737 名前:始末記[sage] 投稿日:2016/03/28(月) 06:05:31.06 ID:ITBEYeA1
海底を這うように巨大な未確認物体が陸地を目指していた。
途中の幾つかの海域に突入しては引き返すのを繰り返している。
どうやらその物体の内部に知的生命体が活動できる空間があるようだ。
途中の幾つかの海域に突入しては引き返すのを繰り返している。
どうやらその物体の内部に知的生命体が活動できる空間があるようだ。
「ここまでは侵入出来たか。」
船長のイケバセ・グレは任務の達成に安堵のため息を洩らす。
水中だが・・・
自分達種族を阻んできたこの海はあまりに異質な特性を持っていた。
最初の年は境界線から海底を歩いて百歩も進めばどの種族も発狂して死に至っている。
医学的な毒による成分は確認出来ていない。
むしろその海域に生息していた異世界の魚介類を食しても支障は出ていない。
各種族の呪術師達はある種の呪いに似た結界だと主張していた。
だが歳月が過ぎて呪いの効果が薄れてきたようだ。
今では呪いの境界線から一万歩の距離に到達出来るまでになっていた。
各種族はこの海域の奥にある陸地への航路を探して挑戦続けてきたのだ。
水中だが・・・
自分達種族を阻んできたこの海はあまりに異質な特性を持っていた。
最初の年は境界線から海底を歩いて百歩も進めばどの種族も発狂して死に至っている。
医学的な毒による成分は確認出来ていない。
むしろその海域に生息していた異世界の魚介類を食しても支障は出ていない。
各種族の呪術師達はある種の呪いに似た結界だと主張していた。
だが歳月が過ぎて呪いの効果が薄れてきたようだ。
今では呪いの境界線から一万歩の距離に到達出来るまでになっていた。
各種族はこの海域の奥にある陸地への航路を探して挑戦続けてきたのだ。
「この十年、何度も挑戦を繰り返した結果だな。
我々はようやく奴等の領域に突入出来る二ヶ所目のルートを見つけた。」
我々はようやく奴等の領域に突入出来る二ヶ所目のルートを見つけた。」
一万歩どころか二百歩に満たない距離に上陸出来る陸地があったのだ。
調査に当たっていた乗員達は小踊りや歓喜の声をあげながら喜びを表現している。
調査に当たっていた乗員達は小踊りや歓喜の声をあげながら喜びを表現している。
「船長、このことを早く本国に報告しましょう!!」
「戦士達も連れてこないといけないからな。
だが一度浮上してこの目で確認したい。
しかし、奴等に感付かれてはまずいが今は夜だ。
海上監視の部隊を先に放て!!
『荒波を丸く納めて日々豊漁』号は半潜状態で浮上!!
日本の奴等に一銛報いる大事な偵察だ。
気を緩めるな!!」
「戦士達も連れてこないといけないからな。
だが一度浮上してこの目で確認したい。
しかし、奴等に感付かれてはまずいが今は夜だ。
海上監視の部隊を先に放て!!
『荒波を丸く納めて日々豊漁』号は半潜状態で浮上!!
日本の奴等に一銛報いる大事な偵察だ。
気を緩めるな!!」
イケバセ船長は一度本国に帰れば遠征になる為に暫く家に帰れなくなる。
「娘に何か買ってやらないとな。」
触手でキセルを取って口に咥える。
もちろん火は点けれない。
大事なのは気分なのだ。
もちろん火は点けれない。
大事なのは気分なのだ。
大陸南部
アンフォニー
アンフォニー代官所
アンフォニー
アンフォニー代官所
ヒルダは春休みを利用して、自領アンフォニーに静養を兼ねた視察に来ていた。
だが代官の斉藤光夫に急な来客を告げる早竜が到着したことを報告されて困惑していた。
だが代官の斉藤光夫に急な来客を告げる早竜が到着したことを報告されて困惑していた。
「こんなとこまでよくこれたわね。
まだ、駅も完成してないのに」
「竜車で街道を走破して来たようです。
竜騎兵の護衛付きで」
「まあいいわ。
せっかくの学友の来訪だし歓迎の準備をして頂戴。
来訪の目的もよろしくね」
「グルティア侯爵領ですか・ ・・我々の目が入ってませんから新京の仲間に探らせますが、到着の方が早そうですな。」
まだ、駅も完成してないのに」
「竜車で街道を走破して来たようです。
竜騎兵の護衛付きで」
「まあいいわ。
せっかくの学友の来訪だし歓迎の準備をして頂戴。
来訪の目的もよろしくね」
「グルティア侯爵領ですか・ ・・我々の目が入ってませんから新京の仲間に探らせますが、到着の方が早そうですな。」
その日の夜には件の令嬢を乗せた竜車が到着する。
竜車は輸送に使われる中型角竜として分類されるゲルダーに曳かれた二両編成だ。
竜車は輸送に使われる中型角竜として分類されるゲルダーに曳かれた二両編成だ。
竜騎兵、執事、御者、侍女達は斉藤に用意された宿舎に案内された。
そして、グルティア侯爵家令嬢マイラは公邸を兼ねた代官所の応接室に案内された。
貴族らしい長い挨拶をかわすとマイラが単刀直入に本題に入ってくる。
そして、グルティア侯爵家令嬢マイラは公邸を兼ねた代官所の応接室に案内された。
貴族らしい長い挨拶をかわすとマイラが単刀直入に本題に入ってくる。
「ヒルダ様、私・・・結婚させられそうなんです。」
「あら、どなたと?」
「メルゲン子爵家の次男で、最近まで日本の捕虜になっていたマイヤー様です。」
「まあ、残党軍の方?」
「いえ、帝国軍時代に捕虜になったとかで勇戦を評価されていたそうです。
でも、私、結婚ってまだ早いと思うのです。」
「あら、どなたと?」
「メルゲン子爵家の次男で、最近まで日本の捕虜になっていたマイヤー様です。」
「まあ、残党軍の方?」
「いえ、帝国軍時代に捕虜になったとかで勇戦を評価されていたそうです。
でも、私、結婚ってまだ早いと思うのです。」
なにやらモジモジとした仕草で不満を訴えている。
帝国が崩壊し、王国が日本の傀儡となって五年の歳月が流れている。
半分人質として新京に集められた貴族の子弟達は日本の教育を受けその影響を大きく受けている。
その後遺症ともいうべき問題が貴族社会で起きていた。
その一つが教育を受けた貴族令嬢達が結婚したがら無くなったのだ。
この大陸の貴族の女性の平均的な結婚は十代後半に行われていた。
だがさらなる教育を求めて進学を希望する者が増加していた。
教育を受ければ受けるほど、自領の発展に生かしたいと意気込んでしまう。
マイラ嬢もその一人だ。
基本的に能力は低くなく、経理や書類作成など官僚的能力が地元の文官など鼻であしらうレベルに到達しているのだ。
さらに領内の女性陣に清潔な環境や化粧品を勧めて、自信を付けさせて発言力を高めた。
マイラはこのやり方で支持を集め、地盤を固めて内政に口を出すようになったのだ。
ただ彼女は恐ろしく周りが見えていない。
『効率的で迅速な仕事』がいかに大勢の人間から仕事を奪うのか。
立場を無くした文官達は解雇され、或いは野に下った。
のんびりとした農村が突然の開発ラッシュに襲われた。
健康の為に清潔な環境を造ろうとして領民が負担を強いられる。
入浴や消毒の為に大量の薪の消費が森林の焼失や禿げ山の増加を招いた。
使用する水の増加により、調達にの為の労働が増加した。
化粧品の普及で妙な自信を持った女性が増え、男女間でギスギスした空気が流れるようになった。
値段も高価で庶民には見合っていない。
予算を得るために軍縮を求められたグルティア侯爵領の私兵軍は不満を募らせる。
最初の頃は彼女に同調していた女性達もマイラに対する不満の空気を察して離れていく。
ちょうどその頃、資金調達の為の他領に派遣された竜騎兵団が損害を負って帰還した。
グルティア侯も責任の追求より、原因の排除を決断したのだ。
帝国が崩壊し、王国が日本の傀儡となって五年の歳月が流れている。
半分人質として新京に集められた貴族の子弟達は日本の教育を受けその影響を大きく受けている。
その後遺症ともいうべき問題が貴族社会で起きていた。
その一つが教育を受けた貴族令嬢達が結婚したがら無くなったのだ。
この大陸の貴族の女性の平均的な結婚は十代後半に行われていた。
だがさらなる教育を求めて進学を希望する者が増加していた。
教育を受ければ受けるほど、自領の発展に生かしたいと意気込んでしまう。
マイラ嬢もその一人だ。
基本的に能力は低くなく、経理や書類作成など官僚的能力が地元の文官など鼻であしらうレベルに到達しているのだ。
さらに領内の女性陣に清潔な環境や化粧品を勧めて、自信を付けさせて発言力を高めた。
マイラはこのやり方で支持を集め、地盤を固めて内政に口を出すようになったのだ。
ただ彼女は恐ろしく周りが見えていない。
『効率的で迅速な仕事』がいかに大勢の人間から仕事を奪うのか。
立場を無くした文官達は解雇され、或いは野に下った。
のんびりとした農村が突然の開発ラッシュに襲われた。
健康の為に清潔な環境を造ろうとして領民が負担を強いられる。
入浴や消毒の為に大量の薪の消費が森林の焼失や禿げ山の増加を招いた。
使用する水の増加により、調達にの為の労働が増加した。
化粧品の普及で妙な自信を持った女性が増え、男女間でギスギスした空気が流れるようになった。
値段も高価で庶民には見合っていない。
予算を得るために軍縮を求められたグルティア侯爵領の私兵軍は不満を募らせる。
最初の頃は彼女に同調していた女性達もマイラに対する不満の空気を察して離れていく。
ちょうどその頃、資金調達の為の他領に派遣された竜騎兵団が損害を負って帰還した。
グルティア侯も責任の追求より、原因の排除を決断したのだ。
「確かに投資による負担はちょっと大きかったと思うけど、将来的には絶対に発展の道が見えていたのに。」
その将来より今日明日に誰もが耐えられなくなっていたのが理解できていない。
「きっとマッシモ叔父上が私の功績になるのを妬んで父上を誑かしたのですわ。」
「まあ、今日のところは長旅で疲れたでしょう?
大学の卒業までは結婚は猶予があるから色々と考えることもあるでしょう。
部屋を用意したから明日からゆっくり語らいましょう。」
「お言葉に甘えてお世話になります。
すでに内政に携わって成果を挙げていたヒルダ様は私達の希望でしたから。」
「まあ、今日のところは長旅で疲れたでしょう?
大学の卒業までは結婚は猶予があるから色々と考えることもあるでしょう。
部屋を用意したから明日からゆっくり語らいましょう。」
「お言葉に甘えてお世話になります。
すでに内政に携わって成果を挙げていたヒルダ様は私達の希望でしたから。」
荷物の整理もあるので、侍女にマイラを客室に案内させて向かわせた。
斉藤は集めた情報をまとめた書類をヒルダに見せる
斉藤は集めた情報をまとめた書類をヒルダに見せる
「衛生環境の改善はうちでもやってるわよね?」
「状況と規模が違います。
グルティア領は長い歴史を誇ります。
それだけに領内の整備は一度完成されています。
再開発は負担しか残りません。」
「状況と規模が違います。
グルティア領は長い歴史を誇ります。
それだけに領内の整備は一度完成されています。
再開発は負担しか残りません。」
「難民による住民が増加したアンフォニーは、切り開く必要がある森林が手付かずに残っていたものね。
衛生環境改善の問題は切り開いて余剰となっていた樹木の処理という形で凌げたし。」
「領民の意識の違いもあります。
突然生活環境の変化を強いられたグルティアと、一から自分達の町や村を建設する必要があったアンフォニーではモチベーションに差が出るでしょう。」
「開拓の経費も新香港に請求してるから、経済的負担も低かったしね。
まあ、彼女の愚痴くらいは付き合ってあげましょう。」
衛生環境改善の問題は切り開いて余剰となっていた樹木の処理という形で凌げたし。」
「領民の意識の違いもあります。
突然生活環境の変化を強いられたグルティアと、一から自分達の町や村を建設する必要があったアンフォニーではモチベーションに差が出るでしょう。」
「開拓の経費も新香港に請求してるから、経済的負担も低かったしね。
まあ、彼女の愚痴くらいは付き合ってあげましょう。」
なんだかんだと可愛い取り巻きの一人だ。
邪険に扱う気はヒルダにはなかった。
邪険に扱う気はヒルダにはなかった。
「マイラ様の婚約者はガンダーラ建設に参入するメルゲン子爵家の担当者です。
せっかくだからこちらも一枚噛ませて頂きましょう。」
せっかくだからこちらも一枚噛ませて頂きましょう。」
幸いガンダーラの建設予定地に資材を運ぶにはこのアンフォニーに敷設されている南北線を使わなければならない。
間もなく完成する駅舎があれば列車はアンフォニーにも停まる予定なのだ。
間もなく完成する駅舎があれば列車はアンフォニーにも停まる予定なのだ。
「宿場町建設なんて夢が広がるわね。」
「まあ、ほどほどに程度を見極めて行いましょう。
グルティアはちょうどよい反面教師になりましたから。
ところで姫様。
マイラ様はいつまで逗留の予定なので?」
「まあ、ほどほどに程度を見極めて行いましょう。
グルティアはちょうどよい反面教師になりましたから。
ところで姫様。
マイラ様はいつまで逗留の予定なので?」
肝心なことを聞きそびれていた。
大陸西部
エジンバラ男爵領
エジンバラ男爵領
エジンバラ男爵は帝国崩壊時に成り上がった親日、王国派の貴族であった。
それに伴い所領のあった東部から豊かな実りのある西部に移封された。
親日をアピールする為に妻子は全て新京に居住させて自分は若い現地妻を持った。
だがちょっとハッスルしすぎたのか昨年お亡くなりになり、新京から嫡男のチャールズが跡を継ぐべくエジンバラにやってきた。
だがこのチャールズは日本の大学で色々と思想に被れたらしい。
それに伴い所領のあった東部から豊かな実りのある西部に移封された。
親日をアピールする為に妻子は全て新京に居住させて自分は若い現地妻を持った。
だがちょっとハッスルしすぎたのか昨年お亡くなりになり、新京から嫡男のチャールズが跡を継ぐべくエジンバラにやってきた。
だがこのチャールズは日本の大学で色々と思想に被れたらしい。
「これからの時代、新しい領主は住民の投票によって選ぶべきではないか?」
最初のうちは一族、家臣、領民の誰もが相手にしてなかった。
だがそのうち妙な団体が現れて事態は一変した。
NGO団体『大陸民主化促進支援委員会』である。
荷物運びや護衛の傭兵を除けば全員が日本人で構成されている。
領民の大半は非政府組織と説明されても意味がわからない。
国に仕えてないのは神に仕える神官達か、反乱軍ということになる。
もちろんギルドのようなものがあるのは理解しているが、あれは国に認可を受けて税を払い、その庇護下で存在している組織である。
ましてや貴族や官僚でもない人間が政治活動を行うなど理解の範疇を越えていた。
これがもう少し知識層だともう少し理解されている。
だが日々の暮らしで世界が完結しているほとんどの領民には政治的権利など美味しいのか?
くらいにしか思われていない。
だがそのうち妙な団体が現れて事態は一変した。
NGO団体『大陸民主化促進支援委員会』である。
荷物運びや護衛の傭兵を除けば全員が日本人で構成されている。
領民の大半は非政府組織と説明されても意味がわからない。
国に仕えてないのは神に仕える神官達か、反乱軍ということになる。
もちろんギルドのようなものがあるのは理解しているが、あれは国に認可を受けて税を払い、その庇護下で存在している組織である。
ましてや貴族や官僚でもない人間が政治活動を行うなど理解の範疇を越えていた。
これがもう少し知識層だともう少し理解されている。
だが日々の暮らしで世界が完結しているほとんどの領民には政治的権利など美味しいのか?
くらいにしか思われていない。
そして、自衛隊の部隊が護衛に来ると知られると誤解が加速する。
「つまり日本国の意向を反映している組織なんじゃないか?」
結果、次期領主を選ぶ選挙がトントン拍子に進んでしまった。
委員会のメンバーとして、野党だが参議院議員が紹介されたことも誤解に拍車を掛けた。
ちなみに議員本人は名前だけで大陸にすら来ていない。
総督府も一応は日本国に所属し、民主主義を否定することは出来ない。
でも大陸では現実的じゃないから遠くでやって欲しいという希望と一致して大陸西部で試験的に行うことなった。
今回は4回目にあたる。
民主主義至上主義者がうるさいのでまとめて厄介払いしたともいう。
委員会のメンバーとして、野党だが参議院議員が紹介されたことも誤解に拍車を掛けた。
ちなみに議員本人は名前だけで大陸にすら来ていない。
総督府も一応は日本国に所属し、民主主義を否定することは出来ない。
でも大陸では現実的じゃないから遠くでやって欲しいという希望と一致して大陸西部で試験的に行うことなった。
今回は4回目にあたる。
民主主義至上主義者がうるさいのでまとめて厄介払いしたともいう。
そして日本人が活動する以上、護衛として派遣されたのが陸上自衛隊第16普通科連隊の第3中隊であった。
第16師団本部と調整して、施設から小隊、通信、衛生、偵察から分隊を借り受けている。
かわりに同隊の普通科隊員が同数が施設、通信、衛生、偵察に研修として出向させられた。
選挙監視に必要な人材と危険度が少ない任務と考えられたからだ。
任務は現地邦人の保護と安全に公平に選挙が実施されるよう監視を行うことである。
同隊はエジンバラ防衛の為に建設された砦の一つで、平時は警備の兵士以外は無人のリゲル砦に拠点を構えた。
第16師団本部と調整して、施設から小隊、通信、衛生、偵察から分隊を借り受けている。
かわりに同隊の普通科隊員が同数が施設、通信、衛生、偵察に研修として出向させられた。
選挙監視に必要な人材と危険度が少ない任務と考えられたからだ。
任務は現地邦人の保護と安全に公平に選挙が実施されるよう監視を行うことである。
同隊はエジンバラ防衛の為に建設された砦の一つで、平時は警備の兵士以外は無人のリゲル砦に拠点を構えた。
「通信設備は早めに頼む。
だが優先すべきは寝床かな?
普通科の隊員は一丸となって掃除を行うぞ。
車両とヘリは砦内の広間に置いておけ。
即席のヘリポートは明日造ろう。」
だが優先すべきは寝床かな?
普通科の隊員は一丸となって掃除を行うぞ。
車両とヘリは砦内の広間に置いておけ。
即席のヘリポートは明日造ろう。」
丸山和也一等陸尉自ら陣頭に立ち、帚を持って埃を払っている。
「隊長お客さんです。」
駐屯地から遠く離れ、身内だけだと隊員も緩んでいる。
規律的に問題があるので一度引き締める必要があると思えた。
隊員が連れてきたのは妙齢の女性と若者達だ。
全員が日本人の民間人だ。
つまりNGO団体『大陸民主化促進支援委員会』である。
ちなみにこの砦での同居人となる。
規律的に問題があるので一度引き締める必要があると思えた。
隊員が連れてきたのは妙齢の女性と若者達だ。
全員が日本人の民間人だ。
つまりNGO団体『大陸民主化促進支援委員会』である。
ちなみにこの砦での同居人となる。
「この度は我々の活動に御協力頂きありがとうございます。
私は『大陸民主化促進支援委員会』の大陸西部支部支部長近藤佐奈子といいます。
色々とご迷惑を掛けると思いますがよろしくお願いします。」
私は『大陸民主化促進支援委員会』の大陸西部支部支部長近藤佐奈子といいます。
色々とご迷惑を掛けると思いますがよろしくお願いします。」
丸山一尉は些か拍子抜けしていた。
正直この種の団体と一緒に仕事をするのは気が重かった。
この手合いの団体は
正直この種の団体と一緒に仕事をするのは気が重かった。
この手合いの団体は
『自衛隊ガー!!』
『民主主義ガー!!』
『憲法9条復活ガー!!』
と捲くし立てて来るのを予想していたからだ。
だが近藤女史は妙に疲れた憂い顔をしている。
それが丸山の好みに直撃していた。
だが気になるのはやる気に溢れたまわりの若い若者達た。
女史と若者達の温度差が大変気になった。
『民主主義ガー!!』
『憲法9条復活ガー!!』
と捲くし立てて来るのを予想していたからだ。
だが近藤女史は妙に疲れた憂い顔をしている。
それが丸山の好みに直撃していた。
だが気になるのはやる気に溢れたまわりの若い若者達た。
女史と若者達の温度差が大変気になった。
「そ、それで選挙の進捗状況は如何ですか?」
「聞きたいのですか?」
「聞きたいのですか?」
それを聞かなければこちらも任務を進めることが出来ない。
さすがに女史の背後にいた若者達も困り顔をしている。
さすがに女史の背後にいた若者達も困り顔をしている。
「ちょっと聞いて下さい隊長さん。
- 無理です・・・
この大陸に民主主義を芽生えさせるなんて私には無理だったんです。」
いきなり目の前で泣かれてしまった。
丸山はかつて絶対絶命に感じたオーガの群れとの遭遇戦で感じた恐怖を思い出した。
あの時は第1更正師団の督戦隊隊員として所属していた。
無数のオーガの群れに師団の隊員達は次々と喰われていった。
だが彼等は勇敢に立ち向かっていった。
丸山も一緒に突撃し、血路を切り開いた。
あの恐怖に晒された時にでも言わなかったことを口にしていた。
丸山はかつて絶対絶命に感じたオーガの群れとの遭遇戦で感じた恐怖を思い出した。
あの時は第1更正師団の督戦隊隊員として所属していた。
無数のオーガの群れに師団の隊員達は次々と喰われていった。
だが彼等は勇敢に立ち向かっていった。
丸山も一緒に突撃し、血路を切り開いた。
あの恐怖に晒された時にでも言わなかったことを口にしていた。
「お、おい・・・
誰か助けてくれ・・・」
誰か助けてくれ・・・」
女史の後ろにいた若者達が宥めに入ってくれている。
「失礼、支部長は些かナーバスになってまして。
今度こそ選挙を理想通りに成功させるのだと。」
「公平を帰すべき選挙で理想通りとか不味くないですか?
団体の思想が混じっても困りのですよ。」
「確かに仰る通りなのですが、前回の選挙では奴隷特区を創りあげるという失態を犯してしまいましたので・・・」
「おい、何仕出かしたんだよ、いったい。」
今度こそ選挙を理想通りに成功させるのだと。」
「公平を帰すべき選挙で理想通りとか不味くないですか?
団体の思想が混じっても困りのですよ。」
「確かに仰る通りなのですが、前回の選挙では奴隷特区を創りあげるという失態を犯してしまいましたので・・・」
「おい、何仕出かしたんだよ、いったい。」
この民主主義促進の活動はあまり報道されていない。
総督府の意向もあるが、結果が毎回ロクでもないからだ。
前回までなら委員会が雇った警備会社や地元傭兵程度が付き添っていたのだが、今回は自衛隊部隊が派遣されたのはお目付け役を期待されてのことであった。
この部分は同隊には説明されてなかったりする。
総督府の意向もあるが、結果が毎回ロクでもないからだ。
前回までなら委員会が雇った警備会社や地元傭兵程度が付き添っていたのだが、今回は自衛隊部隊が派遣されたのはお目付け役を期待されてのことであった。
この部分は同隊には説明されてなかったりする。