小国の苦悩 第弐億参千壱百四拾弐萬参千弐百参拾壱話 超番外編
ニューロンFCSで制御されたナンブ・ラプターSMGが4.7mm弾を軽快にバラ撒く。
1秒間に10発発射された弾丸は全て"5匹の"ゴブリンの頭に叩きこまれ、頭がブチ割れたスイカと化す。
「これで最後か?」
フルボーグ(全身をサイボーグ化した人間)の男がアカギモータの駆動音をさせながら、撃ちつくしたラプターをマグチェンジした。
「ああ、動体反応も赤外線反応もマナ反応もない」
耳の尖った黒い男が、実戦用の機械的なサイバーアイで周囲を走査した後つまらなそうに言う
ゴブリンの持っていた粗末な突撃銃を全て踏み潰したフルボーグの男は、首を鳴らす。
「ん?」
キュラキュラキュラキュラ
目の前の森を押し倒し大型戦車が現れた。
「何んじゃこりゃぁ!?」
1秒間に10発発射された弾丸は全て"5匹の"ゴブリンの頭に叩きこまれ、頭がブチ割れたスイカと化す。
「これで最後か?」
フルボーグ(全身をサイボーグ化した人間)の男がアカギモータの駆動音をさせながら、撃ちつくしたラプターをマグチェンジした。
「ああ、動体反応も赤外線反応もマナ反応もない」
耳の尖った黒い男が、実戦用の機械的なサイバーアイで周囲を走査した後つまらなそうに言う
ゴブリンの持っていた粗末な突撃銃を全て踏み潰したフルボーグの男は、首を鳴らす。
「ん?」
キュラキュラキュラキュラ
目の前の森を押し倒し大型戦車が現れた。
「何んじゃこりゃぁ!?」
帝國暦2789年 ゴンザレス王国領 ゴンザレスGIGAS市
「なぁに簡単な仕事です」
自称某企業の非合法要員(クロフク)が、帝國本土人特有のアルカイックスマイルを貼り付けたまま、いつも通りの台詞を吐く。
ここはゴンザレスGIGASスラム街近くのバーだ。
「古代王国主義者のアジトを一つ潰して欲しいだけですよ」
古代王国主義者とは、古代にあった魔法だけの偉大な文明を再建し、カガクで汚染されたこの地上を浄化しようと主張する魔術師共(ローガイ)の事だ。環境派テロ組織と結びついて、街中やテレビの中で糞を撒き散らしている。
「この前の依頼じゃ、ローエン機甲騎士団の戦車に追い回されたが、その時も簡単だって言わなかったか?」
フルボーグが噛み付く。
「ローエス共が演習に来ていたのは不確定事項ですよ」
「あの後、ローエンはミツビシの戦車を慌てて買ってたな」
「たった1人の重装歩兵にボコボコにされ、国産戦車のポンコツ具合をやっと自覚したんでしょう。まぁ私には関係ありませんが」
黒耳(ダークエルフ)が咳払いをして話に入り込む。
「・・・で報酬は?」
「こんなもので」
男は黒耳のニューロリンク上に直接提示した。
「100万帝國円じゃ安い・・・120万」
「決算前でしてね、これ以上は」
フルボーグが割り込む。
「ローエンの件だけじゃないよな? 黙ってたのは」
「不確定事項はこちらの責任ではありませんよ」
フルボーグがジョッキを勢いよくテーブルに叩きつける。
「こう不確定事項が続くとは情報甘いんじゃないかい?・・・130万」
「高くなってませんか?」
「どうも誠意というものが見えないんでね」
「困りましたね・・・105万」
「130万」
「工作費用というものの上限もありまして・・・110万」
「125万・・・信頼関係って大切だよな?」
フルボーグはニヤリと笑う。
「111万」
「135万」
「・・・なぜ上がるのですか?」
「1万区切りとかやると機嫌が悪くなるのさ」
「ふむ・・・110万+常識的な範囲内での必要経費」
「120万+だな」
「そこは115万で勘弁してください」
「あの件で俺の気に入ってたソニーのレーザライフルが壊れてなぁ・・・」
「110万+弾薬費+ミツビシテクノの発表前の最新型粒子ビームライフル」
「実戦テストってか? まぁいいだろ。それで手を打とうか」
フルボーグが肩をすくめる。
黒耳も異議はない様子だ。
「ありがとうございます。それではよろしくお願いいたします・・・」
「分かった、ライフルはいつもの酒場に」
「分かりました・・・それでは失礼します」
アルカイックスマイルを最後まで崩さずクロフクは酒場を出て行った。
自称某企業の非合法要員(クロフク)が、帝國本土人特有のアルカイックスマイルを貼り付けたまま、いつも通りの台詞を吐く。
ここはゴンザレスGIGASスラム街近くのバーだ。
「古代王国主義者のアジトを一つ潰して欲しいだけですよ」
古代王国主義者とは、古代にあった魔法だけの偉大な文明を再建し、カガクで汚染されたこの地上を浄化しようと主張する魔術師共(ローガイ)の事だ。環境派テロ組織と結びついて、街中やテレビの中で糞を撒き散らしている。
「この前の依頼じゃ、ローエン機甲騎士団の戦車に追い回されたが、その時も簡単だって言わなかったか?」
フルボーグが噛み付く。
「ローエス共が演習に来ていたのは不確定事項ですよ」
「あの後、ローエンはミツビシの戦車を慌てて買ってたな」
「たった1人の重装歩兵にボコボコにされ、国産戦車のポンコツ具合をやっと自覚したんでしょう。まぁ私には関係ありませんが」
黒耳(ダークエルフ)が咳払いをして話に入り込む。
「・・・で報酬は?」
「こんなもので」
男は黒耳のニューロリンク上に直接提示した。
「100万帝國円じゃ安い・・・120万」
「決算前でしてね、これ以上は」
フルボーグが割り込む。
「ローエンの件だけじゃないよな? 黙ってたのは」
「不確定事項はこちらの責任ではありませんよ」
フルボーグがジョッキを勢いよくテーブルに叩きつける。
「こう不確定事項が続くとは情報甘いんじゃないかい?・・・130万」
「高くなってませんか?」
「どうも誠意というものが見えないんでね」
「困りましたね・・・105万」
「130万」
「工作費用というものの上限もありまして・・・110万」
「125万・・・信頼関係って大切だよな?」
フルボーグはニヤリと笑う。
「111万」
「135万」
「・・・なぜ上がるのですか?」
「1万区切りとかやると機嫌が悪くなるのさ」
「ふむ・・・110万+常識的な範囲内での必要経費」
「120万+だな」
「そこは115万で勘弁してください」
「あの件で俺の気に入ってたソニーのレーザライフルが壊れてなぁ・・・」
「110万+弾薬費+ミツビシテクノの発表前の最新型粒子ビームライフル」
「実戦テストってか? まぁいいだろ。それで手を打とうか」
フルボーグが肩をすくめる。
黒耳も異議はない様子だ。
「ありがとうございます。それではよろしくお願いいたします・・・」
「分かった、ライフルはいつもの酒場に」
「分かりました・・・それでは失礼します」
アルカイックスマイルを最後まで崩さずクロフクは酒場を出て行った。
「畜生! 150万でも安すぎる!」
フルボーグの頭の上を極太の粒子ビームが通過する。
「ねぇよ! トヨタの新型戦車とか!!!」
使い終わった対戦車ロケット・ミネベア99式を放り投げつつ叫ぶ。
ランチャーは見事随伴歩兵の騎士の一人に命中し、騎士は昏倒した。
トヨタアームズ最新鋭戦車『クラウン2500』
4つのパーツに分かれた履帯部を、まるで脚の様に動かし、森をなぎ払いながら進む、大型重戦車だ。
砲塔上の軽火器マウントポッドから13mm重機関銃が乱射され、フルボーグの周りに着弾する。
「クラックできねぇのかよ!」
「無理だな・・・防壁も最新鋭、帝國公安並みの腕が必要だ」
全速力で走りながら、2人は会話する。
どちらも心肺系を機械化か生体強化してるので、息苦しさと言う物は無い。
「糞ったれ! ボンザレスめ!地方領主の癖になんで機甲師団なんて持ってる!」
歩兵用の粒子ビームの射線が追いかけてくる。
「その前に、なぜボンザレスの手のものがここにいるかだ」
2人とも心当たりがあった。
「昔、娘浚われたの恨みとは言え・・・どっから情報を・・・」
「依頼主だろうな」
「また裏切りやがったか!」
『裏切ったとは人聞きが悪いですねぇ』
どこから短距離通信が入る。
「貴様! どこから!」
『いえ、お渡ししたライフルにちょっと細工を』
「何の!つもりだ!」
『いえ、本当に申し訳ないんですが・・・スパイが出ましてね』
2人の脳内に人物データが表示される。
『ボンザレスの鼠が我が社に入り込んでた様で・・・』
「それでか!」
『お詫びと言っては難ですが15km先に自走精密狙撃砲を待機させてます』
「すぐアイツを吹き飛ばしてくれ!」
後からワキャワキャと脚の様な履帯部を動かしながら迫る重戦車。
『いえ、わが社としては表立って介入するわけにも行かないので・・・』
「じゃあなんで自走砲持ってきた!!」
『ちょっとお願いがあるのですが・・・』
フルボーグの頭の上を極太の粒子ビームが通過する。
「ねぇよ! トヨタの新型戦車とか!!!」
使い終わった対戦車ロケット・ミネベア99式を放り投げつつ叫ぶ。
ランチャーは見事随伴歩兵の騎士の一人に命中し、騎士は昏倒した。
トヨタアームズ最新鋭戦車『クラウン2500』
4つのパーツに分かれた履帯部を、まるで脚の様に動かし、森をなぎ払いながら進む、大型重戦車だ。
砲塔上の軽火器マウントポッドから13mm重機関銃が乱射され、フルボーグの周りに着弾する。
「クラックできねぇのかよ!」
「無理だな・・・防壁も最新鋭、帝國公安並みの腕が必要だ」
全速力で走りながら、2人は会話する。
どちらも心肺系を機械化か生体強化してるので、息苦しさと言う物は無い。
「糞ったれ! ボンザレスめ!地方領主の癖になんで機甲師団なんて持ってる!」
歩兵用の粒子ビームの射線が追いかけてくる。
「その前に、なぜボンザレスの手のものがここにいるかだ」
2人とも心当たりがあった。
「昔、娘浚われたの恨みとは言え・・・どっから情報を・・・」
「依頼主だろうな」
「また裏切りやがったか!」
『裏切ったとは人聞きが悪いですねぇ』
どこから短距離通信が入る。
「貴様! どこから!」
『いえ、お渡ししたライフルにちょっと細工を』
「何の!つもりだ!」
『いえ、本当に申し訳ないんですが・・・スパイが出ましてね』
2人の脳内に人物データが表示される。
『ボンザレスの鼠が我が社に入り込んでた様で・・・』
「それでか!」
『お詫びと言っては難ですが15km先に自走精密狙撃砲を待機させてます』
「すぐアイツを吹き飛ばしてくれ!」
後からワキャワキャと脚の様な履帯部を動かしながら迫る重戦車。
『いえ、わが社としては表立って介入するわけにも行かないので・・・』
「じゃあなんで自走砲持ってきた!!」
『ちょっとお願いがあるのですが・・・』
2人が隠れる辺りに向かって、戦車が砲門を向ける。
砲塔からスピーカーが迫り出しがなり始める
『侯爵様から伝言だ! 娘を返せば命だけは助けてやろうとのことだ』
(戦車砲散々ぶっ放してよく言うぜ)
『出てこない場合、火炎放射で辺り一体ごと焼き払う!』
砲塔からスピーカーが迫り出しがなり始める
『侯爵様から伝言だ! 娘を返せば命だけは助けてやろうとのことだ』
(戦車砲散々ぶっ放してよく言うぜ)
『出てこない場合、火炎放射で辺り一体ごと焼き払う!』
【・・・我が名においてここに命ずる】
『なに!? 後だとっ!?』
戦車の後に黒耳が忽然とあわられる。
【・・・汝我に従い我らに逆らう愚者全てに滅びを与えるべし】
戦車の後に黒耳が忽然とあわられる。
【・・・汝我に従い我らに逆らう愚者全てに滅びを与えるべし】
『ば・・・・馬鹿な!? 冒険者如きが一人で攻城魔法だとっ!?』
呪文の内容が、発動に多数の魔術師を必要とする不便さゆえに失われた要塞攻略級魔法である事に気づいたボンザレス装甲騎士団の戦車長は顔を真っ青にして砲塔を急旋回させる。
『テェ!!!』
至近距離からの粒子ビームが黒耳を焼く。
『・・・馬鹿な!?』
【汝の名は・・・ ペネストレイトッ!】
辺りが閃光に包まれた・・・・
呪文の内容が、発動に多数の魔術師を必要とする不便さゆえに失われた要塞攻略級魔法である事に気づいたボンザレス装甲騎士団の戦車長は顔を真っ青にして砲塔を急旋回させる。
『テェ!!!』
至近距離からの粒子ビームが黒耳を焼く。
『・・・馬鹿な!?』
【汝の名は・・・ ペネストレイトッ!】
辺りが閃光に包まれた・・・・
「おーおー逃げ足速いのな」
「私がやったのは幻術で影を見せて、閃光魔法を使っただけなのだがな」
2人の前には砲塔正面装甲を貫かれた重戦車が転がっている。
随伴歩兵は突然使われた大魔法におどろき逃げ出した。
「まぁ、あんだけ派手にやれば目の前の人間が撃ったと思うわな」
「私がやったのは幻術で影を見せて、閃光魔法を使っただけなのだがな」
2人の前には砲塔正面装甲を貫かれた重戦車が転がっている。
随伴歩兵は突然使われた大魔法におどろき逃げ出した。
「まぁ、あんだけ派手にやれば目の前の人間が撃ったと思うわな」
黒耳が閃光魔法を発動させた瞬間、15km彼方の狙撃砲から放たれた120mm砲弾は正面装甲を貫通、戦車を破壊した。
誰が見ても、目の前(幻術だが)のダークエルフが破壊したように見える。
『ご苦労様でした。報酬は倍額お支払いします』
「・・・妙に気前がいいな」
『こちらの不始末のお礼ですよ』
「・・・まあいい、仕事は終わりだ」
「迎えのヘリはここから3kmに待機している」
「よっしゃ帰るぞ!」
2人は粒子ビームで掘り返された森の中をとぼとぼと歩き始めた。
誰が見ても、目の前(幻術だが)のダークエルフが破壊したように見える。
『ご苦労様でした。報酬は倍額お支払いします』
「・・・妙に気前がいいな」
『こちらの不始末のお礼ですよ』
「・・・まあいい、仕事は終わりだ」
「迎えのヘリはここから3kmに待機している」
「よっしゃ帰るぞ!」
2人は粒子ビームで掘り返された森の中をとぼとぼと歩き始めた。
「どーですか、この威力!精度!」
「素晴らしい! 最新鋭戦車も一撃とは!」
監視衛星からの生中継は、正面装甲を貫通され沈黙した重戦車が映っている。
ゴンザレス13世は目を輝かせながら今だ主砲から煙を上げる「商品」に駆け寄った。
「しかし、他社製品とは言え最新鋭戦車を的にするとは・・・高かったのではないか?」
「いえいえ、ゴンザレス陛下との今後の関係の為と考えれば安いもの・・・」
「ほう・・・そこまで言われては買うしかないのぉ!」
「我がミツビシの誇る最新鋭次世代自走狙撃砲『無敵21型』ならば、あらゆる主力戦車をアウトレンジで撃破できます!」
クロフクはいつも通りのアルカイックスマイルを浮かべていた。
「素晴らしい! 最新鋭戦車も一撃とは!」
監視衛星からの生中継は、正面装甲を貫通され沈黙した重戦車が映っている。
ゴンザレス13世は目を輝かせながら今だ主砲から煙を上げる「商品」に駆け寄った。
「しかし、他社製品とは言え最新鋭戦車を的にするとは・・・高かったのではないか?」
「いえいえ、ゴンザレス陛下との今後の関係の為と考えれば安いもの・・・」
「ほう・・・そこまで言われては買うしかないのぉ!」
「我がミツビシの誇る最新鋭次世代自走狙撃砲『無敵21型』ならば、あらゆる主力戦車をアウトレンジで撃破できます!」
クロフクはいつも通りのアルカイックスマイルを浮かべていた。