだら流し始めた。
もしそれが本当なら、適当な報告でもしようものなら『こんな疑わしいマスター候補がただの小学生のはずないだろ。この報告を挙げたヤツは怪しいぞ、出てこい』という展開になってしまうかもしれない。
それなりに本腰をいれて、調べないわけにはいかなくなった。
【だったらさぁ……その小学生と話してみて、『最近変わったこと無かった?』とか何でも探り入れてみて、マスターかどうか確認した方が手っ取り早くねぇ?
あの小学生がマスターじゃないって分かったら気楽だし、サーヴァントがいるとしても霊体化してるなら肉眼視されないし、令呪とか見つけられない限りばれないっしょ?】
望月はそう言った。
それがベターな方法のはずだった。
それに対する返答が、あの泣きそうな声になった。
松野一松のコミュニケーション障害――いわゆるコミュ障は尋常ではない。
兄弟以外の他人と口を開けば、どもりになるか拒絶になるか毒を吐くかのどれかになる。
異性と仲良く喋れと指示されても、何も言えずに黙り込む。
それでもなお何か喋れと言われたら、緊張の極致になりケツを出して漏らす。
一部は松野家に潜んでいた時に聞こえた会話からの伝聞も混じっているので誇張もあるかもしれないが、何にせよどうしようもない。
【そう言えばシップって、装備降ろしたらセーラー服の女子じゃん。
だったら話しかけても不審者呼ばわりされたりしねぇな……】
【いや、あたしが話すのは無理あるっしょ? マスターだったらステータス見られてバレるって……】
うんざりとした顔をつくり、メンドクサイと言わんばかりに跳ねつける。
しかしはねつけた後で、じゃあもしこれがマスター相手じゃない普通の仕事だったら手伝ったのかな、と顧みた。
たぶん手伝ったんだろうなー、とやれやれする。
ずっと怠けていたいというのは嘘じゃないけど、望月は提督(マスター)が頑張っているのに自分は何もせず一人怠けるほど不人情でもない。
『しばらくは何もせずにだらだらしたいから』という動機は不純だけれども(そして望月も人のことは言えないのだけど)、曲がりなりにも頑張ろうとはしているのだから。
――それに、あんな風に別れを告げるのを、聞いてしまったら。
マスターに本当に言ってあげなければいけないのは、『なんとかなるっしょ』といういつもの気休めじゃない。
『あたしが絶対にもとの世界に帰してあげるよ』という力強い保証だ。
でも、それができない。もっと強いセイバーやランサーならまだしも、自分がそれを保証するにはあまりに非力であることを望月は自覚している。
できるのは、だらだらと穏やかな日常に寄りそうのと、付き合えるところまで付き合うぐらいだった。
唐突に、しゃがみこんでいた一条蛍がばっと立ち上がった。
「えっ……!?」
そんな驚きの声をあげたものだから、ドキリとする。
慌てて、彼女の視線の先にあるものを見た。
教師と、小学校低学年ぐらいの女子児童がいた。
そして、その少女と手をつないで保護者のような立ち位置にいる若い男がいた。
眉目秀麗だが、どこか達観したような、枯れたようにも見える泰然とした風貌。
昔の軍服のようなスーツを着ている。海軍とばかり縁のあった望月には、どこの国のものか特定することまではできないが。
そして、一松がその男性の決定的な特徴を言った。
【サーヴァントの、ステータスが見える……】
そのサーヴァントを見て反応したということは、一条蛍もおそらく、当たり。
「しかもシップよりずっと強い」というサーヴァントに対するコメントは、悪気はないのだろうけど刺さらないでもなかったが。
【【…………どうする?】】
♠ ♥ ♦ ♣
逃げてきたつもりで、想像以上に多数の思惑が交錯した場所に迷い込んだことを、彼等はまだ知らない。
潜んでいるつもりで、二人を見ていた者がいたことも。
――そして、その『見ていた者』ごと、さらに見ていた者がいたことも。
♠ランサー(櫻井戒)
早速見つけてしまったのは、校庭に怪しい覗き魔がいることだ。
運動場からは気付かれないようだが、戒は万全を期して人のいない裏門から遠回りをして正門に入りなおしたので、角度の都合でフェンス越しに後ろ姿が見えた。
紫のパーカーからフードをかぶった、日本人の若者。
猫が数匹、その周りをすり寄るようにまとわりついているのがいささか奇妙だった。
見るからにサーヴァントではなさそうなので、おそらくはマスターか魔術で洗脳されたNPCか。
前者だとしたら霊体化したサーヴァントが控えている可能性もなくはない。
ともかくまずは鳴を拾って、その後で潜んでいる相手が後を付けるくるかどうかを確かめよう。
「すみません、二年生の東恩納鳴の兄ですが、妹を迎えに来ました」
さすがに第三帝国の腕章は外している。
御目方教ではないが、どこぞの怪しい宗教団体の人と勘違いされてはかなわない。
腕章を差し引いてもそれなりに浮いてしまう服装だったけれど、二年生の担任だった女性教師も、初見で軽く驚いた反応をしただけだった。
大学の学園祭の準備からそのまま来てしまって……と慣れない言い訳をすれば、あっさりと教師は破顔してくれた。
高校生をやっていた頃も老けて見えると言われたタチなので、結果的にはそれが幸いしたのか。
鳴がいきおいよく駆け寄ってきた。
「ありがとう、ランさ……じゃなくて、戒お兄ちゃん!」
その呼びかけには、ひやりとした。
本当ならクラス名だけでなく『戒』という真名もあまりよろしくはないのだが、これは偽名を使ってくれと頼まなかった自分の落ち度だ。
手をつないでくる少女に、実体を持った体で笑いかける。
「待たせたね、鳴。父さんも母さんも忙しいから、僕が代わりに来たよ」
えへへ、と照れたようなな笑みをこぼす嬉しそうな反応は、演技だけではないように見えた。
この年頃の少女らしく、兄のような存在への憧れもあるのかもしれない。内実はそんなカッコいいものではないけれど。
「お世話になりました。明日の授業日程なんかは、早めに連絡をいただけると助かります――」
いくらなんでも学外でこの服装は目立つので、校門を出たらすぐに霊体化して離脱しようと算段する。
挨拶をしながらも、周囲にサーヴァントの存在を嗅ぎ取って動揺する人物がいないかどうか、耳をそばだて横目で警戒することも怠らない。
「えっ……!?」
しかし、どうやら警戒するまでもなかった。
明らかに、他の児童とは違う驚きの声があがった。
そして、できれば彼女であってほしくは無かった。
鳴が答え合わせをするように、名前を言う。
【一条蛍さんだ……】
午前中に、鳴と話をしていた高学年の少女だ。
妹と同じ字を名前に持ち、彼のマスターと関わりを持ってしまった少女だ。
(ああ。こういうことも、あり得たはずだ。分かっていた……)
この苦々しい感情には、覚えがあった。
かつて高校生活を華やかに騒がしてくれた大切な友人が、敵組織のスパイだと察してしまった時に似た苦々しさだ。
分かっている。本当に聖杯が欲しいなら、正義に則った行いばかりで勝ち抜けるわけではないと、分かっている。
そこにいるのは、O芝島を失わせた脅威のマスターや、正義のために討伐されるべき58人殺しのマスターとは異なるし、
陰から覗いている人物のように何か企みがあって戒に驚いてみせた風でもない、
明らかに戦意旺盛そうには見えないただの小学生のマスター――それも、すでに東恩納鳴とは知らぬ仲ではなくなってしまった少女だ。
そして、櫻井戒と手を繋いでいるマスターは、まだ知らない。
一条蛍のことを、『いずれは殺さなければならない相手』だとは認識していない――それさえも視野に入れてしまう、ランサーと違って。
黒い魔法少女たちとの戦いで生き残ったスペードの兵士に離脱の命令をしたのと前後して、ジョーカーのシャッフリンは炎の向こうの波打ち際で『生贄』にとどめをさしていた。
5体のデミ・サーヴァントのうち、ボロボロになりながらも生命機能が停止していなかった1体だった。
最初の金獅子のサーヴァントの一撃で海面へと飛ばされていたために、衝撃波のダメージが比較的軽微で済んでいたことが生存理由になったらしい。
クジラのように大きな口をだらしなく開口させたデミ・サーヴァントを、そこからザクザクと鎌で斬り刻むように破壊して殺害し、黒い魔法少女に殺されたシャッフリンたちを再補充した。
ビーストの魔力吸収が『食事』ならば、シャッフリンのそれは『補充』だった。
魔力の大きさや質によって満腹感や摂取するエネルギーが変わってくる『食事』とは違って、シャッフリンの宝具はどんなに力の弱い魔法少女だろうとも――有害なサーヴァントだろうとも、平等に『魔法少女52人分を補充するエネルギー』に変換されて運用される。補充した後には害も何もない。
このデミ・サーヴァント一体でいつでもシャッフリンを補充できるとしたらとてもコスト・パフォーマンスがよさそうな生贄だけれど、次があるかどうかは怪しい。
『汝女王の采配を知らず』はジョーカー自身が大鎌でとどめを刺したサーヴァントでしか補充できない。
そしてジョーカーの大鎌は、サーヴァントを殺傷こそできるものの、それ自体が力を持った宝具ではない、何の変哲もない見た目どおりの大鎌だ。
今回のように、死にかけで一方的に攻撃できるデミ・サーヴァントを捕まえて補充する機会など、そう簡単には巡ってこないと思うべきだろう。
海岸で起こった一連の戦闘をその行為で切り上げて、ジョーカーは黒い魔法少女たちに魔力反応で気付かれないうちに霊体化して脱出した。
内陸部へと森林づたいに移動しながら、ここにはいない――各地でジョーカーから命令を受けて動いているシャッフリンたちからの報告を受け取っていく。
本来、群体型のサーヴァントだからといって、マスターとサーヴァント同士がそうするような念話を簡単に行うことはできない。
しかしシャッフリンの場合は、ジョーカーが元からシャッフリン総体の主人格のようなものであり他のシャッフリン達の記憶を統合する役割を持っていること、そしてサーヴァントになった際の宝具で、再補充されるシャッフリンはジョーカーから生み出される都合で魔力のつながりがあったことから、ジョーカーだけが他のシャッフリン達と念話で連絡を取ることができていた。
1人1人から報告を受け取ると、想像以上に各地で事態が動いていたらしく、新しい情報がいくつも飛び込んできた。
改めて各シャッフリンからの報告を整理する仕事を始める。
まず、ハートの3番。
マスターと散歩中。
外出しているのはいただけないが、ハートの3番には『外に出るな』とまでは指示しなかったので仕方ない。
きわめて拙い語彙で、マスターとの関係は良好らしい旨の報告があがってきた。曰く、マスターはやさしい。珍しいことだった。
少なくともかつての主だったトランプの女王に対して、ハートナンバーたちは満足よりも怯えの感情を抱くことが多かった。
単に、かつての主のように暴力を振るわない分だけ好感情が高いだけなのかもしれないが。
市街地で情報収集をしていた、ダイヤの下位ナンバー達。
街頭ニュースで、『マリンユナイテッドK工場・造船所』の爆発事故と『△△港』の火事騒ぎがようやく取り上げられ始めた。おそらくサーヴァントの仕業だと思われるので、報道に耳を傾けている。
捨てられていた新聞紙に連続殺人犯(アサシンの主従)のことが書かれていたので、これは持ち帰るとのこと。
ダイヤは知識の面を担当していることもあり、情報に対して貪欲だ。マスターに討伐クエストのことを説明しに行った時に『巷を騒がす連続殺人鬼』という情報がするりと出てきたのも、こういった地道な情報収集によるところが大きい。そのまま続けるよう指示を出した。
金獅子の衣装を着たサーヴァント、および魔法少女のようなバーサーカーと交戦したスペードとクローバーの混成部隊。
こちらは、復活させたばかりだったのでシャッフリンを待機させている袋から取り出して直接に報告を聞いた。
金獅子のサーヴァントについてはデミ・サーヴァントの毒を受けて消耗していたが、戦闘中にゆるやかに回復している気配もあったと、スペードからの報告。治療魔法らしいものを使っていたから、それのせいかもしれない。
魔法少女じみたバーサーカーについては、とにかく速さでシャッフリンの一部隊を圧倒していたが、実は一撃の重さは、鉤爪の鞭を振り回す攻撃以外はそれほどでもなかった、とクローバーからの報告。
能力は『ものすごく速くなる魔法を使うよ』と言ったところだろうか。
しかし、その程度の攻撃力ならば『頑健』のスキルを持つハートの上位ナンバーで囲みながら消耗戦に持ち込めば、攻略するのは難しくないだろう。次からはそうしようとジョーカーは結論づけた。
そして図書館で知識を吸収させていたダイヤの上位ナンバーと、潜入補助で付き添っていたクローバーたちの混成部隊。
彼女たちの報告が、いちばん慌てた様子だった。
図書館通いは、ダイヤたちの方から発案したものだった。
ダイヤのシャッフリンが元から持っていた知識と技術は、全て『魔法の国』の世界で得てきたものだ。
聖杯から与えられる『その時代に適応するだけの知識』によって多少の補助はされているけれど、『この世界の現代科学と最新技術』は修得させる必要があると判断して、ジョーカーも賛同していた。
どうやら、ダイヤたちは図書館の書庫で、神父の格好をした謎のサーヴァントと遭遇したらしい。
その神父は普通の人間かと錯覚するような偽装の仕掛けを使っていたようだが、あいにくとそのスキルはDランク相当ぐらい。一方で、ダイヤのスートはBランクの罠看破スキルを持っている。ここでいう罠とは魔術的な守りも含まれるために、その人物の正体がサーヴァントだとすぐに見破った。
そして、すぐさまクローバーたちが霊体化を解き、そのサーヴァントを撃退しにかかった。
ダイヤのうち一人は、戦力にならないので付近にいた他のシャッフリン達を呼びにとびだした。
そして――
続けて、その付近で休息を取っていた、スペードのエースを筆頭にしたスペード数体の報告を聞く。
ダイヤから救けを求められ、すぐにダイヤの案内で図書館書庫に急行した。
結論から言うと、槍が折れた。
スペードのエースの槍が、折れた。
ジョーカーも、こればかりは、さすがに、スペードのエースの頭がバカになったのではないかと疑った。(シャッフリンはスペードも含めてさほど知能は高くないが、それでもスペードならば戦闘に関する頭は働くはずなのだ)
シャッフリンの中でもスペードのエースの筋力、戦闘力は群を抜いている。
一対一で戦ったとしても、並のサーヴァントならば打ち倒せるぐらいだ。
そのスペードのエースを含めた兵士たちの攻撃が、全く通用しなかった。
そのサーヴァントは、傷ひとつつけることのできない護りを持ったサーヴァントだった。
にわかには信じがたい話だが、何度も報告を受けて間違いないと確認した。
書庫でボコボコに叩かれても服のしみひとつないその神父は、ひとしきり攻勢が終わって愕然とするシャッフリン達に話を切り出した。
そこから先は、現場にいたダイヤに神父の言葉を述べさせた。
シャッフリン全体の知能は低いし人間の言葉も話せないけれど、それでもダイヤは文字を理解して見たもの聞いた知識を吸収するだけの記憶力は持っている。
――お嬢さん達は全員がサーヴァントのようだ。ならば指揮官となる方がいらっしゃるでしょう。その方に伝言をお願いしたい。
――同盟を結びませんか?
――ご覧になった通り、私、ちょっとばかり頑丈なのが取り柄でして。
――しかし、だからこそ、貴女方と敵対したら『次に何をされるか』が読めてしまうのですよ。そして、そうなると私も『手段を選んではいられなくなる』わけです。
――こんな序盤の局面から、お互いにそんな疲れることをするのは遠慮したいでしょう?
――それにお嬢さん達の手数と、私の盤石さ。手を結べば双方に有益だと思いますよ?
――お嬢さん達には決定権がないでしょうから、指揮官の方やマスターとよく相談されてください。こちらもマスターにこれから同盟の許可を仰がねばなりませんが。
――この図書館は九時閉館ですから、私はそれまでここの書架で待っています。それまでに、こちらはこちらでマスターと念話を済ませたりしていますから、ゆっくりお考えになってください。
――おそらく、私のマスターは結論がどうあれ交渉のテーブルに着くと思いますよ。指揮官の方なら、この意味がお分かりですね。
ダイヤのシャッフリンにも、クラブやスペードたちにも、その言葉の意味は分からなかった。
しかし、ジョーカーは理解できるだけの頭脳を持っていた。
神父も、ジョーカーも理解している。
あの神父とシャッフリンたちは、出会ったら最後、『同盟を組む』か、『共倒れになるまで潰し合う』かの二択しか有り得ないという関係を。
そも、極限の耐久値を持っていることが露見するとはどういことか。
それも、他のサーヴァントならいざ知らず、群体型のアサシンに露見することが何を意味するか。
皆がこぞって、『そのサーヴァントはマスターを何としても探し出して集中攻撃しよう』と認識することになる。当然の流れだ。
およそマスターを暗殺することに特化したアサシンのサーヴァント――それも人員の多さを強みにしている――に『マスターを集中的に狙わなければ倒せない』と露見するなど、アキレス腱が弱点ですと教えてしまったようなものだ。
仮に『単独行動』のスキルを持っていないサーヴァントだとしたら、なおさらマスターの安全は死活問題となる。
まずアサシン(暗殺者)だからこそ、『何をやっても暗殺できない』という事実はこれ以上ない脅威だし、その分だけ殺害方法を見つけようという熱意も大きなものとなる。
しかし、だからこそ。
だからこそ神父は涼しい顔で同盟を提案し、またこちらが交渉のテーブルに着かざるをえないことを確信している。
『次に何をされるか』――あのサーヴァントのマスターを突き止めることに全力を尽くす。町中を偵察する時も、神父を探し出すこと、その神父の情報を求め、ひいてはマスターに辿り着こうとすべく動く。
『手段を選んでいられなくなる』――いつマスターが暗殺されるかとビクビクして過ごすぐらいなら、神父は神父で『シャッフリンたちに少しでも重篤な被害を出すために』様々な方法で妨害し、追い詰める。単にシャッフリンを発見しだい攻撃していくだけではなく、他のマスターにも匿名掲示板などを利用して『群体で襲ってくるトランプ兵士の暗殺者は危険だ』と拡散し、各スートの特徴を明かしてしまう他、それ以上に、いくらでもリスクを顧みない手を打つだろう。
マスターはともかく、サーヴァントは絶対に殺されないのだから。
そうなったら、後は潰し合いのチキンレースになる。
双方ともに得しないことは子どもでも分かるし、そうならないためには今だけでも同盟しておくしかない。
そして、『マスターと相談して決めてくださいね』と、暗にマスターとの直接対面を望んでいる。
『マスターを真っ先に狙われる』という自らの弱点を、交渉材料としている。
そちらも弱点(マスター)を晒すのが最低限の条件というものだ、でなければこちらは安心できない、手を組むそぶりをして裏で何をするかしれないと暗に脅している。
しかも『こちらの弱み(マスター)は、おそらく交渉のテーブルにつく』という先手まで打っている。(おそらく、と前置きするのがいかにも胡散臭いし、自信を持つからには相手方のマスターは姿を変える魔術でも使うのかもしれないが)
護衛のシャッフリン軍団がいる交渉テーブルに自陣のマスターを乗せるのはあまりにも無防備なようだが、ジョーカー達も神父の攻撃手段については全く情報を持たない上に、それでマスターの暗殺に成功しても神父が消滅までの短時間にどんな捨て身の手を打つか分かったものではないので下手な行動は起こせない。さらに言えば、神父が実はすでに代わりのマスター候補を用意していましたという可能性さえゼロではない。
神父もそれを見越した上で、己がマスターを同席させたいと言ったのだろう。
いやらしいほどに巧妙な策謀家だった。
もしも彼女たちが生前に仕えた女王がその条件を出されていたら、怒り心頭になり、ハートシャッフリンの半数以上を泣かせるほど暴れただろう。
マスターには動かせることなく、労をかけさせないことをスタイルとするシャッフリンにとっても、それは緒戦で大敗したにも等しい成果だった。
まずはマスターに報告せねばならない。そのこと自体も、あまり気の進むものではない。
マスターの御身についての話なので、伝えないわけにもいかないのが心苦しいところだ。
それに半ば脅迫じみたものとはいえ、マスター自身に向けられた伝言を握りつぶすほどシャッフリンは不忠者ではない。
……最大の懸念は、彼女たちのマスターが以前の主君とは違う意味で交渉事に向いてそうにないということなのだが。
危ういことになった、と大きく息を吐き、シャッフリンは歩みを再開した。
この状況下でマスターを護るために、いかに最善を尽くすか。
夕刻までにそれを考えなければならない。
その後、その件の報告も兼ねてまず松野家へと引き返しながら、未だ報告を受けていないシャッフリン達からの話を聞いていった。
目新しい発見があったのは、二人一組で行動していた、クローバーの残存部隊の一つだ。
S中学とY高校と、連続して高校がサーヴァントに狙われたと聞いたので、次も学校が標的にされるのではないかと思い『学校』と名の付く施設を手当たりしだいに探していたそうだ。
それで最初に中学や高校ではなく小学校に立ち寄ってしまうあたりにシャッフリンの頭脳の限界を感じてしまうが、結果的には吉へと転んだ。
学校の運動場にサーヴァントが実体化するのを現在進行形で目撃しており、しかも付近には怪しげな挙動を取った一般人が二人ばかりいるらしい。
その二人には尾行を継続するよう命じ、それ以外のシャッフリンはジョーカーの袋の中へと戻って来るように指示した。
交渉に備えて、全てのシャッフリンが臨機応変に動けるよう集結させておいた方がいい。
クローバのシャッフリンをもう一人だけ小学校に向かわせて、もし怪しい連中が二手や三手に別れたら、そちらも三手に別れて尾行すること、そしてジョーカーが命令するまで次の行動は起こさないようにと付け加える。
交渉と新たなサーヴァントの撃破を同時進行で済ませる余裕はないかもしれないし、今のところは新たなサーヴァントの情報を得ただけでも充分だろう。
その特徴を記憶するために、ジョーカーは頭の中で反復した。
外見は日本人のそれであり、歳はおそらく十代の後半。
日本人にしてはかなりの長身で、髪はやや長い。
西洋の軍装にも似通った服装。
マスターらしき少女は『カイお兄ちゃん』と呼んでいた。
マスターが一度は『ランさ……』と呼びそうになっていたことから、おそらくはランサー――『槍』を使うサーヴァント。
そして、マスターの少女は『ヒガシオンナ・メイ』という名前。
図書館のテーブルで調査を再開しながら、アーチャーのサーヴァント――ヴァレリア・トリファは待っていた。
予想外の出来事は重なったが、命令された調べものは夕刻までには何とか終わるだろう。
青木奈美から連絡を受けたら、まずは宣告の『アサシンの集団』との件を話さなければならない。
実のところ、アーチャーは青木奈美が同盟を拒否する可能性も有り得ると思っていた。
同盟が成ったら成ったで願ったりの結果ではある。
討伐クエストの主従を狙うマスターを探して背後を狙うという策も、あのアサシンの人海戦術があれば格段に成し遂げやすくなる。
アーチャー自身の『他のサーヴァントの情報を集めたい』という企みにも、大きく役立ってくれるだろう。
一方で、青木奈美からの反発を受ける可能性もアーチャーは考慮していた。
今朝がたに独断て一騎のサーヴァントと交渉を済ませてきたのに、さらにまた別のサーヴァントと接触してきたと報告すれば、それだけでも同盟に良い印象は持たないだろう。
こればかりは対面させてみないことには分からないが、そもそも先方のマスターないしサーヴァントが奈美にとって気に入らない手合いでした、という結論にもなるかもしれない。
それはそれで、構わない。
そうなっても、当初の方針と変わらないからだ。
利用するだけ利用して、隙をついて背後から殺してしまいましょう。
『討伐クエストのアサシンを狙うマスターを背後から討つ』という当初の方針どおりなのだから。
マスターだって、『悪い主従を退治するために動く正義の無辜の主従』よりも『決して自分と相容れないと判断した主従』の方が、最初の殺人にはよっぽどやりやすいだろうから。
それでマスターが完全に修羅に落ちるなら、それはそれで良い結末になる。
かつて、ある人物を成長させるために、噛ませ犬ならぬ噛ませ紅蜘蛛を用意したように。
青木奈美が修羅の道を選んでいるようで、アーチャーが選ばせている――というわけでもない。
“自分の人生が、誰かに『選ばされている』と感じたことはないか?”
そう問いかけた双首領を信じたというわけではないが、そもそも本当に『選ばされたのではなく選んだ人生を歩いている』と胸を張って言い切れる歩みをした人間が、どれほどいるだろうか。
アーチャーは、大きな因果に叛逆することを選ばなかった。
ただ、その因果を踏破することを選んだ。
止まらずに進んで進んで進んで、そして一周回って、かつて取りこぼしたものを拾いに行くために。
♥青木奈美
やはり、慣れない時間に寝ておこうとしてもなかなか寝られるものではない。
それに、眠ると夢を見ることがあるのが嫌だ。
彼女のサーヴァントの夢だけではなく、憎しみを伴った夢と、悲しみを伴った夢を。
憎い夢にいつも登場するのは、無慈悲な視線を持った同じ魔法少女とは思えない仲間の仇だった。
生きていれば、どこまでも探し出して復讐をしていたかもしれない冷血な女王と、兵士たち。
そういう夢を見た後の目覚めは、その仇たちがもういないことが悔しくて虚しくてたまらない。
しかし、今回はまどろみの中で、悲しい方の夢を見た。
みんなの一員として、高らかに名乗りを上げていたころ。
みんながいた日々。
自分が正義の魔法少女だと、疑問を抱かなかった日々。
今では、なぜもっと疑問を持たなかったという後悔ばかりが取って代わる。
その日は、まどろんで目覚めてを繰り返しながら、思い出していた。
過去ではなく、現在の思い出だ。
今日、手を取って救った女の子のことだ。
かりそめのクラスメイト。
名前はたしか、
越谷小鞠。
所詮は作り物の命だと理解している。
甘さを発揮して助けたことは後悔している。
けれど。
もしかしたら、彼女がこの町で今でも生きていることが、
無事に下校して家族と晩御飯を食べたり、
友達と長電話をしたり、妹とテレビ番組を見て笑ったりできることが、
この町でデリュージの行った唯一の、最後の、『正しい魔法少女』らしいことになるのかもしれなかった。
【C-1/Kヶ浜海岸付近公園/一日目・午後】
【キャスター(
仁藤攻介)@仮面ライダーウィザード】
[状態]イ級の魔力により汚染(徐々に回復中)、魔力やや消耗
[装備]なし
[道具]各種ウィザードリング(グリフォンリングを除く)、マヨネーズ
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:出来る限り、マスターのサポートをする
1:拠点のホテルへと戻り、バーサーカーのマスターから話を聞く
2:黒衣のバーサーカー(
呉キリカ)のことが気になる
3:グリーングリフォンの持ち帰った台帳を調べる
4:海岸に出たバケモノはヤバい
[備考]
※黒衣のバーサーカー(呉キリカ)の姿と、使い魔を召喚する能力、速度を操る魔法を確認しました
※御目方教にマスターおよびサーヴァントがいると考えています。
また、黒衣のバーサーカー(呉キリカ)とそのマスターは、それらとは別の存在であると考えています。
※御目方教の信者達に、何らかの魔術が施されていることを確認しました
※
ヘドラの魔力を吸収すると中毒になることに気付きました。キマイラの意思しだいでは、今後ヘドラの魔力を吸収せずに済ませることができるかもしれません
【
牧瀬紅莉栖@Steins;Gate】
[状態]恐怖心による精神ダメージ(小)
[令呪]残り三画
[装備]グリーングリフォン(御目方に洗脳中)
[道具]財布、御目方教信者の台帳(偽造)
[所持金]やや裕福
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を破壊し、聖杯戦争を終わらせる
0:この女の子は、一体……?
1:(バーサーカーのマスターが同意してくれれば)拠点のホテルへと戻り、バーサーカーのマスターから話を聞く
2:グリーングリフォンの持ち帰った台帳を調べる
3:聖杯に立ち向かうために協力者を募る。同盟関係を結べるマスターを探す
4:御目方教、
ヘンゼルとグレーテル、および永久機関について情報を集めたい
[備考]
※黒衣のバーサーカー(呉キリカ)の姿と、使い魔を召喚する能力を確認しました
※御目方教にマスターおよびサーヴァントがいると考えています。
また、黒衣のバーサーカー(呉キリカ)とそのマスターは、それらとは別の存在であると考えています。
※御目方教の信者達に、何らかの魔術が施されていることを確認しました
※千里眼日記には牧瀬紅莉栖がホテルに戻るような予知がされていますが、
美国織莉子の決定ひとつでホテルに戻るかどうかは変わるので、必ずしもそうなるとは限りません
【バーサーカー(呉キリカ)@魔法少女おりこ☆マギカ】
[状態]健康 、不機嫌
[装備]『福音告げし奇跡の黒曜(ソウルジェム)』(変身形態)
[道具]なし
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:織莉子を守る
1:なんだこいつら…
[備考]
※金色のキャスター(仁藤攻介)の姿とカメレオマントの存在、およびマスター(牧瀬紅莉栖)の顔を確認しました
【美国織莉子@魔法少女おりこ☆マギカ】
[状態]魔力残量6・5割
[令呪] 残り三画
[装備]ソウルジェム(変身形態)
[道具]財布、外出鞄
[所持金]裕福
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争に優勝する
1:海から来る者からK市を守る。目の前の主従に協力を要請
2:令呪は要らないが、状況を利用することはできるかもしれない。町を探索し、ヘンゼルとグレーテルを探す
3:御目方教を警戒。準備を整えたら、探りを入れてみる
[備考]
※金色のキャスター(仁藤攻介)の姿とカメレオマントの存在、およびマスター(牧瀬紅莉栖)の顔を確認しました
※御目方教にマスターおよびサーヴァントがいると考えています
※予知の魔法によってヘドラヲ級を確認しました。具体的にどの程度まで予測したのかは、後続の書き手さんにまかせます
【一日目・午後/C-4・御目方教本部】
【
春日野椿@未来日記】
[状態] 健康、禁魔法律家化(左手に反逆者の印)
[令呪] 残り三画
[装備] 着物
[道具] 千里眼日記(使者との中継物化)
[所持金] 実質的な資金は数百万円以上
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を手に入れ、世界を滅ぼす
1:千里眼日記の予知を覆した者が気に食わない
2:キャスターに依存
【キャスター(
円宙継)@ムヒョとロージーの魔法律相談事務所】
[状態] 健康
[装備] なし
[道具] なし
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯の力で、復讐を成し遂げる
1:ティキを通じて他参加者の情報を収集する。ひとまず海岸部に出現した異生物の情報を得る
2:当面はY高校のマスター、牧瀬なるマスター周りから対応していく。
※ティキや信者を経由して、吹雪の名前、牧瀬というマスターの存在、『美国議員の娘に似ている』というマスターの存在を確認しました
【C-5・小学校運動場/一日目・午後】
【
プリンセス・テンペスト@魔法少女育成計画JOKERS】
[状態]健康、人間体
[令呪]残り三画
[装備]なし
[道具]授業の用意一式(ランドセル)、名札
[所持金]小学生の小遣い程度
[思考・状況]
基本行動方針:帰りたい
0:え、一条蛍さん……え……
1:悪い奴をやっつけよう!
2:一条蛍さん……いいなぁ。
3:元の世界に帰りたい。死にたくはないが、聖杯が欲しいかと言われると微妙
[備考]
※討伐令に参加します
※一条蛍とは集団下校の班が同じになりました。
【櫻井戒@Dies irae】
[状態]健康
[装備] 黒円卓の聖槍(ヴェヴェルスブルグ・ロンギヌス)
[道具]
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:妹の幸福のため、聖杯を手に入れる。鳴ちゃんは元の世界に帰したい。
1:一条蛍、および潜んでいるマスターに対応
2:今は「正義のため」にアサシンを討伐する
[備考]
※O芝島の異変に気付きました。あそこにいる少女を他のマスター達の中で一番警戒しています。
【松野一松@おそ松さん】
[状態] 健康、焦燥
[令呪] 残り三画
[装備] 松パーカー(紫)、猫数匹(一緒にいる)
[道具] 一条蛍に関する資料の写し、財布、猫じゃらし、救急道具、着替え、にぼし、エロ本(全て荷物袋の中)
[所持金] そう多くは無い(飲み代やレンタル彼女を賄える程度)
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争はやる気無いが、できれば生きて元の世界に帰りたい
1:ヤバイヤバイヤバイヤバーイ
※フラッグコーポレーションから『一条蛍の身辺調査』の依頼を受けましたが、依頼人については『ハタ坊の知人』としか知りませ
【望月@艦隊これくしょん】
[状態] 健康
[装備] 『61cm三連装魚雷』
[道具] なし
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針: せっかく現界したんだからダラダラと過ごしたい
1:あちゃー……どうしよ……
2:一松を生還させてあげたいなぁ
【一条蛍@のんのんびより】
[状態] 健康、輝ける背中(影響度:小)
[令呪] 残り三画
[装備] 普段着
[道具] 授業の用意一式、こまぐるみのペンケース、名札
[所持金] 小学生のお小遣い程度+貯めておいたお年玉
[思考・状況]
基本行動方針:帰りたい
0:え……鳴ちゃんのお兄さんがサーヴァントさん…!?
1:脱出の糸口が見つかるまで生き延びる
2:自分と同じ境遇のマスターがいたら協力したい …マスターさん探し、がんばろう
3:自分なりにブレイバーさんの力になりたい
[備考]
※
U-511の存在に気付けませんでした。
※念話をうまく扱うことができず、集中していないとその内容が口に出てしまうようです。
【
犬吠埼樹@結城友奈は勇者である】
[状態] 健康
[装備] ワイヤーを射出できる腕輪
[道具] 木霊(任意で樹の元に現界することができる)
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:蛍を元の世界に帰す
0:蛍ちゃん、その声はだめ……!
1:蛍の無事を最優先
2:討伐対象の連続殺人は許すことができないけれど…
[備考]
※U-511の存在に気付けませんでした。
【一日目・午後/B-3】
【アサシン(シャッフリン)@魔法少女育成計画JOKERS】
[状態] 健康
[装備] 『汝女王の采配を知らず』(再補充完了)
[道具] 魔法の袋(ハートの3番とクラブのシャッフリン3体をのぞいて全員袋に入るよう招集中)
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:マスターを勝利させる
1:マスターと図書館にいる神父のサーヴァントについて相談する。マスターを危険にさらしたくないので不本意
2:クラブのシャッフリン3体に学校にいるサーヴァント達を尾行させる。対応は神父の問題が片付いてから
3:討伐クエストには参加しない
4:マスターの意向を汲み、殺人鬼を積極的に狙うことはしない
5:討伐クエストの進行には注視し、クエストに乗って動く主従に狙いを定め、適宜殺す
6:黒い魔法少女らしきバーサーカーには、次に会ったらハート中心の編成で撃破する
【一日目・午後/B-4・図書館】
【アーチャー(ヴァレリア・トリファ)@Dies irae】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]なし
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を手にする
1:閉館時間まで図書館にいて、情報収集しつつマスターと連絡を取り、アサシン(シャッフリン)の件を伝える
2:アサシンを狙う他のマスターを殲滅
3:同盟相手の模索。アサシン(シャッフリン)とは同盟を結びたいが、無理なら無理でマスターの成長の糧になってもらう
4:エクストラクラスのサーヴァントに興味。どんな特徴のサーヴァントか知りたい
5:ルーラーの思惑を知るためにも、多くの主従の情報を集めたい。ルーラーと接触する手段を考えたい
6:廃墟街のランサー(
ヘクトール)には注意する
7:討伐令の対象となっている主従に会ってみたい。どうするかはそれから決める
[備考]
※A-8・ゴーストタウンにランサー(ヘクトール)のマスターが居るだろうことを確信しました
※シャッフリンを『一部隊をそのまま英霊化させたようなもの(気配遮断を用い隠形に従事していたことからおそらくアサシン)』として理解しています
【一日目・午後/A-3・青木邸】
【青木奈美(プリンセス・デリュージ)@魔法少女育成計画ACES】
[状態] 健康、人間体、苛立ち
[令呪] 残り三画
[装備] 制服
[道具] なし
[所持金] 数万円
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯の力で、ピュアエレメンツを取り戻す
0:今のうちに休息しておく
1:アサシンを探す
2:アサシンを狙う他のマスターを殲滅
※アーチャーに『扇動』されて『正しい魔法少女になれない』という思考回路になっています。
※学校に二騎のサーヴァントがいることを理解しました。
※学校に正体不明の一名がいることが分かりました。
最終更新:2017年01月15日 00:19