【歓迎】
物好きで命知らずな旅人さん、屑とはみだし者とならず者の国へようこそ。歓迎するぜ手荒くだがな。
そしてここはニシューネンという街、俺がオギャーと生まれた場所さ。
ラ・ムールの王都マカダキ・ラ・ムールや大延国の大都と比べるのも馬鹿らしい規模の街だが、それでもこの街は、このまだ国というのも小首を傾げるオギャーと産声上げたばかりの赤ん坊のような場所とすれば十分すぎるほど立派な街だ。
あぁ、それからこれからちょっと騒がしくてゴミゴミしたところを通るが荷物には注意してくれよ。
そんじゃま行くとしようか。
【露天通り】
あぁ!邪魔だ邪魔だ!土産もお恵みも無しだ!さっさと前を開けやがれってんだよ!
すまねぇな?まぁ、これがここの日常だと思ってさっさと諦めて慣れてくれよ。
あぁ!だから恵む金なんてねぇって言ってんだろうが!蹴り殺すぞガキッ!
あんたは目立つからな、それに恨むならお前さんの同胞に言ってくれよ?ここに群がってる連中は前にやってきたあんたの同族がずいぶんと羽振り良くしたもんだから味をしめちまってんのさ
まったく前はただの雑貨市だったってのに今じゃ軒並み事情の知らねぇ連中に売りつけるくだらねぇガラクタを売る店だの小銭欲しさの連中のたまり場だ。
まぁ、そのおかげで俺みたいなガラの悪い人間があんたの案内人になれるっていうんだから持ちつ持たれつだよな。
オイこの野郎!見てないと思ったか!さっさとその汚ねぇ手をどかして消えやがれ!
ったく・・・荷物に気をつけろって言っただろ?このあたりはスリやかっぱらいも多いからな
まぁ、もう少し進めば広い場所に出るから、それまで辛抱してくれよ。
【広場】
どうだい立派なもんだろ?ここがこの街の中心部さ
あそこにあるのがこの辺じゃ一番安全で、一番早く、そして一番金のかかる竜車の駅
他の街に行きたいと思うことがあったらあんたは迷うことなくあの駅を使うことだな、他に方法がないわけでもないが、あんたは間違いなく近くの町にたどり着く前に死ぬな、俺が保障する。
そして、駅を広場挟んで反対側に見える一番高いあの塔は神星教会の星堂さ
ん?なんで
イストモスの星教会の星堂がこんな場所にあるのかって?あんたけっこう物知りだな。
それについては詳しく話すと長くなるんだが、ようはこの街がここまで発展した大きな原因のひとつであるアレサのミスリル鉱脈を見つけたのが、海を越えてこんな辺鄙な場所にまで星神様のお告げでやってきた星教会の連中のおかげだってことだな。
俺は失せ物探しの時くらいしかあそこに祈りになんて行かないが、この街じゃ星教会はけっこうな発言力を持ってるってわけだ。
他にもこの辺りにはこの街で一番質が良くて、値段が高くて、俺みたいな連中を毛嫌いしてる連中の店がたくさんある。
俺は泊まりたいとは思わんがそこのミスルトゥって宿屋はあんたのような門をくぐってやってきた連中がよく利用してる店だ。
店の主人に頼めば夜には好みの女を部屋に用意してくれるらしいぜ?おいおい、なんだよその顔は!別にそういうのには興味がない?なんだ?ナニが元気がないのか?じゃあそこには質のいい夜の薬を売ってる極楽瓶って店があるぜ?この辺りの店の主人はどいつもこいつも気に食わない奴ばかりだかこの店の耳長の女主人だけは別さ、なんなら俺が話しをつけて、ん?ナニの調子が悪いわけでもない?じゃあなんだよ・・・あ-・・・女に興味がないってそういう・・・・え?そっちでもないって?まぁ、それなら別にいいんだけどよ
それじゃそろそろ人酔いは治まったか?よし、それじゃ移動だ。
【港への大通り】
まずは海が見たいとはね・・・まぁ、別に俺は案内してくれと言われれば案内するだけだが。
ん?この建物は何かって?
ここはこの街の役場だ。もともとはこの街を支配してたいけすかねぇ鳥人の貴族の家だったんだが、
オルニトから独立した時に住んでた野郎はさっきの広場で焼き鳥になって今は役場になってるってわけさ。
あ?食ったのか?バカ言うなよ、いくら恨みつらみ溜まってたからって食うわけねーだろ、しばらく晒し物にしてたくらいさ。
そして、その横にあるのがこの街の代表である態度と声だけは人一倍でけぇクロックの屋敷だ。
あんたも門のある建物の中で見たんじゃないか?本物とは似ても似つかない肖像画描いた奴はさぞかし苦労しただろうとかわいそうになる肖像画をよ。
【港】
さて、御所望通り海に着いたぜ、と言っても港だがな
海岸へってならもう少し歩いていけば行けるがどうする?あぁ、ここでいいか。
なかなか騒がしくて立派なもんだろ?このあたりじゃ珍しい王城級の船も入ってこれる港だからな
ドニーやラ・ムールの貿易船が毎日引っ切り無しに出たり入ったりして、この土地じゃなかなか手に入らない物や逆に海の向こうじゃなかなか手に入らないものが降ろされたり積まれたりで忙しいもんよ
昼間もなかなか活気があっていいもんだが夜に来るとまた別に面白いものが見えるぜ?
あんた幽霊船ってのは見たことがあるかい?見たことがない?なら一度夜の港に行ってみるといい。
海の向こうに
スラヴィアっていう、一度死んだ連中が
モルテという意地の悪い神様の力で蘇らされた国がある。
その国では役目を終えた船もどうやら例外じゃないようでな、船が丸ごとモルテの力で廃船から再び海を行く幽霊船に生まれ変わっているのさ
ただし、蘇った船が進むのは海の上じゃなくて暗い海の底、海の底にも風の流れのように水の流れがあるらしくてな、それをうまい具合に掴んで速さ自慢の高速船よりはるかに早く目的地までスイスイたどり着けるらしい。
スラヴィアは一度死んだ連中が支配してる国だが、わりと食うには困らない国らしい、俺は死んだ連中がウロウロしてる国なんてまっぴら御免だがね
新天地はあのいけすかねぇオルニトから独立した今も、正直言って一部を除いてカツカツの土地さ。
ミスリル鉱脈のあるアレッサを抱えるこの街はまだ働ければ食っていける、だが、いくら働いても食えないってところは内陸にはゴロゴロしてる。
そういう場所からこの街は人間を集めてアレッサで働かせ、そこで得たミスリルやその他のアレコレを船に乗せて送り出し、代わりに食い物を大量に仕入れて内陸に送ったりしてるってわけさ。
おかげで港は昼も夜もうるさいくらい騒がしい。
まぁ、そういう賑やかな港が俺は好きなんだがな
さて、それじゃ街のほうへ戻って飯と宿の手配とするか。
【宿選び】
とりあえず宿はさっきの広場のミスルトゥでいいだろ?え?あそこじゃないところ?
だってあんた、この街であの宿以上のところは無いぜ?いや、一軒だけあるにはあるがな、この町で最上級の宿が、でも今はどこぞの国の使節団だかが借り切ってて無理だ。それにミスルトゥなら設備もサービスも整ってる言うこと無しだ、店主の金に目の眩んだいやらしい顔以外はな
あ?なんであの宿をそんなに勧めるのかだって?おいおい・・・もしかして俺があそこから何か言われてるとか勘ぐってないよな?
こう言っちゃなんだが俺は案内人としてはそれなりに評判な男だぜ?小銭欲しさに気にくわねぇ奴の宿なんか無理やり勧めるかよ
ん?じゃあなんでかって?単純に今までに勧めた客が満足してたからだよ、いろんな意味でな。
しかしまいったねぇ・・・快適さと安全さなら間違いなくあそこが一番だぜ?あとの宿ってなるとどちらか片方か両方数段落ちになるんだが・・・
ん?ミスルトゥはどういう宿かってのは知ってる?せっかく来たなら今まで誰も泊まったことのないところに泊まりたい?
いやぁ・・・気持ちはわかるんだがよぉ・・・うーーーん・・・
まぁ、宿選びは後回しだ、先に飯を食おうぜ。その間にどこかいいところが無いか考えておくからよ。
【食事】
で、だ?そろそろ腹が減らないか?宿は変わったところがいいとは聞いたが食事は安心できるところがいいだろ?
広場のところに何軒かこの街としちゃ上等な店がある。冷気蔵を抱えた船が運んでくる海の向こうの珍しい食材を使った料理を出してくれる所だ。俺も前に案内した奴にいっしょにどうだと誘われて食ったことがあるが、店の居心地は最悪だったが料理はケチがつけられなかったぜ。
あぁ、俺はあんたが飯を食ってる間行きつけの店に行ってるから気にしなくていいぜ?今回も奢ってくれとか言う気もないしああいう店には一度行くだけで十分さ。
は?俺が行く店に連れて行ってほしい?おいおい・・・俺みたいな人間が行く場所っていえば汚くて大した料理も出さないようなところだぞ?
そういうところに行ってみたい?
ハァ・・・
まぁ、いいさ。連れて行ってやるよ?ただし、絶対に文句は言うなよ?これから連れていくのは俺がこれからも世話になるところなんだからな?
【裏路地の食堂】
さて、着いたぜ?ここが俺の行きつけの飯屋兼一拍宿のフタバ亭だ。
よぉ!ラニ!今日も元気に皿割ってるか?今日は俺の客を連れてきたんだからこの前みたいに盛大に注文した料理をぶちまけるようなヘマすんじゃねーぞ?
まぁ、空いてる席に座ろうか。オヤジ!いつもの二人前頼むわ!
ん?あぁ、この店は料理はあそこにある「今日の定食」だけなんだわ。いろいろ何食うか迷わなくていいだろ?
まぁ、ここの主人は元は世界中を回ってた貿易船の船料理人でな、頼んで食材があれば大概の国の料理は作れるっていう腕前さ。
普段は厨房に引きこもって鍋振ってるか下ごしらえしてるか、客の対応はこの前までは美人の嫁さんがしてたんだがおめでたでそこで床磨きしてる新入りがやってるわけさ
そうだろ?生き倒れのラニちゃんよ!
へへへ・・・からかうとムキになるから面白くてついな
しっかし昼飯時はちょっと過ぎてはいるが相変わらず客が少ねぇなぁ、褒めるわけじゃねぇがわりと食えるほうだと思うんだけどよ
あー、奥のほうじゃ相変わらず胡散臭ぇのが座ってるねぇ
ここだけの話だが、ちょうどこの席で聞き耳立てると他の客の会話が良く聞こえるのよ
胡散臭い連中の会話に聞き耳立てつつ安くてそこそこ食える飯を食うってのが俺の毎日ってわけよ。
さて、注文した料理もラニがひっくり返すことなく無事運ばれてきたことだし熱いうちに食うとしようか。
- 街並みができていくのとリンクしているのは面白いな。新天地街の歩き方パンフレットだ -- (とっしー) 2013-06-02 18:45:52
- ラニちゃん使ってくれてありがとー -- (手描きの人) 2013-06-04 00:02:13
- ガイドされてるような実況聞いてるような。この形式おもしろい -- (名無しさん) 2013-06-08 18:20:57
- 会話と掛け合いとか混ぜてただの紹介になってないのがいい。この後も追加されていく? -- (とっしー) 2013-06-21 23:28:07
最終更新:2013年06月02日 21:27